令和4年12月6日 令和4年12月県議会での知事提案説明

公開日 2023年02月21日

令和4年12月6日 令和4年12月県議会での知事提案説明

「共感」と「前進」の好循環に向けて
2 新型コロナウイルス感染症への対応
3 12月補正予算
4 経済の活性化
(1)産業振興計画の推進
(2)関西圏との経済連携の強化
(3)デジタル化、グリーン化、グローバル化の取り組み
(4)観光振興の取り組み
5 日本一の健康長寿県づくり
(1)医療福祉分野におけるデジタル化の推進
(2)日本一の健康長寿県構想の推進
6 教育の充実
(1)学力向上対策など
(2)不登校への重層的な支援体制の強化
7 南海トラフ地震対策の抜本強化・加速化
8 中山間対策の充実・強化
9 女性の活躍の場の拡大
10 スポーツの振興
11 その他
(1)土地開発公社の解散
(2)公正取引委員会による立ち入り検査について
12 議案

本日、議員各位のご出席をいただき、令和4年12月県議会定例会が開かれますことに厚くお礼申し上げます。

ただ今提案いたしました議案の説明に先立ち、当面する県政の主要な課題についてご説明を申し上げ、議員各位並びに県民の皆さんのご理解とご協力をお願いしたいと考えております。

1 「共感」と「前進」の好循環に向けて
県民の皆さんからのご支持をいただき、私が知事に就任してから明日で3年が経過します。この間、「共感」と「前進」を県政の基本姿勢として、繰り返し訪れる新型コロナウイルス感染拡大の波に対応しながら、山積する県政の諸課題の解決に向け、5つの基本政策と3つの横断的な政策に基づく取り組みを全力で進めてきました。
その結果、新たに打ち出した関西との経済連携強化や糖尿病の重症化予防、南海トラフ地震に備えた受援態勢の整備、脱炭素社会の実現を目指すアクションプランなどの取り組みが前進し、一定の手応えを感じています。
今後迎える任期最後の1年は、徹底して成果にこだわりながら、先々の県政にもつながるよう、こうした取り組みをしっかりと軌道に乗せる仕上げの年にしたいと考えています。あわせて、アフターコロナ時代の成長の原動力であるデジタル化、グリーン化、グローバル化という3つの潮流を先取りして進めてきた各施策を一層進化させます。
取り組んできた施策の成果を多くの県民の皆さん、事業者の皆さんに実感していただき、それをもって県の政策へのさらなる共感を得ることで県勢浮揚に向けた取り組みが一層前進し、さらに成果が拡大する。こうした「共感」と「前進」の好循環を生み出すことで県政をより高いステージへと引き上げてまいります。

2 新型コロナウイルス感染症への対応
次に、新型コロナウイルス感染症への対応についてご説明申し上げます。
県内の新規感染者は先月上旬以降、横ばいから上昇に転じており、先週には県独自の対応ステージを「注意」から「警戒」に1段階引き上げました。その後も、昨日までの直近7日間の新たな感染者は、前の週と比べ約1.2倍となるなど、依然として増加傾向が続いており、既に感染の第8波に入ったと言える状況だと捉えております。
こうした状況を受け、インフルエンザとの同時流行や前回の第7波以上の感染拡大に至る事態も想定し、先手先手で医療提供体制の整備と検査、診療体制の確保に努めています。また、これまでの経験を踏まえると、病床逼迫の回避に向けては、高齢者施設などにおけるクラスターの発生防止を図ることが重要なポイントとなります。このため、従事者への集中的な検査や、医療機関による高齢者施設のサポート体制の構築に取り組んでいます。
さらには、感染を食い止め、重症化させないという観点から、県民の皆さんにオミクロン株に対応した新たなワクチンを積極的に接種していただくことが重要です。こうした考えの下、ワクチン接種の安全性と有効性についてあらゆる機会を通じて発信します。
これら一連の取り組みを進めることにより、県民の皆さんの命と健康を守るとともに、感染拡大期にあってもワクチンや検査などを活用して、感染拡大防止と社会経済活動の両立をしっかりと図ってまいりたいと考えています。

