公開日 2012年06月25日
更新日 2014年03月19日
平成24年6月高知県議会定例会での知事提案説明 (6月22日)
1 国の動向等について
(1)社会保障と税の一体改革について
(2)地方分権改革と出先機関改革への対応
4 南海地震対策の加速化と抜本強化
(1)新たな想定と対策の拡充、加速化
ア 3.31の新想定について
イ 第一弾津波浸水予測
ウ 秋に向けて
エ 揺れ対策
オ 津波からの住民避難対策
カ 保健、医療、福祉の分野における南海地震対策の取り組み
キ 学校等における対策
ク 対策の拡充、加速化などさらなる対策
(総合防災拠点の整備)
(事業者の震災対策の加速化)
(2)南海トラフ特措法制定への働きかけ
(3)その他
(がれきの広域処理への対応について)
(電力需給対策)
(伊方原子力発電所の安全対策)
5 第2期産業振興計画の取り組み状況
(1)新たな取り組みへの対応状況
(2)地産外商の一層の推進
(3)防災関連産業の振興について
(4)観光振興の取り組み
6 第2期日本一の健康長寿県づくりの取り組み状況
(1)保健の分野
(特定健診・がん検診の受診率向上対策)
(2)医療の分野
(医師確保対策)
(看護職員確保対策)
(3)福祉の分野
(ともに支え合う地域づくり)
(発達障害などの子どもの支援体制づくり)
8 教育の充実
(1)高知県教育振興基本計画重点プランの取り組み
(学力向上に向けた取り組み)
(生徒指導等に関する取り組み)
(体力向上に向けた取り組み)
(2)教員の資質・指導力の向上
本日、議員の皆様のご出席をいただき、平成24年6月県議会定例会が開かれますことを厚くお礼申し上げます。
ただ今提案いたしました議案の説明に先立ちまして、当面する県政の主要な課題についてご説明を申し上げ、議員の皆様並びに県民の皆様のご理解とご協力をお願いしたいと思っております。
1 国の動向等について
(1)社会保障と税の一体改革について
現在、国においては、先送りのできない様々な懸案課題の解決に向けて、活発な論議が展開されております。中でも、「社会保障と税の一体改革」の議論につきましては、しっかりとした財源に裏打ちされた持続可能な社会保障制度の再構築を図り、あわせて、その機能強化を図ることが重要だと認識しております。
地方におきましても、医療や介護、あるいは子育て支援などといった社会保障サービスの多くの分野において重要な役割を担いますことから、財源の確保や国と地方の財政負担のあり方を含め、地域の実情を踏まえた制度改正につながるよう積極的に関わっていく必要があるものと考えております。
このため、今後の改革の議論を進めるにあたっては、国会の場などにおいて、十分かつ丁寧な議論を積み重ねていただくとともに、地方に影響を及ぼすような内容につきましては、「国と地方の協議の場」などを活用して、徹底した議論を行うことが望まれます。
(2)地方分権改革と出先機関改革への対応
政府における地方分権改革のこれまでの取り組みにつきましては、地方の自主性、自立性をより高めるという改革の趣旨に沿って、国の政策決定過程に地方の意見を反映させる「国と地方の協議の場」の法制化を実現することに加え、法令による義務付け・枠付けの見直しを図るいわゆる「一括法」を順次成立させるなど、着実な歩みを進めてきたものと評価しております。
しかしながら、国の出先機関改革につきましては、先般、国から示されました法律案を見ますと、地方に移管を行う事務の範囲や、国の関与のあり方などが政令に委任されますとともに、事務の円滑な執行に不可欠となります財源確保の手立てなどについては、具体的な詰めの議論が先送りされる内容となっております。
こうした問題は、地方分権改革の根幹にも関わりますことから、四国知事会としましても、全国知事会や他のブロックの知事会などとも十分な連携を図りながら、引き続き国との協議に関わってまいりたいと考えております。あわせて、市町村との意思の疎通も図りながら、住民の皆様にとりまして、より効果的な行政サービスを提供することが可能となりますよう四国広域連合の設立に向けた取り組みを進めてまいります。
2 「対話と実行行脚」について
県勢浮揚に向けた5つの基本政策に基づく、産業振興計画や日本一の健康長寿県構想などの取り組みも、本格的な実行段階に入ってまいりました。各種の施策がこうした段階にあるからこそ、私自身が、地域地域の状況について、その実態を肌で感じることが大変重要になってまいります。このため、私は、本年度より、各市町村をそれぞれ1日かけてお伺いし、現場における地域の皆様の率直な声を聞かせていただく「対話と実行行脚」の取り組みを始めることといたしました。
室戸市を皮切りにこれまで5つの市町村にお伺いし、多くの住民の皆様から貴重なご意見を賜りながら、地域地域の実情を学ばさせていただいているところです。
こうした中で、中山間対策の抜本強化に向けた集落活動センターや地域の支え合いの力を育むあったかふれあいセンターなどの取り組みには、地域の皆様の強い期待の声をいただく一方で、中山間での生活を脅かす鳥獣被害や地域医療の確保あるいは、地域の後継者となる担い手の不足などといった面での不安感をお聞きいたします。
