令和6年1月12日 知事の記者会見

公開日 2024年01月16日

1 能登半島地震に関しての知事の受け止めと、南海トラフ地震の発生に備え、県の対策の見直しについて
2 ベトナム・インドの視察の成果と今後の県政運営への生かし方について
3 政治資金収支報告書不記載により、逮捕者が出たことへの受け止めについて
4 能登半島地震の被災者の県内受け入れについて①
5 能登半島地震の被災者の県内に受け入れについて②
6 災害時の死者、安否不明者の氏名の公表について①
7 災害時の死者、安否不明者の氏名の公表について②
8 大地震が発生した場合の高知県内の幹線道路の分断想定と防止策について
9 県内の過疎地域での防災力・災害対応力について
10 県内の過疎地域の自治体の防災力・災害対応力について
11 能登半島地震の被災者の県内での受け入れと、避難所等での災害関連死防止策について
12 災害関連死防止策について
13 災害時の医療面での対策について
14 能登半島地震の被災者の県内受け入れについて③
15 能登半島地震の被災者の県内に受け入れについて④
16 能登半島地震の発生後の海外出張催行と成人式への不参加の理由について
17能登半島地震の発生を受けて、大阪・関西万博の開催の可否について

 

【知事定例記者会見】「令和6年能登半島地震」に係る高知県の被災地支援の状況[PDF:1MB]

(司会)
 ただ今から、知事記者会見を始めさせていただきます。冒頭、知事から能登半島地震に関して、高知県の被災地支援の状況について説明させていただきます。

(知事)
 それでは、お配りしています資料、モニターに映しております資料をご覧いただきながら、現在の高知県の被災地支援の状況についてのご報告をさせていただければと思います。
 発災後10日余り経ちまして、全国的にこの被災地支援の動きが広がっています。まず県の人的な支援についてまとめております。ちょうど本日から保健活動チーム、保健師などの派遣がスタートしている他、昨日からいわゆる災害派遣医療チーム・DMATの派遣も始まっています。その他、精神医療のチームの派遣などの計画が決まっているところです。
 その他、現在のところ、準備中というところで申しますと、応援職員の派遣、例えば市町村におけます罹災証明の発行ですとか、避難所の運営の支援ですとか、そういった人員の要請ということが必要な場合には、すぐスタートできるように準備を進めてもらいたいという、国からの要請もございました。また、土木関係ですと、被災した宅地や建築物の危険度の判定をする判定士の派遣、これも要請があり次第、派遣ができますように準備を進めているというところです。
 土木関係では、この他に公営住宅への受け入れにつきまして、県内でも県の公営住宅、そして市町村営の住宅を合わせまして58戸、「必要な場合には受け入れができます」ということを国土交通省に対して報告させていただいておりまして、現地からご希望があれば、例えば、たまたまご親戚などが高知県内におられて、近くで住みたいというようなご要望があれば、提供できるように態勢を取っているところです。
 その他、物的な支援としまして、これは調整中ですが、可搬型の浄水装置につきまして、「こういうものが必要であれば提供できます」というオファーをして、石川県の意向を確認中というものがあります。
 そして、その他の支援として、義援金の受付口座を県としても開設しまして、昨日までに2,500万円を超えるご寄付、義援金を県民の皆さんからいただいております。県警関係では、広域救急援助隊の派遣、そして広域警察航空機、航空隊の派遣、こういった形で支援をさせていただいておりますのと、市町村関係で言いますと、トイレトレーラーを高知市が輪島病院に派遣する。そして、給水車の派遣などについても調整・準備中と伺っています。
 関係の団体の動きでございます。競馬組合に関して申しますと、支援レースを開催して、売上の1%、1,000万円程度を義援金として支援する予定であるということ。また、競馬場の中等に募金箱を設置して、県民の皆さんからの義援金を募っていくという動きがございます。また、日赤関係では日赤としての医療コーディネートチームの派遣、救護班の派遣、こういったものの計画を立てて実行に移す予定と伺っています。
 あと、全体として私自身、他県の知事との非公式の情報収集をしている中では、今までのところ、発災直後は比較的近隣の、中部ブロックの各県ないしは地理的に近接している関西広域連合の各県、これが地理的に近いこともありますので、迅速かつ機能的な支援ができるということで、今まで中心になって支援に入ってこられておりますけれども、今後、被災の長期化ということも展望しますと、より全国各地の県で分担して、支援していく必要があるだろうと、だんだんとそういうフェーズに入っていくだろうと予想もされているところでして、そうしたご要請にしっかり応えられるように、高知県としても、市町村などとも連携して準備を進めていきたいと思っております。

