公開日 2009年11月27日
更新日 2014年03月19日
平成21年11月高知県議会定例会での知事提案説明 (11月27日)
1 新政権への対応と国の予算編成
(本県経済と11月補正予算・来年度当初予算)
2 緊急雇用対策について
3 産業振興計画の推進について
(地産外商戦略とアンテナショップ)
(土佐・龍馬であい博について)
(オランダのウェストラント市との友好園芸農業協定の締結について)
4 新しい航路の開設について
5 森林整備公社への支援策について
6 新型インフルエンザへの対応について
7 地域医療再生計画について
8 高知医療センターの経営改善対策
9 高知県立特別支援学校再編計画について
10 読書環境の充実について
11 職員の給与の減額措置の終了について
12 議案
本日、議員の皆様のご出席をいただき、平成21年11月県議会定例会が開かれますことを厚くお礼申し上げます。
ただ今提案いたしました議案の説明に先立ちまして、当面する県政の主要な課題についてご説明を申し上げ、議員の皆様並びに県民の皆様のご理解とご協力をお願いしたいと思っております。
政府は、今月の月例経済報告において、景気全体としては持ち直してきてはいるものの、昨年秋のリーマンショック後の深刻な需要不足から、物価が持続的に下落する緩やかなデフレ状況にあると表明をいたしました。このため、来年度の当初予算を、第二次の補正予算と一体となった15カ月予算として編成することとし、追加経済対策の取りまとめ作業に取りかかっております。
「事業仕分け」といった新しい仕組みも取り入れながら予算編成が行われていますが、急激な税収の落ち込み等により、大量の国債発行を余儀なくされる恐れがある一方、概算要求総額から3兆円以上の削減を行うこととするなど、今後の先行きを注視する必要がある状況です。
今後、本県への影響の把握に努めます一方、本県のような地方の実情を理解していただくためにも、他の都道府県や市町村、全国知事会などの関係機関とも連携をしながら、引き続き、国への政策提言を行ってまいりたいと考えております。
また、地域主権推進の一環として議論されている「国と地方の協議の場の法制化」に関しましては、地方にとっての実効性を担保するための仕組みが必要だとの考えの下、私も、全国知事会に設けられたプロジェクトチームに参加し、制度設計に関わることといたしました。
こうした場を通じて、国と地方の行財政のあり方や高速道路ネットワークの整備をはじめとした人の命を守る社会基盤の整備、中山間の実情に応じた福祉のあり方等について、同様の課題を持つ他の知事とも連携するなどしていきながら、本県としての考えを訴えてまいります。
県内の経済概況は、「下げ止まりの動きが見られる」あるいは「一段の悪化には歯止めがかかっている」といった見方もなされるようになっておりますが、引き続き県内の雇用情勢は厳しい状況にあります。
このため、11月補正予算におきましては、緊急雇用対策の加速化や中小企業の資金繰り対策の充実など、経済対策の強化を図りますとともに、加えて、地産外商戦略の核となります首都圏のアンテナショップの設置や森林整備公社の経営改善、さらには、医師確保など本県の医療再生を図るための地域医療再生臨時特例基金の積み立てなど、当面の課題に対応していく経費を計上しております。
また、来年度の当初予算編成につきましては、先週、見積書の提出を締め切ったところでありますが、現在、私が各部局の見積概要の聞き取りを行っているところでございます。産業振興計画をメインエンジンとする経済の活性化をはじめとした5つの基本政策に基づき、めりはりの利いた予算配分を心掛けることで、県民の皆様の期待に応えられます予算編成となるよう努めてまいります。
次に、緊急雇用対策についてご説明申し上げます。
昨年からの厳しい雇用情勢を受け、県では市町村と連携して、本年度からの3年間で6,500人の雇用を目指す「あったか高知・雇用創出プラン」に取り組んでおりますが、この取り組みにより、先月末までに1,604人の方に実際に職に就いていただくことができました。本年度中には、今回提案しております補正予算での事業を加えますと、全体で2,700人余りの雇用が創出できる見込みとなっております。
こうした中、先月23日、新政権が「緊急雇用対策」を決定しました。この対策は、本年度末までに10万人程度の雇用の下支えと追加の雇用創出効果を目指すものであり、緊急雇用創出事業の雇用期間や事業実施の要件が大幅に緩和されるなど、これまで本県が求めてきた方向に沿った対策となっております。
