公開日 2013年03月27日
更新日 2014年03月16日
2004年10月20日
第6回INAPシンポジウム:青島港
連携:より強く、より大規模な港湾の傾向
青島港(集団)有限公司 董事長
常 徳傳
皆さんこんにちは。
この美しいセブ島でINAPの年次会議に出席し、港湾開発に関する貴重なご意見を賜り、国際的な海上運送の現状および姉妹港のかたがたとの協力関係の議論をさせていただくことを光栄に存じます。
光陰矢の如しとはよく言ったもので、前回、主催させていただきました青島でのINAP会議があたかも昨日のことのように思い出されます。この1年間を振り返りますと、INAP会員各位がそれぞれのお立場で尽力されてきたことが伺われます。2003年、青島港が取り扱った貨物は1.4億トンでした。3年連続で2,000万トンずつ成長したことになります。海外貿易量も1億トンを優に超え、中国本土で第2位となりました。424万TEUのコンテナ貨物の取り扱いは、北東アジアでは上海に次いで2位です。また、世界の港湾では14位にランクされています。原油の取扱量は2,882万トンで、これは中国最大、また、銑鉄の取り扱いは4,524万トンで、うち3,495万トンが輸入ですが、これも中国最大ですし、世界でも第2位にランクされています。
さて、本年のINAPシンポジウムの議題は、現代の海運の状況にまったく適したものです。いくつかの点を皆様にご紹介いたしたく存じます。
1.港湾民営化に関する私見
本年の会議のテーマである「港湾民営化または港湾事業における民間部門の役割−公共サービス向上のための動機としての利益−」は、現在、港湾がおかれています環境を考えるとまことに適切なテーマです。つまり、港湾の所有を公共から非公共へ、すなわち民営化することです。
個人的には、私は港湾の民営化は非常に良い考えであると思います。民間が港湾運営にますます参加するようになります。港湾のいくばくかをある方法で所有することも含まれます。たとえば、貸借、合弁事業あるいは排他的投資等が含まれます。また、政府は直接所有あるいは直接管理を一部あるいはすべて手放し、港湾建設にマクロ的な機能を果たし、また、法制化を計画するという役割のみを持つことになります。民営化の目的は、管理運営システムを向上させることにより港湾開発を図ることでありますが、その一方、民営化は、政府による港湾建設投資への支出を減少させ、投資家による巨額の資本を注入して港湾の技術のレベルを引き上げることにより経営効率を向上させることができます。
現在の民営化の形態は、主に、外国や国内からの投資、民間資本による購入、国の資本の撤退、企業家やその社員への委譲、株式公開等であります。小規模港湾にとっては、一人の投資家が排他的にこれを保有することがまったく可能ですが、大規模港湾にとっては、そうではありません。大規模港湾が一人の投資家により所有されることは、大多数の投資家や政府にとっては好ましい選択ではないのです。大規模港湾が合弁や協力等の提携形態で使用されているのも、ここに理由があります。この提携は、先進の経営、安定した貨物のフロー、すべての面における可能性の開発につながります。
2.世界の企業における提携の傾向
企業が提携することにより、競争力のアップと、リスク回避が可能です。企業はここ数年、提携の速度を速めてきました。その業種も、鉄鋼、医療、通信会社、運輸、エネルギー、消費財や公共企業などの地域サービス企業にもまたがっています。たとえば、鉄鋼会社のトップ企業であるアーセラー社(Arcelor)は、フランス、スペイン、ルクセンブルグの企業が合併してできた企業です。航空会社のグローバルな提携も形成されました。たとえば、ワンワールドアライアンスのスカイチームのような大規模な提携が生まれました。統計では、トップ航空会社41社のうち、35社、市場シェアにして80%がなんらかの提携に入っています。
提携の傾向は、港湾、運送会社、荷主にも顕著になっています。ほとんどすべての大手運送会社が、コンテナ港の投資や経営にかかわってきました。Maersk、Evergreen、COSCO、OOCL、APLの5つの企業は、世界の30以上の港湾の運営や投資にかかわっています。中国では、大規模港湾のすべて、たとえば、上海港、深圳港、青島港、天津港、大連港、寧波港、広州港は、コンテナ業務で合弁に入りました。