(司会)
 それでは、幹事社質問をよろしくお願いいたします。

 能登半島地震に関しての知事の受け止めと、南海トラフ地震の発生に備え、県の対策の見直しについて
(奥村・NHK記者)
 能登半島地震の発生から1週間以上が経ち、死者は200人以上、安否不明者も多数出ています。改めて知事の受け止めをお伺いしたいのと、さらに南海トラフ地震の発生に備えて、改めて県内で対策のお考えがあればお伺いします。

(知事)
 今回の地震によりまして、お亡くなりになられました方々に心から哀悼の意を表したいということ。そして、被災された皆さま方には心からお見舞いを申し上げたいと存じます。
 最近の数字で申しますと200人を超える方が亡くなられたということ。また、安否不明者も約40人、そして、今なお避難の生活を送られている方が2万4,000人といったような形で、大きな被害を生じていると考えております。特に今回被災されました能登地域は、過疎化が進みます中山間あるいは沿岸部の地域ということでもあります。半島地域ということもありまして、また被害の全容の把握に時間を要している状況ではないかと考えますが、本県も南海トラフ地震の発生が切迫しているという状況ですから、今回の能登の状況を見ますと、同じような過疎地域であったり中山間地域、あるいは沿岸部であったりという環境ですので、決して人ごとではないという思いで受け止めております。
 今回起こりましたような建物の倒壊でしたり、道路の損壊、あるいは地域の孤立、津波被害、こういったこともひと度、南海トラフ地震が発生すれば、本県でも必ずや発生するであろう被害だと考えています。そうした意味で、本県の南海トラフ地震対策をさらに強化していくことが必要だろうと受け止めております。
 具体的には、今回は、特に津波というより、むしろ住宅の倒壊、あるいは火災の発生でかなりの犠牲者が出たと。そして、道路の寸断によります孤立があったり、特に初期は物資の不足なども問題になったと思いますので、こうした問題は、おそらく南海トラフ地震が発生した際には共通の課題になっていくだろうと。その意味で、南海トラフ地震対策については本県の場合、3年毎に南海トラフ地震対策の行動計画、今は第5期の行動計画になっております。これを策定して取り組み、順次バージョンアップを図ってまいりましたけれども、全体として、今は救援の対策が優先だと思いますけれども、ある程度落ち着いた段階で今回の能登地震の実情、あるいは課題も改めて我々として把握して、必要な行動計画の見直しをし、必要な対策は加速していくことで対応していかなければいけないと思っております。
 今は令和4年度から令和6年度まで3カ年の、第5期の行動期間中です。これも年何回か推進本部会議を開いて、いわゆるPDCAサイクルを回しておりますけれども、今指示しておりますのは2月県議会でも、おそらく大きな議論になりますので、その前の段階で本部会議も開催して、その時点で集めている情報に基づいて、どういった対策の強化、加速が必要であるかということも、しっかりと詰めたいと思いますし、もう少し時間がかかるものについては、次の第6期になりますけれども、令和7年度以降の行動計画の中での課題と位置づけて対策を取っていくと、そういう2段構えで対策に取り組みたいと考えています。

 ベトナム・インドの視察の成果と今後の県政運営への生かし方について
(奥村・NHK記者)
 もう1点お伺いしたいのが、ベトナムとインドの視察を終わられて、どのような成果があったのかと、併せて、今後の県政運営に今回の視察をどのように生かしていくお考えかをお伺いし す。

