令和3年6月24日 令和3年6月県議会での知事提案説明

公開日 2021年08月13日

令和3年6月24日 令和3年6月県議会での知事提案説明

1  県政運営の基本姿勢

2  国の動向など

3  新型コロナウイルス感染症への対応

4  6月補正予算

5  経済の活性化
  (1)新型コロナウイルス感染症による経済影響対策
  (2)産業振興計画の推進
  (3)関西圏との経済連携の強化
    (4)デジタル化、グリーン化、グローバル化の取り組み
       (5)観光振興の取り組み

6 日本一の健康長寿県づくり

7 教育の充実
  (1)学校における新型コロナウイルス感染症対策
  (2)デジタル社会に向けた教育の推進
  (3)不登校への重層的な支援体制の強化

8 南海トラフ地震対策など
 
 (1)第4期行動計画の総括と第5期行動計画の策定
  (2)消防防災ヘリコプターの更新

9 インフラの充実と有効活用

10 少子化対策の充実・強化

11 議案


 

本日、議員の皆さまのご出席をいただき、令和3年6月県議会定例会が開かれますことを厚くお礼申し上げます。

ただ今提案いたしました議案の説明に先立ち、当面する県政の主要な課題についてご説明を申し上げ、議員の皆さま並びに県民の皆さまのご理解とご協力をお願いしたいと考えております。

1 県政運営の基本姿勢
本県では先月中旬以降、新型コロナウイルスの感染の急拡大を受け、県独自の警戒ステージを上から2番目となる「特別警戒」に引き上げるとともに、飲食店に対する営業時間短縮の要請などを行ってまいりました。多くの事業者の皆さま、県民の皆さまのご協力により、現在、新たな感染者は先月末のピーク時と比べて減少しております。
しかしながら、昨日までの直近7日間平均で見れば新規感染者数は2桁を超える水準に達しており、特に、カラオケを伴う飲食店でのクラスターが複数発生するなど、高知市周辺部における患者数は増加傾向にあります。加えて、医療機関への負荷も大きい状態が続いていることから、依然として予断を許さない状況です。
県民の皆さまの健康、生活を守るため、まずは、感染防止対策やワクチン接種などに最優先で取り組むとともに、県経済への影響を最小限に食い止めるべく、必要な対策を迅速に講じてまいります。
また、5つの基本政策と3つの横断的な政策については、ウィズコロナ、アフターコロナ時代を見据え、「デジタル化」、「グリーン化」、「グローバル化」の3つをキーワードに施策を強化しているところです。コロナ禍という厳しい状況にあっても具体的な成果に結び付けることができるよう、全力で取り組んでまいります。

県政運営の基本姿勢であります「共感と前進」の実現に向け、私自身が取り組みの現場にお伺いし、県民の皆さまと対話を行う「再び、濵田が参りました」が先月の芸西村への訪問を皮切りにスタートいたしました。コロナ禍においても創意工夫を凝らしながら懸命に頑張っておられる皆さまの姿に直接触れ、私自身、なお一層の努力と県勢浮揚への決意を強くしたところです。 今後も、地域の実情をより深く把握し、これまで以上に皆さまの声を県政に反映してまいります。

2 国の動向など
今月18日、我が国の経済財政運営の指針となる、いわゆる「骨太の方針」が閣議決定されました。
「骨太の方針」においては、新型コロナウイルス感染症により落ち込んだ経済について、グリーン、デジタル、地方創生、子ども・子育てという4つの原動力への投資を重点的に促進していくことにより、ポストコロナの持続的な成長につなげることとしております。加えて、人材育成や働き方改革、セーフティネットの強化など成長を支える基盤づくりを進め、誰一人として取り残されない包摂的な社会を構築していくことが示されています。
こうした方針は、ウィズコロナ、アフターコロナにおける経済や社会の構造変化に速やかに対応し、県勢浮揚を目指す本県の取り組みとも合致しているものと考えており、このような国の動きも追い風にしながら、各政策の目標達成に向けて取り組みをさらに加速させます。また、国の施策が本県の取り組みの大きな後押しとなるよう、引き続き、全国知事会などとも連携し、時機を捉えた政策提言を実施してまいります。

