公開日 2024年05月30日
更新日 2024年07月16日
1 高知市内の学校プールで起きた死亡事故の受け止めと県の再発防止策について
2 高知空港国際線ターミナルの運用が遅れることへの影響について①
3 高知空港国際線ターミナルの運用が遅れることへの影響について②
4 市町村へのパートナーシップ制度の指針策定について①
5 市町村へのパートナーシップ制度の指針策定について②
6 知事公邸のあり方について①
7 知事公邸のあり方について②
8 知事公邸のあり方について③
9 知事公邸のあり方について④
10 改正政治資金規正法の成立について
11 学校での水泳授業のあり方について
12 学校等の公共施設の老朽化に対する国の財政的支援について
13 小池東京都知事の再選と石丸候補の善戦について
14 東京都知事選挙、衆議院補欠選挙東京15区における選挙運動について
15 東京都知事選挙で注目していた点等について
16 一年後の参議院選挙に向け、徳島高知選挙区の合区解消に向けた考えと取組について
17 参院選における都道府県代表者選出の必要性について
18 同性カップルの住民票続柄欄の表記について①
19 同性カップルの住民票続柄欄の表記について②
(司会)
ただ今から知事記者会見を始めさせていただきます。
最初に、知事から新型コロナウイルス感染症について、お知らせがあります。
(知事)
最初に、県民の皆さまに新型コロナウイルス感染症の状況について、お話をさせていただきたいと思います。
昨日、事務方から発表させていただいたところですけれども、先週1週間、7月1日から7日までの新型コロナウイルス感染症の県内の感染状況に関連してのお話です。
県内の新規感染者数は、今、定点観測方式になっておりますが、前週の6.48から12.75 ということで、前週と比較して倍増という状況です。全国的にも増加しており、特に、沖縄県・九州地方で増加が目立っているということです。過去の新型コロナウイルスの感染状況を見ましても、夏の時期に感染拡大するという傾向が見られました。それを考えますと、この感染拡大の傾向はまだ続くのではないかと考えられます。
県民の皆さまには、基本的な感染防止対策、例えば、手洗い・十分な換気・三密回避、こういったことについて、一層ご注意いただくといった形で、感染防止にご協力をいただきたいと存じます。
特に、マスクの着用について、一律にこれをお願いするものではありませんけれども、例えば医療機関、高齢者施設などにご訪問される際には、施設におきましてマスクの着用などについてのルールを設けておられることも多いと思います。そうした際には、マスクの着用などを徹底していただく形で、ご配慮をお願いしたいと思います。
(司会)
それでは、幹事社質問をお願いします。
高知市内の学校プールで起きた死亡事故の受け止めと県の再発防止策について
(井上・高知新聞社記者)
7月5日に高知市内の学校のプールで起きた死亡事故についてお伺いします。高知市の長浜小学校4年生の男児が、南海中学校のプールで水泳授業をしていた際、溺れて死亡する事故が起きました。この事故に対するご見解や学校、高知市教委の対応についての受け止め、それから県として再発防止に向けた取り組みをどう進めていくか、お聞かせください。
(知事)
まず、本件でお亡くなりになられました児童に対しましては、心から哀悼の意を表したいと存じます。また、ご遺族、ご家族にも心からお悔やみを申し上げたいと存じます。
この事故の詳細な原因などにつきましては、今後、警察の捜査、あるいは高知市で、いわゆる第三者委員会を設置される予定と聞いておりますので、こういった場で検証されると思いますけれども、何と言いましても子どもたちにとって、安全・安心であるべき場所である学校の、しかも授業中にこういった形で死亡事故が発生したということは、極めて重く深刻に受け止めております。
保護者の心中をお察ししても、これはさぞかし無念であろうと、余りあるところでございまして、誠に遺憾であると言わざるを得ません。
県教委におきます対応ですが、週明けから長浜小学校へスクールカウンセラー7名を派遣し、児童への心のケアの支援を行う、あるいは同じく週明け8日に国立・私立を含めます県内の全学校に向けまして、水泳授業中の安全管理の徹底を求める通知を発出するといったような対応を既に取っています。
今後、高知市におきましても検証が行われることだと思いますので、その結果がまとまりましたら、提供もいただきまして、これを踏まえた注意点などを、改めまして県教委から県内の市町村・学校に対して周知することも考えたいと存じます。
各教育委員会・学校におきましては、今回の事故も決してよそ事ではないという前提に立ちまして、安全対策を徹底いただきまして、こうした事故が二度と起こらないように全力を尽くしていただきたいと考えております。
(司会)
