公開日 2021年02月17日
【相談内容】 (愛媛県労働委員会)
新型コロナウイルスに関連する労働者の休業手当、年次有給休暇等について、国の通知はどうなっていますか。
【お答え】
厚生労働省ホームページの新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)令和2年12月28日時点版、同(労働者の方向け)令和2年12月28日時点版の要旨は次のとおりです。
詳しくは、最新の厚生労働省ホームページをご覧いただくか、お近くの労働局にお問い合わせください。
<休業の場合の留意点>
「企業の方向けQ&A 4 労働者を休ませる場合の措置 問1」
新型コロナウイルスに関連して労働者を休業させる場合、欠勤中の賃金の取り扱いについては、労使で十分に話し合い、協力して、労働者が安心して休暇を取得できる体制を整えること。
賃金の支払いの必要性の有無などについては、個別事案ごとに諸事情を総合的に勘案するべきだが、労働基準法第26条では、使用者の責に帰すべき事由による休業の場合、休業期間中の休業手当(平均賃金の100分の60以上)を支払わなければならず、労働者がより安心して休暇を取得できる体制を整えるためには、就業規則等により各企業が、100分の60を超えて(例えば100分の100)を支払うことを定めることが望ましい。不可抗力による休業の場合は、使用者の責に帰すべき事由に当たらず、休業手当の支払義務はない。不可抗力とは、
① その原因が事業の外部より発生した事故であること
② 事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしてもなお避けることのできない事故であること
の2つの要件を満たすものである。例えば、自宅勤務などの方法により労働者を業務に従事させることが可能な場合に、これを十分検討するなど休業の回避について通常行うべき最善の努力を尽くしていないと認められたときには、「使用者の責に帰すべき事由による休業」として、休業手当の支払が必要となることがある。
<感染した労働者の休業の場合>
「企業の方向けQ&A 4 労働者を休ませる場合の措置 問2」
「労働者の方向けQ&A 2 労働基準法における休業手当、年次有給休暇 問1」
新型コロナウイルスに感染して、都道府県知事が行う就業制限により労働者が休業する場合は、一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当しないと考えられるので、休業手当を支払う必要はない。
<感染が疑われる労働者の休業の場合>
「企業の方向けQ&A 4 労働者を休ませる場合の措置 問3」
「帰国者・接触者相談センター」での相談の結果を踏まえても、職務の継続が可能である労働者を、使用者の自主的判断で休業させる場合には、一般的に「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当てはまり、休業手当を支払う必要がある。
<発熱などがある労働者の自主休業>
「企業の方向けQ&A 4 労働者を休ませる場合の措置 問4」
「労働者の方向けQ&A 2 労働基準法における休業手当、年次有給休暇 問2」
新型コロナウイルスかどうか分からない時点で、発熱などの症状があるため労働者が自主的に休む場合は、通常の病欠と同様、病気休暇制度の活用などが考えられる。一方、例えば発熱などの症状のみをもって一律に労働者を休ませる措置をとる場合のように、使用者の自主的な判断で休業させる場合は、一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当てはまり、休業手当を支払う必要がある。
<事業の休止に伴う休業>
「企業の方向けQ&A 4 労働者を休ませる場合の措置 問5」
新型コロナウイルス感染症により、事業の休止などを余儀なくされた場合に、労働者を休業させるときは、よく話し合って労働者の不利益を回避するように努力することが大切である。労働基準法第26条では、使用者の責に帰すべき事由による休業の場合は、休業期間中の休業手当等を支払わなければならないとされているが、不可抗力による休業の場合は、支払義務はない。具体的には、例えば、海外の取引先が新型コロナウイルス感染症を受け事業を休止したことに伴う事業の休止である場合には、当該取引先への依存の程度、他の代替手段の可能性、事業休止からの期間、使用者としての休業回避のための具体的努力等を総合的に勘案し、判断する必要があると考えられる。
<新型インフルエンザ等対策特別措置法適用下で、協力依頼や要請などを受けた営業の自粛に伴う休業>
「企業の方向けQ&A 4 労働者を休ませる場合の措置 問7」
新型インフルエンザ等対策特別措置法による対応が取られる中で、協力依頼や要請などを受けて営業を自粛し、労働者を休業させる場合であっても、労使がよく話し合って、休業中の手当の水準、休業日や休業時間の設定等について、労働者の不利益を回避するよう努力すること。
この場合であっても、一律に労働基準法に基づく休業手当の支払義務がなくなるものではなく、労働基準法第26条では、使用者の責に帰すべき事由による休業の場合には、休業期間中の休業手当を支払わなければならないとされている。不可抗力による休業の場合、休業手当の支払義務はないが、不可抗力による休業と言えるためには、
① その原因が事業の外部より発生した事故であること
② 事業主が通常の経営者としての最大の注意を尽くしてもなお避けることができない事故であること
という要素をいずれも満たす必要がある
①に該当するものとしては、例えば、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく対応が取られる中、営業を自粛するよう協力依頼や要請などを受けた場合のように、事業の外部において発生した事業運営を困難にする要因が挙げられる。
②に該当するには、使用者として休業を回避するための具体的努力を最大限尽くしていると言える必要がある。具体的な努力を尽くしたと言えるか否かは、例えば、
・自宅勤務などの方法により労働者を業務に従事させることが可能な場合に、十分に検討しているか
・労働者に他に就かせることができる業務があるにもかかわらず休業させていないかといった事情から判断される。
<休業手当の支払いが不要な場合の賃金>
「企業の方向けQ&A 4 労働者を休ませる場合の措置 問8」
事業主は、その雇用する労働者のうち、特に配慮を必要とする者について、その事情を考慮して対策を行う等して労働条件の改善に努めなければならず、これは新型コロナウイルス感染症に関連して労働者を休業させる場合も同様である。そのため、新型コロナウイルス感染症に関連して労働者を休業させ、労働基準法の休業手当の支払いが不要である場合についても、労使の話し合いの上、就業規則等により休業させたことに対する手当を支払うことを定めることが望ましい。
<年次有給休暇と病気休暇の取り扱い>
「企業の方向けQ&A 4 労働者を休ませる場合の措置 問9」
年次有給休暇は、原則として労働者の請求する時季に与えなければならないものなので、使用者が一方的に取得させることはできない。
事業場で任意に設けられた病気休暇により対応する場合は、事業場の就業規則などの規定に照らし適切に取り扱うこと。なお、使用者は、労働者が年次有給休暇を取得したことを理由として、賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならない。
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