令和6年度 地域の皆さんの活動(地域支援企画員からの報告)

公開日 2025年04月01日

「日南・大平集落活動センターひなたぼっこ」が実施する伝統野菜「ぼたなす」の保存・外商の取り組み(室戸市/安芸ブロック)

1 日南・大平集落活動センターひなたぼっこの概要

 室戸市吉良川町東ノ川沿いにある日南・大平地区は人口約50人の小さな集落です。令和元年8月、日南・大平地区の特色ある取り組みを継続・発展させ、住民主体による豊かな地域を作ることを目的として「日南・大平集落活動センターひなたぼっこ」が立ち上がりました。令和5年11月に拠点施設が完成し、令和6年1月にはオープニングセレモニーを盛大に開催したところです。
 現在、「日南・大平集落活動センターひなたぼっこ」では部会を立ち上げ、観光部会では主に月1回のモーニング、月2回の百歳体操・お茶会、夏祭りやお花見といった季節イベントなどを開催、農林部会では伝統野菜「ぼたなす」や田芋の栽培・収穫体験・販売等を実施しています。

 

 [日南・大平集落活動センターひなたぼっこ拠点施設]

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2 「ぼたなす」とは

 「ぼたなす」とは、日南・大平地区で百年以上栽培されてきた巨大露地ナスです。通常ナスの約5倍の大きさがあり、加熱時のトロトロ感・クリーミー感が特徴です。全国版のテレビや地元新聞等でも何度か取り上げられるほど、注目度が高く、地元の吉良川町では高い評判を得ていました。また令和4年度に開催された「にっぽんの宝物 JAPANグランプリ2022-2023」では、最強素材&加工部門で準グランプリを獲得しました。
 この「ぼたなす」、かつては地区住民それぞれの家庭で栽培されていましたが、生産者は年々減少し、令和6年度時点で生産者は5軒、そのうち直販所等に出荷されている方は3軒となっています。
 この絶滅の危機に瀕している「ぼたなす」を後世に繋いでいくため、日南・大平集落活動センターひなたぼっこの皆さんが、「ぼたなす」の保存・外商に向けて取り組みをスタートさせました。その活動の一部をご紹介します。

 

[左が「ぼたなす」、右が通常の高知ナスです。]

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3 「ぼたなす」保存の取り組み

①協働農園事業
 生産者を増やすためには、負担がかからない形で多くの方に栽培経験を積んでもらい、生産ハードルを下げる必要がありました。そこで日南地区に協働農園を設置し、複数の生産者で作業を分担して回す仕組みを作りました。
 令和5年度には12名の方に参加していただき、令和6年度にはこの協働農園出身者2名に各自でぼたなすを栽培していただきました。

②ぼたなすの形質を守る「種」の保存
 ある時、地区の方から「ぼたなすの形が昔と違ってきちゅう。」という声がありました。安芸農業振興センター室戸支所によれば、これは他のナスとの交配が起きており、年々変化が生じているからではないかとのことでした。
 そこで安芸農業振興センター室戸支所の指導のもと、現在栽培しているぼたなすの苗から、最も形状がぼたなすらしいと思われるものを地域住民に選んでもらい、そこから採取して次作に播種する仕組みを作りました。また種子を生産者に販売するという取り組みもスタートさせました。
 これまでは生産者が自家採種を行っていたため、自然交配や品質のばらつきが起きやすい状況でしたが、この取り組みにより、本来の「ぼたなす」を守っていくことが可能となりました。
 また種の販売を室戸市内の生産者に限定することにより、自然交配の防止をさらに強化しています。

③商標登録
 「ぼたなす」を保存・外商していくにあたり、「ぼたなす」という名前を守ることが、将来にわたって日南地区内外の生産者の利益保護に繋がるものと考え、商標登録に挑戦することとなりました。令和7年度の収穫時期までの登録を目指しています。

 

4 「ぼたなす」外商の取り組み

①インボイスを含む税申告への対応
 外商を進めていくためには、令和5年10月から制度運用が開始されたインボイスへの対応が喫緊の課題でした。また日南・大平集落活動センターひなたぼっこは任意団体ですが、収益事業を本格的に開始するとなると、法人税等の納付も必要不可欠でした。
 そこで令和6年度以降、室戸市商工会の支援を受けながら、税申告開始の手続きをとり、同年7月にはインボイスへの対応を完了することができました。

