令和5年9月15日 知事の記者発表

公開日 2023年09月15日

   令和5年度9月補正予算(案)知事説明
   再造林推進プランの概要について 知事説明
1 国際チャーター便受け入れに関しての高知龍馬空港のハード整備と今後の展開について
2 9月補正予算で、新たな観光キャンペーンの展開や台湾からのチャーター便の継続に向けた取り組みを推進する狙いについて
3 酒米用精米設備等整備事業費補助金の狙いについて
4 県内の酒米精米事業の推進について
5 宿毛市陸上競技場の整備決定の経緯と理由について
6 酒米用精米設備等整備事業費補助金の農業支援の側面について
7 酒米精米事業の黒字化への展望について
8 高知県と高知市による「こうち動物愛護センター」の設置候補地について①
9 高知県と高知市による「こうち動物愛護センター」の設置候補地について②
10 高知新聞等が実施した「濵田県政」への県民調査結果について
11 9月補正予算における狙いについて
 

(司会)
 ただ今から、知事記者発表を始めさせていただきます。冒頭、知事から令和5年度9月補正予算の概要について説明があります。

令和5年度9月補正予算(案)知事説明
(知事)
 まず、令和5年度9月補正予算の概要についてご説明を申し上げます。県議会の9月定例会を9月21日に招集します。今回提出する議案は、令和5年度の一般会計補正予算など予算議案4件、条例その他議案が11件、報告議案が23件、合計38件の提出を予定しています。 
 補正予算の概要につきまして、ご説明をさせていただきたいと思います。9月補正予算案ですけれども、予算の 全体の規模は一般会計で31億円余りです。
 主な中身は、経済の活性化関連で、関西圏のアンテナショップの開設準備を進める。そして、いわゆる牧野博後の観光振興の取り組みについて準備を進める。こういった中身の1群の施策があります。
 もう一つは、教育の子育て支援関係で、1人1台タブレットを活用します学習支援プラットホーム「高知家まなびばこ」の機能拡充を図っていくこと。そして、宿毛市の陸上競技場の改修の支援をして幡多地域で公認陸上競技場の機能を確保していく。こういった中身が入っております。
 経済の活性化はアンテナショップの開設関係、そして、牧野博後の来年度以降の新たな観光キャンペーンの展開、そして、台湾からのチャーター便の秋以降の継続に向けた取り組みに要する経費。そして、土佐酒輸出拡大に関連して、県内の酒米を県内で精米していく事業の支援をしていく。そして、高知新港の海外定期コンテナ航路の活用を促していく。そういった中身が入っています。そして、教育の充実、子育て支援は、1人1台タブレットを使いました学習支援プラットホーム「高知家まなびばこ」の機能を拡充していくこと。そして、宿毛市の陸上競技場の公認陸上競技場の機能を維持するために改修を行っていくことの支援をしていくことなどが入っています。
 その他、コロナ対策として、新型コロナウイルス感染症が拡大した時に、いわゆる、集中的検査を高齢施設等で行うための検査キットを調達する予算。その他、額としてはこれが一番大きいわけですが、国の補助事業の内示な どを踏まえまして、公共施設のインフラ整備の予算を積み増しするというようなものが、今回入っています。
 予算の全体的な係数ですが、歳出から言いますと、国の公共事業、港湾事業等の追加が23億円余り、建設的な経費。これが1番大きいところでして、その他、各種のソフト施策の経費も5億円ほどある。財源的には国の補助金と、これに対応して建設事業については、特に県債を発行しますので、その辺が大きな額となっておりますこと。  一般財源の必要部分については繰越金を当てていくと。そういった中身になっています。
 ちなみに、国のいわゆる地方創生の臨時交付金ですけれども、それはほぼ6月補正までで、大体使途を決めていましたけれども、今回、この交付金の残りの中から、1億円強を充当する予定している状況です。
 9月補正と併せまして、例年、今後の中期的な財政収支の見通しの試算を行いまして、将来的な財政見通しを踏まえた、今後の財政運営に資することにしています。令和11年度までの収支見通しですが、ブルーの数字が財政調整的な基金、県のいわゆる貯金でして、財源不足があると、この分を取り崩していくと。この辺が持続可能性であるのかというところの検証です。
 ピンクの部分が基金の残高の増減でして、財源不足が生じますと歳出の削減の努力などをして、なお足りない場合は、いわゆる資金手当的地方債の充当等々をして、どうしても足りない部分は基金を取り崩していくことになります。基金の取り崩しの見込み額が、令和6年以降、46億円、30億円、5億円、8億円ということで、財源不足の規模は次第に税収の増等に伴って、縮小していく傾向が出ておりまして、この程度の財政調整的な基金の取り崩しであれば、基金の残高、200億円以上が見込まれますので、その範囲内で吸収ます。 
