公開日 2021年03月31日
(司会)
ただ今から、知事記者発表を始めさせていただきます。冒頭、知事から発言があります。
(知事)
本日は冒頭、来年度の当初予算(案)、そして関西との経済連携強化戦略の案について、私の方からご報告したいと思います。
まず、当初予算(案)の関係です。前提としまして、県議会の2月定例会を来週2月22日に招集します。今回、提出する議案は、令和3年度の一般会計予算など予算議案が41件、条例その他の議案が38件、報告議案が2件、合計81件ということになっております。以下、令和3年度の当初予算(案)の概略について資料に沿って、概略のご説明させていただきます。
予算のポイントについて簡単に申し上げます。
一般会計の当初予算の規模は4,635億円ということでして、前年比微増、ほぼ横ばいですが、0.1%増になっております。ただ、いわゆる国土強靱化関連の公共事業の関係の予算が令和2年度までは当初予算、令和3年度の分は補正予算で措置されるという状況の変化がありますので、この点を勘案した実質的な当初予算のベースでみますと4,959億円、前年比で205億円、4.3%増。実質ベースで見ていただくとかなり積極的な予算の増になっているということはご理解いただけると考えます。
予算編成の考え方としては、県勢浮揚に必要な施策は着実に実行するという一方で、今後の財政運営を見つめて財政の持続可能性にも目配りするという考え方で、予算を編成してまいりました。
ポイントとして4点にまとめております。1点目は先ほど申し上げましたように、実質ベースでは4,900億円を上回るような積極型の予算編成を行ったということ。そして2点目、コロナウイルス感染症対策、これは前提として着実に進めるということですが、これに加えて、あらゆる分野でデジタル化、あるいはグリーン化、そういった横断的な政策課題に応えていくという考え方に立ちながら、5つの基本政策として、3つの横断的な政策にかかる取り組みを強化するという中身になっているということです。
3点目、このコロナウイルス関連での経済影響対策という観点も踏まえて、国の財源も最大限に活用して、防災・減災など地域の実情を踏まえたインフラ整備、これも積極的にやっていくと。これは予算の規模にも反映されているということです。
そして、ポイントの4番目ですが、こういった積極的な予算ではありますけれども、財源面でのやりくり、あるいはスクラップ&ビルドの徹底等を通じて将来にわたる財政の可能性を確保すると、こういう点にも目配りしたということが、ポイントの4点目として言えると考えます。
先ほどの実質的な予算規模のもう少し詳しい説明です。形式的な当初予算はほぼ横ばいということで、このラインになっておりますけれども、これに補正予算で積まれて翌年度に繰り越して実施される公共事業の分も考えますと、これがこういった数字に、それぞれ2年度、3年度、前年度の2月補正で積まれた分を計算するとこうなっていまして、この分を加えて、実質的に令和3年度に執行される予算の金額ということで考えますと約200億円、4.3%の増という形になっています。
そして、当初予算のポイントですが、詳細は後ほど申しますが、まず1点目は何といいましてもコロナイウイルスの感染症対策、まだ全国的に収束が見通せるというところまでいっておりませんので、今後の感染拡大に備えた対策、経済影響対策も含めて140億円ほど計上しているという点が大きな柱になります。
各施策に関しては5つの基本政策、そして、5つの基本政策に横断的にかかわる政策の3本柱、合わせてこの8点についてそれぞれここに掲げているような予算額を計上し、全体を横串を刺す意味での課題への対応として、特にウィズコロナあるいはポストコロナの時代に備えた新しい社会構造、経済構造への対応という意味で、デジタル化の推進を各分野にわたって推進していくということ。
そして、もう一つ横断的な取り組みとして脱炭素化、もう少し俗っぽくいいますとグリーン化の推進を各分野で進めていくという形の予算編成を行っていたということです。
これが、いわゆる公共投資関係、投資的経費の規模をあらためて示したものです。先ほど申し上げた形のように、実質的に今年度、繰り越し分の数字も含めて投資的経費、公共事業等を執行される形になるという観点から、この規模をみますと、実質的な規模は前年比、1.3%程度の増になるということです。この大きなポイントになるのが繰り越しの予算ですね。これが令和2年度、前年度からの繰り越し分がかなり多かったわけですけれども、コロナ対応、経済の下支えということで、この繰り越し分の執行に力を費やしてきたということもあり、令和3年度はこの繰り越し分が100億円あまり減少する、そういう形になってまいります。
一方で国土強靱化対策の国の3か年緊急対策が、今後5か年の加速化対策という形に衣替えして計上される。これが100億円弱増えてくるというような状況も踏まえて、その他の公共事業の規模についても一定増加を図ったというところで、トータルでほぼ前年を若干上回る規模の投資的経費を確保したということでして、経済の下支えという意味も含めて、こういった規模はしっかり確保していくということであります。
予算の全体像です。まず歳入面ですけれども、歳入面につきまして、一般財源の総額は、これもほぼ前年並みの規模を確保できました。コロナウイルス関係の経済影響により県税収入、あるいは地方譲与税の収入が大きく減収するということがあったわけですが、一方で、これをカバーする国の地方財政対策により、地方交付税、実際には臨時財政対策債という赤字地方債の発行枠、これがかなり増えたということもあり、一般財源トータルでいいますと、税収の減を交付税、臨時財政対策債でカバーする形で、財政運営を行う上では、前年度を上回るような一般財源が確保できたという点が、この前提となる条件としては大きなものです。
そうした中で今年度は、地方創生の臨時交付金を活用できる分は最大限に活用していくということ。そして、歳出面におきましてもスクラップ&ビルドを徹底をしていくということ。こういったことによって、予算編成に臨んだということです。
一方、公共投資関係に関しては、先ほど申しました国土強靱化関連の今後5か年の加速化対策が新たに策定されましたので、この財源手当を最大限に活用していくという考え方を取りました。
