令和6年12月6日 令和6年12月県議会での知事提案説明

公開日 2024年12月06日

令和6年12月6日 令和6年12月県議会での知事提案説明

1 県政運営の基本姿勢
2 国の動向など
3 人口減少対策
4 いきいきと仕事ができる高知
(1)産業振興計画の推進
(2)地産外商の取り組み
(3)イノベーションの取り組み
5 いきいきと生活ができる高知
(1)日本一の健康長寿県構想づくり
(2)教育の充実
6 安全・安心な高知
7 議案

本日、議員各位のご出席をいただき、令和6年12月県議会定例会が開かれますことに厚くお礼申し上げます。

ただ今提案いたしました議案の説明に先立ち、当面する県政の主要な課題についてご説明を申し上げ、議員各位及び県民の皆さんのご理解とご協力をお願いしたいと考えます。

1 県政運営の基本姿勢
昨年12月に再び知事として県政の舵取り役を担わせていただいてから、はや1年が経過しました。この間、「共感と前進」を県政運営の基本姿勢として、県民の皆さんとの対話を重ね、県政に対する共感を得ながら、課題の解決に向けて一歩でも二歩でも前進するよう取り組んできました。
その結果、本年度の移住者数は過去最多となった昨年度を大きく上回る水準で推移し、また、防災関連産業の売上額は3年連続で100億円の大台を超え、好調を維持しています。加えて、7月には関西戦略の拠点となるアンテナショップ「とさとさ」がオープンしたほか、四国8の字ネットワークは県内全線で事業化が決定するなど、県民の皆さんに実感していただける成果が着々と表れてきています。今後も、こうした成果を一層積み重ねていかなければなりません。
一方で、若年層の県外への転出超過は依然として続いており、早期にその傾向に歯止めをかける必要があります。また、南海トラフ地震の切迫度がますます高まる中、その事前の備えが急務です。こうした県政課題の解決を図るためには、新たな時代の潮流を先取りし、関連施策を絶えず磨き上げていくことが欠かせません。加えて、積極的な政策提言を通じて国を動かし、我が国全体の社会経済構造の転換を図る中で、本県の県勢浮揚の後押しを得ることも重要です。
今後も成果にこだわりながら着実に県政を前に進め、「いきいきと仕事ができる高知」、「いきいきと生活ができる高知」、「安全・安心な高知」という目指すべき3つの高知県像を実現できるよう全力を尽くします。

2 国の動向など
 10月に行われた衆議院議員総選挙を受け、先月、第2次石破内閣が発足しました。石破総理は、日本全体の活力を取り戻すため、地方創生の再起動、賃上げと投資が牽引する成長型経済への移行、全世代型社会保障の構築という3つの取り組みを強力に進めるとの意向を表明されています。
現在、我が国には、東京一極集中の是正を含む人口減少対策や、能登半島地震の教訓を踏まえた国土強靱化などの課題が山積しています。総理には、こうした課題の解決に向け、地方の声にも丁寧に耳を傾けながら、強いリーダーシップの下で国政をしっかりと前に進めていただきたいと考えます。
あわせて、一連の政治資金問題で積み残された政策活動費の取り扱いなどについては、各党各会派が誠実に協議を重ねた上で、早期に解決の道筋を示し、国民の政治に対する信頼回復に努めることが何より重要だと考えます。
先月下旬には、国において新たな経済対策と、その裏付けとなる補正予算案が閣議決定されました。この中で、低所得者世帯向けの給付や電気代、ガソリン代に対する補助などの物価高騰対策に加え、地方創生の取り組みを支援する交付金の創設や、5か年加速化対策に基づくインフラ整備といった施策が盛り込まれました。
このように、今回の経済対策には本県がこれまで国に求めてきた施策が数多く反映されています。国の補正予算を最大限活用し、物価高騰による影響の緩和を図ると同時に、経済の活性化や南海トラフ地震対策などの取り組みをさらに加速したいと考えます。
また、いわゆる「103万円の壁」については、来年度の税制改正の中で議論し引き上げる方針が示されました。このことは、特に若い世代の所得を増やすという点では意義があるものと考えますが、引き上げの仕方によっては国や地方の大きな減収につながり、我々地方の財政運営に支障を来しかねません。国が行う経済政策のために地方がその負担を背負うようなことがないよう、全国知事会とも連携して国に強く働きかけていきます。

