公開日 2015年08月10日
【相談内容】 (高知県労働委員会)
社長から、夏の賞与(一時金)を支給できないと言われました。会社の就業規則には、賞与についての定めが置かれているはずですが、社長が言うには、会社の業績が著しく悪化しており、とても賞与を支給できる状態ではないとのことでした。諦めるしかないのでしょうか。
【お答え】
賞与は、法律上、使用者に支給することが義務付けられているものではなく、支給の基準等がもっぱら使用者の裁量に委ねられている場合には、任意的恩恵的給付とされ、賃金とは異なる扱いを受けます。しかし、就業規則や労働契約に賞与についての定めが置かれている場合には、労働基準法上の「賃金」と認められ、賞与を支払わないことが賃金の不払いに当たる場合があります。
例えば、「給料の2ヶ月分を賞与として年2回、6月と12月に支給する」というような具体的な賞与の算定基準・方法の規定が置かれている場合には、原則として、使用者は賞与の支給義務を負い、業績不振であっても、賞与を支給しなければなりません。
しかし、「賞与は、会社の業績を考慮し、年2回、夏季と冬季に支給する」というような規定が置かれている場合には、賞与を支払うかどうかは、会社の業績によることとなります。したがって、会社の業績が悪化した場合には、賞与の支給がなくても違法ということにはならない可能性があります。
まずは、就業規則に賞与の支給についての定めがあるということですので、その内容から会社には賞与の支給義務があるといえるか確認する必要があるでしょう。
会社に賞与の支給義務があれば、賞与の支給を求めて会社と話し合うことが考えられます。会社が支給に応じなければ、労働基準監督署に賃金の未払いということで、会社への指導を求める方法も考えられます。
会社の業績を考慮して賞与が支給されることになっている場合でも、会社の業績が賞与を支給できないほどの状況なのかについての詳しい説明を求めて話合いをすることも考えられます。仮に過去に同様の業績であっても賞与の支給がされていたことがあれば、賞与の支給を求めることもできると考えられます。
そういった対応を取った上で、会社の説明に納得できない場合や、話合いが上手くいかないような場合には、労働委員会のあっせんをご利用いただくこともできます。
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