公開日 2024年09月12日
※このインタビューは2024年7月に行われたものです。
ー本日は、高知県地産外商公社が運営するまとめサイト「高知家の○○」で、高知県内の飲食店や生産者さんを巡る「高知満腹日記」を連載されている、マッキー牧元さんにインタビューさせていただきます。マッキーさん、よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
【マッキー牧元さん プロフィール】
1955年 東京都出身。立教大学卒。
現在、株式会社味の手帖 取締役編集顧問
「味の手帖」、「おとなの週末」、「東京カレンダー」など多数の雑誌やWebでコラムを連載しているほか、食ジャーナリストとしてテレビ番組やラジオ放送にも多数出演。
年間600回外食する「タベアルキスト」で、高知のあれこれまとめサイト「高知家の〇〇」において、高知のレストランや生産者をめぐるコラム「高知満腹日記」を執筆しており、記事数は約300件に上る。
高知県との関わり
ーマッキーさんと高知県との関わりについてお伺いしたいのですが、初めて高知に行かれたのはいつですか。
初めて高知に行ったのは、大学4年生の時でしたね。その前年に参加した海外ツアーで、たまたま一緒になった高知出身のおじさんと仲良くなって、「高知に遊びにおいでよ」って言われて、後日、本当に一人で訪ねて行ったのが最初です。今はもう付き合いはないけど、高知県の人らしく豪快な人だったな。確か10歳ぐらい年上で、おじさんに見えたけど案外若かったかも(笑)
ー当時の高知の印象は。
その時は、おじさんに皿鉢料理をごちそうになりましたね。皿鉢料理って大皿に豪快にたくさんの食材が盛り付けられていて、インパクトがあるじゃないですか。当時は大学生で、食べ盛り、飲み盛りだったから、本当に鬼のように食べて飲んで(笑)。「人も料理も豪快!」、というのが初めて行った高知の印象でしたね。
ーお仕事で高知に行かれるようになったのはいつ頃でしょうか。
頻繁に行くようになったのは、10年前です。高知県地産外商公社の方から、「高知の料理に関する記事を書いてください」ってお願いされて、度々訪れるようになりました。それ以前も、高知には何回か行ったことがありました。食に詳しい人がいたので、いろいろな所に連れて行ってもらって、カツオ以外も食べ歩いていましたね。
高知県の魅力
ー食がご専門でいらっしゃいますが、食以外で高知に魅力を感じることはありますか。
海に面しているのに、その間近まで山が迫っているのが面白いですね。平地が少ない分、海岸線から車で30分ぐらい北に行けばもう山奥っていう。それが印象的です。カツオが有名なこともあって海のイメージが強いけど、山深い国でもあるっていうことを、意外と知らない人多いですね。それから、初めて四万十川を見た時は、その雄大さに胸を打たれました。あんな川は他にないですね。川の間際まで山が迫っていて、それでいて急流でもなく、川幅が広くてゆったり流れている。四万十川を見て育った人たちは、広い心を持っているんだろうなと思いました。四万十には先日も行ったばかりで、その時は地元ならではの飲食店を12、3軒、他の地域も入れると全部で18軒回りました。高知県の中には、海の町もあれば山の町、川の町もあって、趣も食文化も様々に違いがある。そして、そのそれぞれに魅力があります。
ー東京のご出身ですが、高知県を訪れた回数は、お住まいの東京を除いて全国の都道府県の中でも多い方ですか。
一番多いのが京都で,その次が高知です。某グルメサイトの機能で、「利用した飲食店が 多い県ほど赤く表示される」という機能があるんですけど、東京、京都、高知の順で、その次に昔から行っている長野が赤く表示されています。 (※実際に画面を見せていただく) ただ、地域ごとに飲食店の総数には差があるので、「その県にある店の何%に行っているか」ということで言えば、高知県がダントツに多い。このグルメサイトに登録されている約5,000軒の高知県の飲食店のうち、約300軒くらいは行っていますね(笑)
ー初めて訪れる地域で、よいお店を見つけるコツというのはありますか。
いいお店は、簡単には見つからないですね。グルメ情報サイトで上位になっていても、当たりじゃないこともたくさんある。レビューはあまり当てにしないですね。 グルメ情報サイト等から、料理の写真やメニューを見て決めるといいですよ。
ー「メニューのバラエティの豊かさが大事」ということでしょうか。
そうです。例えば高知だと「ウツボの唐揚げ」とか「カツオの刺身」がまずあって。あと、「どろめ(いわしの稚魚)」とか。そういう「定番の品揃えはあるけど、それ以外はありません」、というのではつまらないし、あまり行きたくならないですね。メニューを見て、工夫しているな、こだわっているなっていう感じがすることが、いいお店を見つけるための一つの方法かな。
ー旅先では「料理人に会う」ということも楽しい経験の一つになるかと思いますが、高知の料理人さんならではの特徴はありますか。
私も楽しみにしているので、取材の時には必ずご主人とお話します。いろんな料理人がいますね。変わった人もいれば、真面目な人もいる。そういう意味で、「これが高知の料理人」といった、共通の特徴というのは無いと思います。ただ1番の驚きは、Iターンで県外から来てお店を出している人が多いことですね。奥さんが高知の人だから高知に来たとか、高知の魅力に惹かれてそこで料理をすることになったとか。そういう人はかなり多い。高知の食材に惚れた、自然に惚れた、人懐っこさがいい、とかね。そういう料理人は、他の県に比べても多いと思います。あと、土佐女の気の強さを象徴する「はちきん」という言葉があるように、高知でお店をやっている女の人は、すごくしっかりしていますね。特にお店を長くやっている高知の女性には、度胸がある人が多い。