(知事)
 全体を通しまして、これまでコロナ禍の影響もありまして、私の1期目の海外への出張はかなり限定的でありましたけれども、今回2期目スタート早々のタイミングでベトナム、インドという、いわば新しい関係を開いていく海外訪問ができましたことは、大変有意義な出張になったと思っています。
 大きく言って2点ありまして、1つは、外国からの人材の受入れの促進という面です。これは両国に共通していまして、ベトナムではラムドン省という省がありますが、ここの人民委員会を表敬訪問して、いわゆる覚書、これは昨年の夏に結んだわけですが、これに基づいて、先方からの着実かつ安定的な人材の送出しをしていただく。そして、本県ではしっかりそれを受け入れていくことに向け、お互い取り組んでいこうということが確認できました。
 具体的に、ラムドン省内のダラットという町ですけれども、そこの短期大学の中に新たに日本語教育センターを設ける。これは土佐電子という本県の会社が取り組みの主体となる予定です が、日本語教育センターを設置する予定ということで、その予定地の視察もできあした。
 インドにおきましても、現実に送出機関として機能しています日本語学校の現場も視察ができました。ホーチミンでも日本語学校に参りまして、両国とも非常に若い方が日本で働きながら 技術を身に付けて自己実現を図っていきたいという思いで非常に熱心に日本語を勉強していただいている。そして、日本での生活に夢、希望を抱いていただいて、頑張っていただいていると いう姿に接しまして、大変心強い思いでした。
 本県は、特に中山間地域を中心に高齢化も進み、人口減少への対応が大きな課題になっているわけですので、ベトナム、インドといったアジアの、まさしく今成長途上にある国の、若い力 をお借りして、高知県をより元気に豊かにしていくことに努力をしたいという思いを強くいたしました。
 もう一つは、外商の促進という面で言いますと、特にインドのタミル・ナド州のチェンナイ市に今回訪問したわけですが、このタミル・ナド州との間でビジネス交流、そして人材交流も含めたMOU、覚書ですが、この締結を今回できたということでして、より具体的な外商の動きとしましては、ちょうど私の滞在中、それに合わせて今回インドに参ったわけですが、タミル・ナド州で開催されました「グローバルインベスターズ・ミート」という投資家向けの大規模イベントがございました。この中で、本県主催の防災インフラ技術のセミナーを行いまして、県内の企業2社が、各社の防災の技術、例えば杭打ちとか堤防の強化であったり、災害時の仮設橋の設置だったり、こうした具体的な海外での施工の実績も含めた報告を、この2社からしていただきまして、200名を超える参加者が熱心に、これに耳を傾けていただいたということがございました。
 現実にこの2社は、東南アジアを中心に既に海外展開をされておりますけれども、これが十分、インドでも必要な需要を満たしていける可能性は大いにあるという感触も得ましたし、そういった形でさらに、いわゆる地産外商活動、外国へのグローバルな活動ということについても、これを機に、さらに強化ができればありがたいという思いでまいりました。

 政治資金収支報告書不記載により、逮捕者が出たことへの受け止めについて
(鈴田・共同通信社記者)
 政治資金の関連で伺います。一連の政治資金収支報告書の問題では、逮捕者が出る事態になりました。その中で、証拠隠滅があったのではないかという報道もあります。県議会では、先月、再発防止を求める意見書が出されていますけれども、改めて知事の受け止めをお聞かせください。

(知事)
 今回の政治資金の問題は全容が明らかになっていない、まだ解明が進んでいる途上だということだと思います。そうした中でも、現職の国会議員の逮捕に至ったということは、大変遺憾なことだと思います。これは以前にも話しましたけれども、政治資金は民主主義のコストということでもあります。そういう意味で、非課税という形で税制上の優遇はされる一方で、しっかりと透明性を確保していくために収支の公開の制度が取られ、国民の皆さんに資金の集め方、使い方をつまびらかにしていく。こういう趣旨で成り立っている制度だと思います。この制度の根底には、収支をありのままに報告書に記載して、国民の皆さんに公開するということがあるはずでして、この基本の基本ができていなかったということですから、その点、大変遺憾なことだと思います。今回の事案に関して言いますと、東京地検では、議員の共謀を問えるのではないかという判断のもとに、捜査を進められているのではないかと思います。
 こうした一連の事案を踏まえまして、国民の皆さんの政治への不信感、非常に強まっているということだと思います。いろいろな厳しい経済環境の中で、国民の皆さんの負担を伴うような施策を展開しなければいけない中ですから、国においては早期に信頼回復、まずは真相解明ということだと思いますけれども、真相を解明し、それを踏まえて、どう再発防止をしていくかということについて、しっかり議論し成案を得ていただくことが最優先だと思っています。
 そうした形で、国民の皆さんの政治への信頼回復ということにぜひ努めていただきたいと思います。その具体的な中身については、議論が始まったところだと思いますけれども、私自身は兼ねて申し上げておりますように、ひとつは、あり方として例えば収支の公開基準の見直しとか、企業団体献金のあり方、こういった規制の中身を強化していくという議論は行われるのだと思いますけれども、これはこれとして、私も否定はいたしませんけれども、今回の事案はそういったところ以前に、決められたルールにしっかり従って収支を公開するというところが抜けていた。そこが疎かにされていた、ないがしろにされていたというわけですから、いくらりっぱな規制を作っても守らなければ意味がないわけでして、そこを実際に守ってもらえる、守らせるという実効性を上げていくことのために、どういう手段が必要かというところが議論の中心であるべきではないかなという思いを持っています。
 その意味では、いろいろな罰則を強化するとか、いわゆる連座制も強化して、ルール違反をした場合には、「それが割に合わないんだ」と、「大きなペナルティを食らうんだ」というような制度設計を考えていく方が、まず事態の真相究明をした上で、再発防止策という考えの中では、そういう観点からの対策というのが、最も、まさしく意味がある。今回の事案を踏まえて意味がある中身になるのではないかという思いを持って、注視してまいりたいと思っております。

