公開日 2021年01月26日
更新日 2024年08月02日
【相談内容】 (高知県労働委員会)
当社では、社員の仕事と生活の調和を推進するため、テレワークの導入を検討しています。テレワーク中に負傷してしまった場合、労災保険は適用されるのでしょうか。
【お答え】
テレワークであっても、事業場における勤務と同様、一定の要件を満たせば、「業務災害」又は「通勤災害」に関する保険給付を受けることができます。
まず、「業務災害」とは、労働者の業務上の負傷、疾病、障害又は死亡(以下「傷病等」といいます。)のことです。業務災害と認められるためには、労働者が労働契約に基づき事業主の支配下にある状態において発生したこと(業務遂行性)や、傷病等が業務に起因して発生したこと(業務起因性)といった要件を満たす必要があります。したがって、労働者が私用(私的行為)や業務を逸脱する恣意的行為を行ったことなどによる傷病等は、業務災害とは認められません。
次に、「通勤災害」とは、労働者が就業に関し、住居と就業場所との間の往復、就業場所から他の就業場所への移動等を、合理的な経路及び方法で行うこと(通勤)により被った傷病等のことです。モバイル勤務(※1)やサテライトオフィス勤務(※2)において、通勤災害が認められる場合があると考えられます。
(※1) 労働者が自由に働く場所を選択できる、外勤における移動時間を利用できる等、働く場所を柔軟にすることで業務の効率化を図ることが可能な働き方のこと。
(※2) 自宅の近くや通勤途中の場所等に設けられたサテライトオフィス(シェアオフィス・コワーキングスペースを含む。)での勤務で、在宅勤務やモバイル勤務以上に作業環境の整った場所で就労可能な働き方のこと。
なお、個別の判断については、管轄の労働基準監督署が行いますが、具体的にテレワークで労災が認定された場合として、自宅で所定労働時間にパソコン業務を行っていた労働者が、トイレに行くため作業場所を離席した後、作業場所に戻り椅子に座ろうとして転倒した事例があります。これは、業務行為に付随する行為に起因して災害が発生しており、私的行為によるものとも認められないことから、業務災害と認められたものです。
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