 一方、借金の方ですが、県債の残高につきまして、ここは例年同じような傾向が出ておりますけれども、国の5カ年加速化対策、いわゆる国土強靭化の関連で別枠で計上されている公共事業の分がございます。ここの部分の影響で、この部分は県の負担分について、県債の発行でかなりをまかないますので、県債の残高は増えていくということですけれども、5カ年加速化対策の分を除けば横ばいです。
 全体の5カ年の加速化対策が終われば、終息の方向に向かうという見通しが立っておりますので、その意味で、県債の残高が、今後の健全の財政運営を害することはないという見通しが立っているということです。
 ポイントを改めて3つまとめておりますけれども、将来の収支推計につきましては、今後の想定される大規模事業なども一定計上しておりますが、これについても片方で歳出の合理化の努力などをすることによって、ある程度当面、基金の取り崩しを見込まざるを得ませんけれども、今持っている基金の残高の中で、安定的な残高の確保が中期的に見込めるということで、一定の見通しが将来的に立っています。
 県債残高は、先ほど申し上げたようなとおりです。
 そうは言いながらも全体の前提といたしまして、本県の財政は自主財源であります県税等の比重は、全国的に見ても非常に少ない方でして、逆に言いますと国からの財源、地方交付税、あるいは特定目的に交付される国庫補助金、こういったものに占める比重が大きいわけです。逆に言いますと国の施策によって、大きく左右される側面が大きいわけでして、国の動向、国の財政政策の動向を注視していくことと、県自身も絶えざる施策のスクラップ&ビルド、あるいはデジタル化の推進などを通じて、財政の健全化に努めていかなければいけないということが改めて明らかになったと思います。
 9月補正予算の主な歳出予算につきまして、改めてご説明を申し上げます。 
 まず、経済の活性化関連ですけれども、関西圏との連携強化、大阪梅田のアンテナショップです、来年7月のオープンを目指して準備を進めるための経費でして、アンテナショップの内装に関します工事、あるいは関連のプロモーションを行っていくための現年度予算、あるいは来年度以降の歳出の契約を行うための債務負担行為といった分野になっております。
 それから、新たな観光キャンペーンにつきましては、ほぼ本年度一杯は今の「牧野博士の新休日」という「らんまん」を契機にいたしました、いわゆる牧野博が継続されますけれども、来年度以降の新しい観光キャンペーンをどうするか。観光の関係者、あるいは有識者の方々に参加いただいて検討会も開催してまいりまして、一定方向が見えておりますので、それに沿った予算措置をするという考え方です。
 ポイントの1つは、今まで積み上げてきました高知の観光の強みであります自然や食、あるいは歴史文化を、いわば集大成として生かしていくこと。2つ目は、話題づくりなども含めまして、より深みのある、そして、厚みのある観光体験を提供して、より観光客の方々の長期の滞在を促していこうと。滞在日数の増加を図っていこうといった点がポイントとなっています。
 そういった意味で、「どっぷり高知旅」というキャッチコピーで4年間をかけて、じっくりと長期滞在型の観光の確立を目指していく中身になっておりまして、これに必要な、キャンペーンそのものは来年度からですが、本年度の準備の経費、あるいは来年度、契約を行うための債務負担行為といったものを計上させていただいております。
 経済の活性化関連で、酒米用の精米設備等の整備事業の補助金を1億円。これが今回の臨時交付金の残高の中か の充当先の多くを占めています。これを計上させていただいております。
 土佐酒の輸出拡大を、近年精力的に進めておりますけれども、この際に、県産の酒米をできるだけ使っていただくこと。そして、県産の酒米を使って、県内で精米をして、その上で土佐酒をつくって輸出していくと。そういったサイクルをしっかり守り、育てていきたいというための経費です。このために、県内にありますJAが今まで持っておりました精米の事業所、これが設備の老朽化などを通じて、JAが事業を中止するという意思決定をされております。これに対しまして、県も中に入りまして、酒造組合、そして今回、事業のスキームに協力いただきました高知銀行の100%出資で創られた会社「地域商社こうち」の4者で、新たに県内における精米体制を確保しようという考え方が合意されました。
 JAは事業からは撤退をされるわけでありますが、酒米の生産は農家によって引き続き県内でやっていただく。そして精米の事業そのものは、「地域商社こうち」が事業主体としては継承する、引き継いでいただく。しかし、設備が老朽化していて更新などが必要ですから、県として、今回1億円の財政支援をさせていただく。そして、酒造組合は、この精米をした米を使ってお酒をつくって、製造販売をしていただく。こうした4者の協力で県内の酒米の精米体制を確保して、輸出も含めて、今年の製造、そして、販売の後押しをしていこうといった中身になっています。