3 新型コロナウイルス感染症への対応
次に、新型コロナウイルス感染症への対応についてご説明申し上げます。

(ワクチン接種の推進)
感染収束に向けた目下の最重要課題でありますワクチン接種については、県民の皆さまに少しでも早く安心していただけるよう、全力で取り組みを進めております。現在、関係者の皆さまのご尽力により、医療従事者への接種は概ね完了することができました。また、65歳以上の高齢者についても20日時点で56.9パーセントの方が1回目の接種を終えており、全市町村において、医師会や医療機関との連携の下、来月末の完了を目指して取り組んでいただいているところです。
県においても、市町村が取り組みを進める上で特に課題となっている医療従事者の確保に向けて、県立病院から派遣を行うほか、高知医療センターや高知大学医学部附属病院などに対して協力を依頼しております。
また、来月中旬には、市町村負担を軽減しつつ、県全体の接種をさらに加速させるため、高知市内の職場で勤務されている方を中心に、県直営による職域接種を始めます。具体的には、国が優先接種の対象としている高齢者などに次いで接種を急ぐ必要があると考えられる教職員や警察官から接種を開始し、順次対象を拡大してまいります。
加えて、職域接種の実施要件として国から示されている1,000人以上の対象者の確保が困難な中小企業においても合同接種が進むよう、特に職務の性格上感染リスクが高いと考えられる飲食や宿泊、運輸業などの方々を優先して、必要な支援を行ってまいります。
なお、昨日、国から職域接種及び自治体の大規模接種に関する申請の新規受付の一時停止について発表がありました。本県及び県内企業、大学などが既に申請しております約37,000人分の職域接種については受理されているものの、今後、ワクチン配給にあたって調整される可能性が出てまいりました。国に対して必要なワクチンの配給を要望するとともに、高知市をはじめとする関係市町村などと十分協議の上、引き続き職域接種支援の観点から機動的に対応してまいります。

(検査体制と医療提供体制の強化)
次に、検査体制については、現在、県内全体の3分の1にあたる224の医療機関にご協力をいただき、県民の皆さまが身近な場所で検査を受けられる環境の整備に努めております。
一方、感染拡大やクラスターの発生を防ぐためには、先手を打った対応も重要です。そのため、今月3日から6日までの間、高知市内の飲食店の従業員の方々などを対象とした大規模なPCR検査を行いました。また、感染経路不明の新規感染者が一定数以上となった地域において、重症化リスクの高い高齢者や障害者が入所する施設の従事者などを対象に集中的検査に取り組むこととしております。現在、高知市及び安芸福祉保健所管内において検査を行っているほか、中央東福祉保健所管内においても検査の実施に向けて準備を進めているところです。
医療提供体制については、昨年12月における療養患者数の2倍程度を想定して病床確保計画の見直しを行い、入院患者の受け入れ用に最大226床を確保しております。加えて、軽症者などが療養する宿泊施設についても新たな施設を加え、最大221室を確保いたしました。

(高知家あんしん会食推進の店認証制度の創設)
引き続き感染リスクがある中、利用者が安心して飲食できるよう、感染防止対策に取り組む飲食店を県が認証する「高知家あんしん会食推進の店認証制度」を創設し、8月から運用を開始いたします。
あわせて、認証を受けた飲食店に対して応援金を支給することにより、飲食店における感染防止対策の徹底を後押ししてまいります。
(生活に困窮している方への支援など)
休業などにより収入が減少し、生活に困窮している方への支援については、国において、生活福祉資金の特例貸付の受付期限が8月末まで延長されたほか、総合支援資金の再貸付を終了した世帯など、特例貸付を利用できない困窮世帯に対して支援金を支給する制度が創設されました。こうした経済的な支援に加え、自立相談支援機関における就労支援などにより、生活の再建を後押ししてまいります。
また、市町村役場や学校などにおける女性用品の提供を通じて、孤独や孤立といった不安を抱える女性を適切な支援機関につなげてまいります。

4 6月補正予算
今議会では、感染防止の取り組みを徹底しながら、感染拡大の影響を受けた事業者に対する支援を強化するため、総額100億円余りの歳入歳出予算の補正並びに総額4億円余りの債務負担行為の追加及び補正を含む一般会計補正予算案を提出しております。 
このうち、「感染予防、感染拡大防止」に関しては、今後の感染拡大に備えて、入院病床や宿泊療養施設を追加で確保するなど医療提供体制を強化するとともに、宿泊事業者が行う感染防止対策を支援してまいります。
次に、「経済影響対策」に関しては、生活福祉資金の特例貸付の拡充に加え、経済活動の回復に向けて、県産品の地産地消や県内観光を促進するとともに、新製品の開発や新サービスの提供といった新たな事業展開に挑戦する事業者を支援します。 
こうした取り組みに加え、引き続き、感染拡大防止や経済影響対策に機動的に対応するため、予備費を増額計上しております。