そして、財源不足の規模ですけれども、最終的に歳出で必要になる一般財源が歳入を75億円上回る形で75億円の財源不足を見込みましたけれども、下に書いてありますように、ここ数年100億円を超えるような規模の財源不足が続き、また昨年度は100億円を久し振りに切って90億円という形になりましたけれども、ここをさらに十数億円下回る形に圧縮するという、予算編成ができたということです。やはり、いろいろ要因はありますけれども、一般財源が交付税あるいは臨財債によって確保できたというところが大きな要因であると考えています。
そして、中長期的な財政運営を見据えた財源不足への対応としては、この関係を先に申しますと、75億円の財源不足が生じます。これに対して、そのまま基金の取り崩しに頼るのではなくて、交付税の手当はありませんけれどもいわゆる退職手当債、行革推進債といったような一種の資金手当債と言われる地方債ですが、これの活用できる分は活用して、基金の取り崩しは圧縮するということにしました。
この二つの地方債を合わせて30億円ということにより、基金の取り崩しは44億円までに抑えたと。これも前年に比べて十数億円基金の取り崩しは縮減をできたと。基金の残高の保持というところに配慮したというところです。
あわせて、これは2月補正、令和2年度の対応の方です。令和2年度もコロナ関係の影響があり、税収がかなり落ち込みました。この税収の落ち込み分を補うために、国の方でも今年度は制度を拡充して、減収補填のために地方債の発行を認めるという手当が特別に取られているということもありますので、本県では久し振りになりますが、減少補填債というものを令和2年度は43億円ほど発行して、令和2年度の基金の取り崩しもその分圧縮していくということで、令和3年度以降使える基金の残高を確保するという対策を取ったということになります。
これが高知県の貯金にあたる基金、そして借金にあたる県債の動向です。この県の財政調整的な基金の動向ですが、ここ数年、平成20年代後半は南海トラフ地震対策に伴う津波避難タワーなどの整備に対して、市町村負担を事実上肩代わりすると、かなり思い切った南海トラフ地震対策を進めてきたということもあり、基金の残高は目減り傾向で来ておりますけれども、今回、最終的にこの令和3年度の予算編成を通じて、予算編成後の基金残高129億円。大体、高知県の標準財政規模の5%、一般的な目安といわれる水準近くは確保できたということです。
その中では、先ほど申し上げたように、令和2年度も本来、もっと大きな貯金の取り崩しを予定しておりましたけども、これを44億円に、本年度も基金の取り崩しを縮減して、来年度に使える基金を繰り越していくことによりまして、この基金残高が確保できたということです。
そして、県債の残高につきましては、先ほど申しましたように、国土強靱化対策に伴う社会資本整備、これも持続的に向こう5年間、計画的にやっていくということですから、この分につきましての地方債、県債の増というのは一定程度含まざるを得ないということでありますけれども、この5年間を通り越せば、この地方債の残高についても一定の水準の中に収まっていくという見通しが立つような形での地方債の発行という規模に留まっているということです。
そして、これは今年度からの引き続きの問題ですけれども、新型コロナウイルス関連の対策に対して、国の方では地方創生の臨時交付金という財源手当を講じていただいております。既に2次補正までで171億円が本県のに交付上限額として示されておりましたけども、先般成立した国の第3次補正予算、全体で1.5兆円の規模の補正予算が国の方で設けられておりますが、これに対応した地方単独事業分の高知県分の配分の上限額が66億円あまりと示されました。合わせて、全体で237億円余の臨時交付金が手当されるという見通しが立ったわけです。
既に、活用額というものもございますけれども、今回、2月補正あるいは当初予算で活用を予定しているものとしては、令和3年度の当初予算として使っていく分というのが8億円あまり。そして実際大きいのは、今回の2月補正予算、あるいは専決処分での補正予算などによって活用する分ということでして、大きなものといいますと、1月に専決をした営業時間短縮要請等対応臨時給付金、飲食店取引先などに対して県単独で手当するもの。そして、IT関係の1人1台タブレットを県立高校にも入れていく等に使っていくということ。そして、2月補正で計上します事業者の事業規模に応じたコロナ関係の経済影響対策の新たな給付金。そして、一番規模的に大きいのは、昨年の2月議会で当初予算について直ちに補正した部分につきまして、いわゆる県独自の中小企業向けの無利子、実質無担保の中小企業向けの融資制度、これに関する後年度の負担が生じてまいります。無利子で貸付するために、例えば向こう4年間はこの金利分について県が負担をしていくと。そういった負担に備えた基金の積立を42億円、今回の2月補正予算で手当をするというようなことがございます。
こういった部分がございまして、今回の補正の分も含めて令和3年度当初予算等では90億円あまりの手当をし、今までの充当分と含めて225億円については、この使途の当てを付けたということです。差し引き若干10億円あまり、まだ充当可能な分が残っておりますので、これにつきましては、今後さらに経済対策などが必要になることに備えて留保をしておくという考え方で、当面対応したいと考えております。
これが予算の歳入歳出の性質的な区分の概略です。令和3年度予算、形式ベースでは4,630億円。これに実質ベースに置き換えますと4,950億円あまりと、こういった数字になっているということです。それはまたご覧になっていただければと思います。これはいわゆる目的別、性質別でして、県民1人当たりということで一般会計予算(案)を割り算してみますと、比較的大きなものが例えば教育費であったり、健康福祉費であったり、あるいは土木費、公共事業関係であったりと、そういったことになるということですし、こちらは歳入の区分でいいますと、本県の場合、残念ながら自主財源である県税に賄えるのは13%ほどであり、かなり多くのところを地方交付税であったり国庫支出金、国からの財源に依存をせざるを得ないような構造になっているということ。そして、歳出に関していいますと人件費ですとか、ソフト面の補助経費ですとか、公共事業の部分の投資的経費、こういったものが多くを占めているという傾向が見ていただけると思います。
