高知県南海地震による災害に強い地域社会づくり条例のあらまし

公開日 2009年03月19日

更新日 2014年03月16日

1 条例制定の目的



この条例は、南海地震による災害(以下「震災」という。)から県民の生命、身体及び財産を守ることを目的として、予防から南海地震の発生後の応急・復旧・復興までの総合的な対策(以下「南海地震対策」という。)を計画的に行うため、県、県民、事業者等の役割及び責務を明らかにするとともに、震災に強い地域社会づくりを目指して、県、市町村、防災関係機関、県民、事業者、自主防災組織、社会貢献活動団体等が相互に連携しながら南海地震対策を推進していくために必要な事項を定めようとするものである。

2 主要な内容



(1) この条例において使用される「南海地震」等の用語の定義をすること。(第1章第2条)

(2) 震災に強い地域社会を実現するため、南海地震対策は、自助の取組、共助の取組及び公助の取組を進め、南海地震への備えを習慣とし、防災文化を根付かせていくこと等を基本理念として実践的かつ効果的に推進されなければならないこと。(第1章第3条)

(3) 震災から生命、身体及び財産を守るため、県民、事業者及び県の責務並びに市町村の役割を次のとおりとすること。(第1章第4条から第7条まで)

ア 県民は、地震防災に関する知識の習得等の必要な備えを行うとともに、南海地震が発生したときは、自らの判断により危険を回避し、助け合って避難、救助活動、避難生活等を行うように努めなければならないこと。
イ 事業者は、その所有し、又は管理する施設、設備等の安全性の確保、震災への対応力の向上等の必要な備えを行うとともに、南海地震が発生したときは、避難誘導、救助活動、消火活動等を積極的に行い、事業活動を再開するために必要な措置をとるように努めなければならないこと。
ウ 県は、組織及び機能のすべてを挙げて、市町村及び防災関係機関と密接に連携しながら南海地震対策を計画的に推進するとともに、自助の取組及び共助の取組の促進及び継続のために必要な支援を行い、地震に関する調査、情報の収集等の成果及び情報を南海地震対策に反映すること。
エ 市町村は、県、他の市町村、防災関係機関、自主防災組織、社会貢献活動団体等と連携して、当該市町村の住民の生命、身体及び財産並びに地域を震災から守るための取組の推進に努めるものとすること。

(4) 地震の揺れの被害から生命を守るため、次のことを行うこと。(第2章第8条から第13条まで)
ア 県民等の地震の揺れの被害からの安全の確保
イ 昭和56年5月31日以前に建築された建築物又は同日において工事中であった建築物の耐震診断及びその結果に応じた耐震化の推進
ウ 県有建築物耐震化実施計画の作成及び公表
エ 家具等及び屋外工作物等の安全対策の推進
オ 被災建築物等の応急危険度判定への支援等
カ 県の管理する公共土木施設の点検及び改修等

(5) 津波から逃げるため、次のことを行うこと。(第3章第14条から第19条まで)
ア 津波浸水予想区域の居住者等の迅速な津波からの避難、避難の継続等
イ 地域の津波避難計画の作成の推進
ウ 自主防災組織による地域の津波避難計画に基づく津波からの避難訓練及びその結果を踏まえた当該地域の津波避難計画の見直し等
エ 津波からの避難に関する情報を入手することができる環境の整備
オ 津波からの緊急避難場所及び避難路の確保及び保全のために必要な対策の推進等
カ 県の管理する施設についての津波の浸入を防ぐための措置等及び津波による漂流物対策の推進

(6) 火災から生命を守るため、次のことを行うこと。(第4章第20条及び第21条)
ア 地震の揺れが収まった後の火災の発生を防ぐために必要な措置並びに火災が発生したときの消火及び延焼の防止
イ 初期消火に必要な用具の設置等

(7) 土砂災害等の危険から生命を守るため、次のことを行うこと。(第5章第22条から第24条まで)
ア 土砂災害等の危険を察知したときの県民の自主的な避難等
イ 土砂災害等の危険な箇所等の南海地震の発生後の巡視及び点検並びに居住者等への危険の周知等
ウ 危険物又は有害物質の製造施設等の所有者又は管理者の南海地震の発生後の施設の点検及び被害の拡大の防止の措置等
エ 急傾斜地の崩壊等に係る対策の推進並びにため池の点検及び改修等