特に、この中には、特別養護老人ホームをはじめとする介護施設などにおいて、新たに雇い入れた離職者等が働きながら介護資格を取得できる事業が盛り込まれています。この事業は、事業者、求職者共にメリットがある上、高齢化が進む中で課題となっています介護福祉士の確保にも大きな効果が期待できますことから、この事業を最大限活用し、雇用創出と介護分野への人材の参入につながるよう取り組みを進めてまいります。
併せて、市町村に対しても雇用創出のための事業の前倒し執行を依頼するとともに、情報の共有に努めるなど、より多くの雇用の創出が早期に実現するよう努めてまいります。
次に、産業振興計画についてご説明申し上げます。
本年度を実行元年と位置付け、県民の皆様のご参画を得まして計画に盛り込まれた各種の施策を本格的にスタートしてから半年余り、徐々にではありますが、成果に結びつく兆しなども見え始めてまいりました。
従来から申し上げてきましたとおり、PDCAサイクルによって、産業振興計画の不断の改善を図っていくことが必要であります。これまでの検証によっても、計画への位置付けが弱く取り組みが不十分な分野や、より加速させるべき分野が明らかになってきているところであります。今後、県内各地で頑張っておられる多くの方々のご指導も賜り、柔軟な発想のもと、計画のさらなる進化に向けて取り組んでまいります。
この産業振興計画の中でも、とりわけ重要な取り組みとなりますのが、「地産外商戦略」であります。県産品の中には、雑誌でのお取り寄せランキングでナンバーワンになるなど、消費者に高い評価を得ているものも少なくありません。それらの県産品をより広く県外市場をターゲットとして売り出していくためには、展示会や商談会への出展や参加、ホテルや量販店での高知フェアの開催などが極めて有効な手段となります。
本年度は、こうした商談会への参加等を積極的に展開しており、その開催数は現時点で昨年度の3倍程度に至っております。来年2月中旬には、我が国最大級の量販店、イトーヨーカ堂の関東圏内30店舗で高知フェアが行われることが決定しているなど、質的、量的にも充実してきているところであり、こうした機会が県内の事業者の本格的な県外進出の足掛かりとなるよう、今後も引き続き取り組みを進めてまいります。
加えて、首都圏における本県の認知度を高め、県産品の販売拡大や観光客の増加を図ることを目的として、新しいアンテナショップを開設することとし、物件の選定を進めてまいりました。
アンテナショップの開設によって、常に、首都圏で県産品や本県の食材をディスプレイし、販売することが可能となることに加え、量販店の県産品フェアなどにおける課題であります、開催期間が短いことや相手方からの取扱い品目の指定といった制約なしに、自らの企画によって商談会や試食会などが随時開催できるようになります。
このたび、銀座の商業ビルをお借りする交渉が調いましたことから、11月20日に開催した「高知県地産外商推進協議会」で基本計画をお示しし、了承をいただいたところであります。今議会に提案いたしました関連予算をお認めいただければ、開設に向けた準備を加速し、来年夏前のオープンを目指したいと考えております。
このアンテナショップの狙いは、単に銀座に店舗を設けて県産品を販売したり、レストランで本県の食材を提供したりするということにとどまりません。その第一は、物品の販売や飲食の提供ができることを活かして、バイヤーや有名シェフを招いての商談会や試食会を開催し、それを足掛かりに、百貨店や量販店、ホテル、大手飲食店などへ県産品を売り込んでいく、仲介・あっせん業務を後押ししていくことにあります。さらには、販売活動やテストマーケティングで得られる首都圏の消費者の皆様の声や消費の動向を県内の事業者や生産者にフィードバックする、いわゆる受信機能を強化することで、事業者の皆様に県外市場への展開を促すことや商品の改良などにつなげていただくことにあります。
また、本県の食文化や観光の情報発信拠点として、首都圏と高知との人のつながりを形成する役割も担うことになります。
こうしたアンテナショップの目的を現実のものとしていくためには、全国的に知名度が高く、情報発信力やその伝播の速さ、集客力に優れた大規模な商業エリアにあることが要件となります。このため、地産外商推進協議会からもご意見をいただきつつ、銀座、有楽町を中心に、これまで十数件の物件に関しまして慎重に検討と交渉を重ねてまいりました。
