公開日 2022年05月17日
1 大型連休での経済効果、今後の感染防止と経済活動の両立について
2 物価高への対応について
3 大型連休明けの感染者数の増加について
4 災害発生時の人的被害情報の公表について①
5 災害発生時の人的被害情報の公表について②
6 災害発生時の人的被害情報の公表について③
7 災害発生時の人的被害情報の公表について④
8 災害発生時の人的被害情報の公表について⑤
9 新型コロナウィルス感染症の感染症法上の分類について
(司会)
ただ今から、知事定例記者会見を始めさせていただきます。冒頭に知事から新型コロナウイルス感染症の現状等について説明があります。
(知事)
まず私から、最近の県内におきます新型コロナウイルス感染症の感染状況などについて、ご報告を申し上げたいと思います。
1週間単位でここ3週間の感染者数を見ますと前々週に比べて前週が0.9倍、ほぼ下げ止まり、あるいは高止まりと言ってまいりましたが、連休明けの5月6日からの1週間を見ますと、約1.7倍になりまして、下げ止まり と言っていた状況から増加に転じているのが、数字で現れています感染状況ということだと考えられます。特に一昨日は過去最多となります366人という感染者を記録したわけですが、これには連休中検査を受けられなかった 方々が、連休明けの検査に集中したというような一時的な事情も、やはり要素としてはあったということだと思います。その後、昨日、一昨日は200人台で推移しています。
2月の感染ピークと比べた場合に、70歳以上の高齢者の水準が随分と違うことは1つポイントだと思います。2月の半ばの頃は、70歳以上の高齢者の方々が1日90人ぐらい感染されたと。それを受けて、数日後には40%台 まで病床の占有率が上がって、かなり医療がひっ迫したことがございますけれども、ここ数日は、確かに高齢者の感染者が増えて要警戒ではありますが、それでも全体的な水準としては40人程度というところに留まっており ますし、ベッドの占有率もここのところ数日上がっておりましたけれども、本日は速報値ですが17.9%と10%台の後半の水準で留まっているということですので、その意味で一昨日、過去最多になりましたけれども、県民の 皆さまは、いたずらに不安に感じられるということではなく、基本的な感染防止対策を引き続き徹底いただくことをお願いする状況であると考えています。
最近、一番重視しております病床の占有率、医療のひっ迫度を示す率は17.9%でして、これは昨日19%台でしたから、感染者数は相当な水準で続いておりますけれども、病床占有率の方はむしろ、若干低下したということ です。比較的ではありますけれども、占有率の方は安定した推移になっていると言っていいのではないかと思います。
一方で、直近7日間の新規感染者数は明らかに増に転じておりまして、1.7倍程度の増ということでありますけれども、70歳以上の感染者数につきましては、増えてはきておりますけれども、1週間で155人という水準にな っているということでして、この水準ですと、特別警戒下の警戒ラインの水準と評価されることですから、その点では、この1週間の新規の感染者数全体ということだけではなくて、高齢者の状況というのも見て冷静な受け 止めをお願いしたいと思っております。
一方で、クラスターの発生状況ですが、ここ2週間の状況を見ますと、医療機関、高齢者・障害者施設、そして、学校関係の3つが特に顕著に増えていると判断しております。
これらの対策の強化をお願いしなければいけない状況だと考えます。
以上のような状況を踏まえまして、繰り返しての要請になる部分が多くなりますけれども、県民の皆さまに連休明けの状況を踏まえての感染防止対策等についてのお願いを申し上げたいと存じます。
まず、何度も申し上げますが、感染力が非常に強いオミクロン株ですから、基本的な感染防止対策、マスク・手洗い・三密回避といった、皆さんの身の回りのところ、最後のところでこのウイルスを体内に入れないという 形での対策を引き続きお願いします。
また、症状のある方は、迷わずに医療機関の受診をお願いするということ。
そして、ワクチンの接種が感染防止対策の当面、即効性のある切り札と考えます。
まだの方は、できるだけ早く3回目のワクチン接種をお願いします。特に若い世代の方々の接種率が伸びていないことから、特に3回目の接種に前向きな検討をお願いしたいと考えます。
それから、会食の対策についてです。
特別に定量的な基準を示して制約をお願いすることはしておりませんが、感染は引き続いておりますから、可能な範囲で会合の規模は縮小、そして、可能な範囲で時間の短縮というお願いに留めております。
そうは言いましても多人数の会食などですと、やはり一旦感染が拡大してしまいますと、かなり大規模なクラスターになってしまう恐れもあるわけです。
