令和3年12月9日 令和3年12月県議会での知事提案説明

公開日 2021年12月09日

更新日 2021年12月09日

令和3年12月9日 令和3年12月県議会での知事提案説明

1 国の動向など

2 新型コロナウイルス感染症への対応
(1)次なる感染拡大に備える取り組み
(2)社会経済活動との両立に向けた取り組み

3 12月補正予算

4 経済の活性化
(1)産業振興計画の推進
(2)観光振興の取り組み
(3)関西圏との経済連携の強化

5 日本一の健康長寿県づくり
(1)日本一の健康長寿県構想の推進
(2)東部地域の医療提供体制の確保

6 教育の充実
(1)学力向上対策について
(2)不登校への重層的な支援体制の強化について
(3)学校における働き方改革について

7 南海トラフ地震対策の抜本強化・加速化

8 インフラの充実と有効活用

9 中山間対策の充実・強化

10 新たな管理型産業廃棄物最終処分場の整備

11 議案


本日、議員の皆さまのご出席をいただき、令和3年12月県議会定例会が開かれますことに厚くお礼申し上げます。

ただ今提案いたしました議案の説明に先立ちまして、当面する県政の主要な課題についてご説明を申し上げ、議員の皆さま並びに県民の皆さまのご理解とご協力をお願いしたいと考えております。

1 国の動向など
先月、国において、財政支出が過去最大の55兆7千億円となる新たな経済対策並びに総額35兆9千億円余りの補正予算案が閣議決定されました。
新たな経済対策には、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に加え、ウィズコロナ下での社会経済活動の再開、クリーンエネルギーの推進による経済と環境の好循環の実現、デジタル技術を活用した地方の活性化、国民の生命財産を守るための国土強靱化の推進といった施策が盛り込まれております。さらに、経済対策の裏付けとなる補正予算案では、本県などが強く求めてきた地方創生臨時交付金が6兆8千億円計上されることとなりました。
これらは本県における新型コロナウイルス感染症への対応や、デジタル化、グリーン化などの取り組みを力強く後押しするものであり、大いに評価をしております。県といたしましては、本経済対策に基づく国の予算を最大限に活用し、感染症への対応をさらに進めるとともに、社会経済活動の回復や県勢浮揚に向けた取り組みを一層加速したいと考えております。

2 新型コロナウイルス感染症への対応
次に、新型コロナウイルス感染症への対応についてご説明申し上げます。
県内の感染状況は、ここ2カ月ほど落ち着いた状況にあるものと捉えております。
こうした中、先月12日、国において「次の感染拡大に向けた安心確保のための取り組みの全体像」が決定されました。この全体像では、第5波における急速な感染拡大を踏まえ、医療提供体制のさらなる確保やワクチン接種の促進、感染拡大期における社会経済活動の継続などに取り組む方針が示されております。
本県におきましても、国の方針や第5波における経験を踏まえ、次なる感染拡大に対する備えをしっかりと行うとともに、社会経済活動の回復に取り組んでまいります。

(新たな変異株への対応)
また、世界各国で急速に感染が拡大しております新たな変異株、オミクロン株が先月末、国内で初めて確認されました。このオミクロン株はデルタ株などと比べて、感染力が高い、あるいは既存のワクチンが効きにくいといった可能性が指摘されており、今後、国内における感染の拡大も懸念されます。
現在、国においては、外国人の新規入国を原則停止するなど水際対策を徹底し、監視や情報収集を行っているところです。本県においても、新たな科学的知見を注視するとともに、感染を迅速に把握できるよう、衛生環境研究所において変異株のPCR検査及びゲノム解析の実施に向けた準備を整えております。また、オミクロン株の感染者や感染が疑われる方、あるいは濃厚接触者が県内で確認された場合には、国の対応方針に沿って迅速かつ適切に対応し、感染拡大の防止を図ってまいります。

(1)次なる感染拡大に備える取り組み
(保健・医療提供体制の強化)

