公開日 2024年05月14日
更新日 2024年05月14日
2 新型コロナが5類に移行して1年、観光・経済の活性化に対する振り返りと今後の取り組みについて
3 地方自治法改正案に関する知事の考えについて①
4 地方自治法改正案に関する知事の考えについて②
5 令和5年度の高知県への移住実績について
6 大学・企業・政府機関の地方移転への考えについて
7 今後の高知県への移住の取り組みについて
8 移住者に中山間地域に住んでもらうための政策について
9 JR四国の2024年3月期の連結決算等への受け止めについて①
10 JR四国の2024年3月期の連結決算等への受け止めについて②
11 JR四国の輸送密度について
12 愛媛県知事との交流会議におけるJR四国に関する協議について
13 JR四国から再構築協議会の申し入れがあった場合の対応について①
14 JR四国から再構築協議会の申し入れがあった場合の対応について②
15 地方自治法改正案に関する知事の考えについて③
16 地方自治法改正案に関する知事の考えについて④
令和5年度高知県への移住者数について[PDF:1.08MB]
(司会)
ただ今から知事記者会見を始めさせていただきます。冒頭、知事から令和5年度の高知県の移住実績について報告させていただきます。
(知事)
それでは、本日は最初に令和5年度の高知県への移住の実績が取りまとまりましたので、ポイントを説明させていただきたいと思います。
まず、令和5年度の移住者数ですけれども、組数で1,437組、人数にして1,930人、過去最多となりました。目標としては、組数ベースで1,300組という目標を掲げていましたので、これを達成できたということです。そして、移住相談者数をご覧いただきますと、それはこのところやや伸び悩んでおりまして、こういう方々がいわば移住予備軍と言ってもいい方々になりますので、この点を伸ばしていくのが、近年の課題でしたが、かなり令和5年度は伸びたということです。
この要因としては、特に若者をターゲットといたしまして、いわゆるデジタルマーケティング、SNSなどを通じまして、過去の履歴などを参考にして、潜在的な本県に移住を考えてくれる蓋然性が高い方々に重点的に働きかけていくと、こういう対応を新たに取ることにしましたので、こうした手法が効果を表したことで、若者、特に移住の予備軍であります相談者数の増加、こういった形の成果に結びついたということではないかと分析しております。
年代別に見ました時に、特に20代以下が大幅に増加しまして、全体の4割の方々が20代以下。そして30代以下ということで幅を広げましても、約7割が30代以下の若い方々ということになりまして、今、「元気な未来創造戦略」で掲げております、若者の増加を図っていくという方向性に沿う形の成果が出てきていると言えると思います。
地域別に見ますと、移住前の住所地、これは令和4年度までの関東・関西という辺りが多かったのですが、令和5年度は特に関西からの移住割合が増加したということ。そして、出身地で見ますと、高知県が36%ということですので、これは前年と大きく変わりませんが、4割弱がいわゆるUターンの方々だという傾向が出ております。そして、市町村別の移住者数を見ますと、高知市が715人でして、かなり大きな伸びになっておりますと同時に、市町村別でも圧倒的に多いということです。対前年の伸び率で見ますと、越知町、三原村、こういった比較的小さな町村が、空き家の掘り起こしで移住者向けのお住いの確保が進んだというようなことが奏功して、かなり高い伸び率を記録していることが大きなポイントではないかと考えています。
そして、今後の取り組みですが、新しい産振計画、あるいは未来戦略、中山間地域の再興ビジョン、こういったもので令和9年度の年間の移住者数は3,000人という目標を立てております。令和5年度が1,930、約2,000弱ということですから、引き続きハードルの高い目標ですけれども、この目標を何としても達成すべく、令和5年度に成果が出ました、いわゆるデジタルマーケティング、この手法をさらに強化してUターンの候補者、特に若者、女性へのアプローチを強化していくことを続けたいと思っておりますし、相談者数の増加という形で、移住の前段階まで進んで来ていただいている方々も増えてきておりますので、ここをしっかりと移住に結びつけていく。各市町村におきます若者の増加に、これをつなげていく努力をさらに続けていきたいと考えております。
(司会)
それでは幹事社質問に移ります。よろしくお願いします。
GWの県内観光地の人出への受け止めと持続可能な観光に向けた施策について
(小林・毎日新聞記者)