今後も引き続き、県民の皆様との対話を通じて教えていただいた地域の実情や様々なお知恵を、今後の施策の展開に大いに生かさせていただきたいと考えております。
3 6月補正予算について
今議会では、「南海トラフ超巨大地震対策のさらなる拡充・加速化」、「産業振興計画の推進」の二つの柱に基づき、総額1億1千9百万円余りの補正予算を提案しております。
第一の柱である「南海トラフ超巨大地震対策のさらなる拡充・加速化」に関しては、5月10日の新たな津波浸水予測の公表に伴い、南海地震対策推進本部を中心に、対策を徹底して再点検し、今後取り組むべき課題を改めて整理いたしました。これにより、例えば、避難場所等の見直しや、自主防災組織の活性化等、住民の避難対策をしっかりと行うほか、地域の特性や課題を踏まえ、建物の耐震対策や災害時要援護者支援等を加速化していくこと、また、迅速な初動・応急体制の整備や緊急輸送道路の確保等につきまして引き続き強化していくことの必要性等を再確認したところであります。
これらの課題の多くにつきましては、平成24年度当初予算において、新想定が出ることを踏まえた予算計上を行っておりましたことから、直ちに取り組みを進めております。他方、市町村や地域の津波避難計画の策定・見直しの支援、一般病院の耐震工事への支援の拡充などにつきましては、当初予算の想定よりもさらなる拡充・加速化が必要となりましたことから、所要の予算額を今議会に提案しているところであります。
今後、対策の一層の拡充・加速化に向け、例えば避難方法の選択肢を増やす取り組みの推進や、民活型も含めた事業者の震災対策の加速化などについて、今後の補正予算化も視野に入れてしっかりと準備を進めてまいります。
第二の柱である「産業振興計画の推進」に関しては、高まる設備投資意欲を背景に、企業からの新たなニーズに柔軟に対応していくことにより、県内の設備投資の促進や、企業立地の推進を図ることとして、債務負担行為の補正を提案しております。
4 南海地震対策の加速化と抜本強化
次に、新たな想定を踏まえた南海地震対策についてご説明申し上げます。
(1)新たな想定と対策の拡充、加速化
ア 3.31の新想定について
3月31日に国より、南海トラフの巨大地震による震度分布・津波高に係る想定が公表されました。このたび想定された地震や津波は、発生頻度は極めて低いものの、発生すれば甚大な被害をもたらす最大クラスのものであり、本県では、30市町村で震度7が見込まれたほか、黒潮町と土佐清水市で想定津波高が30メートルを超えるなど、全国でも最も厳しい推計結果が示されました。
これによって、県民の皆様が極度の不安やあきらめ感を抱くことがないよう、3月31日には、私も直ちに緊急の記者会見を行い、県としての今後の対応策を国の公表資料と併せてお示しをしたところであります。その中で従来の想定を上回る事態が発生することも念頭に置いて進めてきたこれまでの取り組みを、さらにバージョンアップしながら加速化していくことなどについてご説明いたしました。
イ 第一弾津波浸水予測
さらに5月10日には、第一弾となる県版の津波浸水予測を公表いたしました。これは、3月末の国の新想定は、海岸線における最大津波高に限った公表であったことから、各地域における津波避難対策を一日でも早く進めていくために必要な情報として、津波による浸水域や浸水深を公表したものであります。公表後すぐに県内市町村の代表の方にお集まりいただき、予測結果と今後の県の対応について説明いたしましたほか、危機管理部の幹部職員が市町村を訪問し、今後の南海地震対策の進め方などに関する意見交換を行いました。市町村の皆様からは、「3月末と比べ、浸水深や浸水域が明らかになったことで、津波避難の具体策を検討していくための判断材料ができた。」などの声をいただいたところであります。
ウ 秋に向けて
今年の秋頃には、総合的な津波避難対策の根幹をなす第二弾の津波浸水予測を公表することとしております。最新の地形データや河川施設などの構造物データを反映して、より精緻な推計を行いますとともに、県民の皆様の的確な避難行動につなげていくため、津波到達時間や過去に襲来した津波の痕跡につきましても、併せて県民の皆様にお示ししたいと考えております。
エ 揺れ対策
県としましては、今後こうした情報に基づき津波からの避難対策を引き続き全速力で進めていくこととしておりますが、津波からいち早く逃げるためにも、まずは最初に襲ってくる強い揺れから身を守ることを徹底していかなければなりません。
そのため、県有施設や住宅の耐震化などこれまで進めてきた揺れ対策に加え、本年度からブロック塀の耐震化についても補助制度を拡充するなどの取り組みを進めております。
オ 津波からの住民避難対策
津波から避難するためのハード整備につきましては、本年度から市町村の実質的な財政負担をゼロにする仕組みを創設したことなどから、津波避難タワーや避難路・避難場所の整備が大幅に加速しております。昨年度は、避難タワー8カ所、避難路・避難場所87カ所の整備でありましたが、本年度は、それぞれ約4倍にあたる33カ所、326カ所の整備が現時点で計画されております。その結果、累計で、避難タワーは52カ所、避難路・避難場所は605カ所の整備がなされる見込みとなっております。