5 経済の活性化
続いて、5つの基本政策の取り組みなどについてご説明申し上げます。まず初めに、経済の活性化についてであります。

(1)新型コロナウイルス感染症による経済影響対策
本県経済は、ここ最近緩やかに持ち直す動きが続いておりましたが、先月中旬以降、全国的に「第4波」と言われる新型コロナウイルス感染症拡大の波が本県にも及び、飲食店への営業時間短縮の要請や移動の自粛などの影響により、多くの事業者が再び大変厳しい状況に置かれております。
このため、事業の継続と雇用の維持への対策をしっかりと講じるとともに、経済活動の回復に向けた対策を強化します。
具体的には、先月26日からの営業時間短縮要請に応じていただいた飲食店に対する協力金に加え、要請により影響を受けた飲食店の取引先などを対象とした給付金を支給いたします。今回の給付金では、飲食店への協力金と同様に、事業者の売上規模に応じた支援を行うこととし、1事業者当たり、1カ月の売上減少額以内で上限25万円から75万円を給付することとしております。あわせて、従業員を多数抱える事業者を支援してきた雇用維持臨時支援給付金についても、1カ月単位の申請を可能にした上で、5月と6月を給付の対象期間といたしました。
また、農業者の次期作に向けた取り組みを支援するとともに、昨年度に引き続き「高知家応援プロジェクト」を展開し、地産地消による県産品の消費拡大や県内観光の促進、貸切バスの利用拡大などを図ってまいります。
加えて、事業者の新たな取り組みを力強く後押しするため、新製品の開発や新サービスの提供、新市場への進出などに必要な設備投資を補助金と制度融資の両面から支援してまいります。
今後とも、県民の皆さまの健康と生活を守ることを第一に、県経済へのダメージを最小限に食い止めることができるよう、必要な対策を迅速に講じてまいります。

(2)産業振興計画の推進
昨年度スタートした第4期産業振興計画においては、新型コロナウイルスの感染拡大により、観光をはじめとする各分野の取り組みが大きな影響を受けました。一方、そうした中にあっても様々な工夫を重ねてきた結果、例えば、地産外商公社の活動を契機とした成約金額が前年度比で1.5パーセント増の47億9百万円となるなど、一定の成果も見られます。
第4期計画の2年目となる本年度は、感染症により落ち込んだ県経済を早期に回復させ、再び成長軌道に乗せるべく、関西圏との経済連携の取り組みを本格的にスタートさせるほか、ウィズコロナ、アフターコロナ時代においてキーワードとなる「デジタル化」、「グリーン化」、「グローバル化」などの潮流を捉えた施策を積極的に展開してまいります。

(3)関西圏との経済連携の強化
まず、関西圏との経済連携の強化については、新型コロナウイルス感染症の影響により活動が一定制限されているものの、本年3月に策定した「関西・高知経済連携強化戦略」の下、「観光推進」をはじめとする各プロジェクトにおいて具体的な取り組みがスタートしております。
このうち、「観光推進」に関しては、大阪観光局と連携しながら、関西と高知を結ぶ新たな観光ルートの開発を進めておりますほか、教育旅行について関係者への提案活動を行うなど、コロナ収束後を見据えて取り組んでいるところです。
また、「食品等の外商拡大」に関しては、企業訪問を4月からの2カ月間で延べ129回実施したほか、量販店での販売促進活動などを積極的に展開しております。
今後も、戦略に掲げる数値目標の達成を目指して、進捗管理を徹底しながら、県経済の活性化に向けた取り組みを着実に進めてまいります。

(4)デジタル化、グリーン化、グローバル化の取り組み
次に、「デジタル化」、「グリーン化」、「グローバル化」という3つのキーワードに関連する施策については、コロナ禍を契機とした社会の構造変化や人々の価値観の変化、さらには国の施策展開などを踏まえた取り組みをスピード感を持って進めてまいります。

