公開日 2022年03月22日
この島で暮らし続けていくために ~沖の島・鵜来島の新たな挑戦~
離島における集落活動センターの取り組み(宿毛市/幡多ブロック)
1 高知家の『島』に来てみたや
高知県には集落を有する離島が2つあります。それが宿毛市の沖の島と鵜来(うぐる)島です。豊かな自然に恵まれていることで、磯釣りやダイビングの聖地となっており、渡船業や旅館業などを営む方も含め、沖の島では5つの集落に約110名、鵜来島では1つの集落に約20名が居住しています(令和3年12月末時点)。
定期船が島に着くと、集まった島民が船荷を積み降ろします。島ならではの共同作業の一例です。常駐の医師がいないため、海が荒れ定期船が欠航すると、医師が来られなくなるなど、生活物資の確保だけでなく医療など様々な面で不便なことが多いだけに、島民どうし助け合って暮らしています。
さらに、主要産業であった漁業の衰退などに伴い、人口流出や高齢化が進み、生活に欠かせない共同作業や祭りのような地域行事を今後どうやって守っていくかが問われています。
2 これまでの取り組みと課題
「ここで手を打たなければ、近い将来、私たちの集落がなくなってしまう」という危機感から、暮らしを続けられる島づくりの砦(とりで)として、平成28年度に集落活動センターが両島で立ち上がりました。
①沖の島集落活動センター「妹背家(いもせけ)」
沖の島で買い物のできる場所が個人商店1カ所を残すのみとなっていたため、「妹背家」では、島のコンビニ「いもせや」の経営を始めました。
他にも、惣菜販売サービス、炭窯づくり、特産物を使ったお土産の開発、シーカヤック体験の提供、電動自転車のレンタル、登山コースの開発、SNSやHPでの情報発信など、精力的に活動の幅を広げ、地域に活気を生み出してきました。
そのうちの惣菜販売サービスでは、月に2回ほど、島民向けに惣菜を手づくりして販売してきました。これまで運営メンバーが島北部の母島地区の住民に偏っていて、特定の方に負担が集中していたこともあって、令和3年4月から休止していましたが、南部の弘瀬地区の住民も交えて話し合ってきた結果、各自の関われるレベルで自分たちがやりやすい運営をしていこうという合意のもと、島全体に参加者が広がる形で令和3年10月に再スタートを切りました。
困っている島民を助けたいという思いで、年配の方から知恵を借りつつ、みんなが参加できる方法を議論する様子は、役員の方による話し合いの場づくりと参加住民の当事者意識の賜物だと感じました。
②鵜来島集落活動センター「鵜来島(うぐるしま)」
島内唯一の集落で活動センターを立ち上げました。鵜来島では、65歳以下の少数の青壮年が中心となり、定期船からの荷物の積み降ろし、郵便配達、救急対応、売店管理などをこなしています。お年寄りの困り事解決を含め、5名ほどが日々フル稼働で切り盛りしているため、思いはあっても新しいことに手を出す余裕がない状況が続いています。
3 これからの挑戦と支援
沖の島と鵜来島の両島とも、地区長さんをはじめ、地域のほとんどの方が島に強い愛着を持ち、「無人島にしたくない」という思いを持っています。それゆえ、そんな島民の方と一緒になり、地域コミュニティを持続させるお手伝いをすることが地域支援企画員の役割だと考えています。これまで可能な範囲で、会議や活動の場に同席し、状況を見せていただくとともに、必要に応じ、自身の経験も踏まえて助言をさせていただきました。
①沖の島集落活動センター「妹背家」
今、沖の島で試行錯誤している活動として炭焼きがあります。島内で調達した赤土やレンガを使って島民が一から造り上げた炭窯により、島内産の原木を炭にする取り組みです。炭焼きは令和3年3月と12月に行いましたが、経営管理も含めたステップアップのため、「中山間地域振興アドバイザー」制度を活用し、近々、同じ幡多地域の炭焼き職人にアドバイスをいただく予定です。
沖の島での炭焼きはエネルギー自給や収入確保の意味もあるのですが、地区を越えて顔を合わせる機会になり、島民の親睦を深め、結束を強める意義もあります。
こうした新たな取り組みの呼び水となっているのが、地域おこし協力隊の青年です。私が島を訪問するたび、多くの島民が彼の誠実な姿勢に信頼を寄せているのを感じます。彼は協力隊の任期終了後も島で暮らし続けるために起業し、沖の島の豊かな海と太陽と風の力を活かした天日塩づくりを計画しています。塩づくりを選んだ理由は、宿毛市の水産、製菓、製パン、豆腐製造、各種飲食など、食に関わる幅広い事業者と連携できるからだそうです。産業振興の面でも、段階に応じた支援制度を紹介することで、彼の志を応援していきます。
②鵜来島
集落活動センターの取り組みの他にも、島の将来について話し合われている場があります。
令和3年度は鵜来島を長らく応援してくださっている方の繋がりで、「鵜来島未来会議」が開かれ、島でのより良い暮らしを目指し、島外の方々と一緒に島の自然資源を活かした新しい取り組みについて検討されています。
こうした取り組みに合わせ、宿毛市と連携し、島の暮らしに積極的な価値を見出して地区住民と長く付き合っていける移住者の呼び込みを進めています。
コロナ禍が一段落した暁には、ぜひ一度、沖の島と鵜来島を訪ねてみてください。
この記事に関するお問い合わせ
宿毛市地域支援企画員 電話:0880-63-2057
この記事に関するお問い合わせ
所在地: | 〒780-8570 高知県高知市丸ノ内1丁目2番20号 | |
電話: | 企画調整担当 | 088-823-9333 |
成長戦略担当 | 088-823-9049 | |
地域産業担当 | 088-823-9334 | |
ファックス: | 088-823-9255 | |
メール: | 120801@ken.pref.kochi.lg.jp |