次なる感染拡大に備えるため、先月30日、これまでの計画を大幅に拡充した「保健・医療提供体制確保計画」を策定いたしました。
この計画では、新型コロナウイルスの陽性判明後速やかに健康観察や診療を開始できるよう、保健所の体制強化を盛り込んでいます。また、治療を必要とする方に迅速かつ確実に入院いただけるよう、入院病床を最大301床に拡充いたしました。あわせて、患者急増時には、緊急的な対応として高知医療センターに隣接する「やまもも」を活用し、臨時医療施設を開設することとしております。加えて、軽症者などが療養するための宿泊施設について、高知市で新たな施設を追加するなど、さらなる拡充に取り組んでいるところです。
引き続き、一般医療との両立を図りながら、新型コロナウイルス感染症の診断から療養を終えるまで切れ目ない対応ができるよう保健・医療提供体制を強化してまいります。

(ワクチン接種の推進)
感染拡大防止や重症化の抑制に重要となるワクチン接種については、県内における12歳以上の2回目の接種率が今月5日時点で83.8パーセントに達し、希望する方には概ね行き渡ったものと考えております。
こうした中、今月1日からは県内においても、2回目接種後、概ね8カ月が経過した18歳以上の方を対象として、まずは医療従事者を中心に3回目の接種が始まりました。
この3回目接種に関し、先月開催された全国知事会では、ファイザー社製ワクチンの配分前倒しや、ワクチン間における交互接種の安全性の周知を求める意見が多く出されました。こうした議論を踏まえ、先月30日には堀内国務大臣に対して、知事会のワクチンチームリーダーとして緊急提言を行い、現場の課題をしっかりと訴えたところです。
また、先日、総理の所信表明において、新たな変異株への対応に万全を期す観点から、接種時期の前倒しについて言及がありました。接種時期の前倒しを行うにあたっては、それに見合うワクチンの供給や接種体制の確保、市町村事務への影響といった課題があります。このため、国に対して、前倒しに関する具体的な方針と課題に対する対応策を早急に明らかにしていただくよう求めてまいりたいと考えております。
引き続き、国や市町村と緊密に連携しながら、3回目の接種が円滑に進むよう取り組んでまいります。

(2)社会経済活動との両立に向けた取り組み
感染拡大防止と社会経済活動との両立に関しては、先月、国の新型コロナウイルス感染症対策分科会において、病床確保やワクチン接種の促進などを前提に、医療の逼迫度合いに重点を置いた新たなレベル分類が示されたところです。加えて、新たな国の基本的対処方針では、「ワクチン・検査パッケージ」を活用した飲食やイベント、移動などに係る行動制限の緩和が盛り込まれました。
この対処方針などを踏まえ、先般、本県においても「新型コロナウイルス感染症対応の目安」及び各ステージにおける行動制限の緩和なども含めた「対応方針」の見直しを行いました。今後は、感染拡大期においてもできるだけ日常生活や社会経済活動を継続できるよう、「ワクチン・検査パッケージ」の活用を進めるとともに、今月6日時点で1,762店舗が認証を受けた、「高知家あんしん会食推進の店認証制度」のさらなる普及に取り組んでまいります。

(無料検査の拡大)
健康上の理由などでワクチン接種を受けられない方が「ワクチン・検査パッケージ」などを活用する際には、抗原検査やPCR検査による陰性結果の確認が必要となります。このため、こうした方がより身近な地域で無料の検査を受けられるよう、できるだけ多くの市町村への検査所の設置を目指して、県内の薬局などのご協力をいただきながら準備を進めております。
また、市中感染のリスクが高いと判断される状況下においては、感染に不安を感じる無症状者に対する検査を無料で実施します。これまでも感染拡大時に、ワクチン接種を終えていない無症状の方を対象として無料の検査を実施してきたところであり、新たな国の対処方針に基づき、ワクチン接種の有無に関係なく検査が受けられるよう、対象を広げてまいります。