ア デジタル化の取り組み
1つ目のキーワードである「デジタル化」に関しては、先月、国会でデジタル改革関連法が成立したことを受けて、9月にはデジタル庁が発足し、官民を挙げた取り組みが本格的に進んでいくこととなります。県としましても、この流れに先んじて行ってきた各産業分野におけるデジタル技術の導入をさらに加速させてまいります。
このうち、農業分野では、Next次世代型こうち新施設園芸システムの開発をさらに進めるため、本年度からデータ駆動型農業の取り組みをスタートさせました。
具体的には、先月立ち上げた「高知県データ駆動型農業推進協議会」を中心に、ハウス内の環境データや作物の生育データを活用し、栽培技術や経営の最適化に向けた実証を行います。さらには、実証で得たノウハウを生かして、経験と勘に頼った農業からデータ駆動型農業への転換を進め、農家の生産性や収益性の向上に結び付けてまいります。
また、商工業分野では、本年4月から産業振興センター内に中小企業のデジタル化の取り組みを支援する専門部署を設置し、伴走支援を開始しました。先月末時点で約30社を訪問し、課題をヒアリングするとともに、顧客情報のデジタル化や在庫管理などに関する相談対応を行っているところです。
引き続き、県内企業のデジタル化が進むよう、人材の育成などと合わせ、しっかりと取り組んでまいります。

(行政分野のデジタル化)
各産業分野の取り組みに加え、行政分野においてもより一層積極的にデジタル化の取り組みを進めてまいります。
特に本年度は、県民の皆さまの利便性向上という観点から、県における行政手続のオンライン化をさらに進める一方、8月には、電子申請システムの市町村との共同利用を開始するなど、県全体における行政手続のオンライン化にも重点的に取り組んでおります。あわせて、職員の端末操作を自動化するRPAや手書きの文字をデジタルデータに変換するAI-OCRなど、デジタル技術を活用した行政事務の効率化を一層推進してまいります。

イ グリーン化の取り組み
2つ目のキーワードである「グリーン化」に関しては、国の施策とも連動した2050年のカーボンニュートラル実現を目指した取り組みや、コロナ禍を契機に自然豊かな地方での生活を志向する新たな人の流れを本県に呼び込む移住促進策などを積極的に展開しております。

(脱炭素社会を目指した取り組み)
このうち、本県の2050年カーボンニュートラルの実現を目指した取り組みでは、庁内のプロジェクトチームを本年4月に立ち上げ、アクションプランの策定を進めているところです。
現在、市町村や関係団体、大学などへのヒアリングを通じて、ご意見やご要望をお聞きしながら県の取り組みの方向性について取りまとめを行っております。今後、夏頃には有識者などで構成する外部委員会に骨子案をお示しし、ご意見をいただいた上で、年度内にアクションプランを策定します。
このプランに基づき、市町村などとも連携しながら、森林率日本一といった本県の強みを生かした取り組みを進めることにより、経済と環境の好循環を生み出してまいります。

(移住促進)
本年4月に発表した令和2年国勢調査の速報値では、県内34市町村全てで5年前に比べ人口が減少し、県全体の減少率が過去最大の5パーセントであることが明らかとなりました。特に中山間地域は、大幅な人口減少により担い手不足や集落活動の衰退が深刻化するなど大変厳しい状況にあります。
県では、本年度、中山間地域における担い手の確保をより力強く推進するため、移住関連施策を中山間振興・交通部に移管したところであり、コロナ禍を契機とした地方への新しい人の流れを本県に、特に中山間地域に着実に呼び込むことができるよう施策を強化し、全力で取り組みを進めております。
具体的には、対面とオンラインを使い分けた相談会の開催や情報発信の強化に取り組んでおり、先日開催した相談会では、本県が主催するオンラインイベントとして1日当たりで過去最高となる55人の方にご参加いただきました。また、高知市中心部に先月開設したシェアオフィス拠点施設については、既に県外事業者の入居が決定するなど成果が表れ始めております。
こうした取り組みをより一層充実させ、本年度の目標である年間移住者1,150組の達成、さらには中山間地域における担い手の確保につなげてまいります。

ウ グローバル化の取り組み
3つ目のキーワードである「グローバル化」に関しては、県経済の中長期的な発展を目指し、海外に目を向けた施策を着実に進めることに加え、国内に先行して景気回復が進む海外市場の動向に速やかに対応してまいります。