今回の物件は、銀座と有楽町の境にある大通りに面しており、また、銀座の中でも比較的飲食店が多い場所にあり、さらには有楽町駅や八重州方面といったオフィス街からの人の流れが期待できる位置にあります。加えて、近隣の沖縄県や山形県などの他県のアンテナショップとの相乗効果も期待できる立地となっております。
アンテナショップの運営については、8月に立ち上げた高知県地産外商公社が行う予定としております。公社の設立によって、業務筋への県産品の仲介・あっせん業務などは格段に進んでいますが、加えて、展示会や商談会への出展者を対象に、市場ニーズを踏まえた商品の磨き上げや商談のノウハウなどに関する事前セミナーを開催するなど、商品の改良や営業力の強化を支援する取り組みも進めてまいります。
公社では、アンテナショップで取り扱う品目の調査など、立ち上げに向けた検討をすでに進めていますが、開設後の物販や飲食の機能と、これを活用した仲介やあっせんの機能をいかに高めるか、また、県費の負担を少なくする経営面の努力をいかに行うかが大きな課題でありますことから、今後の運営に、営業活動や物販、飲食などの専門的な知識や経験を有する人材に加わっていただくなど、体制の充実を図ることとしております。
このアンテナショップを地産外商戦略の拠点として位置付け、県産品の販売拡大や観光振興をはじめとする様々な成果を生むことで、事業者、生産者の皆様のみならず、多くの県民の皆様の期待に応えてまいります。
次に、来年1月16日から始まります「土佐・龍馬であい博」についてご説明申し上げます。
開幕までいよいよ2カ月を切りましたが、メイン会場となるJR高知駅南口では、テーマ館「高知・龍馬ろまん社中」と高知観光情報発信館「とさてらす」の建築工事がほぼ終了し、現在、展示や内装の工事を進める段階となっています。併せて、運営スタッフの研修やオープニングセレモニーの実施計画の策定などメイン会場の運営面でも準備を着々と進めております。
安芸市、土佐清水市、梼原町の各サテライト会場でも館内の展示の準備が本格化しておりますほか、観光ガイドや体験型観光プログラムのインストラクターに対する研修、特産品や土産物の開発などのソフト面でもそれぞれの地域を挙げた準備が進んでおります。
また、これら県内各地の準備とともに、「土佐・龍馬であい博」のPRと盛り上げのため、観光キャラバン隊の派遣やプレイベントの開催などに努めてまいりました。こうした中、開幕直前のPRの締めくくりとして、1月2日から11日までの間、東京の丸の内ビルにおいて開催される「龍馬と土佐の志士たち」をテーマとしたイベントに合わせて、観光と物産のPRを行うなど、首都圏に向けてのキャンペーンを実施することとしております。
1月3日から始まる大河ドラマ「龍馬伝」を契機に、全国の皆様の注目が本県に集まります。「土佐・龍馬であい博」の取り組みによってこれを活かしきり、さらには、これを一過性のものに終わらせることのないよう、ポスト「龍馬伝」に向けた取り組みを行っていくことが重要だと思っております。引き続き「龍馬のふるさと高知」を全国へ向けてアピールし、より多くの観光客の皆様に本県を訪れていただき、お越しいただいた皆様にご満足いただけるよう、また、高知ファンになって二度三度と本県に来ていただけるよう、準備に万全を期してまいります。
(オランダのウェストラント市との友好園芸農業協定の締結について)
次に、園芸農業の振興についてご説明申し上げます。
9月県議会でも申し上げましたとおり、本県の環境保全型農業を一層発展させるため、昨年来、この分野の世界のトップランナーでありますオランダのウェストラント市との協力関係を結ぶべく準備を進めてまいりました。このたび、協力内容について合意が得られましたことから、先週、ウェストラント市を訪問し、友好園芸農業協定を締結いたしました。
この協定には、通商400周年を迎えた日本とオランダ両国の友好交流をもとに、本県とウェストラント市の双方の環境に配慮した園芸農業及び関連産業の発展に向けて、相互に協力することなどを盛り込んでおります。実際にウェストラント市を訪問しまして、巨大な園芸用ハウスなどの施設の充実ぶりやそこで働く農業者の情熱、高い農業技術などを目の当たりにし、大きな感銘を受けると同時に、世界に目を向け多くの園芸品を輸出する姿は、まさに本県が産業振興計画で目指している地産外商そのものだと、この協定の意義を改めて感じました。
