公開日 2024年06月18日
更新日 2024年07月11日
1 「動物愛護センター」の整備の経緯とセンターの意義について
2 能登半島地震被災地の視察についての感想について
3 能登半島地震発災から半年後の視察と視察時間について①
4 香美市での教育長不在に対する県の介入について
5 動物愛護センター整備とふるさと母校応援制度運用に対する県の思いについて
6 能登半島地震被災地の視察を受けての南海トラフ地震対策について
7 災害廃棄物に対する事前対策について①
8 災害廃棄物に対する事前対策について②
9 ふるさと母校応援制度を運用する背景について
10 ふるさと母校応援制度の学校での活用について
11 人口動態調査における高知県の出生数・出生率への受け止め等について
12 能登半島地震発災から半年後の視察と視察時間について②
13 能登半島地震発災から半年後の視察と視察時間について③
14 知事と教育長の関係について①
15 知事と教育長の関係について②
16 大阪・関西万博への修学旅行について①
17 大阪・関西万博への修学旅行について②
18 元気な未来創造戦略における2027年の目標出生数4,200人の根拠と実現策について
19 現在の周産期医療体制の課題解決に関する県の関わりについて
(司会)
ただ今から知事記者発表を始めさせていただきます。
冒頭に、知事から6月補正予算の概要について説明があります。
(知事)
本年度の県議会の6月定例会でございますけれども、6月21日に招集します。今回提出する議案は、令和6年度の一般会計補正予算など予算議案が2件、条例その他議案が9件、報告議案が2件、合わせまして13件です。
以下、この6月補正予算(案)の概要について、簡単にご説明します。
今回の6月補正予算(案)は、一般会計の総額で8,600万円ほどということでして、例年ここ数年のコロナ対策ですとか、物価高騰対策などに、国の臨時交付金を活用して、かなり規模の大きな補正予算を計上してきたことに比べますと、小規模な補正になっております。
ただ、ある意味コロナ前の通常の状態に戻ったと考えていただいてもいいと思います。まだ年度始まって、2カ月余りということですから、当初予算を大きく補正をしないといけないという要因が、本年ではそれほどなかったとご理解ください。
その中でも、特に必要な施策を着実にタイムリーに実行していくために、このタイミングで補正をお願いしなければいけないもの、一般会計におきまして2件、そして、工業用水道事業会計におきまして1件を主に掲げさせていただいております。
一般会計補正予算案の1点目は、高知市と共同で運営をいたします動物愛護センターの整備に向けた経費です。 本年度は、基本設計あるいは用地造成の設計などを行いたいということです。高須浄化センター敷地内の一部を予定して準備を進めておりましたが、基本設計まで進みたいということです。規模はここに書いてあるとおりでして、スケジュール的には、このあと建設工事などに進みまして、令和9年度には供用を開始するスケジュールで整備を進めていきたいと考えております。
一般会計補正予算案の2点目は、ふるさと母校応援制度の運用を開始するための経費として、4,500万円余ということでございます。この制度に関しては、本年度の当初予算編成時に検討しまして、当初予算と同時にこういう制度を入れていくという発表をさせていただいておりました。今回、その制度に基づきまして、具体的な予算の計上をさせていただいて、本年度からこの制度を動かして、クラウドファンディングにより、ふるさと納税の制度を使って寄付金を募る。その寄付金を活用して、手数料分などを除きまして、県内の私立学校、県立学校の教育環境の充実・学校の魅力化、例えば部活動の設備の整備などをしていくというプロジェクトを学校側で企画をいただいて、いわば、この指止まれ方式でクラウドファンディングをかけまして、これが一定の規模に達しましたら、手数料を除いた部分を学校側に交付するという形で、部活動の充実だったり、学校の魅力化だったりに充てていこうという予算です。
それから、工業用水道事業会計につきましては、企業の工場の新設に伴います設備の改修などを行う経費3,000万円余りということです。工場につきましては、具体的には東海理化学研究所という会社でして、自動車に使います様々な製品の製造を行っている会社です。今回、高知県と共同で技術開発をしてまいりました竹を配合して、自動車などに使う新しい樹脂を作るという工場の立地を行っていただくことが決まりました。このために工業用水の供給を行うための必要な設備の改修が今回必要になったというものです。
県もこの開発にあたりまして、協力いたしました新しい技術で、一種のグリーン化、竹の繊維を使って脱炭素化に貢献できるということですし、併せて里山の地域は竹林の増殖がかなり顕著で、この対策も課題になっているという中ですから、これをうまく回せていければ、そういった里山の竹を伐採したもの、資材を使って、脱炭素に貢献できる新しい樹脂を製造できるということですから、一石二鳥の効果が期待できる新事業ですので、このための工業用水の供給に必要な予算を計上するということです。
