令和6年11月29日 知事の記者発表

公開日 2024年12月03日

更新日 2024年12月05日

1 国の経済対策に対する期待について
2 人事委員会勧告による職員の給与改定について
3 高知県手話言語条例の狙いと来年度の施策展開について
4 医師の勤務環境の改善・こうち未来創造グローバル人材育成事業について
5 国の経済対策に対する期待・103万円の年収の壁の撤廃について
6 兵庫県知事選挙における地元PR会社の公職選挙法違反疑惑について①
7 兵庫県知事選挙における地元PR会社の公職選挙法違反疑惑について②
8 最近の選挙のあり方について①
9 最近の選挙のあり方について②
10 公立小中学校の教職員確保・高知ユナイテッドSCのJ3昇格への期待について
11 103万円の壁撤廃に向けた住民税と所得税の分離案等の議論について
12 106万円の壁撤廃について

R6.12月記者発表資料[PDF:804KB]

(司会)
 ただ今から、知事記者発表を始めさせていただきます。はじめに知事から12月補正予算の概要について説明があります。

(知事)
 令和6年度の12月補正予算案の概要、当初提案分についてご説明させていただきます。
 まず、県議会の12月定例会ですけれども、12月6日に招集します。今回提出する議案は、令和6年度の一般会計補正予算など予算議案が3件、そして、条例その他の議案が23件、合計で26件ということで予定しております。
 当初予定提案の補正予算案の概要について説明します。予定しております予算の規模、一般会計ですけれども4億円ほどということです。その他、債務負担行為が38億円余でございまして、考え方としましては、県の各般の政策を実行している中で、年度途中で不足を生じると見込まれたようなものにつきまして、追加するといった補正が中心です。
 一番大きなのは、高知新港に寄港しますクルージング船の受け入れですが、それが当初の想定を上回って寄港が見込まれますので、受け入れの歓迎行事などの開催に必要な予算について、不足分を上乗せするといった内容です。
 また、2点目、医師の勤務環境の改善を図る体制整備の支援です。これにつきましては、今年から2024年問題と言われますけれども、医師につきましても、勤務時間の、労働時間の規制の強化が施行されるということがありまして、医師についての、いわゆる残業の時間ですね、厳しくなります。こういうことにしっかり対応していくために、具体的には長時間勤務の多い医療機関に、他の医療機関から医師を応援で派遣するというようなことを通じまして、医師の残業を少なくしていくといった勤務環境改善を図っていこうと。このために、関係します医療機関につきまして、派遣に要する経費の一部を支援するといった形で予算化しようというものです。
 その他、施設の管理などにつきまして、現実の支出は来年度以降になりますけれども、今年度中に契約を結んでおかないといけないものにつきまして、契約を結ぶための、いわゆる債務負担行為を設定して、予算上、根拠付けをするといったこと、債務負担行為が38億円余ですけれども、併せて計上しております。
 なお、全体的なところでの姿について補足しますと、この4億円という規模は、最近の、ここ数年の、特に12月補正の規模からすると、かなり小さくなっております。ここ数年は大体秋に経済対策が打たれまして、公共事業などの追加がかなりの規模で行われてきたと、それを県では12月補正予算で計上して、年末早々から公共事業が途切れなく執行できるような配慮してきたわけですが、今年度の場合は、総選挙もあった関係もあり、国の経済対策のスケジュールが少しここ数年より遅れておりまして、今日の閣議決定で国の補正予算が決まるというような段取りです。
 準備を急いでおりますけれども、県議会の当初提案での県の予算の補正が間に合いそうにないということで、当初、予算についてはそういったものを除いた通常ベースでの、先ほど申しました県の予算の不足分を補充するといったような中身で、まずは提案させていただこうと。経済対策関係、特に公共事業などのように早期に執行が必要なものは、県議会では12月議会中に追加で予算編成をして、提案させていただこうというようなことで準備、調整をしているということですので、その点、一つお断りをしておきます。
 もう1点は、今年は国もそうですけれども、人事委員会の給与勧告、かなりのベースアップが勧告されています。本県でも3%増ということですので、ざっくり申し上げまして、これを完全実施して、県の職員、教員、警察官を含めてですね、給与改定をするには、大雑把に申し上げて30億円ぐらいの財源が必要ということになります。 それについても、これも段取りとしては国の給与法の改正が今日の閣議決定の段取りで進んでいるということで、こちらも国の状況を確認した上で、予算の措置ということで考えていますので、職員の給与改定に必要な予算につきましても、12月議会中の追加提案をしたいということで、これも準備中ということです。
 大きな金額的なふたつの要素が、今回まだ当初提案分では計上できていないということで、かなり小ぶりの予算規模になっているとご理解いただきたいと思います。
 この4億円ほどの予算ですが、歳入は一般財源で必要な部分は前年からの繰越金を充てます。特別財源の中で大きなものは、県で設けております医療介護の整備のための基金、これは国の財源と県の財源を合わせて積み立ててきまして、必要な時に下ろして使うというものでして、これを今回、先ほどの医師の勤務環境整備のための事業に充当しようというものです。
 歳出の方はそういったことで、公共事業関係は今回は入っておりませんで、いわゆる計上的な経費が全部を占めているといった中身になっています。
 簡単ではありますが、私からの説明は以上です。よろしくお願いいたします。