(県産品の輸出拡大)
現在、コロナ禍からの経済回復が進む中国やアメリカに向けた食品輸出の動きが戻ってきています。また、国においては、2030年に農林水産物や食品の輸出額を5兆円にするとの目標を掲げ、輸出振興策の強化に取り組んでいます。
こうした動きと連動して本県の輸出をさらに拡大するため、本年度体制を充実した食品海外ビジネスサポーターを活用し、現地でのプロモーションを強化しているところです。さらに、海外の需要をしっかりと取り込めるよう、輸出に対応した生産管理の高度化や品質向上のための設備導入への支援についても拡充します。

(県産木材の需要拡大)
また、本年度に入り、海外での住宅需要の拡大などを背景とした世界的な木材不足により、我が国への外国産木材の輸入量が減少したことから、国産材への関心が高まっております。
こうした状況を好機と捉え、原木供給体制のさらなる強化を図るため、林業事業体と製材事業者の協定締結による安定的な取引の促進や、生産性の向上につながる高性能林業機械の導入支援に取り組むこととしております。加えて、スギ材の需要が拡大しているアメリカや、ヒノキ材の輸入量が増加傾向にある台湾をターゲットに、商談会などの販路開拓の取り組みをより一層拡充し、県産木材のさらなる需要拡大につなげてまいります。

(5)観光振興の取り組み
次に、観光振興の取り組みについてご説明申し上げます。
新型コロナウイルス感染症の影響により、昨年の県外観光客入込数は266万人と一昨年の438万人から大幅に落ち込む結果となりました。
こうした中、昨年度から、旅行者への交通費用助成を行うとともに、本年4月から、県内在住者による県内旅行を促進する「高知観光トク割キャンペーン」を展開することで、観光需要の早期回復を目指してまいりました。しかしながら、本県を含む全国的な感染の再拡大を受け、これらの事業も一時休止を余儀なくされるなど、依然として厳しい状況が続いております。
このため、まずは感染拡大を防止し、旅行者の方々に安心して本県観光を楽しんでいただけるよう、宿泊事業者の感染防止対策など受入環境の整備に係る支援を一段と強化します。
加えて、今後の県内の感染状況を踏まえながら、引き続き県内観光を促進することができるよう、「高知観光トク割キャンペーン」の期間を年末まで延長するとともに、他県の感染状況や国の動向を注視しつつ、県外からの誘客を推進してまいりたいと考えております。
また、来月には本県を舞台としたアニメーション映画「竜とそばかすの姫」の公開が予定されております。これをチャンスと捉え、多くの方々に本県の魅力を伝えることで今後の誘客につなげていけるよう、公開に合わせて積極的なプロモーションを展開してまいります。

6 日本一の健康長寿県づくり
次に、日本一の健康長寿県づくりの取り組みについてご説明申し上げます。

(日本一の健康長寿県構想の推進)
第4期日本一の健康長寿県構想につきましては、これまでの取り組みから見えてきた成果や課題について検証を行った上で、本年3月に同構想をバージョン2へ改定し、3つの柱に基づく取り組みを進めているところです。
1つ目の柱の「健康寿命の延伸に向けた意識醸成と行動変容の促進」では、県民全体の健康増進を目指したポピュレーションアプローチと、重症化のリスク要因を持つハイリスク層に対するアプローチに取り組んでいます。
このうち、ポピュレーションアプローチについては、「高知家健康チャレンジ」として、生活習慣病予防に向けて県民の行動変容を促すプロモーションを昨年度から展開しており、アンケート調査において、テレビCMなどの広告を見た方の約7割が生活習慣や行動を改善した、あるいは、改善したいと回答するなど、一定の成果が表れております。
本年度は、こうしたプロモーションと、量販店などの民間企業や市町村が行う取り組みとの連携を強化することにより、県民一人ひとりの行動変容をさらに促進してまいります。
また、ハイリスク層に対するアプローチについては、46人の糖尿病性腎症患者の方々に参加をいただき、重症化予防プログラムの取り組みを進めております。具体的には、昨年10月の保健指導開始以降に蓄積した検査データなどを踏まえ、この間における取り組みの評価を順次実施するとともに、新たな対象者の追加について検討を行っているところです。引き続き、PDCAをしっかりと回しながら、透析導入時期の延伸といった具体的な成果につなげてまいります。
2つ目の柱の「地域で支え合う医療・介護・福祉サービス提供体制の確立とネットワークの強化」については、高知版地域包括ケアシステムの構築に向けて在宅療養体制の充実に取り組んでおり、有識者や関係団体で構成する懇談会での議論を踏まえて施策を強化したところです。
現在、在宅医療に取り組む医療機関の初期投資への支援や、介護事業所を併設した住まいの確保といった新たな取り組みを進めております。市町村や関係機関ともしっかりと連携しながら、在宅での療養を希望される方が地域で安心して暮らし続けられる環境を整えてまいります。
3つ目の柱の「子どもたちを守り育てる環境づくり」については、本年度、「地域福祉部」を「子ども・福祉政策部」に改編し、子ども関連施策の推進体制を強化いたしました。この新たな組織の下、妊娠期から子育て期まで切れ目なく、総合的な支援を行う高知版ネウボラの取り組みをさらに強化してまいります。
具体的には、子育て家庭の孤立化や児童虐待の防止に向け、各市町村における母子保健、児童福祉、子育て支援といった部門間の連携体制の強化を図ることとしており、現在、各市町村を訪問し、具体的な課題の抽出を行っているところです。来月からは、抽出した課題に対応した専門家を市町村に派遣して助言や指導を行うなど、個々の家庭の状況に応じた支援体制づくりを進めます。
あわせて、身近な地域において産前産後のサポートや子どもの一時預かりなど多様な子育て支援サービスが提供されるよう、地域子育て支援センターの機能強化に取り組む市町村を支援してまいります。