そうした感染防止の必要性が高い場合には、感染防止と社会経済活動の両立を図るための鍵になる取り組みとしまして、3回のワクチンの接種が済んでいるか。あるいは抗原検査などによりまして、陰性が確認されている のか。お手数は掛かりますけれども、このいずれかを参加者全員に確認していただくことによりまして、安心、また安全に会食を実施できることが考えられますので、そういった方法をぜひご検討いただければと考えており ます。
そして、高齢の方々の感染者の増加が、やはり医療提供体制の負担に直結することがありますから、これも繰り返しになりますが、特に高齢の方、あるいは基礎疾患をお持ちの方のように、重症化リスクの高い方々と家庭 内で同居されている場合におきましては、家庭内におきましても、会話の際などにはマスクを着用するといった形で、高齢者の方々を守っていただくとことをお願いしたいということ。
そして、高齢者施設、あるいは高齢者の方々が生活空間的に入院をしている病院などにおける対策についてですが、これまでのマニュアル等を徹底して実践していただくことはもちろんですけれども、こういう施設につき ましては、外からのウイルスの侵入を水際で防いでいくことが大事ですから、従事者の方々からの感染を防ぐ方策。それから、面会にお見えになるご家族の方々などからの感染の入り込みを防止するために、例えばオンライ ンによる面会の活用といった方策の活用につきまして、改めて検討もいただきまして、高齢者が多数感染するクラスターの発生を、少しでも未然に防止するようにご協力をお願いしたいと考えております。
最後に、学校部活動についてです。これにつきましても、やはり件数、感染者数、最近顕著に増えていると感じております。
部活動一連の活動の中で、部活動そのものというよりは、試合の行き帰り、前後であったり、競技そのものではなくても休憩時間であったり、食事の時間、そういった際に生徒さん同士がマスクを外して会話、食事をされ ること。ここが結局、抜け穴のようになっている傾向が見られますから、この点に特に注意していただきたいということを改めてお願いしたいと思います。
また、部活動に関しまして大枠は変わりませんけれども、特に5月21日からは高等学校の県高校体育大会(「県体」という)が始まります。この県体の本番は安全安心の大会にしたいという趣旨がございまして、それまで あと1週間ほどありますが、県体に出場予定の運動部の活動につきましては、基本的には他校との練習試合などは控えていただきたい。もっとも検査などを行われまして、安全に試合ができるという場合は、練習試合をやっ ていただいても構わないということにはいたしておりますけれども、本番を安全に迎えるために、あと1週間は、基本は練習試合は差し控えていただくことをお願いしたいと考えております。
以上が、私からの報告の概要でございます。よろしくお願い申し上げます。
(司会)
それでは、質疑に入ります。まず、幹事社からの質問をお願いします。
大型連休での経済効果、今後の感染防止と経済活動の両立について
(伊藤・NHK記者)
新型コロナの関連と連休に関してお伺いします。
新型コロナウイルスの感染拡大が始まってから、今回の連休が初めて緊急事態宣言、まん延防止等重点措置が、全国のいずれの都道府県でも出されていない中での連休でした。
3年ぶりに規制のない連休に関する県内の宿泊ですとか飲食業に対して、どれぐらいの経済効果があったか、速報値など把握されているデータと知事の所感をお聞かせください。
一方で、今後、感染の増加する可能性も指摘されていて、県内も増加傾向にあります。
ただ、その反面、海外ではマスクの着用を屋外では求めないという動きも広がっています。
今後どのように感染対策と社会経済活動の回復に並行して取り組んでいかれるのか、現在の状況を踏まえて、知事のお考えをお聞かせください。
(知事)
まず、今回の連休中の観光ないしは飲食などの経済効果がどうかということです。
こういったものを類推ができるデータとしまして、県が把握しておりますもので最もその趣旨として近いものとして使えるものといいますと、高知県観光コンベンション協会が毎年、主要観光施設の利用状況、入り込み者 数的なものを調査しておると。これが一番手元にある速報性のあるデータとして使えるものと考えています。
この結果によりますと、本年の5月の連休中の1日平均の利用者数は、前年比で約4割の増となっております。また、コロナ禍前で曜日の並びが同じ形となっておりました平成28年と比べましても、約9割の水準まで回復 して、1割減程度で済んでいるということですので、実感としましても昨年よりはかなり戻った。ただ、コロナ前ほどまではいかないというのが、関係者の方々の大体のコンセンサスという感じだと、私も受け止めています から、この数字がそういった実感を裏付けているのではないかと考えています。
