公開日 2017年02月06日
【相談内容】 (高知県労働委員会)
自己都合で退職を考えていますが、退職する場合は研修にかかった費用を支払うよう、会社から求められました。
確かに2年前、会社から業務に必要な研修を受けるよう命じられ、その研修に参加する際に「3年以内に退職した場合、研修費用を返還する」旨の誓約書を提出しました。会社の言うとおり支払わないといけないのでしょうか。
【お答え】
労働基準法第16条では「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない」と定めています。
今回のような「研修受講後一定期間内に退職した場合には、研修費用を返還する」といった契約(誓約)の有効性については、この規定に違反するかどうかが問題となります。
例えば、本来、労働者本人が費用を負担すべき自主的な技能習得等について、使用者が研修費用を貸与し、研修受講後一定期間勤務した場合は返還を免除するというものであれば、この規定には違反しないものと考えられます。
これに対し、使用者が自企業における教育訓練や能力開発の一環として業務命令で研修をさせ、研修後の労働者を自企業に確保するために一定期間の勤務を約束させるものであれば、この規定に違反するものと考えられます。
この規定に違反するかどうかについて、判例では、(1)労働契約とは別の金銭消費貸借契約の締結の有無、(2)研修の業務性の有無、(3)研修受講の任意・自発性の有無、(4)返還免除基準の合理性の有無、(5)返済額・範囲の合理性の有無、(6)研修受講による労働者の個人的利益の有無、などを総合的に考慮して判断しています。
まずは、労働基準法に違反するかどうかについて、誓約書の写しや研修の内容が分かる資料などを持って、労働基準監督署にご相談されてはどうでしょうか。その上で、会社側と話し合う方法もあります。
当事者同士の話合いが上手く進まない場合、労働委員会には、公労使三者の立場を代表する3名の委員が、労働問題に関する紛争の自主的な解決を援助する「あっせん制度」がありますので、是非ご活用ください。
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