7 教育の充実
次に、教育の充実に関する取り組みについてご説明申し上げます。
(1)学校における新型コロナウイルス感染症対策
学校における新型コロナウイルス感染症への対応に関しては、高等学校の部活動において4月下旬から複数のクラスターが発生し、県高等学校体育大会の開催が危ぶまれました。このため、生徒や関係者の健康観察、会場における感染防止対策の徹底に加え、緊急的な対応として簡易検査キットによる検査を行い、無事に大会を開催することができました。
来月開催予定の県中学校総合体育大会では、この間に得た知見も生かして、より一層、感染防止対策や健康観察などを徹底してまいります。
また、この機を捉え、市町村教育委員会とも連携し、全ての生徒が新型コロナウイルス感染症の正しい知識のほか、感染者に対する差別や誹謗中傷の卑劣さ、思いやりの気持ちの大切さなどについて学ぶ機会を各学校で設けてまいりたいと考えております。

(2)デジタル社会に向けた教育の推進
デジタル社会に向けた教育の推進については、本年度からほぼ全ての公立小中学校で1人1台タブレットを活用した学習がスタートしました。
あわせて、授業や放課後学習などに活用できるデジタル教材を備えた学習支援プラットフォーム「高知家まなびばこ」の運用を本年4月から開始したところです。
こうした基盤を活用し、授業と家庭学習の両面から子どもたちの学びを支える新たな授業モデルの構築を進めるとともに、県内45の小中学校をモデル校として、ICTを効果的に活用した授業づくりの研究と実践に取り組んでおります。加えて、情報教育を推進するためのリーダー教員の養成なども進めており、デジタル機器を活用した教員の指導力向上に計画的に取り組んでまいります。
また、県立高等学校においても、本年度内に1人1台タブレットを整備し、デジタル技術を活用した教育を加速させたいと考えており、今議会に機器の購入に関する議案を提出しております。

(3)不登校への重層的な支援体制の強化
不登校対策に関しては、不登校の未然防止を図るとともに、児童生徒が学校や社会とのつながりを保てるよう、学校、市町村、専門機関などと連携した重層的な支援体制の強化に取り組んでおります。
特に本年4月からは、教室での集団生活になじめない生徒を支援するため、4つの中学校をモデル校に指定し、空き教室などにコーディネーターの教員が常駐して個々に合わせた学習支援を行う校内適応指導教室を設置したところです。現在、各指定校ではコーディネーターを中心に、不登校を本格化、長期化させないよう、生徒に寄り添った様々な支援を行っております。
また、登校することが困難な生徒の学習機会の確保に向けて、市町村の教育支援センターなどと連携し、タブレットを活用した効果的な自主学習についても研究を進めてまいります。

