公開日 2015年04月17日
〔平成27年4月1日(水曜日) 正庁ホール〕
資料1:高知県まち・ひと・しごと創生総合戦略(平成27年度版)の構成[PDF:1MB]
資料2:高知県まち・ひと・しごと創生総合戦略(平成27年度版)の参考資料[PDF:20MB]
平成27年度がこの4月1日から新しい体制の下に始まることとなるわけであります。この27年度におきましても、ぜひ皆さん、共に県政の浮揚に対して取り組みを進めさせていただきたいと思います。またどうぞよろしくお願いを申し上げます。
今日は皆さんにまず、平成27年度版の「高知県まち・ひと・しごと創生総合戦略」について、私からご説明し、その上でぜひこういう形で仕事を一緒にしていただきたいという、いわば訓話めいたお話しをさせていただきたいと考えています。この「高知県まち・ひと・しごと創生総合戦略」は、おおむね県政全般の取り組み内容が含まれていると考えております。ぜひ、全員に共有をしていただきたいという思いで、私から内容を説明したいと思います。また、取り組んでいただくに当たっては、ぜひこういう姿勢で取り組んでいただきたいというものでもあります。
なお、この中には南海トラフ地震対策、さらには教育改革の取り組みは入っていません。それぞれ非常に重要な取組であり、非常に力を入れて取り組んでいかなければならないことは言うまでもありません。しかしながら、時間が限られていますから、今日はこの総合戦略にポイントを絞ってお話しをさせていただきたいと思います。
(高知県まち・ひと・しごと創生総合戦略<平成27年度版>の構成)
まず、「高知県まち・ひと・しごと創生総合戦略<平成27年度版>の構成」の1枚紙を見ていただきたいと思います。これは、3月26日の庁議で決定をしたもので、県としては全国で1番最初に総合戦略として取りまとめたものになります。どうしてこれだけ急いで取りまとめをしたのかというと、1つには、既に大いにこの関係の仕事をしておりましたので取りまとめることができたということがあります。もう1つは、高知県の場合、市町村の皆さんと連携・協調して取り組みを進めていく必要があり、県としてどういう仕事をしようとしているのかについて、真っ先にお示しし、この平成27年度から、市町村の皆さんがそれぞれ総合戦略を作成する際の、参考や土台にしていただきたいと考えたものです。
真ん中の欄、基本目標の1は「地産外商により安定した雇用を創出する」ということ、基本目標の2は「新しい人の流れをつくる」ということであります。
この基本目標1に関連する施策群は、おおむねこの27年度に向けて、半分ぐらいは大幅に新しいものに入れ替わった、第2期高知県産業振興計画バージョン4に当たる部分であります。
そして、基本目標の2、新しい人の流れをつくる部分は、産業振興計画の中の移住促進の取り組みに関わるところだと考えています。
そして、基本目標の3は、「若い世代の結婚・妊娠・出産・子育ての希望をかなえる、女性の活躍の場を拡大する」です。ここは、平成25年度あたりから本格的に強化をしてきました、少子化対策の取り組み、そして女性の活躍促進のための取り組みが盛り込まれたものです。
そして基本目標の4は、「コンパクトな中心部と小さな拠点との連携により人々のくらしを守る」ということです。これは、中山間対策として一様に実施をしてきたものを、この中に盛り込んでいます。
そして、特にこの基本目標の3から4には、長寿県構想による地域地域での高知型福祉の推進や、地域医療の推進などが大きな背景、土台となっているということは言うまでもないと思います。
このような基本目標1、2、3、4を、それぞれの産業振興計画の取り組みや、長寿県構想の取り組み、そして少子化対策や女性の活躍促進の取り組み、さらに中山間対策の取り組み、それぞれに定めてある5W1Hに従って仕事を進めていくことを通じて、最終的に、地産外商が進み、人口減少に伴う負の連鎖を克服し、地域地域で若者が誇りと志を持って働ける高知県になると考えています。
今後、この総合戦略について、四半期ごとにPDCAサイクルで見直しを行い、平成28年度にはより総合的な改定を行って、更に新しいバージョンにしていきたいと考えています。
