公開日 2021年12月27日
-本日は、ソプラニスタとして世界で活躍されているクラシック歌手、岡本知高さんにインタビューさせていただきます!岡本さん、どうぞよろしくお願いいたします。
はい、お願いいたします。
【岡本知高さんプロフィール】
ソプラニスタ(男性ソプラノ歌手)。高知県宿毛市出身。
国立音楽大学を卒業後、フランスのプーランク音楽院を首席で修了。心の深淵に温かく響く唯一無二の歌声は「奇跡の歌声」と称される。
そのレパートリーは幅広く、宗教曲、オペラ、クロスオーバー、日本の唱歌やポップスと多岐にわたり、2006年より担当し続けているフジテレビ フィギュアスケート中継テーマ曲「ボレロ」ではまさにその真骨頂を聴くことが出来る。
また、大学時代よりライフワークとして取り組んでいる全国各地の学校訪問コンサートは年間数十公演(コロナ禍以前)におよび、子供達とのふれあい活動にも尽力している。
株式会社ホリプロ所属。
現在の活動について
-さて、岡本さんといえば、今年8月の東京オリンピック閉会式での圧巻の歌唱と鮮やかなブルーの衣装で話題を呼んだのも記憶に新しいところですが、岡本さんの現在の活動についてお伺いしてもよろしいでしょうか。
最近はですね、コロナ禍が少し落ち着きはじめて、やっとコンサートをあちこちで行えるようになりました。少ないですけれども、学校公演といって、僕が全国各地の小中学校、高校を訪ねていって体育館とか近隣の会館さんでコンサートをさせてもらうんですけども、そういった子どもたち向けの公演も少しずつかえってきました。
ふるさと高知での思い出
-岡本さんは高知県宿毛市のご出身でいらっしゃいますが、高知で生活していた頃の思い出を教えていただけますか。
そうですね、宿毛は本当にのどかな、港のある町なんですけど、子どもの頃は海というよりも僕は川で遊ぶことが多くて。小学校の頃は、学校の近くに「河戸堰(こうどぜき)」っていう川があるんですけれども、一度家に帰って、誰とも申し合わせてないのに、その河戸堰に泳ぎに行くとみんないるっていう、みんなが集まるスポットでした。
あとは「野地(のじ)」っていうところの川とか、「高石(たこす)」っていうところの川とか。本当に美しい川がいろいろあって。そういう、日本の原風景を子どもの頃に知ることが出来たっていうのは、今歌手活動をするなかで本当にこれは大きな財産になっていますね。
-すごく川になじみが深かったということで、そのあたりが東京オリンピックの時の衣装のイメージにもつながっていったんですね。
そうですね。
東京で生活してみてあらためて感じる高知県の魅力
-現在は東京を拠点に世界で活躍されている岡本さんですが、離れてみてあらためて感じた「高知の魅力」ってありますでしょうか。
もう何と言っても、高知は森林率も高いですし、自然に溢れていたところしか、子ども時代の僕は知らなかったものですから。東京に出て、例えばお刺身一つとっても、サイコロみたいな形してるんですよ、東京のお刺身は。ブロック状っていうか。高知のたたきなんかは分厚くて、べろーんと大きくて。あれはやっぱり新鮮さと美味しさをウリにできるものがあったからああいう形で出せていたんだなということがわかったり。
あと宿毛に帰った時に、夜空を見上げると、ホントにもう、なんだろう、こう、数十秒ずーっと見ているだけで、星が降ってくるぐらい満天の星空が広がっていたりとか。東京にはそういったものはないんですよね。東京の良さももちろんあるんですが、あんなに素敵な自然に溢れた、空気がきれいで食べ物が美味しい場所で育っていたことを実感しないまま18歳まで過ごしてしまったことがもったいなかったなって。でも今はそのふるさとが何よりの誇りですね。
-ありがとうございます。私も初めて高知県外で生活した時にカツオの色と形と味の違いには驚きました。きっと同じ思いを感じた高知県出身者も多いと思います。
東京でのお気に入り高知スポット
-都内でお気に入りの「高知スポット」みたいな場所はあったりするのでしょうか。