予算の各項目について以下、簡単にかいつまんで申し上げたいと思います。
まず、新型コロナウイルスの感染症対策ですけれども、ワクチンの接種体制の構築ですとか、保健所の体制整備といったことを含めまして、今後再び感染拡大があった場合でも対応ができるように、病床の確保というところも含めて必要な財源、予算の確保を国の交付金なども財源として計上する中で、必要な歳出予算を確保していくということがございます。宿泊療養なども含めて。
次に経済影響対策として64億円です。この中で、新しい要素としては、先だってもご説明をしておりました、今までの例えば飲食店の時短の協力金ですとか、取引先に向けた給付金、こういったものは比較的、小規模、零細規模の事業者の方々には、それなりに一息付ける金額であったということですけれども、例えば年商が億単位のような中堅企業というところになりますと、100万円あるいは数十万円という規模では、まだまだ焼け石に水というご意見も多数お伺いしております。そうしたことで、かなりの従業員の方を雇用されているというような中堅企業などの事業者の方々に対して、その規模、あるいは収入減の影響の度合いに応じて、給付金を積み増ししていくという制度を新たに2月補正で計上して、この財源として8億8,000万円ほどの予算を計上しているということです。
そして、経済活動の回復を目指した局面としては、地産地消、そして次の段階では地産外商、こういったものに向けた活動のための予算を計上しております。
それから、社会経済構造の変化への対応、これは後ほどまた詳しく出てまいりますけれども、デジタル化というキーワードで括れるようなハウス園芸、あるいは林業、水産業、こういった1次産業に加えて中小企業、商工関係を担っていただく中小企業の皆さんについてもデジタル化を進めていくという予算。そして、都会から地方への新しい人の流れを創出する、これを後押ししていくための移住の促進ですとか、大学生の県内就職を促進をする経費、あるいはシェアオフィスの取り組みへの支援。こういったものについて、予算計上を図っております。
大きな項目としてデジタル化の推進、これが横断的な対応を図った分野ですので、これについて簡単に見ていきたいと思います。
デジタル化に取り組んで何を目指すかということでありますが、一つは県民サービスの向上。二つ目は、課題解決と産業振興。三つ目は行政自身の事務を効率化していく。この大きな3本柱といえると思います。
県民の皆さんへのサービスの向上、利便性の向上ということに対しましては、電子申請など自宅でオンラインの申請ができる。県庁に、市役所にわざわざ足を運ばなくても行政手続が完結する。あるいはAI-FAQ といわれるような、いわゆるチャット形式で24時間典型的なご質問などに役所が答えていけるというような取り組みを進めてまいります。
そして、これは産業面でのデジタル化ということに対しては、高知マリンイノベーション、Next次世代ハウス園芸、中小企業のデジタル化加えて、建設業でもドローンを使ったり、ICT機器を使ったりということで省力化し、働き方改革につなげていくというような取り組み。そして、学校におきましても1人1台タブレットを推進していくということで、教育のデジタル化も図っていくという中身が入っております。
中小企業のデジタル化、これに対しては産業振興センターに部を新たに設けまして、デジタル化の相談をお受けしたり、いろんな形でサポートしていくということを本腰を入れてやっていくということですが、例えばイメージとして、製造業でもIoTで工程の進捗状況を自動的に情報収集して、営業部門なんかにも同時に共有していくということで、この事業そのものの展開を後押しできるといったことですとか、小売り業でも例えばカメラで来客の行動を解析して、お客さんに応じたPR画像をお店の前に出していくというような取り組み。飲食業もスマホなどを使って、マーケティングなどもしていくというような取り組み。そして、宿泊業についてもいろいろな顧客情報をあらゆるスタッフが情報共有していくことで、よりよいサービスができていく。
こういったあくまでもイメージですけれどもそれぞれの中小企業の実情に照らして、デジタル化を進めて生産性も向上していただく。高付加価値化、より稼げる事業に生まれ変わっていただく後押しをしていきたいと考えております。
そして、行政事務の抜本的な効率化、これは行政内部の事務の仕事におきましても、例えばAI-OCRを使った手書きの書類を機械で読み取って、これをデジタルデータに自動変換をしていくことで、県職員の手間は相当省けると思っております。既に先行してRPAを取り入れておりますが、これをさらに広げていくということ。また、県庁内に簡易型の電子決裁システムを入れていこうとしております。
それから、いわゆるグリーン化、カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みについてです。大きな方向性は脱炭素的な暮らしを高知から、標語的に申しますと84の森、森林面積率84%、全国一の森林県である高知県の森林を守っていくことによるCO2の吸収源対策と、都市の森、建築の木造化・木質化を通じて、都市で木材をもっと使っていただく。それがひいては、高知の森の整備に繋がっていくということを通じた貢献、そして持続可能な産業振興でも省エネなどを進め、より生産性を高くしていくと、そうしてグリーン化に貢献していく。こういった中身で、具体的な取り組みにつきましては、県庁内にこのプロジェクトチームを設けて、アクションプランを作っていこうと考えているところです。
今年度の予算に関しての6本の柱は、資料に書いている内容です。時間がもう限られておりますので、後は端折って項目だけ申し上げます。グローバル化の推進、これは直ちに全速力でという話ではありませんが、長い目で考えますと我が国、あるいは高知県も少子高齢化、人口減少が進んでいくことが避けられない訳ですから、中長期的な視点に立ちますと、海外に目を向けていく、そのための備えをしっかりしておくことは、必要だと考えています。
そのために、コロナ収束後のインバウンド観光の需要回復を見据えた備え、あるいは県産品の輸出拡大に向けた備え、そして外国人材、やはり、構造的に人口減少の中で、人手不足が続いていくことを考えますと、外国人材の受け入れ対策などについては、しっかり目配りした予算になっているということを申し上げたいと思います。
