知事の定例記者会見(平成23年3月25日)

公開日 2011年03月29日

更新日 2014年03月31日

知事の定例記者会見

平成23年3月25日(金曜日) 14時00分から15時05分  第一応接室

東北関東大震災について
被災者の受け入れ
観光への影響と対策
南海地震対策の見直し
新図書館の議会審議
高知県地産外商公社の態勢
まるごと高知の戦略見直し
復興予算と本県への影響
今回の震災での対応
県議会議員選挙
受け入れた被災者の情報提供(1)
職員人事
受け入れた被災者の情報提供(2)


 配布資料
 東北地方太平洋沖地震の被災者支援について [PDFファイル/382KB]


東北関東大震災について

(知事)
 まず、冒頭、今回の東北関東大震災でお亡くなりになられました多くの皆様方に対しまして、また、ご遺族の皆様方に対し、心よりお悔やみを申し上げたいと思います。
 また、多くの被災された皆様方がいらっしゃるわけでございます。こうした方々に対しましても本当にお見舞いを申し上げたいと思う次第です。
 また、まだ多くの方々が行方不明でいらっしゃる状態でございます。本当に心が痛むところでございますが、一刻も早い被災地での復旧を望みたいと考えさせていただいています。

 県内では、幸い人命に関わる被害はございませんでしたけれども、約1万人の方々が、一時、避難されましたし、また、最も津波の高かった須崎市をはじめとしまして、四万十市などで水産の養殖施設などに大きな被害がございました。現在、県としても地元市町村や関係機関と協力して復旧に向けた支援策を検討しているところでございます。

 また、被災地への支援に全力をあげていかなければならないと考えております。現在まで、早急な対応が必要な消防、さらに医療面での支援ということで、消防防災ヘリとドクターヘリを派遣しました。さらに、DMAT、災害派遣医療チーム、さらには日赤救護班も現地に向かっていただきました。また、緊急消防援助隊、県警の広域緊急援助隊や機動隊、保健師チームなども順次派遣をしてきたところでございます。今後、支援活動は相当な長期間にわたることが予想されるわけでございますが、被災地の状況に応じた形での支援を続けていくことが必要であると考えております。
 県民の皆様からの支援。本当に多くの温かい支援の輪が広がっているところでございまして、感動すらおぼえるところでございます。本当に素晴らしいことだと思います。県としても、こういう多くの県民の皆様方の善意の窓口としての仕事をしっかり果たしていき、そして、多くの県民の皆様方の善意を被災地に繋いでいく取り組みを、今後も一生懸命進めていかなければならんと考えているところです。

 これまでのところについて、お手元に資料をお配りしておりますが、まず、物資についてでございますけれども、現地の受け入れ態勢などを考慮しまして、保存食や水など7つ(現在6つ)の品目に限って、県民の皆様にお願いしております。
 県民の皆様からの支援物資の件数でございますが、こちらに現段階での状況をお配りしています。今まで10日間で2,595件の物資をお寄せていただいておるところでございます。1枚おめくりいただきまして、例えば、カップ麺でしたら、1万4,276個でありますとか、さらには飲料水2リットル入りのものが1万1,794本お寄せいただいたりとか、多くの支援物資をお預かりしているところでございます。
 こちらは、順次、被災地にトラックで配送しておりますが、全国知事会からの割り振りも受けまして、当初から3回目までは、福島県へお送りしておりました。4回目から、3月26日に予定しております6回目に至るまでの間につきましては、宮城県にお送りすることとなっております。
 これは、県トラック協会の皆様方に大変なるご協力をいただいてお送りをしておるところでございまして、明日の発送分も含めますと、13トントラックで17台分を被災地にお送りさせていただいておるという状況でございます。

 また、県の災害対策本部(現:支援対策本部)に寄せられました義援金でございます。昨日、3月24日現在で、災害対策本部に寄せられたものでございますが、1,844件でございまして、総額で約1億3,000万円の義援金をお寄せいただいておるところでございます。このほか、日本赤十字社高知県支部には、23日現在で1,043件、約5,800万円。さらには、高知県共同募金会にも約900万円強の義援金を寄せていただいておるところでございます。
 今後、これを被災地、被災者の皆様にお届けしていくということでございますが、配分のための委員会を設けまして、適確に、皆様方の温かいご支援の輪を被災地に届けさせていただきたいと考えておるところであります。

 また、災害ボランティアについてでございますが、被災地におきまして、順次、災害ボランティアセンターが立ち上がっているところです。一部ではボランティアの募集が始まっているともお聞きしておりますけれども、緊急援助活動が最優先であるということ、また、余震に備えた安全の確保、さらに、現地での燃料物資の不足といったことがあるわけでございまして、多くのボランティアセンターでは、それぞれの市内に在住している方や通える範囲の方の受け入れに限定をしているところが多いということでございます。
 段々、段々、現地でのボランティアの受け入れの態勢が整っていけば、より遠隔地からのボランティアの受け入れということに繋がっていくのではないかと考えておるところでございます。多くの皆様方が、ボランティアに行きたいと思っておられると思いますが、もう少しお待ちいただくことが重要かというふうに思います。

 順次、いろんなかたちで、最新の情報をお届けしていきたいと思います。県のホームページでも、また、ボランティア・NPO情報システム「ピッピネット」のほうでも最新の状況をお知らせしていきたいと考えておるところでございます。
 また、被災者の皆様方の受け入れについても順次態勢を整えてきているところでございます。こちらにつきましては、このあとご質問もあるようですので、そのご質問にお答えをしながらご説明をさせていただきたいと考えております。


被災者の受け入れ

(水谷:時事通信記者)
 幹事社の水谷です。
 まず1問目。東日本大地震でですね、物資の受付とか公営住宅への受け入れは早くから進んでいると思いますが、特に被災者の受け入れについて、集落ごとのまとまった受け入れであるとか、通学の問題、いろいろ議論すべき内容があると思います。
 現在の被災者の受け入れ状況と、県として、被災者支援で検討していることをお聞かせください。

(知事)
 まず、被災者の受け入れについてですが、少し詳しくお伝えしたいと思います。
 こちらの資料をお配りしてありますので、ご参照いただきたいと思います。

 被災者の受け入れについては、一番最初に本県が発表しましたのは、3月14日のことでございます。全国でも多くの県で、受け入れを表明されておられますが、本県としても出来る限り早く、被災者の受け入れをということで手を挙げさせていただいたところでございます。
 当初は、公営住宅200戸への被災者の受け入れということでございましたが、その後、二つ課題があると思って取り組みを進めてまいりました。第一点は、受け入れることのできる人数の拡大を図っていくということ。そして第二点が、受け入れたあとのいろいろな生活支援とかサポートの内容の充実を図っていくこと。