 そして、経済の活性化関連では、高知新港のコンテナ利用の促進。これは今年の夏から、新しくフランスの会社が海外コンテナ航路を開設いただくということでございました。そういった会社に支援をしていくための予算。それから国際チャーター便につきましては、秋以降、今年度末まで延長することとなりまして、こういったものについて、航空会社あるいは旅行会社に支援をしていく部分、あと高知空港の受入体制、最小限の体制でスタートしましたけれども、かなり、利用者も多いということで、混雑をしたり不便を強いたりしているところがございますので、仮設の施設ではありますけれども、今よりもかなり拡充して、出入国が独自のラインで完結していくような整備を急ぎ行おうということで、必要な経費を計上させていただいております。
 そして、教育の充実、子育て支援の分野についてです。1つは、県内の小中学校、高校の、いわゆる1人1台タブレットを活用するためのプラットホームとして、県で学習支援のプラットホーム「高知家まなびばこ」を運用しています。これの運用保守に加え、機能を拡充する経費、これは来年度以降の支出に係る債務負担行為も含めてですが、これを今回計上させていただいています。
 ポイントとなりますのは、いわゆるスタディログ、過去の学習履歴を見やすくして、どこで躓いたかを生徒がチェックする際に活用しやすくするといった機能の充実を図る。そして保護者のアカウントを発行して、保護者の方々も、例えば学校からのお知らせなどを「まなびばこ」を通じて確認できるような体制を整備する中身です。
 そして、スポーツ振興関係になりますけれども、宿毛市総合運動公園の陸上競技場の改修のための補助金、今回は設計費の部分ですが、これを計上させていただいております。幡多地域におきましては、今、唯一、宿毛市の陸上競技場が、日本陸連の公認の競技場、そこで出た記録が公認されるという扱いの、そういうステータスのある陸上競技場になっているわけですが、施設の老朽化などがございまして、当初、宿毛市では公認の継続を断念するというような方針を示されたところです。これに対して、やはり幡多地域唯一の公認の陸上競技場ですから、公認の 機能はぜひ確保したいというのが、幡多地域の市町村の皆さんの総意でもありましたし、県としても広域行政を担う立場から、やはり幡多地域には公認の競技場を1つは確保したいということがございます。
 結果、そのために必要となる機能の充実部分につきましては、県、そして幡多地域の他の市町村が協力して、宿毛市の負担軽減をして、宿毛市において、公認の陸上競技場の改修をいただき、公認の機能を維持していただく、そのための支援をするための経費です。
 国の制度の出産・子育て応援給付金、合計10万円が1人当たり市町村から支給されます。その際に現金給付でなく、いわゆるカタログギフトなどによりまして、現物で支給するための共通の基盤システム、県内の市町村が使うためのシステムを個々につくりますと割高になりますので、県 が国の交付金を活用して、県内の市町村が使えるシステムをまとめる形で、県が代表する形で整理をする。そのた めの経費を1,000万円計上させていただいております。
 その他の主な事業です。コロナ対策として、この秋冬の流行時に高齢者施設や障害者施設などで、従事者の方々に対する集中的検査を行うための検査キットを購入して、備えをしておいてもらう。へき地医療施設設備の拠点病院におきます整備を支援する経費。国際交流の資料関係、これは南米との県民の皆さんの移住の記録などを含めました交流の歴史を資料としてまとめていくための委託料。
 そして、国民文化祭等の開催準備ですが、これにつきましては、令和8年度の国民文化祭、そして、障害者芸術文化祭、これは各県持ち回りで行われております。天皇皇后両陛下のご来県も予定して準備をしていくことになりますけれども、このための文化祭の招致を行おうと。元々経緯を申し上げますと、国からも、まだ未開催である高知県でそろそろどうだろうかという打診もございまして、その結果、県の芸術文化の振興、そして、何よりも中山間地域の振興ということを考えた場合に、中山間地域の芸術文化をしっかり残していくという観点からも、このタイミングで実施することが必要ではないかと考えまして、これを誘致するための要望書を、今月下旬には文化庁に提出したいと考えております。
 これを実施していくとなりますと、市町村との協力も含めまして、いろいろな準備が必要になってまいります。そのための、今年度必要な準備経費を今回計上させていただいております。
 その他、例年この9月の補正の時期に行っております当初予算に計上しております国の補助に関わりますいわゆる公共事業に関して、内示額が、現在計上している予算を上回るといわれるものにつきましては、このタイミングで予算の積み増しをして、事業の速やかな執行を図ることにしております。主なものは港湾事業、それから都市計画事業、河川事業、海外の事業、こういった中身でして、こうした中身を今回計上しているということです。以上が予算の概要です。 

