令和6年2月21日 令和6年2月県議会での知事提案説明

公開日 2024年02月21日

令和6年2月21日 令和6年2月県議会での知事提案説明

1 県政運営の基本姿勢
2 人口減少対策
3 いきいきと仕事ができる高知
(1)第5期産業振興計画の策定
(2)地産外商の取り組み
(3)イノベーションの取り組み
4 いきいきと生活ができる高知
(1)日本一の健康長寿県構想づくり
(2)教育の充実
(3)文化芸術とスポーツの振興
(4)その他
5 安全・安心な高知
(1)南海トラフ地震対策
(2)インフラの充実と有効活用
6 議案

1 県政運営の基本姿勢

昨年は、新型コロナウイルス感染症の5類感染症への移行によりコロナ禍への対応は大きな転換点を迎え、全国的に社会経済活動の正常化に向けた動きが加速しました。加えて、本県では連続テレビ小説「らんまん」の放送や台湾からの定期チャーター便の就航も追い風となり、県経済の本格的な回復への歩みを進めた1年であったと捉えています。
来る令和6年度は、知事としての2期目が実質的にスタートする年となります。公約に掲げた私が思い描く高知県像を実現するべく、取り組みのギアを上げ、ロケットスタートを切りたいと考えます。一方で、長引く物価の高騰がもたらす県民や事業者の皆さんへの影響を注視し、しっかりと対策を講じます。
そして何より、県政の最重要課題である人口減少の克服に向けて道筋をつけ、高知の未来を切り開いていく、その新しい一歩を踏み出す1年にしたいと考えます。
そのためにも、引き続き「共感と前進」を県政運営の基本姿勢として、県民の皆さんとの対話を通じて県政に対する共感をいただく。そして課題の解決に向けて前進し、成果を上げることで県政をより一層進化させます。
これまで「濵田が参りました」などにおいて、様々な現場の声をお聞きしてきました。来年度は、市町村をはじめ、先進的な取り組みを行う企業や団体を訪問するほか、若者と意見交換を行うなど、県政の重要テーマに関してお話を聞かせていただく機会を設けたいと考えます。そして、いただいた県民の皆さんの声をより一層県政に反映するよう努めます。
また、県政の進化にあたっては、新たな時代の潮流であるデジタル化、グリーン化、グローバル化を先取りし、産業、生活、行政の各分野にわたる施策を絶えず更新していきます。
デジタル化については、AIやIoTなどのデジタル技術が急速に発展し、かつ、こうした技術の低価格化や汎用化が進み、日常生活に着実に普及してきています。また、デジタル技術は先進国のみならず途上国にまで広がっており、地球規模で距離的な制約が取り払われつつあります。こうした動きをしっかりと捉え、大都市部からの遠隔地というハンディの克服、AIを活用した様々な課題の解決、ドローンなどの最新技術を駆使した業務の省力化や産業の高付加価値化といった観点から各分野の取り組みを強化します。
グリーン化については、地球温暖化の進行に歯止めがかかっておらず、洪水や干ばつ、酷暑といった異常気象が世界で頻発しており、脱炭素への対応は人類共通の課題となっています。こうした中、本県の強みである豊かな自然資源を生かした森林吸収源対策や再生可能エネルギーの利用拡大といった取り組みを通じてCO2の削減と経済の活性化を一層進めます。同時に、脱炭素化に資する製品や技術の開発に挑戦し、「経済と環境の好循環」の創出を目指します。
グローバル化については、様々な分野での技術進歩もあり、国境を越えて経済的、社会的な結び付きがますます強まっています。加えて、コロナ禍において低迷していた世界経済は堅調に回復を続けており、東南アジアをはじめとした新興国の経済は飛躍的に成長しています。人口減少に伴う国内市場の縮小を見据え、こうした世界の動向を県経済に取り込み、県産品の輸出拡大やインバウンド観光の振興といった取り組みをさらに充実させ、持続的な経済成長を実現します。
このように世界的な新たな時代の潮流をつかみ取り、県政の諸課題を解決していくためには、これまで以上に斬新で柔軟な発想に基づいた政策を立案する必要があります。加えて、人口減少問題をはじめとして、複数の分野にまたがり、全庁的な対応が必要な課題が増えており、部局横断的な取り組みがより一層求められています。このため、県政の司令塔として新たに「総合企画部」を設置し、政策立案機能と総合調整機能をさらに強化したいと考えます。
今後も私自身が先頭に立ち、県民の皆さんと心を一つにして幾多の県政課題を乗り越え、その先にある、元気で豊かな、そしてあったかい高知県を実現し、次世代に引き継いでいけるよう全力で挑戦を重ねてまいります。
 
