公開日 2010年11月04日
更新日 2014年03月31日
知事の定例記者会見
平成22年10月29日(金曜日) 11時00分から11時42分 第一応接室
産業振興計画の進捗状況
来年度の重点的な取り組み
来年度の予算編成方針
飲酒運転による懲戒免職処分
広域的な行政の推進
アンテナショップ「まるごと高知」
ハローワークの都道府県への移管
特別会計の事業仕分け
育児休業の取得
新図書館の基本構想検討委員会
環太平洋連携協定(TPP)
配布資料 果敢に挑戦! 産業振興計画 [PDFファイル/13.72MB]
(知事)
お手元に、産業振興計画の進展状況についてお配りをさせていただいております。いつもお配りさせていただいておるものでございますが、また、ご覧いただきたいと思います。以上です。
(亀岡:朝日新聞記者)
まず幹事社から、主に3点の質問をさせていただき、それから各社随時質問していただくかたちにしたいと思います。
最初に、尾﨑知事は2007年に知事選挙に出られて、県経済の活性化であるとか、社会インフラの充実であるとか、健康長寿県づくりとか、5つの主な公約を掲げられて初当選されて、いよいよ3年ということで、残りあと1年ということになってきましたけれども。いろいろそういうところに沿って5つの基本政策ということで、予算なんかでも重点的に行ってこられたというふうに認識しておりますけれども。あと残り1年へ向けて、改めてどんなことに重点的に取り組んでいかれるおつもりなのかということと、いよいよ1年後には知事選がまた控えておりますけれども、それに向けて再選を目指すお考えが今の段階でおありなのかどうかをお尋ねしたいんですが。
(知事)
再選を目指す考えがあるかどうかということについては、また、しかるべき時期に改めてきちっと表明をさせていただきたいと思っています。
この残り任期1年間をどうしていくのかということでございますが、産業振興計画、日本一の長寿県構想、そして教育改革、この3つを全力で引き続き進めていきたいと思っておるところです。
それぞれ、非常に重要な時期といいますか、重要な局面に来ているのではと思っております。
例えば、産業振興計画につきましても、この大河ドラマ(「龍馬伝」)による追い風が終わった後、どのように観光振興とか外商活動とかいうものを引き続き進めていくか。こういうのが非常に問われる時期だと思うんですね。自立的に取り組みを、外商活動を進められるようになるかどうかという非常に大きな時期だと思っておるわけでございまして、そういう意味でも、より一層気を引き締めて取り組みを進めなければならないと思っています。
それとまた、教育改革にしましても、小学校では一定、かたちが見えてきましたが、中学校は、まだまだ継続して取り組みを進めるということが、是非とも重要なんだろうと思っています。
日本一の長寿県構想については、今年やり始めたばかりですから、今年の実行状況を見て、やはり改定すべきところもあったりすると思うんですね。この1年の実行状況を見て、より実効性のある取り組みとなるべく、取り組みを進めていかなければいけないと思っています。
そして、これらを支えていくインフラ整備の促進、安全安心の県土づくり、南海地震対策。こういうものも引き続き、しっかり行っていかなければならないと思っています。
とにかく、5つの基本政策として掲げさせていただいたものは、いずれの局面においても高知県にとって必要な政策だと思っていますから、引き続き全力で進めていくというように思っています。
(亀岡:朝日新聞記者)
今の質問と関連するとは思いますけれども、来年度の当初予算の編成方針を、先日お示しになられましたけれども、その中で「加速化枠」というもので50億円ということで、去年は確か30億円ぐらいじゃなかったかと思うんですけれども、若干積み増されている。その狙い、理由というのをお尋ねします。
(知事)
先ほど申し上げましたように、例えば、産業振興計画についても、来年は自立的にとり進められていけるようにするために、むしろ、県としては力を入れなければならない時期なんだろうと思っていますし、また、長寿県構想なんかについても、さらなる加速が求められているという状況かなと思っていますので、そういう点からしても、予算的な措置も十全にして、政策の加速化を予算面でも裏付けていきたいと思ったところです。
それと、もう一つありまして、いわゆるいろいろな経費について、一定程度の削減をして、その分の予算を加速化枠に回すという仕組みになっておるわけなんですけれども。年々、年々シーリング[上限]というのを課して、3%の減ということで取り組みを進めていくわけなんですが、やはり、同じことにしても、2年とか3年とか行っていると、だんだんマンネリ化してくるところもあると思うんです。