今年のゴールデンウィークについてのご感想を聞かせていただきたいのですが、今年のゴールデンウィークは県内各地、観光地が賑わったと伝わっています。今年の人出について、受け止めをいただきたいということと、併せて、全国各地では観光地について、インフラの許容量を超え、人が多い、オーバーツーリズムが問題になっています。いろいろなところで、駅から人が溢れたりといった状態が結構見られるところもあるのですが、県は、今回「極上の田舎」ということでキャンペーンに取り組んでいらっしゃいます。そのキャンペーンをやる上においての課題も山積していると考えます。
持続可能な観光にするための課題、あるいは施策について、今お考えのことがあれば教えていただければと思います。
(知事)
まず1点目の、今年のゴールデンウィークの人出についてです。統計的な数字を申しますと、県内の主要観光地44施設の利用状況をまとめましたところ、利用者総数で21万5,000人余り。これは昨年との比較では9割相当ということでした。高速道路の交通量は昨年並、JR四国の利用者数は約9割の状況ということでして、全体としては、天候が雨の日も少なくなかった。あるいは、曜日の配列が必ずしもベストではなかったというような要因がありまして、前年比で約9割というところにとどまったということではないかと考えております。個々の施設を見ますと、特に「らんまん」の効果が昨年大きく見られました牧野植物園、あるいは伊尾木洞、こういったところは引き続き好調なペースということですし、キャンプフィールドなどの屋外施設、高知城、四万十川、こういったところも昨年同様、多くの観光客で賑わったということですので、総じて申し上げますと、高知県の観光地の自力といいますか、そういったものは付いてきたと言っていいのではないかと受け止めています。
一方でオーバーツーリズムという話がありました。本県の場合、そういった状況に近いといいますか、ものとしましては、まさしく連休中などは、非常に県外から観光客の方々が殺到して、いわゆる渋滞が生じるというようなことが、典型的な事例ではないかと思います。
対策としては、臨時駐車場を設けましてシャトルバスを桂浜や牧野植物園まで運行するというような対応、そして駐車場マップの配布、SNSによります交通情報の発信、こうしたものを通じまして、渋滞を極力避けるという対策を実施してまいりました。結果、こうした渋滞対策という面で言えば、大きな混乱はなく、連休を送ることができたということではないかと思います。
一方で「どっぷり高知旅」キャンペーンの話もございました。今年度からスタートしまして、課題としては、まずは、やはり県内外にこのキャンペーンの趣旨についての情報発信をしっかり行っていくことだと思っています。 その点で、今年度上期につきましては、大阪でアンテナショップがオープンするというタイミングでもありますから、特に関西圏を中心に、キャンペーンの趣旨をPRしていくと、強化していくということに取り組んでいきたいと思っております。
また、キャンペーンを成功裏に導いていくためには、やはり県民の皆さんのご参加、ご参画がポイントではないかと思います。地域の人々の思いというものも受け止めていただき、地域の方々との交流を通じて高知を深く、そして、たっぷりと、じっくりと楽しんでいただく。それが「どっぷり高知旅」の趣旨ですし、そのことを通じて、長期滞在であったり、リピーターを獲得していきたいというコンセプトですから、そういう意味では、今までの高知の観光の売り物でした食や自然、歴史、こういうものに加えまして、県民の皆さん、いわばお一人お一人の、各地域地域の暮らしや文化、こういったものをテーマとして、地域の思いを伝えていくということが大事になってくると思います。
そのためには、いわば、高知家総出でのおもてなしということを進めていく必要があると考えています。例えば新たな観光商品づくりについても、できるだけ大勢の県民の皆さんにご参加いただいて、一緒になって取り組んでいただくと。こういった地域一帯となった取り組みを進めていくことを、いかに進められるかということが課題だと思いますし、これはコンテストなどの手法を通じて、しっかりと進めてまいりたいと考えています。
新型コロナが5類に移行して1年、観光・経済の活性化に対する振り返りと今後の取り組みについて
(野本・NHK記者)
5月8日に新型コロナの感染症法の位置づけが5類に移行してから1年が経ちました。この1年間の、観光については先ほどお話しいただいたのですが、コロナという意味合いで、1年間の感想や経済の活性化について、どのように振り返りますか。また今後について、県として引き続きどのように取り組むお考えでしょうか、お伺いします。
(知事)