再造林推進プランの概要について 知事説明
 併せまして、再造林の推進プランを今回決定しましたので、概略のご報告をさせていただきたいと思います。再造林の推進プランですが、今年の当初予算を組みます際にこの骨格については方針を決めていたわけですが、その後、関係者との調整を経まして、全体的な工程表あるいはKPIの設定なども含めましたプラン全体を決定したところです。
 基本事項、そもそも何のために作成するかということですが、森林を全て伐採して、そのあと植え直すという再造林をしている率は、皆伐をされた面積に対しまして約4割に留まっているという現状がございます。
 カーボンニュートラルを実現しようということからしますと、本来、皆伐をした後は、木を植え直していけば若い木になって吸収力がまた再び上がりますので、カーボンニュートラルの、いわゆるCO₂の吸収源対策として十分に貢献ができるわけですが、切ったままで放っておきますと、それまで、切る前の木が果たしていたCO₂の吸収の機能がなくなったままになりますから、再造林率が40%ということではカーボンニュートラルへの貢献ということを考えた場合でも大変不十分な状態だと。これはできるだけ引き上げていく必要があるということです。
 保水機能などの森林の有する公益的機能を維持していく観点からも、再造林の比率を上げていく必要があるであろうと。そして林業の業としての将来展望を考えた場合に、やはり今そこに木を植えておきませんと、極端な話になりますが、40年50年先の林業を考えた場合に、伐採する木が育っていないというのもこれは由々しき状況ですので、両方の観点から、目標年度としているのは令和9年度ですが、再造林率をせめて70%に上げていこうということで、このための総合的なプランをつくろうということで取り組んでまいったところです。
 なぜ、今4割というような再造林率が低いかと言いますと、一つには、この林業適地への集中投資がまだ十分でない、高知県の場合は非常に急峻な山も多いわけですから、傾斜が急で切るのは何とかやっても、そのあと植えるのはとても大変だと、それであると再造林は断念しようということになりがちな部分がございました。そういう意味では、最初から皆伐をする林業の適地をまずしっかり選んで、再造林のしやすいところ、そういう林業適地をあらかじめ選定して、そこに集中して投資していくと、結果的に再造林の比率も上がっていくというようなことを目指していこうということです。このために最近開発しております森林クラウドなども最大限に活用しておくということです。
 2点目が林業収支のプラス転換でして、これは山の所有者からしますと、40年50年先に木が育って伐採の収入が入るということですから、40年50年先を展望した時に、林業収支の黒字が見込めるのかどうかというところが、甚だ自信がないという状況があり、再造林まで踏み切れないといったところがあるのではないかと。そのために新たな基金などを造成して、これを支援していく体制をつくっていく。あるいは必要なコストの削減などによって、収支が黒字になっていくという見通しを事業主の方々が持っていただけるような、そういう環境をつくっていこうということが柱の2点目です。
 3点目が担い手の確保でして、現実に今どの産業も人手不足、担い手不足で悩んでおられます。林業の世界も例外ではございません。これは林業大学校による養成なども含め、しっかりと人材確保をしていこうと。先々としては、外国人材の確保も視野に入ると思いますが、そうしたものも含めて担い手確保をしていこうと。
 この3本柱の対策つきまして、この半年間、関係者と協議しまして、これをやっていくための全体的な工程表、そして、量的にここまでを目指していこうというKPI・数値目標といったものを設定してまいりまして、今回、これをプランとして決定し、今後のフォローアップは産振計画のフォローアップ委員会の林業部会の中でやっていくということで、令和9年、再造林率が70%以上を目指してやっていこうということです。
 ポイントになるところだけ申し上げますと、特に、林業適地への集中投資につきましては、今まで林業適地におきまして、森の工場という考え方で、主として間伐をやることを想定して、重点的に対応していく地域を選定したわけですが、これを皆伐についてもこういった概念の導入していくことにより、核となります林業適地を県内で設定するところから始めようということです。これを年度内に確定して、その周辺の地域をあと数年で徐々に補充的に追加していくということで、まず、適地を選定する作業から始めようと。
 そして、収支のプラス転換につきましては、仁淀川町などで出来ました、新たな基金の横展開をしていくことの目標なども定めておりますし、コスト削減ですとか成長に優れた苗木等の生産体制の強化といった中味も入れております。
 担い手確保につきましても、関係の団体等と連携して実施していくことで、これも数値目標の設定なども含めて、具体的な取り組みについて計画を定めたといった中身になっています。
 以上が私からのご報告です。