県政における最重要かつ喫緊の課題は、本県の将来を左右する人口減少への対応です。
本県では、若年人口、とりわけ女性の若年人口の減少に伴って婚姻件数や出生数が減り、さらなる若年人口の減少を招くという負の連鎖が生じています。先月公表した昨年の出生数は速報値で過去最低の3,380人と、2年続けて大幅に減少しており、この状況はもはや一過性のものではなく、少子化傾向がますます加速しているという厳しい現実を突き付けられました。
こうした状況から脱却するためには、若年人口の減少を何としても食い止め、持続可能な人口構造へと転換していかなければなりません。その際には、第一に、地産外商や観光振興といった取り組みによる「いきいきと仕事ができる高知」。第二に、教育の振興や子育て支援などを通じた「いきいきと生活ができる高知」。第三に、南海トラフ地震対策やインフラ整備による「安全・安心な高知」。これら目指すべき3つの高知県像の実現に向けて、総合的に施策を展開することが必要です。
こうした考え方を踏まえ、現在の「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を全面的に改定し、本県の人口減少対策のマスタープランとなる「高知県元気な未来創造戦略」を策定することとしました。
この戦略に基づき、4、5年後までに若年人口の減少傾向に歯止めをかけ、概ね10年後には現在の水準まで回復させることを目指して不退転の決意で人口減少対策に取り組みます。具体的には、戦略に掲げた3つの柱ごとに明確な数値目標を定めて施策を展開します。
1つ目は、「魅力ある仕事をつくり、若者の定着につなげる」取り組みです。若年人口の増加に向けては、産業振興の取り組みを通じた若者にとって魅力ある仕事の創出と、県内就職の促進などによる若者を中心とした人材の確保が欠かせません。このため、依然として全国下位にある一人当たりの県民所得を押し上げることができるよう、デジタル化や省力化などを通じて各産業分野における生産性向上を強力に支援し、事業者の賃上げにつながる環境をつくり出します。また、これまで男性中心の職場と考えられてきた建設業や一次産業においても女性の進出が進むよう、デジタル技術の導入を促進するほか、女性が働きやすい環境の整備への支援を行います。
こうした魅力ある仕事づくりに合わせて、県内で就職した若者の奨学金返還を企業とともに支援する制度の創設などにより、若者の県内就職の促進と定着を図ります。あわせて、移住の促進や外国人材の受け入れといった人材確保の取り組みを強化します。
2つ目は、婚姻数の増加を図るため、出会いや結婚をしっかりと後押しし、「結婚の希望をかなえる」取り組みです。具体的には、こうち出会いサポートセンターにおいて、民間の結婚相談所との連携協力体制を新たに構築するほか、県東部と西部にサテライトを開設し、特に中山間地域において多様な交流機会を創出します。
3つ目は、出生率の向上を目指して、「こどもを生み、育てたい希望をかなえる」取り組みです。具体的には、不妊治療助成のあり方をはじめ、「妊活」を社会全体で応援する施策の充実に向けた検討を進めます。加えて、出産や子育ての安心感を高めるため、産後ケア施設の受け皿の拡大や、住民参加型の子育て支援策の強化を図ります。
こうした若年人口の増加、婚姻数の増加、出生率の向上の取り組みを総合的に進めることにより、着実に出生数の増加につなげます。
また、これらの取り組みがより効果を発揮し、特に若い女性に高知を選んでもらうためには、「男は仕事、女は家庭」といった、地域に根強く残る固定的な性別役割分担意識の解消が欠かせません。このため、「男性が育児休業を取得することが当たり前」という社会を高知県がいち早く実現することを目指し、私自身が先頭に立って、社会全体の意識改革を県民運動として強力に推進します。
まずは「隗より始めよ」の考えの下、県庁が率先して男性の育児休業取得や女性管理職の登用を進めます。そして、この取り組みを市町村や事業者などにも広げ、「共働き・共育て」をオール高知で推進します。このため、事業者における男性育休取得者の代替人員確保に対する支援制度を創設するほか、従業員のワークライフバランスに積極的に取り組む企業の認証を進め、その拡大を図ります。こうした男性の育休取得促進を中心とした取り組みを原動力として社会の意識改革を進めながら、県内外の若い女性の声を丁寧に聞き取り、専門家のご意見も伺った上で、「高知も変わったよ、変わりつつあるよ」というメッセージを戦略的に発信していきます。
 
(中山間地域再興ビジョンに基づく取り組み)
 特に若年人口の減少が先行して進む中山間地域においては、より重点的な取り組みが必要です。このため、その指針となる「中山間地域再興ビジョン」を年度内に策定し、目指す姿の中心に「若者の人口増加」を掲げ、少子化対策と一体となった新たな中山間対策を推進します。
 取り組みにあたっては、その具体的な道筋を示すアクションプランにおいて、「若者を増やす」、「くらしを支える」、「活力を生む」、「しごとを生み出す」の4つの柱を掲げ、関連施策を展開します。その際、施策ごとに「県外からの年間移住者数を3千人以上にする」、「無医地区などでのオンライン診療体制の整備率を100パーセントにする」といった4年後の数値目標を定め、PDCAサイクルを徹底します。
このアクションプランに基づき、デジタルマーケティングの活用や住まいの確保などを通じて移住、定住の促進に取り組みます。同時に、デマンド型交通の導入やオンライン診療による医療提供体制の確保といった生活環境の整備を進めます。あわせて、中山間地域の基幹産業である一次産業における新規就業の促進に加え、起業や事業承継に対する支援などの取り組みを通じて仕事の創出を図ります。
 