 それぞれの点について、充実を図れるよう努力をしてきたところでございまして、現段階でございますけれども、まず、その受け入れることのできる人数については、当初より大幅に拡大をさせてきているところでございます。
 そちら(資料)をご覧いただきたいと思いますが、まずですね、公営住宅のほうでございますが、3月24日現在での受入可能戸数でございます。558戸であります。当初200戸でありましたが、市町村営住宅とか雇用促進住宅とかの活用も図ることで、今、558戸まで拡大しているという状況でございます。
 県営住宅とかは、敷金、家賃は無料。光熱水費などの実費のみということであります。市町村営住宅についても無料としていただくようご依頼しており、多くのところでそういう対応をしていただいているということです。
 入居期間などについても、例えば、県営住宅などは1年間。市町村営住宅などにつきましては、事業主体によって異なり、3ヶ月から3年間といろいろございますが、それぞれできるだけ緩やかな条件で対応いただいておるということでございます。

 相談窓口でございますが、こちらにあります県の受付窓口、県支援対策本部で受け付けておりますが、さらに加えまして、土木部住宅課できめ細かなサポートを行わせていただいております。
 さらには、公営住宅だけでは戸数が十分ではないのではということで、民間の皆様方のご協力もいただいておるところでございまして、そちらにありますように、民間アパート・マンション等についての相談窓口も開設をしているところです。高知県宅地建物取引業協会、全日本不動産協会高知県本部に対して、いろいろご要請申し上げましたところ、相談窓口を開設いただいて、現時点で約480戸の空き物件の準備が出来ておるという状況でございます。
 こちらは、不動産業界の業者の方とかオーナーさんのご厚意によって、例えば、仲介手数料、敷金、礼金、家賃を無料とか減額とかいうかたちでご対応いただいているということでございます。この場をお借りして御礼を申し上げたいと考えております。

 また、あわせまして、ここには、はっきり記載していませんが、企業、団体、個人の皆様から住宅の提供とかの申し出をいただいておるところでございまして、例えば、四国電力様からは、「空いている社宅、約30戸を提供する」というお申し出をいただいたりとか、また県内の方から、自宅の2階を貸したいとかですね、実家が空いているからとかいうような非常に温かいお話もいただいておるところでございます。
 こういう個人の方の自宅を提供したいとかいうお申し出については、宅建業協会で取りまとめていただくべく、今、お願いしている状況でございます。その戸数は、ちょっとまだ確定していませんので、この紙には書いていませんが、そういう流れもあるということであります。

 さらには、公営住宅とかアパート、マンション等に入っていただくまでの間、ちょっとお住まいを探される間、一時的に居住をしたいというニーズもあるというふうに考えておるところでございまして、対応できますように、旅館、ホテル等の案内窓口を設置しております。高知県旅館ホテル生活衛生同業組合の皆様方のご協力によりまして、中央支部で、現在、35のホテルとか旅館さんがこのシステムにご参加いただいております。
 こちらに参加していただいている皆様方には、料金を通常より大幅に格安でご提供いただくということになっているそうでございまして、こちらも、被災者の皆様からの相談に応じて、県から組合さんの窓口となっていただいている方のところにお伝えして、それぞれのホテルが対応していくという取り組みをしようとしているところです。

 こういうかたちで、随時、受け入れの戸数を拡大してきているところでございますが、さっきご質問にありましたように、今後、集落単位での受け入れということについてのお話も出てきているところかと考えています。
 こちらにも対応していけるように、この資料では、この3番目の段に当たりますけれども、青少年教育施設とか校舎等の公的施設を一次避難場所として利用できるように枠組みを広げることとしました。
 例えば、県立青少年センターでありますとか、県立幡多青少年の家とかにおいても受け入れをしていく態勢を整えようとしているところです。
 青少年教育施設での受入可能数が、4施設で852名。校舎・寄宿舎での受入可能数が、2施設で64名ということでございまして、あわせて916名について、一時避難所として利用していくことにしたところでございます。
 公営住宅で558戸、さらには、こういう青少年教育施設なども加えていきまして、トータルで大体5,000人くらいについては、被災者の皆様方を受け入れることができる態勢が、今の段階では整っているのかなと考えております。

 さらに、こちらの資料にもございますように、単にお住まいを提供するというだけではなくて、暮らし、生活のための当座の資金のご提供でありますとか医療サービスについてのご相談、例えば、透析治療の受け入れ(機関)についてのご相談でありますとか、心のケア、さらには、教育・保育サービスについてのご相談を受けること。例えば、小中学校、高等学校への転入支援とかのサービスでありますとか、介護・福祉サービスの利用支援でありますとか、就労支援というようなことに至るまで、できるだけ幅広いかたちで、被災地の皆様方の受け入れにあたって、いろいろなかたちでのバックアップ、サポートができるような態勢というのを整えたところでございます。

 現段階までで、6戸、29名の方が県内においでいただいているところでございますが、お問い合わせだけですと、既に50件くらいお問い合わせがあったそうでございます。
 被災地の皆様方は、大変ご苦労しておられるところでございまして、こういうかたちで出来る限り本県においでいただいて、少しでも生活のサポートをさせていただければと考えておる次第です。


観光への影響と対策

(水谷:時事通信記者)
 地震の影響で、桂浜の土佐勤王党再結成の延期、それから、「どろめ祭り」も中止となるなど、観光行事自粛の動きが広がっています。今年は、「龍馬ふるさと博」も始まって、引き続き、観光客誘致に力を入れるということでしたけども、難しい年になると思われます。県観光への影響と対策をどうお考えですか。

(知事)
 やはり、大きな影響が生じていますし、今後も影響はあるだろうというふうに言わざるを得ないだろうと考えているところです。やはり、これだけの大災害が起こったわけですから、影響があると言わざるを得ないと考えておるところです。
 ただ、これによって、例えば、高知県の経済にマイナスの影響が及んでくることについて、当然そのまま放置しておくということにはならないと考えているところでして、被災者の皆様方のお気持ちにも配慮をしつつ、本県の観光をどのように立て直していくのか、戦略の再構築を図っていきたいと考えているところです。
 そういうこともございまして、昨日、3月24日には、産業振興推進本部会議を開催しまして、観光に限ったことではありませんが、観光も含めて、今回の大震災が本県経済にどのような影響をもたらしてくるのか、影響の把握と、そして、対策の検討を始めるべしということを申し合わせて、検討作業を始めたところでございます。