予算関係は以上です。
(司会)
続いて、来月31日にオープンします関西アンテナショップのロゴマークが完成しましたので、知事からご紹介いたします。
(知事)
2点目の話題として、来月31日に大阪梅田に新しくオープンします高知県の関西アンテナショップ、「SUPER LOCAL SHOP とさとさ」ですけれども、こちらのロゴマークが完成しましたので報告します。
総合プロデューサー 梅原真さんに監修いただきまして、作成したものでして、コンセプトでありますSUPER LOCAL SHOP、こちらはシンプルな表現として、「とさとさ」は手書きの柔らかい感じで、温かい感じを出す、親しみやすさを表現するというコンセプトで作成したロゴです。
二つのデザインのパターン、横長のパターンと、縦長のパターン、それぞれ場面、場面に応じまして使い分けをして活用していこうという考え方です。
そして、ロゴマークと併せまして、本日公開いたします、ホームページの画面がこちらです。「SUPER LOCAL SHOPとさとさ」のロゴと併せまして、高知の野菜、大変色鮮やかな野菜を取りそろえ、また、やまぶき色のバックで明るい雰囲気を醸し出すという形で高知のPRをしていくと、そういうランディングページを公開させていただきました。
そして、色や絵柄につきましても、「とさとさ」ならではの優しい、そして、温かいお店の雰囲気、こうしたものがにじみ出るような工夫をしたところです。
また、「とさとさ」のショップは、高知の物産の販売だけにとどまりませんで、例えば観光とか移住、こういったPRの拠点にもしたいと、そうした情報発信拠点とすることも狙っているわけでして、高知出身の方はもちろんですが、そうでない方も高知に関心がある方、高知が好きな方には気兼ねなく、遠慮なく立ち寄っていただけるような、そうした空間を生み出しているところです。
そして、「とさとさ」の紹介の動画も作成しましたので、ご覧をいただきたいと思います。
(知事)
こちらの動画は、「とさとさ」のホームページからも閲覧いただけるように手配しております。
繰り返しになりますけれども、「とさとさ」を関西におきます高知のさまざまな情報発信も含めました拠点として、物産の販売もそうですけれども、食・文化・観光こういった高知の魅力をオール高知で発信していく、そういう拠点として機能するように目指していきたいと考えております。
(司会)
それでは、各社からの質疑に移ります。
質問される方は、挙手をして社名とお名前の発言をしていただいてから質問をお願いいたします。
「動物愛護センター」の整備の経緯とセンターの意義について
(井上・高知新聞社記者)
補正予算の動物愛護センターについて、お伺いします。
動物愛護センターは、高知市との共同設置・共同運営ということで、2018年に基本構想を策定し、当初は2021年度の開設を目指しておりましたが、用地の選定などに難航して、なかなか事業が進んでおりませんでした。
今回、この現時点での基本設計ということで、ある意味、具体的な事業着手にやっとなるかと思うのですけれども、改めてこれまでの事業の進捗の経緯であったり、動物愛護センターそのものの意義であったりというところのお考えをお聞かせください。
(知事)
この動物愛護センターの整備については、早い段階から高知市と共同で設置しようということで、合意は得ていたわけでありますけれども、現在のところ、意義としては、これまで動物の管理を共同で行う施設を高知市と共同で持っておりました。
ただ、今の大きな流れは、それに加えて、動物愛護の啓発であったり、譲渡会をはじめとした動物愛護のための拠点の施設、情報発信も含んだ拠点の施設まで含んだ形の充実した施設の整備が求められてるというのが、ある意味、全国的な標準にもなっているということだと思います。ここは恐らく全国でも最後の方から数えて1番か2番というようなタイミングで、本県の場合、整備になるということですから、殺処分ゼロを目指していくといった大きな時代の流れの中で、拠点となる施設を早く整備をしたいと、かつ今の共同の管理所の発展系ということで、高知市とは共同で効率的・効果的な運営ができるようにしたいということで、取り組みを進めてきたわけです。
しかし、一方で、当初の想定以上に時間を要しましたのは、基本的には、この用地を、具体的な候補地を選定をして準備にかかる過程で、当然のことながら、周辺の住民の方々にもご理解をいただくというプロセスが当然必要でして、県市の間では、かなりの数の候補地はあらかじめピックアップし、そして、具体的に候補地を内定して、周辺の住民の方々への説明、あるいは説得の作業を進めてきたわけですが、一度ならず、何度ということはもう差し控えますが、何カ所かそういったトライアンドエラーというのですか、チャレンジはしたけれども、なかなか地元の皆さんのご理解が得られないで、先へ進めないことが何回か続いたという中で、最終的に、高須の浄化センターの隣接地ということであれば、ここは元々、津波の場合の長期浸水も想定されるということで、そういう意味では、その条件からいえば優先度が高い場所では、率直にいってなかったわけではありますけれども、周辺の住民の皆さんのご理解をいただくという関係の中で、他の候補地はなかなか難があるという状況を経た結果として、最終的に候補地として浮上し、今回さらに、具体的に前に進んでいこうという判断をしたということです。