(司会)
 それでは、各社からの質疑に移ります。質問される方は挙手をして、社名とお名前を発言の後、よろしくお願いいたします。

国の経済対策に対する期待について
(井上・高知新聞社記者)
 先ほどの説明にもありました、まさに補正予算の追加分というところになってこようかと思うのですけれども、国の経済対策に呼応してというところなのですが、今まさに調整中というところの国の経済対策による県の補正の規模感であったり、メニューであったり、そこに対する期待感、もしくは見通しというところを、もう少し教えていただきたいのですが。

(知事)
 今回はなかなか情報管理が厳しい感じがいたしまして、国も、経済対策の規模ないし中身は1週間前に発表になりましたけれども、補正予算の中身は今日の閣議決定で、昨日辺りやっと報道が、定量的なものが出てきたというような段階だと思います。その中ですので、私自身もまだ報道を通じてというところしか情報がない部分も多いのですが、ひとつはは、公共投資の追加ですね。特にこれも報道ベースですが、国土強靭化の予算関係を中心に、昨年も措置された物価上昇に対応した部分なども含めて、これは報道では、去年の公共投資の追加よりもさらに多い規模の、1割弱ぐらいでしょうかね、多い規模の補正予算が組まれるようだということですので、本県でも例年で言いますと、例えば200億とか300億とか、数百億円オーダーですかね、これは本当にざっくりとした数字ですけれども、補正予算で計上したということがありますから、大体そういったような規模の追加が期待できるのではないかと思っておりますけれども、これはまだ精査が必要ということです。
 その他、いわゆる重点支援交付金、地方創生の交付金のような手当が、ここ数年、自由度が高い交付金ということでされてきていまして、今回その部分の情報がなかなか入ってきていないのですけれども、一方で、これも報道では、地方交付税も国の自然増収分を活用して、交付税の原資が増えてきますので、これをかなり今回は配分するというような情報も入っていますので、場合によってはこちらの方が、先ほど言った給与改定の財源と合わせて、様々な経済対策に対応できるような枠としての配分というのもあるのではないかという情報にも接しておりますので、そうした交付税を活用して、ただ、交付税を活用しての経済対策ということになると、まだ具体的な検討が、時間が必要なものも結構あると思いますので、これは、よっぽど急ぐものを12月補正で対応して、分量的に多くは2月の補正予算、2月議会でお願いするということにならざるを得ないという感覚は持っておりますけれども、いずれも必要なものは、この12月議会に追加提案という形で、特に公共投資関係は、今回載せておきませんと、来年度当初、年度初めの時期ですね、公共事業の契約量が、がたっと減ってしまうことになりかねませんので、その点、公共投資関係は何とか今議会中に、追加でできるだけ載せたいと思っております。

人事委員会勧告による職員の給与改定について
(井上・高知新聞社記者)
 あと1点、確認ですけれども、冒頭に説明のありました人事委員会の勧告を受けた職員の賃金アップ、この規模の財源が30億円、これは賃金のアップだけの財源で30億円ぐらい必要だということですか。

(知事)
 数字がアバウトで申し訳ありませんけれども、大体そのぐらいだと記憶していますが、正確には、人事委員会の勧告を先般いただいた時に、試算として必要な財源の規模はご報告していると思いますので、すみません、事務方にまた確認いただければと思います。

