公開日 2019年03月14日
【相談内容】 (香川県労働委員会)
会社を経営しています。従業員数は50名で、全員が会社内の労働組合に加入しています。ところで、年次有給休暇について、「みんなが働いているときに休みにくい。」などの理由で、取得をためらう従業員が多いです。しかし、取得により、心身のリフレッシュや勤労意欲の維持といったメリットが期待できるので、取得を促進したいと考えています。何か方法があれば教えてください。
【お答え】
年次有給休暇(以下「年休」という。)は、雇入れの日から6か月間継続勤務し、出勤が義務付けられた日(全労働日)の8割以上を出勤している労働者に付与される権利です。使用者は、事業の正常な運営が妨げられる場合を除き、労働者が請求した時季に年休を与えなければなりません。
年休の取得促進には、労使が協力して、年休の取得状況の確認や取得率向上に向けた話合いを行い、年休を取得しやすい環境整備に取り組むことが望ましいと考えられます。
取得促進の方法に、「年休の計画的付与制度」の導入があります。これは、使用者が、年休の付与日数(前年度の繰越し分を含む。)から5日を超える部分について、労使協定の締結により、計画的に年休取得日を割り振ることができる制度です。このため、労働者は、ためらいを感じないで年休を取得でき、また、使用者も、労務管理がしやすくなります。導入に当たっては、①事業所全体の休業による一斉付与、②班・グループ別の交替制付与、③年休付与計画表による個人別付与など様々な方法があります。
こうした制度があるにもかかわらず、年休取得率が低調であるという現状への措置として、労働基準法の改正により、平成31年4月から、年5日の年休を労働者に取得させることが使用者に義務付けられました。その概要は、次のとおりです。
① 対象者は、年休が10日以上付与される労働者(管理監督者を含む。)です。
② 使用者は、労働者ごとに、年休を付与した日(基準日)から1年以内に5日について、時季を指定して取得させなければなりません。ただし、既に5日以上取得済みの労働者に対しては、必要ありません。
③ 使用者は、時季の指定に当たっては、労働者の意見を聴取し、その意見を尊重するよう努めなければなりません。
④ 使用者は、時季、日数及び基準日を労働者ごとに明らかにした書類(年休管理簿)を作成し、3年間保存しなければなりません。
⑤ 使用者は、時季指定の対象となる労働者の範囲及び時季指定の方法等について、就業規則に記載しなければなりません。
これにより、使用者は、労働者が年休を5日取得していなければ、労働基準法違反として取り扱われます。そこで、使用者は、年休取得の義務化について熟知し、事業所内に周知しておくべきでしょう。こうした取組みからも年休の取得促進が図られると考えられます。
なお、詳しくは、事業所の所在地を管轄する労働基準監督署にお問い合わせください。
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