(司会)
 それでは、各社からの質疑に移ります。質問される方は挙手をして社名とお名前の発言をしていただいてから質問をお願いいたします。

国際チャーター便受け入れに関しての高知龍馬空港のハード整備と今後の展開について
(山﨑・高知新聞社記者)
 私からは、国際チャーター便のことについてお伺いさせていただきます。この度、新たなプレハブなどのハード整備も行うということなのですけれども、今現在、3月末まで延長される見通しとなっていると思いますけれども、今回ハード整備も含めまして、その先も見据えた展開なども考えられているのかどうかも含めまして、今回の狙いを、聞かせください。

(知事)
 高知龍馬空港の国際線受け入れのためのハード整備は、直接的な動機は、今、最小限のプレハブ設備でやっておりますけれども、何分90%以上の搭乗率が続くというような状況でして、かなり混雑もひどいと。また動線も最小限の整備ということで考えてきたことがありますので、雨の日は傘をさして移動しないといけない、これは不便だというようなご意見をユーザーの皆さまからもお聞きしていると、こういったことがございまして、同じ仮設の範囲内ではありますけれども、新たな仮設施設を別の場所にまとめて整備することで、乗客の皆さんの利便性を高める、あるいは、現地のスタッフの作業の効率化を図っていくことがぜひとも必要だろうと。逆に言いますと、それができないと、現地の受け入れ業務をやっていただいている皆さんからも、今後、国内線も混雑する中で、国際線の受け入れ業務の維持がなかなか難しいというような、かなり厳しいご意見も伺いました。
 そういうことを背景に、今回プレハブの範囲内でありますけれども、別の場所にまとめてもっと大きな規模のプレハブ施設をつくって、出入国、国際線に関わる人の流れが、ある程度、そこで完結ができるような体制に持っていこうということで、整備をしようということです。
 今回のチャーター便は、取りあえず年度内ということですが、我々としては、これで終わりとは全然思っておりません。
 チャーター便をまずは当面続けていって、できるだけ早く定期便化ということを考えておりますから、最終的に視野に入れておりますのは、高知空港のターミナルビルの整備について、関係者の検討組織つくっていただいております、そこで検討いただいておりますように、まだ案は絞り切っておりませんけれども、現施設の改修というところも含めて、最大限新しいものとすれば、新しいビルを建てますというところまで、そういった恒久的な施設整備というのをこの検討組織のご意見も踏まえて、進めないといけないというのが次の段階だと思っております。
 そこまでの要はつなぎとして、今回は相当、既に多くの海外からの乗客の皆さんを受け入れてきていると、当面も受け入れる見通しがあるということですから、仮設ではあるけれども、従来よりも相当充実をした体制をまずは整えようということで、今回補正予算をお願いしたということです。
 今後は、検討委員会の議論の方向性としては、万博が行われます2年後を視野に、恒久的な施設整備、これは現施設の改修も含めてということだと思いますけれども、これについて、今具体案を検討いただいて、遠からず方向性が出てくると思いますので、2年後の万博の年以降は、恒久的な施設整備に切り替えていくことを視野に、当面の対策として、特に今のチャーター便の受け入れということを念頭に置いた体制の充実を今回の補正予算でお願いするという手順で対応しようという判断をいたしました。