3 12月補正予算
今議会では、主に物価高騰や国の総合経済対策への対応のため、総額322億円余りの歳入歳出予算の補正並びに総額51億円余りの債務負担行為の追加及び変更を含む一般会計補正予算案を提出しております。
このうち、「原油価格・物価高騰対策」に関しては、現下の原油価格や物価の高騰による影響を軽減するため、中小企業の資金繰り対策を充実するほか、農業者及び漁業者の燃料や飼料の購入費への支援の拡充、私立学校の電気代への支援を行います。
さらに、影響の長期化を見据えて、新分野への事業展開、あるいはデジタル技術の導入といった構造転換に挑戦する事業者を支援いたします。加えて、農業、水産業関連施設における照明器具のLED化や路線バス事業者の電気バス導入など、省エネルギー化の取り組みを後押しします。
次に、「国の総合経済対策への対応」に関しては、「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」を活用し、四国8の字ネットワークや浦戸湾の三重防護といったインフラ整備を加速します。また、市町村が行う出産、子育てに係る給付や、幼稚園などにおける送迎用バスへの安全装置の設置を支援いたします。
このほか、県立学校の整備などに係る予算を計上しております。

4 経済の活性化
続いて、基本政策の取り組みなどについてご説明申し上げます。まず初めに、経済の活性化についてです。

(1)産業振興計画の推進
県経済は、個人消費を中心に持ち直しの動きが続いているものの、新型コロナウイルスの感染再拡大と物価高騰が今後のリスク要因となっています。このため、まずは物価高騰による影響の軽減を図るなど、足下の経済情勢の変化に切れ目なく対応しなければなりません。
その上で、県経済を持続可能で一段高い成長軌道に乗せていくためには、各産業の足腰をより強くしていく必要があります。特に、新たな時代の成長の原動力であるデジタル、グリーン、グローバルという3つの観点から、生産性の向上やさらなる付加価値の創出に向けた各産業分野の構造転換を一層強力に進めていくことが重要です。
第4期産業振興計画の最終年度となる来年度は、これらの3つの観点の下、社会経済情勢の変化に対応して各施策を強化します。加えて、デジタル化などの取り組みにおける成果の裾野をより多くの県民、事業者に広げながら、各分野の目標達成を目指します。

(2)関西圏との経済連携の強化
関西圏との経済連携については、令和7年の大阪・関西万博の開催を見据え、関西戦略をウィズコロナ、アフターコロナにおける県経済の起爆剤とするべく、外商の抜本強化に取り組んでいます。
このうち、大阪市梅田の新たな商業施設への出店を計画しているアンテナショップについては、10月に施設の運営事業者に対して出店の意思表示を行いました。さらに、関西・高知経済連携強化アドバイザー会議及び関西圏外商強化対策協議会の委員の方々からアドバイスもいただきながら、アンテナショップのコンセプトや機能を含めた基本計画の作成を進めています。今後、この基本計画を年度内に取りまとめるなど、本県の魅力を強力にPRするための拠点施設となるアンテナショップの出店準備を加速させます。
次に、関西圏における本県の認知度向上を目指したプロモーションについては、先月、関西のメディアに対し、私自身が県内の市町村長や酒造組合とともに、県産品や本県観光のPRを行いました。多くのメディア関係者にご参加いただき、テレビや新聞、インターネットの記事に取り上げられるなど、関西圏での本県の露出拡大につながっています。
今後も、市町村、事業者との連携はもとより、関西在住の本県ゆかりの方々にご協力いただきながらオール高知での取り組みを展開し、県産品の外商拡大や観光客の増加といった成果に結びつけます。

(3)デジタル化、グリーン化、グローバル化の取り組み
新たな時代の成長の原動力であるデジタル化、グリーン化、グローバル化という3つの潮流に関する施策については、これまでの取り組みの成果を踏まえ、さらなる進化にチャレンジしたいと考えております。