産業振興計画にしてもそうだと思いますし、その他の施策についてもそうかと思います。そういうこともあって、このシーリングを課していくことによって、一定のマンネリ化した無駄というのをしっかり削減し、かつ、それを新しい施策、加速化枠に充てるわけですが、新しい施策に振り向けていくという、そういう新陳代謝をしっかりと図っていくということも非常に重要なのかなと思っています。
尾﨑県政になって3年目ということでございますから、そういう中で、やや新陳代謝を加速化する必要もある、そういう側面もいるんじゃないかなという思いもございました。
二つですね。基本政策をしっかり加速化していこう。特に大河ドラマの追い風がなくなる分、しっかり自力というのを、もっともっと入れていかなければいかんだろうというのがまず第一。
もう一つは、新陳代謝をしっかり図っていく必要があるだろうということ。この二点から、今回はこの加速化枠を拡大したということです。
(亀岡:朝日新聞記者)
三つ目は、先日、高知地裁で、以前、飲酒運転で懲戒免職になられた県の職員の処分が裁量権の乱用に当たるというご指摘で、(処分を)取り消すという判決がございます。もちろん、県は控訴されていますけども。この飲酒運転に対する取り決めというのは、高知県の場合は、以前からかなり行って、取り組んできておられるということは認識しておりますけれども、社会的な目というのも厳しくなっているように思います。
県職員に対する県のこれからの対応というのを、今後も従来どおり続けるお考えかお尋ねします。
(知事)
今の段階では従来どおり続けていくという考えです。
今回、高知地裁で判決のありました事案なんですけれども、これは、呼気1リットル中0.7ミリグラムもの高濃度のアルコールを保有しながらも、飲酒後直ちに運転を行って物損事故を起こしたという事案です。これは人の生命、身体に著しい危険を及ぼす可能性のあった事案ということで、極めて危険性が高い悪質な事案だと考えているところです。そういうことで、私たちとしては、今回、判決を受けて控訴させていただいたわけでございます。
平成9年11月から飲酒運転は原則免職という対応を取ってきています。平成9年からです。もう13年にもわたってこういう対応を取ってきているという中で、そうなるだろうということは分かっているはずです。そのうえで、これだけたくさんお酒を飲んで直ちに運転をしたという、人の命を奪ってしまうかもしれないようなことを、危険性の高いことをされたということです。私たちとしては、この判決自体については控訴をさせていただいて、もう一度ご審議をいただきたいと考えているところです。
一般的に、今後の対応をどうするかということにつきましても、平成9年11月から、飲酒運転は、原則免職ということで取り組みをさせていただいておりますけれど、その後、危険運転致死傷罪というものが創設をされたりし、飲酒運転に対する社会的、法的な対応というのは、より一層の厳しさを増してきている状況であります。また、飲酒運転のような、信用失墜行為でもあり、また、人の命に重大な危険性を及ぼす可能性のあるこのような行為に対する社会の目の厳しさ、これはいささかも緩んでいないんじゃないかなと思わさせていただいておるところでございまして、今の段階で対応を変えるということは考えておりません。
(岡本:日本経済新聞記者)
関西広域連合について、ちょっと伺いたいんですけど。この間(中四国)サミットがありましたが、徳島県の知事も参加される(関西広域)連合について、どのように評価されていますでしょうか。それから、徳島県が参加されることについてどういうふうにお考えでしょうか。
(知事)
関西広域連合というかたちで広域的な行政の推進、それから、分権の受け皿たらんとされる取り組みが進んだこと自体は、非常に喜ばしいことだと思っております。
広域連合というかたちですから、事務を切り取って、かつ議会も設けてということですから、県の行っている事業と広域連合で行う事業をよくよく切り分け、整理して対応していくということが、今後、必要になってこられるんだろうというふうに思います。いずれにしても、広域的な行政推進が図られていくということは、非常に望ましいことだなと思います。
そういう意味において、例えば、徳島県は、(関西圏と)橋でつながっているということもございますし、従来より、関西との強いつながりをもっておられる徳島県が、一部ですけれど参加をされるということ自体も、徳島県としては、ある意味、自然の成り行きといいますか、そういう選択をされたのだろうというふうに思っていますし、また、徳島県が参加をされることで関西広域連合と四国の他の県とのつなぎ役になっていただけるんじゃないかという期待感も持っておるところです。
