第4回INAP報告書(タンジュンペラ港)

公開日 2013年03月27日

更新日 2014年03月30日

2002年11月14日

第4回INAPシンポジウム:タンジュンペラ港(タンジュンペラ港局)

「広域貿易をめざすタンジュンペラ港」

○INAP会員間における協力の機会と期待

I. はじめに
 タンジュンペラ港はわが国第二の港であり、また、積替の中継港、東ジャワなど、わが国東部のゲートウエイ港でもあります。これまで、タンジュンペラ港は関連港湾産業の発展に努め、港湾施設やサービスの質の向上につとめ、輸出入業者の必要を満たしてきました。
 タンジュンペラ港に関する重要な計画に、東ジャワ政府および関係する企業や組織がかかわった「総合工業地域」があります。この計画は、わが港を世界の自由貿易港にしようとするものであり、東ジャワ政府は東ジャワの経済成長と国際貿易の進展に力をいれています。そしてわがタンジュンペラ港はこの総合工業地域のまさにゲートウエイなのであります。
タンジュンペラ港は、INAPなど世界の組織の会員港として、INAPの存在に大きな期待を抱いております。これまで4回のシンポジウムが開催されてきましたが、しかし、特にタンジュンペラ港については、その直接的な恩恵をいまだ享受するにいたってはおりません。したがいまして、INAPは、会員港の機能的向上と最高の恩恵をもたらすという大きな役割を期待されているわけであります。
 各港で真剣な議論を続けることにより、その機会は、ある条件や形態を伴うにせよ、必ずやもたらされるでしょう。そして、そのことを現実のものとするためには、すべての会員港が協力し、互いに助け合うことが必要であります。また、もう1つ考えなければならないのは、各会員がどの程度この組織または他の会員港から他にはない機能をシェアすることが期待
できるかであります。つまり、会員各港が自分の特質たるべき能力をシェアすることにより、会員すべてが機能的な港になることにINAPは注目することが非常に重要であります。そうしてはじめてINAPの存在意義が向上するのであります。

II. INAP会員各港の輸出入のマーケットシェア輸出入の流れを見れば、港湾の能力がわかります。下表はタンジュンペラ港の現在の取扱量を示しています。

タンジュンペラ港の輸出入量
区分 単位  年
       2001   2002
輸出 TEU 404,856 343,538
輸入 TEU 353,047 294,417
 わが港の輸出入貨物取扱量は比較的良好に推移しています。今後は、インドネシアとINAP会員各港との輸出入貨物取扱量の増加に大いに期待するところであります。しかし、実際にデータを見ますと、タンジュンペラ港とINAP会員各港間の輸出入はまだ数港でしかありません。
 INAP会員港間の輸出入の流れが大きくなることは、すなわち、INAPが会員各港に恩恵をもたらしていることの現れであります。INAP各港とタンジュンペラ港の間における輸出入貨物の流れを下表に示します。

INAP会員港の輸出入のマーケットシェア
港 2001年 マーケットシェア
輸出(TEU) 輸入(TEU) 輸出(%) 輸入(%)
セブ港 926 0.23
コロンボ港 4,145 1.02
青島港 306 725 0.08 0.21

 国別の輸出入量を比較すると、INAP会員港の国は、実際に非常に良い市場であることがわかります。しかし残念ながら、INAP会員港は仕向港、被仕向港として輸出入にあまりかかわっていません。下表は、タンジュンペラ港における各国の輸出入量を示しています。

INAP会員港の国別輸出入のマーケットシェア

国 2001年 マーケットシェア
輸出(TEU) 輸入(TEU) 輸出(%) 輸入(%)
日本 58,507 919 14.45 0.26
スリランカ 4,145 4,369 1.02 1.24
フィリピン 6,520 20,085 1.61 5.68
中国 71,560 41,108 17.68 11.64

 この表からも分かるように、INAP会員港のマーケットシェアは、さらに集中的に刺激して、輸出入の大きな部分を占めるよう、成長させることが必要です。事実、高知港とスービック港とは、輸出入の取引はほとんどないようであります。タンジュンペラ港における総輸出入量を比べると、輸出では中国が他の国を引き離してトップでありますが、青島港についてみると、輸出のシェアはわずか0.08%、輸入では、0.21%しかありません。日本の場合は、輸出のシェアで14.45%、輸入で0.26%のシェアがあるのに、その中に高知港は含まれていないのであります。
 このように考えますと、輸出入量を増加させる余地はずいぶんあるといえます。INAP会員港の各国において港湾の付加価値と競争力を向上させるような特別な施策が必要であるといえます。

 上記のデータでも現れていますように、港湾やその取り巻く内陸部の潜在性を高めることにより、大きな展開が期待できます。そして、INAPの存在意義に付加価値をつけるために、その方策を探り、相互に研究していかなければなりません。そうすることにより、INAPの存在意義は高まり、会員港は輸出入量を増加させることになるのです。

III. タンジュンペラ港の周辺地域
 さて、INAP会員港の輸出入量を増加することについては、タンジュンペラ港も、周辺地域における物品の輸出入の可能性を探ることが必要です。つまり、INAP会員港を経由してくる輸出品の量と種類を増やさなければなりません。また、各港にもこの機会に対応していただくことも必要です。そのためには、港湾活動を活発にする地元の輸出入業者の役割は大きいといえます。
 タンジュンペラ港については、INAP会員から下記のような商品の輸入可能性が見込まれます。