3.青島港における提携の状態
過去10年間で、協力戦略により、青島のコンテナ業務は、年30%に近い成長を遂げてきました。大手海運業者のすべてが青島で営業を始めました。世界の80以上もの港湾会社が青島で貨物の輸送をおこなっており、寄港数も月に400回を超えています。COSCOやMSC、APL、CMAといった有数の企業が青島港を国際積み替え基地として使用しています。
世界のトップ500社と有名海上運送会社が、緊密な連携と成功する協力関係の構築のために、同盟を結びました。これが、COSCOとの合弁企業のCosport、OOCLとEvergreenとの協力によるコンテナデポ、その他の経済的な成果となって現れています。
2003年7月21日、青島港はMaersk、P&O、COSCOとの間で、世界規模のコンテナターミナルを運営する8.87億ドルの契約に署名しました。わが国の温家宝首相、イギリスのトニー・ブレア首相の出席のもと、署名式典がおこなわれました。この合弁事業は本年1月9日に正式に開始されています。9ヶ月がたちましたが、その間、19の新しい業務が立ち上がり、取扱量も28%の増加を見せています。3カ国から4つの企業の提携は、青島港に技術ノウハウ、経営、貨物積み下ろし業務、貨物のフロー、資本をもたらしました。署名後3ヶ月足らずの2003年10月19日には、MaerskからAE6の本船の入港がありました。2004年8月2日、TP2 大規模輸送サービスが立ち上がり、Maerskの北部オフィスが天津から青島に移されました。この連携はすでに海上輸送業界の注目を集めています。
連携の進展は、港湾と荷主との間の協力にも見られています。たとえば、港湾とスチール工場、炭鉱との協力です。たとえば、トップ500企業のSinopecとの協力関係を例にとると、青島港は、貯蔵量180万㎥の原油タンクの所有権をSinopecに移転し、両者との間で、20万トンの原油施設を共同開発することで合意に達しました。この資源の共有は、大規模石油会社の効率を高めただけではなく、定期的な貨物の流れを青島港にもたらしたのです。青島港が2003年に取り扱った石油の量は2882万トンで、中国第一位です。今年に入って9ヶ月で、2326万トンの石油をすでに取り扱っています。本年末までの取扱量を3100万トンと試算しています。青島港は、三井物産とSinochem社の山東支店との間で合意した硫酸タンクは、中国でも重要な輸出入施設の1つです。青島港と三菱商事とで共同出資したバルクセメントサイロは、華北における最大の配送センターとして機能しており、年間40万トンの能力があります。さらに、ABBロジスティックセンターを始めました。これは、スウェーデンのABB社の低電圧製品のためのセンターです。
当事者同士の強みを出し合う提携関係により、青島港は運送会社や荷主との間で両者がともに利益を得る関係を構築しています。
4.両者の強みを利用できる提携関係のコツ
熾烈な競争環境にある市場で生存し、成長を続けるには、参加する当事者がそれぞれ、他社の強みを利用しあう補完的な関係を持ち、ともに利益を得る協力関係を構築することが重要な方法の1つです。では、港湾はどのようにすれば、協力関係を構築することができるでしょうか。
まず、十分なインフラを持つことが絶対的に必要です。簡単に言えば、大規模船舶、世界最大の船舶さえもが入港することができるだけの大きさと深さのターミナル、国内や、世界で通用する先進のITが必要です。過去10年間において、大規模船舶を受け入れ、深いバースを建設し、専門性を身につけるため、青島港では、中国でも大規模かつ近代的なターミナルの建設、試運転を行い、国内の港湾建設をリードしてきました。いまでは、青島港は世界最大の船舶を受け入れることができます。中国最大のコンテナターミナル、銑鉄ターミナル、原油ターミナルを持ち、世界規模の石炭施設と、穀物専用埠頭を有しています。コンテナ、石炭、原油、銑鉄、穀物の主要5貨物を取り扱うことができる唯一の港湾となりました。また、IT設備の整備にも巨額の投資を行い、コンテナ、石炭、原油、銑鉄、穀物を中央制御システムで取り扱うことができるようになっています。この情報センターは、中国本土の港湾の中でも最大級であり、EDIシステムは、専用線をインターネットに接続したウェブEDIからインターネットにアップグレードを図りました。EDIは税関、検疫、検査、海上保安局に接続されています。毎日、1,000通以上の電子メッセージが、港湾、運送会社、官庁、荷主とやり取りされています。