(司会)
 それでは、各社からの質疑に移ります。質問をされる方は挙手をして、社名とお名前を発言してから質問をお願いします。

 能登半島地震の被災者の県内受け入れについて①
(井上・高知新聞社記者)
 能登半島地震に関して2点お伺いします。
 まず1点目ですけれども、知事が説明された被災者の本県での受け入れについてですけれども、58戸の公営住宅が準備されているということでしたが、もうちょっと細かく、どういった方 が受け入れの対象になるであったり、利用期間、それから家賃の考え方、そういったところについてお伺いします。

(知事)
 これについては、事務方に確認いただければと思いますけれども、今報告を受けておりますのは、県営住宅で2戸、市町村営住宅で56戸ということで、これはすぐに対応可能な戸数とし て、国交省に報告しているという報告を受けております。このたぐいの災害時の受け入れに関しては、料金ですとか、受け入れについて一定のルールがあると思っておりますので、そうした ルールも踏まえて、できる限り被災者の方の便宜が図れるような方向で、県としても対応をしていきたいと考えています。

 能登半島地震の被災者の県内に受け入れについて②
(井上・高知新聞社記者)
 戸数というのは、今直ちに準備できるのが58戸ということで、今後必要とあれば、また拡充というか広げていくという考えもあるのでしょうか。

(知事)
 それの余地はあり得る数字だと考えています。

 災害時の死者、安否不明者の氏名の公表について①
(井上・高知新聞社記者)
 2点目ですが、今回の能登半島地震も含めてですけれども、災害時の亡くなられた死者の方や安否行方不明者の氏名の公表についてお伺いします。
 安否不明者に関しては、昨年国の指針が示されて、原則公表という指針がありますが、亡くなられた方に関しては、まだ自治体に任せられていて、今回の被災地でも、遺族の同意を得るよ うな行政職員のマンパワー不足も課題となっております。改めて、南海トラフ地震も念頭に、高知県としての対応の考え方をお伺いするのと、また、国に新たな指針の策定などを求めることがあれば併せてお答えください。

(知事)
 まず、安否不明者に関しましては、詳細はまだ存じておりませんけども、今回石川県で取り組まれて、かなり大きな成果も上げられているのではないかと、報道などではそういう印象を受けております。こちらについては、今回石川県でもそうでしたし、国の指針も、いわゆるご家族の同意なしに、いわば生命の安全の確保という観点から、同意がなくても自治体の判断として公表していくということで公表されていると思います。現実にも今回、より明らかになったと思うのですけれども、例えば建物が崩壊して生き埋めの恐れがあるということで捜索活動をやるという中で、もしかしたら、そこにいるかもしれない方がたまたま外出をして無事かもしれない。それでもはっきりしないので捜索活動をしないといけないという時に、ああした形で、当面の安否不明ということで名前を公表して、もしご本人が別のところでご健在であれば、手を上げて申告していただければ、その捜索はストップできて、他の捜索に労力を回せるわけですから、そういう意味でも迅速かつ効率的な捜索活動をするという意味で、大変意味は大きいと思います。これについては、本県も、これもある程度、落ち着いてからということになると思いますけれども、石川県におけます対応の状況も、これをまたスムーズに動かすには現場では市町村で把握して、県と連携を取って、県を窓口にして公表していくことになりますから、どうやった形でやればスムーズに動くかといったことも含めて、今回の石川県の事例等も勉強させていただいて、効率的な、また効果的な形で運用が、将来高知県で必要ならばできるように、よりマニュアルレベルと言うのでしょうか、実際の対応レベルの的確なマニュアルづくりと言うのでしょうか、そういうところも含めて対応をしていきたいと思います。
 一方で亡くなられた方に関しては、これは我々としても、基本がやはりご遺族、ご家族の同意をいただいて、氏名を公表するというのが原則だと考えておりまして、その場合、全くフラットに公表しますかしませんか、選んでくださいということではなくて、県としては公表したいと思っている。だから、同意をお願いしますというスタンスで、これも具体的には市町村に当っていただく場合が多いと思いますけれども、そういうスタンスの下にご遺族の意向確認をして、できる限り公表していきたいということで対応したいと思っています。
 この点は、より国において明確な対応の指針、方向性が示されることが、本来望ましいと思っておりまして、その点は引き続き国に対しても、機会を捉えて意見を申し上げたいと思っています。