 加えまして、今後4月4日には、平成23年度の第1回産業振興推進本部会議を開催することになりますけれども、こちらにおいて把握した状況にあわせて今後の対策、例えば、産業振興計画の実行においての優先手順の見直しでありますとか、場合によっては計画自体の見直しが必要になる部分もあるかもしれませんが、そういう対策を取っていこうということを、これからしていくわけです。

 特に観光面について言えば、戦略。いろいろ再構築をしていかなければならない。リスケジュール[スケジュールを組み直すこと]もありますでしょう。戦略そのものをもう一度再構築しないといけないという、リビルド[再構築]というものもあるんだろうというふうに考えているところでございます。第1回の産業振興推進本部会議のあと、恐らく4月の中旬ぐらいになるかと思いますが、龍馬ふるさと博推進協議会を開催しまして、今後の対応について検討するということになろうかと考えているところです。
 やはり、大きな影響はあると言わざるを得ないというふうに思っていますけれども、そういう中で、出来る限り県内経済に及ぶダメージを出来る限り小さくしていくということ、これに被災者の方々のお気持ちにも配慮しながら対応を講じていかなくてはならない。そのためのキックオフの会合を、昨日行ったということです。


南海地震対策の見直し

(水谷:時事通信記者)
 3問目に移ります。
 南海地震対策について。今回(の東北地方太平洋沖地震は)、マグニチュード9.0と大きなもので、津波も10メートル以上きたと言われています。その被災地の津波による惨状をですね、高知の将来と重ねて思いやった人も恐らく多いと思います。
 今回の地震を教訓として、南海地震対策の見直しの必要もあると思います。どのような手順で進めるんでしょうか。

(知事)
 南海地震のいろいろな対策は、「高知県南海地震対策行動計画」の111項目に従って、準備を進めてきたところなんですけれども、今回の東北地方太平洋沖地震及び津波を受けまして、もう一度改めてその対策について再検証していくということが必要と考えているところです。
 現段階までの対策につきましても、想定される最大限の被害というのを想定して、いわゆる(東海・東南海・南海の)三連動による発生ということなども視野に入れていきながら対策を講じてきたところでございますので、相当程度の本格対策になっているといいますかね、そもそも、かなり甚大な被害を想定した対策になっているのは間違いのないところでございますが、改めて、今回の東北地方太平洋沖地震及び津波を受けて、それでもなお、この対策が十分なのかどうかということについて、再検証を行っていきたいと考えているところです。
 そういうことで、一昨日になりますけれども、南海地震対策推進本部会議を開催しまして、この再検証のためのプロジェクトチームを発足させました。こちらのプロジェクトチームにおいて、これから3段階にわたって、再検証を行っていくことになると考えています。

 第一段階は、今回の東北地方太平洋沖地震とか津波について、被災地にもお伺いをさせていただいたり、さらには、日本全国のいろんな専門家の方々のご意見も伺ったりしながら、今回の地震というものを本格的に検証していくということが第一段階ということになります。
 そして、第二段階で、県として、特にプロジェクトチームの中で、南海地震対策行動計画について見直す必要があるかどうか。見直すべきものは、このように見直そうということについてプランを作っていくことになります。
 そして、第三段階で、その見直した案について、県民の皆様、さらには県内外のいろいろな専門家の方々にご意見を聴いて、その見直し案を確定していく。こういう作業をですね、大仕事になりますが、これから行っていきたいと考えているところです。

 国でも、平成23年度に、東海・東南海・南海の三連動発生に基づいた被害想定などについて研究を進めるとか、いろいろな動きをしようとしていたところでありますけれども、今回の(震災対応の)動きを受けて、いろんな見直しなどが行われていくのではないかと考えておるところです。
 県としても、このプロジェクトチームで真っ先に取り組みを進めていきますが、あわせまして、こういう国とかの動きなども、しっかり勉強していきながら、私たちからも積極的にいろんな提言をしなければならんと思っているんです。こういうことも行っていきながら、対策の充実というのを図っていきたいと考えているところです。

 ちなみに、こういうかたちで再検証作業を行っていきますが、あわせて、このプロジェクトチームに優先順位チームというのを設けることとしております。これは、どういうことかというと、再検証していく中においても、特に、これは優先順位が高く、すぐに対策を講ずる必要があるなというものについては、再検証の作業中であっても、随時実行していくと。何を随時実行していくべきかというのを判断して、実際に執行していくために、優先順位チームというのを設けることとしておるところです。
 例えば、住民の皆様方に改めて津波の避難経路というのを確認していただく。このことを、市町村を通じて徹底していこうとかいうことは、すぐにでもやらなければならないことではと思っているところでございまして、また、そういうことをやる中で、地に足のついたかたちで、例えば、この避難経路はもう一段見直したほうがいいんじゃないかとか。
 去年の12月補正予算から、津波避難タワーとかを県内各地に設置をしようという取り組みを、まさに進めていたところですけども、ああいうものについて、ここの地域にもやっぱり要るんじゃないかとかってことが、浮かび上がってくるんじゃないかと思うんですよね。
 最新の科学的知見を取り入れたかたちで、南海地震対策をもう一度再検証する作業を、本格的な検証というのをしっかりやっていきながらも、その中で随時講じていくべき措置を明らかにして、かつ実行していくための優先順位を明らかにするチームをつくって、優先順位の高いものを随時執行していくという二段構えで取り組みを進めていきたいと考えています。


新図書館の議会審議

(池:高知新聞記者)
 2月議会で、新図書館の設計関連予算が可決されましたが、審議の過程で賛否はいろいろあっていいと思うんですけども、手続きに関してですね、議会側に一定の不満があって、最終日の段階で保留の付帯決議というかたちで、事実上の凍結の決議案というのが出たんですが、与野党関係なく手続きに関しての不満があったんだろうと。今日が閉会だと思うんですけど、高知市議会においても同様の議論があって、岡崎市長からは、審議の時間に窮屈なところが出てきてしまったことに関して、反省の弁のような答弁があったと思います。
 (新図書館の設計関連)予算は通りましたけれども、一連のですね、議論、スケジュール感とか議論の時間の設定の仕方ですね、あるいは手順の順番とか、そういったところに関して反省するべき部分とかですね、そういった思いがあれば、お考えをお聞きしたいんですが。