第2に、サービスの品質を常に向上させています。過去数年で、私たちは、品質、サービス、信用を青島港のライフラインとして掲げてきました。青島港は荷主、運送会社なしには生存することはできません。荷主の満足が、私たちの高品質な業務の目的であります。私たちは、競争力のある価格、迅速な業務、24時間業務を提供しています。私たちは顧客の満足のために、できることを何でもしようとしています。港湾内部では、業務の品質を絶えず向上させており、ISO9001、OHSAS18001、ISO14001の認証を受けました。信用業務も、民間の生産、サービス、営業を実施することにより実行しています。8つのサービスが国の満足サービスの指定を受けました。
世界クラスの取り扱い効率を目指し、私たちは、貨物積み替え時間の限界までの短縮、高品質のサービスを提供することによる荷主や運送業者の経費低減のために、懸命に働いています。近代的な設備を使用して、10時間キャッチアップサービスを提供しています。これは、すべてのコンテナ船が、その大きさにかかわらず、作業を10時間で終わらせるようにするサービスです。青島港埠頭コンテナチームの許振超(ス・ゼンチャオ)チーフが、コンテナ取り扱いに独特の手法を生み出しました。許チーフのチームは、世界の標準取扱速度を2倍も更新しました。1時間あたり381個のコンテナ取り扱いは、振超効率と名づけられています。北京政府は、許チーフを、新時代の産業労働者の秀逸な例であるとたたえています。温家宝首相が青島港を特別訪問し、許振超チーフに会い、このように述べられました。「振超精神と振超効率は、現代の強い魅力であり、社会主義近代化の精神的な富であり、また、裕福を社会全体に構築するすばらしい力である」。また首相はこのようにも述べられています。「すべての幹部は許振超に見習うべし。私もそのようにしたい。」港湾内部で、振超に学べを大々的に実戦しています。すべてのスタッフが実戦で学んでおり、これまでに1,200以上のユニークな手法が現れました。1日の1つの船舶からの銑鉄積み出し速度も、10万トンを越え、1時間あたり、1つの船舶から積み出される銑鉄の量は、6,098トンとなり、世界第三位の記録です。木材パルプの取り扱い速度は、1つの船舶あたり1時間に1,548トンで、世界第5位です。
このような青島港の総合的な有利性は、運送会社や荷主の注目を浴び、また、次々と青島港と協力関係や合弁関係を締結しています。これまで、世界の上位500社のうち7社が青島港に拠点を置きました。このような参加者の強みを生かした青島港は非常に競争力を持ち、持続的かつ急速かつ健全な発展を続けています。本年に入って9ヶ月で、1.22億トンの貨物を取り扱い、前年同時期に比べ、取扱量は1,700万トン、率にして17%の増加を見せています。コンテナ取扱量は376万TEUで、これも前年同時期と比較して64万TEUの増加、すなわち21%の増加です。本年末までに、合計1.6億トンの貨物を取り扱うことが見込まれています。これは、4年連続して2,000万トン増であり、また、コンテナでは500万TEUの取り扱いを見込んでいます。
世界経済のグローバル化、特に中国が世界貿易機関(WTO)に加盟したことにより、港湾の提携発展に大きな可能性を生み出しました。将来的には、私たちは参加者の強みを生かしあう提携関係を積極的に続け、港湾業務をこれまでよりもさらに高く、さらに強いものにしたいと考えています。2010年までに、2億トンの貨物を取り扱うと期待しています。これには、1,000TEUのコンテナも含んでいます。青島港は北東アジアのコンテナ輸送の基幹港になりたいと考えています。
おしまいに、セブ港の皆さんには、この重要なシンポジウムの実現にお骨折りくださり、厚く感謝申し上げます。また、皆様の今後のご活躍をお祈りします。
ご静聴ありがとうございました。
常 徳傳
皆さんこんにちは。
この美しいセブ島でINAPの年次会議に出席し、港湾開発に関する貴重なご意見を賜り、国際的な海上運送の現状および姉妹港のかたがたとの協力関係の議論をさせていただくことを光栄に存じます。