高知県手話言語条例の狙いと来年度の施策展開について
(羽賀・朝日新聞社記者)
 12月議会に手話言語条例の制定議案も出されます。この点について二つ伺います。まず、制定される狙いはどういうところにあるのか。それと、年内施行を目指されているということですけれども、来年以降、この言語条例を活用してどのような施策展開をされていきたいのかという、この2点について教えてください。

(知事)
 いわゆる手話言語条例は、聴覚に障害がある方々にとりまして、まさしく、手話が言語と位置づけられるようなコミュニケーションの大変重要な手段になっているという認識に立ちまして、今、地方自治体、特に各県ですね、都道府県のレベルで制定が進んでいまして、全国的にも38ぐらいの都道府県で制定されたのではないかと思います。
 私も以前、大阪府に勤務しておりました時に、大阪は割合早い方だったと思いますが、制定されたということがありまして、先ほど申しましたように、特に聴覚に障害がある方にとって、手話というのが対人のコミュニケーションをしていくのに大変大事な手段であると、そのことの県民の皆さん全般への周知と言いますか、意識の啓発を図っていくことを目的とし、このために必要な体制をつくったり、県民の皆さんに期待される責務といいますか、そういったものを明らかにするというような内容になろうかと思います。
 具体的な取り組みは、今後の予算などで具体化していくことになろうかと思いますが、ただ今申し上げましたように、手話というものを県民の皆さんの中にも、より聴覚障害の方とのコミュニケーション手段として、一般化していく、広めていくという観点からの周知でしたり、啓発、そういったことをより重点的、組織的にやっていこうということが、眼目になろうかと思います。

医師の勤務環境の改善・こうち未来創造グローバル人材育成事業について
(竹村・NHK記者)
 予算案の中で2点伺います。最も計上の費用が多い医師の勤務環境の改善を図る体制整備の支援というメニューと、今回新規ということで、こうち未来創造グローバル人材育成事業、この2つについて、改めて狙いと、ここに予算を付けることで、どのようなことを達成したいのか、どう検討して支援していきたいのかを教えてください。

(知事)
 医師の勤務環境整備に関しましては、労働基準法等が改正されて、一般的な労働者の方々には先行して時間外勤務の規制がかかっていたわけですが、例えば医師や運送業、建設業など、なかなかすぐにそれを適用するのは難しい業界におきましては、施行までの猶予期間が長く置かれて、しかし、今年度からそれが施行されたことで、トラック業界なども2024年問題ということを言われました。医師の世界でも、特に勤務医につきましては、いわゆる応召義務と言うのですか、受診の申し出があれば、これは正当な理由がなければ拒んではいけないというのが、医師の責任としても明記されていますので、そういうこともあり、特に救急病院等においては、時間外の勤務、かなり長時間にわたって、現実に医師にお願いをしないと病院の体制が回っていかないというようなことが、過去も言われてきたわけですし、現状でもなかなか厳しい勤務環境の中で、勤務医の方々にはご苦労をいただいているのではないかということだと思います。
 そうした中で、一つには、例えば電子カルテを入れるとか、仕事の仕方を変えていくことで、いわば働き方改革で勤務時間を減らしていくという努力もそうですし、今回も広いメニューとしては、そういった電子カルテ導入費なども入っておりますが、今回に関しましては、4月から法律が施行された中で、具体的な現場のニーズとして、やはりどうしても足りないところには、ある程度、余裕があるところから医師を派遣して、一種融通をしていただくということがないと、地域医療も守れないということもございますので、そういった派遣という形で、当面の需給の調整をしていこうという時に、派遣の受け入れ相当についても事務的な負担、経費もかかることがありますし、派遣の元となるところは、その医師がいれば、いわば稼げたであろう診療報酬が稼げないという、機会費用の移出もありますから、この部分の保証的な手当があれば、より派遣に応じるということもスムーズにやりやすいだろうということがございまして、そういったことで財政的にそこに支援をしていくことで、医師の融通というところをやりやすくしようということを、今回基金を使ってさせていただこうということです。
 あと1点は、高校生についての、例えば夏休みなどを利用した短期の留学をより促進していこうということです。昨今はかつてに比べますと、若者が海外に留学とか、旅行はまだしないかもしれませんが、海外留学をしたいという意欲、熱意がかつてほどは高くないのではないかと言われて久しいところがあると思います。
 これはある意味、ちょっと私自身も残念なところがありまして、できるだけ若い時に、頭が柔軟な時に、海外のような違った環境に身をおいて視野を広げるということは、大変、後々の成長にとっても大きな意味があると思います。
 今、高校生をターゲットにして文部科学省の全体の音頭取りで、財政的な公的な資金だけではなくて、企業などからも寄付金を頂いて資金集めをして、高校生の、そうした短期の海外留学を支援するというプログラムをつくっていこうという流れがございますので、それに本県も呼応して、そういう体制をつくって、始めていきたいということをお願いしようということです。