3 12月補正予算
今議会では、国の経済対策への対応などのため、総額266億円余りの歳入歳出予算の補正並びに総額55億円余りの債務負担行為の追加及び補正を含む一般会計補正予算案を提出しております。
このうち、「感染予防、感染拡大防止」に関しては、感染拡大時に臨時医療施設を開設するなど医療提供体制を強化するほか、「ワクチン・検査パッケージ」の利用に必要となる検査などを無料化いたします。
次に、「経済影響対策」に関しては、生活福祉資金の特例貸付の申請受付期間延長に必要な原資の積み増しを行います。また、経済活動の回復に向けて、「観光トク割キャンペーン」などの観光需要喚起策を拡充します。加えて、国の「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」を活用し、四国8の字ネットワークや浦戸湾の三重防護事業といったインフラ整備を加速してまいります。
このほか、新たな管理型産業廃棄物最終処分場の施設本体工事に必要となる予算などを計上しております。

4 経済の活性化
続いて、基本政策の取り組みなどについてご説明申し上げます。まず初めに、経済の活性化についてであります。
(1)産業振興計画の推進
産業振興計画については、これまで農業、林業、水産業、商工業、観光の5つの専門分野と、各分野を横断した「地産地消・地産外商戦略の展開」など5つの連携テーマを設定し、取り組みを進めてまいりました。
その結果、各分野の地産外商は飛躍的に拡大し、減少傾向にあった各種生産額も増加傾向をたどるようになるなど、人口減少下においても拡大する経済へと構造転換を果たしつつあるものと考えております。一方、この度のコロナ禍を受けて社会や経済の構造変化が進む中、将来にわたり県経済の持続的な成長を実現していくためには、地産外商をさらに発展させることはもとより、時代の変化を的確に捉え、施策を進化させていかなければなりません。
このため、来年度に向けてはウィズコロナ、アフターコロナ時代の成長の原動力となる、「デジタル化」、「グリーン化」、「グローバル化」といった視点により、各分野の取り組みをもう一段強化いたします。あわせて、連携テーマについてもこの3つの視点を軸に再編し、分野を越えた新たな取り組みを生み出したいと考えております。

(各産業分野におけるデジタル化の取り組み)
今後の成長において特に重要となるデジタル化については、各産業分野でデジタル技術導入による生産性向上や省力化などの取り組みを着実に進めているところです。
まず、農業分野では、Next次世代型こうち新施設園芸システムの普及に向けてデータ駆動型農業の取り組みを進めております。本年度はIoPクラウドに蓄積されたハウス内の環境データや作物の生育データなどを多角的に分析し、県内43カ所のほ場において、栽培技術や経営の最適化に関する実証事業を行っているところです。こうした取り組みを通じて営農支援を行う農家数は、本年度末には目標の200戸を超える見込みとなっております。今後は、分析に基づいた営農指導体制の充実により、データ駆動型農業を実践する農家のさらなる拡大を図り、来年度中にIoPクラウドの本格運用を開始したいと考えております。
次に林業分野では、森林資源情報や所有者情報をはじめとする様々なデータを関係者間で共有できるよう、来年度中の森林クラウドの運用開始に向けて取り組みを進めているところです。今後は、林業事業体がクラウドを活用して路網計画を作成するといった実証事業などを実施し、施業の効率化や省力化につなげてまいります。
水産業分野では、高知マリンイノベーションの取り組みにおいて、メジカの漁場予測システムの開発など7つのプロジェクトを進めております。こうした取り組みに加え、より収益性の高い漁業経営の実現を目指して、出漁前に漁獲物の種類や数量を予測し、あわせて市場での価格や燃料費などの操業コストから利益を見える化するシステムの開発を新たに進めてまいります。
商工業分野では、産業振興センター内に中小企業のデジタル化を支援する専門部署を設置し、経営課題の解決に向けた伴走支援などに取り組んでいるところです。また県内企業のモデル事例創出の取り組みでは、受注から製造、出荷といった各工程の進捗状況を部門間で共有するシステムの導入により生産性の向上につなげる事例が生まれるなど、成果が表れております。今後、モデル事例で確認できた効果やノウハウを県内全域へ広げるとともに、企業のデジタル化を担う人材の育成をさらに強化することにより、県内企業のデジタル化を一層促進してまいります。