さらに、こうした一連の人口減少対策の実効性をより高めるためには、県と市町村が方向性を合わせ、緊密に連携していくことが何よりも重要です。このため、10億円規模の「人口減少対策総合交付金」を創設し、地域の実情に応じた市町村の取り組みを財政面から強力に支援することとしました。この交付金制度により、自由度の高い形で新たな人口減少対策に取り組んでいただくと同時に、県の施策との相乗効果が期待できる事業や市町村独自の先駆的な事業を支援していきたいと考えています。
また、全庁一丸となって人口減少対策に取り組めるよう、総合企画部に人口減少対策と中山間対策を統轄する理事職を置き、推進体制を強化します。
 
 次に、目指すべき3つの高知県像のうち、まず「いきいきと仕事ができる高知」に向けた取り組みについてご説明申し上げます。
 
 足下の県経済は、個人消費や観光を中心にコロナ禍からの回復軌道に乗りつつあり、雇用者所得も緩やかに増加しています。国内外の情勢に目を転じると、全世界でデジタル化やグリーン化が加速しており、その対応が急務となっています。また、人口減少に伴う国内市場の縮小に加え、長期化する物価高騰や深刻化する各産業分野の人手不足は、日本経済の成長の足かせとなりかねません。
このように県経済を取り巻く環境が大きく変化する中、従来の社会や経済を前提にしたビジネスモデルでは、事業の持続的な発展は望めません。県経済が力強く成長を続けていくためには、あらゆる産業分野において構造転換を促し、未来につながる産業づくりに挑戦していくことが不可欠です。
 このため、来年度からの第5期産業振興計画では、その戦略の柱として、これまでの「地産外商」に加え、デジタル化やグリーン化などを通じて新たな価値を生み出すための「イノベーション」を据えて一連の施策を抜本強化します。さらには、県経済において大きなウエートを占める医療福祉分野や土木分野の動向にも目配りをしながら取り組みを進めます。
 こうした取り組みを通じて県経済の底上げを図り、現在全国下位にある一人当たりの県民所得を概ね10年後までに全国中位に上昇させることを目指します。
 
(関西圏との経済連携の本格化)
関西圏との経済連携については、関西・高知経済連携強化戦略に基づく取り組みにより、着実に成果が表れています。外商分野では、昨年7月から先月3日まであべのハルカスに開設した期間限定店舗の来客者数が5万人を超え、売上額は当初の目標を大きく上回りました。また観光分野では、大阪観光局と連携した誘客の効果もあり、昨年の外国人延べ宿泊者数は過去最高となることが見込まれています。
 こうした成果も追い風に、来年度は、関西圏との経済連携のステージをもう一段引き上げ、取り組みをより本格化したいと考えています。具体的には、本年7月にオープンする大阪市梅田のアンテナショップを核として、本県の食や自然などの魅力を多くの方々にダイレクトかつタイムリーに発信します。あわせて、県内事業者が外商に向けた第一歩を踏み出す機会を幅広く提供し、関西圏における販路拡大をより一層支援します。
また、大阪・関西万博では、「よさこいの演舞」と「街路市」を柱としたイベントの開催を予定しています。本県の魅力を世界へ向けて発信する絶好の機会となるよう、日本国際博覧会協会や市町村と具体的な協議を進めます。加えて、万博を契機に関西を訪れる外国人観光客を本県へ誘客するため、大阪観光局や関西エアポートと連携したプロモーションを展開するほか、高知ならではの旅行商品の造成やセールスに取り組みます。
さらに、これらの取り組みを成功へ導くためには、県人会や関西在住の本県ゆかりの方々の協力が不可欠だと考えます。こうした皆さんの力をお借りしながら、イベントの開催などを通じて高知ファンをさらに拡大することで、一連の施策の効果をより高めます。
(輸出拡大の取り組み)
 今後の国内市場の縮小が見込まれる中、継続的に経済成長を成し遂げるためには、活力ある海外市場に打って出なければなりません。このため、輸出拡大に向けた取り組みをもう一段強化します。
食品分野では、有機ユズや養殖ブリなどを新たに戦略品目として位置付け、生産体制の強化を図ることに加え、今後の経済成長が見込まれる東南アジアでの販売拡大や、インド、中東といった新たな市場の開拓に挑戦します。
 防災関連製品をはじめとするものづくり分野では、先月インドを訪問し、南部のタミル・ナド州でトップセールスを行いました。同州との間では、これまで経済交流ミッションや技能実習生の受け入れを進めてきましたが、今回経済連携や人材交流に関する覚書を締結し、関係をさらに強化しました。来年度は、こうした関係を生かして販路拡大を図ることに加え、新たにインドと台湾にアドバイザーを設置するなど、現地における支援体制を一層充実させます。
(観光振興の取り組み)
観光分野では、連続テレビ小説「らんまん」の放送という絶好の追い風を生かして、昨年3月から観光博覧会を開催してきました。博覧会も残すところ1か月余りとなりましたが、牧野博士ゆかりの地などを中心に、現在も多くの観光客の皆さんにお越しいただいています。その結果、昨年の県外観光客入込数はコロナ禍前を超え、過去最高となる472万人を記録しました。
こうした勢いをさらに拡大させるため、本年4月から新たに「どっぷり高知旅キャンペーン」を展開します。観光客に高知ならではの魅力をじっくり、深く、たっぷりと味わっていただくことで、より長期の滞在につなげます。これにより、県内の観光消費額を一層増加させることに加え、地域の資源を最大限活用することで中山間地域の振興を図ります。具体的には、地域の暮らしや伝統文化といったその土地ならではの素材を生かした滞在型の観光商品づくりや、宿泊施設を中心に地域での長期滞在を可能とする受入態勢づくりなどを進め、取り組みを強化します。
また、来年春の連続テレビ小説「あんぱん」の放送を観光振興につなげるため、やなせたかしさんゆかりの地が多くある物部川流域における地域博覧会の開催に向けて、今月準備組織が立ち上がりました。この機会を最大限生かして、観光客の皆さんに周辺の観光地にも広く足を運んでいただけるよう、広域観光組織や関係市町村と連携し、情報発信や受入環境の整備などを進めます。
また、インバウンド観光については、全国的な訪日旅行客の回復をチャンスと捉え、関連施策を一層強化します。このうち、台湾からの定期チャーター便については、平均搭乗率が9割を超えるなど順調に推移しており、先日、本年10月末までの運航期間延長が決定しました。今後は観光面や文化面をはじめとした台湾との交流拡大を図り、次なる目標である定期便化につなげます。また、定期便化に必要となる高知龍馬空港の新ターミナルビルについては、令和7年度の完成を目指して着実に整備を進め、併せて台湾以外からのチャーター便就航に向けた誘致活動に積極的に取り組みます。
 
