公開日 2015年03月31日
更新日 2015年03月31日
平成26年度 第2回「対話と実行座談会」
日時:平成27年1月30日(金曜日)18時00分から20時00分まで
場所:プラザ八王子
出席者:香美市内の自主防災組織の関係者6名、防災に取り組む高知工科大学の学生団体の関係者1名
座談会要旨
1.知事あいさつ
2.県の取組について
3.参加者の取組状況について
4.意見交換
5.知事まとめ
開会
(司会)
ただいまから平成26年度第2回対話と実行座談会を開催いたします。
皆様、本日は大変ご多忙の中、この対話と実行座談会においでをいただきまして、ありがとうございます。
本日は自主防災組織の役目について意見交換をさせていただきたいと考えています。この自主防災組織の取組が極めて重要であることは言うまでもないわけですが、阪神・淡路大震災では、助けられた方の95%が自助及び共助により助かったということです。いかに自助・共助の取組の位置づけが大きいかということです。東日本大震災を受け、県内各地さまざまな形で自主防災組織の組織率が上がってきており、東日本大震災の前は64.4%でしたが、現在は91.4%まで向上しています。今後は、それぞれの防災の取組をより実効性のあるものにしていくことが非常に重要なポイントであり、今日は皆様方からいろいろな課題、また、その解決法などにつきましてお知恵を賜り、今後の自主防災組織の振興に向けた取組に活用させていただきたいと考えています。
後ほど、危機管理部長からご説明しますが、南海トラフ地震対策は、全力で進めていく中で新しい局面に入っていく段階に来ていると思います。一つは、特に懸案であった津波対策。これは県内の避難場所1445カ所、そして津波避難タワー115基と建設する目途が立ってまいりました。そして、それぞれ避難路を開いていく仕事も一定前へ進んできているところです。今後さらに対策の幅を広げ、例えば山津波の対策、さらには地震火災の対策、津波火災の対策などの取組を進めていくことが大事だと、そういう局面に来ていると思います。
あともう一つは、例えば、避難所の開設をしていき、その後の人々の生活をつないでいく、いわゆる応急期の対策。こちらについても、より本格化していく時がやってきている。いずれにしても、ポイントとなるのは地域の方々とともに防災対策を進めていくことだと考えています。
今、県庁では危機管理部が防災対策を所管するところですが、南海トラフ地震対策の地域本部を県内5カ所に設け、地域での対応を強化する取組を平成26年度からスタートしました。平成27年度にはさらに拡張していこうということで、新しい地域のあり方についても、現在、予算編成の中で検討を重ねているところです。我々県庁としてどうあるべきなのかいうことについて、お知恵を拝借させていただきたいと考えています。
これから2時間、お付き合い賜りますようよろしくお願いします。
今日は、法光院香美市長さんがお出でいただいています。一言お願いします。
(香美市長)
皆さんこんばんは。ご多用のところ、また夜間にかかる会議にかかわらずご出席いただきまして本当にありがとうございます。
香美市も自主防災組織の仕組みは大変大事だということで進めているところで、現在143組織、組織率は85.4%となっています。今知事のお話からしたら、香美市はまだまだという数字です。まだ組織化をしっかり進めなければならない状況にあります。
県の方で集会所の耐震化事業を進めていただいているところで、香美市も地区の集会所だけでなく、全ての集会所を対象にして取り組もうとしています。ただその際に、自主防災組織をリンクして考え、まだ組織化されていないところについてはぜひ自主防災を立ち上げていただき、耐震化を一緒にやっていただきたいと考えております。
ただ、中山間地域、そして高齢化が顕在し組織化がなかなか進まないというところがあるかと思いますが、絶対諦めないで最後までやっていこうと考えております。お互いに助け合う、お互いに励まし合う、そういうネットワークを築いていき、香美市の皆さんが必ずどこかの防災組織、あるいはネットワークの中に入っていただくという形で、安心安全、そして元気な香美市にしていきたいと思っています。
本日は、各地区の熱心に進めておられます皆様、そして高知工科大学の学生の皆さんもお出でいただいていますので、しっかりと私たちも耳を傾けて取組を進めてまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
(司会)
先ほど、知事の挨拶にもありましたように、南海トラフ地震対策を進めるために、本年度から県内を5つのブロックに分けまして、南海トラフ地震対策推進地域本部を設置して取組を進めています。本日は危機管理部長の野々村から、地域本部の取組を中心としまして、簡単にご紹介させていただきます。
(危機管理部長)
南海トラフ地震の事前対策を有効なものにしていくには、地域での取組を具体的にかつ着実に進めてことが肝心だと思っています。県では市町村や地域の皆様と一緒に、それぞれの地域の実情を踏まえて対策を進めていくため、南海トラフ地震対策推進地域本部を設置しており、今年から、安芸、中央東、中央西、須崎、幡多の5つの地域に合計17名の防災専任の職員を配置しています。当中央東本部は香美市のほか、南国、香南、嶺北地域の計7市町村を地域本部長である地域防災監を含む3名の担当で対応しています。
この地域本部の仕事ですが、大きく分けて2つあります。1つは南海トラフ地震対策を進めること。もう一つは、南海トラフ地震発災時に、地域でちゃんと応急活動ができるような体制を整えること。応急体制の整備に関しては、発災時に県庁には災害対策本部が設置されますので、その支部として、災害情報の収集、大量の支援物資の荷捌き、自衛隊や消防など応急救助機関のベースキャンプ、大型ヘリの離着陸場といった応急活動の拠点の役割を担う総合防災拠点というものを設けていますが、その運営。また、さらには発災時に連絡調整を担う職員を市町村へ派遣し、市町村の災害対応を支援する任務があります。
この役割をしっかり果たしていくためには、土木事務所など県の出先機関の力を結集すること。また、応急救急機関や市町村との地域における連携が非常に重要になります。平時からこれらの関係機関と連携を強化するとともに、訓練を進めていきます。
防災拠点の運営ということに関してですが、地域本部は5つ、防災拠点は全部で8つあります。被災地に近い場所で前方展開型の応急活動を行うと、そのかなめになるのは総合防災拠点です。これは、4カ所の広域拠点と、広域拠点を補完する地域拠点が4カ所、合わせて8カ所を配置しています。当、中央東地域ですと、物資の集配送機能に特化している広域拠点として野市の青少年センター、重傷患者の県外への搬送拠点となる災害時の医療救護活動に特化した地域拠点の高知大学医学部、この2カ所があります。現在、通信機材の整備や非常用発電設備、備蓄倉庫などの整備を行っているところです。今後、この場所を使いながらいろんな訓練をしていきたい。発災時に応急活動がちゃんとできるような訓練をしていきたいと思っています。
もう一つの役割である地域での南海トラフ地震対策を着実に推進していく対策。先ほど知事からもお話がありましたが、南海トラフ地震から命を守る対策というのを最優先で進めています。中央東地域本部は現在、津波からの避難路や、避難場所の安全性の点検を進めているところです。避難場所がかなりありますので、この点検はもうしばらく続くことになると思います。さらに今度は確実に避難するために、夜間や、お年寄りなど要支援者と一緒に避難するなど、訓練の多様化に取り組んでいく予定です。地震の直接の被害から助かった命をつないでいくという取組も来年度から行います。