国の経済対策に対する期待・103万円の年収の壁の撤廃について
(尾花・時事通信社記者)
 先ほど少しお話がありましたが、政府の補正予算案について、特に注目されている点もあるかということと、もう1点は、いわゆる年収103万円の壁についての知事のご見解、引き上げられた場合の県の財政への影響等、お聞かせ下さい。

(知事)
 今日、補正予算が閣議決定されましたので、より詳しい情報が出てくると思いますけれども、一つは先ほど申しましたように、国の経済対策で国土強靭化関係の予算の計上について注目しております。今年、年初に能登半島地震もあり、道路や水道、こういったインフラの整備を加速していかなければ、本県も南海トラフ地震への備えというところに万全を期すことができないという思いがございます。そのために、本来的には次期中期計画を前倒しで策定して、来年度の当初予算で手当をするというのが、ベストシナリオだという思いはありましたけれども、今回補正予算で昨年までよりは事業量も明確に上積みをして、措置をする方針という方向のようですので、それは是として、その中身ないし本県でどれぐらい事業の促進を図ることができる中身になるのかということを注目しております。
 その他の、各種の経済の活性化に関する事業ですとか、当面の物価高の対策については、ただ今申し上げましたように、ここ数年は、いわゆる重点支援交付金、地方創生交付金という形で手当がされてきましたけれども、その辺が今年はどうなるのか。先ほど申し上げました地方交付税の手当というようなところで使えるという形になるのかならないのかという点も含めて、地方交付税の増額という中身も具体的にどんな考え方でされるのか、報道が始まっておりますけれども、そこを確認して対応を考えたいと思っております。
 もう一つの103万円の壁の話です。これも前回の会見でもお話申し上げましたけれども、国民民主党から所得税のということだと思いますが、所得の壁を、年収の壁を103万円から178万円に引き上げるというようなご提案、ご要望が出ていて、今与党と、税調のレベルで具体的な議論も始まっているということだと思っています。
 方向性としては、幅とか中身は別にして、一定の引き上げはすることは前提で、3党の協議は始まっていると思います。仮に国民民主党からのご提案のような規模ですと、国全体で、国、地方を合わせて7、8兆円規模の減収が生じるということですから、これは極めて甚大な影響が地方財政にも及ぶと。地方税だけで約4兆円。本県でも、県、市町村分を合わせまして220億円というような規模の減収が生じますので、この規模の減収を恒久的に減税するというのは、これはなかなか、率直に言って現実性が、相当、実現可能性の面で非常に疑問符が大きくつくのではないかという思いがあります。
 と言いますのは、前回申しましたように、岸田内閣の時に防衛費を年間3兆円、増額しようという時に、いわゆる自然増収や歳出の使い残しを充てても足りないので、1兆円規模は法人税など、たばこ税などを増税しないといけないのではないかという議論が提起されて、そこがまだ未決着のような状況ですから、そんな状況の時に、国、地方合わせて8兆円というようなレベルの減税をするというのは、現実の議論に耐え得るような財政状況に、国はないのではないかというのが元々あります。
 地方の4兆円に関しても、とても地方として受け入れることができるような規模ではない。甚大な影響があるということですから、もしそうした形の減税をしていくということであれば、恒久的な減税を想定されるのであれば、恒久的な財源が確保されるということでないと、地方としては受けることはできないだろうということは申し上げているとおりでして、前回申し上げましたように、現実には、ということであれば、減税の年収の壁の問題の見直しを図っていくということの政策目的をより明確化して、ターゲットを絞っていく。あるいは上げ幅についても、どう圧縮できるかというところについて、検討していくということで、財政的に、あるいは補填の財源として想定されるものとの関係において、どの辺までが規模として対応可能なのかというところを、国レベルでよく検討していただくということ。
 そして、地方財政には悪影響を及ぼさないように。このあいだの知事会議でも、真水で補填措置をという話がありましたけれども、決して地方に借金を背負ってくれというような形での、安易な穴埋めということではなくて、地方に迷惑を掛けないという形での財源措置を考えていただくことを強く求めていく必要があると思っております。