(一次産業分野)
農業分野では、IoPクラウド「SAWACHI」の利用農家数が先月末時点で1,100戸余りになるなど取り組みが広がりつつあります。来年度は営農指導体制を一層強化し、集積されたデータを最大限活用して農家に対するきめ細かな支援を行い、その成果をもって利用農家の拡大につなげます。加えて、これらの取り組みと同時に環境制御装置の導入を進めることで、さらなる生産の効率化を図ります。また、有機農業の推進に向けては、新たな栽培技術の開発や、農家の組織化を通じた販路拡大などの施策を強化し、環境負荷の軽減と付加価値の向上を目指します。こうした施策と併せて、優良農地の確保や集積を加速することで本県農業の生産性の飛躍的な向上を実現します。
林業分野では、再造林推進プランに掲げた再造林率70パーセントという目標の達成に向け、森林クラウド「Clowood」を活用して林業適地への集中投資を進め、森林資源の再生産を促進します。加えて、ICTや高性能林業機械の導入によるスマート林業を推進し、生産性のさらなる向上を図ります。また、環境に配慮した森林由来という、新たな価値が付加された県産材を認証する仕組みについて検討を進めます。これらの取り組みを通じて生産性向上と高付加価値化を図り、本県林業の持続的発展を目指します。
こうした中、本県の豊かな森林資源をアピールする場として、令和10年度に全国植樹祭を本県で開催するよう主催団体へ申し出ることとしました。この大会を機に、県内外の多くの方々に本県の森林への理解と関わりをより一層深めていただけるよう、市町村や関係団体とも協力して取り組みます。
水産業分野では、高知マリンイノベーションの取り組みにおいて、情報発信システム「NABRAS」の機能拡充による操業のさらなる効率化を図ります。加えて、経営の安定化に資する利益シミュレーションツールの普及拡大や、自動計量システムの導入をはじめとする産地市場のスマート化に取り組みます。また、養殖業において、ブリの人工種苗の普及や餌の使用量を削減する養殖技術の開発などを進め、持続可能な水産業の実現を図ります。
 
(商工業分野)
商工業分野については、デジタル化に取り組む事業者の量的な拡大と質的な向上を目指し、取り組みを一層強化します。具体的には、出張デジタル講座の開催やデジタルツール事例集の活用などを通じて、デジタル化の効果を周知啓発する機会を拡充します。あわせて、産業振興センターの支援体制を強化し、全社的なデジタル化を目指す事業者に対して伴走支援を行うことで、新たな付加価値の創出につなげます。
これらの取り組みを支えるデジタル人材の育成に向けては、高知デジタルカレッジの講座を拡充し、企業の中核人材や商工団体の職員などのスキルアップを図ります。加えて、本年4月に開設される高知工科大学データ&イノベーション学群において文理統合型のカリキュラムと課題解決型学習を実践し、事業者の新たなビジネスモデルづくりに貢献できる人材の育成に取り組みます。
また、本県から独自性と付加価値の高い製品や技術をより多く生み出せるよう、関連する補助制度を拡充し、併せて産業振興センターを中心とした専門的な支援体制を強化します。こうした取り組みを通じて事業者の構造転換を強力に後押しし、稼ぐ力をより一層高めていきます。このほか、県内におけるキャッシュレス決済環境の充実を通じて地域活性化を図るため、デジタル地域通貨の普及を促進します。
 
