高知県公文書開示審査会答申第168号

公開日 2012年09月28日

更新日 2014年03月16日

高知県公文書開示審査会答申第168号

諮問第168号


第1 審査会の結論

 知事は、公文書の存否を明らかにしない決定とした「西武跡地の権利取得者に対する国土利用計画法第23条に基づく届出の照会文書及びその照会に対する回答書」について本決定を取り消し、本件開示請求に係る対象公文書を特定した上で、改めて高知県情報公開条例第10条第1項の決定を行うべきである。

第2 異議申立ての趣旨

 本件異議申立ての趣旨は、異議申立人が平成23年5月6日付けで高知県情報公開条例(平成2年高知県条例第1号。以下「条例」という。)に基づき行った「西武跡地に関して国土利用計画法第23条に基づく届出がなされていないことに対し高知県が同法に基づかない照会という形で照会した照会文書の起案書と権利取得者よりの回答書の写し」(以下「本件公文書」という。)の開示請求に対し、知事(以下「実施機関」という。)が平成23年5月20日付けで行った公文書の存否を明らかにしないとした決定を取り消し、本件公文書の開示を求めるというものである。

第3 実施機関の公文書の存否を明らかにしない理由等

 実施機関が決定理由説明書及び意見陳述で主張している公文書の存否を明らかにしないとした決定の主な内容は、次のように要約できる。
 国土利用計画法(昭和49年法律第92号)に基づく届出に関する文書は、法人等の事業活動に関する届出の有無及び土地取引の内容が明らかになる情報であり、条例第6条第1項第3号の非開示にあたるものを開示することにより、当該法人等の競争上又は事業運営上の地位その他正当な利益を害すると認められるものに該当する。また、非開示とする以上に開示することが必要である情報とは認められないことから、条例第6条第3号ただし書に該当しない非開示情報である。
よって、当該非開示情報の存否を明らかにすることが非開示情報を開示することになるため、公文書の存否を明らかにしない決定を行ったものである。

第4 異議申立人の主張

 異議申立人が異議申立書、意見書及び意見陳述で主張している異議申立ての主な内容は、次のように要約できる。
1 平成22年3月24日に「アーク不動産若しくは延田エンタープライズが西武跡地を取得するにあたり国土利用計画法第23条、第24条に基づく事前申請書類」を開示請求した際に、実施機関は届出の提出がされていないため、不存在決定を出したにもかかわらず、今回は公文書の存否を明らかにしない決定を行った説明を求める。
2 国土利用計画法第23条により契約締結日から2週間以内に県知事に届出をすることが決められており、また不動産登記法第27条、第34条で定められている事項は、同法第119条により開示が義務付けられていることから、該当公文書を特定の上、開示が義務付けられていない部分について非開示として部分開示を行うべきである。
3 実施機関は、開示請求書及びそれと同時提出した国土利用計画法についての質問に対して「国土利用計画法第23条による届出をしていない土地取引に関する調査は、法に規定されたものではないが、取引内容等の把握をするために行っており、そのうえで、把握した取引内容をもとに、文書等による指導を行い、罰則の適用については、正当な理由がないにもかかわらず是正指導に従わず、法の適正な運用に重大な支障を生ずると認められる場合に適用する」との回答を得ているが国土利用計画法第46条及び第47条は弾力性を持たせたものではなく、厳格に適用されるものである。

第5 審査会の判断

1 本件公文書について
本件公文書は、開示請求書の記載によると「西武跡地の権利取得者に対する国土利用計画法第23条に基づく届出の照会文書及びその照会に対する回答書」である。国土利用計画法第23条は、一定面積以上の土地の売買等の契約により土地に関する権利の移転又は設定を受けることとなる者は、その契約を締結した日から起算して二週間以内に、当該土地が所在する市町村の長を経由して、次に掲げる事項を記入して都道府県知事に届出なければならないとしている。
(1)土地売買等の契約の当事者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
(2)土地売買等の契約をした年月日
(3)土地売買等の契約に係る土地の所在及び面積
(4)土地売買等の契約に係る土地に関する権利の種別及び内容
(5)土地売買等の契約による土地に関する権利の移転又は設定後における土地の利用目的
(6)土地売買等の契約に係る土地の土地に関する権利の移転又は設定の対価の額(7)前各号に掲げるもののほか、国土交通省令で定める事項また、取引で届出がなされてない場合については、年4回、3か月間の土地登記のデータを国から提供を受け、譲受人に対して届出をしなかった理由、利用目的等を文書で照会し、回答書や契約書の写し等の提出を求める。そして、回答書の内容によっては文書注意等の指導を行っている。
 この手続きでの届出の照会文書及びその照会に対する回答書が、本件公文書にあたる。
2 条例第8条の該当性について
(1)条例第8条は「開示の請求に対し、当該開示の請求に係る公文書が存在しているか否かを答えるだけで、非開示情報を開示することとなるときは、実施機関は、当該公文書の存否を明らかにしないで、当該開示の請求を拒むことができる」と定めている。
(2) 実施機関は、本件公文書の存否を答えること自体が、西武跡地の権利取得者である法人の国土利用計画法第23条違反の行為の有無が明らかになることになり、当該法人の競争上又は事業運営上の地位その他正当な利益を害すると認められ、条例第6条第1項第3号の法人に関する非開示とするべき情報を開示することになることから、本件請求が条例第8条に該当すると主張しているので、以下検討する。
実施機関が照会を行う事案は、国土利用計画法第23条の届出の対象となる大規模な土地取引のうち照会を行うのは約半数にのぼる。届出をしないことは非違の行為ではあるが、必ずしも特異なものではない。したがって、本件届出を怠っているという法人の非違行為の存在が明らかになったとしても、当該法人の社会的評価に影響を及ぼす程度は軽微なものと考えられ、条例第6条第1項第3号の「事業運営上の地位その他正当な利益を害する」ものとは認められない。
よって、本件においては、第8条の存否応答拒否にあたる非開示情報は存在せず、第8条には該当しない。

第6 結論

 当審査会は、本件公文書の存否を明らかにしない決定について以上のとおり検討した結果、最終的には高知県公文書開示審査会規則第4条第3項の規定による多数決により、冒頭の「第1 審査会の結論」のとおり判断した。

第7 審査会の処理経過

当審査会の処理経過は、次のとおり。

年月日 処理内容
平成23年7月19日 ・ 実施機関から諮問を受けた。
平成23年7月28日 ・ 実施機関から決定理由説明書を受理した。

平成23年11月25日
(平成23年度第1回第二小委員会)

・ 実施機関から意見聴取を行った。諮問の審議を行った。

平成23年12月12日
(平成23年度第2回第二小委員会)

・ 異議申立人からの意見聴取および諮問の審議を行った。

平成24年1月13日
(平成23年度第4回第二小委員会)

・ 諮問の審議を行った。

平成24年2月13日
(平成23年度第5回第二小委員会)

・ 諮問の審議を行った。

平成24年3月29日
(平成23第4回公文書開示審査会全体会)

・ 諮問の審議を行った。
平成24年4月10日 ・ 答申を行った。

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