9月補正予算で、新たな観光キャンペーンの展開や台湾からのチャーター便の継続に向けた取り組みを推進する狙 いについて
(竹村・NHK記者)
 2点、質問させてください。1点目に、今のチャーター便を含めてなのですけれども、今回チャーター便の話と、あと観光キャンペーンの話と、観光誘客に向けた予算が重点的に付けられているかと思うのですけれども、狙いとしては、やはりコロナが落ち着いたということがあると思うのですけれども、そういったことの狙いをまず教えてください。

(知事)
 観光の振興というのも本県の場合、大きな産業振興の一つの大きな柱で元々あるわけですが、特に今年はコロナ禍からの回復という中で、観光産業は非常に機動性があるといいますか、需要の回復のスピードも速いし、非常に即効性があって目にも見えやすいこともあります。特に今年は、朝ドラの「らんまん」効果も重ねて期待できるということで、まずはコロナ後の県経済の回復のけん引役として一番期待できるのではないかと、ここに集中的にまず資源を投入しようという考え方で対応してきているということです。

酒米用精米設備等整備事業費補助金の狙いについて
(竹村・NHK記者)
 酒米の精米設備の関係で伺います。多くの酒蔵がここで精米を依頼してたということで、今年3月に閉鎖されてしまい、かなり大きな影響が出ていたと思うのですけれども、ここに県として補助金を付けられるというのは、やはり県内の日本酒振興、今輸出も増えているということですけれども、そういったところに酒造メーカーを後押ししたいという狙いがあるのでしょうか。

(知事)
 これは県内の酒蔵も両用でして、自前で精米の整備を持っておられるところもありますけれども、中小を中心にお持ちでないところも多いと。全体を代行するような形で、今までJAがやっていただいていたということですけれども、これがJA側のご判断で、事業を停止されるということになると、我々一番ある意味、今ワインにおけるテロワールなどもいわれている時代ですから、日本酒、土佐酒を海外に売り出していくときに、一つのこだわりとして高知で育てた酒米で、高知で醸造をした土佐酒ということで売り込んでいくというのは、大きなセールスポイントだと思いまして、そのために、やはり県内の精米体制がないと、輸送のコストだけで余分な経費もかかってしまうことになります。
 言い換えますと、そうなるとなかなか県産の酒米で、県産の土佐酒というところの維持がかなり厳しくなるという側面も想定されることですから、何とかこの事業を承継をいただく方を探して、施設の設備の老朽化の対応もして、今の県内の精米体制を何とか維持したいということで、我々としても関係者に呼び掛けて、今回のようなスキームを構築し、基本的な合意ができましたので、これに沿って、県の役割として経済対策の資金なども活用して、財政面でバックアップをしようという判断を致したところです。

県内の酒米精米事業の推進について
(井上・高知新聞記者)
 2点お伺いします。まず、先ほどの酒米の精米事業なのですけれども、JAが事業を中止に至った背景には、そもそも県内の精米量の伸び悩み、むしろ減少していて、工場運営自体が赤字経営というものがあったというところがあるので、なかなか施設更新だけでは、まだ先が、なかなか開けないかなと思うのですが、その辺りはどのようにお考えでしょうか。

(知事)
 確かにJAで、経営判断されたというのは、経営状況、かなり経営環境が厳しいものがあるということは事実だと思いますけれども、特に土佐酒の今後の国内外への売り込み、あるいは他県との差別化を考えた場合には、ぜひ県産米での県産の土佐酒が製造できる体制を確保するということには拘りたいと。そういうことが今回の主な動機です。そうした中で、特に今、直接的なJAの撤退の動機は、設備の老朽化ということでお伺いしましたので、そこの部分の支援をしていくことで、今回スキームを考えたということです。
 一義的には、県の公的な支援は、こういった設備投資の部分の支援で、それ以降の運営・事業に関しては、社会環境が厳しい中であろうと思いますけれども、新しい事業主体の方で、いろいろなご努力をいただいて、自立的な運営をしていただくというのが基本だと思っております。
 そうした基本を踏まえた中でも今後いろいろ事業を行う上で、何らか県あるいは市町村も含めた公的なところで、いろいろな意味での応援が何か必要だということがあれば、それについては何ができるということは検討はさせていただきたいと思っております。

宿毛市陸上競技場の整備決定の経緯と理由について
(井上・高知新聞社記者)
 宿毛市の陸上競技場の整備に、今回、県と幡多地域の市町村と一緒になって行うということなのですが、そもそもの発端となって日本陸連の公認が難しくなった背景には、土地の地盤沈下というなかなか大きな問題があると。そして、また幡多地域の首長からは、県立土佐西南大規模公園の陸上競技場の公認取得を望むような声もありました。そういったことも含めて、どのような背景で判断をされて、今回、宿毛というところをもう一度再整備することに至ったのか。お聞かせください。