また、平成27年度の7月か8月ごろに、現在の総合戦略の中にあります人口ビジョンの一部分につきまして少し改定をすることになります。国の定めた要件では、人々の就職希望や、進学希望などのアンケート調査を行ったうえで、人口ビジョンを作ることになっていますので、この部分を踏まえた人口ビジョンをこの総合戦略に加えていきます。
とはいえ、27年度に実施する施策としては、今の総合戦略に掲げてあるものがほぼ100%でありますので、これを平成27年度完成版と捉えて、今年度仕事をしていこうと考えています。
(課題解決先進県を目指した高知県の取り組み)
大きな方向性となります、「高知県まち・ひと・しごと創生総合戦略<平成27年度版>の概要」の4ページをご覧ください。最近よく講演で使っている図ですが、この左側が、高知県がこれまで抱えてきた人口減少の負のスパイラルを図式化したものです。経済規模が縮小していく中で若者が県外に流出し、過疎化・高齢化が同時進行して孤立化が進む。特にそういう状況は中山間地域が顕著になっている。しかし、その中山間地域こそが、実は出生率の高い地域であるがゆえに、少子化が更に加速をしていき、結果として、人口減少が更に進んで、経済規模が更に縮小し、若者の県外流出が続いていく。恐らく平成以降ずっと、こういう負の連鎖、負のスパイラルの状況にあったのが高知県の姿なのだろうと思います。
結果として、皆さんもご存じのように、平成12年から平成22年にかけて全国で景気が回復しても高知だけは全く変わらない。有効求人倍率でも、全国は1.0を超えても高知だけは0.4から0.5で変わらない。業況判断DIも、全国はどんなに上向いても高知だけは全く上向くことができない。そういう非常に厳しい10年間を経験してきた。その背景にはこういうメカニズムがあるのだろうと思っています。
この負の連鎖を、いかにしてとどめ、逆回転に持っていくことができるか。そのためには、従前から申し上げておりますように、負の連鎖の1つ1つの要素・課題に対して「正面からがっぷり四つで向き合っていく」ということが大事なのだと思います。
右側が、真正面から受け止めて対策を推進しようとする部分です。経済規模の縮小という問題に対しては、高知県産業振興計画の推進を図るということで、コンセプトとして「地産外商」を掲げてやってまいりました。これに近年は「移住促進」を追加して取り組みを進めています。
さらに、進学で県外に出ていく若者が非常に多いということを踏まえて、教育の充実を図り、若者の学ぶ場を創設するため、4月1日に新しくスタートした県立大学永国寺キャンパスにおいて、文化学部の入学定員を拡充するとともに、工科大学の経済・マネジメント学群を新たに設置しました。これも単に大学の改革を図るということにとどまるものではなく、この負の連鎖の中で、進学時に若者が出ていくという状況を踏まえて、若者の県内における進学の機会を確保したいという意図を持ったものです。
過疎化・高齢化が同時進行していく中において、高知型福祉の実現を図るため、「あったかふれあいセンター」を中心とした、支え合いのネットワークを作り出していく取り組みを進めていきます。この「あったかふれあいセンター」は、今、サテライトを含め、県内200カ所以上で展開されるようになってきています。
こうした「あったかふれあいセンター」を中心としたネットワーク群に加えて、中山間対策の充実・強化のため、経済的な取り組みを付加した「集落活動センター」の取り組みを展開し、地域地域で若者が経済的に自立できる地域づくりを目指します。今、県内に17カ所あり、平成27年度中に何とかこれを30カ所まで拡大したい。単に数を増やすだけではなくて、それぞれの集落活動センターが経済的な取り組みも自立的に行っていくような体制を含めて、30カ所の整備につなげていきたい。そしてこれをロールモデルとして、平成28年度から最終的な目標であります130カ所に向けて設置数の加速を図っていきたいと考えています。
そして、これらの取り組みを行っていきながら、少子化対策の抜本強化と女性の活躍の場の拡大を図り、出会い・結婚・子育てのライフステージに応じた課題にそれぞれワンストップで対応するという体制を強化して、取り組みを進めています。
これら1つ1つの取り組みは、それぞれ意義があるものですが、全体として、人口減少の負のスパイラルに1つ1つ正面から向き合って、この負のスパイラルを止め、そして逆回転に持っていくための取り組みであり、県政全体がこういう大きな設計図を描いています。