 災害時の死者、安否不明者の氏名の公表について②
(井上・高知新聞社記者)
 なお確認ですけれども、亡くなられた方の氏名について、県としては公表したいというスタンスでという話がありましたが、この理由についても、やはり迅速・効率的な捜索活動につながるという、そういった意味でしょうか。

(知事)
 それはおそらく安否不明者ほど一義的に明白ではないかもしれませんけれども、一つにはやはり捜索活動の便宜ということもあろうかと思いますし、哲学的に言えば、これは国民の皆さん、県民の皆さんからの税金をいただいて、これを原資として活動している公の活動ですから、また、国民の皆さん、県民の皆さんの関心の高いであろう事、さらに言えば、いろいろな事後の検証などの中で、災害による死亡者の発生防止というためには、どういう対策を取ればいいのかというところを調査研究していく際にも、氏名の公表がされている方が、いろいろな究明がしやすいであろうと、そういったこともありますので、総合的に考えた場合には、県としてはできることであれば、基本的な方向としては、遺族のご同意をいただいて、公表することが望ましい、そうしたいという基本スタンスに立った上で、遺族のご意向を確認する。同意を得るということを基本に対応すべきではないかと考えているということです。

 大地震が発生した場合の高知県内の幹線道路の分断想定と防止策について
(今林・朝日新聞社記者)
 今回の能登半島地震でさまざまな問題や課題が浮き彫りになったと思うのですが、その点について、高知県の現状を踏まえ、知事のお考えを少しお聞きしたいと思います。
 まず、知事が先ほどお話された幹線道路の分断というのがこの地震でもありまして、分断によって、いわゆる人命が非常に左右される72時間の間に、そういった物資とか、あるいは安否確認とかそういったものができないという状況がありました。
 高知県もこのような規模の地震が起こった場合、そういったことが起こると考えられますかというのがまずひとつです。その理由と、それを防ぐためには何が必要なのか考えていらっしゃるか、お聞きできたらと思います。

(知事)
 一言で言いまして中山間地域であったり海岸沿いであったり、そうした地形的な要因なども考えました時に、能登半島で今回起こったことは決して人ごとではない、高知県内でも起こり うる、ある程度は少なくとも起こるであろうと、この震度6弱6強以上というような強い地震が起きた場合には、そうしたことを想定しなければいけないだろうと思います。そこは先ほど申しました地形的なもの。そして過疎化が進んでいるという地域の実情も、大変ある意味類似していることがあるということだと思います。
 対策としてはハード、ソフト両面があると思います。ハード面では例えば道路の落石などの法面対策というのでしょうか、そういったことを防止するといった対策、ハード面から、そうした道路の安全性を高める、防災機能を高めていくというインフラ整備を進めていくということが一つはあると思います。
 ただ、これは予算の制約もありまして、かなり時間、あるいは人員を要することですから、なかなかすぐにこれを理想の姿まで持っていくのは、正直難しい面があると思いますので、当面は限られた予算の中で、優先度の高いところから、いかに順次これを進めていくかということだと思います。それをどう加速できるかということについては、今回の能登の事例なども研究させていただきながら、例えば今回のような、いざ大きな災害が起こった時に、孤立防止という面から非常に重要な道路の整備の事業を、事前にある程度あぶり出しをし、スクリーニングをして、それについては少し優先的に加速して整備の促進ができるような、そんな仕組みができないかというようなことを、財源内も含めて研究して、これは県だけではなかなかできないと思いますから、成案ができれば、国に対してそれを提言していくことも視野に、今回の事例も含めて研究を進めていきたいと。ちょっと時間かかるかもしれませんけれど、そう思います。
 それが一定時間がかかるということで考えますと、やはり当面はソフトの対策として、例えば道路の、そうした時の啓開の計画とか、各市町村における支援を受ける受援のための計画、こういった計画づくりはかなり進んでおりますので、これが実効性をもって行われるように、いろいろな訓練だったり、資機材の整備であったり、こういうことを加速していくことが大事だと思います。より具体的な取り組みとしては、今までいろいろな災害対応の物資を、県内でも物資拠点のところに集中して備蓄する体制を取っておりましたけれども、今回のような孤立の状況を見ますと、できるだけこれを分散させて、より住民の皆さんに近い、市町村のレベルで備蓄していくところにウエイトを移していくというような対応も、あらかじめしておくということが有効ではないかというような議論は、ちょうど始めたところでしたので、こういった議論も加速して、ソフト面での当面の対応ということも、実効性を上げていくということがポイントだと思っております。

