公開日 2018年01月12日
更新日 2018年01月12日
桐見ダムの紹介
・事業の必要性
越知町を貫流する坂折川は、従来ほとんど河川改修が行われておらず、下流の地域では毎年のように洪水による被害が発生し、その対策が望まれていました。
そこで周辺の地域開発、地域の民生の安定、産業の発展のために高知県が管理する治水ダムとして昭和63年に竣工しました。
型式としては重力式コンクリートダムであり、高知県管理のダムでは4番目の貯水容量となっています。
・ダムの目的
1.洪水調節
桐見ダムの洪水調節計画では洪水期(7月1日~10月10日)にダム地点計画高水流量990m3/s(1/100年確率)のうち600m3/sの洪水調節を行い、下流基準点における最大流量1150m3/sを550m3/sの流量に低減させ、下流地域を洪水から守ります。
2.流水の正常な機能の維持
坂折川は下流域に広がる田畑(212ha)に対する灌漑用水の補給を行うとともに、流水の正常な機能の維持を行います。
坂折川(ダム下流にある遊行寺橋より、手前の堰には取水口と魚道が伺える。)
・放流設備の概要
放流設備は、洪水調節用と流水の正常な機能の維持用とに区分されます。
1.洪水調節用
桐見ダムの洪水調節用の放流設備は、常用洪水吐としてコンジットゲート、オリフィスゲート、非常用洪水吐としてクレストゲートの三種類を備えています。コンジットゲートより、Q=300m/sまで流入=放流の操作を行い、流入量が300m3/sに達した時点でコンジットゲートの開度を固定し、オリフィスゲートより自然調節方式で洪水調節を行います。クレストゲートは水門そのものが存在せず、人工操作がまったく不要で安全な自然越流堤式となっています。計画高水流量990m3/s(1/100年の確率)を超える場合に非常用洪水吐のクレストゲートレスより越流することがあります。(設計洪水流量は2100m3/s)
青枠:コンジットゲート 黄枠:オリフィスゲート 赤枠:クレストゲート
越流の様子(試験湛水時):1988年5月
越流時(試験湛水時):サーチャージ水位EL=132.8m
通常時(洪水期):制限水位EL=114.0m
2.流水の機能の維持用
桐見ダムの流水の機能の維持用の放流設備には選択取水方式の多段式シリンダゲートがあります。選択取水方式とは、ダム下層の濁水や冷水が下流の農業、漁業へ与える影響を低減するために表層付近の水を取水する方式の事です。桐見ダムで採用している方式は堤体一体型で従来の取水設備では周囲を囲む必要があったスクリーン(流木等の流入を抑える鉄格子)を、上流側だけに減らすことで建設費用、維持費を抑えることを目的としたものです。この方式は当時前例がなく、取水口の形状や堤体からの距離など模型を用いて実験を繰り返し設計されました。
取水口は上下に移動することが可能であり、通常は水面下2.5mの位置で取水するように設定しています。
取水口の形状設計時の模型実験の様子
赤く着色した食塩水を下層の水に見立て、模型の形状や位置を変えながら取水実験後の塩分濃度が最も薄くなる条件を選定しました。なお表層は水の流れを可視化するため、青く着色しています。
考案された4種類の取水口形状、採用されたのはCタイプでした。
・管理用発電について
桐見ダムでは、流水の機能の維持の放流を利用して最大600KWの水力発電を行っています。(クロスフロー水車(最大使用水量2.0m3/s) 平成28年度 発生電力量約410万KWh(※一般家庭の約925世帯分の年間使用電力量に相当))
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