(環境と経済の好循環の実現を目指した取り組み)
新たな産業の創出や技術革新において鍵となるグリーン化の取り組みでは、本県におけるカーボンニュートラルの実現に向けた具体的な施策の計画として、例えば、再生可能エネルギーの導入促進、木材利用の拡大、製造業におけるプラスチック代替素材の活用促進などを盛り込んだアクションプランの策定を進めております。
こうした中、本年10月、国の地球温暖化対策計画が改定され、2030年度の温室効果ガス排出量の削減目標について、2013年度比26パーセント減から46パーセント減へと、大幅な見直しが行われました。これを受け、本県においても、目標を29パーセント以上削減から47パーセント以上削減へと引き上げたいと考えております。一昨日には有識者などで構成する「高知県脱炭素社会推進協議会」に、この新たな削減目標とアクションプランの素案をお諮りし、ご意見をいただいたところです。
引き続き、協議会や予算編成での議論を通じて、アクションプランが実効性のあるものとなるよう、さらに施策を練り上げてまいります。
あわせて、来年度はグリーン化の促進を産業振興計画の連携テーマに位置付けた上で産学官民のプロジェクトを立ち上げ、本県の特性を生かした新たなイノベーションの創出を図ってまいります。

(県産品の輸出拡大の取り組み)
人口減少により国内マーケットの縮小が避けられない中、地産外商を拡大していくためには、海外市場へ積極的に打って出る必要があります。現在、コロナ禍による様々な制約を受けておりますものの、アフターコロナも見据え、海外に配置したビジネスサポーターを活用して、展示会に県産ユズ果汁を出展するなど、輸出拡大の取り組みを着実に進めているところです。
来年度はグローバル化の促進を連携テーマに位置付け、民間事業者にも参画をいただきながら、農林水産物や食品の輸出拡大を目指した取り組みを強化してまいりたいと考えております。

(2)観光振興の取り組み
観光分野では、新型コロナウイルスの感染状況が落ち着いていることから、全国的に徐々に県外観光の機運が高まってきております。また、国においては、今後の感染状況なども踏まえながら、「Go To トラベル」事業を再開する方針が示されたところです。こうした環境の変化を捉え、度重なる感染拡大の影響により大きく落ち込んだ本県観光需要の速やかな回復につなげるべく、迅速に対策を講じてまいります。
まずは、即効性の高い需要喚起策として、県内在住者を対象に展開している「観光トク割キャンペーン」について、今月中に隣接県在住者まで対象を広げ、期間も来年のゴールデンウィーク前まで延長したいと考えております。あわせて、交通費用を助成する「観光リカバリーキャンペーン」について、同様に期間を延長するほか、「Go To トラベル」の再開も見据え、来月より対象エリアを西日本の府県から全国へと拡大してまいります。
一方、旅行先に本県を選んでいただくためには、観光地としての魅力を高める取り組みも重要です。先月より開催しております高知城を舞台とした大規模なイルミネーションイベント「NAKED FLOWERS」では、開始から20日間で2万人近くの方にご来場いただいております。こうした盛り上がりを県内全域に広げられるよう、県内各地で開催される光の演出を駆使した様々な夜間イベントについても、「高知光のフェスタ」と題して一体的にプロモーションを行っているところです。
さらに、来年1月以降、本県の強みである「食」を切り口として「リョーマの休日」キャンペーンを拡充します。旬の食を中心として、地域の食文化や、それに関わる人にスポットを当てたインパクトのある企画を季節ごとに実施するなど、切れ目のない誘客が図られるようしっかりと取り組んでまいります。

(DMVの運行開始)
東洋町から徳島県海陽町を結ぶ阿佐海岸鉄道において、線路と道路の両方を走行できるデュアル・モード・ビークル、いわゆるDMVの運行が今月25日から開始されることとなりました。
世界初の本格的な営業運行となるこのDMVは、地域の皆さまの移動手段としてだけでなく、観光振興の起爆剤としても期待されるところです。県といたしましても、県東部の市町村や徳島県など関係の方々と連携して、地域の観光資源と組み合わせた誘客を進めてまいります。

