公開日 2009年02月27日
更新日 2014年03月16日
高知県公文書開示審査会答申第101号
諮問第101号
第1 審査会の結論
知事が「平成9(10)年度 住小改第1−15号 前田川小規模河川(住宅促進関連)改修事業認定申請図書作成委託業務の設計打合せ・協議記録簿」を不存在とした決定は、妥当である。
第2 異議申立ての趣旨
本件異議申立ては、異議申立人が平成14年9月23日付けで高知県情報公開条例(平成2年高知県条例第1号)に基づき行った「平成9(10)年度住小改第1−15号前田川小規模河川(住宅促進関連)改修事業認定申請図書作成委託業務の設計打合せ・協議記録簿」の開示請求に対し、知事(以下「実施機関」という。)が平成14年10月2日付けで行った不存在決定の取消しを求めるというものである。
第3 実施機関の不存在決定理由等
実施機関が、決定理由説明書及び意見陳述で主張している不存在決定理由等の主な内容は、次のように要約できる。
1 開示請求の対象となる公文書について、再三にわたり調査・検索を行ったが、該当する公文書は作成されていなかった。これまでも開示対象となる公文書はすべて開示を行ってきており、非開示にしたり、隠匿をする理由は全くない。
2 平成13年度以降は、打合せや協議を行った場合はその都度記録し、委託業務の成果品として提出することが定められているが、それ以前は、本件の業務内容のように定型的業務であり、打合せや協議を行っても記録する内容がなかった場合は、協議記録を作成して成果品に添付することが徹底されていなかった。
第4 異議申立人の主張
異議申立人が異議申立書で主張している異議申立ての主な内容は、次のように要約できる。
本件不存在決定は、次の点において違法不当である。
1 平成7年度小規模改第1−10号前田川小規模河川(住宅促進関連)改修用地測量等委託業務(橋梁概略設計)(以下「1−10号委託業務」という。)は、(株)サン土木コンサルタントが施工し、設計打合せ・協議記録簿が作成されている。
2 平成10年度住基幹第1−11号前田川広域基幹(住宅促進関連)改修事業認定計画設計委託業務(以下「1−11号委託業務」という。)は、(株)サン土木コンサルタントが施工し、設計打合せ・協議は6回開催され、設計打合せ・協議記録簿が作成されている。
したがって、平成9(10)年度住小改第1−15号前田川小規模河川(住宅促進関連)改修事業認定申請図書作成委託業務(以下「本件委託業務」という。)も設計打合せ・協議記録簿が作成されていると考える。
求めた公文書の開示を求める。
第5 審査会の判断
実施機関は、開示請求の対象となる公文書について、再三にわたり調査・検索を行ったが、該当する公文書は作成されていなかったと主張している。一方、異議申立人は、他の委託業務において設計打合せ・協議記録簿が作成されていることから、本件委託業務についても設計打合せ・協議記録簿が作成されていると考えると主張しているので、以下検討する。
1 打合せ記録簿の作成について
実施機関によると、県の土木部が行う用地調査関係の委託業務については、委託業務の業務内容や、成果品としての提出書類は、「用地調査等共通仕様書」において定めているとのことである。
当審査会が「用地調査等共通仕様書」を確認したところ、実施機関が主張するとおり、平成13年度の改正によって打合せ記録簿の提出が義務付けられており、改正前には打合せ記録簿の提出は義務付けられていなかった。
2 委託業務の内容について
実施機関は、平成13年度以前は、本件の業務内容のように定型的業務であり、打合せや協議を行っても記録する内容がなかった場合は、協議記録を作成して成果品に添付することが徹底されていなかったと主張するので、それぞれの委託業務の内容について説明を求めた。
(1) 実施機関によると、1−10号委託業務については、橋梁概略設計を含む用地測量を委託したものであり、用地測量については地権者との交渉は実施機関が行い、測量のみを委託業者が行うもので、測量の過程で委託業者と打合せをする必要はなかったが、橋梁概略設計に関して打合せをする必要があったことから、その部分の設計打合せ・協議記録簿が作成されているとのことである。
(2) 1−11号委託業務については、国に事業認定を申請する前段で、現地測量や資料の収集、作成、整理等を委託したものであり、測量結果や資料の作成方法等について、委託業者と頻繁に打合せをする必要があったことから、設計打合せ・協議記録簿が作成されているとのことである。
(3) 本件委託業務については、上記1−11号委託業務で整理した資料をもとに、国に提出する事業認定申請図書の作成を委託したものであり、資料の整理は1−11号委託業務で行っており、本件委託業務では、国に提出する書類一式を作成するものであることから、細かい打合せをする必要がなく、設計打合せ・協議記録簿が作成されていない。
また、実施機関が受託業者及び当時の担当者に確認したところ、設計打合せ・協議記録簿は作成していないとの回答があったとのことである。
以上の実施機関の説明、聞き取り調査の結果から判断すれば、実施機関の公文書の不存在に関する説明は不合理なものではなく、実施機関の行った公文書不存在の決定は妥当なものと認められる。
第6 結論
当審査会は、本件不存在決定について具体的に検討し、最終的には高知県公文書開示審査会規則第4条第3項の規定による多数決により、冒頭の「第1 審査会の結論」のとおり判断した。
なお、当審査会の岡村会長、稲田委員、溝渕委員及び山下委員は、現在の高知県収用委員会委員又は当該案件に関する事業が実施されていた当時の高知県収用委員会委員であったことから、本件の審査には加わっていない。
第7 審査会の処理経過
当審査会の処理経過は、次のとおり。
年月日 | 処理内容 |
---|---|
平成14年10月28日 | ・ 実施機関から諮問を受けた。 |
平成15年2月24日 | ・ 実施機関から決定理由説明書を受理した。 |
平成16年10月25日 (平成16年度第10回第三小委員会) |
・ 実施機関からの意見聴取及び諮問の審議を行った。 |
平成16年11月30日 (平成16年度第12回第三小委員会) |
・ 諮問の審議を行った。 |
平成17年4月26日 (平成17年度第1回公文書開示審査会) |
・ 諮問の審議を行った。 |
平成17年9月12日 | ・ 答申を行った。 |
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