地震対策、最初から言いますと命を守る対策、次に助かった命をつないでいく対策、さらには生活を立ち上げるという復旧・復興の対策を順次並べています。
まず、命を守る対策。揺れ対策として、地震対応の1丁目1番地である建物の耐震化等を進めていますし、津波対策では逃げる、避難場所を確保していく。火災対策として、市街地での地震火災や津波火災などを検討しています。続きまして、命をつなぐ対策は、先ほど言った防災拠点の整備や避難所対策、ここが非常に重要になってくると思っており、本格的に取り組んでいく予定です。
地域本部でも今年、被災された方が一定期間生活を送る避難場所対策について本格的に取り組んでいこうと思っています。最大クラスの地震が発生した場合、香美市では震度7から6弱、香美市全体で5,000棟を超える建物被害が想定され、さらに多くの地域で電気や水道などのインフラが使えなくなる。そのため、避難生活を送らざるを得なくなる人が8,000人、そのうち避難所で避難生活を送らなければならない方は全市民の2割に相当する約5,000人強に及ぶと想定されています。因みに南国市では2万5,000人、香南市は1万9,000人と想定されており、そういった地域の支援もぜひ香美市にはお願いしたいと思っています。
この多くの避難者を収容するためには、多くの避難所を確保していく必要があります。先ほど市長の方からもございましたが、香美市さんは地域の集会所を全部耐震化し、避難所にしていく取組を進めていただくということです。これは県下で最も進んだ取組です。また、発災当初、市や県の行政は救助、救命にどうしても全力を尽くさなければなりません。それぞれの避難所への支援は、行政側では多くは期待できない状態だと思っています。できるだけ混乱を避けて避難所を立ち上げ運営していくためには、自主防災組織など地域の皆様が中心になっていただくことが必要になってくると思っています。事前に避難所を運営するためのマニュアルを作っておくことが有効な施策だと思っています。
来年度は、中央東本部も市町村と連携して地域の皆様と一緒になり、特に自主防災組織の皆様が中心になっていただきまして、マニュアルづくりに取り組んでいく予定です。
以上、2つの主な役割について説明させていただきましたが、その他、今年8月の台風の話をさせていただきます。8月、管内の大豊町で非常に多くの被害が発生しました。地域本部の職員が役場に泊まり込み、情報収集や避難所への支援物資の調達、県からの人的な支援、もしくは地すべり対策の専門家の派遣などの調整に取り組んでいます。今までは防災訓練への参加などが中心でしたが、先ほど言ったように避難所を運営するマニュアルづくりなど、自主防災組織の皆様を中心とした地域の防災力の向上を目指して、今後どんどん地域の皆様と連携したいと考えています。
本日は地域の中心となり、防災活動に取り組まれていらっしゃいます皆様のご意見をお伺いして、地域本部さらには危機管理部としての取組に反映させていただきたいと考えています。よろしくお願いします。
(司会)
それでは、皆様にそれぞれの取組状況について発表していただいた後、意見交換に入りたいと思います。
最初に秋山さん、よろしくお願いします。
(五王堂防災会)
五王堂防災会の秋山です。五王堂の自主防災組織は平成24年の秋ごろに立ち上げたのですが、私はその時の自治会長をしておりまして、そのまま1年間留任ということで、今は監事をさせていただいております。
自主防災組織を結成するにあたり、地区には五王堂分団という消防団があるので自主防災組織は要らないのではないかという意見が多かった。しかし、東日本の震災があり、消防団は大災害が起こればそちらへ出ていかなければならない。地元には消防団の先輩や女性が残ることになってしまうのではないかという心配があり、やはり自主防災組織を立ち上げたらいいのではないかということで、平成24年に立ち上げることになりました。地震だけでなく、去年、一昨年の台風や大雨になった時の土砂災害の方が地震より怖いなと、私たち山の方で暮らしている人間は思っております。
活動としては防災マップの作成や避難訓練への参加、消防署の隊員の方に来ていただいて救命救急や消火訓練をしています。それを2年続けてやっています。
課題としては、各家の見取り図を作り、どこで寝ているかを調べたいと思っています。それがあると迅速に救助ができるのではないか。独居老人を消防団が訪問した時に、民生委員と一緒に独居老人の方については調べたことがありますが、全体として調べたことがない。個人情報という問題があるので、どこまでできるか分かりませんが、そういうこともやっていきたいなと思っております。
あと、耐震化の促進や家具の固定も全然してないところが多い。自分の命を守ってから自主防災組織の活動ができるので、やっぱり自分の命は自分で守っていかないといけないのではないかと、今思っているところです。
(知事)
どうもありがとうございます。救命救急など、いろいろ活発にやっておられるのですね。
(五王堂防災会)
消防署の職員の方に来ていただいています。
(知事)
おっしゃるとおり、消防団員の皆さんはいざという時に一番大変なところに集中して行くことになる場合がありますからね。どうしても地域のことは、自分たちでと。そういう意味で、地域ごとに自主防災組織は必要だと思います。
家の見取り図を作ろうとした時に、皆さん協力していただけますか。
(五王堂防災会)
この前の白馬村の件もありますので、やっていただけると思います。
(知事)
全国的にものすごく良い例ですね。どうもありがとうございました。
では、和田さんお願いします。
(中屋組防災会)
中屋組防災会の和田です。うちの防災会は平成21年に設立しました。この時の世帯数が26戸、全員で67名でしたが、現在は23戸で55名になっています。平均年齢が66.7歳、子どもは小学生が2人、中学生はいません。高校生が1人。70歳以上の高齢者が22名。独居老人が4名。自主防災会で把握しています。訓練は年に2、3回、地域の一斉清掃の後や、県、市の避難、防災訓練に参加しています。ちなみに私、個人的なことですが防災士の資格を市の補助をもらい、やっています。いろいろ講習会をやり、みんなに参加してもらうように頑張っています。
それと、香美の自主防災組織連絡協議会の副会長もやっています。
(知事)
どうもありがとうございます。66.7歳ですか。本当に全部把握していらっしゃる。
1点質問ですが、防災士の資格を取られていかがでしたか。やってよかった、そういう感じですか。
(中屋組防災会)
昔は消防団員をやっていたので、地域を見ないといけないと思い防災士の資格をとりました。
(知事)
自主防災組織の運営上、非常に有益だと。
(中屋組防災会)
はい。
(知事)
今、その防災組織の中で、防災士の資格を取っている方はどれぐらいいますか。
(中屋組防災会)
多分6組。まだ少ないと思います。
(知事)
だんだん広がっていくといいですね。防災誌(広報誌)をずっと発行しているのですね。ありがとうございます。
では西川さん、お願いします。
(猪野々地区防災会)
猪野々地区防災会副会長の西川と申します。私はこの猪野々地区の出身ではなく、防災の大役を仰せつかりながら、細かく猪野々の状態が分かっていないというのが実情です。