(知事)
 幡多地域で公認機能のある陸上競技場を確保するという観点からは、もう一つの選択肢として、県立の黒潮町にあります土佐西南大規模公園の陸上競技場を充実した上で整備をするという選択肢はあり得たと思います。ただ、これは技術的にその点も検討はいたしましたけれども、この土佐西南大規模公園の陸上競技場にそうした機能を持たせるには、周辺施設の撤去・拡張ということも含めて、かなりコスト的に大きな経費もかかるという試算も出てきたわけです。
 そうしたことも考えまして、比較検討した場合には、今まで公認の競技場としてのノウハウも培ってこられた宿毛市の陸上競技場に、いわば最低限の改修をしていただいて、公認の機能の維持をしていただくと。その公認の機能の維持をするという部分についてのかかり増し経費、これを宿毛市のみならず、周辺の市町村、そして県が支援していく形で、関係者が協力して、公認の機能を確保していくことが、コストパフォーマンスの意味で見ても最善の方法ではないかという判断に至りまして、関係の市町村とも話し合いをした結果として、今回、こういうようなスキームの提案をさせていただくに至りました。

酒米用精米設備等整備事業費補助金の農業支援の側面について
(大山・高知新聞社記者)
 酒米のことで補足で少しお伺いしたいのですが。今回、予算の規模が1億円という補助金は、かなり産業振興関係の補助でも大きいと思うのですけれど、狙いとして、土佐酒の振興というのももちろんあると思うのですけれど、農業支援の側面もあるのかどうかも教えてください。

(知事)
 土佐酒というのが全面に出ておりますけども、当然のことながら、原材料としては県産の酒米を使っていただくことを想定しての施設整備ということですから、今回こういった整備をすることで、県内産の酒米の生産振興というところの効果を狙っていくと、そういう側面ももちろんございます。

酒米精米事業の黒字化への展望について
(大山・高知新聞社記者)
 そもそも工場として赤字という側面があったと思います。確か、精米で県内全体の3割ぐらいを受け持っていたと思うのですが、なかなか精米量が増えないと収支は厳しいと思います。県として、1億円補助金を入れる中で、もちろん事業自体は民間がやりますけれど、どう収支均衡であったり、黒字を図っていったりしていくための担保を図っていこうというお考えなのでしょうか。

(知事)
 ボリュームが足りないのではないかというところに関して申し上げますと、現に海外輸出も含めて土佐酒の方が、特に海外輸出に活路が見えているという段階ですし、そうした中では、やはり酒米から高知産であると、生粋の土佐酒であるところが、今後の大きなPRの材料にもなっていくし、土佐酒が選ばれていくためのセールスポイントにもなることだと思います。
 そのためには、現在、県内産の酒米の絶対量が足りているかというと、足りていない状況だと思います。もちろん農業の振興の観点から、どういうところが適地で、どういう部分が切り替え可能かというところの精査は必要だと思いますけれども、そうした精査はしていただいた上で、農家の皆さんに相対的に酒米の生産の優位性があり得ると認められるところには、より酒米の生産にシフトしていただくような呼び掛け、働き掛けも含めて、それがこの事業の採算性アップにもつながっていく側面はあると思いますので、そういった関係部局が連携した取り組みをしっかりと展開してまいりたいと思っております。

高知県と高知市による「こうち動物愛護センター」の設置候補地について①
(中田・高知民報記者)
 こうち動物愛護センターについてですけれども、高知市側から高知市高須に設置したい、するというような話が出ておりますが、そこの部分の説明をお願いできますか。