(次世代に向けた産業の創出)
産学官民の連携の下、次世代における本県の柱となり得る産業の創出にも挑戦します。具体的には、AIによる生活習慣病の予測やデジタル機器を活用した健康状態の遠隔観察といった、医療、健康に関する製品やサービスの事業化を目指す「ヘルスケアイノベーションプロジェクト」を推進します。また、アニメーションの制作に関わる方や関連企業を本県へ呼び込み、雇用の創出や地域活性化につなげる「アニメプロジェクト」を展開していきます。
 
あわせて、こうした一連の取り組みを支える人材の育成と確保を一層進めることに加え、人手不足の解消に向けてUIターンの促進や外国人材の受入態勢の強化を図ります。このうち、外国人材の受け入れについては、インドのタミル・ナド州との覚書の締結のほか、先月ベトナムのラムドン省を訪問し、本県への安定的な人材の送り出しに向けて協力していくことを改めて確認しました。こうした取り組みを通じて送り出し国との関係を一層強化し、人材の受け入れを加速することに加え、生活環境や就労環境の充実を図ることでその定着につなげます。
 
 次に、「いきいきと生活ができる高知」に向けた取り組みについてご説明申し上げます。
 
日本一の健康長寿県づくりについては、これまでの取り組みにより健康寿命の延伸や在宅療養体制の充実といった面で一定の成果が表れてきました。
しかしながら、依然として中山間地域の医療、福祉、介護サービス基盤は脆弱であり、特に担い手不足への対応が課題となっています。例えば、医師が高知市などの都市部に集中する一方、中山間地域では医師の高齢化や患者数の減少に伴い、医療機関の閉鎖や縮小が続いています。また、介護分野では、県内の有効求人倍率が2倍を超える人手不足の状態が続き、特に中山間地域ではサービスの提供が困難な状況も生じています。加えて、少子高齢化の進行に伴う地域のつながりや支え合いの力の弱まりによる社会的孤立のほか、顕在化する8050問題などの複合課題への対応も求められています。
こうした現状を踏まえ、第5期日本一の健康長寿県構想においては、特に中山間地域における取り組みを強化することとし、次の4つの柱を掲げ、各施策を一層深化、発展させます。
まず、1つ目の「健康寿命の延伸に向けた意識醸成と行動変容の促進」では、県民の皆さんが健康でいきいきと暮らし続けられるよう、特に全国と比べて高い壮年期男性の死亡率の改善を図ります。具体的には、働き盛り世代をターゲットに、体重と血糖値に着目した取り組みを強化します。その際、県民全体の健康増進を図るポピュレーションアプローチについては、高知家健康パスポートアプリを活用したイベントの実施などにより、事業所が主体的に従業員の健康づくりに取り組める環境の整備を進めます。また、重症化のリスク要因を持つ人に対するハイリスクアプローチについては、糖尿病性腎症対策において、より多くの患者の方々に透析予防強化プログラムに参加していただけるよう、実施医療機関の拡大に取り組みます。
2つ目の「地域で支え合う医療・福祉・介護サービス提供体制の確立とネットワークの強化」では、中山間地域を中心に、在宅での生活を希望される方へのサービスを充実し、高知版地域包括ケアシステムの深化を図ります。具体的には、集会所やへき地診療所におけるオンライン診療体制の整備のほか、訪問看護師の確保、育成などに取り組みます。加えて、中山間地域における新たなサービスモデルとして、あったかふれあいセンターと介護の専門職が連携し、要介護の方を受け入れる取り組みを推進します。
また、中山間地域における介護人材不足に対応するため、訪問介護事業所間で人材を補完し合う体制の整備を進めます。あわせて、若者にとって魅力のある職場となるよう、官民協働の協議会を立ち上げ、介護職場における生産性の向上や、人材育成に向けた研修体系の再編などに取り組みます。こうした一連の対策を進めることで、中山間地域におけるサービス提供体制の確立を図ります。
このほか、令和12年度に予定されている県内の国民健康保険料水準の統一に向けて、医療費の分析に基づいたデータヘルス計画を来月策定します。この計画に基づき、市町村と一体となって効果的、効率的な保健事業を行うことで、医療費の適正化と統一保険料の抑制を図ります。
 3つ目の「こどもまんなか社会の実現」では、出生数の増加を目標に掲げ、安心して妊娠・出産・子育てができる社会の実現を目指して取り組みを強化します。具体的には、子育て世帯向けのサービス提供や環境整備を行う事業者への支援制度を創設するほか、子育て経験者に気軽に相談できる体制の整備など住民参加型の子育て支援策を充実します。あわせて、市町村の母子保健部門と児童福祉部門を一体化する「こども家庭センター」の設置を促進し、妊産婦や子育て世帯に対する相談支援体制の強化を図ります。このような取り組みを通じて、地域全体で子育てを支援する体制づくりを進めます。
 4つ目の「高知型地域共生社会の推進」では、行政主体の「縦糸」として、多機関協働型の包括的な支援体制が早期に全市町村で整備されるよう、伴走支援を強化します。あわせて、地域主体の「横糸」として、郵便局などと連携した見守り活動や、企業と大学生との協働によるイベント開催といった取り組みを拡大し、人と人とのつながりの再生に向けたネットワークづくりを進めます。
 また、本年4月の改正障害者差別解消法の施行に伴い、事業者による障害者への合理的配慮の提供が義務化され、障害を理由とする差別の解消に向けた取り組みがこれまで以上に求められます。この取り組みを社会全体で推進していくため、「障害のある人もない人も共に安心して豊かに暮らせる高知県づくり条例」議案を今議会に提出しています。
 