地域の方々、また宿泊施設の方々からも、特に昨年との違いとして、昨年は比較的県内の方の人出が中心であったけれども、今年は県外からの観光客の方が多く見えている。若い年齢層の方々が、かなりお越しいただいて いるというようなお声をいろんな方からお聞きしましたので、実際そうした形になっているのではないかと考えます。
経済効果を金額に算出するには至っておりませんけれども、県内の方よりむしろ県外からたくさんの方が見えたということですから、一人当たりが落としていただくお金は、当然遠方から来ていただく方の方が、宿泊など も含めますと大きいことから考えますと、昨年と比べまして、経済効果の面でも大きなものがあったのではないかと言えると思っております。
それから、今後の感染対策と社会経済活動の回復に、どういう形で並行して取り組んでいくのかということについてです。
こうした形で連休中の人出はかなり戻ってきたということですが、それに伴いまして、ある意味、覚悟をしていた部分はございますけれども、県内の新規の感染者数も一昨日には過去最多を更新する形で、1週間単位で見 て、はっきりと拡大傾向が出てきているということです。
ただ、これは兼ねてより申し上げていますとおり、あまり日々の感染者数に一喜一憂はしない。ある程度の感染者数の増というのは、これは覚悟をして、なかなか避けがたいものとして、基本的な感染防止対策は徹底する のは当然の前提ですけれども、いわゆる生命線・防衛線としては、医療提供体制のひっ迫だけは防ぐと。ここに力点を置いて、行動制限などを強化することではなく、社会経済活動を回していく方を大事に考えようと。そう いった形で両立を図っていこうということで、取り組んでいるところですし、もちろん、感染状況は予断を許しませんから、今の時点で確定的に言えるわけではありませんが、基本的な方向性は、今後も社会経済活動と感染 防止対策の両立で行くのであるのだろうと考えています。
そして、これを両立させるための鍵となる取り組みが、参加者全員について3回目のワクチン接種ないし検査での陰性の確認をしていただいて、会食やイベントをしていただくことによって、安心安全を担保しながら社会 経済活動が回していけるし、そのために県としても国の財源も活用して、無料検査の機会ができるだけ得られるように引き続き体制を整えていきたいと思っています。
こうしたことを前提に観光分野におきましては、国の財源を活用したいわゆる特割キャンペーン、そして、県独自の取り組みであります、交通費助成のリカバリーキャンペーンを実施しておりますし、また、昨日、よさこ い祭りにつきましても、感染対策をとりながら、通常開催どおりとはいきませんけれども、かなり、それに近い形で3年振りに開催しようという方針を決定いただいたと思っております。
今後の感染拡大防止対策と社会経済活動の両立について、全国知事会では、私自身も含めて、ぜひ国に大きな出口戦略を示してもらいたいという気持ちを持っております。
国については、国の分科会で議論が行われておりましたり、あるいは山際新型コロナ対策・健康危機管理担当相の下で、感染症対策のこれまでの検証、今後の見直しについて議論が行われていると思っております。
現に全国知事会でも、かなり具体的に一部の知事からは、いわゆる感染症法上の分類を2類から5類に見直すと、また、その場合の費用の負担という問題がネックになるのであれば、費用の負担については当面現状の維持 をするというような形で折り合いをつけて、感染拡大防止対策と社会経済活動の両立に向けて踏み出すといったことが、望ましいというような意見も出ていることで、私もこの主旨は大いに賛同します。
政府も、あまり大上段にかぶってという形ではないですが、報道されているところでは、外国からのいわゆる水際対策につきましても、1日当たりの入国者の枠を2万人に段階的に増やしていく中で、観光客の受け入れな どの再開にも舵を切っていこうという方向も出ておりますから、ぜひ国もそういった方向は明確に出していただいて、もちろん感染症の動向、また、特に病原性が高い変異株が出てくることになりますと、このストーリーも いろいろ考えなければいけない部分はあると思いますが、そういったことがなければ、今のオミクロン株が基本という対策であれば、ただ今申し上げたような方向で両立を図っていくということを、国も旗として掲げていた だいて、地方もそれに沿って対応していくことが望ましいのではないかと考えております。
物価高への対応について
(小林・毎日新聞記者)