南海トラフ地震対策は言うまでもなく、全ての基本となるものであり、人々の暮らしの安全・安心を守るもので全体を下支えする取り組みですので、県政において非常に大きな柱となるものです。
こういう全体像の下に、5ページの基本目標の1、2、3、4とありますように、まずは基本目標の1として、地産外商の成果を拡大再生産につなげていくための取り組みを進める。そして基本目標の2として、移住促進によって新しい取り組みを行う。そういう新しい何かを地域地域に生み出していく取り組みを進め、基本目標の3にありますように、結婚・妊娠・出産・子育て、ライフステージに応じた支援策を充実させて、少子化に歯止めをかけ、基本目標の4の中山間地域に支え合いと経済活動のネットワークを張り巡らせていく取り組みを進めたいと考えています。
(地産外商により安定した雇用を創出する)
11ページをご覧ください。基本目標の1に関係する全体像である、平成27年度の第2期産業振興計画のバージョン4です。随分進んでまいりました地産外商の取り組みを更に進め、その成果を拡大再生産につなげていく。こういった政策連携でプラスの好循環を生み出していきたいと考えるものです。
地産の強化を図るために、それぞれの一次産業について、新しい技術を導入していくことで生産量を増やし、所得の向上につながるような取り組みを進め、農業であれば、こうち新施設園芸システムの普及や、複合経営体の普及・促進を図る。林業であれば、A材、B材、C材・D材、CLT技術なども活用しながら、余すことなく活用する体制を作っていく。水産業であれば、人工種苗の新たな開発や、さらには、高知家の魚応援の店という形で、多品種少量生産の品物を首都圏に届けていく新しい物流システムにより、漁師の方々の所得の向上を図る。さらには、この一次産業を中心として、関連産業の振興を図っていく。例えば、関連産業の典型である食品加工や、一次産業を振興していくに当たって必要となる資機材など、ものづくりの推進を図り、できる限り県内で必要な品物を県内で作り出していく。ものづくりの地産地消を図り、さらには関係した地域アクションプランの推進を図っていく。少し毛色は違いますが、弱みを逆手に取る取り組みとして、防災関連産業の育成を図る取り組みを進めようとしています。「ものづくり地産地消・外商センター」の一貫したサポートを強化し、紙産業の競争力を更に強化する取り組みを進め、加えて新しく設置します「高知県産学官民連携センター」において持続的なイノベーションのみならず、将来の大きな発展につながるようなイノベーションも新たに生み出していく仕組みを取っています。地産の強化全体に新たな展開を与えうる仕込みを図ったつもりです。
その上で、外商の強化を図る。地産外商公社や、「ものづくり地産地消・外商センター」も、3年前から比べれば飛躍的に外商の成果を大きく上げてくれるようになりました。職員の皆さんの大変な頑張りのお陰だと思っています。この成果を更に全国区に展開し、さらには輸出の拡大につなげていく。観光にしても、300万人観光だったものが400万人観光になりました。しかし、これを更に435万人、500万人へ展開をさせていくためにも、国際観光の推進に新たに踏み出していかなくてはなりません。外商の取り組みを、更に全国区に、そして世界に拡大していくための一群の仕込みを今回の新しい産業振興計画では様々置いています。
そして、この地産外商の取り組みの成果を拡大再生産につなげ、新たな雇用につなげていくための仕込み・仕組みを新しい産業振興計画に盛り込んでいます。典型的なものは、この4月にスタートする「事業承継・人材確保センター」であり、新しい取り組みに新しい人材をマッチングさせていくことで、新しい展開が図れるようにしていくという発想です。収量アップによる所得の向上を、更なる拡大再生産につなげるために、林業学校や、農業担い手育成センターでは、人材育成と就業の支援を行い、新規就農者・就業者の確保を図る。そして、この取り組みと移住促進の取り組みを組み合わせて、外部からの人材も大いに確保していくという構想・構成になっています。
(各分野における展開イメージ)