(知事)
 この県市のそれぞれの図書館の問題というのは、翻れば平成7年から、もうずっと課題になってきたことでございますね。その課題がなかなかいろいろな制約があってずっと進んでこなかった。もう15年になるんでしょうか。15年間、ずっと積年の課題でありました。
 しかしながら、県と市でいろいろと協議を重ねてくる中で、一つ、一つ課題をクリアして、いよいよこの問題について本格的に取り組むことができるようになったという段階。そして、いよいよ前に進めていこうじゃないかということが、本格的に論ずることができるようになったのが、去年の夏ということですね。
 やはり、どうしてもいろんな課題がたくさんある中で、平成7年くらいから協議していても形がつかなかった。10数年全く進まなかった話なわけですよね。それだけ、いろいろな課題がある中で、一個、一個クリアして、去年の夏ぐらいにやっと、こういう道筋でいこうじゃないかという案をつくることができたというわけです。
 その去年の夏から本格的に議論がスタートできるようになった状況から、財源の問題、合併特例債を使うことの制約を考えました時に、いろいろスケジュールを検討してみると、残念ながら、6月議会では間に合わない。あまりにも厳しいタイトなスケジュールになり過ぎてしまうという状況で、何とか2月議会でご審議をいただきたい。要するに、今年の2月議会に基本計画、基本設計についての(予算)議案を提出しないといけないというタイトなスケジュールになってしまったわけです。

 去年の8月の時点で、県市連携会議でこの大きな報告案を出したわけですが、例えばこれがもっと、去年の4月ぐらいにできていればですね、もっともっと早くから時間をかけて議論ができたんじゃないかということをご指摘されれば、もう少し早く方針を決定できなかったかと言われれば、そこの点については反省点があるというふうに思っているところです。
 ただ、現実問題として言えば、平成7年から22年まで15年間かけて議論してきた中で、私たちとしては、一生懸命最大限いろいろな課題のクリアを図るべく全力で取り組みを進めてきたつもりであります。その結果が、私たちとしての方針を定めるのが、去年の8月になってしまったということなんです。

 逆に、去年の8月から今年の2月議会までの、このタイトなスケジュールという中においては、出来る限り丁寧な対応を図るべく、努力を重ねてきたつもりであります。9月議会、12月議会、2月議会と3回の議会にわたって、いろいろご審議をいただいてきたわけでありますし、さらに、12月議会から2月議会までの間に、2回にわたって総務委員会も開催され、ご審議をいただいてきたこと。
 また、検討委員会においても、多様な方々にメンバーに入っていただいて、毎回3時間を超えるような審議を全部で7回開催して、ご議論をいただいているということです。
 例えば、議会の審議日数。これは大学改革の時の審議日数も超えるかたちでの審議時間も確保されて、議論もされてきていることかと思っていますし、それからまた、特に、手続きについて言われる話で、例えば、パブリックコメントをかけている最中に議案を提出するのは、いかがなものかというお話でございますが、ただ、これは、ご存知と思いますけど、このパブリックコメントは2回目のパブリックコメントなんですよね。9月の段階で1回パブリックコメントというのをやって、多くの方のご意見をお伺いし、さらに加えてフォーラムを実施し、その結果を受けて予算を提出することについて判断をしたわけですが、それに加えて、2回目のパブリックコメントがあったということ。そういう意味では、多くの皆様方のご意見をお伺いする3回目の機会についての話ということになります。
 しかも、その2回目のパブリックコメントについても、何とか議会の審議中に間に合うようにということで、中間報告決定する前の案の段階からパブリックコメントを始めて、議会審議中に、そのパブリックコメントの結果を取りまとめ、そして、それに対する対応案を委員会に提出させていただくという対応をさせていただいたところでございます。要するに、8月に県市連携会議で方向が定まって、何とか2月議会でご議論を賜りたいというスケジュールの大幅な制約の中において、出来る限り丁寧な対応をさせていただくという努力をしてきたつもりでございます。
 ただ、いずれにしましても今回、さっきご指摘の付帯決議については否決されましたけれども、総務委員会の委員長報告において、予算の執行について、基本設計に関する予算は、基本計画を総務委員会に報告し、理解を得たうえで執行するようというふうにご指摘をいただいておるところでございます。今後はこのご指摘に従ってきちんと対応していくということが重要かなと考えております。


高知県地産外商公社の態勢

(池:高知新聞記者)
 人事異動に関して、個別の案件で恐縮なんですけど、今日、午前中に地産外商公社の理事会がありましたが、代表理事が替わられて、今度、中澤産業振興推進部副部長が代表理事になられることが決まりました。現状で、現場の皆さんが苦労されているのはよくわかるんですが、公社の発足から大体1年8ヶ月で、「まるごと高知」のオープンからいうとまだ8ヶ月ですよね。その段階でその代表理事が変わることと、加えて事務局長と外商課長ですか、そちらの方も替わられる。この辺り、何か人事の面、あるいは運営の面で何か課題があったのかどうか、その辺りの知事の(考えを)、それと加えて今回の人事の狙いもあわせてお聞かせください。

(知事)
 何か問題があったというよりも、一つの区切りの時期が来たということではないのかなというふうに思わさせていただいておるんですけども。
 地産外商公社の発足に向けた本格的な準備を始めてから、今年の4月で、約2年が経つことになります。数ヶ月経って地産外商公社の立ち上げが、一昨年の8月ということになります。それから、「まるごと高知」を立ち上げたのが、去年の8月ということになります。
 それから、ずっと運営してきて、今年の今に至っているという状況ですが、今までの段階について言えば、如何にして公社というのを立ち上げて、さらには、東京の拠点である、「まるごと高知」というのをしっかり確立していくという立ち上げの時期であったのかなというふうに考えています。
 この立ち上げの時期において何が重要だったかというと、いろんな公社の取り組み、商品計画機構の時のいろいろな状況というものも踏まえていきながら、いろんな関係の方々と、いかに協働の態勢をとっていけるか。例えば、公社と県内のいろんな流通・物流機関の皆さん、関係の皆さん方との連携態勢、いろんな方を巻き込んだ態勢づくりができるかというのが、非常に大きな課題ではなかったかなというふうに考えているところでして、そういう点において、今のメンバーの方々は大変ご尽力をいただいたというふうに考えているところです。

