令和4年度 地域の皆さんの活動(地域支援企画員からの報告)

公開日 2023年04月03日

土佐酒ワーキンググループの活動(芸西村、安芸市、安田町、田野町/安芸ブロック)

1 土佐酒ワーキンググループ立ち上げの経緯

 県では国内での日本酒需要が低下し、生産量が減少する中において、ニーズが高まっている海外市場への輸出拡大を図ることで、土佐酒や県産酒米の生産量を維持・拡大し、県内酒造メーカーの経営安定化と中山間振興につなげるため、「土佐酒輸出拡大プロジェクト」に取り組んでいます。
 現在、県内には18の酒造メーカーがあり、そのうち6つが安芸地域に酒蔵を構えています。そこで、土佐酒の需要拡大に向けて安芸地域本部として支援できる方策を探るため、担当の市町村に酒蔵がある地域支援企画員4名で、ワーキンググループを立ち上げました。                                             

2 取り組み内容

 土佐酒の需要拡大のためには、既存の顧客を維持するだけではなく、新規顧客の獲得が必要不可欠になります。そのためには、土佐酒を飲むことに対するハードルの高さを和らげるような情報を発信し、興味を持ってもらうことが必要だと考えます。
 しかしながら、土佐酒に関する情報はインターネット上に少なく、あったとしても日本酒初心者がアクセスするには少しレベルの高いものとなっています。
 そのため、酒蔵の紹介やそれぞれのお酒に合うメニュー等、土佐酒に関する情報をまとめたチラシ等を作成し、インスタグラムなどのSNSを用いて紹介することで、新規顧客の獲得につなげることができるのではないかと考えました。                                                                                                              

3 地域支援企画員の活動について

 グループのメンバー全員が普段から日本酒を飲む習慣がなく、そのため、当然日本酒に関する知識もほとんど持ち合わせておらず、普段の活動でも各酒蔵とはほとんど関わりがない中でのスタートでした。そういったこともあり、まずは各担当市町村の酒蔵を訪問し、地域支援企画員の存在を知ってもらうことから始めました。
 同時に土佐酒を取り巻く状況などを工業技術センターや地産地消・外商課、安芸農業振興センターの担当者から聞き取るなど情報収集を行いました。また、グループ全員で安芸市の(有)有光酒造場を訪問させていただき、お酒の作り方や作業の流れを教えていただき、実際に酒蔵の中もご案内いただきました。

 梁 蒸し米作り 有光酒造場1 (1)

 (現在、酒蔵見学は受け付けておりません。) 1903年創業。江戸時代から続く酒蔵。

 ※画像出展元:https://akitora-sake.com/about/

 

<ワーキンググループ活動を通して学んだ土佐酒の現状(概要)>

(1)土佐酒について
 高知県は「酒国・土佐」とよばれるほど酒好きが多い土地として有名であり、淡麗辛口から華やかな味わいまで幅広く楽しむことができます。
 また、高知県工業技術センターによる酵母開発も行われており、特に吟醸香に特徴がある酵母が多く、県独自の酵母保有数は全国トップクラスとなっています。酒造時期には製造中の日本 酒の分析及びフィードバックを毎週行っており、各酒造メーカーへの支援体制も確立されています。

(2)酒米について
 酒米は食用米に比べて栽培が難しく、収量が少ない傾向にありますが、食用米の価格が下落していることや県内の酒造メーカーによる県産酒米の使用率が上昇しているため、近年、県内の酒米作付面積は拡大傾向にあります。
 しかしながら、農家の高齢化による管理不足や気温上昇などにより品質にばらつきがあるため、酒蔵による県産酒米の使用率は約30%とまだまだ低調です。

(3)酒米の作り手の維持・拡大について
 上記のとおり、県産の酒米の使用率は増加傾向にあり、今後さらなる使用率上昇のためには酒米の作り手の確保が必要となります。しかしながら、酒米に限らず水田営農の担い手確保は大きな課題となっています。米価の下落や施設園芸の収益性の高さなどから、個人で稲作に新規就農したいという希望者は少ない状況です。

(4)酒蔵の人材確保について
 土佐酒を維持・発展させていくためには、酒蔵の酒造りや販売促進に係る人材の確保が重要となってきます。県内の酒蔵の中には、就職サイトへの掲載や就職相談会への参加を通して人材獲得に取り組むところもあるものの、以前として人材が不足しているのが現状です。                                                                                    

4 今後の方向性について

 土佐酒に関する勉強を進めるなかで、当初想定していた以上に県(工業技術センターや地産地消・外商課など)の支援がしっかり入っていることがわかりました。そのなかで、専門的知識を有さない地域支援企画員が、各酒蔵のためにできることは一体何だろうかという壁にぶつかりました。しかし、同時に土佐酒を取り巻く課題も明らかとなっていき、上記で記載したように原料となる酒米や土佐酒の作り手の確保、SNSを活用した新規顧客の獲得について、県の各専門部署や市町村と連携しながら応援するという部分に、地域支援企画員としての役割を見出しました。
 今年度は、その第1弾として、安芸地域の酒蔵の情報や各地域支援企画員がおすすめする土佐酒とそれに合う料理を紹介したチラシを作成することとしました。
 チラシの作成にあたっては各酒蔵にも内容を確認していただき、各酒蔵の目指している酒造りの方向性をお聞きしながら進めました。
 今後は、このチラシを地域支援企画員のインスタグラムにアップするほか、道の駅などに掲示することを検討しています。今回のチラシ作成をきっかけに、県の支援策の情報提供のほか、需要拡大に向けたイベント開催や仕組み作りを提案するなど、各酒蔵との関係を深め、何か困ったことがあれば「とりあえず地域支援企画員に相談してみよう」と思っていただける存在になることを目指して、引き続き取り組みを進めていきたいと考えています。

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