今後は、協定に基づいた交流をさらに深め、本県農業関係者が最先端の農業技術や企業的な農業経営に触れるとともに、双方の次世代を担う若い農業者が夢と希望を持って農業に取り組んでいくことで、お互いにメリットをもたらす「ウィン・ウィン」の関係を築いてまいります。
次に、高知新港の新たな定期航路についてご説明申し上げます。
このたび、韓国の船会社であるSTXパンオーシャンが、釜山・四国の外貿定期コンテナ航路を開設し、高知新港と釜山港を結ぶ定期コンテナサービスは、これまでと合わせ週2便となりました。定期コンテナサービスの増便は、新港の利便性を高め、納期の短縮など荷主企業にとって大きなメリットをもたらすものであり、高知新港の利用促進と貿易の拡大、海外をターゲットにした地産外商の推進につながっていくものと期待しています。
次に、高知県森林整備公社への支援策についてご説明申し上げます。
分収造林事業を行ういわゆる林業公社の経営は、木材価格の下落や事業に要した多額の借入金の債務返済などによって全国的にも厳しい状況にある中、本県の森林整備公社も同様の課題を抱えております。
こうした状況に対応するため、国では、昨年来、国と本県など5府県で構成する「林業公社の経営対策等に関する検討会」において、林業公社の経営対策と今後の森林整備のあり方などについての検討が進められてきました。
この検討の結果、県が行う公社への無利子貸付や利子助成補助金に対する特別交付税の措置率が本年度から引き上げられ、本県に適用された場合には大幅な交付税の増額が見込まれることとなりました。ただ、本県がこれまで森林整備公社に対して行ってまいりました支援は、実質的には貸付金でありながら、名目上は木材収入があった際には償還してもらう賛助金という本県独自の補助金であることから、この名目のままでは、こうした措置の適用ができないとの国の判断がなされたところです。
このため、今議会で、貸付金として明確に整理をするために必要な予算を提案いたしましたが、これは、県から貸付金及び利子助成補助金を支出する一方で、これまで支援した賛助金を県に返済していただくものであることから、新たな財政負担を招くものではありません。
森林整備公社の経営改革は、県の行財政改革を進める上で大きな課題でもありますことから、このたび、新たに立ち上げました「高知県森林整備公社経営検討委員会」の中で、有識者や林業関係者の方々からご意見をお聞きしながら、今後の公社のあり方を含めて十分に検討していきますとともに、増額されます特別交付税を活用し、経営改革を支援してまいりたいと考えております。
次に、新型インフルエンザへの対応についてご説明申し上げます。
全国的に新型インフルエンザが猛威を振るう中、本県でも今月に入り感染が急速に拡大しており、本格的な流行期を迎えております。
このため、県医師会に対しまして、診療時間の延長や夜間・休日における外来対応を要請しますなど、可能な限りの医療態勢の確保を図っております。
先月20日から開始したワクチンの接種につきましては、医療従事者への接種回数が減ったことに伴い、基礎疾患を有する方や小学校低学年への接種をそれぞれ半月程度前倒しして実施することといたしました。今後、国において十分な量のワクチンが確保される見込みであることから、医師会の協力もいただき、入荷状況に応じた迅速かつ円滑な接種が実施できますよう努めてまいります。
また、このワクチン接種は感染を防止するものではなく、あくまで感染時の重症化を防ぐことを目的としたものでありますことから、県民の皆様に対しましては、引き続き冷静な対応と、うがい、手洗い、咳エチケットの励行などの基本的な感染防止の対策を呼びかけてまいります。
次に、医師確保の取り組みについてご説明申し上げます。
本県の医療につきましては、医師数そのものの不足に加え、産婦人科医、小児科医の偏在、医師の高齢化など、全国の中でも厳しい状況にあります。
本年度、国の補正予算で、地域の医療体制を立て直すための地域医療再生計画の募集がありましたことから、これを本県の医療再生の切り札と位置付け、関係者の皆様のご協力を得ながら計画の策定に取り組んでまいりました。新政権による国の補正予算の執行凍結により、当初目指しておりました100億円規模の国費の受け入れは実現しませんでしたが、地域活性化・経済危機対策臨時交付金も活用して60億円規模の基金を設けることとし、今月上旬、国に計画の申請を行いました。