高知県として今後どうしていくのかという話でございますけれども、ここはいろいろ検討しないといけない課題があるんじゃないのかなと思っています。やはり、地理的、文化的なつながりということからいけば、明らかに高知県の場合は、四国で一体となって取り組みを進めていくという方向が大きな戦略的な方向なんだろうなと考えておるところですし、また、広域で取り組みを進めていくというあり方として、どういう形態がいいのかということもよくよく考えていかなければいけないのだというふうに思います。
関西広域連合というのは、何故か、そういう雰囲気で言われたりもしていますが、決してそれが政府になるわけでは全くなくて、一部の事務だけを取り出して、その事務について合同でやる。かつその一部の事務について特別に議会を設けてやるということになるわけですね。
例えば、観光について広域連合でやるということになれば、高知県庁は今、観光について自前で行って、かつ高知県議会でご議論いただいて行っている。これが、そのうちの一部については、別の人と別の議会でということになってくるということでありまして、果たして本当に高知県のいろんな行政の執行にとって、本当に効率的、効果的なのかというところについては、形態によってはそうでない場合もあるでしょうし、また、ものによってはそっちのほうが効果的だと思われる場合もあるでしょう、ということなのではないのかなと思っています。
ですから、二点。私は、四国で取り組みを進めていくということが重要だと思うということが第一。そしてもう一つは、広域的な行政の処理というかたちで、どういう形態がいいのか。広域連合がいいのか、それともあくまでそれぞれの県の行政の形態を守りながらも連携して行っていくというかたちがいいのか。今、四国は盛んにそういうやり方をしているんですけどね。形態についてもいろんな検討を重ねていかないといけないんじゃないかなと思っています。
(岡本:日本経済新聞記者)
橋下さんが道州制へのステップだと(言っていますが)、それについては、(どうお考えですか)。
(知事)
多分、他の県の方の中にもいろんなお考えがあられて行っておられるんだろうというふうに思いますけど。
私は、道州制にするかどうかということについては、従前より申し上げています。良い道州制と悪い道州制というのが道州制にはあるんだというふうに思っていますから、道州制という形態そのものも含めて、どういうかたちで広域的な事務処理というのができるか、連合を組んで行けるか、検討していかないといけないというふうに思っていますけどね。
(半田:高知新聞記者)
関連なんですけど、広域的な事務処理というのは、四国でもいずれ必要になってくるというお考えですか。
(知事)
そういうシーンというのも増えてくるんじゃないかというふうに思います。
実際に、一つは、地方分権の受け皿たらんということもあります。それと、もう一つは広域的に処理したほうが効果的という場合もあるんじゃないかというふうに思っているところです。そういうことで、前回やりました四国の知事会でも提案をさせていただきましたが、どういう受け皿もしくは、その広域的な事務処理をするような体制をつくるかということについて、4県で担当者を決めて話し合いを続けているところです。本県ですと、総務部長にメンバーとなってもらって検討してもらっていますけれども。そういう検討は是非必要だと思いますね。
(半田:高知新聞記者)
その形態はまだ、広域連合(ということではないということですか)。
(知事)
形態はいろいろあると思うんですよ。広域連合であるから、重複するんじゃないかという可能性もあるでしょうし、むしろ今よりも非効率になってしまうんじゃないかという場合もあるでしょう。ですけれども、広域連合であるからこそ連携の実を本当にあげることができるんじゃないかという場合もあるでしょう。それぞれの地域、それぞれの経緯、特に今の出発点がどうかということと比較して、どっちがいいかということを判断していくことが是非とも重要だと思いますね。
四国では、どちらかというと、既に、いろんなことを広域で行っていますので、そういう土壌がある中で、今後さらに連携を深めるためにはどういう形態がいいのか。これはよく検討していかないといけないんじゃないのかなというふうに思いますけどね。
例えば、(関西)広域連合なんかでも、いろんな、例えば、カワウとか有害鳥獣の排除みたいなことについて広域で行っていこうというようなことも入ったりしているわけですよ。ただ、四国なんかですと、有害鳥獣の排除というのは、四国四県で連携して行っていこうということは、もう既に取り組めていて、そういう取り組みを行っていたりするわけなんですよね。観光とかにしても共同して行っていこうということですけど、四国は、既に四国ツーリズム創造機構というものをつくって職員も強化して、四県連携で取り組みを始めていたりとかいうこともあるわけなんですよね。
