5-3 再雇用時の年次有給休暇について

公開日 2015年04月10日

【相談内容】 (高知県労働委員会)


 これまで30年間正社員として働いてきた会社を、3月末に定年退職しました。そのまま4月から嘱託職員として、これまで同様週5日働いています。

 毎年4月に与えられていた年次有給休暇が退職時に10日残っていたため、6月に年次有給休暇を取りたいと会社に言うと、6ヶ月以上継続勤務していないので、まだ与えられないと言われました。

 この場合、年次有給休暇は取れないのでしょうか。

【お答え】


 労働者が雇入れの日から6ヶ月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した場合、向こう1年につき法定の日数の有給休暇が与えられることになっています。(労働基準法第39条)

 定年退職後、引き続き嘱託職員として再雇用された場合には、従前の労働契約とその後の労働契約とは別のものです。ただし、上記の労働基準法の継続勤務に関する取扱い上は、定年退職後の嘱託職員としての再雇用は、単なる会社内における身分の切替えであって実質的には労働関係が継続していると認められますので、勤務年数を通算しなければなりません。(退職金規程に基づき、退職金が支払われている場合も同様です)。

 ただし、定年退職後、再雇用までに相当の空白期間があり、客観的に労働関係が断絶していると認められる場合には通算されません。

 ご相談の場合は、空白期間を置かずに嘱託職員として働いているため、継続勤務に該当すると思われます。

 また、付与日数の取扱いについては、基準日が4月1日のようですので、今年の4月1日時点で新たに法定の日数が付与されます。前回の基準日に付与された日数の残日数についても退職によって消滅することはありませんので、繰越して取得することができます。

 なお、基準日が4月1日でない場合は、前回の基準日に付与された日数の4月1日時点での残日数を取得することができます。

 会社に対し、再雇用前の期間も通算して「継続勤務」であるため年次有給休暇が与えられることを伝えて、あらためて取得を申し入れるとよいでしょう。

 それでも、会社が年次有給休暇を与えない場合は、このことについては労働基準監督署に監督権限がありますので、相談してみてはいかがでしょう。

 

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