コロナ禍で回していくべき経済の話なのですが、物価高が非常に進んでいると。燃料価格が非常に顕著ですけども、原材料価格が上昇しておりまして、ウクライナでの戦争と、それから先般進んでいる円安、これによっ て、今後さらにいろんな価格が上昇すると見込まれてます。
物価の高騰は、県内の産業全般、可処分所得が減ることによる県民の家庭生活にも、大きな影響を与えると思われます。
コロナ禍でそもそも傷んでいる経済に、さらにまた打撃になることが予想されるわけですが、この県内の産業と県民の生活を守るため、今後どのように物価高に対応していかれるのか、知事のお考えと実施中、あるいは、 今、検討している具体的な対応策などありましたら教えていただければと思います。
(知事)
ここ2年以上のコロナ禍の中で、県経済は大きなダメージを受けておる中ですが、そうした中で原油高、原材料費高などによりまして、さらなる影響が生じる可能性が懸念されております。
また、今後は円安による影響も効いてくるのではないかと考えられますので、当面この物価の高騰傾向は続くことを覚悟しておかなければならないと考えているところです。
こうした状況も踏まえ、先月になりますが、国におきまして、原油価格の高騰対策、そして生活困窮者への支援といった緊急総合対策が決定されました。
この中で、国としても各種の給付金などのような方策も打ち出されましたけれども、地方公共団体が地域の実情に応じて対策を講じることができる財源として、地方創生臨時交付金の拡充として、当面全国で8,000億という 枠が提示されました。
これによりまして、コロナ禍におきます原油価格、物価高騰対策対応分といった創設も盛り込まれたということです。
この大きな枠組みで見ますと、この対策の半分は県で、半分は市町村でという交付金の配分枠になるということですから、こうした市町村との役割分担、国との役割分担ということも考えながら、国の対応策に呼応する形 で、県としてこういう財源を活用いたしまして事業者の方々の支援、あるいは生活困窮者の方々への支援などを今後行っていく考えでおります。
そうした場合、特に市町村との役割分担を考えた場合に、これは、一般的な傾向としてということですが、おそらく生活困窮者対策というのは、どちらかといいますと市町村が中心になっていただく形になるのではない か。逆に、事業者の方々への支援は、どちらかといえば、県が前面に出て行く形になるということも考えておりますが、そういった市町村との役割分担ということも考えながら、現在、6月定例県議会では、補正予算の提案 も考えておりますので、それに向けまして具体的な事業などについて検討しているところです。
検討している中で考えておりますのは、ある意味、今までの流れの中で進めてきたものの、さらに強化していく意味で申しますと、ウィズコロナ・アフターコロナ時代の新しい事業の展開を支援していくことが、1つは考 えられると思います。
これは、円安基調を考えた場合に、今の物価高の影響などがある程度、長期間に続いていくことを考えますと、当面の資金繰りといった話というよりは、むしろ中長期の事業の構造を、いわば付加価値の高い新しい事業を 入れていくことで強化していくことを後押ししていくことが、必要ではないかということがございますし、コストの削減という面で見ますと、例えば、原油高に中長期的にしっかり耐えられるような構造改革を進める意味で は、いわゆる、省エネの設備なども入れていく企業などの取り組みをどう支援できるか。こういった点も具体的には検討しなければいけないのではないかと考えておりまして、こういったことをはじめとして、今、事業所の 支援、そして市町村との役割分担をしながら、県として生活困窮者の対策はどういったものが必要かといった点について、鋭意、検討の詰めの作業を行っている段階です。
(司会)
次に、各社からの質疑に移ります。質問される方は挙手をして社名とお名前の発言をしていただいてから、質問をお願いします。
大型連休明けの感染者数の増加について
(林・高知放送記者)
連休明けの感染者の増加についてお伺いします。先ほども知事から、ある程度感染者の増加は想定していたとおっしゃいましたけれども、連休明け早々、過去最多の人数が出た結果になりました。知事の感覚としては、す ぐに過去最多の人数が出たというのは、それも想定の範囲だったのか、あるいは、ちょっと予想よりも早く来たのか、そこら辺の感覚というものをお教えください。
(知事)
これは、なかなか難しいところですけれども、もちろんベストのシナリオは、連休前に各県の状況をいろいろお聞きした中で、連休前の段階から、過去最多を更新する県も九州だったり東北だったり結構ありましたから、 そういう意味では、これは決して他人事ではないという感覚は持っていました。