ですから、今の出発点と比較検討した場合に広域的な仕事、事務処理を共同で進めていくために、どういう形態がより良いものとなるかという視点でいけば、ケースバイケースということになるんじゃないかなと思っていますけど。
(半田:高知新聞記者)
そしたら、関西みたいな、ああいうかたちのものを分権時代につくっていかないといけないという意味ではなくて、その事務処理の効率優先で、形態まではまだ(検討が必要ということですか)。
(知事)
形態は、いろいろあり得ると思います。
今、広域連合を四国に適用すべきだとは、必ずしも思っていません。いろいろな形態があるんじゃないでしょうか。
(千脇:毎日新聞記者)
「まるごと高知」なんですけど。いただいた書類を見ると、売り上げが約9,300万円とあるんですけれども。勢いというのは今、どうなっているんですかね。かなり認知度が高まってきているのか、それとも月毎にばらつきがあるのか、そういったのは(どうでしょうか)。
(知事)
飲食(レストラン)は、当初想定したより大体2倍以上くらいのペースでずっと続いてきていますから、勢いは、ずっと続いてきているというそういう感じがしています。
物販については、天候に大きく左右されるなという印象をすごく受けているところですね。なぜかは知らないんですけど、9月から10月にかけて東京は雨が多いんですね。雨の時は、銀座全体で人の数がガクンと減りますから、すると、こっちの売り上げは落ちると。土日とか、晴れていたりすると好調だったりして、こちらのほうは、上がったり下がったり、上がったり下がったりがずっと続いているかなという感じを受けているところですが。
いずれにしても、本当に多くの人に支持される店づくりができるように、不断の改善というのをずっとこれからも続けていかなければならないんじゃないのかなと思っているところです。 これからは、一般的に売り上げの伸びる季節に入っていきますので。特に12月というのは、多くのデパートなんかでも多いんだそうですけど、そういう時期に多くの方にPRできるような店づくりというのを、しっかり続けていかなければいけないかなと思っています。
ただ、実際の現場といいますか、まるごと高知のスタッフの皆さんから聞いた話だと、今、次から次へと新しい取り組みを進めているということですから、その効果が出てくるんじゃないかなと期待をしておりますけどね。
(千脇:毎日新聞記者)
年末に向けて何か県として新しいことを考えていたりしているんですか。
(知事)
今、考えていますけど、もうちょっと発表を待ってもらいたいと思いますね。
(水谷:時事通信記者)
国の出先機関改革で、ハローワークの都道府県(移管)ということも出てきているようですけど、事務が下りてくることを知事はどう思っていますか。
(知事)
歓迎ですね。今も雇用労働政策課と労働局やハローワークは、本当に一体となって仕事をさせていただいているところでして、ハローワークの皆さんと県とで一緒に、仕事がより緊密にできるようになると、もっともっといろんな仕事ができるんじゃないかなという期待を持っていますけどね。
「雇用労働政策というのは、国の政策で県は関係ない」というような話を就任直後ぐらいにスタッフから聞いたことがありましたけど、県全体として、今はそんな考えは、全然持っていませんね。
産業振興計画というのは、雇用を生み出すためにやろうとしていることですね。雇用労働政策というのは、ありとあらゆる行政レベルで取り組みを進めていくべきことなんだろうというふうに思うんですけど。そういう中、高知県も今、それに非常に力を入れています。そういう時に、雇用労働政策というのを専門的な知識をもって強力に進めているハローワークの皆さんと、私たちの力が一緒に合わさるというのはすごくいいことじゃないのかなと思っています。大歓迎なんですけどね。
(井澗:NHK記者)
今、中央で事業仕分けがまさに開かれていますが、昨日も特別会計に組み込まれて、公共事業も削減すべきだという意見が出ていますが、そういう、今、行われている事業仕分けを知事はどういうふうな目で見ておられて、どういう提言があるかということを(聞かせてください)。
(知事)
事業仕分けという手法自体について、私は、なかなかいいんじゃないかと思っています。前から申し上げておるんですけど。やはり、ああいう予算編成をするにあたっては、既存の考え方というのを打ち破っていかなければならんというところもあるんだと思うんです。事業仕分けという手法で、まず一発バンと行ってみて、今まで行ってきたことが当たり前じゃないよ、と。また別の見方もあるよ、ということで、既成概念を打ち破ろうとするということ自体、そういう意味では意味があると思うんです。