医師不足への対応にあたっては、医師にとって不可欠な専門能力の向上や最新の医学情報に触れ、研さんを積むことなど、いわゆるキャリア形成ができる環境づくりを行うことが重要だと考えております。このため、この基金を活用して、県、高知大学、県医師会などが共同で医師確保推進の組織を設置し、研修拠点施設の整備や指導医・専門医の養成と確保に対する支援、医療機関のネットワーク化などを行うことを計画しております。
先日、高知大学医学部の教員、学生の皆様と意見交換をさせていただいた際には、皆様の地域医療にかける熱意とともに、将来に対する不安もお持ちであることを感じました。こうした思いに応えるためにも、今後、この基金を十分に活用し、本県の地域医療の再生を図ってまいります。
次に、高知医療センターの経営改善対策についてご説明申し上げます。
厳しい経営状況にある高知医療センターの早期の経営改善を図るため、病院企業団と高知医療ピーエフアイ株式会社、いわゆるSPCとの間で協議が進められてきたところですが、このたび、両者の間でPFI事業の合意解約についての基本合意が調い、昨日開催されました企業団議会で了承されました。
合意解約の協議は、SPCからの提案で本年7月から始められ、この間、材料費問題など主張すべきことは主張しながら、企業団、県、高知市の三者が、腰を据えて協議に臨んでまいりました。
今回調いました基本合意の内容は、協議の焦点となったマネジメント料とPFI資金の割賦金の繰り上げ一括償還に伴い必要となる経費、いわゆるブレークファンディングコストの総額の約6割に当たる9億円を超える額をSPCが協力するものとなっており、医療センターの経営改善に対して最大限の協力を引き出せたのではないかと思っております。さらに企業団も、この条件であれば構成団体である県と高知市に新たな財政負担を求めることなく自らの経営責任で対応できますし、何よりも、県民の医療を守っていかなければならない医療センターの喫緊の課題である早期の経営改善に取り組むことができることなども勘案し、高知市とも協議の上、構成団体としてこれを了承することにいたしました。
こうした基本合意に至りましたことは、企業団、県、市の三者が一丸となって協議に臨んだこと、そしてSPCをはじめ、オリックスなどの協力企業からも医療センターの経営改善に対し、ご理解をいただいたことによるものであると受け止めております。
今後、企業団には、来年度以降の直営化による新たな病院運営に向けて、SPCが業務を離れた後も支障を来すことなく円滑に病院運営が行えるように、十分な引き継ぎを行うとともに、本年度中に医療センターの経営目標を明らかにした経営改善計画を策定するため、早々に新たな組織を立ち上げて、具体的な検討や取り組みをスピード感をもって進めていただきたいと思います。そして、県民・市民に医療センターが新しく生まれ変わる姿を早期にお示しして、一層安心して医療を受けていただけるように全力を挙げていただきたいと考えております。県といたしましても、構成団体として高知市と共にしっかりと企業団の取り組みを支援してまいります。
次に、教育分野の取り組みについてご説明申し上げます。
本県の特別支援学校につきましては、在籍する児童生徒数の増加に伴い施設が手狭になっているほか、より高度な支援を必要とする重度の障害がある児童生徒や障害が重複している児童生徒への対応の充実などが喫緊の課題となっております。
このため、教育委員会は、本年2月から有識者や保護者、学校関係者などで構成する「高知県における特別支援学校の再編に関する検討委員会」で検討を重ね、本年8月末にはその提言が取りまとめられました。
教育委員会では、この提言に基づき、日高養護学校と山田養護学校の分校を新たに設置することや、高知若草養護学校子鹿園分校に通学生を受け入れることなどを盛り込んだ再編計画の案を作成し、現在、関係する皆様への説明会やパブリックコメントなどを通じてご意見をお聞きしているところです。今後、そうした様々なご意見を踏まえて、再編に着手することとなりますため、これを支援してまいりたいと考えております。
次に、学力向上に向けた読書環境の充実についてご説明申し上げます。
全国でも低い水準にある小中学生の学力の向上につきましては、先の9月県議会において、家庭学習や授業などで活用する算数・数学の学習シートの作成や高知市における放課後の学習環境充実のための支援など、新たな取り組みについて補正予算をお認めいただき、対策の強化を図ってまいりました。