近年複雑化、多様化する教育課題に的確に対応していくためには、ICTも活用しながら、子どもたちの個々の状況に応じて、それぞれのニーズに合わせた教育を行うことが重要です。また、学力向上や不登校対策の取り組みをはじめとする教育施策の充実を図ることが、子育てしやすい環境をつくり、ひいては地域の若者の減少に歯止めをかけることにつながると考えます。
来年度からの第3期教育大綱の策定に向けては、こうした考えの下、これまでの取り組みの成果や課題の検証に加え、デジタル化、グリーン化、グローバル化の進展といった社会情勢の変化も踏まえて検討を進めてきました。また、検討の過程では、高校生や大学生のほか、若手や中堅の教職員など多くの方々から幅広くご意見を伺うことにも努めてきました。
新たな大綱の基本理念では、これまでの「学ぶ意欲や心の豊かさ」と「郷土への愛着と高い志」を示す2つの人間像に加えて、昨今の社会における価値観の多様化を踏まえ、新たに「多様性と包摂性」という人間像を掲げました。これら3つを体現する人材の育成を目指して、様々な教育課題に正面から向き合い、その解決に向けて前進します。
まず、学力の向上については、中学校をはじめとする基礎学力の定着と、個々の児童生徒に応じた指導の充実を図ります。1人1台端末の日常的な活用を一層進めることに加え、授業と家庭学習など授業外の学びを切れ目なくつなぐ取り組みを推進します。あわせて、デジタル技術を活用した教材や学習履歴を基に、一人ひとりの学力に応じた学習指導を実践します。
また、不登校については、改善の兆しが見えてきたものの、依然として不登校児童生徒数は高止まりしていることから、未然防止と早期対応の取り組みを一層徹底します。具体的には、専門人材による相談支援体制のさらなる充実や校内サポートルームの設置の拡大に取り組みます。あわせて、個々の児童生徒の状況に応じた教育機会の確保を図るため、ICTを活用した学習支援を進めるほか、学びの多様化学校の設置に向けた検討を深めます。
さらに、学力向上や不登校対策の取り組みを効果的に進めるためには、その基礎となる就学前教育の充実はもとより、保幼小が一体となって子どもたちの成長を後押しすることが大変重要です。このため、高知市のモデル地域における小学校への円滑なつなぎに向けた取り組みを県内全域に展開することで、保幼小の連携を一層強化します。
加えて、こうした課題の解決を図るためには、担い手である教職員の確保や働き方改革への対応が欠かせません。このため、来年度の教員採用審査において年齢制限の緩和や社会人採用枠の新設などを行い、人材の確保に努めます。また、教員業務支援員の配置拡充や校務支援システムによる業務の効率化に加え、若年教員に対するサポート体制の充実を図ることで負担の軽減につなげ、教職員がこれまで以上に子どもたちと向き合える環境を整えます。
このほか、若者の県内定着に向けて、小規模な高等学校における遠隔授業を拡充するなど、中山間地域においても都市部と遜色ない教育機会の提供に努めます。あわせて、地元企業と連携したキャリア教育の充実や、地域との協働による中山間地域の高等学校の魅力化に取り組みます。
 
文化芸術の振興については、令和8年度の国民文化祭開催に向けて官民協働の実行委員会を立ち上げ、大会の実施計画を策定します。加えて、開催に向けて市町村が行う文化芸術活動の磨き上げなどを支援し、準備を着実に進めます。また、伝統的な祭りや民俗芸能の保存団体と、大学や企業といった外部の支援者とのマッチングを後押しし、中山間地域をはじめとした地域の価値ある伝統芸能を次世代に継承するための取り組みを総合的に推進します。
スポーツの振興については、地域における子どもや障害者のスポーツ環境づくり、アスリートや指導者の受け入れに向けた県内企業とのマッチング支援、スポーツツーリズムによるインバウンド誘致などの施策を強化します。加えて、スポーツを通じた地域活性化やスポーツツーリズムの取り組みをさらに充実するため、スポーツ関連業務を観光振興部に移管し、部の名称を「観光振興スポーツ部」に変更したいと考えます。
 
(行政分野におけるデジタル化、グリーン化など)
行政分野におけるデジタル化に向けては、職員の働き方改革を目指した県庁ワークスタイル変革プロジェクトを進めています。本年度は、庁内のモデル職場においてペーパーレスでどこでも仕事ができる環境を整備し、場所や紙にとらわれない働き方への転換を図ってきました。この取り組みを通じて、コミュニケーションの活性化や意思決定の迅速化といった効果も表れています。来年度はこうした職場を拡大するほか、生成AIといった新たなツールの活用などにより、職員が能力や創造性をより発揮できる県庁の実現に向けて環境整備をさらに進めます。
また、市町村に対しては、職員の意識改革に主眼を置いた業務改善やデジタル人材の育成を支援し、スマート自治体への転換を後押しします。
このほか、脱炭素化に向けては、道路照明のLED化や公用車の電気自動車への転換などにより、県が率先して取り組みを推進します。加えて、家庭におけるCO2の削減や光熱水費の中長期的な負担軽減を図るため、太陽光発電設備の導入や省エネ性能の高い家電製品の購入に対する支援を行います。
 