能登半島地震被災地の視察についての感想について
(羽賀・朝日新聞社記者)
2点あります。1点目は、先日、能登に行かれたかと思うのですけれども、そちら少し状況の報告などしていただけますでしょうか。
(知事)
今週火曜日に能登半島の地震の被災地を直接私自身訪れて、視察しようということで県の職員数名と一緒に奥能登地方の珠洲市、輪島市を視察させていただきました。輪島市では、市長が東京にご出張中でしたので、副市長からも若干時間をいただいて、状況をお聞かせいただくという機会もあったところです。
被災地の第一印象としては、今回の地震は道路の寸断で、発災直後、集落の孤立が多発したというのが大きな特色でしたけれども、特に幹線道路の車道の方はかなり復旧をしていると、おおまか移動については、それほど支障がない形で交通も確保できていると感じました。
ただ一方では、ところどころ歩道には、がれきも残ったままというような状況も散見されました。とにかく、まず幹線道路をしっかり復旧するということを優先で、対処されたのかなというのが道路の被害に関しては、そういう印象でした。
全体を通じまして、私自身一番印象深かったのは、震災発生から、もう半年近くなるわけですが、市街地を含めまして多くの箇所で、全壊あるいは半壊した家屋が基本的にその発災直後のままです。例えば1階がつぶれて2階だけしか残ってないような傾いたままというような家屋が、ほぼそのまま各地に残っているところが大変多かったです。一部、既に処理をして、更地になってるようなところもなくはなかったですけれども、輪島市のような市街地の火災の跡地も含めて、多くが損壊した家屋がそのまま、あるいは、がれきがそのままというような状況の地区が大変多かったということが、半年近くを経て、この状態がずっと続いているということは、恐らく市民の皆さんも非常に心を痛めているのではないかと拝察し、今回の大きな印象となった点でした。
この点、市役所で副市長、あるいは一昨日は、東京で松村防災相にも提言活動にまいりましたので、この件、話題にしましたところ、倒壊家屋の処理については公費を使って制度はできているわけですけれども、申請とその後の権利関係の確認であったり、あるいは、とても地元の事業者だけでは賄えないので、県外も含めた市外の解体事業者の方々に入っていただく必要があったのだけれども、その辺の受け入れ態勢も含めた準備や調整、こういったものに時間を要していて、まだあまり進んでいないというようなご説明でした。本県にこれを照らして、南海トラフ地震が発生した時と考えますと、本県でも半島域のように、かなり距離的に離れた地域での被災ということも想定されるわけで、そうした意味で、我々も、例えば仮設住宅の建設用地であったり、災害ごみの仮置き場であったり、そうしたところを事前にできるだけピックアップして、準備したいということで取り組んでいるわけです。そうしたことを含めた事前の備え、準備というのが、やはり極めて重要なのだなという思いを強くしたところです。
能登半島地震発災から半年後の視察と視察時間について①
(羽賀・朝日新聞社記者)
失礼ながら、発災から半年近くたって、そして、視察が1日という短さということを考えると、どこまで効果が出るのかということについては、私はちょっと疑問を感じ得ないのですけれども、その辺り知事はどのようにお考えでしょうか。
(知事)
恐らくそういった思いは地域の住民も含めて、半年たって進捗状況ということは、率直にいって遅いのではないかという思いを持たれる方は、大変多いのではないかという印象は強くいたしました。
ただ、恐らく現地の感覚とすると、まず、例えば水道がとおらなければ、解体作業すらできないという中で、水道の断水に見舞われた地域も大変多かったということですし、避難所なども、やっと仮設住宅の整備が整ってきて、縮小の方向で今落ち着いてきているという現場も拝見し、お話も聞きました。例えば水道の復旧であったり、仮設住宅の整備であったり、そういった、とにかく被災者の方々の身の回りの生活が、まず回っていくようにというところの手当てを優先し、いわばそれに追われている中で、そちらを優先せざるを得なかった中で、なかなか損壊した家屋の処理というとこまで手が回っていなかったということが、実情なのではないかなという点は、致し方ない部分もあったのではないかという気もします。
香美市での教育長不在に対する県の介入について
(羽賀・朝日新聞社記者)
もう1点、香美市で教育長が空席という事態が続いています。当面まだ市長と議会の対立が続きそうですけれども、知事として中に入るようなお考えがあるのか、ないのか。特に香美市の場合は、教育が熱心で若い世代の移住が増えていて、県としても注目されている施策かと思うのですけれども、このまま放置されていくのか、その辺り、もしお考えがあれば教えてください。
(知事)