以下、5つの基本政策の関係です。
一つは経済の活性化であり、これについては六つの重点ポイントで、関西圏との経済連携強化を図っていくということです。
この六つの重点ポイント、これが関西との経済連携強化、以下、先ほど申し上げたデジタル化、社会経済構造変化への対応等々です。
次に健康長寿県づくり、今回の第4期の構想におきましては健康寿命の延伸、そして在宅療養体制の充実、そして高知版ネウボラの強化により子育て支援、この3本の柱について数値目標を明確化をして、鋭意取り組んでいます。
デジタル化なども含めて進めてまいります。そして教育の充実、子育て支援の関係で見ますと教育関係は第2期の大綱、あるいは第3期の教育振興計画を使い、デジタル化、厳しい環境にある子供たちへの支援、そして学校での働き方改革、少人数の学級編成の推進といった取り組みをしていくことに対応した予算となっております。
南海トラフ地震対策についてです。ハード面ではいわゆる三重防護などといった堤防を含めたの整備を加速していくということ。ソフト面ではいわゆる要配慮者、高齢者の方々などに対しての個別の避難計画の策定、あるいは受援計画の策定、さらには事前復興まちづくり計画の策定といったソフト面での対策も進めていくことで、想定死者数もこの対策を始めたころは、県内で4万人を超える死者が想定されるシミュレーションでしたが、令和4年の時点では、5,800人規模にまで圧縮できるというように、耐震化を始めとしていろんな対策をさらに進めていくことで取り組んでまいりたいと考えております。
インフラの充実に関しては、繰り返しになりますが、防災減災国土強靭化のための5か年の加速化対策を最大限に活用していくことで道路整備、あるいは河川堤防の整備を始めとしたインフラの整備を着実に進めていくという中身になっております。
中山間対策の充実・強化につきまして、この施策の柱としてまいりました集落活動センターについても引き続き充実、拡大を図っていくということと合わせて、今年度は、10年ぶりに集落の実態調査を行い、今後10年間を展望した県の中山間地域対策のあり方を検討していく基礎材料とする取り組みも行おうとしております。
そして、少子化対策や女性活躍の場の推進についてです。少子化対策につきましての充実強化、そして女性の活躍の場の拡大、これらについて引き続き取り組んでまいります。
文化芸術とスポーツの振興に関しては、特に30回目の節目を迎えるまんが甲子園を記念大会として、規模を拡大して行うための予算。そして県の歩みを県史として編纂していく。これは20年かかる大事業ということになりますが、この編纂に取りかかるということ。ちょうど高知県が設置されて150周年に当たる記念すべき年に、この県史編纂事業をスタートしていく予算も計上しております。
スポーツの振興に関していいますと、地域のスポーツハブの充実などを含めて、子供たちが特に小規模校では部活動などが十分にできないといった課題もございましたけれども、地域で子供たちがスポーツできる環境づくり、そしてこれは関西戦略ともかかわりますけども、スポーツツーリズムの活性化を図っていくことが大きな特色になっている予算となっております。
その他公共交通の維持、とさでん交通への支援、佐川町におきます新たな管理型の産廃最終処分場の整備の推進、牧野植物園の磨き上げ対策、旧陸軍歩兵44連隊の跡地の整備、警察庁舎の整備、こういった事業も今回の予算に計上しているところです。
そして2月の補正予算ですが、全体的な規模はこちらにあるように245億円という規模。主なものはコロナ対策で、新しい給付金もございます。ほかにも一人一台タブレットの高等学校への整備といった手当もしていくということですが、金額的に大きなものは、実質的には、令和3年度に執行される国の5か年加速化対策によるインフラ整備に関わる予算を、2月の補正予算で計上して繰り越していくというものが、規模としては大きくなっているところです。
最後に2月補正で措置した事業者の規模に応じた支援のための新たな給付金です。ただ今申し上げましたが、飲食店には協力金、そして飲食店の取引先などには臨時給付金、これは既に制度化しておりますが、これは1店舗当たり最大100万円であるとか、事業者当たりで20万・40万、比較的金額としては少額でありますので、小規模の事業者にとってはそれなりに意味がありますが、規模が大きな事業者にとっては、もう少し事業規模に応じた支援をもらいたいというお声をたくさんいただいています。
今回は、昨年12月から年度末3月までの間の、連続する2カ月の売り上げが30%以上減少した事業者に対して、これは6月補正でもやったような形になりますが、事業主の社会保険料の負担に着目して、この分について一定の計算をした上で、3分の2相当を支援していこうという制度を仕組むことにしました。
これにより、一つの算定のイメージがありますが、500人以上の方を雇用される社会保険に入っておられるような企業ですと、800万円の支援、もう少しまとまった金額の支援が、企業規模に応じて可能になるという制度となっているということです。
以上が予算関係でした。続けて簡単に関西・高知の経済連携強化戦略の案につきまして、ご説明したいと思います。
この戦略につきましては、計画期間、最終的に見据えておりますのは、2025年の大阪万博ですが、具体的な取り組みとしては、県の産振計画の残り期間と合わせた3年間で、令和5年度までを具体的な取り組み、あるいは数値目標の設定期間として策定しました。そしていわゆる、アドバイザー会議を今回設けておりますので、この会議におきまして進捗管理もお願いしていくものです。大きな柱の1点目が観光の推進、2点目が食品等の外商拡大、3点目が万博・IR等との連携、こういった中身になっています。
観光についてです。目標としては、関西圏から高知県への観光客の入込数、そしてこれはインバウンドの需要回復後ですけれども、関空経由で高知に入ってくる宿泊者数、外国人の宿泊者数、これらについて目標値を掲げ、具体的な取り組みの中でのポイントは、大阪観光局などと連携した誘客の推進を図っていく。特に高知の自然体験型観光基盤を生かして、大阪、関西の都市型観光との組み合わせで新しい、観光ルートも設定していくということ。そして、コロナ収束後を見据えて、関西圏を訪れるインバウンドの観光客を高知にお招きする。ここに力を入れていこうということです。