次に、「安全・安心な高知」に向けた取り組みについてご説明申し上げます。
 
南海トラフ地震対策については、これまで東日本大震災や熊本地震の教訓も踏まえて行動計画をバージョンアップしながら取り組みを進めてきました。
こうした中、今回の能登半島地震では、半島部の中山間地域や沿岸地域において、多数の建物が倒壊し、また木造密集地域では大規模な火災に見舞われました。さらに、各地で道路が寸断されたことで多くの孤立地域が発生したほか、救助活動や物資輸送に大きな影響を及ぼしました。このような状況は南海トラフ地震においても確実に起こると考えるべきであり、早急な対策の強化が必要です。このため、当面は次の5つの対策について重点的に取り組むこととしました。
1つ目は、建物倒壊への対応です。住宅の耐震化については、地震対策の一丁目一番地として位置付け、市町村と連携して補助制度の拡充や低コスト工法の普及などに取り組んできた結果、昨年度末の耐震化率は88パーセントまで進捗しました。耐震化を一層進めるためには、住宅所有者の負担軽減を図ることに加え、高齢の方を含めて前向きに取り組んでいただくことが重要です。このため、補助限度額の引き上げを行うほか、市町村と連携した啓発を一層強化します。
2つ目は、火災への対応です。火災対策については、地震火災対策指針を策定し、出火防止のための感震ブレーカーの配布や安全な避難のための啓発活動などを進めてきました。今後は、特に木造密集地域における地震火災対策を強化するため、まずは感震ブレーカーの追加配布を行います。加えて、国や関係機関による今回の地震火災の検証結果を踏まえて対策をより強化します。
3つ目は、道路の被害と孤立地域への対応です。この点については、道路の早期啓開と安全性の向上、さらには物資の輸送と備蓄に関する対策を強化したいと考えます。
まず、道路の早期啓開については、道路啓開計画を策定し、国や市町村、建設業者と連携した訓練を実施してきました。今後は、こうした訓練を通じてより実効性を高めるほか、啓開作業を早期に行うため必要な重機の配備や燃料の確保に取り組みます。加えて、道路の安全性を高め、災害に強い道路網を構築するためには、いわば事前復興的な考え方に立って緊急輸送道路の整備や橋梁の耐震化といった防災対策を進める必要があります。このため、こうした道路網の整備を一層加速させるよう、必要な財源確保対策の強化などについて、国に対して積極的に政策提言を行います。
次に、物資の輸送については、これまで市町村の要望に応じてヘリポートの整備を支援してきた結果、既存のグラウンドなども含めて500箇所以上でヘリコプターの離着陸場を確保しました。今後は、さらなる確保に向けて、市町村のニーズを把握した上で必要な支援を行います。あわせて、発災時におけるヘリコプターの運用方法について関係機関との協議を進め、物資を迅速かつ確実に届ける仕組みを構築します。加えて、ドローンを活用した物資輸送について市町村とともに検討を進めます。
さらに、物資の備蓄については、市町村の備蓄を補完する観点から総合防災拠点や県有施設に必要な物資を備蓄していますが、道路の寸断などにより必要な支援が行き届かなくなることが懸念されます。このため、県の備蓄を市町村の備蓄施設などに分散する取り組みを加速することに加え、市町村においても地域の避難所や防災倉庫といった、より住民に近い場所への備蓄が進むよう支援を行います。
4つ目は、受援態勢の整備です。今回の地震では、救助活動や物資供給などに関し、外部からの支援を迅速に受け入れることの重要性が改めて明らかになりました。こうした支援の受け入れに必要な受援計画について、県においては応急救助や医療救護など40計画全ての策定が完了し、市町村においては物資輸送や保健衛生など14業務のうち13業務の計画が策定済みです。今後は、残る計画の早期策定に向けて市町村を支援することに加え、策定した計画について訓練などを通じて着実に検証や見直しを進め、実効性を一層高めます。
5つ目は自助に関する啓発です。一連の行政による対策と併せて重要となるのは、県民の皆さん一人ひとりの備えです。中でも津波からの早期避難意識率については、行動計画の目標である100パーセントの達成に向けて啓発を強化します。あわせて、住宅の耐震化や室内の安全対策といった命を守る対策に加え、各家庭における水や食料の備蓄が進むよう、地震への関心が高まっているこのタイミングを逃すことなく、啓発を一層徹底します。
このほかにも、例えば上水道の応急給水や水道管路の耐震化、避難所における生活環境の整備、広域避難のあり方といった点などでも対策の強化が必要です。これらの分野も含め、今回の地震における実態を踏まえた課題や本県の取り組み状況について、有識者のご意見をいただきながらさらに検証を進めます。その上で、行動計画の見直しや補正予算での対応を含め、必要な対策を早急に講じます。
 