高知家ぐるめナビについて
ー高知県東京事務所では、首都圏で高知食材・料理が食べられるお店の紹介冊子「高知家ぐるめナビin首都圏」を、毎年制作していて、現在125店舗を掲載しています。
すごいですね。東京にも「明神丸(みょうじんまる)」があるんだ。「祢保希(ねぼけ)」は、社会人になってから何回か行ったことがありますね。あと「土佐しらす食堂二万匹」は知り合いのお店で、今度、「土佐しらすのアヒージョ」という新しいメニューを出すことになっていて、その推薦文を書いたんですよ。あ、「バルマコ」。このお店も知ってます。高知県出身の人が、高知の魚を取り寄せてやっているいいバルです。
高知の料理・食材について
ー全国にはたくさんの郷土料理がありますが、高知料理の特徴・良さはどんなところにありますか。
とにかく食材に恵まれていることですね。 目の前に黒潮が流れていて、豊かな山から栄養がたくさん流れているから魚種が豊富。高知でしか食べられない魚や貝がある。しらすとかうるめ鰯もいい。 川があるから、淡水魚も豊富ですね。四万十川にダムがないことも大きい。それに、牛、豚、鳥のブランドが全部揃っているのは珍しい。ジビエも捕れるし。あと野菜が力強い。日照量が多く、土壌が良くて、雨もたくさん降って寒暖差もあるからたくましく育つんだと思います。米も豊富、南国気候もあるので果物王国。無いものが無いんじゃないかと思うくらいです。これだけ揃っているところはかなり珍しいし、すごいことだと思います。
ー高知は全国的に見て、美味しい食材がたくさんあるということですね。
そのことを、高知の人も含め、みんなまだよく分かってないんじゃないかな。高知の美味しいものといえば、「カツオ」しか知らない。須崎市横浪(よこなみ)で食べる伊勢エビを気に入っているけど、高知の人はあんまり伊勢エビを食べませんよね。皿鉢料理に載っていても、あまりリスペクトしないというか(笑)それから、四万十市中村の「mihoki(みほき)」のアワビが、すごく立派でした。
でも、高知の人は、あまり食べないから採らないそうで(笑) 県外の料理人が来たら、もっと高知のよい食材を発見してくれると思いますね。
ー高知の食材で、これはいいな!って思うものはありますか。
「スマガツオ」は、身が締まっていて素晴らしく美味しい。「スマガツオ」や「ハガツオ」は、12月ぐらいの「ホンガツオ」が捕れない時期に、便宜的に食べるものらしいけど、むしろ美味しい。
ウツボもいいよね。あとはシンコ(ソウダガツオの幼魚)。他にもいっぱいある。柑橘だと「ぶしゅかん」。東京の人は、「小夏」や「八朔」は知っていても、「ぶしゅかん」は知らないですね。
それから「文旦」。東京では、1個4~5千円はする高級品なのに、高知では絞ってサワーにして飲んでるというのは可笑しいですね(笑)
ー高知のお酒は、どうですか。
高知で飲むのは楽しいですね。みんな昼から飲むし。「菊の花」、「可杯(べくはい)」といった、お座敷遊びがあって、それも芸者さんとかじゃなく、地元の普通の人たちが自らやるっていうのは全国的にも珍しいことです。
ー飲食以外に高知で楽しまれていることはありますか。
食べる飲むばっかり(笑)でも、ただ食べるんじゃなくて、美味しいものをどうやって食べたらもっと美味しく、面白く食べられるかを追求するのが楽しい。
ープライベートでもお知り合いを連れて高知に来ていただいているとか。
色んなところから、「高知に連れて行ってくれ」っていうお話があるんですよ。高知在住の人からもお願いされるくらい(笑)地元の人も、自分の暮らす地域を少し離れるとよく知らなかったりしますね。高知は東西に広いし、北山も深いし、県内移動だけでも結構遠いですからね。嶺北のカレー屋さんに行った時は遠すぎて、遭難するかと思ったくらいです(笑) でもそういう所に、わざわざ行くっていう楽しみがあることもいいですね。
ー高知県内で印象に残っている飲食店はありますか。
山ほどありますね。55番街に集中しているけど、「ゆう喜屋」、「たに志」、「京や」、「なとな」とか。なくなっちゃったけど「一軒家」もいいお店でしたね。お母さんが印象的なお店でした。 最近では、「IHARA(いはら)」や「アンナータ」といった、いわゆるファインダイニング(二万円程度から利用できる高級レストラン)の創作のイタリアン、フレンチが高知にも誕生しているの面白いですね。ついに高知でもできたかと驚きました。都会で働いていた料理人が、高知を選んで出店しているんで面白いですよ。高知は和食のイメージが強いけど、洋食もどんどん伸びてきています。
インタビューをご覧の皆様にひとこと
ー高知に来たらいろんなお店に行ってほしいですね。
グルメ旅なら、高知県は本当に強いと思います。恵まれた食材と美味しい料理があって、そして、いろんな料理人がいますからね。私は以前から「会いたい人がいる店がいい店」と言っています。
食事やお酒が美味しいのはもちろんだけど、「あの親父、あの女将さんに会いたい!」と思えるのがいい店。そういう店を見つけることこそ、高知を訪れる楽しみ方なんだって言えると思います。オススメのお店や料理をたくさん紹介しているから、高知旅に合わせて「高知家の○○」の記事を読んでいただきたいですね。
ーマッキー牧元さん、ありがとうございました。
インタビュー中に出てきた高知ワード(登場順)
・明神丸
・バルマコ
・菊の花
・ゆう喜屋
・たに志
・京や
・なとな
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