 この4月からの時期について言えば、一番大切なことは、実際にこういうふうにつくりあげた態勢をフル回転させて地産外商のための、いわゆるビジネスのいろんな活動というのを、もっと、もっと加速していくということが重要になってくるのかなと。いわゆる立ち上げの時期から本格的にビジネスに踏み出していく時期というふうに、ちょっとステージが変わるのではないのかなと考えさせていただいているところです。
 立ち上げの時期は、いろんな方々との関係を築き上げていく、どちらかというと重厚な対応というのが重要な時期だったかなと思いますが、これからは、そのできた器をフル回転させていく時。今度は、新しいメンバーで、若い活力でもって取り組み、フル回転させてもらいたいなと考えているところでございまして、そういう意味においては、大幅に若返りということになりますが、新しい中澤代表理事の若さと行動力に期待をしたいなと考えているところですけれどもね。


まるごと高知の戦略見直し

(池:高知新聞記者)
 「まるごと高知」、震災以降ですね、物販も飲食もなかなか計画停電の影響なんかもあると思いますけど、売上が半減あるいは4分の1ということらしいんですが、本県の首都圏における拠点としてですね、先ほども産業振興計画の見直し云々の話もあると思いますが、アンテナショップにおいて、震災を受けての戦略の練り直しですね、何か知事の中でアイディアとかありましたら、お聞かせいただきたいと思います。

(知事)
 新しいスタッフの皆さんに、ちょっと1回、お話を伺ってみたいと思っているんですが、ただ、近日の状況からして言わせていただければ、まず、物販については、計画停電とか、帰宅困難とかという状況がある中で、店舗を早く閉めていたということが、まずありますね、
 それから、飲食についても同じでありまして、開店している時間を短くしていたということの影響。さらにもっと言えば、自粛ムードの中で、2階の「おきゃく」で、たくさん行われていた宴会が一斉になくなっていったということ。そういうことの影響によって、物販にしても「おきゃく」にしても、その売上が大幅に落ちているという状況です。

 これは別に高知県のアンテナショップに限らず、東京のいろんな飲食店とか量販店が同じ状況というか、もっと厳しい状況に置かれているところもたくさんあるのではないのかなと。実際問題として、今、銀座は非常に閑散としているとか言われたりしていますから。
 逆に、私が現地のスタッフから秘書官経由で聞いている情報によりますと、いわば、こういう厳しい状況の中でよく開けてくれていると。例えば、昨日なんかも、お水が大変沢山売れたそうですね。それから、置いている野菜が非常に売れているということもあるんだそうでございまして、全体として営業時間も短くしているというような状況の中で、ある意味、社会的責任というものも果たしながら、スタッフの皆さんも、厳しい状況の中で頑張ってくれているんじゃないかと。これが今の現状だというふうに思っています。

 ご指摘のとおり、今後の地産外商活動というのを考えました時に、日本全体が非常に厳しい状況に置かれているということが影響しないかと言われれば、それは当然影響するんだというふうに思います。影響しないなんてことはあるわけがないのであって、そんな楽観的なことは当然言えないというふうに思っています。これだけの大規模な災害ですし。また、特に関東については、そういう影響を受けるということは当然あるんだろうというふうに考えているところです。
 地産外商活動というのは、究極的に考えていけば、人間の信頼関係のネットワークだというふうに思っているところでありまして、例えば、地産外商公社といろんな仲立ちで、県外にあります量販店さんとか、デパートの方とか、レストランの方とか、こういうところの方々に、どんどん、どんどん売り込みの機会を拡大してきた。これはすなわち、人的な信頼関係のネットワークというのを、どんどん、どんどん大きくしてきたということではないのかなと思っています。
 それぞれについて、それぞれ震災の影響を受けて、例えば、取扱量とかそういうのが小さくなるということもあるかもしれません。あるかもしれませんが、一旦築いたこの人的なネットワーク、信頼関係というのは、こういう時こそ大事にして、しっかりと人間関係の絆というのを、もっと、もっと深めていくということが重要な時期ではないのかなというふうに思っております。

 そういう意味では、量的な成績というのを、ちょっとしばらく我慢しなければならんというか、あげられない状況がしばらく続いてしまうかもしれません。これはやむを得ないのではないでしょうか。
 ただ、その分、逆に言うと、ネットワークづくりということについては、しっかり励んでいくということ。そういう時期なのかなと考えさせていただいています。
 いずれにしても、新しい代表理事さんとも、よくよく相談もさせていただきながら、スタッフの皆さんとも相談をさせていただきながら取り組みをしていきたいと思っています。

 それとですね、この大震災と関係なく、もう一段、さっき言われたことに加えて、今回、取り組みの強化を図りたいと思っていることがあります。それは、東京事務所です。東京事務所は、基本的に対霞ヶ関の拠点として、いわゆる政策提言をしていくための拠点としての役割が非常に大きかったわけでございます。
 正直なところ、去年1年間の地産外商公社の取り組みを見ていますと、例えば、高知県産品フェアとか商談会とか、そういう外商の機会というのが想定したよりもはるかに多く件数が拡大していったことは事実です。
 地産外商公社の取り組みを県庁の地産地消・外商課のほうでバックアップするというのがもともとの仕組みなわけでございますが、(外商の)件数が増えたことを踏まえて、県庁の地産地消・外商課のバックアップの取り組みというのをもう一段強化する必要があるかなというふうに考えたところです。

 そういうことで、今年から東京事務所で地産外商とか観光とかいうものを本格的に実施していくチームというのを設けて、東京の地産外商公社の取り組みというのを東京事務所でバックアップする。県庁の地産地消・外商課が、前方展開するようなイメージでしょうかね。そういう仕組みを設けようとしてきているところです。東京事務所の副所長が、そのチームの事実上の長として外商活動とか観光振興の役割を果たすということです。
 ですから、東京事務所と地産外商公社がそれぞれの役割分担の中で、より連携して取り組みを進めていくことで、外商活動をより活発にしようと意図しておったところです。これはそのまま実施してきます。

 いずれにしても、この東北関東大震災の影響というのは、間違いなく受けるでしょう。受けるでしょうが、その中において一体どういうことができるのか。特にこういう時期においてもできることが、量の拡大よりもネットワークの進化ということじゃないかと思っていますが、そういうできることについて、しっかり取り組みを進めていきたいと思います。
 復興が進んでいく時には、真っ先に、外商活動が拡大できるように仕込みというのもしていきたいと思います。