それぞれの分野においてもこういった形で、地産の強化、外商の強化、そして拡大再生産へという流れを意識しています。例えば12ページは、農業分野における展開イメージです。真ん中にありますピラミッドは、次世代型こうち新施設園芸システムの普及を図っていこうという取り組みであり、オランダと協定を結び、5年間、農業技術センターで高知県に適応するように改良を重ねてきた技術を、いよいよ県内各地に展開していく段階が来ました。これを徹底して普及していくことに加え、中山間農業の複合経営拠点として、こうち型集落営農の取り組みを本格的に展開していくことなどにより、収量を増やす。そして、流通・販売の強化として、園芸連の特産営業部に県職員を新たに派遣し、販売力の強化を図っていく取り組みを進めます。さらに、担い手の確保・育成として、農業担い手育成センターの取り組みに加えて、就農コンシェルジュの配置や、産地提案型の担い手確保対策を推進する取り組みを新たに展開することにしています。こうした一連の持続的な好循環のパスを描くことを意識して、この産業振興計画は出来上がっています。
他の分野の林業、水産業、商工、観光分野、食品分野の加工、地域アクションプランなど、一連がこういった流れになっています。
(「移住促進」による効果=負のスパイラルからの脱却)
次に、22ページの移住促進のための取り組みをご覧ください。移住促進策そのものに加えて、一次産業、中小企業、起業、中山間対策、福祉、それぞれの分野を連携させていきたいと考えています。例えば移住促進策と農業担い手育成センターの連携によって、新たな就農者の確保につなげる。移住促進策と事業承継・人材確保センターの連携によって、新たな起業や、少なくとも事業承継につなげていく。さらには、移住促進策と社会福祉協議会の福祉人材センターとの連携によって、福祉人材の確保につなげる。こういった形で移住促進の取り組みを通じ、新たな担い手を確保し、地産外商の取り組みが、拡大再生産につながっていくような仕組みを、移住促進においても追求しようとしているところです。
(一連の動きをつなげて好循環へ)
23ページのような好循環をぜひ作り出していきたいと思っています。地産外商・観光振興を進めていくことにより、高知のものを買ってくれる人が増えて、高知に来てくれる人が増え、ヘビーリピーター化する。こうして高知を好きになってくれる人が増え、その結果、移住促進につながり、その移住促進で来てくれた人のお陰で新しい人の動きや、新たな展開・事業化が始まって、結果としてコミュニティが活性化し、商品や事業者が更に増え、地産外商が更に進む。こういう地産外商と移住促進とを組み合わせた形での好循環、プラスのスパイラルを、ぜひ作り出していきたいと考えていますし、全体の制度設計はこういう形で仕込まれています。
そして28ページの少子化対策の抜本強化と女性の活躍の場の拡大は、それぞれライフステージに応じた取り組みをする。
そして30ページは、中山間地域の維持・再生に向け、中心部と周辺の集落を、集落活動センターを1つの接続点として結んでいくネットワーク群を中山間地域に作り出していきたいと思っています。集落活動センターは地域の小さな集落群の中心としても、経済の拠点としても機能するものです。こういったネットワークを県内各地に張り巡らせていくことが、中山間対策の取り組みの目標になります。
以上が、この平成27年度からスタートする「高知県まち・ひと・しごと創生総合戦略」です。
もちろん、今申し上げたことで全ての部局がカバーされるわけではありません。しかしながら、それぞれの部局が、それぞれ想像していただければ、この取り組みに大いに関係をしていることが分かっていただけると思っています。ぜひ、平成27年度において、この総合戦略における、大きな県政の見取り図を頭に入れていただき、それぞれ持続的な好循環を作り出すことを意識し、その全体像の中で「自分たちは今どこにいるのか、何をすべきなのか」を考えながら取り組みを進めていただきたいと考えています。先ほど申し上げましたように、地産、外商、拡大再生産の一連の好循環の流れを作り出していくためにも、地産を担当する部局と、外商を担当する部局と、拡大再生産を担当する部局が真に連携・協調して取り組みを進めていかないといけません。