結論から言いますと、現時点で県として具体的に何か介入するというか、間に入って調整に入るというところまではいっておりません。当面は、まだ当事者間での水面下も含めてだと思いますけれども、話し合い、調整が進んでいるところだと思いますので、現時点では関心は持って、注意深く見守っている段階です。
バカロレア教育、あるいは探究の学習など、非常に意欲的に取り組んでいただいている地域ですので、そうした中で、教育長、教育委員会の体制自身も大変重要に考えられて、市長としても思いがあってということだと思いますけれども、制度的にしっかり議会の理解を得て、任命をされるということでないと動いていかないわけですので、願わくば、当事者間での話し合いをされて、円満なうちに、いい方向で前へ進んでいくことを期待いたしております。
動物愛護センター整備とふるさと母校応援制度運用に対する県の思いについて
(竹村・NHK記者)
2点、私からも質問させていただきます。
予算の関係なのですけれども、去年と比べるとコロナなどが入ってないということで、かなり絞った予算案になってると思うのですけれども、その中でも工業用水の事業も含めると3つですけれども、特に愛護センターと、ふるさと母校応援制度に予算を付けられた狙いと、県としての思いを改めてお聞かせください。
(知事)
今年はいわばコロナ前の通常ベースに、予算の運営の仕方も戻りつつあることの表れだと思います。ここ2、3年はコロナ対策、あるいは物価高の対策などで、国も多額の臨時交付金を交付して、地方で予算化して支援の事業をしてもらいたいという要請が行われてきたわけですが、今回そうした事情にはないという中ですので、通常のベースでの予算の財政運営ということからしますと、当初予算を可決いただいて執行を始めて、まだ2カ月余りというところですから、基本は当初予算をしっかり執行していくことがベースになると、これは前提だとお考えいただきたいと思います。
ただ、その上で、特に動物愛護センターでしたり、クラウドファンディングの件もそうですが、今回補正をお願いした件につきましては、できるだけ早い時点で予算の措置をしておきませんと、施設の整備でしたり、事業の展開でしたりしたことが数カ月後ろ倒しになってしまうというものですので、事業の進捗の緊急性、あるいは当初予算の時点で、まだ整っていなかった準備がここ数カ月で進んで前へいけるようになったということもございますので、定例会があって予算の議案をお諮りができるタイミングですから、そういう意味で、先ほど申し上げました大前提からいいますと、例外的な扱いにはなりますけれども、今回、少しでも早く手当てをさせていただきたいということで、予算案を計上させていただいたところです。
能登半島地震被災地の視察を受けての南海トラフ地震対策について
(竹村・NHK記者)
今年度、県としても能登半島の調査費用なども当初予算に計上して、今後の南海トラフ対策にも生かしていくお考えだと思うのですけれども、改めて今回視察されて、今後の南海トラフ地震対策というところでは、どういったところに力を入れていきたいとお感じになられましたか。
(知事)
今回は、津波というよりは地震の揺れそのものによる被害が多かったと思います。南海トラフの場合は大きな津波も想定されるということですので、今県として取り組んでいる中では、いわゆる事前復興の取り組み、これ本当に大事なのではないかと思いました。
特に津波の浸水がある地域では、重要性は非常に大きいことだと思います。あらかじめ住民の皆さんが大きな浸水被害を想定して、地域の再建をどう行っていくのかということを話し合って、大きな方向性を決めておくことが、今回の能登の状況も見ました時に、ただ今申し上げましたように、半年たっても倒壊家屋の処理が進んでいないということは、先ほど申し上げたような事情はあったにせよ、やはり中山間地域で比較的小さな集落などを見ましても、そうした事前の話し合いがあれば、もう少し、まちの再生をどういう方向で考えていくかというところからの、そうしたまちの再建を早くやるためには、早く倒壊家屋の処理などもしないといけないのではないかと、そちらサイドからの後押しも進んできたのではないかと。これはたらればの話になりますけれども、という思いもありますので、そうした意味で、住民の皆さんのサイドで被災を想定して、その後のまちの復旧・復興の姿について議論をしておくということ。そして、できる限り方向性を計画として定めておくということが、改めて求められ大事なのではないかという意を強くしました。
災害廃棄物に対する事前対策について①
(古谷・読売新聞社記者)
地震の件で、先程の話の中で災害ごみの仮置き場の事前の準備が大切だという話がありましたけれども、現状として、例えばこんなことを考えたいとか、あるいは災害ごみ、がれきの処理について、こういうことを考えているとか、もう少し具体的に聞かせていただければと思います。
(知事)