それでは、各社からの質疑に移ります。質問される方は、挙手をして社名とお名前の発言をしていただいてから質問をお願いいたします。
高知空港国際線ターミナルの運用が遅れることへの影響について①
(羽賀・朝日新聞社記者)
高知空港の国際線ターミナルの件で伺います。先般の議会で完成が一定遅れるというお話がありましたけれども、これがどれくらい遅れるのかということ、それから当初の予定では運用が来年10月ということで、関西万博との連携というか相乗効果も期待できたかと思うのですが、遅れることによって県の観光施策に影響がどれほど出るのか、この辺りについて教えてください。
(知事)
まず、どの程度の遅れかという点につきましては、現時点ではまだ確たる見通しの幅をお示しすることができない状況です。この作業を急ぎまして、今設計の作業中ですから、作業を急ぎまして、9月の県議会にはおおよその見通しを確定して、お示ししたいということです。その点、ご理解いただきたいと思います。
元々の予定では、お話ありましたように、来年の10月、万博の会期の終わりの方には、ぎりぎりなんとか間に合うという形を目指そうと進めてまいりました。
ただ、事情は先般県議会でもご説明したとおりでして、昨年の秋に設定しました整備案に対しまして、特に入国管理関係の施設の関係当局、あるいは航空会社などから、ご意見もいただきまして、向こう10年、20年長いスパンで使っていくことを考えますと、この機会にそういったご意見も踏まえて、さらに充実した施設をこの際、整備しておくべきであろうと、そうした考え方に立って、設計の作業のやり直しをしてきたことで、遅れる見込みになっているということです。
その結果、一番の影響として心配されますのが、今、台湾からの定期チャーター便の運航をしておりまして、これに関しましても、乗客の皆さんの受け入れに関して、より利便性・快適性を上げていくべしということで、今は プレハブの建物の対応の中で、なんとか対応を取ってきておりますけども、これが先方の希望としてもできるだけ早い時期に、ターミナル本体の整備を行ってもらいたいというご要望をかねてお聞きしておりましたので、この点が一番の直接の心配点です。
そういう点では、現状の見通しについて、せんだって副知事にも台湾に飛んでもらいましたけれども、そうした中で、先立って関係の部長も訪問をさせまして、タイガーエア台湾には状況をご説明して、もちろん分かったと快諾ということにはなりませんけれども、そういう事情であればやむを得ないですねというご理解はいただいているということですから、そうしたご要望に応えるためにも、内容的には充実をした上、できるだけ早い時点での共用開始ができるように努力をしたいと思っております。
高知空港国際線ターミナルの運用が遅れることへの影響について②
(羽賀・朝日新聞社記者)
そうすると現状では、台湾便の定期便化の昇格は当面見送られる見通しになるのではないかと思うのですけれども、その辺りの影響はだいぶ出てくるという見通しですか。
(知事)
直接、定期便化にどの程度の影響ということまでは、私も今の時点で頭が整理できておりませんけれども、決してプラスの方向の要素にはならないということは確かでして、当面は今のプレハブの建物での対応、ハード的にはそれを前提にして、あとはソフト面で何とかできるだけ利便性・快適性の向上ということのご要望に応えていくことで、対応していくということしかないと思います。逆に言いますと、定期便化というところに悪影響が及ばないように、できる限りの努力はしていきたいと思っております。
市町村へのパートナーシップ制度の指針策定について①
(中田・高知民報記者)
県が6月議会で示した市町村へのパートナーシップ制度の指針についてお聞きします。
それ自体は、当然時代の流れに沿った良いことだと思いますけれども、市町村に進めましょうという指針を出されるわけですが、以前にお聞きしたことがありますけれど、県としても明確な意思表示的なものをしないと、市町村にも示しがつかないと思うのですが、いかがでしょうか。
(知事)
この問題は県議会でもご答弁申し上げてきましたけれども、こうしたパートナーシップの証明の仕事そのものは、住民記録の事務を担当していただいています市町村において、制度化してもらうことが合理的であろうということです。
ただ、その際にも、特に県内でもかなりの市町村、人口比でいえば半分以上、カバー率で言えば6~7割くらいのところに広がってきております。この市町村間の制度の調整、一番分かりやすい例としては、引っ越しをされた時に、改めて手続きが必要でないような利便性を確保していくといったようなことを中心とした、いわゆる広域的な調整の必要が出てくるという段階に至っていますので、これはもう広域自治体である県の出番であろうということが背景としてあります。