地産を担当する部局から蹴り出されたボールが、外商を担当する部局によって世界に向かって蹴り出されて、そしてその成果が今度は拡大再生産という形で3番目の部局に引き継がれていくという、この一群の流れを作り出していかないといけません。これができなければ人口減少の負のスパイラルから脱却することはできません。プラスのスパイラルを生み出せるかどうかは、皆様方同士がどう連携できるかということにかかっていると思います。部局間で連携するために、「全体として、県はこういう大きな見取り図を目指しているんだ」ということを、頭に入れて対応していただければと思います。それぞれの部局が、自分のところの前の工程、そして自分の後の工程を大いに意識して、「自分は誰からボールを受け取って、誰に対してパスを渡していくことになるのか」ということが、非常に重要な点です。ぜひよろしくお願いいたします。
(5つの基本姿勢)
従前より申し上げております、5つの基本姿勢について、改めてお話しをさせていただきます。既に徹底していただいておりますけれども、新任の方もいらっしゃいますので、改めてこの点について申し上げて、私の講話を終わらせていただきたいと思います。
(課題に正面から向き合う)
第一に、課題に正面から向き合うということ。このことを改めて徹底していただきたいと思います。先ほども申し上げたように、人口減少の負のスパイラルに我々は立ち向かっていかないといけません。この人口減少の負のスパイラルに立ち向かうため、1つ1つの根本的な課題に、正面から向き合っていくために大きな制度設計をし、政策の体系づけをしてきたところです。これをさらに細かく見ていけば、それぞれの個々個別の課題があります。すぐ答えが出なくてもいいし、時には失敗することもあるでしょう。それは構いません。そうであったとしても、とにかく課題に向き合わなければならない。「難しい課題だから、課題はないものとみなす」いうのが愚の骨頂です。そうではなく、すぐには答えが出なくてもいいから、まず課題に向き合うということをぜひ徹底していただきたいと思います。
(成果を意識する)
第2として、成果を大いに意識した取り組みを進めていただきたいと考えています。1つ1つの施策について、当然のことながら、単に言い訳のように向き合っていればいい訳ではなく、負のスパイラルを脱却して、県勢浮揚を図っていくために、1つ1つの施策において、確実に成果を出していくということが大事です。先ほども申し上げたように、すぐ成果が出せないものも当然あるでしょう。そして、失敗をしてしまったということもあるでしょう。その上においても、何とか最終的には成果を出そうと必死になって頑張るという姿勢で、今もそうしていただいていますけれども、ぜひ引き続きそういう姿勢で、取り組みを進めていただきたいと思っています。
(市町村政との連携・協調)
第3として、成果をしっかり出していくためにも、市町村との連携・協調を図ることと、官民協働を徹底していくこと。これが極めて大事だと考えています。この総合戦略を、県としては全国で1番最初となる3月26日に庁議決定したこと自体が、市町村との連携・協調、官民協働を図っていこうとすることだと考えています。市町村の皆さんに「これを土台にして、それぞれの市町村の総合戦略を作っていただきたい」という話を、私自身も申し上げてまいりました。ぜひ、その点は徹底してもらいたいと思います。
(全国区の視点を持って常に進化し続ける)
第4として、全国区の視点で取り組みを進めていただきたいと思います。それぞれの部局において、全国の様々な取り組みや、ネットワークの中に身を置くように心掛け、高知県政だけにとどまらず、全国の様々な優れた取り組みを把握したうえで、我々の取り組みを進めていただきたいと思っています。
移住促進の取り組みが非常に象徴的だと私は思っていまして、「ふるさと回帰支援センター」が移住希望地ランキングを出しています。高知県は、3年前が12位。2年前が6位になり、喜んでいたのですが、去年は19位になりました。これが典型的な事象なのだろうと思います。なぜ落ちたのか。1つは、「ふるさと回帰支援センター」と、「まるごと高知」に設けた新しい相談窓口の2つに、票が割れた状態になったので順位が落ちたということもあるでしょう。しかし、恐らく我々はむしろこう考えたほうがいいだろうと思います。それは、地域間競争が激しくなり、移住促進だと一生懸命言っているのは決して我々だけではなくなった。