がれきの処理に関しては、そこに直接近いところの話としては、いわゆる災害廃棄物の仮置き場の選定、そして、でき得れば地元との調整を含めて、公式にそれを決定しておくことが最も望ましいということだと思います。 しかし、今回そうしたところの条件が整ってないというのも、処理のスピードが加速できない一つの要因だと思います。そういった災害廃棄物の処理の受け入れ先となる仮置き場、そういったところの事前の選定というところが、直接的には大きく必要な場面ではないかと思います。
加えて言いますと、全体、倒壊家屋の処理が遅れている大きな要因の一つは、例えばその前提となっているライフラインの復旧だったり、道路の復旧であったり、あるいは仮設住宅の整備であったり、こうした背に腹は代えられないというのですが、より優先度の高い対応をまず集中的にやった結果として、後回しになっている中で時間かかっているという側面もあると思いますから、ある意味、総合的に、水道・ライフラインの復旧だとか、仮設住宅の整備だとか、こういったところが速やかに進むように、例えば仮設住宅の用地なども早期に選定しておくといった、総合的な各般にわたる事前の準備、耐震化の取り組みなどを含めた、そうした災害に強い町づくりというのをトータルで進めておくということが、何よりも必要なのではないかという思いがいたします。
災害廃棄物に対する事前対策について②
(古谷・読売新聞社記者)
現状としては、がれきの仮置き場の確保は、まだまだ足りない、難しい、できてない状況という受け止めでよろしいでしょうか。
(知事)
これはプロセスがあるということだと思います。最終的には、地主だったり、地元の方々に提示して、そこまでの合意を得ておくことが求められるわけですが、なかなかそこをやっていくことを優先してということになりますと、大きな個所数というのですか、候補地の選定が進まないということになりますので、まずは、ある意味図面上、そして、行政の立場から見たときの候補となり得る場所の選定を幅広にやるということを作業としては優先して、それは個所数の面ではかなり進捗は進んでいると思いますから、そうした上で、候補地をまず定めた上で、地主との交渉なり、周辺の皆さんとの話し合いに、順次入っていくという手順で進めていこうという方針で進めてお ます。そういう意味で、行政サイドからのある意味一方的なということになりますけれども、行政サイドの構想としての候補地の選定というところは、今のところ、まずは、おおむね計画どおりには進んでいると思いますが、 その先が現実にはなかなか骨が折れる作業が残っているということだろうと思っています。
ふるさと母校応援制度を運用する背景について
(井手上・高知放送記者)
ふるさと母校応援制度について伺います。この制度の背景には、各高校の一部で定員割れなどが起きて、学校の運営費が減少しているということもあるのでしょうか。
(知事)
定員割れっていうことが直接ということではないかと思いますけれども、学校の運営経費もいろいろ、何というのでしょうか、例えば施設の整備といったところで、財政的なニーズは非常に幅広くあるわけでして、まず基本的な設備施設の整備といったところを優先して予算の配分などはせざるを得ないということがありますので、そうしたものの上に加えて、そうした通常いわばミニマムとして、高校として、あるいは行政として、整備をしなければいけないものに加えて、さらに学校の魅力化や、よりグレードの高い部活動をやっていくというようなニーズを考えた時に、なかなかそこに回す予算には限りがあるという現状の中で、これは、例えば卒業生などに寄付を呼び掛けて、プラスアルファの部分の魅力化のところの取り組みを加速したいというニーズに対して、ふるさと納税の制度も一般化してきていますから、これとクラウドファンディングを掛け合わせることで、寄付をした、ほぼ全額、2,000円は自己負担になりますけども、寄付された方はほぼ全額が返ってくるというような制度がふるさと納税ですから、寄付をしやすいということだと思いますから、そうした制度を活用して、今回そういったプラスアルファの部活動であったり、魅力化のところを後押しするという方法を考えたということです。
ふるさと母校応援制度の学校での活用について
(井手上・高知放送記者)
関連して、この制度は各学校の積極性にもよると思うのですけれども、各学校でどのように活用して欲しいですか。
(知事)
各学校では、例えば運動部でも文化部でも、全国大会で上位を目指すといったような形で、まさしく学校の魅力化の一番中核になるところの活動を部活動でと考えておられる学校、あるいは部活動の方々も多いと思いますので、そういったものを前へ進めていくために、要は、我こそはということで卒業生、あるいは卒業生以外の方も含めて県民、あるいは全国の方々がこれなら応援したいと、後押しをしたいと思ってもらえるような魅力的なプロジェクトをまず練り上げていただいて、そして、それを発信して、寄付を集めていくというような形で、積極的にプランを練って、皆さんが応援したくなるようなプロジェクトを生み出していただければありがたいと思っています。
人口動態調査における高知県の出生数・出生率への受け止め等について
(小林・毎日新聞社記者)