そうした中で、例えば、香川県は、結果的に全市町村でこの制度が整備されておりますし、本県でも大月町の例などを見ますと、現実に県外から移住された方のニーズ・ご要請に基づいて制度化されるというような動きが出ております。こうした形で各市町村が現実のニーズというものも踏まえて移住対策という視点も含めて、いわば自主的な形で整備していただいて、結果的に香川県のようにカバー率100%になっていくという姿が、私は望ましい姿ではないかと思っています。
それに際しても、ただ制度のひな形的なものを、先ほどの広域調整をしていくということの前提としても、そういったものを県としてお示しして、いろいろな準備もしていただく、あるいは調整のベースとしていくということが必要だろうという考えに立ちまして、今回県として指針を策定して、市町村にお示しさせていただいたということです。そういうことで申し上げますと、県として指針を策定したということ自身が、最終的には各市町村でご理解が深まって、県下くまなくカバーできるような形に、この制度が普及していくことが望ましいであろうという判断に立っているとご理解をいただきたいと思います。
市町村へのパートナーシップ制度の指針策定について②
(中田・高知民報記者)
以前も窓口は市町村だから、市町村が主たる制度の策定者だからとお話があったと思います。それも分かりますが、例えば香川県もパートナーシップ制度を策定していると思います。それで相乗効果でカバー率が100%になっているのか、どっちが先かっていうと、ちょっとそこまで勉強していませんけれど、「県としてもやりますよ」ということを示してるからこそ市町村もそういうふうになったというか、相関関係もあるのではないかと思いますし、徳島県もやられていると思います。
全国でも増えているので、遅くないうちに県でも制度を作ることで多数派に転じるというのは容易に想像できます。そういうこともあって、県としての取り組みというのは、指針を出して市町村にやりなさいよと言ってるだけでは、ちょっと県民の理解が得られにくいのではないかなと思いますが、いかがですか。
(知事)
ちょっと香川県の場合の事実関係は、確認できておりませんけれども、確かに県レベルでも制度を作って、ご希望される方は、県の例えば出先の事務所あるいは本庁でもいいんですけれども、証明の申請を受け付けるというような取り組みが行われていることは承知しておりますし、県の数もかなり増えてきているというのも事実だと思います。
ただ、実務ということを考えますと、その証明を求めている方がそもそも県内の市町村の住民かどうかというところで、住民票の発行や添付を求める、あるいは住基ネットも使えるかもしれませんが、そうした形で結局は市町村の持ってる情報と突き合わせというものが必要になるわけです。私としては、基本的にはそういったこともあって市町村で、また後々のそうした方々への支援・ケアということを考えても住民の身近な市町村で、できれば当事者のご要望、意見交換を踏まえて、ニーズの把握等も含めて制度化されていくというところが、実のある支援制度ができていくことにつながるのではないかと思います。
その上で、あまりこれは想像したくないことですけれども、例えば移住して来られた方が地元の市町村にご相談された中で、要望しても制度化してもらえないと、もう県がいよいよやるしかないというような状況が起こってくるというようなことであれば、これは本腰を入れて、県として対応が必要ではないかということを考えなければいけない局面はあり得るかとは思いますけれども、その場合でも私としては、まずはそうした市町村、特に当事者となった市町村に制度化について働きかけをすることが先決ではないかと思っております。
そういう意味では、市町村優先の原則といいますか、地方自治の原理の一つでもあると思いますので、そういった中で、どうしてもカバーはされないというような局面が将来仮に起これば、県としての直接の対応も場合によっては考えなければいけないと、そういうスタンスでいるところです。
(中田・高知民報記者)
県に求められてるのは、宣言的な、高知県として進めますということをアピールするという理念的な役割も大きいとは思うのですが、今のお話は分かりました。
知事公邸のあり方について①
(浜崎・高知新聞社記者)
知事公邸について伺います。今の知事公邸、年の利用がコロナもあってほとんど利用されていない状況もある一方で、平均5年間で200万円を超える維持管理費がかかっています。建築から60年以上たって老朽化も進んでいることも他方でありまして、今の濵田知事の知事公邸に対する問題意識は、どういうものをお持ちなのかというのをお聞かせ願えたらと思います。
(知事)
