公開日 2009年02月27日
更新日 2014年03月16日
高知県公文書開示審査会答申第70号
諮問第70号
第1 審査会の結論
教育委員会は、本件異議申立てを却下すべきである。
第2 異議申立ての趣旨
本件異議申立ては、異議申立人が平成13年2月19日付けで高知県情報公開条例(平成2年高知県条例第1号。以下「条例」という。)に基づき行った「県立図書館の正職員の平成13年出勤簿、平成13年2月分週休日の指定表及び同年同月の勤務表の変更伺、『高知子どもと本のネットプラン実行委員会』からの平成13年2月11日の出張依頼書及び旅行命令書並びに参加者の時間外勤務命令簿」の開示請求に対し、教育委員会(以下「実施機関」という。)が開示決定をした平成13年2月11日の「勤務表の変更について(伺)」(4件)(以下「本件公文書」という。)について、虚偽文書であるため決定の取消しを求めるというものである。
第3 実施機関の説明要旨
実施機関が、決定理由説明書、意見陳述及び審査会からの質問事項に対する回答の中で主張している内容は、次のように要約できる。
(1) 職員の週休日の振り替えについて
県立図書館では、月間の計画表として、「カウンター等分担表」及び「土曜日・日曜日・昼勤務・遅出勤務および週休日の指定」の文書を作成し、職員の勤務日の割り振りを行っている。
職員の週休日の変更を行う場合には、変更を行う都度「勤務日の変更について(伺)」という文書を上司又は本人が作成し、振り替えを行う週休日前日までに県立図書館長(以下「館長」という。)までの決裁を受けるとともに、週休日の変更が行われる職員本人の確認印を得ることにより計画表の変更を行うという形で事務処理を行っている。
(2) 本件公文書について
本件公文書は、県立図書館の4名の職員について平成13年2月11日の週休日を変更するために、館長又は当該職員の上司によって同年2月8日に作成され、振り替えを行おうとする週休日である同年2月11日前に館長の決裁を得ている。ただし、同年2月5日から同月15日までが同図書館の図書特別整理期間であり、職員が多忙であったこともあるため、本件公文書の中には、本人の確認印が同年2月11日以降に押されたものもあるが、変更の内容についてはすべて事前に本人に口頭で通知し、了解が得られていたものである。
したがって、本件公文書は正当な手続きによって作成されたものであり、異議申立人の虚偽文書であるという主張は根拠のないものである。
第4 異議申立人の主張
異議申立人が異議申立書及び意見書で主張している異議申立ての主な内容は、次のように要約できる。
(1)
異議申立てに係る文書は、平成13年2月19日に提出した公文書開示請求に対し、その時点で未作成であった公文書を当時の館長の指示によって作成した虚偽文書である。
(2)
また、当該文書は法的根拠に欠けたものである。なぜならば、平成7年3月28日付け6人第699号総務部長通知によれば、代休日の指定は、職員が勤務公署内において勤務した場合のみを対象とすべきであり、今回の事例のように、勤務公署を離れて勤務したときには、「職員の旅費に関する条例」(昭和29年7月12日、条例36号)第2条第1項第3号でいう「出張」に該当し、旅費の支給がなされるべきものであるからである。
(3)
また、実施機関は本件異議申立てに対し、根拠のないものだと主張しているが、このことは逆に、県立図書館に対して十分な調査も行わずに事実を葬り去ろうとしていることにほかならない。
その証拠に、実施機関は、今回の異議申立てに係る書類に記載されている4名の職員中、「職員の旅費に関する条例」に規定する出張に該当する3名に対し、平成13年3月に館長が出張命令をしており、「高知子どもと本のネットプラン実行委員会」から旅費が支給されていながら、代休日の指定の取消しも行われていない事実も掌握しておらず、何らの指導もしていない。
したがって、本件公文書については、公文書と認めることができず、決定の取消しを求めるものである。
第5 審査会の判断
(1) 本件公文書の公文書該当性について
本件公文書は、県立図書館の4名の職員に係る平成13年2月11日の週休日を変更するために作成された文書である。
本件公文書は平成13年2月に作成されたものであり、公文書の定義については高知県情報公開条例の一部を改正する条例(平成13年3月27日高知県条例第11号)により改正される以前の条例(以下「旧条例」という。)第2条第2項が適用される。
公文書の定義については、旧条例第2条第2項において、「実施機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画、写真(これらを撮影したマイクロフィルムを含む。)その他実施機関が定めるものであって、組織的に用いるものとして実施機関において管理しているもの」と規定されている。
本件公文書は、実施機関の職員によって職務上作成された文書であり、実際に組織的に用いられているとともに、実施機関において管理されているものであると認められる。
したがって、本件公文書は、旧条例第2条第2項の公文書に該当する。
(2) 本件異議申立てについて
ア
異議申立人は、本件公文書について決定の取消しを求める旨を主張し、異議申立てを行っている。
行政庁の行った処分に関して不服申立てを提起し得るためには、不服申立適格がなければならないが、行政不服審査法第1条第1項で、行政庁の違法又は不当な処分その他公権力の行使に当たる行為に関し、国民に対して広く行政庁に対する不服申立てのみちを開くことによって国民の権利利益の救済を図ることを目的とすることが規定されており、当該処分によって直接に自己の法律上の権利利益を侵害された者でなければ不服申立適格があるとはいえない。
このことから、公文書開示等の決定の処分に関しては、異議申立人が実施機関に公文書開示請求を行い、公文書が開示されなかった場合などは不服申立てができるといえる。
しかしながら、異議申立てに係る本件公文書の内容については非開示とされた部分はなく、すべて開示されている。
したがって、異議申立人の権利利益は侵害されているとはいえず、異議申立人には不服申立ての適格が欠けていると認められるため、本件異議申立ては却下すべきである。
イ
異議申立人は本件公文書が虚偽の文書であることや代休日の指定等について法的根拠に欠けたものであることなどを主張し、本件公文書を公文書と認めることができないとして決定の取消しを求めている。
当審査会における審議は、公文書の非開示又は部分開示の決定に対して、その理由である非開示事項の適用についての実施機関の判断の不当性の有無について行われるものである。
したがって、今回の公文書開示請求によって開示された文書の内容が、事務的に適正かどうかということは、異議申立ての理由とはならない。
第6 結論
当審査会は、本件公文書を具体的に検討し、最終的には高知県公文書開示審査会規則第4条第3項の規定による多数決により、冒頭の「1 審査会の結論」のとおり判断した。
第7 審査会の処理経過
当審査会の処理経過は、次のとおり。
年月日 | 処理内容 |
---|---|
平成13年3月29日 | ・ 実施機関から諮問を受けた。 |
平成13年9月6日 | ・ 実施機関から決定理由説明書を受理した。 |
平成13年9月27日 | ・ 異議申立人から決定理由説明書に対する意見書を受理した。 |
平成13年10月11日 (平成13年度第10回第一小委員会) |
・ 実施機関の職員から非開示決定理由等を聴取した。 ・ 諮問の審議を行った。 |
平成13年11月21日 (平成13年度第12回第一小委員会) |
・ 諮問の審議を行った。 |
平成13年12月21日 (平成13年度第4回公文書開示審査会) |
・ 諮問の審議を行った。 |
平成14年2月1日 | ・ 答申を行った。 |
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