人口減少問題ですが、先日、人口動態統計が発表になりまして、高知県の場合、出生率が1.30ということで、過去2番目の低さになったわけですけれども、これについての知事の受け止めと、併せて、今あります、高知県元気な未来創造戦略の中では、出生率は、あまり前面に位置付けられていないのですが、それまでも、まち・ひと・しごと創生総合戦略では出生率を目標として掲げられていたと、見ていると出生数主義、どっちかというとそちらを前面に出す方向に今なってると思うのですが、その転換のきっかけといいますか、考え方というのは、どういうものだったか教えていただけますか。
(知事)
先般発表されました人口動態、日本全体としましても高知県でも大変厳しい状況が続いているということが、一言でいってポイントだと思います。
出生率もさらに低下して1.30、過去から2番目の低さということでして、最近の少子化傾向、これが、いろいろ努力はしておりますが、なかなか反転するに至っていない、むしろコロナ禍の影響もなくはないのだと思いますけれども、むしろ厳しさを増していると受け止めています。
そうした中で、出生率と出生数、どちらを重視するかといいますと、少しテクニカルな部分もありますけれども、これは有識者の方々からご意見をお伺いする中で、いわゆる合計特殊出生率という数字は、分母になりますのが、未婚の方も含めた女性の数、一定年齢層のということになりますので、これが下がっていくという時に未婚の女性が流出する、高知県のような、地方の若い未婚女性の流出が大きい県では、分母が縮まってしまうということで出生率は逆に高めに出る可能性が高いと。その点が自覚的に考えますと、出生率よりは地域にとっての活力、そして、持続可能性のための若者の増加ということを考えた場合には、出生数の方をより重視すべきではないかというご意見をいただきまして、これは一理あるということで、結果としては、出生数の方をより重視しようというスタンスで臨むということにしたところです。
そういう意味では、ポイントは、出生率というのが、結婚したカップルが分母ということではないということです。一旦婚姻をされたところで、お子さんをいくらもうけるかというところの数字は、そんなに変わっていない、落ちていない。むしろ未婚の女性が増えているというところが、これが落ちてきている大きな原因だということですから、そういったところまで立ち返って、もちろん合計特殊出生率についても、それはそれとして目標は掲げて、増やしていくという努力はいたしますけれども、よりどちらを重視していくのか、アウトプットとして、何が大事と考えているのかということで言えば、そういったことで、若い女性が流出をした結果として、合計特殊出生率が上がる、あるいは下がらないとなっても、そのこと自身は、あまり評価すべきものではない。むしろ、赤ちゃ の生まれる数、数が減らない、増えていくということの方が大事なのではないかというような判断をしているということです。
能登半島地震発災から半年後の視察と視察時間について②
(栗原・時事通信社記者)
能登半島の視察についてお伺いします。能登半島の視察なのですけども、半年たってからとおっしゃっていますけれども、知事のご視察自体も半年たってからということになったのですが、かなり時間がたってからの視察のような気がするのですけれども、この時期になった理由はなんでしょうか。
(知事)
もちろんできるだけ早い時期にということはあり得たと思いますけれども、現地の方々との実態調査ということであれば、現地の方々のお話を伺ってということでやる方がより効果的なわけですが、あまり早い時期は、被災者の方々の支援の対応等々で忙殺されている状況ですから、かえってご迷惑をお掛けするということにもなり兼ねないということもありました。
一方で、いろいろな分野での応援の職員の派遣などはさせていただいてたわけで、そういったところから入ってくる現地の情報、あるいはいろいろな報道機関からの情報を持って、我々としてのいろいろな分析や準備はさせていただいたということです。
今回、またタイミングとしましては6月定例会も始まるという前に検討していました中で、いろいろな情報は一通り入ってくるようになった、あるいは特に年度替わりで学校が動き出したということが大きいと思いますけれども、現地の生活もある程度は軌道に乗ってきていたというような情報も得ましたので、県議会でもまた議論をいただく前の段階で、私自身、自分自身の目で、被災地の状況を確かめておくということも重要ではないかという判断にたちまして、このタイミングで現地に入ることにしました。
能登半島地震発災から半年後の視察と視察時間について③
(栗原・時事通信社記者)
視察の時間ですけれども、トータルで確か5時間だったと思います。輪島市と珠洲市、それぞれ距離もありまして、なかなか範囲も広いと思うのですけれども、視察の中身については十分だったと思われますか。
(知事)
私自身が幹部職員の担当部長・課長と合わせて5、6人で行ったわけですが、そうした態勢で、現地を見るというのが一義的な目的でしたので、その意味では十分、初期の目的は達成できたと思っています。
