6−3 持ち帰り残業

公開日 2014年11月05日

【相談内容】 (香川県労働委員会) 


 業務が多忙な時は、就業時間内に仕事を終わらせることができないので、仕事を家に持ち帰って片付けています。残業がしづらい雰囲気で、同僚の先輩たちもそうしているので、仕方ないのかと思いますが、自宅でとはいえ仕事をしているのですから、納得しづらいです。どうしたらよいかアドバイスしてもらえませんか。

 

【お答え】


 労働時間とは、会社の指揮命令下に置かれている時間なので、上司が仕事の持ち帰りを指示していないのに、勝手に持ち帰って家で仕事を行っても労働時間と認められないのが原則です。
 しかし、所定時間内では明らかに終えることができない量の業務を指示された場合や、仕事の持ち帰りが常態化していることを上司が認識している場合には、上司の明示的な指示・命令がなくとも黙示の命令があると判断される可能性があります。このような場合、会社は通常の残業と同様に労基法第36 条に基づく協定(36協定)における時間外労働の上限の基準を超えさせないようにするとともに、時間外・休日労働や深夜労働に対して割増賃金を支払わなければなりません。
 お尋ねの職場については、労働時間や安全衛生管理の観点から問題があると言えるでしょう。これだけにとどまらず、パソコンなど情報機器の普及によって社外で多様な業務を行うことが可能となった半面で、仕事の持ち帰りは、機密情報や個人情報を流出させる危険性を増大させます。

 このようなことから、持ち帰り残業は禁止し、やむを得ない場合は許可制とする方向で、会社が対策をとる必要があると言えます。
 これらを踏まえて、適正な労働条件や職場環境を確保するために、労使間での話し合いの場を持ち、持ち帰り残業の見直しを求めるのが望ましい対応ではないでしょうか。
 話し合いの場を持つことが難しい、または、話し合っても解決は難しいのでないかと思われるような状況でしたら、県労働委員会や国の労働局、労働基準監督署などに御相談ください。

 

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この記事に関するお問い合わせ

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