また、河川や海岸の堤防については、発生頻度の高い地震に対して備えることを基本としつつ、最大クラスの津波に対しても避難時間を稼ぎ、減災効果が発揮できるような粘り強い構造として整備してまいります。
他方、ソフト面につきましても対策を加速化させてまいります。第一弾の浸水予測によれば、津波避難対策を進めるための前提となる津波避難計画を108の地域で新たに策定することが必要となりますほか、これまでに策定した計画の見直しが必要な地域も出てきておりますことから、県としましても対応を加速することとしております。あわせて、地域での避難計画の策定や見直し、整備した避難場所への避難訓練の実施などに際しては、本年4月に発足した「こうち防災備えちょき隊」の皆様の力もお借りして、地域の取り組みをしっかりサポートしてまいります。
このような取り組みに加えて、県としましては、あらゆる可能性を排除することなく様々な避難方法を検討し、避難施設の選択肢を増やす取り組みを進めております。
まず、津波避難タワーにつきましては、市町村から整備する際の強度や仕様に関する相談が寄せられているため、設計の前提となる条件や工事費の積算の考え方などについての指針をお示しするための検討を行っております。
また、ある程度の高さまでなら上に逃げることで対応が可能ですが、30メートルを超える津波となると、むしろ地下に逃げる方が高齢者の方などにとって無理なく安全に避難できるのではないか、そうした発想の下、津波避難シェルターについても検討が必要であると考えております。まずは技術的な課題をクリアするため、有識者を交えて検討をしており、10月を目途に概略の設計図や工事費用をお示ししていく予定です。
こうした様々な避難方法の中から、地域の実情に応じて適切な選択をしていただくため、今月11日に「津波避難方法の選択に係るガイドライン等の検討会」を設置したところであり、8月中旬にはガイドラインをお示ししたいと考えております。
また、いわゆる事前復興の観点から、集落をあらかじめ高台に移すための方策についても検討しており、現行制度では集団移転の場合、住民全員の合意形成が必要となっているなど、被災前に移転を行うには課題があるため、要件緩和など必要な制度の変更を国に提言することとしております。
カ 保健、医療、福祉の分野における南海地震対策の取り組み
次に、保健、医療、福祉の分野における南海地震対策の取り組みについてご説明申し上げます。
保健、医療、福祉の分野では、これまで日本一の健康長寿県構想において、救急医療体制の整備や地域の見守り活動の充実など、いざという時に備える取り組みを進めてまいりました。さらに、本年2月の第2期に向けた改訂にあたり、災害時の医療救護体制の強化や、社会福祉施設の地震防災対策などにも全力で取り組むことといたしました。
今回の新想定では、4割近くの入所型の社会福祉施設や、約半数の病院、有床診療所が浸水域に入るなど厳しい状況が確認されたことから、それらに対するさらなる対策が必要となってまいりました。
まず、社会福祉施設につきましては、この3月に、各施設の防災対策の強化を目的とした「高知県社会福祉施設防災対策指針」や、施設ごとの立地条件、建物の耐震性など、様々な観点から自己点検を行っていただくための「安全対策シート」を作成したところです。説明会の開催などによる各施設へのこれらの周知はもちろんのこと、新想定を受け、既に「こうち防災備えちょき隊」の派遣による支援を前倒しで行うなど、各施設の防災対策マニュアル作成を支援しているところであります。
次に、医療機関につきましては、入院患者の安全確保や患者避難の受け皿の一層の拡大、災害発生後の医療救護活動を円滑に実施するためのさらなる支援に取り組むこととしております。
まず、すぐに対応すべき支援として、国庫補助金などを活用した病院の耐震化への支援を強化し、必要な経費を補正予算に計上いたしております。
また、自己点検など今すぐできる取り組みに着手していただくため、地震や浸水に対する一般的な対策のポイントを早急にお示しするとともに、患者の移送など、被害想定の拡大を踏まえて医療機関が取り組むべき災害対応にどのような支援が必要かなどの調査を行うことといたしました。さらに、こうした医療機関の皆様や専門家のご意見なども踏まえ、新たに「医療施設の災害対応指針」を作成し、医療機関の災害対策の加速化を図ってまいります。
今後は、社会福祉施設や医療機関ごとの災害対策の状況を把握した上で必要な支援を検討し、急がれる対策につきましては補正予算等で速やかな対応を図ってまいります。
加えて、国に対しましても、社会福祉施設の浸水域外への移転改築や現地高層化などに対する支援策の創設・拡充や、医療機関の耐震化に関する補助制度の拡充等について、引き続き働きかけてまいります。
キ 学校等における対策
次に、学校等教育の分野における対策についてご説明申し上げます。
学校等につきましては、沿岸19市町村の保育所・幼稚園の51パーセント、公立学校の43パーセント、私立学校の55パーセントが浸水域に含まれることが明らかになりました。