(デジタル化の取り組み)
1つ目の潮流であるデジタル化に関しては、特に一次産業において事業者の目に見える形でデジタル技術の導入が進んでいます。
このうち、農業分野では、9月からIoPクラウドの本格運用が始まり、データ駆動型農業への本格的な転換に必要な基盤が整いました。今後は、クラウドのデータを活用した最適な栽培管理モデルの構築と併せて、燃油や肥料などの投入量を可視化し、最適化するモデルをつくり上げることにより、収穫量の増加と経費の削減の両立を目指します。
次に林業分野では、森林クラウドの仮運用の開始により、森林資源情報や所有者情報をはじめとする様々なデータを関係者間で共有することが可能となりました。今後は、本格運用に向けて搭載するデータの拡充などを進めるとともに、林業事業体によるクラウドの活用促進を図り、施業の効率化につなげます。
水産業分野では、情報発信システムの運用を来年1月から開始します。これにより、海水の温度や潮の流れ、漁獲データといった漁業者の漁場の選択などに役に立つ様々な情報を一元的かつ分かりやすく伝えることができるようになります。さらに今後は、AIを活用した漁場予測システムや操業による利益をシミュレーションできるツールの開発などを進め、効率的な漁業生産体制への転換を加速させます。
商工業分野では、これまで、産業振興センターと商工会連合会に専門人材を配置し、県内事業者のデジタル化の取り組みを支援してきた結果、デジタル化に取り組む事業者は徐々に増えてまいりました。一方で、国の補助制度の要件の厳しさなどから、必要なソフトウェアの導入やハード整備は十分に進んでおりません。このため、県内事業者の実情を踏まえた県独自の補助制度を創設することとし、必要な予算を今議会に提案しています。
この補助制度も活用して、作業のペーパーレス化、あるいは勤務シフトの自動作成といった業務の効率化、省力化に資するITツールの導入などをこれまで以上に強力に後押しします。さらに、例えば、機械の故障をAIが予測し、部品交換を促すといった保守サービスの開発など、高度なデジタル技術を活用した新たな付加価値の創出を支援することで、事業者の売り上げの向上につなげます。

(グリーン化の取り組み)
2つ目の潮流であるグリーン化に関しては、脱炭素社会推進アクションプランに基づき、「オール高知での取り組み」と「経済と環境の好循環」の2点を特に意識して各施策を進めています。
1点目の「オール高知での取り組み」では、9月に脱炭素シンポジウムを開催するとともに、個人などが楽しみながらCO2削減に取り組める「web版環境パスポート」の運用を開始しました。その後、3カ月で600人を超える方に登録いただいており、引き続き、より多くの県民の皆さんに利用していただけるよう周知に努めます。
また、来年3月に、地球温暖化などの環境問題の解決に貢献する事業に活用する地方債、いわゆるグリーンボンドを四国の自治体で初めて発行することとしました。このグリーンボンドを通じて、県内企業や全国の投資家に本県の環境保全や省エネルギー化などの取り組みを幅広く周知し、脱炭素化に取り組む機運の醸成につなげたいと考えています。
2点目の「経済と環境の好循環」の取り組みでは、豊富な日照量を生かした太陽光発電の拡大を図るため、支援策を強化しました。その結果、本年度は過去4年間の実績の約8倍となる1メガワット程度の太陽光発電の導入が見込まれており、県内事業者において、使用する電力の脱炭素化に向けた動きが加速しています。
さらに、CO2の固定につながる木材利用の拡大に関しては、木造建築物を環境不動産として県独自に評価し、その整備を促進するための仕組みの構築に向けて検討を進めてきました。有識者の検討委員会からの中間報告及びこれに対する関係者からのご意見を踏まえ、今後、不動産取得税の軽減措置なども含めた制度全体の枠組みを構築し、来年4月からスタートさせたいと考えております。
アクションプランの取り組みはまだ始まったばかりであり、県民、事業者の脱炭素に向けた機運をさらに高め、具体的な行動をより力強いものとしていく必要があります。また、環境保全に資する新技術の開発など、イノベーションを通じた経済と環境の好循環の創出にも挑戦し続けなければなりません。引き続き、アクションプランと産業振興計画をしっかりと連携させながら、予算編成などでの議論を通じてさらなる強化策を練り上げていきます。