猪野々地区防災会は平成20年10月に発足しました。猪野々の防災会の組織は、小さな集落ごとに10班編制となっています。
今、猪野々防災会は102世帯193名の名簿を作っており、この中に独居老人が40人弱、約20%と、結構多い状況です。この組織を組む時に、先ほど五王堂のお話がありましたが、猪野々にも猪野々分団があります。まさに何事かあるという時には、分団員は消防署の指示命令系統に入り、残るのは年寄りと女性となりますので、分団員を除けた中で役員と委員を決めています。
主な活動としては、発足した翌年に危険箇所を洗い出し、現地調査をしました。それから、21年の9月に県主催の避難訓練を実施し、参加者が105人と参加率もよかったです。23年の10月には炊きだし訓練を、24年には県主催の消防学校の1日防災訓練に女性が3名参加。24年12月に初期消火訓練をしました。これは、5カ年計画で1年に2、3班まとめてやろうということでやりまして、使用する消化器は耐用年数がきているものを使用し、使ったものはそこで詰め替えをする。ただ配置するのではなく、ローテーションを組み、去年で3回目を迎えています。こういう訓練をするという周知徹底を図り、杖をついてでも触れる人には触ってもらおうというぐらいのお願いをして、参加率の向上を図っています。
あと、この防災会では行事をした際の参加率が非常にいいわけですが、それは何かというと、例えば、地元のお祭りでもかなりの参加があり、祭りを盛り上げているという協力心や協調心というものがあると感じる。共助という面では、かなり浸透していると、私個人的には感じています。
今後予想される南海トラフの件に関しては、避難訓練で安否確認を今のところトランシーバーでやっていますが、最終的にはともかく助かった命を延ばす。そういう意味からしても、今後の対応としては、ヘリポートの整備を切に願っています。
我々としましては、避難をした場合には避難所生活というものが当然起こってくるので、その訓練も今後の対応ということになるかと思います。
私事ですが、去年、防災士の講習を受けました。私どもは救急車も入らないという状況に陥った時に我々の手で助かる人を助けようという救急救命法が本当に大事だと、私個人も思っていますし、今後の活動の中に取り入れていきたいと思います。
今後いくら山間部といえども、コミュニティの形成という意味においては、心のきずなが一番大事なものであろうと考えており、老人でも楽しく友愛のある村づくりを目指して、なおかつその中で防災力を高めていくことを、猪野々防災会は願っています。
(知事)
ありがとうございました。日ごろのつながりがそのまま防災対応につながっていくということになるのでしょうね。そこは連続した世界ですよね。南海トラフ地震対策を進めていく、津波避難訓練をやる。これが例えば、地域の日ごろの見守り活動の強化につながるという形になっていければと本当に思っています。先ほど言われた日ごろのつながりの強さは非常に大きくなるでしょうね。ありがとうございました。
1点、独居老人の方が20%いるとおっしゃいましたが、皆さん訓練に参加していますか。
(猪野々地区防災会)
支援者がいないと動けない場合には、訓練の場合には安否確認をしてトランシーバーで連絡しています。実際の場合は、運搬方法を消防学校で習いましたが、毛布を折り畳んで簡単な担架にするか、それとも一輪を加工してストレッチャー代わりにするかなど、検討事項として挙がっています。
(知事)
ありがとうございました。
では、武内さんお願いします。
(橋川野防災会)
橋川野防災会の武内です。橋川野は香北町と土佐山田町との境にある20世帯44名の小さな集落で、年齢構成でも60歳以上が75%と高齢化が進んだ集落です。
まず、防災会ができたきっかけですが、高齢化が進む中でお年寄りは行動範囲が狭く、隣近所同士の関係が希薄になっていると感じていたところ、私が地区長をしていた平成22年に防災会をつくったらどうかという提案があり、防災対策の必要性について話し合いました。災害時にどうしたらいいか分からないでは路頭に迷うので、常日頃から隣近所との連携と協力をして、自分たちで守ろうという意見が出てきたところで、それではつくってみましょうということでつくっています。世話をする人がリードしていけば前に進むのではないかと思いました。
この5年間行ってきた主な防災活動は、夜間などの避難訓練、身近な救急法、被災した人の経験を講演してもらい、炊きだし訓練、話し合いなどをしています。防災訓練を通じて感じたのは、日常生活の中で起こり得る家庭での人工呼吸、止血法、骨折への対応、喉のつまりなど、より身近な救急法を行うことで興味を持ってもらい、意識が少し変わってきた感じがします。また、地区の会は1世帯1人参加としていますが、防災訓練では、普段顔を合わせない高齢者たちも1人のメンバーとして参加していただき、炊きだし訓練など、集落内での交流と親睦を楽しんでいます。訓練当日は、参加者に主体的に活動してもらうような意識の醸成に努めています。
小さな集落なので女性の力なくして防災活動はできないとの考えから、できるだけ男女関係なく訓練をしています。今後は救助、避難所の食糧など近くの防災会との助け合いも含めて交流が大切ではないかと考えています。そして地区内では、災害時に具体的にどういった順番で何をしなければいけないか、具体的な内容を記したA4で4枚程度の資料を作り、みんなでイメージをシェアしています。
内容としては、備蓄必要品ととりあえず集会所へ集合。そこで人々の安全を確認し、救助活動を全員で行いましょう。次に病気、けが人への対応、市の災害対策本部へ状況報告。食料、寝具、物品などの確保、集会所での避難生活のルールづくり、災害用伝言ダイヤルの利用などの内容としています。これを災害訓練の話し合いの時や防災会の総会時に、全体の中で確認しながら防災意識を継続していきたいと考えています。
また、防災活動の効果といたしては、一つは地区内の交流が盛んになってきたこと、2つ目は市の職員さんや消防署の方々が地区内に入り実情を見てもらうことで住民の刺激になっています。地域づくりにも効果があると考えています。
(知事)
ありがとうございます。A4の1枚紙は素晴らしいですね。基本的な型を定めておいて、みんなで共有するわけですね。
(橋川野防災会)
そうです。一つの基本形ですので、災害の場合においては順序も入れ替えます。
(知事)
そうか、それは勉強になります。因みに、防災会をつくりましょうという時に、最初の反応はよくなかったですか。
(橋川野防災会)
何か人ごとのような感じで反応はなかったです。反対意見がないということに乗じて、こちらの方から半ば強制ではないですが防災会をつくることにしました。
(知事)
つくった後の参加はスムーズでしたか。
(橋川野防災会)
そうですね。全員参加してほしいので、訓練の前に2回ほど文書を流しました。とにかく確認しながら高齢の方にも参加していただいて、やっぱり炊きだしが非日常的なことになるので、キャンプをやる延長のような感じで楽しんでやっていただいていた。
(知事)
なるほど。ありがとうございます。
では、松岡さんお願いします。
(宮ノ口防災会)
宮ノ口防災会の松岡です。宮ノ口は少子高齢化、先ほどまでの他の地区と全く同じ様な状況で、私が自治会の会長を務めて今年で9年目。去年までに子どもが生まれたことはないので、人が増えるような状況は全然ありません。そういった中で活動そのものは活発にでき始めたかなと感じています。さくら会というウォーキングの会、体操の会、料理の会などという形で、それぞれやっています。
