7−10 試し出勤制度と傷病手当金

公開日 2024年04月03日

【相談内容】 (愛媛県労働委員会)


 心身の不調のため、会社を3か月休んでいます。休職して無給となったので、健康保険組合に傷病手当金を申請し受給していますが、このたび、少し体調が良くなったという診断書を会社に提出したところ、会社から職場復帰に向けた「試し出勤(リハビリ出勤)」を提案されました。会社の説明によれば、通勤訓練が終わってから、「試し出勤」を開始し、最初は午前中3時間、次は5時間、最後は7時間と、順調に進めば2週間おきに職場にいる時間を増やしていくとのことです。
 「試し出勤」を開始すると、傷病手当金は支給停止になるのでしょうか。傷病手当金が支給停止になると、収入が減ってしまいます。

【お答え】


 「試し出勤」を開始した場合でも、保険者(健康保険組合)が依然として療養のため労務に服することができない状態であると判断したときは、傷病手当金は継続して支給されます。その判断基準は保険者(健康保険組合)によって異なるため、まずは、健康保険組合に確認しましょう。
 また、「試し出勤」制度は、労働者の職場復帰を支援するためのものです。職場復帰の段階を踏むことは大事ですが、「試し出勤」を始めたことによって収入が減少して、労働者をかえって不安にさせたり、職場復帰の意欲を失わせたりすれば効果が得られません。会社から提案された「試し出勤」の内容について、分からない点や不安があれば、会社とよく話し合い、説明を求めましょう。
(※試し出勤制度の概要については、労働相談事例「試し出勤制度」を確認してください。)

【解説】
 傷病手当金とは、健康保険の被保険者が業務外の病気やケガ等が原因で仕事を休んだ期間について、1日につき標準報酬日額(標準報酬月額÷30)の3分の2に相当する金額が、健康保険組合から支給される制度です。
 傷病手当金の請求は、被保険者(労働者)が所定の申請書に必要事項を記入し、医師及び事業主(会社)の証明を受けて、保険者(健康保険組合)に行います。
 したがって、傷病手当金を支給するかしないかの判断・決定をするのは健康保険組合になります。賃金が支払われる「試し出勤」を開始しても、その労務の内容や時間、賃金の額等が療養前と大きく異なる場合には、保険者(健康保険組合)の判断により傷病手当金の支給が継続されることがあります。

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この記事に関するお問い合わせ

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