兵庫県知事選挙における地元PR会社の公職選挙法違反疑惑について①
(鈴田・共同通信社記者)
 予算から離れてしまいますけれども、先日、兵庫県知事選がありまして斎藤知事が再選しました。選挙が終わったあとから、兵庫県のPR会社をめぐる疑惑が報道されていますけれども、どのようにご覧になっているのか教えてください。

(知事)
 兵庫県の他県の事例ですので、報道を通じた以上の情報は入っておりませんけれども、今回、話としてはSNSが今回の出直し知事選挙でも、現実に大きな役割を果たしたと言われている中で、このPR会社の社長が自らのSNSの発信等で、このSNSの戦略の企画などにも自分が中心的な役割を果たしたというようなことを発信されて、ただ、今削除されているようですし、いろいろな問い合わせにも、ノーコメントの状態になっているようですから、そこの事実関係がなかなか確定できませんので、何とも言えない部分がありますけれども、案件としてはそういった形で、もしこれが法律の解釈上、その会社がポスターを作成したことで約70万円のお金で事業委託を受けていたというような報道されています。そういった関係にありながら、運動はボランティアという公職法上の建て前に反して、報酬もいただくような形で、運動の中核的な役割を担うというようなことであれば、この70万円の支払いというのが、今度は逆に買収に当たるのではないかというのが、総務省の見解等からして疑われているという事案と理解しております。事実関係が今申し上げたようなことで、そのPR会社の社長自身が発信を、今拒んでいるというような状況のようですから、この点はこれ以上ちょっと解明を待つしか、私としてはしようがないということです。 
 その後の事態の推移なり報道などについて注目させていただいているという状況です。

兵庫県知事選挙における地元PR会社の公職選挙法違反疑惑について②
(鈴田・共同通信社記者)
 当該PR会社は、高知県の広告界とも一緒に仕事をされているということで、そこに何か影響が出てくることはありますでしょうか。

(知事)
 すみません、その点は正直、私、今初めて知りましたので、ちょっと事務方に状況は確認してみたいと思います。今のところ私の方では、高知県として何か契約をした中で、何らかの問題があったという報告は受けておりませんが、もし何かあるのであれば、それは対応は必要だと思いますが、現時点では、そういった話は私は報告を受けてないということです。

最近の選挙のあり方について①
(中田・高知民報記者)
 兵庫の話も含めての話なのですけれども、個別の話というよりも、最近の選挙のあり方というか、総選挙、トランプのアメリカの大統領なども含めて、非常に、選挙のありようが以前と様変わりして、非常に過激化しているというか、極端なことを言って分断をあおって、それで相手をやっつけるようなものになり、それで結構フェイクもあって、有権者が本当に正しい判断が落ち着いてできる環境じゃないような選挙が、常態化しているような感じになってきていますけれども、高知県はまだそういうことにはなっていないと思いますが、知事のご見解をお願いできませんか。

(知事)
 元々選挙というのはある意味戦いですので、本当はかなりいろいろな複雑な背景があったり、利害関係があるようなところをある程度単純化して、敵味方ある意味明確にして、ちょっとある程度デフォルメもして、私は正しい、相手候補は間違っていると、あるいは、より私の方が優秀だ、相手候補は劣っているというような、ある意味確信犯的にPRもして戦い抜かなければいけないという面は、これはこれであるのは、一種宿命だと思います。
 ただ、それにしても昨今は、これにSNSの力がのってきて、SNSそのものは有権者の方々に直接訴えをしたり、コミュニケーションを取ったりするのに大変有効な手法だとは思いますが、一面で、今回の兵庫県知事選挙等も含めて言われておりますのが、やはり今お話にもありましたように、いわば敵味方、白黒を識別して、相手を徹底的に叩いていくというのですか、しかも対立をあおる、あるいは分断を招くというような方向でエスカレートしがちであるということ。また、中身的にも不正確であったり、場合によっては誤った情報が簡単に流布して、なかなか撤回が、挽回が難しいというような状況に至るということも、ままあるのではないかということ。
 そういう意味で、非常に拡散、伝搬をしていくための力が強いだけに、SNSというのは危うい面も持っているというのは事実だと思います。ただ、これが憲法上の最も大事な基本的人権である表現の自由との関係もありますので、簡単にこれの規制をしていくという議論にはならないのだと思いますけれども、それにしても、今年に入りまして衆議院の補選での選挙活動の妨害があったり、都知事選挙でのポスター掲示上の乱用というような事案がありましたり、さらに、今回の選挙でもなかなか想定してない、自分は当選するつもりはないが、他の候補を応援するために立候補するというような、ちょっと法の穴を、空白地帯を狙ったような選挙運動というのですか、そういうことが行われるというようなことを考えますと、そういった点も含めて、ポスター掲示上の制限の問題も、まだ法制化はできていないことだと思いますから、近年の、特にSNSなどの活用が盛んになってきているといった点ということも含めた、近年の選挙の実相を踏まえた選挙法のあり方、選挙運動の、一足飛びに規制というところがいいのかどうかはありますが、あり方というところも含めて、これは国会の場で、各党・各会派真摯に協議をいただいて、あるべき方向性を見出していただくことが必要ではないかと思っております。