今回の能登半島地震では道路の寸断や堤防の損壊といった深刻な被害が発生し、人命救助や物資輸送といった発災後の対応に多大な支障を来しました。こうした状況を目の当たりにし、県民の皆さんの命と暮らしを守るインフラの整備を加速しなければならないという思いを改めて強くしました。
中でも、四国8の字ネットワークは、南海トラフ地震などの大規模災害発生時において、円滑な救援活動や物資輸送を担う「命の道」としての役割を果たすことが期待されます。このため、早期整備の必要性について繰り返し国に訴えてきた結果、県内全域で着々と整備が進み、来年春頃には高知東部自動車道の「高知龍馬空港~香南のいち」間と、阿南安芸自動車道の「北川道路」の一部区間が開通する予定となっています。引き続き、残る未事業化区間である「宿毛和田~宿毛新港」間、「奈半利~安田」間の早期事業化と、事業中の区間の早期開通について関係自治体とともに国に粘り強く訴えていきます。
このほか、高知松山自動車道の「いの~越知」間について、昨年12月に開催された国の社会資本整備審議会の四国地方小委員会においてバイパスのルート案が了承されるなど、事業化に向けた手続きが進んでいます。今後は同区間の早期事業化が図られるよう、国への働きかけを強化します。
また、今回の地震では、特に能登半島の東部地域で津波による被害が発生しました。こうした地震による津波から県都を守る浦戸湾の三重防護事業については、津波防波堤の整備や海岸堤防の耐震化などが順調に進み、本年度末時点の整備率は73パーセントとなる見通しです。令和13年度の完成を目指し、国や高知市とも連携して着実に整備を進めます。
 こうした事業をはじめとするインフラの整備について、国の5か年加速化対策を最大限活用して一層進めることに加え、加速化対策後も必要な予算が確保されるよう、関係市町村とも連携して国に対する提言を強化します。
 
(談合防止対策)
 県内の測量事業者などにおいて、独占禁止法に違反する行為があったとして、公正取引委員会から昨年9月に排除措置命令及び課徴金納付命令が発出されました。これを受け、県においては速やかに当該事業者に対する指名停止措置を行いました。加えて今後、建設業法に基づく営業停止処分を行うほか、契約に基づく賠償金及び違約金を請求するよう準備を進めています。
こうした中、今回の事態を踏まえて設置した有識者からなる検討委員会において、入札契約制度やペナルティのあり方などについて議論が進められ、今月報告書をいただきました。報告書には、委託業務における総合評価方式の導入や予定価格の事後公表の範囲拡大、違約金の増額といった具体的な対策案が示されています。
二度とこうした事案を起こさせないという強い決意を持って、測量事業者などにもコンプライアンス基本方針の策定を求めるといった取り組みを含め、この報告書も踏まえた実効性のある対策を講じます。
 
続きまして、今回提案いたしました議案についてご説明申し上げます。
まず予算案は、令和6年度高知県一般会計予算など41件です。
当初予算の編成にあたっては、人口減少対策を抜本強化することに加え、デジタル化、グリーン化、グローバル化の観点から施策を一層進化させるため工夫を重ねました。また、県民の皆さんの安全・安心の確保と地域経済の活性化に向けて、防災・減災対策をはじめとするインフラ整備を着実に推進することとしました。
その結果、一般会計当初予算額は4,656億円となり、前年度比で129億円の減になるものの、新型コロナウイルス感染症対策経費の減少を除くと前年度を37億円上回る規模となっています。また、国の経済対策分を含む実質的な投資的経費は前年度とほぼ同規模となる1,191億円を確保しました。
一方で、財政運営の持続可能性を確保するため、国の有利な財源の活用や事業のスクラップアンドビルドの徹底など、歳入歳出両面で努力を重ねました。こうした取り組みにより、令和6年度当初予算編成後の財政調整的基金は173億円を確保できる見込みです。また、臨時財政対策債を除く県債残高は令和7年度をピークに逓減する見込みであり、今後必要な投資事業を実施しても安定的に推移する見通しを立てることができています。このように、今回の予算編成においても県勢浮揚と県財政の持続可能性の両立を図ることができたと考えています。
しかしながら、本県の財政運営は地方交付税制度など国の動向に大きく左右される構造に変わりはありません。このため、引き続き国に対して一般財源の確保について積極的に政策提言を行うことはもとより、歳入歳出両面から不断の見直しを進め、安定的な財政運営に努めます。
 
条例議案は、こうち奨学金返還支援基金条例議案など33件です。
このうち、高知県部設置条例の一部を改正する条例議案については、先ほど申し上げた総合企画部の新設や、業務の移管に伴う観光振興スポーツ部への名称変更などを行うものです。
その他の議案は、一級河川の指定に関する議案など11件であります。
 
以上をもちまして、議案提出にあたっての私からの説明を終わらせていただきます。
何とぞご審議の上、適切な議決を賜りますようお願い申し上げます。

お問い合わせ

総合企画部 広報広聴課
TEL:088-823-9046
FAX:088-872-5494
Topへ