公開日 2021年03月28日
令和2年度 地域の皆さんの活動(地域支援企画員からの報告)
いの町の取り組み(仁淀川ブロック)
<きじ養殖のきっかけ>
いの町本川地区では、昭和56年頃から地域の特産品づくりとして高麗きじの養殖がはじまりました。平成8年のピーク時には約1万羽のきじを養殖・出荷し、本川地区の大きな産業となっていました。しかし、高齢化による生産者の減少や安いブロイラー肉の普及による販売不振等によって、平成20年頃には生産者が一人のみにまで規模が縮小し、きじ養殖事業の存続の危機を迎えました。しかし、「地域の特産品を守りたい」という地域の方が本川手箱きじ生産組合を立ち上げ養殖事業を再開しました。その後、平成21年度に県の地域アクションプランに位置づけられ、平成26年度には組合を法人化し「本川手箱きじ生産企業組合」として、きじの生産拡大に向けて取り組んでいます。
【きじの雛】 【成長したきじ】
<きじの食材としての歴史について>
きじ(雉)というと桃太郎のお供というイメージを思い浮かべる方が多くいらっしゃると思います。しかし、きじは平安時代頃から希少で非常に美味な食材として食べられており、ハレの日には欠かせない食材として重宝されてきました。そのことは徒然草にも、「鯉ばかりこそ、御前にても切らるゝものなれば、やんごとなき魚なり。鳥には雉、さうなきものなり。」(訳:鯉料理は、天皇陛下の御前で調理されるもので、実に貴い魚である。鳥の中ではきじが同様だ)という記載があるほどです。また、現在でも、お正月の三が日に両陛下に出されるご朝餐「新年御祝先付」では雉子酒が、ご即位にともなう重要な儀式「大嘗祭」では焼雉が出されています。本川手箱きじ生産企業組合では、この歴史ある食材を活用した商品開発をして一般消費者に届けています。
【きじの鍋セット】 【手箱きじのレバーパテ】
<これまでの取り組み>
平成26年度に法人化をしてからは、商談会やイベントへの積極的な参加を通して販路拡大と本川手箱きじのPRを実施してきました。その結果、きじの取扱事業者の増加や認知度の向上により販売量も増加し、飼育羽数も4,000羽を超えるようになりました。さらに、令和元年度には地域おこし協力隊が運営する本格的なきじ料理が食べられる店が地元本川でオープン、令和2年度にはいの町内できじ料理の提供をする店舗のスタンプラリーイベントを開催するなど、徐々に食材としての「きじ」の認知度が高まっていきました。また、販路拡大だけでなく、衛生面でも平成29年度に高知県版HACCP第2ステージの取得、そして、令和2年には衛生管理の高度化及び生産能力拡大のために高知県産業振興推進総合支援事業費補助金を活用して加工処理施設の改修を実施し、より安心・安全なきじ肉を提供できる体制になりました。
【本川地区でオープンした飲食店「木の根に萌す。」】 【木の根に萌す。のきじ料理】
<地域支援企画員の活動内容>
日頃のささいな相談事の解決にはじまり、関係機関との情報交換の場作り、イベントの企画など事業者の課題に応じてさまざまなことに携わっています。
食品衛生の法律が改正され、HACCP(※)に沿った衛生管理が必要となった際には事業者のHACCP取得に向けて一緒に取り組みました。保健所などの関係機関との調整、事業者と一緒にHACCP研修への参加、申請書類作成に対するアドバイス、専門家派遣制度の活用など取得に向けて支援をしてきました。きじの販路拡大に向けては、商談会などの情報提供をするだけでなく、新しいイベントを一緒に企画をしたり、事業者・いの町役場職員と首都圏できじのPR等も行いました。
また、施設の老朽化等で施設改修が必要となったときは、県の産業振興推進総合支援事業費補助金を活用して施設改修を実施しました。補助事業の申請にあたっては、事業計画・収支計画の作成、事業のメリット・デメリットの検討、プレ審査会の実施等、申請に向けた準備をいの町役場、高知県中小企業中央会、家畜保健所などさまざまな関係者の力を借りながら事業者と取り組みました。
※HACCP・・・食品等事業者自らが食中毒菌汚染や異物混入等の危害要因(ハザード)を把握した上で、原材料の入荷から製品の出荷に至る全工程の中で、それらの危害要因を除去又は低減させるために特に重要な工程を管理し、製品の安全性を確保しようとする衛生管理の手法。
【きじ施設改修の落成式の様子】 【きじPRのためのイベント企画】
<今後の取り組みについて>
食材としてのきじの認知度は徐々に高まっていますが、全国的な認知度は低く、特に県外に対してはまだまだPRが必要な段階です。今後は、これまでの商談会への参加やイベントでのPRに加えて、プレスリリースやSNSの活用等により、県外への情報発信などの県外・全国的な認知度向上・販路拡大に向けての取り組みを実施していく予定です。今後も、いの町と事業者のよき理解者・パートナーとして、引き続きいの町の特産品である本川手箱きじの取り組みへの支援をしていきたいと考えています。
また、令和元年の改元の年に、吉兆の証と呼ばれる非常にめずらしい白いきじ(※)が本川に生まれました。「手箱姫」と名付けられたこの白いきじは、組合のシンボルとして、より一層きじの認知度向上の後押しをしてくれればと期待をしています。
※白いきじ:瑞祥の証としてあがめられてきた鳥で、650年に朝廷に献上されたことをきっかけに元号が大化から白雉元年に改められた歴史があります。
【飼育40年の歴史で初めて生まれた白いきじ「手箱姫」】 【専用の飼育小屋で飼われている手箱姫と通常のメスのきじ】
【この記事に関するお問い合わせ】
いの町(吾北・本川担当)地域支援企画員 電話:088-850-5657
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