そして2点目の外商の推進プロジェクト、食品分野、林業分野、それから商工業分野、それぞれ数値目標を掲げて、今回の新しいポイントの大きな点は、「うめきた2期」と言われるような大阪の都心部における大規模再開発も行われております。そういったここの再開発のサイトをターゲットとした外商活動を展開していくということ。
そして2点目が、地域に密着した量販店への販路拡大。これを大阪の中心部だけでなくて兵庫県、京都まで拡大をして、量販店で直接高知フェアなどを行ってもらうという取り組みを拡大していくというようなことが特色になっています。
3点目が万博・IRの連携プロジェクト。これは今後プロジェクト自身の具体化に沿って、県としてのかかわり、連携の中身も具体化してくるということですが、現時点で一番それに向けて、水面下でありますけれども動いているのは、万博の会場のパビリオンなんかに県産の木材を使ってもらおう、国産木材を使っていただこうということで、関係者と連携して、この万博協会などへの働きかけも行っているところでして、こうしたことや万博での会場内での県産食材の活用、こういったことにも今後取り組んでいこうという中身になっております。
このための体制整備として、県の大阪事務所、そして地産外商公社の大阪グループ、TOSAZAIセンター関西駐在員の新設、そして産振センターの大阪事務所、それぞれ県ないし県の関係団体の体制を全体として大幅に強化していく形で、力を入れ取り組んでいきたいと考えております。
私の方からは以上です。よろしくお願いいたします。
(司会)
それでは、各社からの質疑に移ります。質問される方は挙手をして、社名とお名前の発言をしていただいてから質問をお願いします。
(大山・高知新聞記者)
予算の全体のことについてお伺いしたいんですが、年頭所感でも今年は攻めの一年にということを言われていたと思います。その中で予算規模で言えば、尾﨑県政以降を見ても最大の規模になっています。全体を見たときに、新しい手を打っていくという予算なのか、それとも全体の底上げを図るような予算なのか、全体のイメージというのをどんなふうにお考えか、教えてください。
(知事)
両面ですけども、特に攻めの予算ということで言いますと、やはり高知の強みを生かしていく、そこを強調したいということではないかと思います。攻めの大きな二つの側面は、デジタル化、そしてグリーン化だと思いますが、デジタル化も各分野に及びますけども、やはりその中で筆頭になるのはいわゆるIoP、ハウス園芸、これは日本一の生産性を誇るのは高知のハウス園芸ですから、これにデジタル技術を掛け合わせて日本全体をリードしていこうという意気込みでやっておりますが、これを引き続き前へ進めていく。
グリーン化につきましてもやはり森林県、これも日本一の森林面積率を誇るのは高知県ですから、そうした高知の特色を生かした貢献をしていこうと、こういった中身で計上したというのが一例だと思いますけれども、そういうことを今回の予算編成を通じては、強調したい点として考えているところです。
(大山・高知新聞記者)
予算規模が最大になったということについては、要因を含めどんなふうにお考えでしょう。
(知事)
規模はある意味結果という部分が正直あると思います。新型コロナウイルス関係の対応を迫られたということもありますし、先ほど申し上げたようにかなり県の財政構造自身は、国の地方交付税であったり国庫支出金であったり、国の財政政策に大きく左右される度合いが大きいということがありますから、規模は結果だと思いますけれども、その規模に至った個々の事業について見ていただけると、先ほど申し上げたような攻めの施策を積み重ねてきた結果と、それが国の財政政策あるいは国の制度も活用できるものは存分に活用するということを掛け合わせた結果として、規模が大きくなったということは言えるかと思います。
(大山・高知新聞記者)
来年度の予算に対するコロナの影響をどんなふうに考えているかお伺いしたいんですが、もちろん税収が落ちているであったり、関西戦略が思いどおりいかない、なかなか思いどおり進められない事業というのもあると思います。一方で、先ほどもおっしゃってましたが、高知の強みを出せる面も出てくるように思います。その来年度の予算、事業に対するコロナの影響をどんなふうにお考えでしょうか。
(知事)
これは一つは、今後コロナの第3波を何とか収束させようと、全国的には一生懸命努力を継続している段階だと思います。これが第4波、第5波といわれるような状況があるかないかによって、結果的にどんな影響が出てくるかというのは変わってくる面はあるかと思いますけれども、ただ、いずれにしても感染拡大防止、そしてそれに伴うような経済影響に対しては機動的に対応する。そのための予算は確保したつもりです。
ただ、ワクチンの接種も始まりますから、いよいよこのコロナの収束に向けた社会構造、経済構造への変化、この対応を本腰を入れてやれる時期が来る。本腰を入れてやらなければいけないタイミングが令和3年度だという思いがあります。
その意味で、先ほど申し上げたデジタル化であったり、グリーン化、特に大都市から地方への人の流れを後押しをしていくための豊かな自然、高知の強みを生かした取り組みであったり、こういったところをしっかりと取り組んでいきたいと考えております。
(記者)
財政運営についてお伺いしたいんですが、国の交付税等によってという面は今年大きいと思います。財政調整基金の残高、県債残高も含めて、今後の財政運営についてどんなふうにお考えでしょうか。
(知事)
この点は昨年の予算編成で申し上げましたけども、令和2年度から国の地方財政対策の中で地域社会再生対策事業という新たな枠が設けられて、地方交付税の措置として、本県の場合50億円程度の新たな措置が行われたというのは、県財政の構造改善において、大きな意味のある手当てだったと思います。今年度も引き続き、原資になりますと法人の事業税の規模はかなり圧縮されておりますが、地域社会の再生のための財政措置というのは同じ規模が確保されたという意味で、国の地方財政対策もきっちり地方に目配りして行われたと思っておりますが、こういったことは、今年度も引き続き財政持続可能性が展望できるような堅実な予算編成ができることになった大きな要因だと思っておりますし、特に地方創生という観点を視野に入れた地方への財源手当に対しては、今後も引き続き国にしっかり提言していきたいと思っておるところです。