高知に帰れる場所っていうと、銀座の「まるごと高知」さんですよね。あそこに行くと、僕にとっては誰かに差し上げたいプレゼントがいっぱい売ってる感じなんですよね。青のり買ったりとか、リープル買ったりとか。僕の周りのスタッフの方にリープルを「これは高知のDNAだ!」って言って勧めたりしてね(笑)。ゆずの果汁を買ったりとか、あそこに行くと高知のものが手に入って。この感覚って、僕、随分前ですけどフランスに住んでたことがあって。パリに「キョウコ」っていう名前の日本食屋さんがあるんです。そこは小さなお店なんですけど、パリにいても、例えば「あんぱんが食べたい!」って思うと、「よし、キョウコ行こう!」みたいな。そんな感覚で今、東京では僕にとって「まるごと高知」さんが「帰れる高知」っていう感じはしますね。
作品について
-9月1日にラグビーワールドカップのテーマ曲『World in union』がリリースされ、12月1日には『World in union』を含む5曲が収録されたミニアルバム『Anthem』が発売されたところですが、作品についての思いを、お伺いしてもよろしいですか。
『World in union』は以前からコンサートで取り上げさせてもらって。この曲の歌詞の内容、ラグビーワールドカップの曲なので、「勝ち」「負け」「引き分ける」という言葉が出てきたりしますが、大切なのはそこではなくて。人々が手を取り合って、世界が一つになる、そのことが大事なんだと。そのためには差別だとか偏見だとかを乗り越え、人の個性を尊重して認め合えることこそが大切なんだと。そういう世界をみんなで目指していきましょう、というメッセージが込められているんです。そしてそう考え始めた時にはすでに新しい時代が始まっているという風な内容で。本当にこの歌詞に感銘を受けて。この曲を自分のレパートリーにしたいなと思い、歌い続けていたところ、そこに夏のスポーツの大会のステージがありましたので、そこでこう僕の中でスポーツと音楽が融合しました。ラグビーも僕自身大好きですし、『World in union』をレパートリーにできたことを本当に嬉しく思っています。
-アルバムの発売日と同じ12月1日に『World in union』のミュージックビデオもYoutubeにUPされましたけれども、東京オリンピックの時と同じ青い鮮やかな衣装で、場所も衣装イメージの現地である仁淀川の流域で撮影されたということで、あらためて現地を訪れてみてどのようにお感じになられましたか。
今回『World in union』を含んだ『Anthem』という新しいアルバムで、ミュージックビデオを撮ることになって、これはあの夏の大会の時のお衣装を着て、ぜひ仁淀川の、できれば沈下橋の上なんかで撮影できたらいいなっていう話があって。お衣装自体が深いブルーと、グリーンがちょっと入っているような、でも透明感のある色で。僕は衣装の名前を一着一着付けているんですけれども、「仁淀ブルー」という名前をあの衣装に付けました。高知を何か全身のどこかに取り入れてあの舞台に立ちたいっていう思いがまずあって、あの衣装が生まれたんですね。あの仁淀ブルーのお衣装はですね、結構こうプリーツが寄っていたりして、風が入るとふわぁ~っと広がったりしてね、とっても広がるんです。衣装を着て仁淀川の越知町の浅尾沈下橋に実際行ったら、橋の幅より僕の衣装の方が広がったりして(笑)。で、こう風を受けながら浅尾の沈下橋を悠々と歩いた場面とか、風を受ける心地よさであるとか、あとこう自然の空気がとってもいいんですよね。朝方の撮影をさせていただいたので、ちょうど朝日が昇ってくる場面とかもあったんですけども、空気も美味しいし、ちょうど台風が通り過ぎた後で本当に気持ちよく晴れやかに撮影できたことが嬉しかったですね。お天気は一か八かだったので。