知事公邸の問題については、1期目はコロナ禍とも重なりましたので、あまり行事自身は知事公邸でやるという機会が、そこまでなかなか考えが及ばなかったというのが正直なところではありますけれども、2期目の選挙にあたりまして、知事公邸の在り方を、いわば行政財産の有効活用という観点から見直しをすべし、したいということも公約として掲げさせていただきましたので、改めて、そうした目で見ました時に、私自身の元々の問題意識は、昨今の全国的な状況もそうですけれども、危機管理の必要上、知事が県庁に近いところに常住しているということは望ましいことだと思いますけれども、それにしても、かつてに比べますと、そのために県が公舎を整備して、そこに住まうというケースはだいぶ減ってきていると。特に最近、中央省庁の勤務経験者などが知事に転身した場合、多くは自宅を買う、あるいは借りるなどして県庁の近くに住まわれると。結果、公舎を公舎としては活用しないというような事例も増えてると思います。今の公舎も60年たちますので、これが建て替えを今と同じような形で するかどうかという判断も、建物の耐用年数ということからすれば、そう遠からず議論が起こってくる可能性があるというタイミングだと思います。そうした時に、少なくとも今と同じような形で迎賓機能や集会機能を持つようなものを同じように造るという選択肢は、あまり現実的ではないのではないかという思いもあります。
そうした中で、ただ私自身は1期目に就任いたしました時に、相当改修費も掛けてもらって、今住んでいるということはありますから、直ちに今の公舎を出ようということはありませんけれども、先々一般的な意味として、次の知事、次の次以降の知事のことも考えました時に、もう少し全国的な状況も踏まえての論点を整理して、今の時代に知事公舎的なものが必要なのかどうか、必要だとしたら、どういう形で、例えばマンションの借り上げみたいな方式もありますから、やるのがいいのかという点を、まず私は然るべき時期に、有識者の方々にもお集りいただいて、議論をいただいて、方向性を出すということをこの任期中にはしたいと思っております。その前段として、今おっしゃったような形で維持費はかけて、清掃とか、お庭の整備とかしてもらっていますので、それで今、例えば叙勲の表彰式などで県庁の外の会議室をお金を出して借りてわざわざやってるようなもので、知事公邸でやるのにふさわしい、あるいは受け入れ可能なものについて、知事公邸をもっと使っていこうということで、今年度、特に意識して使用を始めている状況です。
知事公邸のあり方について②
(浜崎・高知新聞社記者)
お話をお伺いしていると、知事の問題意識としては、どちらかというともう不要というような捉え方ですか。
(知事)
今のような形で、例えば大きな会議をするとか、外国を含めてお客様をおもてなしをするために、数十億円とかいうような、あるいは十数億円かもしれませんけれども、お金をかけて整備し直すというような時代ではないのではないかというのが根本にあります。
その上で、ただ知事が危機管理上できるだけ県庁の近隣に居住する必要性・合理性は、私はそれはそれなりにあるのではないかと思います。そうした中で、ただ一方では、これはある他の県の知事と話をしていて、その県は、知事公舎は廃止したようなのですけれども、しかし今持っている、現に持っている県の知事と話をした時に、外国のお客さんをお迎えをする時に、知事公邸でご接待をすると大変喜ばれたというお話を聞くと、やはりそういったものがあっても良いというようなご意見をお持ちの若い知事も他の県でおられました。そういった点では、いろいろな考え方がきっとあり得ると思いますから、広く有識者、県民の意見を聞くプロセスを得て、方向を出していきたいと考えているところです。
知事公邸のあり方について③
(浜崎・高知新聞社記者)
スケジュール感なのですけれど、先ほどおっしゃったように、残り3年足らずの任期の中で、いろいろな案をまず検討委員会に出してもらって、知事ご自身で結論を出されるということで構わないですか。
(知事)
結論の出し方がどういう形になるかということはありますけれども、少なくとも議論をいただいて選択肢を整理して、その上で、私自身、次の期どうするかということはありますけれども、次の期の選挙が行われるのに際して、知事を志される方が自分がどうしたいのかと判断する、少なくとも選択肢の整理をしておくとことは、私の使命ではないかという認識でいるところです。
知事公邸のあり方について④
(浜崎・高知新聞社記者)
在り方を決めるだけで結論を出すということではなく、次の方に選択肢を示すというところまで2期目でやられるということですか。
(知事)
最低限、そういうことではないかと思いますし、私が次の期、どういう対応を取るかということはありますけれども、それはまた候補者としてチャレンジするということであれば、一候補者として、私自身はどうしたいということは、その場で、その時点で判断して、県民の皆さんにご判断を仰ぐということになるというスケジュール感を考えています。
改正政治資金規正法の成立について
(竹村・NHK記者)