復興予算と本県への影響

(小笠原:高知新聞記者)
 地震関係なんですけれども、ご案内のとおり、国の予算のほうですね、地震によって短期的、中長期的に、それぞれこれから方針が変わってくると、影響を受けてくることがあると思うんですけども、その辺りを国の地方財政対策というような観点から見て、かなり、まだ流動的なところではあると思うんですけれども、先ほど、産業分野のことで、県経済のダメージをなるべく抑えていきたいというようなことをおっしゃってましたけど、国の予算的なものでですね、高知県への影響的なものをどういうふうに、今、見通していて、何かこれからアクション的なものを考えておられるようなところがあれば、お願いします。

(知事)
 まずは、いろいろ補正対応にしても、国の予算対応にしても、被災地の復興に全力をあげていくという姿勢になるというのは、これは当然のことだと思います。高知県としても、この被災地の復興に全面的に協力をしていかなければならんというふうに思っておるところですが、ただ、そういう中においても、本県としても訴えていかなければならないと思っていますのは、まずは被災地の復興に協力をするということですが、その次のステージがやはりくると思うんですよね。応急、復旧、そして復興のステージ。
 さらには、今後の次を見通した対応。例えば、補正予算なんかでも二段構え、三段構えでやっていくと言っていますが、一段目は当然、被災地最優先として、今後、二段目、三段目。さらには、来年、平成24年度の当初予算についてどうするかとかいう話になってきた時に、ぜひ訴えていきたいと思っていますのは、東北関東大震災で多くの方々が被災されましたが、本県も南海地震という非常に大きな脅威に立ち向かって行こうとしている県であるということです。この点を説得的に訴えていかなければならない。対策の促進のために重点的な予算配分がされるような政策提言というのをしっかり心掛けていかなければならないなと考えているところです。

 もともと、人口減少と高齢化が進んでいて、非常に厳しい状況にある県ということを訴えていくことは当然でありますが、それに加えて、南海地震対策の観点から、今後、対策の加速化が求められている県であるということを強く訴えていきたいと考えておるところです。
 実際のところですね、今までの間に、東北関東大震災のことについて、いろいろと検証した中においても、こういう政策提言をしてみたいなと思っていることがいくつもあります。
 毎年、4月から政府に対して、国に対して政策提言活動をしているところなんですけれども、今年も4月に政策提言活動をするつもりで、今、いろいろ検討を進めていますが、その中でちょっと早めにですね、南海地震対策関係の提言というのをしていくようにしたいなと考えているところです。

(小笠原:高知新聞記者)
 大きい流れとして、単純にすごくシンプルに考えると、この復興予算で膨大なお金がかかってくると、当然、影響というか、それに伴ってどこかを削っていかなきゃいけないと。単純に考えるとそんな構図になってくるのかなと思うんですけども、そこで、先ほどの部分というのは、地震関連で言えば、そういう積極的なところが出てこれるのかなと思うんですけれども、その辺で、大きく見て、要するにあっちですごくお金がかかるので、ちょっと他のところは抑えてくださいよというような、そんなトーンも出てこようかなという(ことがあるのでは)。

(知事)
 地域別のことについては、しばらく一定やむを得ない時っていうのは、やはり出てくるんじゃないですか。これだけの大震災ですから、それはある程度仕方のないこと。一定やむを得ないところがある。これは、本県だけじゃなくて、国民全体で痛みを分かち合うということは、あるんだろうと思ってますし、いろいろな先々のショックを見通して、本県もいろいろ財政再建を進めてきているところですから、今、それであたふたするような状況にもないと思っているところです。
 とは言っても、本県も本県でやっていかなければならない、むしろ、今回の大震災を受けてやらなければならない、加速しなければならないものがたくさんあるんだということは、しっかり訴えていって、その分の財源の確保ということに努めていくようにしていきたいと思っています。
 これは、地区別の問題だけじゃなくて、実は、ちょっと分野別でも、この際、しっかり再検討していくべきなのではないのかなというふうに考えておるところです。今、政府がいろいろと取っておられる政策の中でもですね、今回の大震災を受けて、ちょっと優先順位が変わってきたというところもあるんじゃないかなと。この際、本当に大胆に優先順位の見直しというのを進めていくべきじゃないかなと思っておりますね。
 両方じゃないでしょうかね。地域別だけで対応されるのじゃなくて、そういう政策の優先順位の見直しということの中でも、財源の捻出をしていくということも必要じゃないでしょうか。そういうことによって、そもそも重点配分をされるべき県などへの影響を少しでも抑えるということを考えもらいたいなという点も訴えていきたいと思います。

(池:高知新聞記者)
 その件で、関連ですけど、子ども手当、高速無料化、この辺は、やめたらどうかという意見がありますが。

(知事)
 やはり、見直しをせざるを得ない環境にあるんじゃないかなというふうに思っていますけれどね。これだけの復興関係の予算というのが必要になってくる。
 どこまでどう見直すかということについて、今、具体的に、これこれとまでは言えませんけれども、やはり、見直しは一定やむを得ないというところはあるんじゃないのかなと考えていますね。


今回の震災での対応

(亀岡:朝日新聞記者)
 震災関係で。まず、原発の関係なんですけど、福島第一原発で、ああいうかたちになって、東京あたりまで放射能の影響が及んでいるようなことも伝わっていますけど。この原発自体を国の政策、今までのあり方も含めてですね、県としてはどういうふうに今回の、このあり方をどうするべきと思っておられるのかが一点。
 もう一つ違う話としてはですね、実は今回の震災の直後にですね、県の備蓄物資が全て吐き出されたと思うんですけども、全体の中では、やはり三連動とかと言われている中でですね、もちろん向こうはプレートが違うわけで、こちらに連動してくる可能性というのは、あんまりないんじゃないかというふうに専門家も言っておられるわけですけども、ただ、そういうことを見越した時にですね、当然、その時の被災地の方の心情、一般的な考え方としたら、何とか被災地に早めに持って行ってあげたいという思いは、当然だとは思うんですけども、ただ一方で、万が一、こっちのほうで起きた時のことを考えた時にですね、そういう危機管理の観点からいうと、全てを出すということのあり方が良かったのかどうか、そこのところを(お聞かせください)。

(知事)
 ご指摘ごもっともだと思います。
 ちょっと、まず第一点目ですが、原発の関係ですが、やはり、今回の事故をよくよく検証してみるということをしっかりしてもらわなければならないというふうに思いますね。今回の事故をよく検証してもらって、今後の原発政策をどうするかということについてよくよく検討を重ねてもらいたいということを本当に思いますね。
 今の段階で、軽々に結論を出すということは早すぎる段階ではないかと思いますが、何といっても今回の事故は、よく検証してもらいたい。それを踏まえての見直しというのをしっかり行ってもらいたいと考えている、これが第一点についてということになります。

