公開日 2007年07月10日
更新日 2014年03月16日
中小企業等協同組合法等の一部を改正する法律が改正され、平成19年4月1日から施行されました。
今回の改正により、全ての事業協同組合・同連合会、事業協同小組合、火災共済協同組合・同連合会、企業組合、商工組合・同連合会、協業組合の運営方法が大きく変わります。
今回の改正点について
- 中小企業組合の運営に関する制度が全面的に見直されます。
- 共済事業の健全性を確保するため、新たな制度が導入されます。
全ての中小企業組合に関係する変更点
- 役員の任期が変更されます。理事の任期が2年を超えている場合、定款を変更して2年以内に短縮しなければなりません。また、監事の任期は4年まで延長(定款変更が必要)ができます。
- 理事による利益相反取引が制限されます。
- 監事の権限がこれまでの会計監査に加え業務監査も行うように拡大されます。組合員数が1000人以下の組合では監事の権限をこれまでどおり会計監査のみに限定することができますが、この場合、組合員の権限が強化されます。
- 決算関係書類等に関する手続きが明確化されます。決算関係書類を通常総会の招集通知と併せて組合員へ提供する必要があります。
- 会計帳簿について、会計帳簿の閉鎖後10年間の保存が義務づけられました。また、会計帳簿の閲覧請求要件が、総組合員の「10分の1」から「100分の3」(共済事業を行う組合及び信用協同組合・連合会を除く)に緩和されました。(定款でこの割合をさらに緩和することも可能です)。
- 決算関係書類、事業報告書、監査報告の作成基準が定められました。
- 規約等の軽微な変更、内容の実質的な変更を伴わない関係法令の改正に伴う規定の整理、共済規程の変更については、総会の議決を要しないこととすることができるようになりました。ただし、総会の議決を要しない事項の範囲及び当該変更内容の組合員に対する通知方法等を定款で定める必要があります。
- 理事、監事の報酬の設定は、それぞれに区分し、総会の議決を経るか、定款へ記載することが必要となりました。
組合員1000人以上の大規模組合に上乗せされる変更点
- 監事の業務監査権限が義務となります。
- 最低1名の員外監事を選出することが義務となります。員外監事は、「組合員又は組合員たる法人の役員若しくは使用人」以外のものであって、かつ、就任前5年間に当該組合等の理事、使用人などでなかった者でなければなりません。
- 余裕金の運用方法が制限されます。共同出資会社などの株式を取得している場合、対応が必要です。
共済事業を実施する組合に上乗せされる変更点
- 共済事業の定義が創設されました。
規制対象となる共済事業であるかどうかは、組合員に支払われる金額が10万円を超えるか否かで判断されます。また、商工組合・商工組合連合会では、共済金額が10万円を超える共済事業の実施が禁止されます。 - 共済事業を実施する場合、共済事業の内容、共済事業の実施方法、共済掛金・責任準備金の算出方法などを内容とした共済規程を作成し、認可を受ける必要があります。
- 共済事業と共済事業以外の事業を兼業する場合、それぞれを区分して経理することが必要となります。
- 共済事業に関する賦課金の徴収は禁止されます。
- 共済契約に基づいた共済金の支払に充当するための責任準備金や支払準備金の積立てが義務づけられます。また、利益準備金の積立て基準が引き上げられます。
- 共済事業を実施する組合に対しては、組合員数が1000人を超えていなくても、余裕金の運用が制限されます。
- 年度末時点での負債総額が200億円を超える組合は、翌年度において、公認会計士監査法人の会計監査が義務づけられます。
- 共済計理人(共済事業の数理計算に専門的な知見のある者)を共済事業に関与させることが義務づけられます。
- 組合員である契約者に対して重要事項を説明する義務や、公衆に対する業務・財務に関する説明書類の公表が義務づけられます。
- 共済事業の募集・代理契約を行う共済代理店についても、保険業法と同様の行為規制が導入されます。
- 共済事業の損失が発生した場合に、総会の議決により、組合員である契約者に対して、共済金額の削減や共済掛金の追徴ができる旨の規定を定款に記載することが義務づけられます。
組合員1000人以上でかつ共済事業を行う組合に上乗せされる変更点
- 組合員数が1000人を超える大規模な共済事業を行う組合(特定共済組合)は、「共済協同組合」「共済協同組合連合会」の名称を使用しなければなりません。
- 共済事業以外の他の事業を兼業することが、原則として禁止されます。
- 最低出資金規制が導入されます。特定共済組合の出資金は1, 000万円、再共済等を行う特定共済組合及び特定共済組合連合会は3,000万円を下回ることができません。
- 組合が、保有する共済リスク等に見合った支払余力を確保しているかに関する基準(健全性に関する基準)も設定されます。
関連リンク
中小企業組合制度の改正に関するパンフレット(PDFファイル)(中小企業庁)
中小企業組合制度が改正されました!(全国中小企業団体中央会)
新しい中小企業組合制度の概要(PDFファイル)(全国中小企業団体中央会)
この記事に関するお問い合わせ
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