このため、まずは、各学校等の避難場所、避難経路の見直しと防災マニュアルの改訂を本年9月末までに完了させることを目指して積極的に取り組んでまいります。また、ソフト・ハード両面の対策を確認する「学校安全対策チェックリスト」を作成することにより、各学校の状況を把握し、対策が十分でない学校には早急な改善を働きかけてまいります。
さらに、いかなる状況下で地震・津波が発生しても一人の犠牲者も出すことのないよう、防災教育を徹底することが重要であります。このため、緊急地震速報を活用した避難訓練や、生徒一人ひとりが地震や津波の仕組みを理解し主体的に行動する力を付けるための防災学習を、先駆的に県内7校で実施し、その成果を県全体に発信してまいります。加えて、防災教育指針や指導方法等を盛り込んだ「安全教育プログラム」を本年度中に策定し、全教職員に徹底していくことで、より質の高い防災教育を推進してまいります。
ク 対策の拡充、加速化などさらなる対策
こうした地震・津波対策に加えまして、総合防災拠点の整備や民活型も含めた事業者の震災対策の検討などをさらに充実、加速化してまいります。
(総合防災拠点の整備)
総合防災拠点につきましては、5月末に基本構想策定委員会を立ち上げ、まずは、大型ヘリの駐機場や支援物資の保管スペース、情報通信、燃料備蓄など、総合防災拠点として必要な機能を決定した上で、施設の規模や位置、必要な拠点数の検討を行います。これらを踏まえ、8月中旬には中間取りまとめを行い、総合防災拠点の候補地を決定したいと考えております。
(事業者の震災対策の加速化)
事業者の震災対策につきましては、現在、県内事業者の震災対策に関する意向調査を高知市と共同で実施しております。その結果等を踏まえ、地域防災に貢献する設備の整備などに取り組む事業者に対する支援等についても検討を進め、民間活力も生かしながら対策の加速化を図ってまいります。
(2)南海トラフ特措法制定への働きかけ
駿河湾から日向灘沖までの極めて広い範囲を震源域とする超巨大地震への対策を着実に進めていくことは、その地震の規模の大きさからしても、国策の中心に据えられるべき極めて重要な課題であります。このため、これらの地域を包括的にカバーし、強力に対策を進めるための特別措置法を早期に制定することが何よりも重要だと考えております。
この特別措置法には、今回の震災で思い知らされた大津波の脅威を教訓に、事前復興の観点も含む津波・揺れ対策の推進や、そのための財政支援措置の充実、さらには南海トラフ沿い全域での予知観測体制の確立を盛り込むべきであります。こうした考えから、私は、特別措置法の制定が早期に実現するよう国や政党に精力的に働きかけてまいりました。
また、私も委員として参加しております中央防災会議のワーキンググループでは、南海トラフ巨大地震による被害想定や予防、応急、復旧・復興の各対策の方向性、また対策を進めるための法的な枠組みなども検討されております。そうした検討の中で、本県の南海地震対策に対する取り組みや経験を生かしながら、特別措置法の制定の必要性も含めて積極的に提言をしていきたいと考えております。
引き続き9県知事会議、さらには議員の皆様とも連携を強め、この問題に対する全国的な理解と協力を一層深めるための取り組みを進めてまいります。
(3)その他
(がれきの広域処理への対応について)
東日本大震災で発生した災害廃棄物の広域処理につきましては、本県としましても、被災地の復興に向けてできる限りの協力を惜しまないとの強い思いを持っております。
しかしながら、国においては、広域処理が必要となるがれきの量が大幅に減る中で、被災地と既に受け入れ表明を行った自治体とのマッチングを最優先に進めており、本県への受け入れ要請の時期や処理量が明らかになるには、なお相当の時間がかかるものと思われます。また、他県に対する国からの要請が5万トンから18万トンのボリュームであるのに対して、県内施設の処理能力による受け入れ可能量は、数千トンと極めて限られております。
こうしたことから、県としましては、東京事務所などを通じて、早急かつ効果的に被災地に貢献できる支援策の一つとして、がれき処理に係る職員の派遣について、岩手・宮城の両県の意向を確認いたしました。両県からは、職員の不足ががれき処理の大きな障害となっているのが現状であり、高知県の提案は大変ありがたく、是非とも派遣をお願いしたいとのお返事をいただきました。
こうした検討を進めているさなか、全国知事会を通じて、がれき処理も含めた復旧・復興事業に必要となる、約200名相当の職員の追加派遣の要請がありました。
本県では既に、この4月から7名の職員を派遣しており、本県の職員数の規模からすれば、このたびの要請については、3名程度の派遣が目安になりますが、先ほど申し上げました考え方の下、被災県の復旧・復興に向けてできる限りの支援を行うため、8名の職員を追加的に派遣することといたしました。
今後とも、被災県の一日も早い復興に向けて最大限の貢献ができるよう検討を重ねてまいりたいと考えております。
(電力需給対策)
政府は、5月18日、今夏の電力需給対策を決定しました。
