公開日 2020年03月26日
令和元年度 地域の皆さんの活動(地域支援企画員からの報告)
須崎市の取り組み(高幡ブロック)
<浦ノ内湾の特徴>
横浪半島を有する須崎市浦ノ内地区は、半島によって形成され、波風の影響を受けにくい穏やかな浦ノ内湾を有しています。気候も温暖で、ポンカンやみょうがの栽培からマダイ等の養殖まで行う自然豊かな地域です。現在、この浦ノ内湾が形成する豊かな自然を活用した地域活性化の取り組みが行われています。
<海洋スポーツ等による地域活性化>
須崎市では、平成28年から「須崎市立スポーツセンターを活用した体験型観光等の推進による地域の活性化」という高幡地域アクションプランを掲げ、体験型観光に力を入れてきました。これは、波風の少なく海洋スポーツを行うのに条件の良い浦ノ内湾を活用し、元々カヌー場を持っていた須崎市立スポーツセンターを拠点に海洋スポーツ・海洋レジャー等を通じて地域の活性化を行うものです。
この中でも、平成30年7月に海洋レジャーとして四国で初めて設置した海上アスレチックは、新たな体験型観光スポットとして人気を集めています。この新たな観光地を活かして、地域団体をはじめ、道の駅や商工会議所等の関係者を巻き込み、浦ノ内地区から須崎市内への周遊を促進する取り組みも行いました。
海洋スポーツにおいては、カヌーレーン整備や合宿の誘致活動により、2020東京オリンピック・パラリンピックに向けた海外ナショナルチームの合宿や国内の大学・企業の合宿も行われるようになりました。また、日本水泳連盟認定大会として第6回を迎えたすさきオープンウォータースイミングにおいては、平成29年度から海外有名選手の招へいが行われ、令和元年度には海外から一般参加する選手があらわれるなど、海洋スポーツの振興が図られています。
このほか、海洋スポーツを通じた交流として、オーストラリア、チェコ、ハンガリーとのホストタウン登録が行われ、合宿等の際には海外選手と地元生徒との交流事業が行われるなど、地域の元気に繋がる取り組みも行われています。
<海を泳ぐ厄介者を資源に>
海洋スポーツパーク構想が練られていたころ、浦ノ内地域の中でも天然の資源を活かした取り組みが検討されていました。それが浦ノ内湾を泳いで渡ると言われているイノシシの食肉利用です。
須崎市では年間約1,600頭ほどのイノシシが駆除されていますが、そのうち約1,000頭ほど(平成30年度)が浦ノ内地区で駆除されています。
イノシシは山の獣というイメージがあるかもしれませんが、浦ノ内湾ならではの逸話として昔からイノシシは湾を泳いで渡り、海岸では魚介類を、畑では農作物を食べて丸々と太り、良質な脂がのって臭みが少なく美味しいと地元猟師の間で評判でしたが、獣肉解体処理施設がないため、そのほとんどは活用されることなく廃棄されていました。
「地域のことは地域で!」 昔から公民館活動が活発な須崎市において、浦ノ内地区はいち早く、地元住民で作る「浦ノ内地区自主組織を立ち上げ、公民館事業を須崎市から受託し、次々に地域課題を自分たちの手で解決してきました。
「この活用されることなく廃棄される山の恵みをなんとか活かしたい!」、イノシシをお金に換えることで、猟師の魅力増加と後継者の確保を行おうと、令和元年5月21日に立ち上げた「集落活動センターうらのうち」の取り組みの中で、獣肉解体処理施設を整備し、運営していくことになりました。また、運営にあたっては専門性や持続性が必要なことから、「ジビエ浦ノ内企業組合」を立ち上げ、法人格を持って責任のある運営体制を構築しました。
地域支援企画員も協議に入り、先進地の視察や研修会などにおける関係者との調整、活用できる制度の提案など、思いを形にするために様々な支援を行ってきました。話の始まった平成26年から長い年月が経ちましたが、獣肉解体処理施設の整備により令和元年度末でようやく形となりました。
この集落活動センターうらのうちでは、ほかにも令和元年10月からお弁当事業も開始し、スポーツ合宿の際お弁当を作るなど、徐々にですが、海洋スポーツとの連携も行っています。お弁当事業の開始にあたっては、産業振興アドバイザー制度や集落の活力づくり支援事業費補助金を活用し、具体的なメニュー作成や事業化にあたって必要な真空包装器等の調理機器を導入しました。
現在、これまで導入したアドバイザーや調理機器、試作販売アンケート結果を活かして、地域の養殖真鯛で作る鯛めし弁当などの地域性のあるお弁当を定期販売しています。今後は、ここにジビエも加わることで、より一層地域に還元でき、地域が元気になる仕組みになっていくことを期待しています。
<今後について>
これまで行ってきた取り組みでも交流人口増加に一定の成果はあり、まだまだ元気な浦ノ内地区ですが、各所で課題となっている高齢化や人口減少は同様に進行しています。担い手・人手不足が深刻化する中で、より一層地域が元気であるためにも、関係する様々な事業者と連携し、個々の負担を減らしながらも、効果を最大限にすることが必要だと思います。
海洋スポーツや、(浦ノ内だけではありませんが)集落活動センターについても、各種アドバイザーの検討や交付金の活用等の支援を行うだけではなく、関係団体や関連事業との連携など、様々な可能性を考えながら、協議への参加や普段の声かけを行っていきたいと思います。
浦ノ内地区には、ほかにも多くの地域資源があります。波風の少ない浦ノ内湾の特徴を活かした屋根付き釣筏、湾内を運航する巡航船、豊富な農作物と地元産のイノシシを使った新たな商品開発など、皆さまのアイデアを様々な事業につなげ、地域の方々と関わることができるのが地域支援企画員の強みだと思います。今後も、地域の力で地域が元気になるよう、連携や提案に向けて微力ながらも関わりを続けていきたいと思います。
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