高知県公文書開示審査会答申第134号

公開日 2009年02月27日

更新日 2014年03月16日

高知県公文書開示審査会答申第134号

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諮問第134号


第1 審査会の結論

知事が、「鏡川水系前田川河川改修工事の地権者、甲、乙、丙に対する用地交渉日誌」を、非開示とした決定は妥当である。

第2 異議申立ての趣旨

 本件異議申立ては、異議申立人が平成15年6月16日付けで高知県情報公開条例(平成2年高知県条例第1号)に基づき行った「鏡川水系前田川河川改修工事の地権者、甲、乙、丙に対する用地交渉日誌」(以下「本件公文書」という。)の開示請求に対し、知事(以下「実施機関」という。)が、平成15年6月30日付けで行った非開示決定の取消しを求めるというものである。

第3 実施機関の非開示決定理由等

 実施機関が、決定理由説明書及び意見陳述で主張している非開示決定理由等の主な内容は、次のように要約できる。
○高知県情報公開条例の一部を改正する条例(平成17年3月29日条例第14号。以下「改正条例」という。)により改正する前の高知県情報公開条例(以下「旧条例」という。)第6条第1項第2号該当性について
 非開示とした本件公文書は個人に関する情報であって、特定の個人を識別できると認められ、かつ、本号ただし書のいずれにも該当しない。
 地権者を特定しない用地交渉日誌の開示請求に対しては、個人が識別できない範囲ですでに開示しており、個人を特定した開示請求に対して一部でも開示すれば、他の情報と組み合わせて、特定の個人の用地交渉内容が明らかになるため、本件公文書をすべて非開示とした。
○異議申立人の異議申立ての理由に対する説明
 平成14年7月16日付けでなされた別件の開示請求に対し、本件開示請求に係る3名が含まれた10名分の用地交渉日誌を、平成14年9月18日付け(14高用管第453号)で、個人が識別できない範囲ですでに開示しており、個人を特定した開示請求に対して一部でも開示すれば、他の情報と組み合わせて、特定の個人の用地交渉内容が明らかになることから、非開示決定を行った。

第4 異議申立人の主張

 異議申立人が異議申立書で主張している異議申立ての内容は、次のとおりである。
 この公文書開示請求以前に、開示請求を行ったことはないので、特定の個人の用地交渉内容が明らかになることはない。

第5 審査会の判断

 平成17年4月1日に改正条例が施行されたが、本件は旧条例に基づきなされた処分に対する異議申立てであるため、当審査会は、旧条例に基づき本件異議申立てを審議することとする。
1 本件公文書について
 本件公文書は、鏡川水系前田川河川改修工事の地権者、甲、乙、丙に対する用地交渉日誌である。同文書には、交渉日時、事業名、交渉相手氏名、交渉場所、交渉内容等が記載されている。
 実施機関は、地権者を特定しない用地交渉日誌の開示請求に対しては、個人が識別できない範囲で開示しており、個人を特定した請求に対して一部でも開示すれば、他の情報と組み合わせて特定の個人の用地交渉内容が明らかとなるため、全体を非開示とするとしている。
 一方、異議申立人は、以前には開示請求をしたことがないので、特定の個人の用地交渉内容が明らかになることはないと主張するので、以下検討する。
2 条例第6条第1項第2号該当性について
 旧条例第6条第1項第2号は、旧条例第3条後段の個人に関する情報が十分保護されるように最大限の配慮をしなければならないとの規定を受け、原則公開の情報公開制度の下にあっても、特定の個人を識別することができる情報は、非開示とすることを定めている。
 これは、個人のプライバシーを最大限保護するため、プライバシーであるか否か不明確な個人に関する情報も含めて、特定の個人を識別することができると認められる情報は、本号ただし書に該当する情報を除き非開示とするものである。
 用地交渉日誌には、交渉相手となる地権者の住所や交渉場所、日時その他具体的な交渉内容が記載され、その交渉内容については、交渉相手の内心に関するものや生活関係に関するもの及び資産等に関する情報が記載されている。
 このため、個人を特定しない用地交渉日誌の開示請求に対し、氏名、住所など個人を識別することができる情報を非開示としてすでに部分開示しており、さらに、個人を特定した用地交渉日誌の開示請求に対して、個人を識別できる情報を非開示として部分開示すると、これらの部分開示された用地交渉日誌を照合すれば実施機関の主張するとおり、特定の個人の用地交渉の内容が明らかになる恐れがある。
 なお、異議申立人は過去に開示を受けていないと主張しているが、開示済みの文書と照合するということは、必ずしも同一人に開示をした情報とは限らないものである。
 以上のことから、実施機関の行った非開示決定は妥当である。

第6 結論

 当審査会は、本件開示決定について具体的に検討し、最終的には高知県公文書開示審査会規則第4条第3項の規定による多数決により、冒頭の「第1 審査会の結論」のとおり判断した。
 なお、当審査会の岡村会長、稲田委員、溝渕委員及び山下委員は、現在の高知県収用委員会委員又は当該案件に関する事業が実施されていた当時の高知県収用委員会委員であったことから、本件の審査に加わっていない。

第7 審査会の処理経過

当審査会の処理経過は、次のとおり。

年月日 処理内容
平成15年10月30日 ・ 実施機関から諮問を受けた。
平成15年11月18日 ・ 実施機関から決定理由説明書を受理した。
平成17年11月22日
(平成17年度第14回第三小委員会)
・ 実施機関からの意見聴取及び諮問の審議を行った。
平成17年12月 8日
(平成17年度第15回第三小委員会)
・ 異議申立人からの意見聴取及び諮問の審議を行った。
平成18年2月7日
(平成17年度第18回第三小委員会)
・ 諮問の審議を行った。
平成18年2月20日
(平成17年度第19回第三小委員会)
・ 諮問の審議を行った。
平成18年5月9日
(平成18年度第1回公文書開示審査会)
・ 諮問の審議を行った。
平成18年6月20日 ・ 答申を行った。

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