(大山・高知新聞記者)
先ほどおっしゃったようにその国の措置というのは大きいと思いますが、コロナで国全体の税収というのはもちろん下がるわけですし、国債というのも限度があると思います。今後、国の方針転換などに対する懸念はお持ちですか。
(知事)
もちろん国もいつまでもこうした赤字国債頼みの財政政策を無制限に打っていくことができるわけではないというのは、国民の皆さんどなたも感じているところだと思いますし、我々地方財政を預かる立場にとっても、そういう認識は当然持っています。ただ、まずはコロナの収束を図っていかないと、経済社会活動の回復に取りかかろうとしても、その基盤が整っていないというのがこの年末年始、あらためて痛感した状況であったとも言えると思います。
その意味で、今は感染拡大防止、収束に向け最大限力を注ぎ、そこからの経済の回復、社会活動の回復に、国の財政を歯を食いしばって支援をしていただく局面ということだと思います。そこから経済が離陸して、回復気流に乗っていく局面では、国の方も財政の健全化を視野に入れた新しい対応も考えられると思いますし、それはそれとして、地方の側もしっかり受け止めて、地方において必要な行政サービスを確保していくことは大前提になりますけれども、財政健全化の努力に協力すべきは協力していかないといけないということではないかと思っております。
(林・高知放送記者)
健康長寿県づくりについてお伺いします。主な強化ポイントの一つに、在宅療養体制のさらなる充実というのがあります。組織体制を見ても、在宅療養推進課というのが新設されると。これは反映されると思うんですけれども、あらためてこの在宅療養体制のさらなる充実というのを掲げた意義をおっしゃっていただけますでしょうか。
(知事)
もともとこれは昨年度に、第4期の構想を策定する時点からも問題意識として申し上げて、関係部局にも新たに有識者の懇談会も立ち上げて、新しい取り組みをということで発破をかけてきたテーマです。高知の場合は歴史的に、医療機関がほかの県であれば介護施設が担っている役割も実質的に担ってきたという側面があって、人口1人当たりの医療費は全国的にみてかなり高いというようなことが指摘されてきました。
数字的にはそんな事情がありますが、県民の皆さんの目線から考えても、いろんなアンケート調査、意識調査を見ても、でき得るならば、ご高齢になって体が不自由になっても、自宅で療養ができるならばしたいという方が多数であると。ただ、現実に家族のご負担ということを考えた場合に、現実の選択肢としては、施設のサービスというのを選ばざるを得ないというような現実があるというのが、大きな構図ではないかと思います。
そうした中でいわゆるマージナルな(限界の)努力ということになるかもしれませんが、あともうひと息、在宅の療養生活を送っていただく上での支援が、行政サイドあるいは共助の部分ででもあれば、在宅療養にチャレンジしてみようという方々の背中を押せるような、そんな新しい支援策を考えたいというのが今回の構想の中での大きな出発点でした。
今回の予算の中では、そうしたものを実現していくために在宅療養を支援するような診療所、医療機関の体制充実を質・量ともに図っていかないといけない。そのための予算計上ですとか、いわゆる見守りにICTを利用していこうということ、そしてこれは市町村との調整が要りますので、まだ予算という形で数字は上がっておりませんが、中山間地域で例えば廃校跡を利用してグループホームのような施設をつくって、そのすぐ近くに小規模多機能型の介護の拠点を置いて、広い意味で在宅というサービスの範囲内ですけれども、より県民の方の希望に添った形で、こういった療養生活が送れるというような体制整備をしたいと。そういった形で、この懇談会のご意見、ご提言も踏まえた新しい施策を、今回の予算の中では盛り込めたと考えております。
(松原・毎日新聞記者)
2月補正の方になるんですけれども、新型コロナの雇用維持臨時支援給付金についてお尋ねします。先ほど事業者の方々からの要望があったというご説明もあったかと思いますが、あらためて今回のこの給付金をさらに上乗せする形で今回盛り込んだ意義を教えてください。
(知事)
今回は年末12月からの県内での感染の急拡大を受けて、国全体も大きな流れとして、特に飲食店における感染拡大防止対策を集中的にやっていくという流れが大きくありました。そうした中で営業時間の短縮を要請した飲食店の皆さまには、この去年の段階の1事業者当たりではなくて、1店舗当たりと充実させていただきましたけれども、いわば定額の支援でやってきまして最大で108万円、そういう支援が行われた。これはお一人、お二人のスタッフでやっておられるような飲食店では、かなり手厚い支援だという評価もいただいたと思います。
ただ逆に、ある意味かなり手厚い面があったがゆえに、飲食店の取引先の方々とか、飲食店でも特に規模が大きな事業者の方々には、これでは焼け石に水、あるいは飲食店以外には支援がないのかというお声を、年末から年始沢山いただいたというのが背景としてあります。
取引先の事業者の方々には、かなり小規模な事業者の方も多いということもありましたので、これは先行して1月に補正予算で専決の形でこうした方々に対処した給付金を、昨年12月の売上減に対応したものを個人20万、法人40万という形で措置し、これも同じような意味で比較的小規模な方、事業者あるいは個人事業者の方々には、12月分ということではありますが、それなりにひと息はつける規模であったとは評価をいただいてるとは思います。
一方で一番課題として積み残しになっているのが、例えば年商が億単位とか、ただいま見ていただいたように何百人という人を雇っているいわゆる中堅企業といわれるような事業者の方々にとっては、支援そのものはありがたいけれども、100万円とか40万円とかだけでは、何とも事業規模に比べると支援の規模としては心細い、量的に不足しているというお声もたくさんいただき、県議会の特別委員会でもそういうご意見も頂戴したということがあります。