3 人口減少対策
本県の将来を左右する人口減少問題への対応については、「元気な未来創造戦略」に基づき、令和9年度までに若年人口の減少数をゼロにするとの目標の達成に向け、各分野の取り組みを進めています。
このうち、若者や女性をターゲットとした移住促進については、今月中旬に首都圏で開催するイベントを皮切りにプロモーションを展開します。この中で、県内で自分らしく活躍する若者の姿や、多様な価値観を家族のように受け入れる高知を広く発信すると同時に、デジタルマーケティングを活用して県外在住の若者や女性にきめ細かく届けます。
また、男女が分担して家事や育児を行う「共働き・共育て」の推進については、これまでに行政や産業界をはじめ県内28団体のトップの方にご賛同をいただくなど、県民運動として広がりを見せつつあります。
しかしながら、若年人口や出生数は中山間地域を中心になお減少傾向が続いています。この傾向を早期に食い止めるため、「若者や女性に選ばれる高知」の実現に向けて、来年度は大きく4つの方向性で施策を強化します。
1つ目は、若者の所得向上です。若者の県内定着を図ると同時に、結婚や出産の希望をかなえるという観点から、非正規雇用労働者の正規化や、企業の生産性の向上など、所得の引き上げに向けた取り組みを一層強化します。
2つ目は、移住、定住対策の充実です。近年の移住促進の取り組みにより移住者数は年々増加する一方で、転出者数も増加しており、社会増減を改善させるまでには至っていません。このため、転職に伴う県外流出の抑制や、地域への理解と愛着を深めるキャリア教育の推進に取り組むなど、若者をターゲットとした定住対策を強化します。
3つ目は、多様な出会いの機会の拡充です。出生数に影響を与える婚姻数の増加に向けて、若者や女性のご意見も踏まえ、婚活イベントのほか、結婚を前提としない交流機会をさらに充実させます。
4つ目は、「共働き・共育て」の推進です。その原動力となる男性の育休取得を促進するため、職場や地域の意識改革に向けた周知啓発や、事業者が行う両親学級の開催支援などを通じて、県民運動のさらなる拡大を図ります。
加えて、こうした一連の対策の実効性をより高めるため、本年度創設した人口減少対策総合交付金の充実を図り、市町村の実情に応じた施策をしっかりと後押しします。

現在、県内ではあらゆる産業分野で担い手不足が深刻化しており、医療や福祉、交通といった公共的な分野でさえ効率化、集約化を進めざるを得ない状況にあります。全国的に見ても、こうした人手不足は財やサービスの供給への制約要因となり、今後の経済成長に向けた隘路となっています。このため、3つの観点から我が国の社会経済構造を大胆に転換する必要があると考えます。
1つ目は、働き方について、これまでの男性中心の長時間労働に依存する構造から、労働時間の短縮などを通じて女性も活躍できる環境を整え、多様な担い手が雇用を支える社会へと変えていく必要があります。
2つ目は、経済運営の面でも、組織が「一枚岩」となってコストカットを目指す経済から、多様性を尊重し、新たな商品やサービスを生み出す高付加価値型の経済に移行していかなければなりません。
3つ目は、国土政策として、企業や大学などの大都市機能の地方分散を進めることが不可欠です。これを通じて、大都市部で生活の質を犠牲にし、仕事優先、消耗型の暮らしを強いられている住民に対し、自然豊かな地方部において、ゆとりを持って仕事と生活を両立できる創造的な選択肢を提供することが可能となります。
国政において、これら3つの方向転換を一体的に進めることが、石破総理の掲げる「日本創生」の実現に資するものと考えます。こうした新たな経済社会の実現を目指して、全国知事会や思いを同じくする自治体と共に国に粘り強く提言していきます。

4 いきいきと仕事ができる高知
次に、目指すべき3つの高知県像のうち、まず「いきいきと仕事ができる高知」に向けた取り組みについてご説明申し上げます。

(1)産業振興計画の推進
足下の県経済は、個人消費が堅調に推移し、雇用者所得も着実に増加するなど緩やかに持ち直しているものの、物価高騰の長期化や人手不足の深刻化による影響が幅広い分野に及んでおり、先行きは不透明です。
こうした状況を脱し、県経済の持続的な成長を成し遂げていくためには、第5期産業振興計画に掲げる「地産外商」と「イノベーション」の2つの柱の下、各分野の取り組みを強化する必要があります。
「地産外商」については、関西圏アンテナショップも活用した県産品の販売拡大と観光誘客に加え、新たな海外市場への展開など輸出振興の取り組みをさらに進めます。そして、こうした「外商」を拡大していくためにも、農業分野におけるユズの有機農法への転換や、林業分野における大径材の加工体制づくりといった「地産」強化の取り組みを一層推進します。
「イノベーション」については、生産性の向上や省エネルギー化などを通じて各分野のさらなる構造転換を図り、賃金引上げと円滑な価格転嫁の好循環を生み出す環境をつくります。加えて、本県の柱となり得る新たな産業の創出に向けて、ヘルスケア・イノベーション・プロジェクトやアニメプロジェクトなどを推進します。