ただ、あわせて、そうした後で、きちきちっと、よくよく詰めていくということも非常に重要なんだと思っています。まず一発、既成概念を改めて疑ってみるということをし、その後でしっかりときちっと詰めた検討して、最後に予算として組み上げていくということが重要なんだろうと思うんですね。ですから、事業仕分けだけで終わってはいけないので。その後にありますところの詰めの作業というのもしっかり行ってもらいたいなと思っておるところです。
社会資本に関して、公共事業について10%、20%削減してもいいんじゃないの、というのは、そういうご意見もあるんだろうとは思いますけども、そういう「量としてどれぐらいのものにするか」なんていうのは、感覚で決めてはいけないのであって、どういう必要な事業があるかということをよくよく練り上げて決めないといけないのであって、この部分については、先ほど申し上げた、その詰めの部分で、よくよく検討して結論を出していただきたいというふうに思います。
(池:高知新聞記者)
関連で、事業仕分けで、社会資本整備の特別会計の廃止というのが目玉ということです。空港(整備勘定)の部分を除き、他(治水勘定、道路整備勘定、港湾勘定、業務勘定の四つ)の勘定を廃止という方向ですが、高知県に対する影響というのはどういうふうに展望されますか。
(知事)
特会でだからどうとか、ということは必ずしもないんだろうと思うので、それゆえに高知県のインフラ整備が直ちに遅れるということにはつながらないんだろうと私は思いますし、そこの影響というのは、「特会廃止=インフラ整備がなくなる」ということじゃないので。そこのところはそんなに心配していません。むしろ、その経理のあり方がどうかということであって。
ただ、むしろ、私が問題だなと思っているのは、事業費を、さっきもお話ありましたが、10%、20%削っても大丈夫というご意見が出ていることについて、一体何を根拠にそういうことをおっしゃってるんでしょうかね、ということでありまして、よくよくそこは詰めてご検討いただきたいなというふうに思っています。
経理区分のあり方がどうかという問題より、公共事業なんていくらでも減ってもいいんだと言わんばかりの対応というのは、ちょっと困ったものだなと。維持管理にだってお金はかかりますね。それから、都会では十分なのかもしれませんけど、まだまだ遅れている地域というのは、本県を筆頭としてありますね。やらなければならない仕事というのは、まだあるんだと思うんですね。それをファイナンス[資金調達]できるだけの十分な予算というのは、必要なものとして構えなければならんと思うんですね。やはり、そういう詰めた検討をよくしてもらいたいと思います。
(池:高知新聞記者)
地方の立場としての予算確保、あるいは必要な事業の部分というのをもう一つの面としてですね、国、都道府県なんかでもそうかもしれませんが、特別会計制度というものに対して知事はどういうふうにお考えになっているかということをお聞きしたいんですけれども。
つまり、何らかの目的税などを使って整備に充てるという、それのための特別なお財布というかたちだと思うんですが、今回の仕分けのテーマというのは、その特別会計そのものに対する切り込みだと思うんですね。その特別会計のあり方については、知事は財務省時代も含めてですね、どんなふうに考えておられるのか。
(知事)
登記特別会計は、特別会計の見直し第一弾を実施した時、「廃止も含めて検討」という結論になったのをご存知ですか。平成16年、17年に、小泉内閣の塩川大臣のもとで、初めて財務省の主計局で特会の見直しっていうのを根本的にやるぞって、やったことがあって、その時、私が登記特会の担当だったのです。
一番最後にできた特別会計ですけど。それについて徹底して議論して、私は、「廃止も含めて検討」という結論まで行った。ただその後、担当も変わっていく中、現実にはそうなってはないんですけど。私としては、特別会計というのは、例外的なものだろうと思うんですよ。また、特会だから、「離れですき焼き」というようなことは当然あってはいけないことなんだろうと思うんですよね。
国民の目が及びにくいから、さらには予算査定なんかの目が及びにくいから無駄があるのかという話について言えば、連年、先ほど申し上げたのは5年くらい前の話ですから、5年ぐらい連続して、ずっと特会の見直しというのを行ってきている中で、相当、制度改善が図られてきたのではないのかなという思いはあります。
しかしながら、やはり、特会制度だから故の縦割りにし過ぎる結果としての資源配分の非効率性、いわば無駄がそのまま残り得る点というのは、やはり特別会計制度のデメリットではあると思うんです。だから、そこのところは、ある意味、既成概念を廃して徹底的な見直しというのを進めていくということは重要だと思っているところです。