(3)関西圏との経済連携の強化
本年度から本格的にスタートさせた関西圏との経済連携の強化については、コロナ禍により活動に大きな制約を受ける中、様々な工夫を重ねながら各プロジェクトの取り組みを進めてまいりました。
その結果、「観光推進プロジェクト」では、大阪観光局などと連携した新たなモニターツアーの実施や、人気のイルミネーションイベント「OSAKA光のルネサンス2021」における本県観光のPRといった取り組みが進んでおります。このほか、「食品等外商拡大プロジェクト」では、飲食店への販売などが苦戦を強いられている一方、量販店における水産物の販売や、木材の出荷が順調に推移するなど一定の成果も見られるところです。
また、本年10月には「関西・高知経済連携強化アドバイザー会議」を開催し、来年度の強化策に関する意見交換を行いました。今後、会議でいただいたご意見も踏まえ、コロナ禍による消費者ニーズの変化などに対応した取り組みを着実に進め、戦略に掲げる目標の達成につなげてまいります。

5 日本一の健康長寿県づくり
次に、日本一の健康長寿県づくりの取り組みについてご説明申し上げます。
(1)日本一の健康長寿県構想の推進
(在宅療養体制の充実)

第4期日本一の健康長寿県構想に基づく取り組みのうち、在宅療養体制の充実に関しては、本年度、施策を強化し、医療機関の人材育成や初期投資への支援などに取り組んでいるところです。
一方、中山間地域で将来にわたり在宅療養が選択できる環境を維持していくためには、医療機関や医療・介護人材の不足、移動が困難な方に対するサービスの確保といった課題に対応する必要があります。このため、医療や介護の質を担保しながら効率的なサービスの提供が図られるよう、デジタル技術の積極的な活用を進めてまいります。
具体的には、医療機関や介護事業所など多職種間での情報連携が進むよう、「高知家@ライン」の県内全域への展開を加速させます。加えて、オンライン診療について、移動や診察待ちにかかる時間の削減といった患者の負担軽減につながることから、住民の皆さまのニーズや医療機関のご意見を伺いながら、導入に向けた支援策を検討してまいります。

(ひきこもりの方等への包括的な支援体制づくり)
ひきこもりをはじめ、ヤングケアラーや生理の貧困といった課題はその原因が複雑化、複合化しており、障害や介護、子育てといった各窓口がそれぞれの支援サービスを提供するだけでは十分な解決を図ることが困難な状況にあります。
こうしたことから、様々な課題に対して各分野で一層の連携を図るため、「包摂的な地域社会の構築に向けた連携検討チーム」を本年10月、庁内に立ち上げました。このチームにおいて、ひきこもりやヤングケアラーの方などへの支援に関する方向性を共有するとともに、具体的な目標や施策について検討を行い、取り組みのさらなる強化を図ってまいります。
あわせて、高知県社会福祉協議会と連携し、市町村との意見交換を通じて助言を行うなど、市町村における包括的な支援体制の整備についてしっかりと後押ししてまいります。

(2)東部地域の医療提供体制の確保
本県の東部地域においては、かねてから医療提供体制の確保に必要な医療・介護人材の不足が大きな課題となっております。
こうした中、検討を進めてまいりました東部地域における看護師の養成については、新型コロナウイルスの感染拡大を契機に大学などでオンライン授業が広く実施されていることも踏まえ、民間の看護専門学校の遠隔授業が受けられるサテライト教室の設置により対応を図りたいと考えております。
また、並行して、地域包括ケアシステムの構築に向け、多機能支援施設の整備についても検討を進めているところです。具体的には、訪問看護支援センターを設けるとともに、看護師の復職支援や就職斡旋、訪問介護人材の育成などを行う機能を備えることで医療・介護人材の確保を図り、在宅療養体制の充実につなげてまいります。
こうした看護師養成施設と多機能支援施設の一体的な整備について、東部地域の市町村長などで組織する「高知県東部地域医療確保対策協議会」のご意見も踏まえて引き続き検討を進めてまいります。

