令和4年度 地域の皆さんの活動(地域支援企画員からの報告)

公開日 2023年03月29日

どぶろく文化の次世代への伝承に向けた挑戦(三原村/幡多ブロック)

1 土佐三原どぶろく合同会社の設立について

 三原村で作られるお米は、豊富な水資源や山々に囲まれた高原地帯ならではの寒暖差により育まれた「三原米」として古くから親しまれており、かつてはそのお米で「どぶろく」が造られていました。
  戦後に酒造が禁止となりどぶろく造りは途絶えましたが、平成16年に三原村が「濁酒特区」の認定を受け、村内でのどぶろく造りによる農家所得の向上と地域活性化を図る取り組みがスタートしました。
  その後、平成17年に3軒の農家食堂でどぶろく造りが始まり、平成18年からは、村を代表するイベント「三原村どぶろく農林文化祭」も始まり、「三原村のどぶろく文化」が少しずつ醸成されるとともに、どぶろく製造農家は7軒まで増えました。

 そして、平成28年には三原村のどぶろくの更なる販路拡大に向け、村内7軒のどぶろく製造農家が集まって「土佐三原どぶろく合同会社」を設立しました。

 

  田園会社外観

  【三原村の田園風景】        【土佐三原どぶろく合同会社】

 

2 「どぶろく」とは

 どぶろくは「密造酒」のようなイメージもありますが、古くから伝統的なお酒として親しまれています。
 一般的な日本酒はお米を発酵させた後、もろみをこしますが、こさずにそのまま飲むものがどぶろくです。また、日本酒以上に、原料となるお米や麹の量、発酵期間の違いで様々な風味(味わい、深み)に変化し、製造場所や作り手によって全く異なる表情を魅せるため、「三原村のどぶろく」は各銘柄で根強いファンを獲得しています。

 どぶろく(5銘柄)

【三原村のどぶろく(5銘柄)】

 

3 これまでの取り組みと課題

 土佐三原どぶろく合同会社では酒類販売業免許を取得し、村内7軒のどぶろく製造農家が一丸となって「三原村のどぶろく」の販路拡大に取り組んできました。
 しかし、コロナ禍の影響もあり、販路拡大に向けた営業活動は停滞し、売上も低迷してきました。
 令和2年には、コロナ禍によるどぶろくの売上不振をカバーすべく、新たにノンアルコールの生甘酒の開発・販売を行い、売上も伸び、一定の効果を挙げることができましたが、村内でのどぶろく製造量はピーク時から大きく減少したほか、高齢化などにより、2軒の農家がどぶろく製造から撤退するなど、村全体で創りあげてきた「三原村のどぶろく文化」が途絶えてしまう危機に直面しました。

生甘酒

【AMAZAKE(ノンアルコールの生甘酒)】

 

4 どぶろく文化の伝承に向けた新たな挑戦と今後の展望について

 土佐三原どぶろく合同会社では、このような危機的状況の中で、「三原村のどぶろく文化」を次世代に伝承していくために、各農家が長年培ってきた独自技術やノウハウを結集し、新たなどぶろくの開発及び製造・販売機能の集約に挑戦することとしました。
 具体的には、どぶろくを自社製造していくために、国の事業再構築補助金を活用したどぶろく製造工場の新設、酒類製造免許の取得、将来的な販路拡大を見据えた高知県版HACCPの取得に取り組んでいます。
 今後は、これまで培われた各農家の製造技術を結集し、三原村の立地・気候条件でないと製造できない新たなどぶろくの開発に取り組むとともに、高知県版HACCPに対応した製造ラインを整備することで、県内はもちろん県外への販路拡大に挑戦していく予定です。

新工場デモ

  【新たなどぶろく製造工場(外観)】    【導入予定である自動充填機のデモ】    

 

5 地域支援企画員の活動

 土佐三原どぶろく合同会社の取り組みは、平成28年度から幡多地域アクションプランの一つとして位置づけられており、県としても三原村役場、三原村商工会等と連携し、三原村のどぶろくによる地域活性化に向けた支援を行っています。
 これまでに、平成28年度には販売戦略の構築に向けた産業振興アドバイザー、令和元年度には衛生管理や危害分析のノウハウの習得に向けたHACCPアドバイザーをそれぞれ派遣したほか、先進地視察などを通じて生甘酒の開発をサポートしてきました。
 令和4年度はどぶろく製造工場の新設や酒類製造免許の取得に関連する手続きのサポートのほか、三原村役場と連携して国の山村活性化対策事業を活用し、販路拡大に向けた勉強会を開催しました。また、3年ぶりに開催されたどぶろく農林文化祭や県庁での販売イベント実施の支援、商談会や展示会、衛生管理等に関する情報収集・提供を行いました。
 今後も、地域支援企画員として、関係者の皆様と連携し、新たなどぶろくをはじめとする土佐三原どぶろく合同会社の商品をより多くのお客様にお届けできるよう、販路拡大や人材確保を支援していくほか、どぶろく農林文化祭などのイベント支援を通じて、三原村のどぶろく文化を盛り上げ、次世代への継承や村全体の地域活性化につながるよう、活動していきたいと考えています。

R4どぶろく農林文化祭R4どぶろく農林文化祭②

【3年ぶりに開催されたどぶろく農林文化祭の様子】

 

 県庁イベント集合写真(工場前)

【県庁での販売イベントの様子】        【土佐どぶろく合同会社の皆様】

 

6 最後に

 土佐三原どぶろく合同会社のホームページは、以下のとおりです。

 https://www.mihara-doburoku.com/

 

この記事に関するお問い合わせ

 三原村地域支援企画員 電話:0880-46-2123

この記事に関するお問い合わせ

高知県 産業振興推進部 産業政策課

所在地: 〒780-8570 高知県高知市丸ノ内1丁目2番20号
電話: 企画調整担当 088-823-9333
成長戦略担当 088-823-9049
地域産業担当 088-823-9334
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