コロナ5類移行後、1年間の経済面での振り返りということでした。5類移行によりまして、社会経済活動全般の正常化が進んだということだと思います。特に観光に関しましては、この間、連続テレビ小説「らんまん」の放送、あるいは台湾からのチャーター便の就航、こういった追い風もありまして、この追い風もそうですが、今まで長年にわたって、いろいろな観光資源の磨き上げ、あるいはセールス活動、こういったものを積み重ねてきたと、これがベースにあると思いますが、これに追い風も力を貸していただいて、昨年の県外観光客の入込数が過去最高、472万人を記録できたということだと思います。
経済の方、全般に関して言いますと、例えば産業振興センターの外商支援によります成約額も過去最高の117億円余りという数字を記録しております。経済の景況感全般を示す指標として、日銀で3カ月ごとに調べられております、業況判断指数がありますけれども、この数字をチェックしましても、この1年間も基本的には、波は多少ありますけれども、高知県内で改善の基調で進んでいます。全国に比べてもいい数字が出ているということですので、県経済の本格的な回復に向けて、歩みを進めた1年であったと言えるのではないかと考えます。
一方で、今後についてですが、物価高騰による影響は長期化しておりますし、円安あるいは人手不足の問題、こういった経済成長を持続的に行っていくためには、克服しなければいけない課題も少なくないということだと思います。ただ、これは、いわば奇手というか特効薬というか、そういったものが特別あるということではないということだと思います。県経済の持続的な成長のためには、生産性の向上をはじめとした各産業分野の構造転換を通じて、足腰の強い経済をつくっていく。また、新たな価値を創出する経済活動を後押ししていくことではないかと思います。
その意味で、従来も続けてまいりました地産外商を関西、あるいはグローバルな海外市場、こういったところを視野に、さらに強化していく。デジタル化、グリーン化などを通じましたイノベーションを進めていく。こういったことが課題になると思います。これを通じて、若者の人数の回復を図っていくということ。さらには、外国人材の受け入れも促進していく。こういった取り組みが必要だと考えております。
観光面では、令和7年度に連続テレビ小説「あんぱん」の放送も控えております。「どっぷり高知旅」キャンペーンの中で、やなせさんゆかりの地の情報と併せまして、やなせさんの思い、世界観を国内外に発信していくと。 そして、本県への誘客を図っていくということが必要だと思っております。さらにその先、令和8年度には、国民文化祭の開催を予定しておりますので、県内各地の神楽などの伝統文化に触れることのできる観光商品、あるいは周遊コースづくり、こういったものも着実に進めていきたいと考えております。
こうした取り組みを総合的に行っていく中で、本県経済の持続的な発展、そして、若者の定住・定着といった政策目的の達成につなげていきたいと考えております。
(司会)
それでは、各社からの質疑に移ります。質問される方は、社名とお名前の発言をしていただいてから質問をお願いします。
地方自治法改正案に関する知事の考えについて①
(栗原・時事通信社記者)
地方自治法改正案についてお伺いします。重大災害や感染症の流行などが起こった際に、国が地方自治体に対して指示権を行使できるようにする地方自治法の改正案についてですけれども、これについて、知事会では基本的には指示権発動の前に自治体と協議したり、発動は最小限にしたりするということであればということを要望していますけれども、知事ご自身のお考えをお願いします。
(知事)
今、国会で審議されております地方自治法の改正案に関しては、これは地方制度審議会などの議論の中で、いわば全体的な時系列からすると、特例的、例外的な事象としての大規模な感染症の蔓延や大規模災害、こういった事態に限った特例的な扱いとして、国が地方自治体に対して、指示を行うことができるという根拠規程を置くことだと思っています。
基本は、今まで行ってこられたように個別の法律の中で、こうした指示権が入ってくるということだと思います。例えばコロナ禍におきますダイヤモンド・プリンセス号の事案などを通じて、既存の法律の中では必ずしも想定されていないけれども、場合によっては必要なことがあり得るという前提の中で、今回、規程の整備をしようということだと思います。
