気候変動への適応

公開日 2024年11月06日

更新日 2024年11月06日

 

 地球温暖化がもたらす気候の変化とその影響に対して、私たちは何ができるのでしょうか。                                     

                                                           

そもそも温暖化しているのはなぜ?

 人間活動によって温室効果ガスが増えたことが、温暖化の主な原因です。
 温室効果ガスとは、ガソリンや石炭などを燃やすと発生する二酸化炭素やメタン、一酸化二窒素などを言います。
 産業革命以降、化石燃料の使用が増えた結果、大気中の二酸化炭素の濃度が増加しました。

温室効果ガス
  昼間、太陽の熱で温まった地球は、夜になると赤外線を出して熱を放出します。温室効果ガスは熱の放出をある程度防いでくれるので、地球は一定の気温が保たれています。しかし、温室効果ガスが増えると、熱の放出を防ぎすぎて、気温が高くなってしまいます。これが地球温暖化です。
  

地球温暖化を抑制する「緩和」と気候変動への「適応」

①緩和

 「緩和」とは、地球温暖化の原因となる温室効果ガスを減らすことです。
 私たちの未来の生活を守るためには、気候変動の抑制にもつながる「緩和」の取組が必要です。
 例えば、節電する、エコカーを使う、洋服を長く着る、食品ロスを減らす。
 このような温室効果ガスの削減策は、気候変動を緩やかにするためにもとても大切です。

                   
②適応

 気候変動がもたらしている変化や困りごとに備えたり、工夫して対応することを「適応」と言います。
 例えば、熱中症を予防する、大雨の時に逃げる場所を前もって調べておく、気温が高くてもおいしい農作物が作れるように研究する。
 私たちの健康や暮らしを守るためには、このような適応策が必要です。

 

高知県の産業分野の適応策

*農業(米)

 高知市の7月、8月の平均気温は、過去100年で約2.0℃上昇しています。
 このため、稲作がさかんな地域では、白くにごった米が増えるなど品質低下が問題になりました。
 そこで、高知県農業技術センターは、暑さに強くておいしい「よさ恋美人」という米を開発しました。
 その味は「コシヒカリ並み以上」の評価を受けています。


   
  (白くにごった米)            (よさ恋美人の白米)
 画像提供:農林水産省、農業・食品産業技術総合研究機構
      高知県農業技術センター

*農業(みかん)

 高知県のブランドみかん「山北みかん」の栽培地でも、気候変動の影響で困りごとが起きています。
 日照りや高温が続くと、みかんの皮が日焼けしたり、皮が浮くなどの品質低下が見られます。また、害虫の発生も多くなっています。逆に、冬は寒さで木が枯れることもあります。また、温室みかんの栽培では、夏のハウス内の温度が40℃を超えるため、農家が熱中症の危険にさらされています。

   (皮の日焼け)       (皮が浮いたみかん)      (害虫の発生)      (寒さで枯れた木)

 その対策として、みかんが日焼けしないように、実に白い布をかぶせています。また、害虫に適した農薬を使いながらタイミングよく消毒することで、害虫被害の発生を防いでいます。
 ハウスでは、屋根を遮光ネットで覆って日よけしたり、空調服を着て作業を行うなどの工夫をしています。

   (摘果するみかん)   (白い布をかぶせたみかん)      (空調服)         (遮光ネット)


* 水産業

 高知県水産試験場が実施している海洋調査によると、2月、3月、10月、11月の土佐湾の海面の平均水温は40年ほどで約2.0℃上昇しています。
 2020年には記録的な高水温となったため、宿毛湾で養殖魚が大量死しました。暑さが魚のストレスになり、免疫が落ちた結果、病気になり大量死したのです。そのため高知県では、漁業指導所が養殖業者に対し、水温情報の定期的な連絡や暑い時の餌の調整について指導しています。
 また、沿岸の藻場がなくなる「磯焼け」も起きています。これは水温の上昇とそれに伴い、ウニなどの藻を食べる生物が活性化することが原因です。海藻が減少すると、アワビなどの漁獲量が減るため、地元の人たちとウニの駆除を行っています。

   (海洋漁業調査船「土佐海洋丸」)     (ウニによる磯焼け)                 (養殖場)
出典:高知県水産試験場ホームページ

暮らしの中の適応策

*熱中症予防

 今後、さらに暑さが厳しくなり、最高気温が40℃を超える日が珍しくなくなる可能性があります。
 熱中症にならないために、正しい熱中症の予防・対策を一人ひとりがしっかり実践していくことが必要です。


 

*感染症

 デング熱やジカ熱、日本脳炎といった病気は、蚊が原因となるウイルスを運び、その蚊に刺されることで感染してしまいます。発症すると、重症化し、命が危険にさらされることもあります。また、たくさんの人が刺されると病気がまん延する可能性があります。
 デング熱のウイルスを運べるヒトスジシマカは、暖かい地域に生息しています。温暖化が進むと、生きられる地域が日本でもさらに広がると考えられており、蚊に刺されない、発生させない適応策が必要になります。



イラスト出典:気候変動適応情報プラットホーム

未来のために取り組もう!

 「適応」と聞くと難しく思うかもしれませんが、私たちが日頃の生活の中ですぐに出来ることがたくさんあります。
 気候変動を抑制し、私たちの未来の生活を守るため、温室効果ガスの排出削減や既に生じている気候変動の影響への対応を進めていく緩和策と適応策を並行して進めていきましょう!


この記事に関するお問い合わせ

高知県 健康政策部 衛生環境研究所

所在地: 〒780-0850 高知市丸ノ内2丁目4番1号 保健衛生総合庁舎
電話: 総務担当 088-821-4960
企画担当 088-821-4961
保健科学課 088-821-4963
生活科学課 088-821-4964
環境科学課 088-821-4697
ファックス: 088-821-4696
メール: 130120@ken.pref.kochi.lg.jp
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