6 教育の充実
次に、教育の充実に関する取り組みについてご説明申し上げます。
(1)学力向上対策について
小中学校における学力向上の取り組みに関しては、本年度の全国学力・学習状況調査の結果、全国順位は過去最高となったものの、子どもたちの思考力、判断力、表現力が定着していないことが改めて課題として確認されました。このため、直ちにできる対応として、今回の調査結果に基づき、「話す、聞く、読む、書く」といった言語活動の実践を重視した授業動画を作成、配信し、授業の改善に取り組んでおります。加えて、本県独自の学力定着状況調査の結果を詳細に検証し、迅速に次の対策を講じるなど、PDCAを回しながら児童生徒の学力の向上を図ってまいります。
また、高等学校においては、生徒の学力の定着度合いを測定する「学びの基礎診断」の結果、まだ基礎的学力が十分に定着していないことなどが課題として明らかになりました。その原因は、新型コロナウイルスの感染拡大による臨時休業などにより授業時間数が限られ、学習指導の時間が十分に取れなかったことにあると考えられます。
このため、現在、学習内容の復習に必要な時間を確保するなど、生徒の理解度を意識した授業改善を図るとともに、学習支援員などの外部人材を活用した授業や補習を行っております。今後は、本年度中に整備されるタブレット端末を効果的に活用し、生徒一人ひとりの学力に応じた学習活動を充実させることができるよう、次年度に向けて具体策を取りまとめてまいります。

(2)不登校への重層的な支援体制の強化について
文部科学省による「令和2年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の結果が本年10月に公表され、全国的に不登校の児童生徒の増加傾向が続いていることが明らかとなりました。中でも本県においては、小中学校の不登校児童生徒数が過去最多となり、大変厳しい状況にあるものと受け止めております。
不登校の理由は、本人の不安や生活リズムの乱れ、家庭環境の変化など様々です。また、その要因や背景は年々複雑化、多様化してきております。 このため、学校全体の不登校への対応力向上を図ることはもとより、学校と県、市町村などの関係機関による連携をより一層緊密にしていく必要があると考えております。今後は、これまでの対策を今一度検証し、効果のあった施策のさらなる展開を図るとともに、学校と関係機関との連携について早急に具体策を検討してまいります。

(3)学校における働き方改革について
学校における働き方改革については、校務支援システムを活用した勤務時間の管理をはじめ、研修による教職員の意識改革、調査や事業の見直しによる業務量の縮減、部活動指導員といった専門スタッフの活用などを進めてまいりました。この間の取り組みにより、学校現場においては計画的、効率的に業務を遂行しようとする意識が広がりつつありますが、長時間労働の改善が十分に進んでいるとは言い難い状況にあります。
今後は、事務職員の専門性を生かした学校経営への積極的な参画により教員の負担軽減を図るとともに、ICTを活用した業務改善、外部人材の配置拡充などをより一層進めていく必要があると考えております。
また、今議会には、繁忙期に延長した勤務時間を長期休業期間などにまとめて休日として取得することができるよう、一年単位の変形労働時間制を導入するための条例改正議案を提出しております。この制度の導入により、教員がより柔軟な働き方を選択できるようになるものと考えております。
こうした取り組みを通じて、学校における働き方改革を総合的に推進し、教職の魅力をさらに高めることで有為な人材の確保につなげてまいります。

7 南海トラフ地震対策の抜本強化・加速化
次に、南海トラフ地震対策についてご説明申し上げます。
南海トラフ地震対策については、本年度までの3年間を計画期間とする第4期南海トラフ地震対策行動計画に基づき、全力で取り組んでまいりました。その結果、津波避難空間の整備や避難所の確保、外部からの応援を円滑に受け入れるための受援態勢の整備など「命を守る」、「命をつなぐ」対策は大きく進んでおります。加えて、市町村が発災後速やかに復興に着手し、住民の生活再建を図るための「事前復興まちづくり計画策定指針」の取りまとめといった「生活を立ち上げる」対策も進んできております。
しかしながら、死者数を限りなくゼロに近づけるためには、依然として多くの課題があり、現在、アドバイザーの協力も得ながら、第4期計画における取り組みの成果や課題の分析、総括を行っているところです。アドバイザーの方々からは、地域の防災対策を推進するための「自助」の取り組みに関する積極的な啓発の必要性や、復旧のボトルネックとなり得る商業施設の早期復旧の重要性など様々なご意見をいただきました。
今後、こうしたご意見なども参考に第5期計画における取り組みの充実、強化を検討してまいります。