最近の選挙のあり方について②
(中田・高知民報記者)
 議論が急がれている時期にきているというご認識ですか。

(知事)
 そうです。もちろん政治資金の問題もありますけれども、現実に、次々に選挙の度に、いままで想定していなかったような事態も起きているということですから、できるだけ急いで、こうした議論を進めていただくことが望ましいと思っております。

公立小中学校の教職員確保・高知ユナイテッドSCのJ3昇格への期待について
(竹村・NHK記者)
 予算と離れて2点質問させていただきます。1点目に、ちょっと前の話で恐縮ですけれども、先日、県教育委員会が小学校の教員について、今年行った採用試験で合格した280人の内7割を超える204人が辞退したということを明らかにしましたけれども、これについて知事の受けとめと、県としては今後、この教員確保についてはどのように取り組んでいかれたいかというところを教えていただきたいのと。もう1点、全然変わりますけれども、明後日、高知ユナイテッドSCが、いよいよ入れ替え戦に臨むということですけれども、これについて知事の期待感と、県としてJ3に、もし昇格するとなった場合は、どのような支援を行っていきたいか改めて教えていただければと思います。

(知事)
 一つは、公立小中学校の教職員の確保についてでして、これは本県、特に中山間地域なども抱えていて教職員の確保大変大事な課題でありますけれども、現実には、例えば県単独で定数を増やして充実を図りたいといっても、現実に人材が集まらないというようなところがありまして、大変苦慮してきた問題であるということだと思います。
 その中で、人材確保の工夫として早期に県外の、例えば大阪とか大都市圏で試験会場を設けて、早い時点で試験を受けていただいて合格をお知らせすることで、教員確保につなげたいという思いで行ってきたところです。各県事情はある意味同じですので、競争になって、同じような時期に先行して採用試験を行うということが増えてきた中で、合格しても、本県の場合、比較的早い時期に試験を行いますので、合格を通知をしても、多くの方は出身県とかゆかりのある県で合格すれば、そちらを選ばれるというような結果、7割が辞退というような、そこは、そのものは残念な結果になっているということではないかと思います。
 これは本県に限らずということかもしれませんが、学校という職場全体がブラックといわれるようなことのないように、勤務環境の整備をしていく。働き方改革を進めていくというような処遇改善も、これは国の制度を待つ部分もありますけれども、進めていくということで、より働きやすい職場にしていくという努力とともに、特に高知県の教育ということに関して、中山間地域も多いわけですけれども、高知という地域の魅力をPRしていく努力をして、教員の人材確保というところにつなげていかなければいけないと思っております。
 それから、高知ユナイテッドSCについてです。いよいよ入れ替え戦ということになります。我々としては、ぜひともこの2試合、持てる力を全部出し切って、このチャンスをぜひともものにしてもらいたいと思いますし、そうした折には、今回、ちょっと間に合いませんでしたけれども、春野競技場の照明の整備などの環境整備ももちろんですし、Jリーグ入りということになりましたら、さらなる財務基盤の整備等々、この場の環境整備も必要になってくると思いますので、これは、市町村ですとか、関係の団体の方々ともご相談しながら、必要な支援をしっかりと県としてもリーダーシップを持って進めていくと、そういう決意でサポートをさせていただきたいと思います。

103万円の壁撤廃に向けた住民税と所得税の分離案等の議論について
(井上・高知新聞社記者)
 再び年収の壁のお話を伺います。まず、103万円の壁で地方税である住民税と国税である所得税を切り分けたような議論というのも出てきていますが、まず、そのことに対する受け止めをお伺いします。