改正政治資金規正法について伺います。先月、改正政治資金規正法が成立しましたけれども、今回の県議会でも共産党などの会派から、抜本的な改正を求める意見書ということで、これに反対するような内容の意見書が出されていたかと思います。賛成少数で否決はされましたけれども、この中では、企業団体献金を禁止することだとか、政策活動費の支出は即刻廃止することだとか、あるいは政治資金パーティーを全面禁止することといったような要望が書かれておりましたけれども、この改正政治資金規正法について、成立した規正法について知事はどう受け止められているかということと、こうした意見書が県議会の会派からも出てきていることについて、受け止めとお考えをお聞かせいただければと思います。
(知事)
先の通常国会で成立しました政治資金規正法の改正、このものに関しては、元々以前から申しておりましたけれども、一番最悪なケースというのは議論だけして、全く成案がまとまらない、何も変わらないというのが最悪だと思っておりましたので、その点からしますと、いろいろな議論はありましたけれども、少なくとも規制の実効性を上げていく、いわゆる連座制の強化、議員本人の責任強化というところ、あるいは政治資金パーティーの透明性向上といったところで、具体的にただちに執行できるレベルの法改正が行われたという点は、まずは評価をすべきだと思います。
ただ、一方で特に政策活動費の扱い等々、検討事項として法律上は明記はされたけれども、次の具体的な立法行為がないと改正に至らないという部分、要は積み残しの課題もたくさん残ったわけでして、この点、まだまだ課題が残っているということはあろうと思います。
さらに申しますと、より抜本的な企業団体献金の禁止等々のご意見もあったという中ですので、議論そのものは積み残しになっている課題も含めて、引き続き、国政の場で、各党各会派でしっかりご議論いただくべきだと思います。
その上で、私自身の考えを申し上げますと、県議会でも申し上げましたように、企業団体献金の廃止、政治資金パーティーの廃止、ある意味、勇ましい形での規制強化論、禁止論、あるいは制限強化論があるわけですが、私は大きな方向としては、いたずらに禁止とか、規制強化ということではなく、政治活動の自由との兼ね合いもありま すので、規制そのものの強化は最小限ということにして、その代わり収支の状況はつまびらかに県民の皆さん、国民の皆さんにオープンにして、その上で透明性を高めて国民の皆さん、県民の皆さんのご批判あるいは判断・評価に委ねていくことが、大きなあるべき方向性ではないかと思っておりまして、その点の考え方は今も変わっておりません。
学校での水泳授業のあり方について
(栗原・時事通信社記者)
まず、7月5日に起きた長浜小のプールの事故についてお伺いします。プールの老朽化が今回の事故の一つの原因と見られております。全国的にもプール、県内でもプールが老朽化している中で、学校のプールの在り方、水泳の授業の在り方について、どのように思っていらっしゃいますか。
(知事)
これは少し幅広い視点での議論が必要ではないかと思います。学校のプール、老朽化が目立つところもありますけれども、先ほどの知事公舎の話ではありませんが、今の学校プールが出来た時と同じような形で、屋外型のプールを学校に、同じように整備していくというのが良いのかどうかというのがかなり議論のあるところだと思います。いろいろなスポーツ振興との兼ね合いも含めた場合、あるいは年間を通じての利用ということで考えれば、例えばですけれども、拠点校に年間を通じた温水プールを整備していくという方式がより効果的ではないかとか、さらに言いますと民間のスイミングスクールの施設などを活用するといった方法も選択肢ではないかと。そういった点を、これは私としては、ぜひとも議論し、検討すべき論点だと思っております。そういった幅広い選択肢も含めた中で、このプールの再整備ということについて、検討すべきではないかと思います。そうした中で、やはり学校で直営で整備していかなければいけないというものについては、必要な財政的な支援制度の充実ということが求められているのでないかと思っております。
学校等の公共施設の老朽化に対する国の財政的支援について
(栗原・時事通信社記者)
この辺りに関しては、プールだけではなく、学校の体育館であるとか、校舎であるとか、他の施設の老朽化も同じようにありますけれども、国において、やはり財政措置を議論して欲しいという考えでしょうか。
(知事)
これは一昔前というか、10年弱前に、やはり人口減少の時代を見据えて、いろいろな公共施設の集約化が必要ではないかと、市町村合併も一巡した後ということも踏まえると、まさにそういう時代に来ている認識は、これは国レベルでも地方でもかなり一般化してきているということではないかと思います。そうした意味で、あれは多分、期間限定だったと思いますが、公共施設の集約や再整備をしていくための有利な地方債の制度なども設定されてきたというような経緯があると思います。そうした流れを踏まえて、なお必要な公共施設の再編であったり、集約であったり、こういったものについての、恐らく一般的には、その制度そのものがなくなったとしても、後継の制度は準備されてると思いますけれども、そういったものの活用も含めて、人口減少時代ということも踏まえた上で、望ましい再整備の在り方は、常に意識していかなければいけない問題ではないかと思っております。