(知事)
 これについては、県議会でもご質問をいただきました。長年の懸案になっておりまして、今の小動物管理センターを発展的に解消するといいますか、発展的な形態として、こうち愛護センターを県市で共同で整備をしようと、こういう方針は高知市との間で合意をして、具体的な候補地、かなりの数になりますけども、まずは、用地取得がスムーズにいくという意味で、県市が持つ公有地をピックアップして、順次候補地として選定して、周辺の住民の皆さんとの調整なども何カ所かしてまいったわけですが、正直、なかなか周辺の皆さんのご理解を得るのが難しくて、日時を要していたところです。
 今回、いろいろ曲折があったわけですが、いろいろと上がってきた候補地の中の一つとして、高須の浄化センターの遊休地になってる部分がどうかというお話がありまして、我々としては、今まで多くの候補地、結果的に、特に地元との関係を大事に考えられる高知市側からなかなか難しいという声が出て、他を探すしかないかということを何度か繰り返してまいりましたので、今回、逆に高知市側から、もうこうなった以上は高須の浄化センターの用地を活用してというお話が出てまいりました。
 今まで率直に申しますと、津波などの浸水区域になってしまって、そこの土地そのものは大丈夫なのですが、周辺が水没をしてしまうということからして、どうなのかというところが課題としてあった土地ではありますけれども、その部分は、いろいろな対策を取ることでカバーが可能ではないのかというご意見もありますので、そういったご意見を踏まえて、最優先をして検討する候補地としては、高須の浄化センター内の土地を活用ということで、今後、高知市とも協議をして、その方向で進めていきたいと考えているとこです。

高知県と高知市による「こうち動物愛護センター」の設置候補地について②
(中田・高知民報記者)
 かなり要望も強くて、懸案の課題だったと思うのですが、一定道筋ができたのは関係者も喜ぶと思いますけれども、あそこは県の土地ですよね。県が痺れを切らして差し出したみたいな感じではないのでしょうか。わたしは、そう捉えてたのですけれど。

(知事)
 ここは交渉の過程ですから、どこまでお話をすべきかというのはありますけれども、少なくとも私自身の認識としては、いろいろな候補地がある中で、県として、いの一番に候補地として挙げる所では必ずしもなかった、津波の際に浸水地域だということがありますので、できるならば、他の地域で適地があるのではないかということで幾つか候補地を県としては、高知市にも提示して、関係の地元との話し合いなどもしてきたわけです。
 結果、なかなか、特に地元のご意向から、地元の理解が難しいという状況であったという中で、そういう意味では、県として当初、最有力候補ではなかったのは事実だと思いますけれども、いろいろ他の場所での整備が難しいという中で、いわば繰り上がっていった候補地の一つが、高須の土地だったというところが正直なところだと思っています。

高知新聞等が実施した「濵田県政」への県民調査結果について
(山﨑・高知新聞社記者)
 2点お伺いさせていただきます。まず、1点ですけれども、先日高知新聞社などが行いました電話調査の中で、濵田県政の評価が68%という結果が出ました。昨年12月の調査では76%ということでしたけれども、この数字に関する受け止めをお聞かせください。

(知事)
 数字の水準について、ご議論あるかもしれませんけれども、記事にも書かれておりましたが、調査方法が必ずしも同じではないということも含めて考えますと、いずれにしても、7割前後の県民の皆さまに一定程度は県政の運営について、評価をいただいているというのは大変嬉しいことですし、私としては、これを一種の県民の皆さんの激励と受け止めて、しっかりと引き続き「共感と前進」という基本姿勢を堅持しながら、県民の皆さまと共に、県民の皆さまに寄り添って共に歩んでいくという考え方に立って、県政の深化を進めていきたいという思いを強くしているところです。

9月補正予算における狙いについて
(山﨑・高知新聞社記者)
 補正予算に戻るのですけれども、今回の9月補正予算の中で、総括的に改めて意を払った部分ですとか、狙いなどがございましたらお聞かせください。

(知事)
 今回は6月補正予算と違いまして、臨時交付金の財源がふんだんにあるという状況でもありませんでしたので、どちらかといいますと、この3カ月、あるいは半年間のいろいろな事態の進展に応じて、当初予算あるいは6月補正予算まででは対応ができなかったこと、あるいは今の原型の予算では対応が難しいことを、緊急に措置する必要がある部分について、措置をさせていただいたというのが正直なところではあります。
 その中でも特に意を用いた点としては、4月以降あるいは5月のコロナの5類移行以降、県内の経済の回復は、いいペースで今進んできていると思いますので、これに水を差さずに、この勢いを維持し、さらに強めていくという方向で、今最小限何をしないといけないかというところで検討した結果、この時点でこういった事業をお願いしておかなければということで、観光であったり、アンテナショップの整備であったり、そうした経済の活性化に緊急に必要なものを中心に、要は絞り込んだ形で、今回補正予算のお願いをするに至ったということです。
 

お問い合わせ

総合企画部 広報広聴課
TEL:088-823-9046
FAX:088-872-5494
Topへ