光陰矢の如しとはよく言ったもので、前回、主催させていただきました青島でのINAP会議があたかも昨日のことのように思い出されます。この1年間を振り返りますと、INAP会員各位がそれぞれのお立場で尽力されてきたことが伺われます。2003年、青島港が取り扱った貨物は1.4億トンでした。3年連続で2,000万トンずつ成長したことになります。海外貿易量も1億トンを優に超え、中国本土で第2位となりました。424万TEUのコンテナ貨物の取り扱いは、北東アジアでは上海に次いで2位です。また、世界の港湾では14位にランクされています。原油の取扱量は2,882万トンで、これは中国最大、また、銑鉄の取り扱いは4,524万トンで、うち3,495万トンが輸入ですが、これも中国最大ですし、世界でも第2位にランクされています。
さて、本年のINAPシンポジウムの議題は、現代の海運の状況にまったく適したものです。いくつかの点を皆様にご紹介いたしたく存じます。
1.港湾民営化に関する私見
本年の会議のテーマである「港湾民営化または港湾事業における民間部門の役割−公共サービス向上のための動機としての利益−」は、現在、港湾がおかれています環境を考えるとまことに適切なテーマです。つまり、港湾の所有を公共から非公共へ、すなわち民営化することです。
個人的には、私は港湾の民営化は非常に良い考えであると思います。民間が港湾運営にますます参加するようになります。港湾のいくばくかをある方法で所有することも含まれます。たとえば、貸借、合弁事業あるいは排他的投資等が含まれます。また、政府は直接所有あるいは直接管理を一部あるいはすべて手放し、港湾建設にマクロ的な機能を果たし、また、法制化を計画するという役割のみを持つことになります。民営化の目的は、管理運営システムを向上させることにより港湾開発を図ることでありますが、その一方、民営化は、政府による港湾建設投資への支出を減少させ、投資家による巨額の資本を注入して港湾の技術のレベルを引き上げることにより経営効率を向上させることができます。
現在の民営化の形態は、主に、外国や国内からの投資、民間資本による購入、国の資本の撤退、企業家やその社員への委譲、株式公開等であります。小規模港湾にとっては、一人の投資家が排他的にこれを保有することがまったく可能ですが、大規模港湾にとっては、そうではありません。大規模港湾が一人の投資家により所有されることは、大多数の投資家や政府にとっては好ましい選択ではないのです。大規模港湾が合弁や協力等の提携形態で使用されているのも、ここに理由があります。この提携は、先進の経営、安定した貨物のフロー、すべての面における可能性の開発につながります。
2.世界の企業における提携の傾向
企業が提携することにより、競争力のアップと、リスク回避が可能です。企業はここ数年、提携の速度を速めてきました。その業種も、鉄鋼、医療、通信会社、運輸、エネルギー、消費財や公共企業などの地域サービス企業にもまたがっています。たとえば、鉄鋼会社のトップ企業であるアーセラー社(Arcelor)は、フランス、スペイン、ルクセンブルグの企業が合併してできた企業です。航空会社のグローバルな提携も形成されました。たとえば、ワンワールドアライアンスのスカイチームのような大規模な提携が生まれました。統計では、トップ航空会社41社のうち、35社、市場シェアにして80%がなんらかの提携に入っています。
提携の傾向は、港湾、運送会社、荷主にも顕著になっています。ほとんどすべての大手運送会社が、コンテナ港の投資や経営にかかわってきました。Maersk、Evergreen、COSCO、OOCL、APLの5つの企業は、世界の30以上の港湾の運営や投資にかかわっています。中国では、大規模港湾のすべて、たとえば、上海港、深圳港、青島港、天津港、大連港、寧波港、広州港は、コンテナ業務で合弁に入りました。
3.青島港における提携の状態
過去10年間で、協力戦略により、青島のコンテナ業務は、年30%に近い成長を遂げてきました。大手海運業者のすべてが青島で営業を始めました。世界の80以上もの港湾会社が青島で貨物の輸送をおこなっており、寄港数も月に400回を超えています。COSCOやMSC、APL、CMAといった有数の企業が青島港を国際積み替え基地として使用しています。
