直販店を核とした鏡地域の活性化

公開日 2015年06月05日

平成26年度 地域の皆さんの活動(地域支援企画員からの報告)

高知市の取り組み(高知市ブロック)

【はじめに】

 高知中心部から、鏡川をさかのぼること車でおよそ30分のところに、自然豊かな鏡地域(旧鏡村)があります。鏡地域は、昔から曜市に出店する農家が多く、高知市の食を下支えしてきており「日曜市の里」として知られていますが、その出荷のノウハウを生かして平成7年3月に『山里の幸 鏡むらの店』万々店が開設されました。

 鏡地域では露地栽培が主で、春夏秋冬、山菜や梅、ナス、キュウリ、米や栗など多品目に渡る旬の野菜が店頭に並びますが、夏場は野菜が品薄になるため、研究を重ね、消費者ニーズに応えられるよう日々たゆまぬ努力を続けています。また、農家の方が作るこんにゃくや豆腐、田舎寿司、地域で採れる梅を使ったホケキョ漬などの加工品や川魚・猪肉等、“新鮮で安い”を心がけており、生産者の顔が見える安心してお買い求めできる店となってきています。

鏡村の店
<鏡むらの店 万々店>

【鏡むらの店の概要】

 『鏡むらの店』を運営する鏡村直販店組合が設立した当時(平成7年)は、高知県下の市町村が県都高知市に多くの直販所を開設していた時期で、店舗開設は早いほうではありませんでしたが、開設場所の優位性と、曜市農家の対面販売によるノウハウを生かした農家と消費者を結ぶ直販所を目指して、平成5年度から設置の検討を始めました。

 当時の直販所は、消費者のニーズに合った生産物を、誰もが自由に少量でも出荷販売できる場、また営農確立のためにも活用できる場として整備された直販所が多かったのですが、農産物を売るのみではなく、アンテナショップ(情報発信基地)としての役割も持たせる目的を持って、開設場所などの研究・協議を重ねていきました。

 場所の選定条件は、1)市街地でも旧鏡村から近い場所、2)近くに直販店や類似店がないこと、3)消費者人口の多い地区、4)大通りに面し多くの方々の目に付きやすい場所の4項目とし、「生産者と消費者のふれあいの場」を念頭に、農村や農家の生活の雰囲気が伝わる店舗づくりを目指して、<楽しい・なつかしい・気軽な>をキャッチフレーズに、店名を『鏡むらの店』と命名しました。

 こうして、平成7年3月に店舗建築・開店、国の補助金を活用し直販施設の拡張増築を行うなどし、翌8年4月に2号店『鏡むらの店RIO店』を開設し、現在に至っています。

鏡村の店万々店2
 <鏡むらの店 万々店> 
鏡村の店RIO店
<鏡むらの店 RIO店>

 直販店は、生産者自ら組織する鏡村直販店組合で事務局を運営し、名実ともに農家組織による組合運営となっています。

 組合員は、鏡地域内の生産者で、発足当時は85名でしたが、現在は121名です。

【POSシステムの活用】

 平成20年度に店舗改築と併せPOSシステムの整備を行い、携帯電話を所持している生産者に対しては、希望時間帯に応じて個々の1時間ごとの販売状況をリアルタイムに送信しており、高齢農業者の利用も定着し、やりがいや生きがいにもつながり利用者が増加傾向にあります。

POSシステム
<POSシステムの導入により計画的な生産・出荷体制の整備を図る>

【万々店2階調理実習室の活用】

 万々店の改築に伴い、2階部分に組合事務所を整備するとともに調理実習室を整備、生産者自らや調理師等が調理実習を通じて、消費者に農産物の活用や新しい食べ方等についての講習を行い、旬の農産物に親しみや関心を持ってもらう交流の場として、また外部講師を招いての研修会を開催するなど幅広く活用しています。