その趣旨そのものは一定程度理解ができることだと思います。問題は運用だと思いまして、これを乱用されることになりますと、分権一括法を通じて国と地方間は対等、協力の関係ということが位置付けられたことが、否定されるようなことになってはいけないということだと思います。その点は、この法案の具体的な検討の過程の中で、指示を行う場合に、事前に地方の意見を聞くといったような手続きも設けられたと承知しておりますし、そういった形で、いわば大規模な危機事象への対応における、例外的な対応として、特に感染症などはそうだと思います が、国がいろいろな意味で、海外の情報等、判断についての必要な情報が国に集中していると考えられることだと思いますので、そうした厳格な運用を図っていくという方向で、まだ国会の審議も今進んでいるということだと思いますから、そういった運用が担保されることを、国会の審議を通じて明確化されることを期待したいと思っております。
地方自治法改正案に関する知事の考えについて②
(栗原・時事通信社記者)
これに関しては、野党や岩手県の達増知事などは批判をしてますけれども、知事ご自身はそういう批判があることについてはどう思いますか。改めて、乱用についての懸念を、先ほども言われてますけども、批判があることについて受け止めはありますか。
(知事)
そこは今、申し上げたように、分権一括法の中で、国、地方が対等、協力の関係という大原則がある中で、それとの関係はどうなのかという問題意識でのご批判だと思います。特に平時の運用ということを考えた場合に、そのような懸念が出てくるということは、これはこれで理解できないわけではない。我々も、そういう意味でこの運用が、本来言われている危機事象の場合に、非常に抑制的に必要最小限の範囲で行われるということであれば、これは理解ができる範囲内に入るだろうという前提で、知事会などとしても対応してきていると思います。
令和5年度の高知県への移住実績について
(羽賀・朝日新聞社記者)
2つあります。まず、先ほど発表いただきました移住者の件なのですけれども、増えた分析は先ほど伺ったのですけれども、もう少し知事の率直な感想を、特に産振計画で掲げた目標を超えたことについての感想を教えていただけますでしょうか。
(知事)
この点は、特に今後の人口減少の問題の克服ということを考えた場合に、特に若者の定着として、増加を図っていかないといけない。そのためには、若者に魅力のある仕事を創っていくということは一つの柱でありますけれども、いわば入れ物ができるだけではなくて、そこに現に移住であったり、あるいは外国人も含めてでありますが、県外から人が入ってきていただくということであったりが必要不可欠なわけです。そういう意味で、ある意味、高い目標を掲げて移住者の増加に取り組んできた訳ですし、特に令和5年度は、デジタルマーケティングという新しい試みも加えて取り組んでまいったわけですので、産振計画に掲げた目標を大きく上回る形で成果が上げられたということは、喜ばしいことだと思います。
ただ、先々、令和9年度は人数ベースですけれども、今回の1,930から向こう数年で3,000という、非常にこれも高いハードルの設定をして、実現を図っていこうということです。全体的な社会増減ということで見ますと、令和4年度から5年度、むしろ厳しい数字も出ているということですので、今回の移住者の増そのものは評価すべきだと思いますけれども、決してこれで安心、あるいは油断、慢心することなく、この社会増減の分析ということもさらに進めた上で、現実に、元気な未来創造戦略の目標達成に、移住者の増加ということがしっかり直結できていくように、取り組みを強化していきたいと思っております。
大学・企業・政府機関の地方移転への考えについて
(羽賀・朝日新聞社記者)
もう1点、香川、愛媛の両県知事との会談などでも、知事は大学、政府機関、企業の地方移転を提言したいということを表明されています。これは最近になって知事がお話されるようになったのではないかと思うのですけれども、この辺りを強化されたいというか発言されている背景をもう少し教えていただけないでしょうか。
(知事)
これは今回、人口戦略会議という民間主導の政策提言の機関から、ちょうど10年ほど前に、いわゆる増田レポートとして出されたシナリオの時点更新の形で、再び消滅可能性自治体というようなワーディングも含めて、人口減少問題の深刻さを訴えるレポートが出されたということがひとつのきっかけです。
これで、若干懸念しておりますのは、消滅可能性自治体やブラックホール自治体というのが出てきましたけれども、人口減少の問題がもっぱら今地域の問題であったり、地域の努力いかんで左右される問題だというようなニュアンスで語られるということは、これは話が違うのではないかという思いがあります。