小池東京都知事の再選と石丸候補の善戦について
(栗原・時事通信社記者)
東京都知事選挙の関連ですけれども、小池百合子さんが東京都知事に三選しましたけれども、これについての受け止めと、今回、次点になりましたけれども石丸伸二前安芸高田市長が、当初と比べるとかなり躍進したように感じられますが、これの要因や受け止めについて伺います。
(知事)
東京都知事選挙では、小池百合子知事の三選が圧倒的な差で決定したということだと思っております。やはり、過去も側聞しますと、都知事選挙、現職で出馬して破れた方はおられないというような話もあります。一般的に現職の首長は、現職の強みということが言われる、小池知事の場合は、特に2期目はそうだと思いますけれども、都議会の自民党あるいは公明党との関係も改善して、比較的安定した都政運営を行われてきたのではないかと、少なくとも大きな失政的なものもあまり指摘はされてこなかったと、そうした中での2期8年の実績が評価されたことが大きな三選の要因ではないかと考えます。
その上で、第2位には石丸候補、政党の支援を受けなかった石丸候補が、俗にいえば急浮上したという形だと思いますけれども、これは逆にいいますと3位となった蓮舫候補が、どちらかといいますと、国政の与野党の対立構図を引っ張ってくる形で、特に政治資金の問題なども含めて、国政での対決構図ということの再現を狙ったのに対して、大変厳しい結果だったということだと思います。そういう意味では、先ほどの政治資金の問題の話もありましたけれども、都民の皆さんの判断というのは、ある意味、自民党の今回の政治資金問題に関しての厳しい見方というのはもちろんでありますけれども、既成政党の野党の対応ということに関してもかなりクールなというか、冷めた目で対応をされていたのではないかと思います。
むしろ、そのアンチ既成政党を保革問わず、与野党問わず、そういうところの政治不信といいますか、刷新の都民の皆さんの願望というようなところを、石丸候補が自ら既成の政党の推薦を支持を受けないということで、SNSなども活用して、特に若者、無党派に浸透した結果が、ああした形になっているのだろうと思います。
そういう意味で、投票率もかなり高めになったと思いますけれども、そうしたことが、今回の石丸候補の第2位への浮上というところに大きく影響しているのではないかと受け止めております。
東京都知事選挙、衆議院補欠選挙東京15区における選挙運動について
(栗原・時事通信社記者)
今回、都知事選の選挙ポスターは、かなり表現が過激なものがあったりしました。また、衆議院15区の補欠選挙では選挙妨害もあったりしましたが、最近行われている選挙に対する暴力について、どのようなお考えでしょうか。
(知事)
15区の補欠選挙におきます演説の妨害のような事案も含めて、私に言わせれば、表現の自由だとか、あるいは選挙、政治活動の自由に名を語った形で野放図な活動が行われているのは、本当に嘆かわしいことではないかと思っております。
やはり、選挙というのは民主主義の基本ですし、本来、各候補者も含めて関係者がその点を自覚いただいて、表現の自由というのは、大事に自らを律して守っていかないと、逆に、表現の自由の規制というものの口実を与えてしまうと。そういう意味で、真摯に私は表現の自由ということに関しては大事にしていかないといけない価値だと思っていますから、いわば、それと真逆な形で表現の自由に名を借りて、相手の候補の演説を妨害したり、あるいは選挙ポスターの掲示場に全く関係のない商業用のPRのポスターを貼ったりというのは、本当にけしからんことだと思います。
また、そうは言いましても、法制上どうかということで見ますと、特にポスターの掲示場に関しては、今の公選法の条文を調べますと、例えば政見放送や選挙公報では、商業的な利用、広告などに使うのは罰則を持って禁止されているのに対して、ポスターの掲示場に関しては、そこまでの規定は無いことが、逆な読み方をすれば、ああした形で、いわば権利の乱用的な行為が行われることの温床になったというのではないかという指摘を、私は傾聴すべき点があるのではないかと思います。そうした点を中心に、これは選挙運動の基本に関わる部分ですから、国政の場で各党、各会派で真摯な議論をして、法制上しっかり手当を取るべき部分については手当てをしていくという方向で、議論が進めていただければありがたいと思っております。
東京都知事選挙で注目していた点等について
(井上・高知新聞社記者)