 第二点目についてでありますが、危機管理という観点からいけば、例えば、今回も被災地の支援をしながらも県内での安全の確保ということについては、十分、意を配すべく努力はしたつもりでございます。
 例えば、備蓄物資の件についても、県の備蓄物資を一斉に吐き出したということですが、備蓄物資というのは三段構えになっていて、一段はまず、それぞれの皆さんが備えていただくというのが第一段目なんですが、第二段目に市町村の備蓄物資というのがあって、さらにその市町村の備蓄物資を補っていくための県の備蓄物資という順番になってきているわけですね。
 とにかく、緊急の対策が必要ということで、特に、一番最初に持って行った毛布と水については、何千人の方の命にかかわるということで、とにかく急いで、すぐ出しましたが、それにあたっても、それぞれ県内全体でみれば、一定まだ量があるということと、それともう一つは、急いでいろんな方から集めてくる体制も、11日に発生して、14日には、いろんな窓口も開きましたじゃないですか。
 すると、量としては、県民の皆様の被災地にお送りする物資が、一定滞留するかたちで、いざ県内で起こった時にはそちらも使わせていただく、今度は、県内の支援ということになるわけです。というような物資の動き全体をにらんでの対応だったんじゃないかなと考えているところです。

 例えば、ヘリについても、翌日、すぐにドクターヘリが現地に向かい、防災ヘリについても現地に向かうことにしましたけれども、そうしますと、カメラを積んで回っていた警察のヘリについては、降りて、カメラを下ろして、救急ヘリとして使えるような体制になったのを見極めて、防災ヘリが飛んで行くとかですね、県内では必ず救急体制が全くゼロにならないようにということを配意して、ヘリの派遣なんかについても調整したということでした。
 被災地の支援をしていくということもありますが、あわせて県内の緊急対応についての対応を手薄にすべきではないというご指摘、そのとおりかと思いますが、どうしても、瞬間値、瞬間値で被災地支援を優先した部分もございます。かといって、これによって決定的に問題のある状況に陥ったということにはならなかったんじゃないのかなと。まさにご指摘の点はいろいろ注意しながら対応を進めてきたたつもりでございます。

(亀岡:朝日新聞記者)
 もう一点。これからの話、これからの、知事の言葉で言うとステージということになってくると思うんですけども、今後、復旧から復興に移っていくにあたってですね、例えば、神戸の大震災の時は、仮設住宅が、ほぼ2ヶ月くらい後に大きなものからガンと立ち上がりはじめましたけども、今回は、現地で徐々に、徐々に、小さな高所のところが立ち上がりつつあるようですけれども、そういうものはですね、多分、被災地の中で十分に、高さの関係なんかも含めてですね、確保できるのかどうかという議論が当然出てくると思うんですよ。
 これも広域災害の特徴的なあり方だと思いますけれども、場合によっては全国各地でですね、そういうかたちの対応になっていきかねないということも想定されるんじゃないかと。その時に、県として、そういう仮設住宅なり、そういうかたちのこと自体もですね、対応するような用意があるのかということ。
 さらには、その先のいわゆる、もうちょっと仮設住宅の次のステージへ進めてですね、復興支援住宅も被災地の中で、神戸の場合は基本的には全部つくられましたけれども、今回は東北だけで全部作られるのかどうかというと、なかなか難しい状況もあるんではないか。そうした時に、全国各地でですね、そういうものも場合によってはいろいろ検討される余地があるのではないか。そういうものを含めて、これは国が一義的には考えるところなんだろうとは思いますけども、高知県として、そこの何かお考えがあればお聞きしたい。

(知事)
 まずは、全国でどのようなニーズが出てくるかということについて、全国的なネットワークの中にしっかり入り込んで情報を収集していくということが、非常に重要だと思っていますので、全国知事会の災害対策本部にも、東京事務所から職員を派遣して、十分に連絡調整ができるような態勢をつくっているというのが第一。
 また、東京事務所にもそういうマインドでもって仕事をしてもらうようにということで、今、やってもらっているところでありまして、ニーズを適確に、時々において把握していきたいと思っています。これが第一点です。

 第二点目で、具体的な点についてということですが、ご指摘のとおり、確かに、時々に応じてこの支援のステージというのは、どんどん、どんどん変わっていくと思います。だんだん、緊急対策からより本格的な復興支援に、復旧から復興へというようなことになろうかと思うんですけどね。ステージが変わってくるに従って、いろいろニーズも変わってくるんじゃないのかなというふうに考えておるところです。
 それが、具体的に何になるのかということは、まだ今の段階では、はっきりわかりませんけれども、いずれにしても、復興について、どういうことが、全国では困ることになってしまうかとかいうのを見通した中で、本県としてどういう貢献ができるか、しっかり先を見通した対応というのをしなければならないのかなと考えているところです。

 昨日、産業振興推進本部会議を開いて、二点について話をしました。県に対して二次被害というかたちで悪影響が及んだものへの対策をどうするのかという点が第一点ですが、もう一点、今後、国が復興していくにあたって、その復興の中で、例えば、産業振興計画のこの部分を加速化することで、その復興に対してより貢献ができるようになるんじゃないかとかいう部分についても検討して、場合によっては、ちょっと優先順位を早めて、被災地の皆様方のためになるように努力しなければならんというのも出てくるかもしれない。そういう話もしたところでございます。そういうことの中で、情報を得ながら対応を検討していきたいと思いますね。
 具体的に何をすると言うというのは、今の段階では言えないと思いますけども。今言われたようなマインドというのはもっていきたいと思いますね。


県議会議員選挙

(小笠原:高知新聞記者)
 話題が変わるんですけど、県議会議員選挙ですね、間もなくに迫っておるんですけども、県議会議員選挙を通じて期待すること、こういう議論が繰り広げられればいいなとかですね、こういうものが争点になればいいなとかですね、そういうものがございましたら、お願いできればと思います。