世界のトップ500社と有名海上運送会社が、緊密な連携と成功する協力関係の構築のために、同盟を結びました。これが、COSCOとの合弁企業のCosport、OOCLとEvergreenとの協力によるコンテナデポ、その他の経済的な成果となって現れています。
2003年7月21日、青島港はMaersk、P&O、COSCOとの間で、世界規模のコンテナターミナルを運営する8.87億ドルの契約に署名しました。わが国の温家宝首相、イギリスのトニー・ブレア首相の出席のもと、署名式典がおこなわれました。この合弁事業は本年1月9日に正式に開始されています。9ヶ月がたちましたが、その間、19の新しい業務が立ち上がり、取扱量も28%の増加を見せています。3カ国から4つの企業の提携は、青島港に技術ノウハウ、経営、貨物積み下ろし業務、貨物のフロー、資本をもたらしました。署名後3ヶ月足らずの2003年10月19日には、MaerskからAE6の本船の入港がありました。2004年8月2日、TP2 大規模輸送サービスが立ち上がり、Maerskの北部オフィスが天津から青島に移されました。この連携はすでに海上輸送業界の注目を集めています。
連携の進展は、港湾と荷主との間の協力にも見られています。たとえば、港湾とスチール工場、炭鉱との協力です。たとえば、トップ500企業のSinopecとの協力関係を例にとると、青島港は、貯蔵量180万㎥の原油タンクの所有権をSinopecに移転し、両者との間で、20万トンの原油施設を共同開発することで合意に達しました。この資源の共有は、大規模石油会社の効率を高めただけではなく、定期的な貨物の流れを青島港にもたらしたのです。青島港が2003年に取り扱った石油の量は2882万トンで、中国第一位です。今年に入って9ヶ月で、2326万トンの石油をすでに取り扱っています。本年末までの取扱量を3100万トンと試算しています。青島港は、三井物産とSinochem社の山東支店との間で合意した硫酸タンクは、中国でも重要な輸出入施設の1つです。青島港と三菱商事とで共同出資したバルクセメントサイロは、華北における最大の配送センターとして機能しており、年間40万トンの能力があります。さらに、ABBロジスティックセンターを始めました。これは、スウェーデンのABB社の低電圧製品のためのセンターです。
当事者同士の強みを出し合う提携関係により、青島港は運送会社や荷主との間で両者がともに利益を得る関係を構築しています。
4.両者の強みを利用できる提携関係のコツ
熾烈な競争環境にある市場で生存し、成長を続けるには、参加する当事者がそれぞれ、他社の強みを利用しあう補完的な関係を持ち、ともに利益を得る協力関係を構築することが重要な方法の1つです。では、港湾はどのようにすれば、協力関係を構築することができるでしょうか。
まず、十分なインフラを持つことが絶対的に必要です。簡単に言えば、大規模船舶、世界最大の船舶さえもが入港することができるだけの大きさと深さのターミナル、国内や、世界で通用する先進のITが必要です。過去10年間において、大規模船舶を受け入れ、深いバースを建設し、専門性を身につけるため、青島港では、中国でも大規模かつ近代的なターミナルの建設、試運転を行い、国内の港湾建設をリードしてきました。いまでは、青島港は世界最大の船舶を受け入れることができます。中国最大のコンテナターミナル、銑鉄ターミナル、原油ターミナルを持ち、世界規模の石炭施設と、穀物専用埠頭を有しています。コンテナ、石炭、原油、銑鉄、穀物の主要5貨物を取り扱うことができる唯一の港湾となりました。また、IT設備の整備にも巨額の投資を行い、コンテナ、石炭、原油、銑鉄、穀物を中央制御システムで取り扱うことができるようになっています。この情報センターは、中国本土の港湾の中でも最大級であり、EDIシステムは、専用線をインターネットに接続したウェブEDIからインターネットにアップグレードを図りました。EDIは税関、検疫、検査、海上保安局に接続されています。毎日、1,000通以上の電子メッセージが、港湾、運送会社、官庁、荷主とやり取りされています。