この中で、四国電力管内における電力需給見通しにつきましては、電力の供給予備率が0.3パーセントにとどまるという大変厳しい数値が示されました。国からは、最低限必要とされる3パーセントの供給予備率を確保した上で、急激な気温の変化や大型発電所の計画外停止等により電力需給が逼迫する可能性などに備えるため、7パーセント以上の節電に取り組むことが要請されております。本県としましても、県庁自らが、国の示す目標を上回る10パーセントの節電を目標に掲げるとともに、市町村や関係の団体を含め、広く県民の皆様に節電を呼び掛けるなど、県を挙げて取り組むこととしております。
あわせて、県内の中小企業が行う節電を目的とする設備投資を支援するため、本年度創設いたしました低利の「南海地震対策融資」を拡充し、融資の対象に太陽光発電装置の設置や省エネ設備への更新などといった節電設備の導入資金を追加することといたしました。
(伊方原子力発電所の安全対策)
伊方原子力発電所の安全対策につきましては、これまで、万が一重大な事故が起これば、本県もその影響を受けることから、四国電力に対して、危機管理の観点から万全の対策を講じるよう強く申し入れを行ってまいりました。また、今月5日に開催されました四国知事会におきましても、伊方原子力発電所の安全対策に関する緊急アピールを採択したところです。
県民の皆様の安全と安心を確保するため、引き続き、徹底した安全対策を講じるよう四国電力に対し強く求めてまいります。
5 第2期産業振興計画の取り組み状況
(1)新たな取り組みへの対応状況
県経済の活性化を進めるための大きな柱である産業振興計画につきましては、第1期3年間の取り組みを土台として、より高いレベルを目指して、挑戦を続けていくための第2期計画をこの4月からスタートいたしました。
この第2期計画では、今まで以上に官民協働による取り組みを進めますため、成功イメージや目標を県民の皆様と共有させていただくことが重要と考えております。このため、私自身も県内各地に足を運び、産業団体や地域の皆様にお話をさせていただいているところであります。
今後も、県民の皆様との対話を重ね、「地産外商が進み、地域地域で若者が誇りと志を持って働ける高知県」という10年後の成功イメージの共有を図りながら、県勢浮揚に向けた官民協働による取り組みを進めてまいります。
第2期計画では、各産業分野等においても同じように成功イメージや目標を掲げたうえ、これまで実施してきた施策を大幅に拡充し、新たな視点も加えてバージョンアップすることで、若者が志を持って打ち込める魅力ある仕事をつくることに取り組んでまいります。
加えて、より多くの方にこうした産業の実践者としてご活躍いただけますよう、全国一学びの機会が多い県、全国一サポート体制が整った県となることを目指してまいります。
そのための新たな取り組みとして、例えば、「学びの面」では、平成22年度から実施してまいりました「目指せ!弥太郎 商人塾」などのこれまでの取り組みをベースに、県内の産学官が連携してビジネスの基礎から応用・実践力まで、受講者のニーズやレベルに応じて体系的に身につけられる研修プログラムを構築し、「土佐まるごとビジネスアカデミー」としてスタートさせました。
この新たな研修を活用していただくことで、地域や産業を支える人材がさらに幅広く育ち、より多くの成果につながるよう取り組んでまいります。
また、「サポート体制の面」では、一人でも多くの方々に産業振興計画に参加していただき、県の様々なサポートにつなげていけるよう、現在、新たな事業展開に挑戦する民間事業者の取り組みを「土佐の産業おこし参加プラン」として募集しております。これに応募していただいた事業者の方々に、県の支援策など様々な情報をきめ細かくお届けすることでその実践を後押しし、産業振興の取り組みの輪を広げてまいりたいと考えております。
これまで築き上げてきた地産外商の仕組みや各分野の取り組みなどに加え、官民協働を一層進め、実践者の輪を広げるこうした新たな取り組みなどにより、成功イメージの実現や目標の達成に向けて、全力で挑戦してまいります。
次に、各分野における取り組み状況についてご説明申し上げます。
(2)地産外商の一層の推進
地産外商戦略を担う地産外商公社につきましては、県内の事業者の方々との官民協働による精力的な外商活動の展開により、昨年度は、平成22年度の444件を大きく上回る1,327件、金額で申しますと3億4千万円余りの成約に結び付けることができ、これまでの地道な取り組みが実を結びつつあると実感しております。
公社が仲介・あっせんを行った県内事業者の方々へのアンケート調査でも、公社の外商活動に対して、「外商機会の提供や販路開拓・販売拡大に大きく役立っており、今後に大いに期待する」との回答が55社で、全体の34パーセント、「販路開拓や販売拡大につながる事例はまだ少ない又は無いが、今後に期待する」が100社で63パーセントとなっており、合わせて97パーセントの方々が今後の活動に期待を寄せてくださっております。
アンケートによれば、厳しい経済状況の中、回答をいただいた事業者の方々の売上の合計が決算期ごとに増加するとともに、新たに外商に取り組む方々も着実に増加しており、県経済の底上げに一定の手応えも感じているところであります。
これまでの地産外商の成果をさらに進展させるため、今年度から、公社の外商課の体制も強化いたしました。職員一人ひとりが、より多くの事業者の方々の期待に応えられますよう、これまで以上に外商活動をきめ細かくサポートしてまいりますので、事業者の方々にも外商課を大いに活用していただきたいと考えております。