都知事選の関連してですけれども、地方の目線から見ると、やはり東京一極集中の是正というのが、これからの大きなテーマであり、これまでも大きなテーマだったのですけれども、そういった視点から見て、今回の都知事選、あまりそういった政策論争が深まっていないような側面もあるのですが、知事として、今回の都知事選での論争など、注目していた点、もしくは注目していたけれども、あまり議論にならなかった点があればお聞かせください。
(知事)
その点は、おっしゃる通りなところがあると思います。当初、候補者が出そろった、主要な候補者が出そろった時点で、まさしく、石丸候補は安芸高田という地方の都市の首長を経験されたということも踏まえということだと思いますけれども、むしろ東京一極集中の是正という旗も掲げて、選挙戦を戦われるということでしたので、私はその点、大変注目しておりましたけれども、どちらかといいますと、そちらよりは、恥を知れ恥をという方に話が行ってしまったということで、あまりその点の議論が深まった、あるいは熟したとは言えなかったというのは残念な点だと思います。
行うべき方向としては、大都市と地方がやはり共存共栄ということだと思います。例えば食料や水、エネルギーもそうですし、何よりも人材の供給源が地方が東京を支えている、大都市を支えているということがありますから、そういった点に深く思いをいたしていただいて、いろいろなところで共存共栄を図っていくという方向性で、ある意味大きな度量を東京都の知事は持っていただきたいという気持ちもございます。そういったところがある意味、争点として議論をされて、都知事の在り方としても都民の判断をいただくということになれば、一番理想的だったと思いますが、現実はなかなか、そこまでなれなかったということですけれども。
現実に、やはり東京都民の方々の中にも、通勤時間の負担や住宅の狭さとかいうことがあれば、日本全体のことを考えても、もうちょっと地方分散を進めた方がいいのではないかという意見は、潜在的にはかなりあると思います。そういった都民の皆さんの共感もいただけるような議論を、全国知事会の場などで十分に議論を深めて、知事会としても、これはまだある意味ちょっと利害対立の問題にはなりますから、一筋縄ではいかない点はありますけれども、共存共栄というところでのコンセンサスを、何らかの形で発信できないかということは、追求していきたいと思っております。
一年後の参議院選挙に向け、徳島高知選挙区の合区解消に向けた考えと取組について
(井上・高知新聞社記者)
続いて、参院選の合区解消についてお伺いします。次期参院の通常選挙まで、およそ1年となりました。濵田知事は、今年度に入ってから、合区解消に向けて政策提言を積極的に行い、参議院改革協議会の専門委員会でも意見を述べてこられられました。ただ、通常国会の会期中には、解消に向けた具体的な前進というのは正直見られませんでしたし、改革協議会の専門委員会の報告書でも、解消に向けた具体策については意見集約が難しいと指摘されています。改めて残り1年、合区解消に向けた考え、そして取り組みについてお話をお聞かせください。
(知事)
次の通常選挙が約1年後に迫るというタイミングでしたので、これは、いわば3年に1回の大きな議論の盛り上がりの時期だということを見据えまして、今年度、特に始めから年度変わり以降、参議院の改革協議会の皆さま方を中心に合区の1日も早い解消という提言活動を強化してまいったところです。
残念ながら、この改革協議会の取りまとめの中では、合区の不合理は解消すべきという点での一致は見たものの、具体策というところで一致に至らず引き続き検討ということになりました。
正直、いろいろな周知期間、準備期間を考えますと、次の通常選挙というのは相当厳しい状況だとは思いますけれども、なお、一縷の望みは秋に臨時国会があるとすれば、その機会ということも期待するという点も含めて、この問題は、引き続き、我々として、決してあきらめずに問題提起し、働きかけを続けなければいけないということだと思います。
今回は、そうした経過も踏まえて、今まで主として第一党である自民党、第二党である立憲民主党の先生と主として接触してきたわけですけれども、いろいろなやり取りの中でさらに公明党ないし、より少数の会派の方が、現実にそこが具体的な改正の処方箋として一致してないということですから、そうした先生方への働きかけ、提言というところも強化していく必要があるのではないかというようなご助言も自民党の先生などからもいただいている とこですから、今後もそういった点も含めて、決してあきらめることなく、1日も早い解消に向けてできるだけ多くの同志を募って、この活動は働きかけは続けてまいりたいと思っております。
参院選における都道府県代表者選出の必要性について
(井上・高知新聞社記者)