いろいろな分野で、それぞれ専門的に見た時の教訓であったり、あるいは課題であったりといったところについては、派遣職員もおりますし、様々な専門機関で調査していただく、あるいは国もいろいろな教訓のまとめをされるということですから、そういったことトータルで対応はできるということだと思いますから、いわば幹部職員の立場で実際にこの目で現地を見ていくと、皮膚感覚で感じるということが今回の目的でしたので、その目的は達成できたと思っています。
知事と教育長の関係について①
(栗原・時事通信社記者)
あともう一つ、香美市の教育委員会の件ですけれども、依光市長は、市長が代われば教育政策が変わるので、教育長も代わって当然だということをおっしゃっていますけれども、知事ご自身は一般論という意味でもお聞きしますけれども、知事と教育長の関係というのは、どういうものだと思っていらっしゃいますか。
(知事)
これはなかなか一般論といっても難しいかもしれませんが、ごく制度的な一般論として言いますと、やはり教育というのは政治的な中立性が求められるということですから、あえて知事、あるいは市長選挙で直接選ばれる知事・市長とは切り離したところで、しかし議会の同意という、いわば政治的な承認のプロセスはかませた上で、一定の独立的な権限を教育長・教育委員会に与えて運営をさせていくことだと思います。
その意味で、歴史的なトレンドとしては、終戦直後、教育委員の公選制などがありましたけれども、それをやめて今の制度になっているというところの流れの中では、より教育の中立性というところを大事にされてきたということだと思います。
ただ一方で、昨今のいじめ問題などがあって、より政治のコミットメントが必要ではないかというところで、最近は、むしろ知事・市長の関与が強化されるような総合教育会議というような枠組みもできているというのは大きな流れだと思いますので、そうした文脈の中で考えていくということだろうと思いますので、全く、教育委員会が聖域で中立の領域なのだというつもりもありませんけれども、一方で、歴史的にそうした経緯があるということも踏まえて、教育委員会の自立性ということには、配慮が必要なものではないかと思っております。
知事と教育長の関係について②
(栗原・時事通信社記者)
確認ですけれども、首長が代わられたら教育長も代わるというのは、あまりない方がいいということでしょうか。
(知事)
自動的にというような関係では、必ずしもこれは、教育に限らず無いものではないかと思っています。
大阪・関西万博への修学旅行について①
(中田・高知民報記者)
大阪万博ですけれども、先日、吉村大阪府知事が、大阪万博ぜひという話を、四国知事会であったり、県庁であったりにされておりますけれども、その時に、吉村知事は非常に順調で、うまくいっているという話を強調されておりましたが、メタンガスの話も工期の遅れの話も出なかったわけですけども、高知県としては、一つ質問は、児童生徒を動員といいますか、万博に連れて行くような取り組みをするつもりがあるのかないのかということ。意向調査をしたり補助金を出したりとかいうことかも分かりませんけれども、それは教育委員会がすることだとということかも分かりませんが、知事のお考えはどうでしょうか。
(知事)
この時点でということでお答えしますと、大阪府というよりは万博協会からご要請がありましたので、例えば修学旅行などの機会に万博を訪れるというようなプランは、あり得ることだと思います。そうしたご案内というのでしょうか、紹介をして、いわゆる一種の情報提供ですね、教育委員会に万博協会としてもそういったことを、全国各地の学校が修学旅行などでおいでいただくことがありがたいという気持ちを持っているということを踏まえて、そういうお話がありますということは、教育委員会にはお伝えし、検討してくださいということは申し上げています。ただ、それ以上に、例えば補助金を出すとかというようなことを現時点で考えているわけではございません。
大阪・関西万博への修学旅行について②
(中田・高知民報記者)
来年の修学旅行と言いますと、今もう準備、検討の時期だと思うのですけれど、それで、現時点でガスの話など非常に安全が確保されていないじゃないかという報道もかなり多くありますけども、その上でも、現時点で安全が担保されているとお考えでしょうか。
(知事)
これは国家行事として行われるわけですから、安全確保されていなければ困るということだと思います。本当に安全性に懸念があるような状況であれば、国なり万博協会でしかるべく対応を取るべき話であって、そこは所定のスケジュールに沿って開会し、お客様をお招きするという以上は、万博協会ないし国が責任を持って安全性は確保されるべきものだと思っております。
元気な未来創造戦略における2027年の目標出生数4,200人の根拠と実現策について
(井上・高知新聞社記者)
人口動態統計の話に戻りますけれども、その中で出生数、これが全国最小というのは今回は脱しましたけれども、3,380人という数字自体は過去最小で、元気な未来創造戦略の4,200人、これが2027年の目標だと思うのですけれども、ここの差も大きく開いています。
まずお伺いしたいのは、4,200人という数値目標の根拠、それからどのようにしていくのかをお聞かせください。