そのうえでもなお、やはり区分経理が必要だなと。ややデメリットは出てくるかもしれないが、それでもなお区分経理することをすることのメリットのほうが大きいというものに出来るだけ原則として絞っていくという取り組みというのは、続けていかないといけないというふうに思いますね。
(亀岡:朝日新聞記者)
ちょっとまた話が違うんですけども、この間の(中四国)サミットで、広島の知事はご欠席で代理の方がおいでていましたが。あの日、広島の知事さんは子どもさんがお生まれになったというふうに後に伺いましたけど。政治家として、育児休業に関して、どういうふうにお考えなのか。いろんな議論がいろんな方面で出ておられるようにも感じますけど、その辺は尾﨑さんとしてはどのようにお考えでしょうか。
(知事)
私も妻にいつも怒られておりますけれど、仕事、仕事でずっとやってきましたし、典型的な仕事人間だと、私は自分自身のことを思っていますし、反省もしていますが、そういう何といいますか、最も育休を取らなさそうな私のような人間が取れば、イクメンということを普及させるにあたって非常にインパクトがあるんじゃないかなということを思ったりもしています。多分、湯崎知事さんもそういう思いがあって、育休というものを世の中に広めていきたいという思いで対応されたことなんだろうと思うんですね。
もちろん、知事という仕事からいけば、何日も育休で休むということが事実上なかなか難しいというところもあるんでしょう。そこをよくよく考慮されて、数時間だけとか、早退をするとかいうかたちで湯崎知事は育休を取っておられるんじゃないのかなというふうに思っていますから、インパクトをもって普及したいというお考えと、実際の公務の要請というもののバランスをとられた的確なご判断をされておるんじゃないかなと思わさせていただいておるところです。
ただ、私自身がどうかと言えば、私の息子が中学1年生と小学3年生なものですから、ちょっと育休という感じではないんですけどね。年齢じゃないんですけどね。はい。
高知県庁の職員には是非是非、育休というものはしっかり取ってもらいたいというふうに思いますね。
(澤本:読売新聞記者)
新図書館のことですけど、基本構想の検討委員会もこれから始まりますけど、依然として反対の声があって、これから検討委員会の中で諸々決めていくということですけど、反対意見というのはどのように受け止める、もしくは取り入れていくお考えでしょうか。
(知事)
大きな話ですから、よくよくいろんなご意見を伺いながら検討しないといけないと思いますし、やはり、いろいろな対応の視点でもっての検討を進めていくことが非常に重要だと思います。明日10月30日に、この第1回目の検討委員会を開催するわけですけれども、この検討委員会を開催するにあたっては、今、14名のメンバーの方に(委員に)なっていただいているわけです。県外からは、全国的に活躍されている図書館建築や運営の専門家の方、また、県内からも市町村の代表者、図書館関係者、利用者など、全部で14名ということでございます。メンバーを選ぶに当たって、やはりいろんな多様な意見をもっている方を選んだつもりであります。それが第一。
そしてもう一つ、第二番目に検討の順番なんですが、例えば、初回の明日の検討委員会では、単独整備した場合と合築した場合。この比較検討を行っていく。そして、第2回目は、合築は本当にフィージビリティー[実行(実現)の可能性]があるかということを検討してもらうというようなかたちで、やはり、もう一回足元を振り返ったような議論というものも行っていく。これが第二点目ということです。
第三点目ですが、この検討委員会自体全てフルオープンで実施をしていって傍聴もしていただけるわけでありまして、最終的にはパブリックコメントもとっていくかたちにしますけれど、その他にもいろいろな関係者の方に来ていただいていろいろご意見を賜る場合もございますでしょう。それから、是非、広くご意見を聞くような場というものも設けたりとか、ということも検討したほうがいいんじゃないかなと思っています。教育委員会事務局のほうで対応されることですけども、今言ったようなかたちで進めていかれることが望ましいのではないのかなと思わさせていただいておるところですね。
ただ、最終的には中間報告というかたちでしっかり、2月議会ぐらいになろうかと思いますけども、議会にもしっかりご報告をさせていただいて、時期はわかりませんが、もう一度幅広い観点からしっかり議論をいただく。また、パブリックコメントもかけさせていただいていろんな方のご意見をいただくという対応を取っていきたいと思います。
(澤本:読売新聞記者)