 県内の過疎地域での防災力・災害対応力について
(今林・朝日新聞社記者)
 今回特徴的なのは、過疎地の自治体で、なおかつ高齢者率が5割程度の高い地域で、非常にそういった被害を受けているところが目立ちます。その一つの理由として上げられるのが、いわゆる住民の担い手、集落の担い手がいなくなって、いわゆる住民同士の共助という力が、もう劣ってきているのではないかという考え方もあるのですが、知事はその点についてはどのようにお考えになっていらっしゃるのでしょうか。
 今回、高知県もそういった過疎地とか高齢化率が高い基礎自治体を抱えていらっしゃると思うのですが、それに対してどういった対応を考えていらっしゃるのかお聞きします。

(知事)
 特に過疎地域は高齢化も進んでおりまして、地域社会の機能の全体が、かつてに比べるといろいろな意味で低下していると、このことが影響を及ぼしているのではないかというのは、なお、検証は必要だと思いますけれども、大きな方向性としては、私も同じような問題意識を持っております。これもそういう意味ではハード面、ソフト面がありまして、ハード面では、今回津波というよりは建物の倒壊で、かなり亡くなられた方が多かったように思いますので、これも今までの南海トラフの行動計画の中で重点施策、重点課題の一丁目一番地として住宅の耐震化を進めております。これはおおむね計画どおりに進捗しておりますけれども、これを着実に、あるいは加速させていくことが一つのハード面での課題だと思います。
 ソフト面では、高齢者や障害をお持ちの方といった、要配慮者の方々の個別避難の計画です。これも今鋭意整備を進めておりますので、これも加速していくことがソフト面での課題だと思います。
 もう一つは、ある意味大変重い課題でして、地域の共助というのですか、地域社会の支え合い、助け合いの機能が、地域の過疎化であったり、人口減少、高齢化、そういったことで弱まっているのではないかというところは確かに、例えば一つの形として言いますと、地域の自主防災組織の活動が、ある意味停滞したり、かつてほどの活発な活動はされてないというような指摘もあるところです。これもなかなかこれといっての特効薬は、正直ない部分はあるかと思いますが、防災の局面で言いますと市町村だけではなくて、県の地域本部などもいろいろな形で地域の自主防災組織の活性化に一役買えないかというようなこと。そして、やはり常日頃の、若い方がもっと地域に入ってきていただける努力が大事だと思いますので、地域おこし協力隊の方、あるいは防災士の資格を持っておられる方が住民の方がされるような自主防災活動に参画してもらえるように働きかけをしていくような取り組み。
 さらに広くいえば、これも今回、今中山間地域の再興ビジョンを作っておりますけれども、こうした中で、中山間地域に一言で言うと若い力を入れていくことで、地域力というのでしょうか、地域の支え合いの力を、そういう側面からも強化していくことが、この防災の面でも、結果的に大きな役割を果たし得るのではないかという問題意識を持っております。

 県内の過疎地域の自治体の防災力・災害対応力について
(今林・朝日新聞社記者)
 今のお話は住民の協力などについて、いかにアプローチしていくかというお話だったと思うのですが、さらに、いわゆるそういった過疎地域の基礎自治体自身が防災力、あるいは発生時の対応、力っていうのが少し劣っているように、なかなか厳しいような状況にあろうかと思うのですが、その点、知事はどのように考えていらっしゃいますか。

(知事)
 過疎地域の市町村、一般的に人口も少ないですから、市町村職員も人数が少ない、限定されている。また、ある意味で言いますと、専門性というのですか、そういうところを備えた職員の養成がしにくい状況があるというのは事実だと思います。そうしたところへ今回のような非常に大きな強い災害、地震などが起こった場合、私大阪にいた時に思いましたけど、大都市部ですら、人口30万人の高槻市とか茨木市というところですら、パニック状態になってしまうことがあります。まして過疎地域の小規模な職員も限られた市町村になると、なかなか発災直後は、いわゆる機能不全に陥ってしまう恐れは、かなり高いということは覚悟しておかなければいけないことだと思います。
 であればこそ、まずは受援の計画です。市町村以外、あるいは県外などからの支援をどうスムーズに受け入れていくかというところの計画づくり、これは優先して進めて欲しいということで、これは大体計画ができてきております。
 ただ、いわゆる保健衛生の分野が、コロナの影響もあって遅れてきているということでありますから、そこの計画づくりを来年度までには終わらせるということを今の行動計画に掲げておりますので、これをまずしっかりやって、訓練などで実効性を担保していくことだと思います。より具体的な対応としては、今回も、これもまたある程度落ち着けばということですが、能登の対応などを見ましても、やはりある程度、他県も含めて、県レベルの職員であったり、あるいは大きな市町村の職員が今、対口支援というような形で、1対1で支援をするような体制を、割と早い段階からとっております。そうした形でほとんど現場の過疎の市町村が、いわば、パニック状態で何をどうすればいいのか分からないという状況だとすると、ある程度経験を持っている県レベル、あるいは大きな市レベルの、それなりの判断もできる、スキルもある職員を早い段階で送り込んで、そこで数々の仕事のさばきをやっていける体制を、これは県だけではなかなかできませんが、全国的な、いわば課題として、そういう体制を早く取っていくための事前の準備というようなことも必要なのではないかという印象を今持っております。