もちろん、各地域、自治体の努力というのが必要不可欠ですけれども、これは国全体としての問題でもありますし、そうしたことで考えました時に、10年前、安倍内閣の時に、この問題が取り上げられた時に、国全体としても東京圏と、それ以外との、いわゆる社会増減ですね、これを均衡させようという目標を立て、そのためにかなり意欲的な、大学にしても、企業の移転にしても、中央省庁の移転にしても、目標を立てて取り組んだという経過があります。結果的に言えば、必ずしも成果が十分に上がっていなくて、東京一極集中に歯止めがかかっていないということですから、その意味では10年前のいわば原点に返って、大学であったり、企業であったり、政府関係機関であったり、こうしたところの移転を国が主導して進めていくことで、この東京圏とそれ以外の圏域との社会増減の均衡というところに、もう一度、国としてもチャレンジする姿勢を見せてもらいたいという思いがあります。
これは大きな問題ですから、まずは、政府に省庁横断的な検討組織をつくるところからだと思いますけれども、そういった提言をこのタイミングでさせていただこうと考えたということです。
今後の高知県への移住の取り組みについて
(井上・高知新聞社記者)
再び移住のことでお伺いしたいのですけれども、今後の取り組みですが、先ほど知事ご自身も令和9年度3,000人という高いハードルだというご発言もありましたし、全国的な状況を見ても、コロナ後、東京一極集中の流れが再び加速していたり、また、先日消滅可能性自治体というのが示されて、おそらく、他の自治体も移住の取り組みなどもさらに力を入れてくるであろうということで、地域間競争もまた厳しくなろうと思います。そういう意味では、これまでの取り組みの延長線上だけではなく、より飛び越えた、思いきった取り組みも必要ではないかと思うのですけれども、その辺り具体的なお考えがあればお聞かせください。
(知事)
移住のテクニカルな部分に関しては、デジタルマーケティングという手法を取り入れていったということですけれども、これは移住してきていただいても、魅力ある仕事がなければ定着していただけないということですし、現実に移住を考えていただいて、うまくいかなかったケースの多くは、仕事と並んで住まいの確保ということです。 やはり、特に若者にとって魅力のある仕事を増やしていくということ、そして、住まいの確保について、今まで特に令和4年度から空き家対策の抜本強化も行ってまいりましたけれども、さらにいえば、そうしたものに加えて、特に市町村主導での一種の中間管理住宅というようなものになるのでしょうか、そういった新たな住宅の整備が必要ではないかということが、今の課題ではないかと思います。そうしたものを、今回新たに設けました人口減少対策の総合交付金もツールとして、市町村とも協力しながら、移住していただける環境整備としての仕事、住まい、ここのところの、さらに次元を上げた形でのブラシュアップを図っていくということが、まず基本だと思います。
その上で、特に移住の方法論として、デジタルマーケティングの強化ということもございますし、成果が出つつある関西圏をターゲットとした取り組み、こういったものをさらに強化していくことだと思います。
これもなかなか、他県との大きな競争ということもありますし、びっくりするような特効薬とか、新しい手がぱっと出てくるということは、なかなか無いと思いますけれども、例えば昨日も関西電力の関連会社の「HarFor(ハルフォ)」という会社が、女性の多様な働き方を実現するような、まさしくデジタルマーケティングなどを実施する会社を高知に創設していただけると。先々は、数百人規模での雇用を考えていただけるということで、新たな「デジタルハブ高知」というオフィスの開設も行っていただいているということですから、こういった類の若者にとって魅力のある仕事、働き方の提示ということを、この動きを地道に、着実に県内全体に広げていくという努力をしっかり進めていきたいと思っております。
移住者に中山間地域に住んでもらうための政策について
(井上・高知新聞社記者)
そこに関連してですけれども、もう1点、移住してこられる方を中山間地域にしっかり導いていくというところも、一つこれから大きな課題だと思います。知事がおっしゃられた企業誘致なども大事だとは思いますけれども、比較的、高知市に偏りがちなところもあります。
中山間地域にどのように導いていくのかというところをお聞かせください。
(知事)
これはただ今申し上げた努力を中山間地域のレベルでもやっていくということだと思います。ひとつは、職の問題、仕事ですね、もあります。先ほど申し上げました「HarFor(ハルフォ)」も、いずれテレワーク、リモートワークなどで中山間地域にもオフィスを展開していく、サテライトを展開していくという構想も持っていただいております。こういったものに代表されるような魅力のある職業を中山間地域でもというところでもありますし、特に建設業であったり、一次産業であったり、中山間地域での基幹産業もデジタル化を進めていくことで、若者にとって魅力のあるキャッチーな職場を実現していくことが第一だと思います。今、申し上げましたような住まいの問題も、これは市町村で一番ニーズは分かっていただいていると思いますから、総合交付金の活用も含めて、県としても一緒になって条件整備をやっていくということではないかと思います。