次に、昨年度の「まるごと高知」の店舗での売上は、3億9千万円余りとなりました。震災の影響を受けたことを考慮いたしますと、売上目標をほぼ達成することができたのではないかと思っております。また、地産外商公社においてテレビや雑誌等のメディアに積極的なプロモーションを行った結果、その放映や掲載による広告効果は平成22年度の17億円を上回る23億円余りに上っており、本県及び本県産品を大いにPRできたと考えております。
この4月には、こうした公社の取り組みや機能を生かしながら、外商活動をより効果的に展開するため、産業振興推進本部の下に外商推進本部を立ち上げ、各産業分野の年間のプロモーション計画をしっかりと庁内で共有するとともに、海洋深層水関連商品やユズ、土佐のたたきなど、首都圏を中心に戦略的に売り込もうとする9品目を「戦略品目」として定めました。今後、この9品目の具体的な売り込み方法を策定し、これを関係者間で共有し、効果的な形で販路拡大を図ってまいりたいと考えております。
具体的には、これらの品目について、公社がこれまで培ってきたメディアとの人脈を最大限に活用しつつ、まずは「まるごと高知」の2周年記念のプロモーションに合わせて、ユズや土佐あかうしなどの産地にもスポットを当てながら、ソーシャルメディアなども活用したPRを集中的に展開してまいります。あわせて、関係団体とも連携し、旬の時期を捉え品目を横断的に売り込むキャンペーンプランを策定し、精力的に実践してまいりたいと考えております。
(3)防災関連産業の振興について
防災関連産業の振興につきましては、第一弾として、南海地震対策を進めております市町村及び県内の防災関連企業等の間で製品や技術などの情報共有を進めるとともに、関係者間のマッチングを図るため、4月27日に「防災関連産業交流会」を開催いたしました。
この交流会には、約220人の方々に参加いただき、津波避難タワーなど大規模な施設から、災害用トイレや防災グッズといった身近なものまで、県内34社による63製品の展示が行われました。参加された企業の方からは、「市町村との交流を深めていきたい。」、「他社との交流による技術発展を図りたい。」といった積極的なご意見もいただいたところです。
県としましても、地域地域の防災対策に合ったものづくりが進むよう、企業と市町村とのネットワークづくりに取り組んでまいります。
また、こうした製品の地産地消を進めていくため、より詳細な製品情報を市町村に対して提供するとともに、さらに地産外商にもつなげていくため、県外事務所や産業振興センターの外商支援部と連携し、本年度県内外で開催される7回の展示会等での県内製品のPRをはじめ、販路開拓に向けた情報収集や県外企業への同行訪問などの支援も行ってまいります。
(4)観光振興の取り組み
次に、観光振興の取り組みについてご説明申し上げます。
本県の観光を取り巻く状況は決して楽観できるものではない中、4月からスタートしました観光キャンペーン「リョーマの休日」では、地域への誘客を図る戦略として、季節ごとに県内各地域の魅力をアピールするエリアキャンペーンを実施しております。このエリアキャンペーンの展開に併せて、市町村や観光協会等との連携のもと、地域の観光の担い手となる人材の育成や観光資源の磨き上げを行うことで、県内各地域への周遊をより一層促進してまいります。
また、「リョーマの休日」キャンペーンの一環としまして、何度も高知にお越しいただくリピーターを増やし、県内各地域を周遊していただく仕組みとして「龍馬パスポート」をスタートしております。この「龍馬パスポート」につきましては大変好評で、既に約5千人の方がパスポートを手に県内各地域を訪れていただいております。
このような取り組みを進める中、先のゴールデンウィークにおける主な観光施設の1日あたりの平均入込客数は、昨年より4パーセント減少したものの、博覧会実施前の平成21年と比較いたしますと、22パーセントの増加となりました。
新たな観光資源、観光地に足を運ばれた観光客も増えており、県内全域への広がりも見られております。今後、より多くの観光客の皆様に広く県内を周遊していただくことによって、中山間地域も含めた県内の各地域の賑わいを創出してまいります。
6 第2期日本一の健康長寿県づくりの取り組み状況
次に、日本一の健康長寿県づくりについてご説明申し上げます。
本年2月に改訂いたしました「日本一の健康長寿県構想」におきましては、今後4年間を第2期と位置付け、県民の皆様と共有すべき成功イメージを明確にお示しするなど、大きくバージョンアップして、保健、医療、福祉の取り組みをスタートさせております。
(1)保健の分野
(特定健診・がん検診の受診率向上対策)
まず、保健の分野につきましては、特に全国に比べて高い壮年期の死亡率の改善などを重点的に推進してまいります。
これまで、生活習慣病やがんの早期発見を促す健康診査の受診を呼び掛けてまいりました結果、昨年度の市町村国保の特定健診の受診率は、2月末現在の集計で31.8パーセントになっております。一昨年の受診率と比べますと、4.7ポイント上昇しており、市町村や健康づくり団体の皆様と連携した受診勧奨の取り組みの成果であると考えております。