国の施策をもう少し見極める時間もいただいて、今回の2月補正で、時期としては去年の12月から年度末の3月までのうち2カ月で売り上げが落ちた分をカバーをするという趣旨で今回の制度を設計しようと。同じような趣旨の制度は、6月の補正予算の中でも社会保険料に着目して、これは給与については臨時雇用調整助成金があったりとか、家賃は家賃の給付金、それぞれ国の制度があるんだけども、社会保険料の支払いの部分の支援が空白地帯になっている。ここに着目して、こういった社会保険に加入する従業員が多い企業には、たくさんの支援が差し上げられるように、また売り上げの落ち込みが相対的に大きいところには、より手厚い支援が行き届くようにというような仕組みをビルトインをしたいと、今回の新しい給付金の制度、8億円あまりの予算を今回計上させていただいたという流れです。
(松原・毎日新聞記者)
予算と関係ない話で恐縮なんですが、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森会長が辞任された件で、まず女性蔑視の発言で辞任されたことへの受け止めと、あと高知県も東京五輪に向けての事前合宿を誘致されてらっしゃると思うんですけれども、あらためて今年の夏の東京オリンピックに対しての受け止めというか、今後どういう形で政府あるいは東京都にやっていっていただきたいかというところを教えていただければと思います。
(知事)
東京オリンピック・パラリンピックの組織委員会の森会長の件ということに関して申しますと、これはご本人も事後的にはおっしゃってますように、発言自身は不適切極まりない発言であったと思いますし、その点はご自身も紆余曲折はあったもののその不適切さを自ら認めて、辞任という形でけじめをつけられたということだと思います。後任の会長の選任については、透明性の確保を掲げられて、組織委員会の部内で今、選考の手続きが進んでいるという過程だと考えておりますので、今回の経緯も踏まえて国民の皆さんが歓迎できるような形で、新しい役員の方の選任が透明性を持って進められることを期待しております。
オリンピックに関しては、感染状況がなかなか厳しい中で、悲観的な見方も増えているというのが正直なところだと思いますけれども、私自身としては、やはりコロナに人類が打ち勝った証しとして東京オリンピックをぜひとも開催したいという思いは、まだ決して捨てるべきではないと思っており、その点は最終的な判断のタイミングというのも、恐らく3月末になるのか4月の初めになるのかといった頃ではないかと思いますが、とにかくぎりぎりまでこのオリンピックをできるだけ初期の狙いに近いような形で、いわゆる完全な形に近いような形で開催ができることを期待したいと思いますし、そのためのご努力を関係者にお願いしたい。
高知県としても開催されるということを前提に、事前合宿の受け入れですとかホストタウンとしての取り組み、これを我々としても嬉しいような形でできるような日が近く訪れることを期待しているというところです。
(中田・高知民報記者)
森会長が辞めるになった経過について、知事は辞めたことについてどう感じているのか。当然だとか残念だとかいろいろあると思いますけども、知事の受け止めをお願いします。
(知事)
オリンピックの誘致から始まってこれまで開催準備を進めてこられた、ご尽力をされてきた方が、このタイミングでこういう形で辞任をされるということ自身は残念だという思いはあります。ただ、発言の中身は、何でこのタイミングでこんなことをおっしゃるのかなというような中身であった。不適切極まりない中身であったということは確かだと思いますから、そうした中で紆余曲折はありましたけども、ご自身が責任のとり方として辞任されるという判断に至ったということは、いわば潔い決断をされたということだと思いますから、後任の方の選定作業が、透明性を持つ形で進められることを期待しているというところです。
(中田・高知民報記者)
関西の戦略ですけども、やはりかなりIRへの依拠というのが今回も打ち出されていますが、大阪ではMGMがもう撤退しないだろうかということで、ものすごく先延ばしになって、かなり10年ぐらいスパンで先にどうなるかよくわからないというような状況になってると思います。ちょっとかみ合わない気がしますが、いかがでしょうか。
(知事)
IRについてはおっしゃいましたように全面開業の時期は、なかなかコロナの影響もあって、アメリカの大手MGMの方も二の足を踏んでいる状況もあるということもあり、時期の見通しが立ちにくくなっていることは事実だと思います。
ただ、事業そのものとしては、カジノはあるにはあるんですけれども、それも含む総合的なリゾートですから、大規模なホテルであったり展示場であったり、国際会議場もある。また、日本全体の観光のハブになっていこうと、そのための施設をつくっていこうというコンセプトですから、そうしたものが大阪に整備されるとなれば、それを一つのチャンスとして、観光客を高知に呼び込んでくるとか、その施設整備に県内の産業が食い込んでいくとか、こういうことを経済の活性化という観点から生かしていくということ自身は、私はこれは非常に経済的にも地理的にも合理的な取り組みではないかと思っており、その意味で、IRというプロジェクトそのものが持つ意味は引き続き認められると思いますけれども、時期についてはコロナの影響もあって少し不透明感が増してるのは事実だと思いますから、そういったものを見極めて、とにかくタイミングを失しないように、準備をしていくことが肝要ではないかと思っています。
(八田・高知新聞記者)
グリーン化について伺いたいんですけれども、知事が最初におっしゃった、高知の強みを生かしていくという攻めの施策としてグリーン化というのを今回掲げられていて、ただ、その中身を見ますと、特に林業分野なんかは今まで高知県が取り組んできた施策の延長みたいなものも結構多いと思うんですが、その中で今回こういう形でグリーン化ということで束ねて掲げることによって期待できる効果、濵田知事の看板施策として、この施策がどう進んでいくのかというイメージを聞かせていただきたいんですけれども。
(知事)
森林県というのは、これは昔からの高知の特性ですし、四国の中でも昔営林局はほかの県ではなく高知にあったということに象徴されるように森林、林業というのは高知の大きな一つの柱になる産業であったと、そこを生かしていきたいというのがもともとのベースです。