 能登半島地震の被災者の県内での受け入れと、避難所等での災害関連死防止策について
(古谷・読売新聞社記者)
 都道府県によっては、いわゆる広域避難を受け入れるという部分もあるようですけれども、先ほど知事のおっしゃった58戸というのは、みなし仮設を準備するという理解でいいのかということ。それから、避難所で災害関連死が10人ぐらい出たりとか、劣悪な環境が問題になっている中で、同じような状況が当然、高知県も避難所をつくる中で考えられることなのですけれど、病院も水没して、治療がすぐ受けられない時もあると思いますが、南海トラフに備えて災害関連死を防ぐことについて、考えていらっしゃることがあればお伺いします。

(知事)
 前段は、私の理解では、いわゆるみなし仮設ではなくて、いわゆる公営住宅で、今県なり市町村が持っている公営住宅の空き部屋を提供させていただくという話だと思います。みなし仮設というと、民間の借り上げということではないかと思いますが、そういうことではなくて、県なり市町村が持っている住宅の提供と私は受け止めております。
 もう一つは、避難所の中で、特に福祉避難所の整備も含めた対応ということで、これも今から能登でも、いよいよ問題としてかなり顕在化してくるのではないかと思っておりますので、能登の状況というのもよく情報収集して対応を考えなければいけない部分はあると思います。まずは、今の行動計画の中で考えております福祉避難所の確保、具体的な福祉施設などにご協力をいただいて、いざという場合に受け入れていただく枠を設けておいていただくことになろうかと思います。これを、まずは、計画に沿って確保していくことが先決だと思いますけれども、今各施設も非常に人手不足、人材難ということもあって、なかなかゆとりがないこともあると思いますので、だとしますと、これはおそらく高知県だけの課題ということではないと思いますから、そういった制度的に、全国で手当てをしなければいけない問題というのもあり得るのではないかという問題意識は持っていまして、そういった点については、今回の能登の教訓なども踏まえて、必要に応じて全国知事会などでの議論も踏まえて、国に対して提言・要望していくべき部分もあるのではないかと思っております。

 災害関連死防止策について
(古谷・読売新聞社記者)
 今の段階で災害関連死を防ぐために、一番必要なことは何だとお感じになられていますか。

(知事)
 福祉避難所まで行かなくても、ということで言いますと、やはり避難所におきます、より快適ということではないかもしれませんけれども、適切な避難環境の整備ではないかと思います。特にこの季節ですと、寒さから持病が悪化して、災害関連死に結びつく蓋然性も高いと思います。例えば避難所でもできるだけ床にじかに寝るのではなくて、段ボールのベッドのようなものも備蓄して、体温の低下を防げるような環境をつくっていくというのが一例ではないかと思います。そうした形も含めて、より被災者の心身の健康保持という観点から必要な環境の整備について、できることをやっていくということではないかと思います。

 災害時の医療面での対策について
(古谷・読売新聞社記者)
 医療崩壊という部分も想定されていますけれども、災害関連死を防がないといけない中で、そういう医療面での対策について伺います。

(知事)
 医療面というのは、いわゆる外科的なっていうことですか。

(古谷・読売新聞社記者)
 例えばDMATの派遣などあると思うのですけれど、県内の多くの病院が浸水してしまう恐れがある中で、多分計画は立てていらっしゃる思いますけど、例えば医療従事者の確保など、マンパワーの部分で何が一番難しくなると思いますか。

(知事)
 今回、高知県からもDMATの派遣が行われるわけですけれども、災害時ということになりますと、もう県内だけでは完結できないと思いますから、逆に南海トラフというような状況になれば、全国的なDMATの支援というところも含めて、特に医療関係の支援を受ける体制といいますか、それを確保することが大事なポイントだと思います。そのためにも平常時からDMATの養成ですね、これを強化していくところが大きな課題の一つだと思います。その重要性が改めて今回明らかになったということではないかと思っております。

 能登半島地震の被災者の県内受け入れについて③
(古谷・読売新聞社記者)
 もう一点確認させてください。一番最初におっしゃった部分ですけれども、58戸は、これは要するに、一時的な避難場所として提供するという意味合いであって、被災者のための住宅として提供するという位置づけではないということでしょうか。