自治会で6班、防災会で5班あります。それぞれ違う班、組長を決めています。隣近所、3軒から7軒ぐらいの組長をつくり、その組長に活動してもらっている。毎年7月27日頃、私どもの神社の行事(夏祭り)がありますが、そこに関連をつくる形で組長に夏祭りの運営をお願いして参加してもらう。そして、避難訓練を兼ねて参加してもらう。そのような形で、少しでも活発化しようとずっとやってきました。
そういう中での防災会になりますが、今までいろいろ訓練もやってきました。消防の方にも来ていただき、消火訓練や救出訓練などもやりました。その中で炊きだし訓練もやりますし、ほかの訓練も毎年必ず何かをやってきましたが、マンネリに達したかなというところが感じられます。
非常時に必要になる機材、これは各家庭から提供してもらえる機材をそれぞれ抽出して、自治会で管理をしています。今まで補助金をいただきいろんな資機材を買っています。それと、自治会の緊急用の電話、これは固定電話と携帯電話、これを使って各家庭に配り、緊急の時に使える形をとっています。
防災士の資格を、今年2名の方に取っていただきました。1名は班長、もう1名は班の中で防災士の資格を取得していただいた。ちょうど役員の空きが出ていたので、早速役員になっていただいて、これから若い方に移行していくということです。
これからの活動は、倒壊などをハザードマップに落とし込んでいくことをやっていこうと。そして、木造住宅の耐震化、高齢者の家庭には家具の固定管理。これは暫時やればどうかという意見も出ているので、取り組んでいこうと思っています。ただ、やっぱり課題としてはマンネリ化を感じていますので、小さいところを掘り下げて体制を整えたいと思います。
常日頃言っているのは、能動的に強い防災会をつくること。そういう方向でやっていこうと思っています。
(知事)
ありがとうございました。夏祭りに合わせるなど、いろいろと組み合わせてされるということですね。そうして参加者の方の確保をしていくと。本当に防災対応と日常のことをしっかり組み合わせてやっていく。そういうことをされているのですね。
因みに、組長さんは地域分けですか。それとも機能分けですか。
(宮ノ口防災会)
家の集まりですね。
やっぱり、いざとなった時にすぐ対応できますのでね。
(知事)
いざとなったら、それぞれにバラバラでも受け入れるといった感じですね。宮ノ口は広いですからね。なるほど、分かりました。ありがとうございました。
では、西村さんお願いします。
(小島防災会)
小島防災会の西村です。防災会設立時から長をやらせていただていました。
小島防災会は、土佐山田町の明治地区、山田高校から南東にあります。海抜は36メートルです。比較的の農家の多い集落です。当時の土佐山田町からの働きかけで平成17年6月22日に全戸に参加していただき、南海地震、そしてまた大きな災害時には、行政や消防など機能しない恐れがあるし、防災意識を高めて住民の助け、共助で、自分たちの命を自助、地域の自分たちで守ろうと呼びかけをしまして、自主防災組織を設立しました。
組織は会長1名、副会長3名、会計1名、監事2名のもと、災害発生時に迅速な対応を行うため、情報班、消火班、救出・救護班、避難誘導班、炊きだし班の5つの班でそれぞれ6名編成、30名の班員がいます。設立以降も南海地震を想定しまして、各班が訓練を受け持ち、4月には夜間午後8時、そして9月には朝9時と定期的に防災訓練、地域住民との交流などを工夫して、防災意識を高める活動を続けています。夜間に防災訓練をしますので、先やりが分かっていないと夜間ではなかなか指揮が取れないという面から、3年ほど前にスタッフ用の服をつくり、活動しています。
訓練の前、そして終わった時には私が担当して、訓練の内容、反省点、注意事項などを記載した手づくりの小島防災報(広報誌)を作成して全世帯に配布し、参加者の拡大と防災意識の向上にと考え、今までに52号を発行しています。
こうした取組によりまして、去年は毎回70人以上に参加してもらい活動ができています。防災報を通じて、「災害時には一瞬の判断で生死が決まります。こうした訓練を体験することで、身体が自然に覚え、いざという時に役立ちます」と訴えています。訓練の繰り返しがいかに大事かを語り、防災活動への参加をずっと呼びかけてきました。
小島防災会の現在の地域世帯は53戸164名の方で、私たちの地域は津波の心配こそありませんが、一番心配するのは杉田ダムの決壊による浸水です。それと、非常に古い家屋が多いので、倒壊や火災の心配。それを中心にしたこの初期訓練、救出・救護面など、そういったものを各班が取り入れて訓練をしています。
また、非常に少子高齢化が進んでいまして、現在65歳以上の高齢者の方が住民の50%を超えています。10年も防災訓練をしているのに、70人以上の参加者があるというのは皆さん方の防災に対する意識が大変高くなってきているということ。これをマンネリ化せずにどのように活性化していくか、特に防災訓練を含めて子どもたちの参加のためにどのように楽しい訓練にしていくか、そういった点を取り組んでいかなければならないと思っています。
(知事)
どうもありがとうございます。
確かに、設立から10年経っているのに70名から80名も参加されるというのは素晴らしいことですね。それに、訓練内容を変えていろいろ工夫しているでしょうし、また、それから夜間や早朝など、厳しい条件で訓練をされるということ、そこらあたりも刺激があり続けているということになるのでしょうかね。
(小島防災会)
それとやはり、自助と共助。自主防災組織はこれが目的ですので、共助の場合においては、当初は訓練の時に役員が出て発電機を構えたり、テントを張ったり、いろいろやっていましたが、今は参加した方からそういう準備を、自分たちで男性を主体に組み立ててもらうということをやっています。
そして、避難誘導班が災害の発生を知らせていくと同時に、避難確認カードを各世帯へ配り、避難誘導班は避難誘導していた時に門先にカードが張り出されていると、「その家族の方は避難をしました」という確認をしながら、本部の会長まで知らせる。情報班がそれを全部束ねるやり方で、それぞれ5つの班が連携を取りながらやっている。それぞれのスタッフの方々が非常に協力的に、今何をやらないといけないかとやっている。
災害の時点には、役員がどこにいるか分かりません。いつ何時かわからないので、できる方からその指揮が取れるように、そういう組織活動ができるような取組を、訓練で重ねています。
(知事)
素晴らしいですね。本当にそれぞれの人が自主的にやっている。松岡さんのところでもお話がありましたが、それぞれの組が自主的に対応できるようにするための訓練を重ねている。
ちなみに小島防災報が52号、これすごいですね。
(小島防災会)
話題はあちこちから拾っている。市の防災課で情報をもらいながら、県の情報や、ニュースを活用しながら、とにかく防災意識を高めていくために。個人個人が自助として、どうすれば自分の命が助かっていくのか、そんな点を呼び掛けています。
特にお願いしているのは、訓練時に避難袋を持参してもらう。それと同時に、バケツも持ってきてくれています。バケツリレーで初期消火をする。
繰り返しやっていることが、皆さん方が避難する時には自分が何をしないといけないのか。特に初めのうちは避難をする時に、意識付けのために「元栓を閉めましたか、ブレーカーを落としましたか」ということまで確認をしていました。