今後も、こうした取り組みを継続いたしますとともに、本年度からは新たに医療機関においてかかりつけ医からも受診を呼びかけていただくことで、さらに受診率を向上させてまいります。
また、がん検診につきましては、家庭や地域に加え、職場からも受診勧奨に取り組んでいただくよう、本年度から新たに、従業員や家族をがんから守る優良事業所認定制度を設け、取り組む事業所の募集を開始しております。
こうした医療機関や事業主との連携による受診勧奨の強化により受診率の向上を図り、早期発見、早期治療につなげてまいります。
(2)医療の分野
(医師確保対策)
次に医療の分野におきましては、特に医師の確保をはじめとした医療提供体制の整備を重点的に推進いたします。
まず、医師確保の取り組みにつきましては、本年度、県内で採用された1年目の初期臨床研修医が過去最高の50名になり、また、初期臨床研修後に県内医療機関で働く医師の割合も初めて8割を超えるなど、これまでの取り組みの成果が少しずつ見え始めております。
こうした成果をさらに確実なものとしていくために、若手医師の県内定着を促進するための医師養成奨学貸付金による支援など、中長期的な対策を引き続き進めてまいります。あわせて、本年2月に高知県地域医療支援講座を設置した神奈川県の聖マリアンナ医科大学からの医師の招へいなど、即効性のある対策を一層強化することとしております。高知医療再生機構、高知大学や関係団体などとの連携に加え、県外大学の協力も得ながら医師確保対策をさらに推進してまいります。
(看護職員確保対策)
次に、看護職員につきましては、中山間地域や急性期病院での人材の確保対策に取り組むこととしております。
これまでに、中山間地域などでの就業を目指している看護学生に対する奨学金貸付制度の説明会を県内の養成学校8校で実施し、貸付定員を上回る応募をいただきました。
加えて、新たに、結婚や子育てで離職した看護職員が復職するための研修や医療施設とのマッチングを支援するほか、魅力ある職場づくりへの支援として、医療施設が行う看護業務の効率化や勤務環境の改善に向けた取り組みを促進するためにアドバイザーを派遣するなど、きめ細かな活動により、看護職員確保につなげてまいります。
(3)福祉の分野
次に、福祉の分野についてご説明申し上げます。
(ともに支え合う地域づくり)
平成21年度から取り組んでまいりました「あったかふれあいセンター」は、制度の隙間的ニーズへの対応や地域の支え合いの機能強化など、地域にとって必要不可欠な事業として効果を上げてまいりました。
今年度からは、集いの機能に加え地域の実情に応じた生活支援や見守りネットワークなどの機能を付加し、地域福祉の拠点としてさらなる体制強化を図ってまいります。
また、市町村の地域福祉活動の基盤となります「地域福祉アクションプラン」につきましては、平成23年度末に23市町村で策定され、本年度中には、ほとんどの市町村で策定される予定となっております。策定への支援に加え、地域地域で福祉活動が活発となり、コミュニティの再生や支え合いの地域づくりに結びついていくよう、支援を行ってまいります。
(発達障害などの子どもの支援体制づくり)
次に、発達障害のある方への支援につきましては、療育福祉センターの受診者数が増加する一方、県内の専門医師が大幅に不足しており、診断までの待機期間が長期化していることが大きな課題となっております。
このため、本年度、児童精神医学分野の世界的な権威であるギルバーグ博士の指導・協力の下に、「高知ギルバーグ発達神経精神医学センター」を療育福祉センター内に設置し、専門医師の養成に取り組み始めました。
現在、医師や教育関係者十数名が症例検討を含めた研究活動を始めており、先日はギルバーグ博士に来高していただき、直接ご指導をいただいたところであります。
今後も、センターでは発達障害などに対応する専門的な医師の養成に取り組むとともに、障害のある子どもの乳児期から就労に至るまで、医療・福祉・教育が連携した途切れのない支援体制の確立を目指してまいります。
第2期の日本一の健康長寿県構想では、これまで申し上げました施策のほか、各福祉保健所が地域の課題や特徴に対応した事業を行うチャレンジプランや、民生・児童委員や介護職員など地域で活躍していただく人材の育成・確保、さらには南海地震対策や中山間対策の視点を加えた取り組みを進めることとしております。これらにつきましても、多くの関係者の皆様と協働して、全力で取り組んでまいります。
7 中山間対策の推進
次に、中山間対策についてご説明申し上げます。
今月17日、第1号となる集落活動センターが本山町の汗見川地区に開設されました。この集落活動センターでは、体験・交流や加工品づくり、生活支援といった取り組みを中心に活動を展開していくこととなっております。
このほか、土佐町の石原地区をはじめ、梼原町の初瀬地区や松原地区、黒潮町の北郷地区など、10の地域で集落活動センターの今年度中の立ち上げに向けた準備が進められております。
私自身も4月以降、「対話と実行行脚」で地域を回らせていただく中で、集落活動センターに取り組みたいという地域の皆様のお声をいくつもお聞きし、大変心強い思いがしており、今後の取り組みに期待しているところであります。