8 南海トラフ地震対策など
次に、南海トラフ地震対策などについてご説明申し上げます。

(1)第4期行動計画の総括と第5期行動計画の策定
第4期南海トラフ地震対策行動計画の最終年度となる本年度は、掲げてきた目標の達成に向けて、ハードとソフトの両面から「命を守る」、「命をつなぐ」、「生活を立ち上げる」対策を全力で進めているところです。
このうち、住宅の耐震化は、目標である年間1,500棟を上回るペースで推移し、津波避難空間の整備も順調に進捗しています。また、要配慮者支援対策では、福祉の専門職が個別避難計画の作成に参加するなど、これまで沿岸19市町村のモデル地区で実施してきた取り組みを他の地域に拡大し、計画作成を加速しております。一方、外部からの応援を円滑に受け入れるために必要な受援態勢の構築については、今期中の目標達成に向けて取り組みをさらに強化する必要があると考えており、市町村による計画策定を財政面と技術面から支援してまいります。
来年度から始まる第5期計画の策定にあたっては、外部の専門家の方々のご意見もいただきながら、第4期計画の取り組みを総括し、明らかとなった課題への対応を盛り込むことに加え、成果の視点からより定量的に目標を設定するなど、さらなる強化を図ってまいります。


(2)消防防災ヘリコプターの更新
消防防災ヘリコプター「りょうま」については、平成8年に導入後、平成10年の高知豪雨での救助をはじめ、水難や山岳遭難事故への対応、山林火災消火など、県民の皆さまの生命と財産を守る数多くの活動を行ってまいりました。
しかしながら、導入から25年が経過し、交換部品の調達が困難となるなど、安定的な運航に懸念が生じてきたため、速やかな後継機の配備に向け、今議会に新たな機体の購入に関する議案を提出しております。
県民の皆さまの安心のため、消防庁から借り受けた「おとめ」と合わせて、安全で安定的な365日運航に向けた体制をしっかりと整えてまいります。

9 インフラの充実と有効活用
次に、インフラの充実と有効活用についてご説明申し上げます。
四国8の字ネットワークについては、本年度、新たに阿南安芸自動車道の北川道路1工区が国の補助事業として事業化されました。また、四国横断自動車道の宿毛-内海間において、都市計画手続きに着手するなど新規事業化に向けて着実に前進しております。
さらに、高知東部自動車道では、高知龍馬空港インターチェンジから香南のいちインターチェンジ間について令和7年春頃の開通見通しが発表されました。本年2月に全線開通した高知南国道路など、これまでの延伸と相まって、県中央部と東部とのアクセスが一段と向上し、本県の地産外商や観光振興の取り組みに大きく寄与するだけでなく、災害時における「命の道」としての役割も期待されます。
県内の8の字ネットワークは、3年連続で新たな区間が事業化されたことにより、開通区間も含めた着手済み区間が9割を超え、完成に向けて着実に前進しております。引き続き、事業実施中の区間の早期開通や未事業化区間の早期事業化が図られるよう、沿線市町村や他県とも連携し、国に対してより一層積極的に政策提言を行ってまいります。

10 少子化対策の充実・強化
次に、少子化対策の充実、強化についてご説明申し上げます。
昨年の合計特殊出生率は全国が前年から0.02減少し、1.34となる一方、本県は前年を0.01上回る1.48となりました。しかしながら、出生数は前年を188人下回る4,082人となり、依然として厳しい状況が続いております。
こうした中、今月3日、改正育児・介護休業法が成立しました。子どもの出生直後に父親が育休を分割して2回取得できる出生時育児休業が新設されるとともに、育児休業取得の意向確認が企業の義務となるなど、男性の育児参加の大きな後押しになることが期待されます。この機会を捉え、男性の家事や育児への参加をより一層促すための啓発に取り組むとともに、働き方改革推進支援センターにおいて、法改正を踏まえた就業規則の策定や育児休業制度の活用に関する助言を積極的に行ってまいります。
また、県庁においては、令和6年度末までに男性職員の育児休業取得率を50パーセントとする目標を掲げ、取得を後押ししてきた結果、昨年度の取得率が目標を大きく上回る61.2パーセントとなりました。本年度は、取得率のさらなる向上に加え、1カ月以上の取得者を増やすことができるよう、適切なバックアップ体制を確保するなど、職員が子どもを産み育てやすい環境づくりをさらに進めてまいります。

11 議案
続きまして、今回提案いたしました議案についてご説明申し上げます。
まず予算案は、令和3年度高知県一般会計補正予算の1件です。
条例議案は、高知県税条例の一部を改正する条例議案など15件です。
その他の議案は、県有財産の取得に関する議案など4件です。
報告議案は、令和2年度高知県一般会計補正予算の専決処分報告など4件であります。
以上をもちまして、議案提出にあたっての私からの説明を終わらせていただきます。
何とぞご審議の上、適切な議決を賜りますようお願い申し上げます。

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FAX:088-872-5494
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