万々店交流場所
<万々直販店の2階部分:生産者と消費者の交流の場>

【鏡むらの店の特徴】

 農家の自主組織での運営であり、販売員が鏡に縁のある方であること、また曜市への参加農家であることから対面販売のノウハウがあり、消費者に対し栽培方法や食べ方について説明ができます。

 また、役員会で運営状況の確認をするとともに、内容検討会を設置するなど常にお客様のニーズを考えていること、高知県内の漁家と連携し魚の産直販売を実施していること、高齢農業者を支えるだけでなく、地域の新規就農者や定年帰農者の受け入れの場にもなっていることなどが特徴です。

【地域支援企画員としての関わり】

 『鏡むらの店』は、「直販所を核とした鏡地域の活性化」を目的として県産業振興計画地域アクションプランに位置付けられています。関係者で構成する直販所支援チームを中心に、高齢化に伴う販売額の伸び悩みの解消を目指し、消費者ニーズに基づく活力ある直販所作りと農業所得の向上を図るため、需給ギャップの解消や新規顧客の開拓などの活動をしています。

 支援チームの構成員は、鏡村直販店組合とJA高知市、高知市農林水産課、高知市鏡地域振興課、県農業改良普及所職員で、地域支援企画員も一員として関わらせていただいており、月に1回、万々店2階調理実習室でチーム会を開催しています。

 本年度の活動は、組合と普及所が中心となって、主に夏場葉菜類の安定生産について研究、検討をしています。内容は、組合員の圃場で小ネギの病害虫防除実証試験をしたり、鏡地域で作られている野菜を県農業改良普及所で、切り方や乾燥方法など試行錯誤しながら乾燥野菜の試作を行い、チーム会において試食・評価を重ね、地域の学校給食センター管理栄養士との検討ののちに商品化に向けた動きもあります。

乾燥カブ
<乾燥機で乾燥させたカブ>
乾燥オクラの食味
<乾燥野菜(オクラ)の食味>

 また、県普及所のOGさんによる鏡の野菜を使った料理教室の開催したり、農家の協力により梅ノ木地区で「親子・収穫体験」を開催し、数組の親子連れが参加、じゃがいも、キャベツ、ブロッコリーなど自分たちで収穫し、採れたて野菜をその場で焼いて食べるなど、親子でとても楽しく収穫体験ができました。

収穫体験1
<親子・収穫体験>
収穫体験2
 
 

 さらに、県の産業振興アドバイザー事業を活用し、講師を招いて直販店組合員や店舗職員を対象に、接客対応の向上に向けての勉強会とロールプレイングを開催し、直販店での「顧客対応マニュアル」作りについて検討していくこととしています。

 特に最近、全国で食品に関する関心が高まるなか、まさに時期を得たタイミングでの研修や顧客対応マニュアルを作成することにより、さらなる顧客サービスの向上や店員自身が安心して接客ができる体制を築いていけると思います。このように、『鏡むらの店』は、お客様を第一に思い、全組合員、職員一丸となって常によりよい直販店となることを目指しています。

勉強会1
<第1回勉強会 接客対応の研修>
勉強会2
<第2回勉強会 ロールプレイング>

【最後に】

 高知市内や周辺部に直販所がどんどん増えており、また生産者の高齢化が進む中、鏡直販所には、若い人たちの来店も徐々に増えています。今後は、農家の若い担い手づくりにも力を入れ、お客様のために直販所を引き継いでいきたいとの組合長さんのお話がありました。

 地域支援企画員としても、地域の活性化を目指して、少しでも地域の皆様のお手伝いができるよう一緒に頑張っていきたいと思います。

高知市地域支援企画員

電話088-826-5037

この記事に関するお問い合わせ

高知県 産業振興推進部 産業政策課

所在地: 〒780-8570 高知県高知市丸ノ内1丁目2番20号
電話: 企画調整担当 088-823-9333
成長戦略担当 088-823-9049
地域産業担当 088-823-9334
ファックス: 088-823-9255
メール: 120801@ken.pref.kochi.lg.jp
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