今回の予算の中では、そうした中で一つの新基軸、新しい試みとして、里山なんかの耕作放棄地に早成樹を植えていくと。スギ・ヒノキのように50年60年じゃなくて、20〜30年ぐらいでも伐採ができるよう成長の早い樹木を植えていくことで、そこをでき得れば例えばバイオマス発電などの燃料にも使っていくというようなところで、再生エネルギーの拡大にもつなげていけるというシナリオがうまく書ければ、全体のグリーン化にも貢献できるのではないかというような思いで、取り組みを始めたということです。いずれにしても、わが国全体が2050年のカーボンニュートラル実現と、今回大きな転換を図ろうとしているということは確かだと思います。
今までこういったグリーン化といいますか、温暖化対策というのは経済成長という面では足かせになるという認識が一般的であったのを、むしろ脱ガソリン車というような旗を掲げることで、逆にそれに向かったイノベーション、新しい技術開発をして、このグリーン化が新しい経済成長の飯の種になっていくんだと。経済成長のためにもグリーン化をしなきゃいけないんだと。すごいコンセプトの転換を今回図ろうとしているのが国全体の流れだと思いますので、その流れの中で今回高知県も、特に森林県・林業県というアドバンテージを生かしてこの流れをつかみたい、乗りたいというところが、今回このグリーン化という旗を立てて、高知らしい貢献の仕方をもっと考えようということでプロジェクトチームをつくって、アクションプランをつくっていくことにした大きな動機ということです。
(姫野・テレビ高知記者)
デジタル化についてお伺いします。一般会計で見たときも14億円から令和3年度28億円となっていることもありますし、先ほどの攻めのお話の中でもデジタル化が一例に挙げられていたと思います。加えて、先だってIT最優秀賞も高知県として受賞されたこともあったと思うんですけれども、今あらためてデジタル化が全国的に進む中で、高知のデジタル化の立ち位置がどのくらいのところにいるのかというのが一つ。加えまして、この令和3年度というのが、高知のデジタル化の推進にとってどんな年になるとお考えでしょうか。
(知事)
デジタル化もいろんな局面があります。産業の局面、そして生活の局面、行政の局面、いろんな局面あると思いますが、産業の局面に関して申しますと、間違いなく第一次産業に関しては、高知の基幹産業でもあるということがベースにあると思いますが、デジタル化の面でも、全国的に見てもかなり先行している局面も結構多いと思います。一つは先ほど申し上げたハウス園芸の環境制御技術のデジタル化であったり、今まで進めてきておりますマリンイノベーションの取り組み、こういったところですので、こういったものはぜひ全国をリードしていくという気概でさらに磨きをかけて、前へ進めていきたいと思います。
一方で、商工業関係の中小企業の皆さんの取り組みに関していうと、全体としては、全国に先駆けてというものがそんなに多いということでは必ずしもないかもしれませんけれども、本県の場合はニッチ分野で全世界的なシェアが過半を占めるとか、そういった産業分野もあるということですから、そういったものがある意味突破口になる形で、中小企業のデジタル化がさらに進んでいければというような思いは持っているところです。
そういう意味で、令和3年度は、デジタル化元年、元年というほどの話ではないかもしれませんが、一つの大きな転換点だったねとあとから振り返って言えるような、局面が転換をするような年にしたいという思いでおります。
(井上・高知新聞記者)
先ほど関西戦略のお話があったと思うんですけれども、知事は公約の一つとして掲げてきて、これまで取り組んでこられました。ただ、このコロナ禍の影響を受けて、この戦略案のまとめにあたっても思いどおりいかなかったことがたくさんあろうかと思いますけれども、今回特に苦心された部分についてお伺いしたいと思います。
(知事)
手続き的に苦心したのは、最終的にカバーしてできつつありますけれども、やはりこの戦略をつくっていくためのエンジンとなるアドバイザー会議、2度にわたって関西も緊急事態宣言の対象になるということがありましたので、会議の開催なども思うようにいかなかったということがありました。これは個別にアドバイザーの方々を訪問したりやりとりをしたりで、最大限カバーして何とかスケジュールどおり、今年度中の戦略策定が見えるところまで参りました。あとはパブリックコメントを経て、年度内には最終決定したいと思いますが、その点でコロナがなければ、もっと頻繁にあるいは闊達に意見交換ができて、よりスピーディに練り上げられたかなという思いはありますけれども、その点はちょっと苦労を強いられた部分かなという思いはあります。
内容的にはやはりコロナの感染拡大ということがあり、観光面でのインバウンド観光、これが一つの大きな柱、目玉だなと思っておりましたが、関空を通じて関西に入ってこられる外国人の方を何%かでも、もっと高知へ来ていただくという姿を、できるだけ早いタイミングでという意気込みで始めたところでありますけれども、今のところまだコロナの収束の見込みが立たず、海外との往来が元に戻るのがいつになるかという確たる見通しが得られないという状況ですから、私は中長期で見た場合必ず来ると思っておりますけれども、スケジュール感を持って何カ月後、何年後といった形で逆算して積み上げていくというところまで、まだ熟していないというところが苦心をしているところだとご理解いただければと思います。
(林・高知放送記者)
組織改正について1点お伺いします。数ある機構改革の中でも、地域福祉部がこども福祉政策部に変わる。これが一番大きなものと感じてますが、ほかの部署で管轄していた業務も移管するということで、地域福祉部からこども福祉政策部に組織改正する意味をあらためておっしゃってください。
(知事)
これは行政サービスを受ける側の立場に立ってあらためて考えたときに、県の行政サービスをお受けになるお子さんの立場に立った部署が、できるだけ一つのまとまりの中でより強く連携をして行っていくことが望ましい、という考え方に立ったものです。
具体的に今まで母子保健の部分は、健康政策部の保険証とか、市町村を通じてやっている仕事の大きな柱であったということで部が分かれておったわけですけれども、この部分、ほかの仕事は逆にバーターした部分もありますけれども、この子どもの母子保健の部分を一つの部にまとめて、子どもという横断的な取り組みの体制を立てていこうというところが今回一番大きなポイントだと思っています。