それが自分を守っていくことにもなるし、最近特に言っているのは、ブレーカーをなぜ落とさないといけないか。通電があった時に、火災が発生しますよと。災害時すぐに火災が発生するというだけではなく、電気が通じた時に火災が発生することもあるから、その辺のこともニュースで知識を受けながら、防災報へ記載してお知らせをしながら防災意識を高めていく。これの繰り返しです。
(知事)
通電火災は、発災対策の最先端で通電ブレーカーを配るか配らないかと議論しているところです。そういうところまで行っているということですね、素晴らしいことです。
それでは鈴田さん、どうぞ。
(高知工科大学KPAD)
高知工科大学防災サークルKPADの鈴田です。私が入学した頃、高知工科大学では防災について学生が中心となって行う団体はありませんでした。そのため、今の2年生が中心になり防災ボランティア団体(KPAD)を立ち上げました。平成25年度に立ち上げて、現在2年目です。
防災意識の向上を目的として掲げていますが、若者にとって、防災はとっつきにくいです。私自身、災害現場を見て初めて防災の重要性を感じて、こういう活動をするようになりました。それが高3の時で、それからいろいろ講演会や勉強会にも行きましたが、難しいとすごく感じました。それならば、まずは楽しく活動することが大事なのではないかと考えました。そこから学生が興味を持ち、防災にかかわる学生を増やして、防災意識の向上、つまり他人事から自分事へ防災を感じるようにしていきたいと、それがKPADの目的です。
また、防災だけではなく、被災地への復興支援等を行っています。今年度は高知県庁の地域福祉部を通して台風被害の支援をさせていただきました。
それでは、実際の活動についてお話します。
今年度は、大きく分けて4つの活動を行いました。
まず1つ目が防災授業です。こどものまち「とさっ子タウン」で、子どもに防災授業をしました。机で勉強を教えるというだけではなく、子どもが一番楽しめるようなことを考え、ヒーローショーや、防災○×クイズを取り入れて、防災授業を行いました。
次に、被災地への支援です。福島県などで放射線による影響に不安を感じている子どもたちに、自然が豊かな高知で元気よく楽しんでもらおうと、香美市の「ほっと平山」に7泊8日ほどの期間で来る「のびのび青空キャンプ」というものがあります。そこにボランティアスタッフとして入っていました。
次に、これはあまり防災、復興支援とは関係ありませんが、KPADには、防災には興味がなくてもボランティア活動をしたいという学生が非常に多くいます。そういったことから防災や復興支援だけではなく、いろいろなボランティアに参加し、人とのかかわり、きずなを増やすことで、より一層、災害時のネットワークにもつながるのではないかと考えて、いろいろなボランティアに参加しています。
次に、大学祭と「おはまる市」では、去年は綿菓子、今年はお汁粉を販売しました。去年は岩手県山田町に義援金をお送りしました。仮設住宅に居づらい、居場所がない男性の方向けの娯楽施設を建設する費用となり、10月に建てられたそうです。今年度は台風11号・12号での被害への義援金としてお送りしています。
今年度の一番大きな活動は防災運動会です。これは大学生、大学の施設管理部や学生支援課、大学事務職員の方々、そして地域住民の方、それぞれが一体となりこのイベントをつくり上げました。特に、KPADが中心となり企画しました。例えば、運動会でよくある障害物競走に防災の要素を取り入れる。それだけでも立派に防災意識が高まると思っています。今年10月に、皆様の協力を得て開催することができました。
このように、「できるだけ楽しく、かつ真剣に」をモットーとして活動しています。
皆様のお話の中にもたくさんあったように、KPADでも防災士の資格を7名程度持っており、さらに今年度取得する予定のメンバーもいて、KPADで15名程度取得する予定となっています。
若い力をぜひ皆さんに頼ってもらえればいいなと思っています。私たち自身、高知のいろいろなところで活動していますが、土佐山田町内でフィールドを作っての活動は今まで1回もしたことがありません。ぜひ皆様と今日、意見交換をして、いろいろな形で連携できればと思っています。ぜひどうかよろしくお願いします。
(知事)
ありがとうございました。鈴田さんをはじめ、サークルの皆さんの活動は高知県にとって頼もしいことですね。
ちなみに、何でKPADというのですか。
(高知工科大学KPAD)
Kは高知工科大(Kochi University)のK、PADがProtection Against Disasters、防災、災害から守るということ。高知を防災から守ろうということで、若者らしく英語にしました。
(知事)
なるほど。今、鈴田さんは何年生ですか。
(高知工科大学KPAD)
2年です。
(知事)
2年生。新規の勧誘をした時の反応はどうですか。
(高知工科大学KPAD)
去年度、10名ほど入ればいいなと考えていましたが、なんと30名以上入ってくれた。やっぱり学生自身、防災に興味はあるのですが、なかなか固いイメージがあり、どういう活動をしたらいいのか分からない。そういった学生が多かったので、できるだけ広報を多くして、入ってもらうようにしました。
(知事)
対外的にいろんな方と関係を持ち取組を進めたいということで、また、それを期待する動きも非常に大きいと思います。その双方の人とお付き合いをする場はありますか。
(高知工科大学KPAD)
そうですね、防災運動会のことを新聞にも書いていただいたので、そこから直接お声をかけていただくことも多い。現在、中土佐や須崎からもお声をかけていただいている。そういったメディアの方々を通してというのはありますが、私たちから直接アプローチする場は全然なかったので、ぜひそういう場をつくれたらと思っています。
(知事)
今日も1つのいい場ですね。
また、いろいろな防災ボランティア団体の皆さん同士のネットワークをつくる仕事、これはまさに県庁として大事な仕事だと思うので、そういったことをいろいろやっていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
(知事)
どうもいろいろとご意見を伺いまして、大変勉強になりました。今日伺ったこと、また、それぞれの皆様の取組をよく学び、これから県内各地に、例えば避難所運営のマニュアルを提示していくなど、そういう段階に来ていますので、大いに活用させていただきたいと考えています。
先ほど南海トラフ地震対策の全体イメージを野々村危機管理部長からご説明を申し上げました。まず、「発災直後の命を守る対策」、その次が「命をつなぐ対策」、いわゆる応急期の対策と言われているものです。そして「生活を立ち上げる」、復旧・復興期の対策ということになります。
この「命をつなぐ対策」までは命に直結する時期であり、何とか27年度末までに一定の目途をつけていき、また4、5年のうちに大体完遂できるように持っていければと対策を進めています。
「命を守る対策」では、特に海側の津波対策が進んできていますので、冒頭に申し上げたように揺れや、市街地火災の対策などに力を入れ始めています。併せて今年度からは、山津波の対策が新規に加わっていくことになります。
「命をつなぐ対策」として、応急期にいろんな支援物資の配達をしっかりできるようにするため、総合防災拠点の整備を進めようとしています。
そして1つ1つの避難所の運営。これは恐らく自主防災組織の皆様にいろんな形で担っていただかなければならない。今、基本マニュアルを作り、お配りをして、それぞれ活かしていただこうということをしています。今日の非常に良い皆様の取組の例を、その中にまた盛り込みながら、使わせていただきたいと思っています。