こうした取り組みを推進していくためには、地域の皆様と共に地域活動に意欲的、精力的に取り組んでいただく人材を確保していくことが大変重要であります。全国からこうした人材を「高知ふるさと応援隊」として募集するため、大阪と東京で市町村との合同説明会を開催するなど、地域を担う人材の確保に向けて取り組んでおります。
今後とも集落の維持・再生に向けまして、地域住民の皆様や市町村の皆様と十分に連携しながら、県といたしましても積極的に支援を行ってまいります。
また、県民の皆様から大変切実なお声をいただいている鳥獣被害対策につきましては、本年度から新たに地域ぐるみで被害防除や鳥獣を集落に寄せ付けない環境整備を行う「野生鳥獣に強い集落づくり」を進めております。既に鳥獣被害の相談や技術指導を行う鳥獣被害対策専門員を県内9つのJAに配置し、重点集落を中心に被害の実態把握などを行っているところです。今後は、特に地域の実態に即した対策の徹底や、地域における人材の育成・確保の取り組みを充実強化し、スピード感を持って進めてまいります。
中山間対策は、あらゆる分野の施策を総動員して取り組むべき総合対策であります。産業振興計画を通じた地域経済の活性化をはじめ、日本一の健康長寿県構想を通じた地域福祉や医療対策の推進、また南海地震対策をはじめとする防災対策、さらには道路などのインフラ整備など、それぞれの施策を総動員していくことで、中山間地域の皆様の生活をしっかりと守り、さらに、中山間地域の新しい価値を創造していく、そのような取り組みを進めてまいります。
8 教育の充実
次に、教育の充実に関する取り組みについてご説明申し上げます。
(1)高知県教育振興基本計画重点プランの取り組み
教育委員会では、本年3月に策定した「高知県教育振興基本計画重点プラン」に基づき、「知」「徳」「体」の三つの分野で、新たな目標の達成に向けて取り組んでいくこととしております。
(学力向上に向けた取り組み)
第一に「知」の分野につきましては、小学校の学力は全国上位に、中学校の学力は全国平均まで引き上げることを目標に取り組むこととしております。
算数・数学シートや国語学習シートなど、これまでの効果的な取り組みを徹底するとともに、新たに小学校5年生及び中学校2年生を対象とした高知県独自の学力定着状況調査を実施し、個々の児童生徒の学力状況を踏まえた指導方法の改善を図るなど、学力向上対策のPDCAサイクルをさらに充実させてまいります。
(生徒指導等に関する取り組み)
第二に「徳」の分野につきましては、児童生徒の自尊感情を育むとともに、社会性、規範意識を高めることとしております。
いじめや不登校などの課題につきましては、各学校で組織的、予防的な指導と支援を推進いたします。また、少年非行をより早い段階から防止するため、小学校において生徒指導担当の教員を位置付けることや組織的な対応力を向上させることを働きかけるとともに、高知県学校・警察連絡制度を全県的な取り組みに拡大し、家庭・学校・警察の密接な連携の下、児童生徒の生活習慣の改善などに向けた支援につなげてまいります。
(体力向上に向けた取り組み)
第三に「体」の分野につきましては、小・中学生の体力、運動能力を全国平均まで引き上げることを目標として取り組むこととしております。
まずは、本年3月に策定した「新・こうちの子ども体力アップアクションプラン」に基づき、教員の指導力向上のための実技講習会などの充実、外部指導者の派遣、各地域における体力向上推進リーダーの養成など、体力向上に向けた取り組みの充実を図ってまいります。
(2)教員の資質・指導力の向上
重点プランに基づくこうした取り組みを着実に推進し、目標の達成につなげるとともに、将来にわたって本県の教育を振興していくためには、教員の資質・指導力の向上を図ることが重要であります。
他方、本県では、今後10年間で全教員の約4割が退職し、急速に世代交代が進んでいく中、小規模な学校が多いことなどから、若年教員を育てるOJTの体制が脆弱であるといった課題があります。
このため、本年度、県内外の有識者や学校関係者の方々による検討委員会を設置し、学校におけるOJTや教育センター等での研修の充実など、組織的、体系的な人材育成のあり方について議論していただいた上で、教育委員会において、教員の資質・指導力の向上を目指した今後10年間の実施構想を策定することとしております。
9 議案
続きまして、今回提案いたしました議案についてご説明申し上げます。
まず予算案は、平成24年度高知県一般会計補正予算の1件です。
このうち一般会計補正予算は、先ほど申し上げました新想定を踏まえた南海トラフ超巨大地震への対応に必要な事業の経費として、1億1千9百万円余りを計上しております。
条例議案は、高知県税条例の一部を改正する条例議案など12件でございます。
その他の議案は、高知県が当事者である和解に関する議案など4件でございます。
報告議案は、平成23年度高知県一般会計補正予算の専決処分報告など2件でございます。
以上をもちまして、議案提出にあたっての私からの説明を終わらせていただきます。
何とぞご審議の上、適切な議決を賜りますようお願い申し上げます。