具体的な処方箋とおっしゃられましたけれども、合区解消に向けて大きく意見が分かれているのが都道府県単位というものを重視するのか、もしくは、ブロック制という形で合区を解消するかというところで、意見が二分されていると思います。そしてまた、知事は先ほど公明党などの各党にもアプローチしていくというお話もありましたけれども、そういった政党はどちらかというとブロック制を主張されていると思います。ここに対して、都道府県単位の代表が必要だということを、どのように説得というか訴えていくのか、改めて都道府県単位が必要だという理由を含めてお聞かせください。
(知事)
これは最終的には、各党の勢力分野の成長に関わる部分ですので、デリケートな部分はありますけれども、やはり、議論の大きな道筋としては、47都道府県、これが明治以来、日本の地方単位として完全に定着しているということ。いろいろな地方レベルの政治的な判断、あるいは行政的な執行も含めて、都道府県が国民の皆さんの間で1番定着した単位となっているということ。このことが一番のベースになるということだと思います。
その上で、これは諸外国の例を見ても、例えばアメリカの上院などでは州単位で、これは連邦制の国だということはありますけれども、人口が多い州も少ない州も一律二人というような制度が、民主主義の一種の到達点でもあるようなアメリカでも、何ら憲法違反の議論は起きずに行われているということもあります。そういった事例も含 めて、やはり、国政の多くの内政の分野については、大半が都道府県という一つの内政の単位を通じて、具体化をされ執行される。あるいは都道府県という単位を通じて、国民の皆さんの意見が集約されて国政の場で戦わされているという実態を踏まえる中で、都道府県という政治行政単位というのを、第二院である参議院では大事にしていただきたいということを改めて訴えていきたいと思っています。
同性カップルの住民票続柄欄の表記について①
(栗原・時事通信社記者)
住民票についてお伺いします。長崎県の大村市の住民票で続き柄欄に「夫(未届)」とすることについて、松本総務大臣が修正の要望を出しましたが戸籍制度にも関わる問題だと思います。この点について知事の受け止めをお願いいたします。
(知事)
この点、総務省で示された見解というのもお聞きしました。そうした中で、非常に実務上の問題があるというのが結論的なコメントであったと思います。要するに同性のカップルの場合に「夫(未届)」というような表示をすると異性間の事実婚ですね。これと外形的には全く同じになってしまうので、今、異性間の事実婚は、例えば健康保険の扶養家族の扱いなどで、法律婚並みという扱いがされていると。それと、そういう扱いがされていない同性カップルとは、全く同じ表記に住民票なってしまうと。これは実務をする時に、混乱が起きかねないということだと思いますけれども、そういう実務上の問題があるというような指摘が返ってきたということだと思います。
ただ、一方で総務大臣も言われていますけれども、住民票の記載というのは、そこにどう記載するかによって、新しく権利関係が決まるというようなものでは必ずしも無いと。あくまで実務上の説明書きだということですの で、ちょっと私も見解は読んで分かりにくいと、中途半端だと、正直感想は持っておりまして、結論のところはそういう意味で望ましくはないけれども、最後は自治体の判断だというような結論だと思います。
そういう流れの中でお聞きしますと、また、大村市は再質問というようなことも含めて総務省とやり取りをされるというご意向だと聞いていますので、そのやり取りの中で、私の残っている疑問としては、実務上問題がある、だったらどうしたら良いのかということをもう少しアドバイスをしてあげて欲しいと、総務省には、してもらいたいという気持ちはありますけれども、それは恐らく今後の再質問や、やり取りの中で議論が深められていけば、方向性が出てくるのではないかなと期待しておりまして、今後そういう形でより議論が深まっていくことを期待したいと思っています。
同性カップルの住民票続柄欄の表記について②
(栗原・時事通信社記者)
これについては知事は大村市が行ったジェンダーの観点で、それはやっていくべきだと思うのか、それとも地方自治の観点でその辺りは応援したいと思うのか、どちらになるのでしょうか
(知事)
あまり、私もちょっと詰めて考えるに至っておりませんけれども、今回のようなロジックで実務上混乱が生じる恐れがあるから問題があるのではないかということであれば、例えばですけれど、自治体の判断で書けるということであれば、今までは、例えばこういう場合は、縁故者みたいなことで書くということが一般的だったようですけれども、「縁故者(同性パートナー)」など、そういう表記をするというような選択肢も、私も専門ではありませんけれども、素人考えながら、やり取りを見てそんなことも思いました。
例えば、そんな選択肢も含めて、より周りから見ても、あるいは関係者の納得も得られやすいような、分かりやすい解決策が、事実上そういう工夫が出てくるということを私は期待したいと思っております。