ここでお伺いしたいのは、医療救護の対策についてです。応急期の対策の中で医療救護の対策は、実は最難関だと私は思っています。L2型の超大型の南海トラフ地震が起こった時の被害想定は死者4万2,000人、負傷者3万6,000人、避難者数が40万人を超えるだろうと想定されているところです。
死者4万2,000人というのは努力次第で相当減らせるし、既に避難路、避難場所などもかなりできてきている。皆さんの意識も大分高まっている中で、相当減らすことはできるだろうと思います。ところがなかなか減らせない、むしろ、死者が減る分増えるかもしれないのがこの負傷者の数です。
よく避難訓練をするとトリアージをする。危ない方はヘリコプターや救急車に乗せ、医療センターや医大まで運ぶという訓練をしますが、あれは小規模災害なら成り立つことです。ところが3万6,000人もの負傷者が出た時に、とてもではないですが、負傷者の方を病院に運ぶということはできない。逆に、医療機能をいかに前方に展開していくかということがポイントになってくるだろう。いわゆる野戦病院的に、いろんな対応を現地でできるようにすることが大事になってくると思います。
ただ、お医者さんの数にも限りがあり、やっぱり限界がある。相当程度、もう住民の皆さん同士で傷のケアをしていただくことが非常に重要になってくるかと思っています。こういうことを言うと怒られますが、現実の問題として、実際地震が起こった時に手を骨折した程度というのはもう軽症として扱わざるを得ない。そういった場合がたくさん出るだろうと思っていまして、足を寸断して大量出血が止まらない方などへのケアを最優先していくことになります。
訓練の中でAEDの対応や骨折に対してケアをする取組をすること、これは非常に重要だと思います。災害時の医療救護の訓練などをやっていくうえでの課題や、こういう点がもう一段ポイントではないか、また、やっている中でこういったものが非常に足らないということなどがあればぜひ教えていただきたい、お伺いしたいと思っていますが、いかがでしょうか。
(五王堂防災会)
うちは、AEDは基本的なところはやっていますが、トリアージは全然考えたこともなかったです。
(知事)
これは先生が行かないといけないでしょうね。
(五王堂防災会)
看護師さんなど、地域で免許を持っている方がいるのではないでしょうか。
(知事)
なるほど、防災士で資格を取られた時にはそういうことを勉強されましたでしょうか。
(中屋組防災会)
はい。
(知事)
皆さんで訓練して、知識を共有していくに当たり、何か課題や難しい部分はありませんでしたか。
(中屋組防災会)
講師がいればいいが、人がいないでしょう。なかなか難しい。
訓練には来てくれるが、いざとなった時になかなか来てくれませんので。
(知事)
なるほど。
(猪野々地区防災会)
私も去年、防災士の講習を受けて資格も取得しました。うちの場合には、消防学校で胸骨圧迫や心肺蘇生の訓練を何回かやっています。止血法なども訓練をすることだと思います。
それともう1点、たまたまうちの地区には元看護師がいるので、若干安心はしていますが、南海トラフ地震で負傷者が何千何万となった時に、1地区の1名2名での対応は不可能に近い話です。その場合は市役所などに、スマホで怪我の状態を写した画像を送り、簡易な手当ての仕方などが送り返されてきたら、看護師の経験がある方も非常に心強いと思います。
(知事)
実は、今年の4月から救急車にメールの安否情報と、車載カメラ搭載し、搬送途中からお医者さんにデータを送れるようにするというシステムが稼働します。少しでもたらい回しになる率を少なくし、かつ救急車の中で一定処置をし、病院側の準備も迅速にできるようになる。そういうものとうまく組み合わせるとできるかもしれませんね。部位などを写してアドバイスを求めることができるというような仕組みですよね、なるほど。ありがとうございます。
(小島防災会)
自主防の訓練の中で救出・救護訓練をやっていますが、それは一時避難所までのものです。そこから先は専門の人がいないとできない。一時避難所から先、近くの病院への搬出をどのようにすればいいか。大きな災害になると、搬送する道路や橋なども通れるか分からない。搬送手段もなくなってくる中で、自主防としては限界があるのではないか。自主防を立ち上げなさいということだけではなく、自主防でできる範囲と市や県などの医療体制をどのように連携するかを考えていくことをお願いしたい。
それと、私どもは避難訓練を一時避難場所でやっています。しかし、大きな災害になると、今の自主防の施設等で考えていくと当然無理です。「今は訓練のため一時避難場所でやっていますが、南海トラフ地震や大きな災害が起きた時には一番心配のない高いところに逃げましょう」、「家にいる時か、学校や仕事へ行っている時か、いつ何時起こるか分かりません。どこかで落ち合うことを日頃から話し合っておきましょう」と呼びかけている。まず津波が来る、火災が発生する、道路網が寸断される、そういうことを想定して、きめ細かい対応ができるような連携をぜひお願いしたいと思います。
(知事)
ありがとうございます。この医療救護の関係は、前方展開型の医療救護活動を実現するために、こういうことをだんだんやっていくことになります。
先ほど申し上げた総合防災拠点を、一定程度医療を施すための拠点にしていくことになります。さらに地域地域に医療救護所というものを複数開設していくという体制を整えていく。津波はここまでは来ませんが、例えば津波のあるところになると、津波で被災する病院もたくさんあります。それと生き残った病院があります。そこに残った医療資源を全部集中させていき、そこが地域の医療救護施設として拠点化していく形になっていくと。それをあらかじめ想定して、移転して決まる場合もありますでしょうが、一定ここがこの地域での医療救護所、医療救護施設になりますということを、だんだん明らかにしていくことになるかと思います。それを自主防災組織の皆さんに周知徹底させていただいて、それぞれ連携させていただき仕事が進んでいくことになるかと思います。
この災害時の医療救護の取組は、国の方でもまだ検討が進んでいなくて、むしろ本県から何度も政策提言をして、いろんな学者の先生にも入ってもらい、前方展開型の医療救護活動のための作戦を練ってもらった。1年経って報告書も出していただいて、これから実行していく段階に入ろうとしています。
まずは「命を守る対策」を最優先でやってきましたが、だんだん「命をつなぐ対策」に重点が移る中で、この医療救護対策の取組が避難所対策とともに重点が置かれていくことになるかと思いますので、徐々に姿が見えてくると思います。その時、ぜひまた連携をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
それでは、皆さん、この際言っておかないと、という話をぜひ、ありましたらお願いします。
先ほどヘリポートというお話がありましたね。ヘリポートはどんどんつくっていきます。24年度末までに37カ所できていたのが、最終的な計画は95カ所ほどまで拡大をしていく予定にしています。多分、まだ猪野々は計画に入ってないだろうと思いますので、市役所の皆さんたちとぜひ話をさせていただきながらやっていきます。ヘリポートは日頃のドクターヘリの運行という意味でも有意義ですから、ぜひやらせていただきたいと思います。
秋山さん、どうぞ。