あの撮影で僕は気付かされたことがありまして。僕がこういうちょっと皆さんから見ると個性的だと言われるお衣装も、色の選択をする時に好みの色っていうのがあるんですよ。その色がもう、その仁淀川の周辺とか、見えてる雄大な山々とか、民家とか、川の透明度とか、そういうこう、場面場面、部分部分を切り取ったところに僕の好きな色が全部あって。「あ、ルーツはここなんだ」と。ふるさと高知県の自然の風景の中に僕の好きな色のルーツがあったんだと思って。僕の根っこの部分を感じましたね。やっぱり僕は高知の人間なんだなって。ここに来ると好きな色がいっぱいあって、美味しい、一番吸いやすい空気があって。ああ、高知の人間で良かったなあって、つくづく思ったことでした。
それと、さっきも言ったように僕のお衣装ってすごく大きいんですけど、最後に「にこ淵」に挑戦しようと。行かれたことがある方はご存じかと思うんですけど、にこ淵っていうのは道から結構急な階段を上り下りしないといけないんですよね。そのにこ淵に下りるのに僕の衣装はとても邪魔で(笑)。本当に邪魔で。どうする?って言って。でもやっぱりここまで来たらにこ淵で撮影したいという思いがもう止まらなくなっちゃって。本当はパスする予定だったんです。だけど、行ってみよう、まず行ってみよう、挑戦してみようっていうことで、衣装の裾をですね、養生テープでですね、結構な高額な生地なんですけども、養生テープでぐるぐる巻きにして、ボンレスハムみたいになって(笑)、足をちゃんと二本足が動ける状態にして、一生懸命階段を下りまして、撮影できたんです!で、そのやっとの思いで撮影をした一枚が、この新しいアルバムのジャケット写真になりまして。頑張って下りて良かったなと。もうホントに感慨ひとしおな感じですね。あとそのにこ淵の撮影では一般の観光客の方もいまして、本当に皆さんご協力くださって。実はこの撮影をしているすぐそばには一般の観光客の方も一緒に見守ってくださっていて。みんな腫れ物に触れるような感じで、何が始まったんだ?って(笑)。
-邪魔しちゃいけない雰囲気があったんでしょうね、神々しいというか。何度見てもすごいですよね。(皆さま、ぜひ冒頭のMVをじっくり観てみてくださいね!)
僕も、いつかはにこ淵に行ってみたい、日差しの当たっている時間に行ってみたい、って思っていたんですけども、これがまさかミュージックビデオの撮影の時に実現するとは思ってもみませんでした。
-当日だけでなく、前の日に雨が降っていたりしても川の水が濁ったりするんですけれども、お天気にも水の透明度にも恵まれて、全部の条件がきれいに揃うなんて、今回の撮影は仁淀川に呼ばれていたのかもしれませんね。
高知県ファンの皆さんに一言
-それでは、最後に高知県ファンの皆さまに一言お願いいたします!
高知県というと、四国の太平洋側でね、ちょっとこう東京とか、遠いところからは「わざわざ」行かなければ、なかなか行く機会がない場所ではあると思うんですけれども、本当に後悔させません!高知に行ったら美味しいものがいっぱいあって、美しい自然があって、海も山も川も、どこをとっても美味しいとこづくめで、僕のようにお太りにならない程度に皆さん美味しいものを召し上がっていただきたいなと(笑)。ひろめ市場とか、お酒の美味しい居酒屋さんなんかもたくさんありますし、見て楽しい食べて楽しい過ごして楽しい場所がたくさんあるので、ぜひ高知に「わざわざ」行っていただきたいなと思います!
-岡本知高さん、ありがとうございました!
作品情報
最新アルバム『Anthem』
発売日:2021年12月1日
価 格:2,200円(税込)
レーベル:Universal Music
収録曲:
1. World in union
2. Bolero IV~New Breath~
3. 幸せのちから
4. いのちの歌
5. Again(歌劇『イーゴリ公』~「ダッタン人の踊り」)
作品詳細はこちら
インタビュー中に登場した高知ワード(登場順)
○河戸堰(宿毛市)
○高知県アンテナショップ『まるごと高知』
○リープル(ひまわり乳業株式会社)
○浅尾沈下橋(仁淀ブルー観光協議会)
○にこ淵(仁淀ブルー観光協議会)
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