(知事)
 それは極めて合理的なあるべき議論の一つだと思います。先ほど、今回の見直しの趣旨、目的を明確にして、そして、そうした中で幅とか、対象者などの絞り込みをというために申し上げましたけれども、もう一つ別の切り口としては、住民税と所得税の性格の違いというところは、大事な論点だと思います。住民税の方は、元々地域社会の会費というような性格もあり、所得税よりは比較的所得が低い方も含めて幅広く、よりいわば一律に近い形で、所得税の方は所得の高い方は累進的に税率が上がりますけれども、住民税の方はフラットな10%一律の税率ということですから、より地域社会の会費という性格が強い税でもありますので、現実問題として国の経済政策の一環として、税制改正を行われるということから、免れるわけにはいかないと思いますけれども、所得税と比べますと、そうした経済政策の手段として使うべきかどうかという点では、より慎重であるべきだという性格が強いものだと思います。
 そういった、いわば冷静な議論を今回3党の協議が進む中でしっかりした上で、所得税と住民税を少し切り分けて、対応に差をつけていくというのは、結果的に地方の税収減の影響をより少なくする、緩和するという方向にも働くことだと思っておりますので、それは望ましい方向だろうと考えています。

106万円の壁撤廃について
(井上・高知新聞社記者)
 もう1点、次は社会保険の壁の106万円の壁ですけれども、これを撤廃するような方針というのが、厚生労働省も固めつつあるということです。そして、先日の全国知事会議でも、濵田知事は106万円の壁に対する課題意識というのを強く訴えていらっしゃったと思いますけれども、そこを改めてこの場でお伺いします。

(知事)
 今回の103万円の壁の議論の中でも、よく、いわゆる就業調整を行う原因になっているから、この103万円の壁を見直す必要があるのではないかという議論もされるわけですが、そういった、これ以上働いたら手取りが減ってしまうのでというような就業調整を招くような原因になっているという意味においては、私は、前回申しましたけれども、これは社会保険料の方が、106万円だったり130万円の壁の方が、はるかに問題は大きいと思います。
 ですから、今回の103万円の壁の議論でもそうですが、当座、今の経済状況の人手不足への対応などから考えて、就業調整をしなくていいような、手取りの減ということを心配せずに働けるような体制に持っていくべきだという面からすると、所得税の103万円の、対配偶者のところについては、もう課題が基本的に解決されていると思っています。これは、前回申しましたけれども、103万円のところから、徐々に負担が始まるわけで、手取りがいきなり減ってしまうというということがあるわけではない。あるとすれば、学生が働いていて、そこが103万円のラインを超えると、親の扶養から外れるということで、親の所得税が増えてしまうということですから、そこは今回の3党協議を見ましても、学生の特定扶養控除を見直して、そういう影響を無くそうという方向で議論がされていますから、そこはそれで、あるべき姿ではないかと思っています。
 むしろ、問題は社会保険料の方で、社会保険料は106万円、130万円のところで手取りが減ってしまうわけですね、突然106万円なり130万円の17.8%という保険料かかってくるということですから、そこに断絶があるということと、やはり、特に妻がそのラインを超えると夫の扶養から外れることで、夫の負担が増えるというようなことがありますから、この就業調整を招いているという意味では、そこの断絶の問題を何とか解決していかなければいけないと思います。
 この点は、岸田内閣の時でも106万円の壁については、一定、手当はされているのはされていますけれども、あくまで、時限的な措置であったり、手続きも煩雑で使い勝手が悪いというようなご意見もあって、期待されたほどの効果は上がっていないのではないかということです。なかなか難題ではあるのですけれども、こういった、いわゆる年収の壁のせいで、もっと働きたいのに働くのを控えるというところがないような形で制度改正というのは、特に社会保険料の方で、これは中身がかなり複雑ですから、慎重な検討が必要だと思いますけれども、しかし、実効性が上がるような方式をぜひ考えていただいて、実行に移していくということが、大きく期待されている局面ではないかと思っております。
 

お問い合わせ

総合企画部 広報広聴課
TEL:088-823-9046
FAX:088-872-5494

PDFの閲覧にはAdobe社の無償のソフトウェア「Adobe Acrobat Reader」が必要です。下記のAdobe Acrobat Readerダウンロードページから入手してください。

Adobe Acrobat Readerダウンロード
Topへ