(知事)
4,200人という数字の設定については、ベースになりましたのが国立社会保障・人口問題研究所、いわゆる社人研の推計をベースにしながらということですけれども、そうした中で、特に向こう4、5年のうちには、若年人口の減少に歯止めをかけたいというところとの整合性の中で、出生数も35歳未満の人口の一部ではありますから、そうした中で、若年人口の減少を食い止めるというトレンドをシュミレーションしていく中で、そうした中では出生数についても、他に掲げました出生率の目標の数値などとの整合を図った中で、これぐらいの数字は必要になるであろうという数字として、4,200人という数字は設定させていただいているということです。
それが向こう3、4年先ということで、大変高いハードルであるということは、今回、言ってみれば、発射台がさらに下がってしまったわけですので、目標としての厳しい、高い目標であるというところの受け止めは、さらに強まっているということですけれども、そのためには、やはり若年人口の最近の減少の度合いが高いというところが全国的に見ても、本県の出生数の大きな減少の一因だということだと思いますから、若い女性の転出超過をできるだけ縮めていくと。このために、特に若い女性を中心とした若者の魅力のある仕事を増やしていくといった努力。そして、子育て支援の充実といったことを取り組む。こういったことを、なかなかこれをやれば、たちまち大きな効果が出るという特効薬は、率直に言ってあるというものではないと思いますけれども、こういった取り組みを地道に重ねていくことが、とり得る手段ということではないかと思っています。
現在の周産期医療体制の課題解決関する県の関わりについて
(井上・高知新聞社記者)
続けて、実際に4,200人というお子さんを生みたい、生むとしても、今、お産の場所というのがどんどん減っています。産婦人科医の医師不足というのが大きな背景にあると思いますけれども、今年の9月末にはJA高知病院もお産の取り扱いを休止するというようなことであったり、産婦人科医の関係者からは、このままではお産難民が出かねないと。4,200人が生まれたとしても、県内で安心して生むことができるのかというような声が日増しに強くなっています。
また一方で、やはり分娩施設の計画的な集約化が必要という意見であったり、もう個々の病院の対応ではなく、県がリーダーシップを取って、大きな周産期医療の道筋を描いて欲しいといった声も出ています。その辺り、県としてどのように周産期医療体制に関わっていくのか。これは出生数にも直結する話だと思いますが、知事のお考えをお聞かせください。
(知事)
お産の施設の問題は、片方で出生数が大きく減少していく。そういう意味で、採算面でも医療機関にとって厳しくなっていくという中で、また、若い産婦人科の医者には採算というよりは、むしろ出産の、一種の症例ですね、これの経験できる件数が減っていくということが自らのスキルを高めていくという点で、アゲンストの要因になるという意味も含めて大変厳しい、ある意味、負の連鎖、悪循環ということになり兼ねない状況が進んでいるということではないかと思います。
ただ、こういう状況にいたっては、医師会の方々も大変な危機感をお持ちをいただいておりますし、その意味では、これも有り体に言いますと、できるだけお住まいの場所に近いところで利便性の高い形で、お産ができるということが望ましいのには違いないのですけれど、より安全安心を重視すると、産婦人科医がしっかりとサポートできる態勢の中でお産ができる体制を確保していくことを考えますと、現実問題としては、大きく言えば施設の集約化の方向で、いろいろなことを考えていかざるを得ないだろうと。それは大きな方向性としてはそう思っています。
ただ一方で、まさしく安全安心を考えますと、健診は割合近くの産婦人科でできるとしても、いざ出産という時に、例えば非常に遠くの施設まで行かないといけないということだとすると、ある程度、出産期が近づいてくれば、必要な場合にはあらかじめ宿泊して待機ができるというような体制を、補助制度の整備なども含めてやっておくというような、サポート体制の整備が必要になるということだと思います。
そういったところも含めて、これは県がしっかりと広域的な調整に属するもの、特にそういうことだと思いますけれども、議論をリードする形で体制を整えていきたいというように思っています。その点は、このための検討組織も立ち上げをして、早期に結論を得て、また、特にJA高知病院の関連で言われておりますのは、当面の対応もそうですけれども、向こう数年先を踏まえたところの方向性ですね、こういったものも、お産ということの時間のレンジも考えますと、そういったところの見通しも早く示していかないと、助産師も流出していくということが始まりつつあるというようなお話もいただいておりますから、そういった数年先、中期的な見通し等も含めた先々の姿というのを早急にコンセンサスを得て、まとめていけるように協議を重ねたいと思っております。
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