広く意見を聞く場も考えるということですけど、地区説明会みたいな(ものですか)。
(知事)
そういうようなことなんかもいろいろ考えていってはどうかなと思います。ただ、これは、教育委員会の事務局のほうで進めていく話になりますけれど。そういうふうに進めていかんとされることについて、例えば、いろいろ必要な数値なんかがあれば、知事部局としても応援をしていきたい。
(亀岡:朝日新聞記者)
ここのところですね、そういう新図書館の話を含めて、新しい資料館をつくるという話とかですね、ちょっとここのところ、若干いろんな箱物が、少しここ何年間が目立つかたちになりつつあるのかなというふうに思われるんですけど、そこに対しては、知事としては意識的にそういうかたちに行っていこうというようなお考えというのは今、お持ちですか。
(知事)
全くありません。箱物をどんどん作っていこうなんていう発想は全く持っていませんし、できれば箱物にかけるお金というのは、できるだけ最小限にして、その中身の充実にお金を使いたいなと思っているところなんですけど。ゆえに、いろんな工夫をしなければならんと思っているわけですが。
ただ、図書館にしても、これは建て替えを絶対にしなければいけません。高知市もそうですし県立もそうです。それから、山内資料館もそうですが、これをしっかり整備しなければならんということは、ずっと言われてきたことでありまして、そういう積年の課題としてやらざるを得なかったことにいよいよ手がつけられるようになった結果として、それに伴って箱物をつくるものも出てきたということかなと思っていますけど。
(小笠原:高知新聞記者)
TPP[環太平洋連携協定]の話なんですけど。高知県は、一次産業を基幹とする県という立場で、中国産の輸入で、今まで大分痛い目にあってきた経過もあってですね、今回、どちらかといえば、なかなか厳しい立場なのかなというふうに推測するんですけれども。県として今、中央で行っているTPPの議論ですよね。これをどういうふうに見ている、もしくは何か分析しているものがあるのか、何かアクションを起こすような考えがあるのかということをちょっとお願いします。
(知事)
政府には引き続き、守るべきものは守るというスタンスでしっかり対応していただきたいというふうに思っていますので。TPPもEPA[経済連携協定]もFTA[自由貿易協定]も全部そうなんですけど、そこのスタンスというのはしっかり守ってもらいたいと思っています。
でありますので、今後の議論の推移がどうなるか、まだわかりません。政府においても必ずしも明確な意思決定がされているか、政府与党内でのコンセンサス[合意形成]が得られている状況では必ずしもないというふうには思いますけれども、その状況を見ながらやるべきことは、しっかり行っていかないといけない。県単独でということもあるでしょうが、同じような事情を抱えている県と連合を組んで取り組みをしっかりしていきたいと思います。
(小笠原:高知新聞記者)
やるべきことというのは、守るべきものは守る(ということですか)。
(知事)
そういうことをしっかり政府に堅持してもらうように(お願いしていく)。
(小笠原:高知新聞記者)
つまり、国内農業という(ことですか)。
(知事)
もちろんです。私はむしろ、自給率向上とかということを言っている時、というか世界の客観情勢を考えた時に、食料というのをしっかり自給できる国であるべきだと私は思っています。インドや中国の台頭を考えれば、食料というのは、いくらでも輸入できると考えるほうが、続けられるんだと考えるほうが甘いのであって。やはり、国内での農業というのをしっかり守り育てていく、一次産業を守り育てていく、そういう国であるべきだと思っています。政府にもそうあってもらいたいと思いますね。
(池:高知新聞記者)
そのTPPの関係ですが、知事のほうから、今、内閣府と農水省でGDPの試算が違っていたりということで、(政府の)中で温度差が、かなり違いがあるんでしょうけども、ただその首相周辺のですね、前原外相あたりは、かなり乗り気だという報道があります。そういう中で、知事の今のお考え、守るべきものは守るんだということを国に伝えていくという具体的なアクションというのは、何か近くお考えがありますか。
(知事)
ちょっと考えさせていただきたいと思います。
(池:高知新聞記者)
まだ具体的には(決まっていませんか)。
(知事)
今の段階では決まっていません。
(中村課長補佐)
よろしいでしょうか。それでは、以上をもちまして記者会見を終了します。
PDFの閲覧にはAdobe社の無償のソフトウェア「Adobe Acrobat Reader」が必要です。下記のAdobe Acrobat Readerダウンロードページから入手してください。
Adobe Acrobat Readerダウンロード