(グローバル化の取り組み)
3つ目の潮流であるグローバル化に関しては、新型コロナウイルス感染症による社会経済活動への影響が緩和され、県産食材や工業製品などの輸出拡大に向けた環境が整いつつあります。このため、社会経済活動の回復が進むアメリカやフランス、タイ、シンガポールの展示会への出展を積極的に行い、コロナ禍で中断していた対面での営業活動を再開しました。10月には、私自身、韓国で現地企業へのトップセールスを実施し、その結果、土佐酒において新たな取り引きが開始されるといった具体的な成果も生まれています。
引き続き、これらの地域に加え、現在、検疫強化により制約を受けている中国についても状況の改善が図られ次第、積極的な営業活動を展開することで輸出のさらなる拡大につなげます。
また、インバウンド観光についても、水際対策が段階的に緩和され、10月には外国人旅行者を含む入国者数の上限が撤廃されております。こうした動きを見据え、本年度の早い段階から海外旅行会社へのセールスを行い、大阪観光局とともに作成した本県への周遊モデルルートなども活用してプロモーションを展開してきました。その結果、シンガポールの旅行会社による大規模な周遊ツアーが実施されたほか、東南アジアからの複数のツアーが予定されるなど、成果が表れてきております。
今後も増加が見込まれる外国人観光客を着実に呼び込むことができるよう、近県の空港における国際便の再開状況も注視しながら、本県を周遊先とするツアー商品のさらなる造成を目指し、積極的にセールスを行います。あわせて、コロナ禍を受けて一旦休止していた高知龍馬空港の国際線ターミナルビルの整備に向けた検討を再開します。

(4)観光振興の取り組み
次に、国内観光については、本年10月にスタートした全国旅行支援をはじめとする需要喚起策の効果により、県内の主要観光施設の利用者数がコロナ前の水準まで戻るなど、本県観光は着実に回復に向かっております。
今月2日からは高知城を舞台とした大規模な夜間イベント「高知城ひかりの花図鑑」を開催し、最初の週末であった翌3日と4日には多くの方にご来場いただきました。こうしたイベントに加え、本県の魅力である食を中心としたプロモーションを積極的に展開することで切れ目のない誘客を図ります。
さらに、本県観光の起爆剤として期待される連続テレビ小説「らんまん」に関しては、10月に佐川町、越知町などで撮影が行われ、主演の神木隆之介さん、浜辺美波さんが関係先を訪問される姿が大きな話題となりました。私自身もお二人にお会いし、良いドラマにしたいという意気込みを強く感じましたし、来春の放送開始に向けて県民の皆さんの期待も一気に高まってきたのではないかと思います。
こうした機運の高まりを来年3月に開幕を迎える観光博覧会の成功にしっかりとつなげていかなければなりません。引き続き、プロモーションやセールス活動、県内各地の受け皿づくりをスピード感を持って進めるとともに、来年2月からはプレ博覧会を開催し、さらなる盛り上がりを創出します。

5 日本一の健康長寿県づくり
次に、日本一の健康長寿県づくりの取り組みについてご説明申し上げます。

(1)医療福祉分野におけるデジタル化の推進
生活に欠かせない医療機関や介護サービス事業所が限られる中山間地域を数多く抱える本県においてこそ、県民の皆さんの負担軽減と利便性の向上を図るため、医療福祉分野のデジタル化を積極的に進める必要があります。
そのため、これまでも、「高知家@ライン」といった医療と介護の情報をつなぐネットワークシステムの整備やオンライン診療の促進、介護サービス事業所へのICT機器の導入などに取り組んできました。
来年度は、デジタル技術のさらなる活用により、本県の医療、介護、福祉サービスを一層レベルアップさせることができるよう、アプリを活用した県民の健康づくりに加え、在宅療養、在宅介護などに係るデジタル化を促進したいと考えています。また、患者の医療情報を共有するネットワークシステムのマイナンバーカードへの対応にも積極的に取り組み、治療履歴などの情報を活用した適切な医療の提供や県民生活の利便性の向上を目指します。