(五王堂防災会)
五王堂防災会です。平成24年7月に物部地区で集中豪雨がありました。土砂崩れが起き、5カ所ほど集落が孤立しました。五王堂の近くの笹地区でも土砂崩れで道路が欠損してしまい重機が入れなくなりました。奥にはまだ6、7軒、14人ほど孤立しました。電話も電線も全部切れて2日ほどで復旧したが、道路はずっと通らず、上流も土石流で道路が埋まっていて車も通れない状態でした。どうしたかといえば、地元の林業をされている方が小型のパワーショベルのようなものを持っていて、自主的に道路を軽四が通れるくらいにしてくれました。そういう、小さいものでいいから奥の方に重機があると非常に効果があるのではないかと、あったらいいかなと思います。
(知事)
今、道路啓開計画つくっています。どこがどう潰えるか、どういう順番で道路を啓開していくと一番いいだろうか、この場所であればこの建設会社にお願いすることになるだろう、といった計画をつくっています。
確かに、小型のユンボでとりあえず孤立を解消すると。なるほど。
(五王堂防災会)
地元でも建設会社がやってくれていますが、大体下の方に会社があるので入って来れない。だから、奥の方に何台かあると便利。
(知事)
奥の方に小型のユンボなどを設置していく仕組みですね。
なるほど、分かりました。ありがとうございます。
では、和田さん、どうぞ。
(中屋組防災会)
うちでは、「みんな食料や水などを備蓄してくれ」ということを何度も言っています。支所などにある程度備蓄してほしいと思います。
(知事)
分かりました。実は避難所に井戸を掘っておくというのはものすごく大事なことだなと思っています。最悪の場合は43万人ほど避難者が出る。43万ほどになるのは1つは高知市が長期浸水するからというのもありますが、何十万人もの避難者が出た時に、1人1人に自衛隊が来て水を配るというのも恐らく物理的に不可能です。だから相当程度、やっぱり自分で構えておかないといけませんよね。備蓄は非常に大事だと思います。
ちなみに備蓄はどのようにしていますか。自分自身で備蓄していますか。
(中屋組防災会)
すぐに必要な分は備蓄できていますが、入れ替えをしていかないといけない。
(知事)
訓練のたびに入れ替えをしていますか。
(中屋組防災会)
いや、訓練では使っていません。
(知事)
捨てる時は捨てると。県の総合防災訓練で出る炊き出しのご飯は、期限が切れそうなやつを使っている。ありがとうございました。
どうぞ、武内さん。
(橋川野防災会)
香北地区の場合は香北庁舎の駐車場が救護所になると聞いています。橋川野から3キロほどの距離があり、若干遠いところがあります。また、知事がおっしゃったように、お医者さんの数に限りがあるということですが、消防署には救命救急士の資格を持っている人がたくさんいると思います。多分、その1カ所の救護所へ皆さんが詰めかけるということになると思うので、お医者さんの限界があるかもしれませんが、3カ所か4カ所ほどに救護所を分けていただいて、救命救急士はここへ、お医者さんはこちら、看護師さんだけの救護所もここにありますよ、という形のきめ細かな救護所などを検討していただきたいなと思います。
(知事)
医者はいないが、救命士や看護師がいる場所、そういうのが数多くあった方がいいと。そういうことですね。
なるほど、それはお知恵ですね、確かに。
(橋川野防災会)
訓練などで骨折、止血などいろいろ習っていますが、実際に手当てをして間違いであった時に責任を問われるということがあり、手当をする人がかなり躊躇するところが出てくると思います。できるだけ、そのように小さく分けていただいて、何らかの医療行為ができる場所を確保していただきたいと思います。
(知事)
なるほど、分かりました。
(猪野々地区防災会)
永瀬ダムの周囲の人は、南海トラフ地震の際に大丈夫かという心配があると思いますが、県の土木部河川課から耐震性能の確認をしたということが出ておりまして、こういったものが非常に住民の安心感につながります。しかし、パソコンがないとホームページを見ることができないということもあるので、折を見て、印刷物で出していただければ非常にありがたいなと思います。
(知事)
県営ダムは耐震化の調査を一斉にやっています。確かに、調べて大丈夫ですね、と自分らで分かっていても、住民の皆さんにもっとちゃんとお知らせしないといけませんね。分かりました。
あともう1個調べているのがため池です。背後から崩壊して水が押し寄せてくる可能性もあり、こちらも耐震の調査をしています。数が多くてなかなか大変なのですが、優先度を決めて、特に崩壊した時に浸水領域が広いところなどを中心に調べています。分かりやすくお伝えできるように工夫します。
(猪野々地区防災会)
それと、KPADにお願いがあります。
実はどこも同じだと思いますが、高齢者に何か資料を見せて説明しても字が見えないため、細かく話をして説明をすることになりますので、時間の浪費が大きいです。細かいことでなくても、例えばポップのようなもの、漫画チックなものなど、分かりやすい資料の作成の手助けをしていただけないかと思います。
我々防災会でも気軽に情報交換させていただいて、こんなものを作っていただけないだろうかというご相談は可能でしょうか。
(高知工科大学KPAD)
KPADでは、それぞれシステム工学群、環境理工、情報学群、マネジメントといろいろ得意分野、強みを持っている学生がいます。例えば、それであれば情報学群、コンピュータに強い学群の子が高齢者の方向けの分かりやすい資料を作ったり、あとはマネジメント学部が皆様にできるだけどういうプロセスでお伝えしたらいいのかというマネジメントの仕方であったり、学生ならではの発想で伝えることができる可能性もありますので、ぜひそこは直接またお話ししていただけたらと思います。
(宮ノ口防災会)
防災会でいろいろ訓練など活動しましても、高齢者にしてみれば結局、「あぁおまんかよ」と毎日会う顔だけでしょう。やはり若い方が来ていただくと、孫が来ているという感覚で非常ににぎやかになります。そういうことが結果的には、訓練も出たらよく分かる、人にも会えるという高齢者の楽しみ、喜びが増して集中する機会が大きくなるのではないかと思います。
今後1防災会ではなく、防災会の訓練などにぜひご協力を賜りたいと思います。
(高知工科大学KPAD)
マンネリ化や、人手がたりないと、自治会の方が言われていましたが、ぜひ学生の力を使っていただければと思います。よろしくお願いします。
(知事)
鈴田さんのような人が来てくれたら、大変喜ばれますよ。中山間へ行くと本当に喜んでくれると思います。
(小島防災会)
私どもの課題として、次世代の若い方に取組をつないでいかないといけない。どのように若い方に意識づけして、自主防の役員など引っ張り役をやってもらっていけばいいか。地震に対応する若い力が県政の中においても大変大事だと思います。そういう仕掛けを職場内でもしていかないといけないし、地域へ帰れば地域に役立つ若い者が引っ張り役になってもらいたい。自主防災組織を活性化していくには、やはり若い力を活用していく方法をとらないと。若い世代の方に自主防の必要性や共助、自助といったものを浸透させていくのは知事の役割だと思いますので、ぜひ県民にそういうメッセージを送ってもらいたいと思います。
(知事)
それはそうです。送りましょう。そういうことも送りたくてこの座談会も持たせていただいています。小島ではどうですか。
(小島防災会)
私どもトップの吉本会長とは、もう10年経ったから今年は若い者にバトンタッチをしようと話し合いをしています。