8 インフラの充実と有効活用
次に、インフラの充実と有効活用についてご説明申し上げます。
四国8の字ネットワークについては、本年度、県西部の未事業化区間である「宿毛~内海」間の都市計画手続きを進めてまいりました。先月開催された高知県都市計画審議会において、本線と宿毛新港インター線について原案のとおり議決されたことから、間もなく都市計画決定の告示を行う予定としております。
また、今月4日には、国道33号高知西バイパスが全線開通いたしました。いの町市街地での交通混雑の緩和や、大規模災害発生時における信頼性の高い緊急輸送道路の確保につながるなど、様々な効果が期待されるところです。
今後とも、地域経済の活性化や地域防災力の向上など多方面へ波及効果をもたらす四国8の字ネットワークなどの整備促進に向け、沿線市町村や他県とも連携し、国などに対して積極的に政策提言を行ってまいります。

9 中山間対策の充実・強化
次に、中山間対策の充実、強化についてご説明申し上げます。
本年度は、10年ぶりに小規模集落を対象とした実態調査を実施しております。現在、集落の代表者への聞き取り調査などを進めるとともに、明らかとなった課題や伺ったご意見を庁内関係部局で共有し、必要な対策について協議を行っているところです。
こうした中、調査の中間取りまとめからは、深刻な担い手不足から移住者の受け入れを求める声や、日常生活での不便さを訴える声など切実なご意見が多く見られました。このため、移住者の受け入れに必要な支援として空き家の有効活用などの住宅確保策を強化するほか、デジタル技術を活用した生活環境の向上といった新たな施策について検討を進めております。
また、先月5日に黒潮町で行われた聞き取り調査へ私も参加し、中山間地域での暮らしの実態などについて、直接お話を聞かせていただきました。その中で、地域によってニーズや課題は様々であり、それぞれの地域の実情に応じたきめ細かな支援策の必要性を強く感じたところです。
引き続き、調査結果を詳細に分析し、これまでの対策の効果を検証するとともに、県民の皆さまの声をしっかりと受け止め、全庁を挙げた中山間対策の抜本強化につなげてまいります。

10 新たな管理型産業廃棄物最終処分場の整備
次に、新たな管理型産業廃棄物最終処分場の整備についてご説明申し上げます。
本年3月に完了した基本設計では、施設整備などに関する県や市町村の費用負担が当初の見込みより多額となっておりました。このため4月以降、実施設計を進める中において、施設の安全性を最優先としながらも、仕様の見直しや部材の変更などを行い、事業費の圧縮に努めてきたところです。
その結果、総事業費は99億9千万円の見込みとなり、先月17日には、有識者や行政関係者で構成する専門委員会において、施設の安全性や経済性といった観点から実施設計の内容などについてご確認をいただきました。あわせて、関係市町村にも順次説明を行い、ご理解をいただいております。
こうした状況や現施設の埋立終了時期を踏まえ、施設本体工事の早期着手に向けて今議会に関連の予算案を提出させていただいております。
引き続き、地元の皆さまはもとより、佐川町、佐川町議会、さらには、県内市町村や関係団体などのご理解とご協力を賜りながら、施設整備について着実かつ丁寧に進めてまいります。

11 議案
続きまして、今回提案いたしました議案についてご説明申し上げます。
まず予算案は、令和3年度高知県一般会計補正予算など8件です。
条例議案は、職員の給与に関する条例の一部を改正する条例議案など7件です。
その他の議案は、令和4年度当せん金付証票の発売総額に関する議案など6件です。
報告議案は、令和3年度高知県一般会計補正予算の専決処分報告の1件であります。

以上をもちまして、議案提出にあたっての私からの説明を終わらせていただきます。
何とぞご審議の上、適切な議決を賜りますようお願い申し上げます。

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