公開日 2012年09月27日
更新日 2014年03月16日
高知県公文書開示審査会答申第165号
諮問第165号
第1 審査会の結論
議会が「平成22年6月20日付提出(高知県議会受付平成22年6月25日)の高知県議会請願書の請願文書表(要領3条2)等の関係書類を請求する。請願文書表(受理番号・請願の趣旨・請願者の住所氏名・紹介議員の氏名・受理年月日)」について不存在とした決定は、妥当である。
第2 異議申立ての趣旨
本件異議申立ての趣旨は、異議申立人が平成22年12月20日付けで高知県情報公開条例(平成2年条例第1号)に基づき行った「平成22年6月20日付提出(高知県議会受付平成22年6月25日)の高知県議会請願書の請願文書表(要領3条2)等の関係書類を請求する。請願文書表(受理番号・請願の趣旨・請願者の住所氏名・紹介議員の氏名・受理年月日)」(以下「本件公文書」という。)の開示請求に対し、議会(以下「実施機関」という。)が平成23年1月4日付けで行った本件公文書の不存在決定の取り消しを求めるというものである。
第3 実施機関の不存在決定理由等
実施機関が決定理由説明書及び意見陳述で主張している不存在決定理由等の主な内容は、次のように要約できる。
1 不存在決定とした理由について
(1) 議会における請願は、以下のように処理される。請願書を受け付けると、議会事務局において提出要件の具備を確認した上で議長がそれを受理し、議会事務局で請願文書表を作成し起案し決裁を受け、本会議に提案する。それを所管の常任委員会に付託し審査を受け、審査の結果を本会議に報告し本会議で採決し、採決の結果を請願者等に通知する。
請願は、所管の常任委員会では請願文書表を用いて審査する。請願文書表を用いるのは、住民からの請願書にはいろいろな要望事項が述べられており、形式が一定していないことから、請願書を基に審査すると分かりにくい点があったり、見落としてしまったりするおそれがあるためである。
そのため議会事務局では、請願を受理した後、高知県議会請願、陳情事務処理要領(以下「事務処理要領」という。)第3条第2項に基づき、請願書を所管の常任委員会ごとに区分し、委員会担当者において請願文
書表を作成し、請願書原本にその請願文書表を添えて決裁権者(議長まで)の決裁を受ける。請願書は、紹介議員の署名又は記名押印のあることが提出要件の一つとなっている。これは、紹介議員は請願の採択に努力する責務があり、常任委員会での審査において説明を求められることもあり、その内容に精通しておく必要があるからである。
(2) 本件公文書に係る請願書(以下「本件請願書」という。)は、郵送で議会事務局へ提出された。
本件請願書は、私的性格の強い内容であったため、内容を十分に確認した上で紹介議員になったものか、紹介議員に確認することにした。その結果、紹介議員からこの件は請願になじまないとの認識が示され、その後、紹介議員から取り下げ願が提出された。
こうした経緯から、本件請願書は取り下げの事務処理がなされ、請願文書表は作成されなかったため、本件開示請求に対し不存在決定をしたものである。
なお、本件公文書中の「請願文書表(要領3条2)等の関係書類」として、請願書の取り下げに係る文書も該当すると考えられるが、平成22年9月2日に異議申立人から別件の開示請求があり、「請願書(平成22年6月20日付け)の取り下げ願に関する決裁文書」を対象文書と特定し、それに添付された「請願書」及び「請願書の取り下げ願」と併せて関係するすべての文書を交付している。本件開示請求においても、すでに交付した同文書を情報提供した。
2 異議申立人の主張について
(1) 異議申立人は、議会事務局は事務処理要領に従った事務処理をしていないと主張している。これは請願文書表を作成しなかったことを指していると思われるが、この理由は、前述のとおり、紹介議員から取り下げ願が提出されたためである。
(2) 異議申立人は、請願書原本の返却を要求しているが、請願書の原本はすでに紹介議員に返却しており、議会事務局では保管していない。
(3) 異議申立人は、取り下げ願の署名が本人のものであることの確認書をいただきたいと主張しているが、議会事務局としては当該確認書を出す立場にはない。
第4 異議申立人の主張
異議申立人が異議申立書及び意見書で主張している主な内容は、次のように要約できる。
1 本件請願書は、事務処理要領に従った事務処理がなされていない。