そういった中では、地理的にはるかに有利な、より恵まれた地方の皆さんの勢いが増してきている、そういうことなのだろうと思っています。むしろそう思うべきだと思っています。新しいアンテナショップができるたびに、私もそちらへこっそりお伺いして、いろいろと勉強させていただいてます。昔はなかったような移住促進窓口を各アンテナショップにもどんどん設けるようになってきています。「全国移住促進センターを作ってほしい」と国に訴え、今回それができるようになりました。そのシステムの中には、本県が移住促進において1つの武器としてきた、住居と仕事と趣味が一覧で検索できる「幸せ移住パッケージシステム」とほぼ同じものが盛り込まれます。かくのごとく、これから地域間競争が非常に激しくなってくるだろうと考えています。我々だけが頑張っているというわけではなく、当然ながら他の地方も頑張っているという中において、私たちは常に全国区の視点をもって、進化し続けなければならないと思っています。
(心身の健康)
最後の第5として、ぜひ職員の皆さん、特にここにおいでの皆様には部下職員の皆さんの心身の健康に留意をしていただきたいと考えています。心身の健康があってこそ、良い気持ちで良い仕事ができ、結果として、県勢浮揚につながると考えています。そうは言っても、仕事自体は非常に厳しい中で、どうやって心身の健康を保っていくようにするのか。従前より申し上げておりますが、それぞれの所属において、ぜひ「何を目指して、その目指すことにはどのような意義があるのか」、「それに向けて、どのようなロードマップで仕事をしようとしているのか」、ということをそれぞれの部下職員の皆さんに周知徹底をしていただきたいと思います。「意義深い仕事をしているのだ」と思える、「こうなれば次のステップに向かうことができる、一区切り付く」ということが分かれば、それぞれモチベーションを保つこともできるのではないかと思います。暗中模索の中、「やっていることが世の中の役に立つのかどうかさえも分からない」、そういう状況こそ最もやる気を無くすことになるのではないかと考えています。ぜひ、皆さん、その点を徹底していただきたいと思います。最終的に目指すところは、総合戦略に書いてある姿です。私自身も皆さんにその点を徹底していきたいと思いましたので、本日、皆さんに直接説明させていただきました。もう既にそれぞれの予算編成の過程で確認していると思いますが、この大きな全体像の中で、それぞれの所属として「何をすべきか、何を目指すべきなのか」を、ぜひ、改めて部下職員の皆さんにも周知徹底していただきたいと思います。
(情報の共有)
この5つの基本姿勢に加えて、従前より申し上げておりますが、悪い情報、良くない話ほど、私のところにできるだけ早く上げていただくようにお願いをしたいと思います。副知事でも構いません。良い情報はゆっくりで構いませんから、悪い話ほど、「こういうことで意図してやってきたけれども、実際はこういう関係者と揉めてしまってうまくいってません」とか、「こういう仮説でもってやり始めたんだけれども、うまくいきません。最初に考えていた仮説が間違ってるようです」、そういったことでも構いません。ぜひ、それぞれの所属が、悪い情報ほど上に上がるという組織であってもらいたいと思います。そうであれば、組織は自浄作用を発揮して大きな間違いを犯さないということになると考えています。
そして、官民協働、市町村との連携・協調で仕事をしていくためにも、県民の皆様との対話を引き続き大いに大事にしてもらいたいと考えています。
(おわりに)
平成27年度は、ある意味、非常にやりがいのある年度だと考えています。皆様方がこれまでの間大変なご尽力でもって頑張ってきていただいたお陰で、1つ1つの取り組みについて、より大きな取り組みができるようになってきたと思っています。1つ1つの今までの取り組み・柱を組み合わせて、新しい大きな建物が建てられる時期が来たと考えています。これまでの先人の取り組みの上に立って、県勢浮揚を目指して、真に大きな成果を生み出していける年にしてまいりたいと考えています。ぜひ、県庁職員の皆さん、新年度もどうぞよろしくお願い申し上げます。
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