(2)日本一の健康長寿県構想の推進
第4期日本一の健康長寿県構想については、3つの柱に基づく取り組みを全力で進めております。
1つ目の柱の「健康寿命の延伸に向けた意識醸成と行動変容の促進」では、糖尿病性腎症患者に対し、医療機関と市町村などの保険者が連携して強力に保健指導を行う透析予防強化プログラムの取り組みを進めてきました。現在、4地域10医療機関でプログラムに基づく患者への介入支援が行われており、令和2年度に介入を開始したグループでは非介入者と比べ腎機能の低下が抑えられるなど、個人差はあるものの透析導入時期を5年程度遅らせる可能性が見えてきました。
今後は、さらに多くの医療機関で本プログラムに取り組んでいただきたいと考えており、実施効果の啓発に加え、地域ごとに医療機関と保険者の連携体制の構築を進めます。
2つ目の柱の「地域で支え合う医療・介護・福祉サービス提供体制の確立とネットワークの強化」では、10月に開催したフォーラムにおいて、県内全ての市町村長、社会福祉協議会会長と「高知家地域共生社会推進宣言」を行い、その実現に向けた決意を示しました。
今後は、分野を超えた多機関協働型の包括的な支援体制が早期に全市町村で整備されるよう働きかけを強めることに加え、勉強会の実施や専門アドバイザーの派遣など、きめ細かな伴走支援を通じて市町村による取り組みの実効性の向上に努めます。あわせて、困っている人を見逃さない地域づくりに向けて、多分野、多職種を巻き込んだ支援ネットワークの構築を進めるほか、県民の理解促進と参画意識の醸成に関する広報、啓発の強化を図ります。
3つ目の柱の「子どもたちを守り育てる環境づくり」では、母子健康手帳交付時の面談がほぼ全ての妊産婦に行われ、育児不安を抱える方への支援プランの作成率も9割近くに達するなど、課題を早期に把握し必要な支援につなげられる体制が整いました。また、子育てに関する様々な相談に対応する総合支援拠点の設置や、学校と市町村の児童福祉部門との連携も着実に進んでおります。
今後は、こうした支援体制がより効果的に機能するよう、市町村の母子保健部門と児童福祉部門による一体的な支援プランの作成など、実効性の高い連携と支援の仕組みづくりに向けた施策を強化します。加えて、子育て家庭が抱える不安や孤立の予防につながる対策として、地域のボランティアによる相談や見守りといった住民参加型の子育て支援の充実に取り組みます。

6 教育の充実
次に、教育の充実に関する取り組みについてご説明申し上げます。

(1)学力向上対策など
第2期教育大綱に基づく施策のうち、学力向上対策につきましては、本年度の全国学力・学習状況調査で中学校の数学が全国平均を大きく下回ったことを受け、PDCAサイクルの徹底と授業改善に取り組んでいます。
具体的には、教員研修の充実や指導主事による学校訪問の強化、デジタル教材の活用促進といった取り組みを進めており、現在行っている県版の学力調査により定着状況を確認、分析し、さらなる対策を検討するなど、PDCAサイクルをしっかりと回しながら対応します。
また、各種調査から授業での1人1台タブレットの活用頻度に学校間、あるいは教員間で差があることも明らかとなりました。このため、小学校では、情報教育推進リーダーの認定を受けた教員が、タブレットを効果的に活用した授業づくりについて提案や助言を行う取り組みを進めています。
加えて、今後は、ICT活用研修をさらに充実させるなど、教員一人ひとりの活用力の向上を図ります。
デジタル技術を活用した中山間地域の高等学校などの教育の振興に関しては、教育センターを配信拠点とする遠隔授業を順次拡充してきた結果、生徒の国公立大学への進学や資格取得の拡大につながっています。
さらに、本年度からは遠隔教育システムを用いて、自身が持つ免許以外の教科を教える教員、いわゆる免許外教員を支援する取り組みを開始しました。現在、教育センターに免許を持つ美術教員と技術教員を配置し、中山間地域の3つの小規模中学校を支援しております。
今後も中山間地域の小規模校で学ぶ生徒の多様な教育ニーズに応えられるよう、遠隔教育の充実、拡大に努めます。

(2)不登校への重層的な支援体制の強化
不登校対策については、これまで、不登校担当教員の配置やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの充実、校内適応指導教室の設置といった支援体制の強化に取り組んできました。
こうした取り組みの結果、国の調査によると、不登校の児童生徒が学校内外の機関などから支援を受けている割合は、全国平均が約64パーセントであるのに対し、本県は95パーセントを超えております。このことは、本県においてほとんどの児童生徒が何らかのケアを受けていることを示しており、欠席日数の減少など、一定の成果につながっているものと考えています。
一方で、令和3年度の本県の小中学校における不登校児童生徒数は、1,000人当たり31.2人と、前年度から6.0人増加するとともに、全国平均を5.5人上回り、依然厳しい状況が続いています。加えて、本県はもとより、全国的にも不登校の児童生徒数は増加の一途をたどっていることから、不登校対策については、これまでとは違う視点を取り入れていく必要があると考えております。
このため、来年度に向けては、改めて取り組みの成果と課題を検証し、多様な教育機会の確保といった新たな観点なども加えて、児童生徒の将来の社会的自立につながる実効性ある対策の検討を進めます。

