公開日 2018年06月20日
【相談内容】 (愛媛県労働委員会)
これまでの働きぶりが評価されて、課長に昇進しました。
先日、課長になって、初めての給料が支給されましたが、昇進前よりも、支給額が減っており、会社に確認したところ、 「管理職には、残業手当が必要ないからだ。」 と言われました。毎月、 残業を長時間していますが、 課長になった以上、 残業手当は支給されないものなのでしょうか。
【お答え】
労働基準法第41条第2号では、 監督若しくは管理の地位にある者 (管理監督者) に労働時間、 休憩及び休日に関する規定を適用しないと定めており、 このことから、 管理監督者には、時間外労働、 休日労働に対して、 労働基準法第37条に定める割増賃金を支払う必要はないとされています。 (注:深夜業に対する割増賃金の規定や年次有給休暇に関する規定は、管理監督者であっても適用されます。)
しかし、 企業組織における管理職と労働基準法上の管理監督者は、 必ずしも一致しません。
管理監督者については、 国の通達 (昭和63年3月 14日基発第150号等) によると、 「一般的には、 部長、 工場長等労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にあるものの意であり、 名称にとらわれず、 実態に即して判断すべきもの」 とされています。
具体的には、「一般に、企業においては、職務の内容と権限等に応じた地位(以下「職位」という。) と、経験、能力等に基づく格付(以下「資格」 という。) とによって人事管理が行われている場合があるが、 管理監督者の範囲を決めるに当たっては、 かかる資格及び職位の名称にとらわれることなく、職務内容、責任と権限、勤務態様に着目する必要がある」 と述べています。
このほか、 管理監督者の判定に当たっては、 「賃金等の待遇面についても無視し得ないものであること。 この場合、 定期給与である基本給、役付手当等において、 その地位にふさわしい待遇がなされているか否か、 ボーナス等の一時金の支給率、 その算定基礎賃金等についても役付者以外の一般労働者に比し優遇措置が講じられているか否か等について留意する必要があること。 なお、一般労働者に比べ優遇措置が講じられているからといって、実態のない役付者が管理監督者に含まれるものではないこと」 とされています。
【今後の対応】
上記の基準に照らして、相談者が就任した課長職が、管理監督者に該当しないと判断される場合は、 労働時間の規定が適用され、 残業手当が支払わなければなりません。
このような場合であれば、まず、残業手当の支払など処遇の改善を求めて、会社と話合いの機会を設けてみては、どうでしょうか。その場合、同じ立場の同僚などと一緒に交渉した方が、話合いがスムーズに行われるかもしれません。
それでもなお、 会社が残業手当の支払を拒否する場合、 勤務時間等が把握できる証拠 (タイムカードなど) を集めて、 事業所の所在地を管轄する労働基準監督署へ相談してみましょう。
なお、 労働委員会には、 公労使三者を代表する 3名のあっせん員が労働問題に関する紛争の自主的な解決を援助するあっせん制度もあります。 詳細は、 事務局にお問い合わせください。
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