公開日 2009年02月27日
更新日 2014年03月16日
高知県公文書開示審査会答申第144号
諮問第144号
第1 審査会の結論
知事が、「高知河川事務所が前田川改修工事について、高知市水道局と交渉、協議等含むすべての関係書類の全部」の開示請求に対し、「前田川の件で水道局山本事業管理者より」ほかを開示決定し、「水道管移設に係る経緯」ほかを部分開示決定したのは妥当である。
第2 異議申立ての趣旨
本件異議申立ての趣旨は、異議申立人が平成15年5月21日付けで高知県情報公開条例(平成2年高知県条例第1号)に基づき行った「高知河川事務所が前田川改修工事について、高知市水道局と交渉、協議等含むすべての関係書類の全部」の開示請求(以下「本件開示請求」という。)に対し、知事(以下「実施機関」という。)が、平成15年7月2日付けで行った「前田川の件で水道局山本事業管理者より」ほかの開示決定及び「水道管移設に係る経緯」ほかの部分開示決定について、当該開示決定及び部分開示決定を取り消し、正しい公文書の開示を求めるというものである。
第3 実施機関の決定理由等
実施機関が、決定理由説明書及び意見陳述で主張している開示決定の理由等の主な内容は、次のように要約できる。
異議申立に係る図面は、高知市水道局の図面を受託業者が委託業務で必要な部分を分割複写し、受託業者が成果品として納入したものである。このため、河床下にある管の部分を削除したものでもなく、図面については2枚しか保有していない。
公文書開示請求内容は委託業務の成果品であり、その中の図面は高知市水道局の図面を成果品のサイズに合わせて、当委託業務受託者が必要な部分を分割複写したもので、開示請求内容と相違していない。
平成8年度住小規模改第1−11号前田川小規模河川改修護岸設計委託業務の上水道管と河川改修との関係については、河川改修の計画河床高と上水道管の現設置高の差を求めるために、受託業者が高知市水道局から複写した図面に基づいて測量した結果を、ミリ単位で表示したものである。
また不等流計算においても、開示文書の資料からミリ単位まで計算ができ、その結果を表示しているもので、「図面の一部を隠匿し、他の図面そのものも隠匿されている。」という事実はない。
第4 異議申立人の主張
異議申立人が異議申立書及び意見陳述で主張している異議申立ての主な内容は、次のように要約できる。
平成7年度住小規模改第1−10号前田川小規模河川(住宅促進関連)改修用地測量委託業務(以下「第1−10号委託業務」という。)の成果品の一部で、実施機関が開示したとする図面は、高知市水道局上水道管の移設の図面9枚のうち2枚しか開示されていない。また、開示された図面2枚のいずれも、河床下にある管の部分が削除されている。
用地交渉日誌によると、平成10年6月11日に県は高知市水道局に対し、上水道管の移設の必要性を説明し、水道局は移設の方向で検討に入った。また、河川課関係打合せメモによると、平成10年7月9日に県と水道局は上水道管の移設の方法について話し合っている。
しかしながら、平成10年7月17日に、県は、異議申立人の知人に上水道管を移設できないので前田川の法線を変更できないと説明した。
上水道管の図面を開示すると虚偽が明らかになるので、現在まで開示されないでいる。
図面は直線で四角に囲まれ、一般的には、地方自治体の名称、所属、図面の題目等が記載されているが、開示された図面は分割して複写されたもので、開示された図面を合わせても、図面の右側や下側が欠けており、地方自治体等の記載もなく、また、上水道管の断面図もない。
上水道管を移設しない場合、河床下の上水道管のみならず流量調整室気弁室部が支障となるが、それに関する断面図、平面図がない。求めた公文書の図面は3枚以上あるが、開示されたものは2枚である。
平成8年12月の平成8年度住小規模改第1−11号前田川小規模河川改修護岸設計委託業務で、上水道管と河川改修との関係が検討された。成果には、旧河川河床と上水道管の間隔がミリ単位の精度で表されており、また、上水道管を移設しない場合の不等流計算結果も、ミリ単位の精度で表されている。これらは、詳細な図面がなければ不可能である。開示された図面は一部を隠匿し、他の図面そのものも隠匿されている。
第5 審査会の判断
実施機関は、本件開示文書については、委託業務の成果品として納入されたものを、そのまま複写して開示したと主張している。
一方、異議申立人は、実施機関は本件開示文書の元となった図面を所持しているが、故意に図面を分割複写し、重要な部分を隠匿していると主張しているので、以下検討する。
本件開示文書は、第1−10号委託業務の成果品に参考資料として、高知市水道局に保管されている2枚の図面の一部を、図面1枚あたり2枚に縮小複写されたA3の用紙4枚である。
実施機関の説明によると、第1−10号委託業務の業務内容は、河川改修に必要な用地や橋の検討を行うための調査であったが、河川に上水道管が埋設されていることが判明したため、受託業者が、成果品に参考資料として、高知市水道局の上水道管関連の図面の必要な部分を複写したA3の用紙4枚を加えたものであるとのことである。当審査会は、その成果品は一連のページとなった綴じ込み方式で編纂され、本件開示文書が成果品の一部であること、本件開示文書以外に開示請求に該当する図面がないこと、また、分割複写の事実もないことを確認した。
なお、本件公文書中のミリ単位での表示は、河川改修の計画河床高と上水道管の現設置高の差を求めるために、受託業者が高知市水道局から複写した図面に基づいて測量した結果をミリ単位で表示したとのことである。
以上のことから、実施機関が本件開示文書を開示したのは妥当である。
第6 結論
当審査会は、本件開示決定について具体的に検討し、最終的には高知県公文書開示審査会規則第4条第3項の規定による多数決により、冒頭の「第1 審査会の結論」のとおり判断した。
なお、当審査会の岡村会長、稲田委員、溝渕委員及び山下委員は、現在の高知県収用委員会委員又は当該案件に関する事業が実施されていた当時の高知県収用委員会委員であったことから、本件の審査には加わっていない。
第7 審査会の処理経過
当審査会の処理経過は、次のとおり。
年月日 | 処理内容 |
---|---|
平成16年5月24日 | ・ 実施機関から諮問を受けた。 |
平成16年6月18日 | ・ 実施機関から決定理由説明書を受理した。 |
平成17年4月6日 | ・ 異議申立人から決定理由説明書に対する意見書を受理した。 |
平成18年2月20日 (平成17年度第19回第三小委員会) |
・ 実施機関及び異議申立人からの意見聴取並びに諮問の審議を行った。 |
平成18年3月17日 (平成17年度第21回第三小委員会) |
・ 諮問の審議を行った。 |
平成18年5月9日 (平成18年度第1回公文書開示審査会) |
・ 諮問の審議を行った。 |
平成18年6月20日 | ・ 答申を行った。 |
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