もうひとつ、これは中山間地域の士気高揚みたいなことで言いますと、中山間地域の伝統的な文化の継承、これを令和8年の国民文化祭というタイミングをひとつのピークにして取り組んでいくと。中山間地域の大きな、やはりアイデンティティはそうした伝統文化であると、その継承をしっかり次の世代にしていきたいという思いで、中山間地域の皆さん、いろいろと頑張っていただいていると思いますから、そういった部分でのバックアップというものも含めて、中山間地域の盛り上がり、そして、中山間地域に住むように移住者への働きかけをするといったところに意を用いてまいりたいと思います。
JR四国の2024年3月期の連結決算等への受け止めについて①
(古谷・読売新聞社記者)
JR四国のことでお伺いいたします。先日、JR四国が3月期の連結決算を発表して、4年ぶりに黒字になったという発表がありました。これに対する知事の受け止めと、あと、知事が常々、路線個別の議論に入るより、まず先に、関連事業を含めたJRの継続を示して欲しいというようなお話をされていらっしゃいましたけれども、その点、今回、ある程度のことを示してきましたけれども、それに対する効果について。あと、同時に輸送密度に関して予土線は150人ですか、かなりもう落ち込んでいるというデータが示されていましたけれども、その3点の受け止め方をお願いします。
(知事)
今回、JR四国の決算の発表がありまして、連結で純利益35億円、4年ぶりの黒字化といったような中身になっておりまして、このことは大変喜ばしいことではないかと思います。コロナ禍後の乗客数の回復という要因と、久方ぶりに運賃の改定を行われたというようなこと。そういったことの助けがあってということだと思いますけれども、そうは言いましても、やはり営業利益というのでしょうか。一種の国からの財政支援ですね、除いたところでは、やはり基調としては赤字というところは、なお、続くという中で、国の財政支援や関連事業の好調ということ、ホテル等で黒字を達成されたということではないかと思います。
そうした意味で、これが良い材料となって欲しいのは、こうした見通しが、先々も引き続き関連の事業、あるいは国の既存の財政支援の措置等を総合していった場合に、JR四国全体の経営としては、ベースになる本体は赤字基調としても、全体の経営支援策等々をトータルで見た時には、十分収支が成り立つという見通しが立って、これが予土線を含みます、いわゆる地方ローカル線の維持も、何とか経営体力の中で対応ができていくと。それを、我々自治体が利用促進の努力で支えていくという構図、いわば未来予想図が描けていくということになっていくのが最も望ましい状況だと思っています。
その上で、予土線の話がございましたけれども、これについては、JR四国から、いずれ新しい法律に基づく協議会の申し出等々もあるのだろうと思いますけれども、まずは、先ほど申し上げましたような経営全体の見通しといったところ、そして、どうしても避けて通れないのが国鉄分割民営化時以降の、国としての公共交通確保における責任の明確化という問題、こういったものは、しっかりと議論させていただきながら、私どもとしては、どうやれば予土線を維持できるのか。そして、さらに、いわば育てていけるのかというところに軸を置きながら議論をしていきたいと考えております。
JR四国の2024年3月期の連結決算等への受け止めについて②
(古谷・読売新聞社記者)
この黒字という部分は、これから予土線の議論を始める中では、明るい材料になると受け止めでよろしいのでしょうか。
(知事)
そこはそうだと思います。やはり、いろいろ要因はありますけれども、経常的に恒常的に赤字が続くということでは、事業自身の続く可能性ということが危ぶまれるということですから、まずはトータルでの損益として、黒字化が出来たということは明るい材料だと、そこは率直にそう思います。
JR四国の輸送密度について
(古谷・読売新聞社記者)
一方では、輸送密度がコロナ禍前の2019年から半減しているという数字がありましたけれども、その部分はどう受け止めていますか。
(知事)
その点は、私自身もまだ細かな分析ができておりませんが、コロナ禍の影響であったり、そういったものがどうなっているのかというところの分析も必要だと思います。我々としても、今回、県境をまたいで利用促進の協議会も一本化して、新たな取り組みを進めていこうということですので、沿線そのものはどうしても人口減少が先行して続いているところがありますので、観光振興などによる交流人口の増加といったところにもより軸足を移しながら、利用促進を我々としても、関係者一緒になって考えていかなければいけないと思っております。