(8) 震災からより多くの人命を救うため、次のことを行うこと。(第6章第25条から第27条まで)
ア 県による応急活動の対策
イ 医療救護活動におけるトリアージ(傷病者に治療及び搬送の優先順位を付けることをいう。)への県民の理解等
ウ 自主防災組織、事業者等による救助活動、情報の収集及び伝達、安否の確認等
エ 緊急輸送の確保

(9) 被災者の生活の安定を図るため、次のことを行うこと。(第7章第28条から第30条まで)
ア 県による復旧活動の対策
イ 電気、通信、上下水道、ガス又は工業用水道の事業に係る施設を管理する者による早期の施設復旧のための必要な対策及び速やかな施設復旧
ウ ボランティア活動への支援等及び専門ボランティアの活用

(10) 県は、高知県震災復興計画を作成し、震災復興対策を着実に推進すること。(第8章第31条及び第32条)

(11) 次のことにより、地域の防災力の強化をすること。(第9章第1節第33条から第36条まで)
ア 県民は、南海地震への備えとして、地震防災に関する知識の習得等に努めること。
イ 事業者は、南海地震による被害の軽減のために必要な備えとして、食料、飲料水等の備蓄等を行い、地域の自主防災組織が行う地震防災に関する活動との連携に努めること。
ウ 自主防災組織を結成し、地震防災に関する知識の普及等の活動を行い、当該活動を活性化するため、他の自主防災組織、社会貢献活動団体、地域の事業者等との連携に努めること。
エ 毎年8月30日から9月5日までを高知県南海地震対策推進週間とし、その期間には、ア及びイの備え並びにウの活動の点検及び充実に取り組むとともに、イ及びウの連携を図り、必要な訓練を行うように努めること。

(12) 次のことにより、災害時要援護者への支援等をすること。(第9章第2節第37条から第39条まで)
ア 県は、災害時要援護者を地域で支え合うネットワークづくりを促進し、災害時要援護者に対応することができる避難所の確保、生活支援等の対策を推進するように努めること。
イ 災害時要援護者を地域で支え合うネットワークを構成する近隣住民等の支援者は、災害時要援護者の把握等に努め、災害時要援護者又はその家族は、支援者との意見交換並びに災害時要援護者支援の方法の確認及び調整を行うように努めること。
ウ イにより災害時要援護者支援に関する情報の提供を受けた支援者は、当該情報を、知事が別に定める災害時要援護者に係る個人情報の保護に関する指針に基づき、適正に取り扱うこと。
エ 災害時要援護者が専ら利用する施設の設置者又は管理者は、当該施設内の安全性の確保等に努めること。

(13) 次のことにより、地震防災に関する知識の普及、人材育成等をすること。(第9章第3節第40条から第42条まで)
ア 学校等の設置者又は管理者は、児童等の発達段階に応じた実践的な防災教育の実施に努めること。
イ 県は、地震防災に関する広報活動の実施、啓発及び相談体制の整備等並びに地域又は事業所における地震防災に係る活動に適切な助言又は指導をすることができる人材の育成及び活用に努めること。

(14) 県は、この条例に定める内容の実効性を高め、県が取り組むべき南海地震対策を計画的に進めるため、高知県南海地震対策行動計画の作成等を行い、南海地震対策の実施状況について、毎年、点検し、公表すること。(第10章第43条及び第44条)

(15) この条例の規定は、必要な範囲内において、南海地震以外の高知県に被害をもたらす地震が発生したときにも適用すること。(第11章第46条)

3 施行期日



この条例は、平成20年4月1日から施行する。

この記事に関するお問い合わせ

高知県 危機管理部 南海トラフ地震対策課

所在地: 〒780-8570 高知県高知市丸ノ内1丁目2番20号
電話: 企画調整  088-823-9798
地域支援  088-823-9317
事前復興室 088-823-9386
ファックス: 088-823-9253
メール: 010201@ken.pref.kochi.lg.jp
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