その後、「全国学力・学習状況調査」の読書に関する調査結果を分析しますと、読書の好きな小中学生の割合は、小学校、中学校共に全国を上回っております。他方、実際に本を読んだり借りたりするために、学校図書館や地域の図書館に月に1回程度以上行く割合は、読書が好きな割合よりも低いということが明らかになりました。
図書館は、子どもたちの本に対する興味を喚起する場所、あるいは、子どもたちにとって使いやすい場所でなければならないと考えておりますが、県内の公立小中学校の図書館では、整備すべき蔵書の標準として国が設定した「学校図書館図書標準」を100パーセント達成している学校が、小学校では4割程度、中学校では3割程度にとどまっておりますし、県立高等学校の蔵書数は全国の平均蔵書数と比較して76パーセント程度の水準にしかありません。また、公立図書館については、収容能力が3万冊以下の小規模な図書館が全体のほぼ3分の2を占めるほか、13町村では図書館そのものが未設置であるなど、本県の読書環境は十分なものではありません。
このため、国の交付金を活用し、小中学校の学校図書館における図書の購入等への助成、県立高等学校での専門書等の購入、市町村立図書館等への貸出を行う県立図書館の図書の充実などを行うことといたしました。
読書環境を整えることにより、読解力や表現力の向上など学力面の効果が得られるだけでなく、豊かな感性や心の成長を促し、子どもたちの可能性を広げる効果も期待されます。これを機に、読書習慣の一層の定着が図られますよう努めてまいります。
最後に、一般職員の給与の減額措置の終了についてご説明申し上げます。
現在実施しております給与の減額は、「三位一体の改革」による地方交付税の大幅な削減により直面した深刻な財政危機に対応するため、緊急避難的な措置として平成17年度から実施し、以後も続く厳しい財政事情により5年目に入っているものであり、この措置による人件費の削減額は累計で約108億円に上っています。
この間、組織のスリム化を進め人件費総額の縮減を行いましたほか、国の補正予算の活用、地方交付税の確保等に全力で取り組んでまいりました結果、平成20年度決算見込みを踏まえた中期の財政収支の試算では、平成27年度までの財政運営に一定のめどが立つことになりました。また、人員の削減が進む一方で、産業振興計画の推進や教育危機への対応など、職員の業務量は従来よりも多くなってきております。
こうした中、今年の人事委員会勧告では、月例給、期末勤勉手当共に引き下げ、年収で平均約15万円を減ずるという、職員にとりましては厳しい内容が示されるとともに、給与の減額措置を早期に解消することが要請されました。
勧告どおりの給与の改定を実施しますと、本年度の給与総額は一般財源で21億円程度の減額となる一方、給与の減額措置を解除した場合の所要財源は3億円程度であり、前年度と比較しておよそ18億円の減となります。
こうしたことを総合的に判断いたしました結果、このたび、一般職員の給与の減額措置を年内で終了することとし、今議会に関係条例議案を提案することといたしました。
なお、依然として厳しい県内の経済状況や県民生活を考慮いたしまして、管理職員につきましては、給与に換算して平均2パーセント程度の管理職手当の減額を引き続き行うとともに、私が20パーセント、副知事と教育長がそれぞれ7パーセント、5パーセントの給与の減額を継続することとしております。
今後とも人件費総額の縮減に努めますとともに、多くの県政課題に対して、引き続き、県庁を挙げまして県民の皆様の期待に応えるよう取り組んでまいります。県民の皆様のご理解をお願い申し上げたいと考えております。
続きまして、今回提案いたしました議案についてご説明申し上げます。
まず予算案は、平成21年度高知県一般会計補正予算など7件です。
このうち一般会計補正予算は、先ほどご説明いたしました首都圏へのアンテナショップの設置や森林整備公社の賛助金の見直しなどに必要な事業の経費として、263億円余りを計上しております。
条例議案は、高知県地域医療再生臨時特例基金条例議案など17件であります。
その他の議案は、平成22年度当せん金付証票の発売総額に関する議案など15件でございます。
報告議案は、高知県が当事者である和解の専決処分報告の1件でございます。
以上をもちまして、議案提出にあたっての私からの説明を終わらせていただきます。何とぞご審議の上、適切な議決を賜りますようお願い申し上げます。