(2)地産外商の取り組み
(関西圏との経済連携)
関西圏との経済連携については、アンテナショップ「とさとさ」のオープンから4カ月余りが経過しました。この間、著名人を起用したPR動画の配信開始にあたって大阪市内でイベントを実施したほか、市町村と共に物産展を開催するなど、様々な工夫を重ねてきました。こうした取り組みにより、来店者はこれまでに90万人を超え、売上げは1億2千万円に上るなど、当初の計画を大きく上回っています。
今後は、大阪・関西万博の開催という絶好の機会を生かすべく、アンテナショップを最大限活用し、本県の魅力を国内外に向けて強力に発信すると同時に、県産品の外商や観光客の誘致の取り組みを一層強化します。

(輸出拡大の取り組み)
人口減少に伴う国内市場の縮小が避けられない中、県経済を今後も発展させていくためには、海外市場に積極的に打って出る必要があります。
 食品分野では、先月、県内で加工された土佐あかうしを初めてタイに輸出するなど輸出品目の拡大を進めており、また、中東からのバイヤーの招へいやインドでの商談会の開催を通じて新市場の開拓にも取り組んでいます。
ものづくり分野では、10月にフィリピンで防災やインフラ技術に関するセミナーを開催し、多くの政府機関や商社に県内企業の製品や技術をPRするなど、販路拡大に向けた取り組みを進めています。
今後も、新たに輸出に挑戦する事業者の掘り起こしや商品づくりなどを推進し、さらなる輸出拡大につなげます。

(観光振興の取り組み)
観光分野について、主要観光施設の利用者数や旅館ホテルの宿泊者数は、「らんまん」の放送による観光客増の反動はあるものの、どっぷり高知旅キャンペーンの展開もあり、大きく落ち込むことなく推移しています。
来年春からの「あんぱん」の放送を生かした取り組みについては、物部川流域における地域博覧会の開催に向けて、関連施設のリニューアルや2月のプレイベントの準備などが最終段階を迎えています。今後は、「あんぱん」とキャンペーンを連動させたPRを実施するほか、滞在型の旅行商品づくりや中山間地域における受入態勢の整備を進めるなど、県内全域に経済効果が波及するよう取り組みます。
インバウンド観光について、台湾からの定期チャーター便の搭乗率やクルーズ客船の寄港回数は好調な状況が続いています。全国的に外国人観光客が増加傾向にある中、より多くの方々に本県を訪れていただきたいと考えます。このため、外国人を対象とする旅行商品の磨き上げを行うほか、キャッシュレス決済のさらなる普及に取り組むなど、観光誘客と消費拡大に向けた施策の充実を図ります。

(高知ユナイテッドSCのJリーグ昇格に向けて)
本年躍進を遂げたJFLの高知ユナイテッドSCは、明日、J3への昇格を懸けて入れ替え戦の第2戦に臨みます。本県初となるJリーグチームの誕生により、スポーツの振興や観光客の増加など、様々な効果が期待されます。悲願のJリーグ昇格に向けて、ぜひ勝利を挙げていただきたいと思います。

(3)イノベーションの取り組み
デジタル化については、産業振興センターによる伴走支援やデジタル技術の導入に対する補助制度などを通じて、多くの事業者をサポートしてきました。先日、このうちの1社を訪問したところ、「システムの導入により各部門が工程管理の状況を共有できるようになったことで、社内のコミュニケーションが活発化し、結果として会社全体の業績も上がってきた」とお聞きしました。この取り組みは、デジタル技術の活用により生産性が向上し、経営改善につながった好事例であり、こうした事例の横展開などを通じて事業者のデジタル化の裾野をさらに広げます。
また、農業分野ではIoPクラウド「SAWACHI」の活用を花きや果樹にも拡大するほか、水産業分野ではメジカの漁場予測システムの実装に取り組みます。こうした各分野のデジタル化を加速することで、事業者の「稼ぐ力」を高めると同時に、若者にとって魅力的な職場づくりにつなげます。
 グリーン化については、豊かな自然資源を生かした森林吸収源対策として、再造林を推進しています。このうち、仁淀川町においては、再造林を後押しするための基金を設置し、官民が一体となって取り組んでいます。県としても、引き続きこの取り組みを支援することに加え、来年度からは県内全域への拡大を図ります。さらには、皆伐と再造林の一体的な実施などを通じて効率的な森林経営を促すことで、「経済と環境の好循環」の創出を目指します。