(知事)
 そこが一時的か住宅かというところの線引きは少し事務的に私も今すぐに分からないところはありますけれども、いずれ直接的な避難所ではなくて二次避難というところに局面が移っているということの中で、例えば高知県内にお知り合いがおられて、もうそれであればいっそのこと高知県で暮らしたいという方がおられた場合の、受け皿になる場所ということだと受け止めています。そういう意味では、一定程度の期間は住まわれるということが前提の、それができるという前提の手当てということだと思っております。

 能登半島地震の被災者の県内に受け入れについて④
(古谷・読売新聞社記者)
 みなしという言葉を使う使わないは別として、住宅として提供したいということですか。

(知事)
 まさしく公営住宅ですから。

(古谷・読売新聞社記者)
 分かりました、ありがとうございました。

能登半島地震の発生後の海外出張催行と成人式への不参加の理由について
(中田・高知民報記者)
 ベトナム、インド訪問のお話がありましたけれども、1日に震災があって、予定は変えるのではないかと思った向きも結構あったのですけれども、行かれまして、結構そこに意外というか、「えっ」といった話も聞きますけれども、何か日程変更するというような選択肢はなかったのかということ。
 それと高知市の成人式も、歴代知事はずっと参加してきているわけですけれども、それは、はなから行かないということで、今回ベトナム訪問を組まれているわけですが、若者に対して直接語り掛ける絶好の機会をみすみす逃すというか、高知に残ってくださいというビデオを会場で流していましたけれども、せっかくのお話が、何かちょっとざわついたというか、集中力も切れた感じにもなったように会場で見えました。なぜ直接成年に問いかける機会を逃す選択をしたのかという理由を伺います。

(知事)
 そこはもう残念ながら私も体が一つしかありませんので、いろいろ総合的に考えた上で今回は海外出張の方を選択したというのが答えです。成人式に関してはおっしゃるとおりでありますけれども、ここ数年コロナの影響もありまして、結果的にビデオメッセージに代えたケースもかなり多かったということもありますけれども、今回、主な要因としては、先ほど申しましたこのタイミングで何でインドのタミル・ナド州にお伺いしたかというと、先方とのいろいろなやり取りの中で、今回、覚書を締結するとすると、彼らにとって今回のタイミングであった「グローバル・インベスターズ・ミート」というかなり大きな見本市的な要素も含めた、投資家向けの経済イベントでしたけれども、ここにぜひ合わせて訪問してもらいたいと。実際、向こうの工業大臣も連日一緒に覚書のお披露目なども参加いただいたということでしたから、今回のインド出張は、日程的にはそういう必然性があったということがあります。
 ちょうど元日に能登の地震もあり、また翌日羽田空港の事故もありという、現実に出発の4日は羽田空港の事故の影響で2、3時間予定が遅れるということはありましたけれども、ただ、総合的に判断した中で、被災地能登からいえば距離はありますし、その時点でのいろいろな情報の中でも、当面は各県レベルの対応は、中部の知事会なり関西広域連合というところを中心に行われ、必要があれば私は指示ができるような連絡体制はとっておりましたから、今回の海外出張も、これを逃すとまたしばらくチャンスがないということもありましたから、海外出張は予定どおり行こうということにさせていただきました。

 能登半島地震の発生を受けて、大阪・関西万博の開催の可否について
(中田・高知民報記者)
 この震災を受けて関西戦略と密接な関わりがある万博が、「万博はやめろ」と言う話や「延期せよ」という話が急速にまたさらに強まっております。「資材は被災地に回せ」と、「もう万博どころか」という話が、今ものすごく出てきているわけですけれども、そこはいかがですか。今までも万博の開催が困難な状況なのが、さらに大変な状況になると思いますが、その中で万博が国民の共感を得て開かれるようになると思いますか。

(知事)
 今回の震災と万博との関係でそういうお声があるというのは、正直今初めてお聞きしましたけれども、そこは万博は国家行事でもありますから、いろいろなことを勘案して国で総合的に判断されるべき問題だと思います。確かに、この瞬間、能登の大きな被災状況というのは、いろいろ考慮しなければいけない大きなポイントだとは思いますけれども、万博も来年春の話ですから、そういった意味ではタイミングや建設産業への影響といったものは総合的に、しかし一方で、国家行事として経済の活性化が大きな期待をされる機能というのもあるわけでしょうから、そういったものをトータルして、国で適切に判断していただくべき問題だと思います。

(中田・高知民報記者)
 知事としたら国家的行事だから、やるべきだということなのでしょうか。

(知事)
 現時点で、延期や中止という判断をする材料が揃っていると思わないということです。

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