2 請願書の原本を数回にわたり返却するよう要求しているが、未だに返却されていない。
3 取り下げ願の署名が本人のものであるという確認書をいただきたい。
第5 審査会の判断
1 本件公文書について
事務処理要領第3条第2項は、「請願書は、所管の委員会ごとに区分し、それぞれの委員会担当者において、請願文書表(受理番号、請願の趣旨、請願者の住所氏名、紹介議員の氏名、受理年月日、数人の連署によるときは請願者何某外何人と記載)を作成する。」と規定している。
本件公文書は、平成22年6月20日の日付で郵送により議会事務局に提出された本件請願書に係る請願文書表である。
なお、実施機関も指摘しているように、本件開示請求に係る公文書開示請求書には、請求する公文書の件名として「請願文書表(3条2)等の関係書類」との記載があり、それゆえ、請願文書表以外の請願文書表等の関係書類も本件公文書に含まれると考えられなくもないが、請求する公文書の件名としてとくに「請願文書表」を明記しており、また、実施機関によれば、請願文書表等の関係書類に当たる「請願書(平成22年6月20付け)の取り下げ願に関する決裁文書」、「請願書」及び「請願書の取り下げ願」をすでに異議申立人からの別件の開示請求の際に開示し、さらに本件開示
請求の際にもこれを情報提供したとのことであり、これらを考慮すると、実施機関が請願文書表のみを本件公文書として特定したことについて特別不合理なところは認められない。
さて、異議申立人は、本件請願書は事務処理要領に従った事務処理がなされていないと主張しているが、これは、実施機関が本件請願書に係る請願文書表を作成していないとして不存在と決定したことに対し異議を申し立てているものと思われる。
そこで、実施機関が本件公文書についてこれを作成していないとして不存在決定を行っている点について、以下検討する。
なお、その余の異議申立人の主張については、当審査会が判断すべき事項ではない。
2 本件公文書の不存在について
事務処理要領第2条は、請願書には、(1)請願の趣旨(第1号)、(2)提出年月日、請願者の住所及び請願者の署名又は記名押印(第2号)、(3)紹介議員の署名又は記名押印(第3号)が記載されていなければならないと規定している。
実施機関によれば、議会事務局が郵送により提出された本件請願書の内容を確認した時点で、その内容が私的性格の強いものであり請願の趣旨(事務処理要領第2条第1号)に適さないのではないかとの疑義があり、紹介議員に本件請願書の請願の趣旨を確認したところ、紹介議員からこの件は請願になじまないとの認識が示され、本件請願書を取り下げるという意思表示がなされたため、本件請願書は請願書の提出要件(事務処理要領第2条第3号)を満たさなくなった。なお、本来であれば取り下げ願も必要でなかったが、紹介議員本人が念のため文書として残しておきたいと言うので、取り下げ願を提出していただいたとのことである。
要するに、実施機関の主張するところは、請願書は議長が受理し、議会事務局で請願文書表が作成されるが(事務処理要領第3条第2項)、本件請願書については、議長が受理するに先立ち議会事務局において請願の趣旨を紹介議員に確認する段階で、紹介議員から本件請願書を取り下げる旨の申し出があり、それゆえ、請願書の提出には紹介議員が必要であるが(事務処理要領第2条第3号)、この要件を満たさなくなったため、本件請願書の提出はそもそも認められず、そのため請願文書表も作成されなかったというものである。
したがって、以上のような本件公文書が作成されなかったという実施機関の主張には不合理なところは認められず、本件不存在決定は妥当であると判断する。
第6 結論
当審査会は、本件公文書を具体的に判断した結果、冒頭の「第1 審査会の結論」のとおり判断した。
第7 審査会の処理経過
当審査会の処理経過は、次のとおり。
年月日 | 処理内容 |
---|---|
平成23年1月21日 | ・ 実施機関から諮問を受けた。 |
平成23年2月8日 | ・ 実施機関から決定理由説明書を受理した。 |
平成23年3月31日 |
・ 実施機関から意見聴取を行った。諮問の審議を行った。 |
平成23年5月31日 |
・ 諮問の審議を行った。 |
平成23年7月26日 |
・ 諮問の審議を行った。 |
平成23年7月29日 | ・ 答申を行った。 |
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