タンジュンペラ港周辺地域の物品需要
番号   物品
1.  紙および紙製品
2.  木製品
3.  ラタン
4.  鳥の巣、塩魚
5.  マーガリン
6.  宝石
7.  化学製品
8.  冷凍エビ
9.  皮および皮革製品
10. MSG(グルタミン酸1ナトリウム)
11. ポリ塩化ビニル
12. ふかひれ

 この商品群は、輸出品としては確立されたものとはいえませんが、タンジュンペラ港は、ビジネスパートナーとともに、これらを確立させなければなりません。それには、INAP各港のご支援と施設提供が必要です。

V. タンジュンペラ港の将来の展望
 東ジャワは、AFTA(2003)、APEC(2010)、WTO(2010)などの貿易機関に囲まれており、貿易地域や工業地域と港湾施設を統合した施設を提供することにより、世界の貿易において経済的な競争力をつけていくことが求められています。東ジャワ総合工業地域を中心に経済を活性化していくという方法は、タンジュンペラ港およびその周辺地域の将来にとっては最善策であります。
 この東ジャワ総合工業地域の経済成長と国際貿易の発展に対する役割を認識し、政府は、東ジャワのすべての組織や企業を刺激して、総合工業地域を戦略的に計画することによりタンジュンペラ港を積み替えの中継基地およびわが国東部のゲートウエイとの認識をもたせたのであります。
 総合工業地域構想は、利害を超えてタンジュンペラ港とその周辺地域が団結し、地方分権に関する1999年地方自治法No.22、25の規制の問題に対処することが期待されています。利害の拮抗が存在することは、タンジュンペラ港が機能を向上させることに大きなマイナスの要因となるばかりではなく、東ジャワに投資を誘致する障害にもなります。
もっとも、総合工業地域は貨物の積降しだけではなく、総合的港湾管理、輸出加工地域、境界地域、工業地域、貨物ターミナル、国際中立地帯、交通アクセス、電子商取引、ワンストップサービス地域などを包含しています。これらはすべてタンジュンペラ港およびその周辺地域のユーザーにより良いサービスを提供することを目的にしています。
 スラバヤを中心とする総合工業地域、境界地域構想は、ジャワ島とマドゥラ島を結ぶスラマドゥ橋で支えられています。したがって、マドゥラ島をコンテナターミナルとし、スラバヤにさまざまな工業を誘致して、タンジュンペラ港を支える計画です。
現在のところ、タンジュンペラ港は境界地域や工業地域から離れているため、サービスは非効率です。総合工業地域となれば、企業誘致ができ、特にINAP会員港の国との経済活動を活性化させることができます。
 タンジュンペラ港はこの総合工業地域に期待を寄せており、INAP会員港にも利益をもたらすものであります。特に、タンジュンペラ港を出航してINAP会員港に向かう船舶に、簡便なシステムと簡易な施設を提供すること、および、INAP会員港の周辺地域と取引関係をもつ輸出入業者に施設を提供することが必要です。

VI. タンジュンペラ港がINAP会員各港に寄せる期待
 タンジュンペラ港は、世界市場での競争力を挙げるため、INAP会員各港に次の内容を期待します。
a. タンジュンペラ港の職員を受け入れ、バルク商品の取扱い、人材管理、インフォメーション・テクノロジーについて研修をさせていただくこと。
b. INAPの会議に船会社、輸出入業者を招聘し、INAP各港の質を向上させること。
c. INAP会員各港の潜在的取扱い商品についての情報提供

VII. 終わりに
 幸いなことに、第4回INAPシンポジウムは、INAPの存在感を会員各港に示す結果となり、各会員には非常に大きな恩恵および世界の貿易港と競争することができる能力を強化する場となりました。特にタンジュンペラ港についてはそれがいえます。
 タンジュンペラ港がINAPに打ち出した計画の1つである総合工業地域構想は、INAP会員各港に利益をもたらすでしょう。タンジュンペラ港はINAPが投資家、輸出入業者にこの計画に加わることを奨励していただき、INAPの存在意義を明確に出していただきたいと考えています。
 フィリピンの戦略的重要性は、スービック湾港およびスービック国際空港が所在するスービック特別経済自由貿易地区に、世界から大手企業が集まってきていることでも象徴的に証明されています。たとえば、世界的に有名な運送業者のフェデックスは、スービック湾港にアジア拠点を置いています。スービック港は真に国際化を果たしているのです。
 港湾とは古来から世界中で重要なインフラの一部として、人、モノ、情報の集積地でありました。現代のようにめまぐるしく変わる世界経済および海運業にあって、INAPが21世紀の世界の港の発展に重要な役割を演じるならば、これに優る喜びはありません。
 おしまいにINAPがさらに発展し、アジアだけではなく世界中の成長に寄与してもらいたいと考えています。もちろん、これと同じように重要なのが、会員各港の発展に寄与することであります。本日ここにご参集の会員各港すべてがそれぞれ可能な方法で互いのために寄与することができるよう祈念し、私のスピーチを締めくくらせていただきます。
 御静聴まことにありがとうございました。

この記事に関するお問い合わせ

高知県 土木部 港湾振興課

所在地: 〒780-8570 高知県高知市丸ノ内1丁目2番20号
電話: 総務担当 088-823-9882
ポートセールス第一担当(貨物・高知新港振興プラン) 088-823-9888
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