公開日 2014年05月28日
更新日 2014年07月09日
【相談内容】 (香川県労働委員会)
就職するにあたって、会社から「請負契約書」という文書を渡されました。どういう意味かよく分かりません。普通の会社員との違いはありますか。
【お答え】
労働契約とは、労働者が使用者に対して「働くこと」を約束し、使用者がそれに対して「賃金」を支払うことによって効力が生じます。労働契約が結ばれている場合、その一方の当事者である労働者には、労働基準法、最低賃金法などの労働者保護関係法規が適用されますが、労働契約とは異なる委任契約{※1}(民法第643条・第656条など)や請負契約{※2}(民法第632条)のもとで働く場合には、労働者保護関係法規が適用される労働者とはなりません。
まず、契約の目的の違いを確認します。「労働」は労務に服すること、「委任」は特定の業務の処理、「請負」は仕事の完成を目的とします。
次に、労務提供方法の違いを確認します。「労働契約」では、会社の一般的指揮監督関係に入り、一定の規律に従い「労働者」として労務を提供します。「委任または請負契約」では、一般的指揮監督関係に入らず、「事業主」として独立して仕事を処理・完成させます。
このほかに、使用従属関係の判断基準としては、仕事依頼に対する諾否の自由の有無、業務遂行上の指揮監督制、勤務時間・場所の拘束性、他人への代替性の有無があげられ、労働者性の判断を補強するものとして、機械、器具、経費の負担関係、報酬の額、専属性の有無等があげられます。(昭60.12.19 労働基準法研究会報告)
お尋ねの「請負契約書」が、「労働」を目的とする契約かどうかを会社に再確認する必要があると思われます。会社側から十分に説明を求め、契約内容等を確認し、合意の上で契約することをお勧めします。
{※1}委任者が受任者を信頼し、法律行為などの事務処理を依頼し、受任者が引き受けることにより成立する契約。委任する行為は信頼関係に基づく事務処理であることが必要。
{※2}請負人が仕事を完成することを約束し、注文者が仕事の完成に対して報酬を支払う契約。
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