(知事)
 選挙明けの議会でもいろいろご教授賜ることになるかと思うんですが、もともと、いろいろ厳しい状況が県内にあるわけでありまして、例えば、中山間の地域での暮らしの厳しさとか、さらには産業振興に取り組む中での厳しさでありますとか、いろいろな本県の抱える課題があろうかと思います。
 そういうことについて、具体的にどうやって人々の暮らしを守って、そして若い人が定住できるようなまちをつくっていくのか、そういうことについての本当に県勢浮揚に向けたいろいろな具体的な議論というのをぜひ、展開していただきたいなというふうに思います。
 そこで、多くの県民の皆様からいろいろなお声とかお知恵を賜ることになると思うんです。そのお知恵とかお声を、ぜひ、県議会の議論を通じてご教授を賜りたいなというふうに思っておるところです。
 加えて、恐らく今回の大震災を受けていろいろと地域の防災についての議論というのも活発に展開されることになるんじゃないのかなというふうに考えています。今回の大震災を通じてもそうです。それから、選挙を通じてもそうですが、地域、地域での防災意識というのをもう一段高めていくべく、私たち県は、もっと、もっと汗をかかなきゃならんなと思っておるところでございまして、例えば、実際に今回警報が出た時も避難された方の割合というのは、あまり多くなかったということがありますから、選挙戦を通じても双方向で防災について議論をしていただいて、結果として地域の防災意識が高まっていく、また、防災についてのいろいろな具体的な対応についてのお声がいろいろ出てくるようになっていければなと思っているところですけどね。


受け入れた被災者の情報提供(1)

(古川:NHK記者)
 被災者の受け入れ態勢に関連してですね、この場で恐縮なんですが、今、知事の説明でありましたように、トータルで5,000人くらいの受け入れ態勢が整ったというご説明だったと思いますが、そうした中で、公営住宅に受け入れている被災者の方が29名いらっしゃるということなんですが、その方が、どの地域から来られているかということに関する県の情報提供、公開の考え方で、今のところ、どの県というレベルすらおっしゃっていただいていない状況なんですが、その辺はどう(でしょうか)。

(知事)
 県については申し上げます。福島県と宮城県です。

(古川:NHK記者)
 内訳は(どうですか)。

(知事)
 ただ、詳しいことになりますとですね、ご本人のプライバシーの問題もあったりもしますので、福島県と宮城県ということで、個々の個人の情報というのは、公表しないようにさせていただければなというふうに考えていますが、いろいろお話もあります。
 それから、また来られた方にしても、例えば、高知に行く旨を、十分に連絡されていないとか、さらに、入居が決まったこの状況なんかを被災地の関連の方にお伝えしたいというふうに考えている方もいらっしゃるかもしれません。
 ですので、もう一段どういう形で公表させていただくか考えさせていただきたいと思いますが、まだ人数が少ないので、今の段階でうかつに公表すると、個人が特定されてしまって、ご迷惑をおかけするんじゃないかという心配をもっていて、今の段階では、こういう対応をさせていただいているんですけれども。それとあと来られた方の心情にも配慮しなければならないものですから、こういう対応をさせていただいておるんですが、それぞれ、お話に応じて、例えば、ご本人の方にご相談させていただいて、「かまいませんよ。」ということであれば、公表させていただくとかいう対応を取らせていただきたい。今の段階では、丁寧なステップを踏ませていただきたいと思っているんですけどね。

(古川:NHK記者)
 集落単位で受け入れるというようなお話(がありますが)。

(知事)
 集落単位でとかいう話になってくれば、それは当然、非公表というわけにいかないでしょう。現実問題としてね。

(古川:NHK記者)
 そしたら、市町村単位までおっしゃらない、そこが個人情報にあたるとかという(ことですか)。

(知事)
 まだ人数が29名じゃないですか。6戸世帯なので、何市とか言うと、誰々って特定されちゃうんじゃないかという、ちょっと心配もしていたりしてね。


職員人事

(池:高知新聞記者)
 人事の件でもう一点。ご当人がいらっしゃるのでちょっと聞きにくいんですが、中央官僚のお二人(総務部長・土木部長)を極めて異例の4年目ですね。続けて高知県にいてもらうという判断について、どういった評価と狙いがあるのかというお話を。なかなかないことだと思うので、この際聞いておきたいんです。

(知事)
 非常に、大変素晴らしいお仕事をしていただいておりますので、この成果の年、この最後の重要な年というのを、苦楽を共にしていただきたいという観点がまず第一点。
 そしてもう一つ、国のほうの動向、非常に大きくダイナミックに動いているという状況でございます。国に対してしっかりとパイプをきちっと維持していくということが重要かというふうに考えているところでございまして、これから新たにいろんな関係を構築するという局面よりは、今のパイプというのをしっかり維持しかつ発展させていくということのほうが大事だというふうに考えたという側面もございます。
 あとは、いろいろ個々個別に課題として継続している点でありますとか、さらには、ご本人の年齢とか年次まわりとか、そういうことも様々勘案させていただきまして、トータルで勘案して、残っていただくということにさせていただいたということです。

(池:高知新聞記者)
 いつまでもずっといらっしゃるわけにもいかないでしょうから、この1年引っ張った意味というのは、何か改選と関係あるのでしょうか。

(知事)
 選挙云々は私の仕事でしょう。私個人というか、尾﨑及び尾﨑の政務関係の、一生懸命やっていただいている皆様方で乗り切らせていただくことです。
 ですけど、それよりも何よりも産業振興計画にしても、健康長寿県構想にしても、これは皆さんいつも新聞でも書いておられるとおり、まさに成果が求められる時でありますから、新しいステージに向けて、目先を変えて、一から挑戦とかいう時よりも、今までやってきたことをしっかり仕上げていく、逆に言うとラストスパートを図っていく時期だと思いますので、こういう時は、選手交代というよりもですね、前に進んでいってもらったほうがいいんじゃないかという部署もあるということじゃないですか。部署、部署によって、それは全部違うと思っていますけど、けど、総務部とか土木部について言えば、今の体制を維持していただくことが成果を生み出していくにあたっては重要なポイントじゃないかなと思っています。
 なぜ、総務部と土木部がそうなのかと言われれば、さっき申し上げた第二の点というのが非常に大きいと思っていますけどね。


受け入れた被災者の情報提供(2)

(知事)
 公開のあり方については、段々と個々個別に。私たちも報道機関の皆さんに隠すつもりではなくて、あくまでも来られた方への配慮という点(をご理解ください)。

(古川:NHK記者)
 他県では、結構もう、市町村レベルまでいっているのもたくさんあるので。

(知事)
 徐々に徐々に、そこのところは拡大していきます。もう少し待ってもらいたいと思いますけどね。それから、場合によっては、個々個別に相談させていただかなきゃいかんのかなと思っています。

(中村課長補佐)
 それでは、以上をもちまして記者会見を終了します。どうもありがとうございました。

 

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