7 南海トラフ地震対策の抜本強化・加速化
次に、南海トラフ地震対策についてご説明申し上げます。
県民の皆さんの自助の取り組みに関する本年度の県民世論調査の速報値が明らかとなりました。
南海トラフ地震による甚大な被害が想定される中、死者数を限りなくゼロに近づけるためには、県民の皆さん自身による命を守る行動が重要です。しかしながら、今回の調査結果では、100パーセントを目指している津波からの早期避難意識率は68パーセントに留まり、依然伸び悩んでいます。そのため、特に引き上げが必要な30歳代、40歳代の多くが利用する動画サイトやSNSを活用し、津波からの早期避難を呼び掛けるなど、対策を一層強化したいと考えております。
さらに、家庭における備蓄も重要となりますが、同じく県民世論調査によると、飲料水の備蓄率は30パーセント台と依然として低い状況です。また、食料品の備蓄率については、本年度の目標を達成したものの、第5期計画の目標である50パーセントを目指してもう一段取り組みを強化する必要があります。このため、量販店と連携して、保存の利く食料を多めに買って、食べた分だけ補充を繰り返す「ローリングストック」といった、各家庭で無理なく備蓄ができる手法に関する啓発を一層推進します。
このほか、進捗が遅れている取り組みについては、その課題を徹底して分析し、改善策を講じるなど、PDCAをしっかりと回しながら、第5期計画の目標達成に向けて各施策をさらに強化します。

8 中山間対策の充実・強化
次に、中山間対策の充実、強化についてご説明申し上げます。
本年度から強化した中山間対策では、各分野において具体的な成果指標を設定し、事業の進捗状況を把握するなど、PDCAサイクルを徹底しながらより実効性を高めた取り組みを進めています。
その結果、集落活動センターの開設が65カ所まで拡充されるなど、住民主体の支え合いの仕組みは着実に広がりつつあります。また、センターの取り組みに至らない小さな集落の維持、活性化に向けた仕組みづくりや、デジタル技術を活用して中山間地域の課題解決を目指す実証事業など、新たな取り組みも進んでいます。
一方で、昨年の集落実態調査の結果で改めて明らかとなったように、地域の担い手不足といった中山間地域の課題はより深刻化しており、依然として住民の皆さんは将来にわたる集落の維持、存続について不安を抱えています。こうした状況を踏まえ、今後は各施策を一層強化するとともに、中山間対策全体の方向性とその将来像を県民の皆さんにしっかりとお示しすることが重要だと考えております。
このため、来年度は、有識者の方々や市町村長などからご意見、ご提案をいただきながら、中山間地域の再興に向けたビジョンづくりを進めます。

(移住促進)
移住促進の取り組みについては、本年10月末時点での本県への移住者数が、702組、対前年同期比107パーセントとなっており、本年度の目標である1,225組の達成に向けて順調に推移しております。
一方で、移住に関するイベントへの参加者数は大きく増えているものの、具体的な移住相談までには至らない方の割合が増え、新規相談者数が減少傾向となっていることが新たな課題として浮かび上がってきています。
相談は移住達成の入り口であり、将来にわたって移住者を増やしていくためには、新たな相談者の獲得が不可欠です。このため、デジタルマーケティングの手法を取り入れるなど、移住を検討している方との接触機会の拡大を図る効果的な方策について検討を進めます。
また、移住者向けの住宅確保などを目的に本年度強化した空き家対策では、7月に開設した空き家相談窓口への相談件数が11月末時点で350件を超え、新聞、テレビでも取り上げられるなど一定の手応えを感じております。引き続き、家族が集まる年末年始といった機会を逃さず、空き家の行く末の決断を促す啓発ツールを活用した取り組みを進めるなど、市町村や地域の方々と連携しながら空き家を掘り起こし、その活用につなげます。