そういう意味で、連休明け早々に366人という過去最多をかなり更新するような水準になったことも、ある意味、決して不思議ではないという感覚を持って受け止めたという意味において、想定の範囲内と言えば範囲内だと いう申し上げ方をしたということです。
ただ、それは決して望ましいと思っていたわけではありません。できれば、こういうことがなく軟着陸ができれば1番良かったという思いはありますが、ある意味、心配していたものが来てしまったと。それはそれで、た だ、覚悟はしてきたものではあるので、あまり、パニックには陥らずに冷静にデータなども見極めて、できる限り社会経済活動との両立を図っていこうという受け止めをしたということです。
災害発生時の人的被害情報の公表について①
(大山・高知新聞記者)
コロナから離れるんですが、昨日豪雨対策の本部会議の中で、災害発生時の人的被害の情報の公表について説明があったと思います。
その中で知事の思いも昨日おっしゃっていましたけれど、そこも含めて改めてお伺いしたいのですが、知事は人的被害が死者、行方不明者含めてですが、その公表を前提に同意を取って欲しいという発言をされていました し、死者の氏名の公表について前向きだと受け取ったのですが、改めて公表することによる効果やその公表に関する知事の認識を教えてください。
(知事)
これに関しましては、今個人情報保護の流れもありますので、原則としては、家族の方々の同意が得られた範囲での情報を出していくのが、大きな原則であることは前提としながら、特に災害対策を効率的に行っていく、 あるいは、被害の拡大の未然防止をしていく観点から、特に意味がある場合には、特に行方不明者のことに関しては、例外的に、場合によっては家族の同意が得られない場合でも、氏名の公表をして、できるだけ効率的に捜 索活動を進めていくことですとか、被害の未然防止を図っていくことが意味があるのではないかと考えております。
また、死者に関しても、これも家族の方々の同意を得ることが前提にはなりますが、やはり、行政機関が行政の活動として、いろんな救助活動あるいは捜索活動などをした過程の中で、得られた情報です。全くの私的な情 報ということではないということがございますし、特にいろんな災害の対応であったり、そういったものを事後的に検証していく意味でも、記録が散逸していかないという意味でも、氏名の公表は、事後的な検証のために必 要ではないかというご意見も伺っていることですので、そういったことも含めて考えますと、昨日も会議の席で申し上げましたけれども、これは具体的には市町村などの、最初に情報を得た機関に作業はお願いすることにな りますが、ご家族などと接する際にも、公表にしましょうか、非公表でいきましょうかと言って、全く同等でお選びくださいというようなスタンスではなくて、基本的なスタンス、気持ちとしてはできる限り同意をいただい て、公表したいのだと、同意をお願いいたしますというスタンスで家族の意向を確認する形で行っていくことが、より望ましいと思っております。
もちろん、最終的にそういうスタンスで臨んでも、ご家族が、どうしてもこれは嫌だということになれば、それを覆すのは、かなり難しいと思っておりますが、そういった、例外的な場合を除けば、できる限り情報をお出 しをして、その後の防災と言いますか、被害の軽減であったり、被害が発生した過程の検証にも役に立てられることがより望ましい方向性ではないかという考えを持っているところです。
災害発生時の人的被害情報の公表について②
(大山・高知新聞記者)
それを踏まえてなんですが、先ほども説明の中にもありましたけれど、死者の名前の公表は、家族の同意を市町村が取ることになっていると思うのですが、なかなかノウハウがない部分もあるでしょうし、まさに聞き方に よって遺族の対応が変わってくる部分もあると思います。知事の思いは、市町村の担当者、市町村レベルにまで、どんなふうに浸透させていこうというお考えか教えてください。
(知事)
これは今後、いろんな形で市町村の方々、あるいは、防災関係の機関の方々と定期的な会議であったり、説明会であったりを開催する機会はあると思いますし、また、いろんな防災活動などにつきまして、ヒアリングだっ たり、意見交換だったり、これはある意味、個別に市町村などと相談しながら、いろんな事業を進めていくという局面があろうかと思います。
そういった機会を捉えながら、私の判断にあります背景をお伝えして、理解いただく努力をしたいと思いますし、現実には、やはり、その時、その時の現実に起きた災害の局面に応じて、いろんな判断をしないといけない ことがあろうかと思います。
現実に、起きて欲しくはないですけれども、発生した局面におきまして、それぞれの局面の場合によって、いろんな取る対応が違ってくると思いますが、災害の状況をしっかり把握して判断した上でということになります けれども、市町村や関係機関の皆さんにご負担をかけることになりますけれども、その時考えられるルートを通じて、必要があれば私自身からもお願いしたいと考えております。