(知事)
若い方はいますか。
(小島防災会)
います。
少ない中でも、例えば、防災会の訓練の時にはテントをその若い者が自主的にやる、発電機を使ってもらう、あるいは防災器具、資機材で準備しているものを率先して使って取り組んでもらう。自らがその中へ呼び込んでいかないと、もう見物人では困るのです。
(知事)
なるほど。しかし、若い人に呼びかけていただくのも地域の皆さんの役目だと思います。県知事が何か呼びかけても、それは皆さんが正にやってもらわないといけない。その時に、「若い人ぜひ参加して」と知事のメッセージも出しましょう。それはそうなのですが、やっぱり地域で皆さんが巻き込んでもらう。むしろ知事は、その巻き込むノウハウを教えてもらい、それをいろいろと広げていくことが非常に有意義かと思います。
しかし、このような大学生などの活動の様子を知らしめること。「ああ、あんな若い子でもやっているのか」というのはものすごくいいポイントになるでしょう。
(小島防災会)
今日は市長も来ていただき、防災に対する地域づくりについては行政として積極的に進めていただいていますが、「小島防災会はこういう取組をしていますよ」と市にも記録を残してほしい、せめて担当職員には共有してもらえればいいなという思いで、防災報の原稿はこちらで作り、印刷を市でやってもらっています。
やはり行政も一緒になり自主防を立ち上げて、自主防として悩んでいる点を行政として支援してほしい。自主防は情報発信するための素材がほしい。その情報を組織の中へ、自分達の自助、共助の必要性を訴えながら防災意識を高めていく、訓練をしていきたいと思っています。そういった点をつくづく思っていますので、情報の提供をお願いします。
(知事)
通電火災の話をされているあたり、相当研究が進んでおられるなというのはすごく感じました。
(小島防災会)
それともう1点。地区の集会所、公民館など、防災組織あるいはコミュニティの中心になっているところが耐震化できていない。私どもの公民館もそうだが、建て直しが必要ではないかというところもある。
(知事)
命を守る対策がやっぱり最優先ですが、だんだん命をつなぐ対策に取組重点を移していくことになりますので、先ほど言われたように、避難所の耐震化を図るために、例えば集会所では、市町村立の集会所でなく民営の集会所でも耐震補助の対象にするという形で拡充してきています。もっと言えば、今後避難所の運営マニュアルを作っていく中で、例えば、水の確保のために井戸を掘ることも重要でしょうし、どんな避難所でも多分高齢者の方がたくさんお出でになるので、全ての避難所が福祉対応できるようにするための仕組みづくりなど、バックアップが必要になってくると思う。
今日もいろいろお知恵をいただきましたが、避難所では本当に長い期間暮らしていくことになるかもしれない。これを充実するために必要なことは何か、今後固めていかないといけない。そういう時には、またぜひ皆さんからいろいろ教えていただきたいと思います。
(宮ノ口防災会)
2点ほどお聞きします。
防災士の資格についてですが、香美市に試験の合否について問い合わせた時に、「個人情報なので知らせることはできない」ということでした。おそらくかなりの方が合格しても「私は合格した」とは言わない。地域のために役立つことが防災士の役目ではないかと私は思いますので、個人情報は分かりますが、せめて代表でやっている者には教えてもらいたい。
(危機管理部長)
来年度から、県の防災士の講習を受けていただく前提としまして、受かったら少なくとも役場には氏名を通知することに同意をしてもらう、ということをやっていこうと考えています。来年から改善させていただきます。
(宮ノ口防災会)
それと、高知工科大生とのかかわり。
地区が近いので、昨年も炊き出しで参加させてもらった。その前年は運動会に参加しました。一番身近にいて、いざという時に協力してもらえるのは工科大だと思います。炊き出しの時にはどんな協力をするかなど、代表の方だけではなくみんながかかわっていただけたらいいと思います。訓練も、いざという時のための訓練というのを取り入れてやってもらえればより浸透するし、防災会もいろいろしてもらいたいとなるだろうと思います。近くにいるということで、またぜひよろしくお願いしたいと思います。
(知事)
いい機会ですのでぜひ。ありがとうございました。
会場においでの方、どなたかご質問等ありませんか。よろしいですか。
鈴田さん、この際だから言っておこうというのはないですか。
(高知工科大学KPAD)
学生はやりたいことが多く、防災だけではなく、農業や福祉、ボランティアなどをしたいという思いはすごくあるが、学生なのでお金がない。例えば防災でも、現地を見る(視察等に行く)ためにはお金が必要。私など今の2年生は実際に東北へ行き、防災の大事さをひしひしと感じていますが、次の世代のKPADのメンバーは東北に行ったことがなく、災害現場を見たことがない。防災の重要性を心の底から思うためには、災害の恐ろしさを感じることがすごく重要だと思います。活動条件が当てはまれば補助金が出る制度があればと思います。工科大だけでなく、高知県立大、高知大も今かなり熱く取り組んでいますので。
(知事)
分かりました。考えてみます。
綿菓子を売ったお金はどうしましたか。
(高知工科大学KPAD)
それは全額寄付しました。
去年度は全額、準備費を除いて岩手県の方へ送りました。自分たちでお金を稼ぐのも大事かと思っています。
(知事)
素晴らしい。頑張ってください。
(知事)
どうも皆さん、ありがとうございました。
本当に今日いろいろといいお話を聞かせていただきまして、大変勉強になりました。先ほど申し上げましたように、「命を守る」から「命をつなぐ」、そして「生活を立ち上げる」と対策の重点が移っていくことになります。津波避難タワーは、例えば高知空港の南側に今14基ほど立ち上がりました。今度は実際にそこへ逃げる訓練をする。さらに津波避難タワーから下りて、避難所まで行く。そして避難所を立ち上げる。こういう局面になればなるほど、やっぱり地域の皆様と私どもが共助をさせていただくことが非常に重要になってくる。
そういうことで本年度から地域本部をつくり、27年度からは大幅に是正・拡充をしていく予定です。地域地域でできるだけ我々も組織を前方展開していきながら、地域の皆様にいろいろご教授いただきながら準備を進めていこうと考えています。今日は本当にいいお話をいろいろお伺いさせていただきましたが、今後ともぜひいろんな形での取組を、どうぞよろしくお願いします。
南海トラフ地震をはじめとして、高知は災害の多い県でありますが、災害に備えていくことが社会を強くするという良い側面もまたあるのだろうと。「禍福はあざなえる縄の如し」ということなのかなと思っています。防災対応を進めていく、それがまた日頃の福祉の強化にもつながっていく。そういう形で良い形にしていければと思います。大変なチャレンジではありますが、ぜひ頑張らせていただきたいと思います。
今日は本当にどうもありがとうございました。今後もどうぞよろしくお願い申し上げます。
閉会
この記事に関するお問い合わせ
所在地: | 〒780-8570 高知県高知市丸ノ内1丁目2番20号(本庁舎2階) | |
電話: | 広聴担当 | 088-823-9898 |
広報担当 | 088-823-9046 | |
ファックス: | 088-872-5494 | |
メール: | 080401@ken.pref.kochi.lg.jp |