9 女性の活躍の場の拡大
女性の活躍の場の拡大については、これまで女性活躍推進計画に基づき、子育てしながら働く女性を社会全体で支援する仕組みづくりを目指して、全庁を挙げて取り組んできました。その結果、県庁の男性職員の育児休業取得率は、令和2年度に全国2位となり、県内女性の育児中の有業率も全国平均に比べ高い水準にあるなど、一定の成果が表れております。
こうした中、本年6月に国において「女性版骨太の方針」が策定され、女性の活躍と経済的基盤の確立に向け、当面重点的に取り組むべき事項が示されました。本県においても、女性活躍推進計画を基本としながら、「働くことを希望するすべての女性の活躍」に重点を置いたアクションプランを年度内に策定し、取り組みをさらに強化したいと考えております。

10 スポーツの振興
スポーツの振興については、平成30年に策定した第2期スポーツ推進計画が本年度、最終年度となります。これまで、スポーツ参加の拡大、競技力の向上、スポーツを通じた活力ある県づくりの3つを施策の柱とし、地域スポーツハブによるスポーツ機会の提供、全高知チームによる選手強化、プロやアマチュアの大会及び合宿の誘致などに取り組んできました。
その結果、子どもの運動習慣と体力が全国平均まで改善されるとともに、成人のスポーツ実施率は県内全ての地域において上昇傾向にあります。また、東京オリンピック・パラリンピックにおける本県出身選手の活躍に続き、全国、さらには世界で活躍する選手が着実に育ってきているほか、ホストタウン国や国内トップチームの合宿の受け入れなども進んでいます。
一方、子どもたちが身近な地域でスポーツを続けられる環境が十分でないことに加え、成人のスポーツ実施率はなお全国よりも低く、地域によって差が見られます。また、競技力の全体的な底上げが必要であるとともに、スポーツによる県外からの来客数は、コロナ禍以前と比較して大きく落ち込んでいるといった課題も見られます。
こうした課題を踏まえ、来年度からの次期計画では、誰もが身近な地域でスポーツに親しめる場の拡充、全国や世界を目指す選手のさらなる育成、スポーツを通じた地域の活性化、デジタル技術の活用などの視点でさらに施策を強化していきます。

11 その他
(1)土地開発公社の解散
次に、高知県土地開発公社の解散について、ご説明申し上げます。
土地開発公社につきましては、平成27年度の県政運営指針において、廃止を前提にそのあり方を検討する方針をお示しし、平成29年度には公社が抱える負債の清算などを行いました。その上で、公社が国から受託している四国8の字ネットワークの用地取得事業を県が引き継ぐため、5年間公社を存続させ、県職員を派遣することにより当該事業に必要なノウハウの習得を進めてきました。
5年目となる本年度、予定どおり県における受託体制構築の目途が付いたことから、来年3月末をもって土地開発公社を解散するために必要な一連の議案を今議会に提出しております。今後は、土地開発公社が担ってきた事業をしっかりと継承し、必要な用地取得などを進めます。

(2)公正取引委員会による立ち入り検査について
本年10月、県内の地質調査業務を請け負っている測量会社などに対して、談合の疑いで公正取引委員会による立ち入り検査が行われました。
本県では、平成23年にも国と県の発注工事における談合事件があり、官民挙げてコンプライアンスの徹底を図るなど、再発防止に取り組んできました。そうした中、今回、談合の疑いが生じたことは極めて遺憾なことだと考えております。
談合は、公正な競争をゆがめるものであり、法律に違反する行為として決して許されるべきではありません。公正取引委員会の検査結果が出るまでには一定の時間を要するものと見込まれますが、県としても検査に協力し、その推移を見守りながら適切に対応します。
また、前回設けた談合防止対策検討委員会を再度設置し、今月8日に第1回の会議を開催します。この委員会において有識者のご意見をお聞きしながら、今回の事案に至った要因の検証とさらなる再発防止策について先行して議論を進めます。

12 議案
続きまして、今回提案いたしました議案についてご説明申し上げます。
まず予算案は、令和4年度高知県一般会計補正予算など10件です。
条例議案は、職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例議案など7件です。
その他の議案は、高知県が当事者である訴えの提起に関する議案など28件であります。

以上をもちまして、議案提出にあたっての私からの説明を終わらせていただきます。
何とぞご審議の上、適切な議決を賜りますようお願い申し上げます。

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FAX:088-872-5494
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