5 いきいきと生活ができる高知
 次に、「いきいきと生活ができる高知」に向けた取り組みについてご説明申し上げます。

(1)日本一の健康長寿県づくり
日本一の健康長寿県づくりについては、第5期構想に基づき、県民の健康意識の向上や在宅療養体制の充実、妊娠期から子育て期までの切れ目ない支援などに取り組んでいます。しかしながら、依然として中山間地域の医療、福祉、介護サービス基盤は脆弱であり、担い手不足が深刻化しています。加えて、壮年期男性の死亡率の高止まりや一人暮らしの高齢者の増加といった課題も浮き彫りとなっています。こうした状況も踏まえ、来年度は各分野での取り組みを強化します。
 このうち、「地域で支え合う医療・福祉・介護サービス提供体制の確立とネットワークの強化」では、中山間地域におけるオンライン診療を一層推進するほか、看護師や介護職員の人材確保などに取り組みます。
とりわけ、訪問介護サービスの確保に向けては、10月に開設した「こうち介護生産性向上総合支援センター」において、介護報酬に係る加算取得も含め、事業者に対するきめ細かな支援を行っています。また、先月には、中山間地域の実情を反映した介護報酬体系とするよう国に対して提言を行いました。今後もこうした取り組みをしっかりと進め、必要なサービスの確保を図ります。
次に、「こどもまんなか社会の実現」では、不妊治療への支援や子どもの医療相談対応の充実を図るなど、安心して妊娠・出産・子育てができる体制を強化します。
このうち、周産期医療体制の確保については、先日の有識者会議において承認された方針に基づき、関係機関と共に、安心して妊娠・出産できる環境づくりに取り組みます。
具体的には、令和9年度までの概ね3年間の取り組みとして、高知医療センターと高知大学医学部附属病院の2つの医療機関が、県内のハイリスク分娩をカバーする体制を確保します。あわせて、中央、安芸、幡多の3つの保健医療圏において、助産師が中心となった院内助産システムの構築などを進めることで、ローリスク分娩に対応する体制を整えます。加えて、無痛分娩の導入やオンライン医療相談の充実を図ります。
その際には、中央圏域において、今後の出生数や医療従事者数の動向に応じ、分娩施設の集約化についても必要な検討を進め、中長期的には、大規模分娩施設の整備などを含め、さらなる展開も視野に入れて取り組みます。

(2)教育の充実
教育の充実については、第3期教育大綱に基づき、子どもたちの将来を見通した学びの展開を図ると同時に、多様性・包摂性を尊重する教育の推進に取り組んでいます。
学力向上については、これまでの取り組みによって全国学力・学習状況調査の結果は一定程度改善してきたものの、中学校では未だ全国平均を下回り、小学校では算数が昨年度に比べて大きく低下している状況です。このため、1人1台端末を活用した授業づくりに関する研修体系の充実や、デジタルドリルなどを用いた家庭学習のさらなる促進を図ります。あわせて、子どもたちが県内の産業や企業を知り、学ぶ機会を拡充するなど、キャリア教育の取り組みを強化します。
不登校については、未然防止や早期把握、早期支援の取り組みが進んだことで、小中学校における千人当たりの不登校児童生徒数は2年連続で全国平均を下回りましたが、依然として不登校者数は増加傾向にあります。このため、校内サポートルーム設置校の拡大や「学びの多様化学校」を設置する市町村への支援をはじめ、関連施策のさらなる充実を図ります。
加えて、県内の生徒数の減少が進む中、子どもたちの教育機会の確保と地域の活力維持を図るため、高等学校の魅力化に向けた取り組みをより強化しなければなりません。
来年度からの次期県立高等学校再編振興計画では、生徒数の現状を踏まえて入学定員の見直しを行う一方で、地域と連携した学校の魅力づくりや、県内外からの生徒の確保といった取り組みを充実させたいと考えます。今後、学校関係者をはじめ、広く県民の皆さんからご意見をいただいた上で、年度内に次期計画を策定します。