災害発生時の人的被害情報の公表について③
(大山・高知新聞記者)
南海トラフ地震の場合、同居家族全体が被災して、確認が取れないような状況というのも想定されると思いますし、昨日の資料を見ると、そこら辺までは細かく書いていなかったと思います。そうした場合の対応というの は、現時点で決まっているものはあるのでしょうか。
(知事)
そこは、研究課題、検討課題だと思っております。
実務の中で蓋然性としては、それほど多数の方が一斉にということではない場合という方が、発生するケースとして多いと思いますが、南海トラフ地震のような局面になった場合に、具体的にどういった形でできるかとい うことにつきまして、今この場で直ちに結論をというほど、詰めた議論ができているわけではありません。
ただ一般的に申し上げれば、一部の家族の方でもご同意いただけるというのは、ゼロというのとは随分と違うということだと思っておりますし、一定の水準のご理解をいただけるのであれば、それは公表の方向で考えると いうことの中で、一方で多数の方に同意を得る場合には、どう効率的に事務を進めていくかということもありますから、そういった観点から、取り得る方策というのも考えて対応を図っていきたいと考えております。
災害発生時の人的被害情報の公表について④
(古谷・読売新聞記者)
去年の熱海での氏名公表の対応について、確か知事は評価されていらっしゃったと思います。
昨日の会議で同意についての役割分担的な部分が新しい手順として出てきたと思いますけれども、この同意という部分が、例えば災害発生から72時間とか、そういった生存率の話もある中で、いわゆる速やかな救助活動の 足かせになってしまうようなことも考えられると思うのですけれども、今回、改めて同意の役割分担を出したことによって、同意がやっぱり必要じゃないかという感覚を持つ方も多いと思うのです。
これは知事のお考えと逆行するかと思うのですけども、改めて、昨日、この手順書を出した理由と、今、各都道府県を見ていると、同意なしでも公表していこうというような動きが広がっているような印象もあるのですけ れど、内閣府でも、公表について検討するよう指示が出てると思うのですけれども、つまり、例外的な公表というのはあるけれども、やっぱり同意がなくても公表しなければいけない部分の意識としては、知事、どの程度あ るのかということについてもお伺いしたいと思います。
(知事)
これは、かなり難しい問題も私ははらんでると思います。この問題を考えます時、私自身いつも思っておりますのが、プレスの皆さま方はある意味、当然、長い歴史の中で、氏名については公表されるのだろうという期待 値を持ってお話をされているとある意味、推測しています。
それはなぜかと考える中で、これは全く個人的な私の見解でありますけれども、恐らく警察で、いろんな事件・事故があった際に亡くなられた方々の発表、被害者の方々についても、お名前の公表をされることが普通に行 われてきていることが、ある意味、長年の経験値というか、期待値を形成しているという面があるのではないかと思っております。
ただ、この間の京都アニメーションの事件などがありました時に、警察も最終的には多分1年ぐらいかかって、まさしく、地道に家族の方々の同意を取られて、恐らくほぼ全員の方々のお名前を公表されたということだと 思いますが、それでもあの事件に関しては、かなり警察も慎重に気を遣われて、やはりご家族の同意をできるだけ取っていこうというスタンスになられたと。そういう意味では、片方で災害の被害者の方々について、やはり 個人情報保護という流れも考えると同意が必要ではないかという考え方が出てきているのは、警察の犯罪捜査だったり、被害者の方々の公表というところにも一定の影響を及ぼしてきているのではないかという印象も持って いるところです。
ただ、それをトータルした上で、方向性としては、できるだけ公表していくことが望ましいと思っておりますので、今後の実務の中でのことになりますけれども、確かにそうした多数の方々の被災が想定されるような南海 トラフ大地震のような時の対応について、今後の対応になりますが、できるだけ、あらかじめというのはどの程度できるのか分かりませんけれども、ご家族の方々に早い段階で、2度3度の手間を取らずに同意いただけるよ うな手法ができるのかどうかということは、検討に値する課題だと思っておりますし、最終的に、京都アニメーションの事件で1年かかってでも警察が氏名公表の同意を取られたと。報道の方々も含めて、やはり公表をとい うご意見の方々の一つの大きな理由が、やはり名前の公表がされていないと、例えば5年10年たった時に、事後的に検証した時に、検証のとっかかりがなくなることになることから考えますと、ある意味ぎりぎりの場面であ りますと、災害時の応急活動は人命救助そのものの方が優先だと思います。