第2に、サービスの品質を常に向上させています。過去数年で、私たちは、品質、サービス、信用を青島港のライフラインとして掲げてきました。青島港は荷主、運送会社なしには生存することはできません。荷主の満足が、私たちの高品質な業務の目的であります。私たちは、競争力のある価格、迅速な業務、24時間業務を提供しています。私たちは顧客の満足のために、できることを何でもしようとしています。港湾内部では、業務の品質を絶えず向上させており、ISO9001、OHSAS18001、ISO14001の認証を受けました。信用業務も、民間の生産、サービス、営業を実施することにより実行しています。8つのサービスが国の満足サービスの指定を受けました。
世界クラスの取り扱い効率を目指し、私たちは、貨物積み替え時間の限界までの短縮、高品質のサービスを提供することによる荷主や運送業者の経費低減のために、懸命に働いています。近代的な設備を使用して、10時間キャッチアップサービスを提供しています。これは、すべてのコンテナ船が、その大きさにかかわらず、作業を10時間で終わらせるようにするサービスです。青島港埠頭コンテナチームの許振超(ス・ゼンチャオ)チーフが、コンテナ取り扱いに独特の手法を生み出しました。許チーフのチームは、世界の標準取扱速度を2倍も更新しました。1時間あたり381個のコンテナ取り扱いは、振超効率と名づけられています。北京政府は、許チーフを、新時代の産業労働者の秀逸な例であるとたたえています。温家宝首相が青島港を特別訪問し、許振超チーフに会い、このように述べられました。「振超精神と振超効率は、現代の強い魅力であり、社会主義近代化の精神的な富であり、また、裕福を社会全体に構築するすばらしい力である」。また首相はこのようにも述べられています。「すべての幹部は許振超に見習うべし。私もそのようにしたい。」港湾内部で、振超に学べを大々的に実戦しています。すべてのスタッフが実戦で学んでおり、これまでに1,200以上のユニークな手法が現れました。1日の1つの船舶からの銑鉄積み出し速度も、10万トンを越え、1時間あたり、1つの船舶から積み出される銑鉄の量は、6,098トンとなり、世界第三位の記録です。木材パルプの取り扱い速度は、1つの船舶あたり1時間に1,548トンで、世界第5位です。
このような青島港の総合的な有利性は、運送会社や荷主の注目を浴び、また、次々と青島港と協力関係や合弁関係を締結しています。これまで、世界の上位500社のうち7社が青島港に拠点を置きました。このような参加者の強みを生かした青島港は非常に競争力を持ち、持続的かつ急速かつ健全な発展を続けています。本年に入って9ヶ月で、1.22億トンの貨物を取り扱い、前年同時期に比べ、取扱量は1,700万トン、率にして17%の増加を見せています。コンテナ取扱量は376万TEUで、これも前年同時期と比較して64万TEUの増加、すなわち21%の増加です。本年末までに、合計1.6億トンの貨物を取り扱うことが見込まれています。これは、4年連続して2,000万トン増であり、また、コンテナでは500万TEUの取り扱いを見込んでいます。
世界経済のグローバル化、特に中国が世界貿易機関(WTO)に加盟したことにより、港湾の提携発展に大きな可能性を生み出しました。将来的には、私たちは参加者の強みを生かしあう提携関係を積極的に続け、港湾業務をこれまでよりもさらに高く、さらに強いものにしたいと考えています。2010年までに、2億トンの貨物を取り扱うと期待しています。これには、1,000TEUのコンテナも含んでいます。青島港は北東アジアのコンテナ輸送の基幹港になりたいと考えています。
おしまいに、セブ港の皆さんには、この重要なシンポジウムの実現にお骨折りくださり、厚く感謝申し上げます。また、皆様の今後のご活躍をお祈りします。
ご静聴ありがとうございました。
この記事に関するお問い合わせ
所在地: | 〒780-8570 高知県高知市丸ノ内1丁目2番20号 |
電話: | 総務担当 088-823-9882 |
ポートセールス第一担当(貨物・高知新港振興プラン) 088-823-9888 | |
ポートセールス第二担当(客船対応・企業誘致) 088-823-9890 | |
ファックス: | 088-823-9657 |
メール: | 175201@ken.pref.kochi.lg.jp |