6 安全・安心な高知
次に、「安全・安心な高知」に向けた取り組みについてご説明申し上げます。
 南海トラフ地震対策については、第5期行動計画に基づき、県内の想定死者数を限りなくゼロに近づけるべく、「命を守る」、「命をつなぐ」、「生活を立ち上げる」の3つの観点から総合的に対策を進めてきました。
その結果、「命を守る」対策では、住宅の耐震化率が昨年度末時点で90パーセント近くに上り、津波避難タワーは目標に掲げる126基の整備が完了しました。
「命をつなぐ」対策では、発災時の支援の受け入れに必要となる受援計画について、県における医療従事者搬送計画など40業務の策定と、市町村における応急給水計画など14業務の策定が年度内に完了する予定です。
「生活を立ち上げる」対策では、市町村の事前復興まちづくり計画について、沿岸全19市町村で策定を進めており、このうち10市町では検討組織を立ち上げ、地域の再建後の姿について議論を深めています。
一方で、津波からの早期避難意識率は近年70パーセント前後と伸び悩んでおり、本年度に想定死者数を約4,300人に半減させるという目標の達成は困難と見込まれます。また、能登半島地震や南海トラフ地震臨時情報からの新たな教訓も生かして、一連の対策をバージョンアップする必要があります。
こうした成果や課題を踏まえ、来年度からスタートする第6期行動計画では、4つの観点で事前の備えを強化します。
第一に、「自助」や「共助」の取り組みの強化です。「自助」については、津波からの早期避難をはじめ、住宅の耐震化や室内の安全対策などの啓発を強化します。また、「共助」については、自主防災組織の活動や定期的な防災訓練への支援を通じて、地域の防災力をより高めます。加えて、南海トラフ地震臨時情報については、「巨大地震警戒」の発表時に県民の皆さんが落ち着いて適切に行動できるよう周知啓発を図ります。
第二に、避難環境の整備の強化です。能登半島地震では避難生活による災害関連死が相次いで発生したことも踏まえ、避難所におけるトイレやベッド、冷暖房などの整備を促進します。
第三に、復旧・復興作業に向けた事前の備えの強化です。事前復興まちづくり計画の策定については、支援対象を中山間地域の市町村に拡大するにあたり、計画の策定指針を新たに作成するなど、支援策の充実を図ります。
第四に、災害に強いインフラ整備の加速です。地震による被害を最小限に抑え、復旧・復興活動を円滑に進めるべく、国の補正予算も活用して、道路網の整備や上下水道施設の耐震化などをさらに加速します。
このうち、災害時の救援活動や物資輸送の大動脈となる四国8の字ネットワークについては、来年2月8日に北川道路の和田トンネルを含む一部区間が開通する予定です。今後も関係団体と連携し、国に対して早期整備に向けた働きかけを行います。
次期行動計画の策定に向けては、以上4つの観点を踏まえ、PDCAサイクルを徹底し、具体的な目標と対策をしっかりと位置づけます。その上で、新たな計画に基づく取り組みを全力で進めます。

(消防の広域化)
人口減少が進行する中にあっても、県民の皆さんの生命と財産を守るため、必要な消防力を将来にわたって確保しなければなりません。
このため、先月末には、これまでの各消防本部との議論を基に、県として最も望ましいと考える消防広域化の姿を示す「基本構想」の骨子案を作成し、公表しました。今後は、パブリックコメントの結果なども踏まえ、年度内に「基本構想」を確定した上で県の試案としてお示しし、市町村及び消防関係者に対して検討を呼びかけます。来年度には有識者などを交えた検討組織を設け、関係者から丁寧にご意見を伺いながら、具体化に向けた議論を進めたいと考えます。

7 議案
続きまして、今回提案いたしました議案についてご説明申し上げます。
まず予算案は、令和6年度高知県一般会計補正予算など3件です。
このうち一般会計補正予算については、高知新港での客船受け入れに必要な経費など、総額4億円余りの歳入歳出予算の補正並びに総額38億円余りの債務負担行為の追加及び変更を含む補正予算案を提出しています。
条例議案は、職員の旅費に関する条例の一部を改正する条例議案など12件です。
その他の議案は、令和7年度当せん金付証票の発売総額に関する議案など13件であります。
なお、国の経済対策や給与改定への対応に必要となる補正予算案については、追って提出させていただく予定です。

以上をもちまして、議案提出にあたっての私からの説明を終わらせていただきます。
何とぞご審議の上、適切な議決を賜りますようお願い申し上げます。

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