②県内スーパー・飲食店・宿泊施設等との商談
 令和5年7月下旬、生産量はあるものの販路が確保されていなかったため、道の駅キラメッセ室戸に「ぼたなす」が大量に並び、売れ残りが起きてしまうという事態が発生しました。
 令和6年度は、前年度の反省を生かし、5月頃からスーパーや飲食店、宿泊施設等への商談を実施した結果、複数の新規取引先を獲得することができました。ただ、前年度とは反対に、酷暑によって生産量が伸び悩んだため、取引は停滞しましたが、「ぼたなす」の味や見た目を評価していただける事業者の皆さんと繋がることができたのは、大きな収穫となりました。

③集出荷事業・雨よけハウス設置
 外商を目指すにあたり、各所で指摘されたのが「量・ロット」の問題でした。「ぼたなす」は品種改良等がなされていないため、病害虫に弱く、また1苗あたりの生産量も通常ナスと比較して限られていること、また生産者が年々減少していることから、日南地区のみで外商に必要な生産量を確保することは困難でした。
 そこで令和6年度からは、室戸市内の生産者から日南・大平集落活動センターひなたぼっこが集荷を行い、それらをまとめて県内外に出荷する仕組みを作り、安定供給の実現を図りました。
 また同年度、雨よけハウスを試験的に導入し、収穫期間の延長や病害虫対策の強化を通じて、生産量の増加に繋げています。

④出店販売
 「ぼたなす」を知らない方に買ってもらうためには、まずは食べていただき美味しさに気づいてもらうこと、また調理方法等を紹介することが重要だと考え、道の駅キラメッセ室戸やJAファーマーズマーケットとさのさとで試食販売会を実施しました。両回とも午前中で約100本を完売するほどの盛況となりました。

5 地域支援企画員の活動内容

○1年目(R4年度)
 1年目は、役員会への出席やイベントへの参加を通じて、現状・課題の把握や地域住民との関係づくりが主な業務となりました。新型コロナウイルス感染症の影響もあり、活動が停滞していることをもどかしく思いながら、支援員として何かできることはないかを模索していた日々でした。そんな中で「ぼたなす」を知り、こんな美味しくてインパクトのある素材をなんとか世に広めることはできないかと考えていました。

○2年目(R5年度)
 2年目は、拠点施設の整備が進んでいたこともあり、住民の皆さんのやる気が高まっていた時期でした。支援員としては、9月頃からオープニングセレモニー(落成式)の準備や、拠点施設完成後の活動計画作り(ワークショップの実施)、営業許可取得に向けた安芸福祉保健所との調整、インボイス登録等に向けた税申告開始の手続き等に関する支援を行いました。

 また、「ぼたなす」の集出荷事業について、集落支援員さん、安芸農業振興センター室戸支所とともに検討を重ね、日南・大平集落活動センターひなたぼっこのメンバーに提案し、無事承認をいただきました。

○3年目(R6年度)
 3年目は、「ぼたなす」の外商や会計事務に関する支援を主に行いました。外商支援としては、県内事業者との商談や、食品卸業者・高知県地産外商公社等との面談を行うための東京出張への同席、それに際し必要な紹介用チラシ・資料の作成を実施しました。会計事務支援としては、室戸市商工会に帳簿の作成方法等についてご指導をいただきながら、集落支援員さんとともに必要書類等を作成しました。
 また東京出張時にアドバイスを受けた商標の登録についても、関係機関(INPIT)を紹介し、登録に向けた文書作成支援等を実施しました。

 

6 今後の展望

 集落活動センターのメンバーはほとんどが70代のため、近い将来、活動の継続が困難になる可能性が非常に高いと思われます。しかし、何もせずにそのときを待つのではなく、「ぼたなす」のような貴重な地域資源を生かし、地域を活性化させ、地域住民の生きがい作りを行いながら、関係人口を増やしていくことこそ、中山間地域対策の最たるものだと感じています。
 「ぼたなす」を通じて、日南・大平地区を知ってくれる方や室戸市に遊びに来てくれる方が今よりもっと増え、日南・大平地区の方々が今以上に元気になっていただければ、こういった活動も実を結んだものと言えると思います。

 ※「ぼたなす」は7月下旬~10月下旬にかけて、
  道の駅キラメッセ室戸「楽市」(室戸市吉良川町)
  JAファーマーズマーケットとさのさと(高知市北御座) 等で購入することができます。
  また飲食店等の皆さまにおかれましては、個別注文・発送も実施しておりますので、

    以下連絡先までお問い合わせください。

 

 〈連絡先〉
   日南・大平集落活動センターひなたぼっこ
   住所:室戸市吉良川町甲1112
   TEL:0887-25-3777
   E-mail:2023hinatabocco.life@gmail.com

 

keshiki

 

この記事に関するお問い合わせ

 室戸市地域支援企画員 電話:090-1573-8895

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所在地: 〒780-8570 高知県高知市丸ノ内1丁目2番20号
電話: 企画調整担当 088-823-9333
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