多少時間をかけてでも、事後的に名前を公表していくならば、どういった形でフェーズを切り替えて、公表の事務の方に比重を移していくかということも、あらかじめできるだけ考えておく準備作業というのが、我々サイ ドにも必要ではないかという思いを持っております。
災害発生時の人的被害情報の公表について⑤
(古谷・読売新聞記者)
人命救助には、48時間や72時間といった時間との闘いという部分があると思うのです。その部分で、人命が優先という話もありましたけれども、同意が得られなかった場合の最終的な判断の基準を知事はどう考えているの かという部分と、改めて昨日、氏名の公表について家族の同意に、かなり力を置いた形のマニュアルを、今つくられた理由をお伺いします。
(知事)
特に、不明者という場合であると、それは早くやらないと意味がないということだと思いますから、その点は死者について、事後的な検証も加味するという意味で、多少時間をかけてでもというのとは局面が違うと考えて おります。
ただ、今回の事案に関して言いますと、行方不明者、死者、それぞれ状況は異なりますけれども、個人情報保護との流れの中で家族の同意の有無というところを、ある意味乗り越えた判断をするかどうかというところで は、共通する部分があり得ると思っておりますので、そういった意味で今回、そういったところに光を当ててと言いますか、そうした局面から、この事務に関しての取り扱いを、言わば横断的に検討して議論をし、それを成 果としてまとめて情報を共有する、認識を共有しようという趣旨で、今回こういった手順についても定めさせていただいたということだと思っています。
具体的な、さらに災害応急活動との中での、効率的な組み合わせと言うのでしょうか、展開の仕方ということについては、今後さらに議論もし、検討もして、具体化と言いますか、深めていかないといけない部分はあるこ とは感じているところです。
新型コロナウィルス感染症の感染症法上の分類について
(大野・高知新聞記者)
感染症法上の2類相当という部分の新型コロナウィルスのことで言及があったので知事のスタンスを確認させてもらいたいのですけれど、今の2類相当という強い措置は、必ずしも現状にあっていないとお考えでしょうか。
(知事)
特に、いろんな局面がありますけれども、保健所において感染者の方々を確認して、その後のケアをしていくところにかかる事務的な負担を考えました時に、これだけ病原性は弱くなっても感染力が強いと、非常に感染者 の数も第一波の頃とは桁が違う状況になってきた時、いつまでも第一波と同じような形の事務負担を、保健所の現場に強いるのはどうかという意味でという局面が大きいのですけれども、問題意識としては持っているという ところです。
ただ、経費の負担の問題でしたり、あるいは、こういった2類から5類への分類替えということが成立する前提条件として、治療薬がより普及していくことが、インフルエンザ並みに必要ではないかというご意見も、ごも っともな議論だと考えておりますから、そういった議論は、国において深めていただく必要があると思いますが、大きな構図の部分として、保健所におきます実務の負担、そして、それがどういう効果を及ぼしているかとい うことを考えた時に、この感染法上の分類というのも遠からず、できるだけ早期に検討して方向を出していくべきテーマではないかという考えを持っているということです。
(大野・高知新聞記者)
季節性インフルエンザ並みの5類にするべきだとお考えですか。
(知事)
方向性としては、そういう事だと思います。
ただ、そこで問題になるのが、今の枠組みで5類だと、かかった費用について、自己負担が相当出てくると。今のような高い医療費がかかる中では、それを忌避するために検査を受けるのが嫌だというようなことになりか ねないことがありますから、そこの弊害を取り除くという意味では、当面、経費負担については、現状を維持していくような知恵はあるのではないかという具体的な提案も出てきておりますから、それは一理あるという思い は私も持っております。
(大野・高知新聞記者)
分かりました。2類相当から5類へ、クリアすべき課題がクリアできれば、そういう対応をするべきだというお考えでしょうか。
(知事)
いろいろ条件が整えば、今のオミクロン株というのが前提で考えれば、それが適当ではないかと考えております。
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