愛媛県知事との交流会議におけるJR四国に関する協議について
(古谷・読売新聞社記者)
昨日の愛媛県知事との話の中でも、そういう話は出たのでしょうか。
(知事)
中村知事は、国の責任というところに関して、かなり強い主張をされてはおりますけれども、いずれ、自治体としてできる最大の貢献は利用促進ということだと思っておりますので、その点は一致しておったと思っております。
JR四国から再構築協議会の申し入れがあった場合の対応について①
(古谷・読売新聞社記者)
いずれJR側から協議会の申し入れがあると思うのですけれども、それに対してのスタンスは、先日までは、「廃止前提ありきでは応じられない」というような話がありましたけれども、そこは、応じるような方向になっているのでしょうか。
(知事)
この点は、法律に基づく協議会ということですので、申し出があった場合は、それこそ合理的な理由がなければ拒めないということだと思いますので、そこは、テーブルに着く着かないというレベルで揉めるということでもないと思います。その際には、いろいろなデータをしっかり出していただくということ、そして、事業全体の先々の展望もお示しいただきたいということ、これを前提としてお願いしてきた訳ですから、そうした中で、事業全体の見通しの発射台としては、良い数字が出てきたということだと思いますので、そうしたものもお示しいただきながら、繰り返しになりますが、いかにローカル線を、地域の交通手段を維持できるかという視点に立って、議論が進められることを問題提起しながら対応していきたいと思っています。
JR四国から再構築協議会の申し入れがあった場合の対応について②
(古谷・読売新聞社記者)
協議開始の方向に進んできたと受け止めていいのでしょうか。
(知事)
いい材料ではあるということだと思います。
地方自治法改正案に関する知事の考えについて③
(中田・高知民報記者)
地方自治法改正案についてです。先ほど知事は、これは限定的な話だということだとおっしゃっていましたけれども、一方で、これは限定されていないということを非常に不安視している声というか、包括的だと。それで、緊急性がない場合にも、恐れがある場合もあると。自治事務にまでも指示権がかかってくるということを非常に懸念する声も強くありますので、その中で知事会も一定の担保ということで提言を出されていると思うのですけれども、これは地方自治と逆行するのではないかという指摘について、いかにお考えでしょうか。
(知事)
この点は、具体的にどういう場合が想定されるのかという議論の中で、総務大臣からも、ある意味では、それが具体的にない中で、いわばバスケットクローズというのですね、包括的な対応ができるような規定を、地方自治法に置くんだというご説明があったということだと思っています。あらかじめ限定して想定ができるのであれば、個別法で穴がある部分を埋めていくことが本筋の対応であるというのは確かだと思います。
ただ、コロナ禍におけます、ダイヤモンドプリンセス号の対応というようなことを見た時に、ああしたケースも含めてあらゆるケースを想定して個別法の手当てをしていくことは、およそ現実的には、なかなか難しいということだとすれば、それに対応できるような根拠の規程は置いて、運用を極めて厳格にしていく。そして、地方の意見も、実際に動かす際には聞きながら、国が一方的に地方を指揮するという形にならないようにしていくということを、今回の法案の審議の過程も含めて、担保していただくことが大事ではないかと思っております。
地方自治法改正案に関する知事の考えについて④
(中田・高知民報記者)
現状では努力義務というか、資料等を提出することに努めるようにするみたいな、何かそういう話だと思います。なので、地方と協議の場を設けるというか、同意を得てやるとかいうことが大切ではないでしょうか。
(知事)
指示権の話なので同意を得て行うというのは、やや法制的に無理があるかなとは思いますが、ただ、いずれにしても、今後の国会審議等の中で、単に一方的に意見を聞くということだけではなくて、地方との協議をすると。現実問題は、意見を聞くという手続きは、協議の場を設けるというような形になるのではないかと思いますけれども、そこは附帯決議なり国会答弁の中で、具体的に地方との、いわば双方向の意思疎通というのが担保されるような形になることが望ましいとは思います。
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